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半♂半♀のトビナナフシ

雌雄モザイクのニホントビナナフシふたたび



オスの特徴とメスの特徴が混在するニホントビナナフシを先日みつけた。《雌雄モザイク》と呼ばれるものだが、実は去年も同じ時期(11月)に見ている↓。


去年見た個体↑(【ニホントビナナフシの雌雄モザイク】より)は頭部がメス、それ以外は右半身がオス・左半身がメスとキレイに分かれていたが、今回みつけたのはもう少し複雑で──頭部はメス・両前脚はオス・中胸と腹と前翅は左側がオスで右側がメス・後翅革質部は逆に左がメス/右がオス──そんな特徴が見られた↓。


昆虫ではしばしば見られるという《雌雄モザイク》だが、僕は他の種類では出会ったことがない。去年、初めて《雌雄モザイク》をみつけた時は驚いたが……それが、今年もまた同じニホントビナナフシで確認できたというのは、単なる偶然にしては希有すぎる気がする。
ニホントビナナフシには《雌雄モザイク》が出やすいという事情(?)でもあるのだろうか?
例によって妄想的考察(?)が脳内で展開されたが、それを記す前に、ニホントビナナフシについて僕が知っていることをあらためて記してみる。

まず、ナナフシの仲間は本来は南方性の昆虫らしい。熱帯・亜熱帯に種類が多いそうで、単為生殖をし、オスがいない種類もあるという。両性生殖する種類でも、気温が低い地域では単為生殖にシフトしている種類もあったりする。
ニホントビナナフシも《屋久島以南では両性生殖》だが《九州以北ではおもに単為生殖》(岡田正哉・著『ナナフシのすべて』トンボ出版/1999年)と考えられているらしい。狭山丘陵で見かけるニホントビナナフシも、もっぱらメスばかりだった。


ニホントビナナフシは九州以北では主に単為生殖で卵を産み続ける。


だから僕は《東京にオスはいない》ものだとばかり思い込んでいた。しかし、2012年12月に初めてニホントビナナフシ♂を見つけて驚いた。さらに2013年には11月下旬に再びオスを見つけ、12月には交尾がしているところを確認↓。


気温が高い南方地域でのみ両性生殖していると思っていたニホントビナナフシが、単為生殖地域の東京で、しかも冬に交尾をするということにビックリしたが……それはさておき、オスとメスの2ショットを見ると、その違いは顕著。これとをふまえて、あらためて今回みつけた雌雄モザイク個体をみてみる。






《成虫♀に比べると小さく、♂よりは大きい》という点は、前回(2013年11月)見つけた雌雄モザイクと同じ。もうひとつ気がついたのが、《腹端の腹面にできた黒っぽい腫瘤のようなもの》。去年みつけた雌雄モザイクにも同じようなものがあった。雌雄混合体だと生殖器の形成不全でこのような腫瘤(?)になるのだろうか?






ニホントビナナフシの雌雄モザイクはオス化途上現象?

ニホントビナナフシの成虫は夏頃からみかけているが、オスを確認したのはいずれも晩秋になってからだった。
これには、落葉の時期に葉とともに落ちてきた個体が擬木に這い上がってくるケースが増えることで目につきやすくなる──ということもあるのだろう。夏でも目につきにくい樹上でオスは活動していたのかもしれないが……いずれにしても、僕が目にするニホントビナナフシは落葉の頃から個体数が急増する。出会う機会の少ないニホントビナナフシ♂を見つけるならこの時期がチャンス──そう思って、オスを探しながら歩いていて見つけたのが雌雄モザイクだった。

他の種類では見たことも無い雌雄モザイクに2年続けて遭遇する確率は、ちょっと考えるとかなり低そうな気がする。ならば、何か出現しやすい理由があるのではないか? ニホントビナナフシの場合、普通の(?)雌雄モザイクとは違ったシステムで出現しやすいのではないか?──などと考えてしまう。

《おもに単為生殖》の地域で《オスが出現する(こともある)》──ということは《未交尾のメスが産んだ卵からもオスが発生する(ことがある)》ということではないのか。すなわち、(どの時点で起こるのか判らないが)《メスからオスへの転換》が起こる(ことがある)のではないか?
ニホントビナナフシの《雌雄モザイク》は、その転換がスムーズに行なわれなかったケース──《オスになりそこねた個体》なのではないだろうか?

ワニやカメは孵化する時の温度によって、誕生する個体の性別が決まるというし、魚の中には成長してから性転換する種類も存在する。
昆虫と脊椎動物ではだいぶ違う気もするが……単為生殖を基本とするニホントビナナフシが、何らかの原因で《♀ベースから♂へ》とシフトすることはあっても良さそうな気がする。
そんなオスを探しているときに、またしても雌雄モザイク個体にであったので、《オスになりそこねた個体が雌雄モザイクになる》のではないか……などという想像が脳内に展開したわけである。
何らかの理由で《オス化》のスイッチが入ったとき、「緑色だったカエデの葉が一転して紅葉する」ように《♀ベース》から《♂》へシフトする……みたいなイメージ?
《♂化》スイッチが入れば、本来ならば全組織でオスへの分化が進むはずだが、スイッチの司令を何かの加減で受け取り損ねた組織があれば、その系列配下ではそのまま《♀ベース》のままで分化が継続される……そしてオスの組織とメスの組織が混在する個体が生まれるのではないか?

科学的な根拠があっての仮説ではない。知識が乏しい者の漠然とした脳内シミュレーション。素人の妄想レベルのハナシだ。

夏には緑色だったカエデの同じ葉が、秋には一転し紅く映える……その途上で緑と紅が混在する時期がある。今回《雌雄モザイク》を見つけた帰り、ちょうど「緑と紅が混在する」カエデが目にとまった。そしてこれが「雌雄が混在する」ニホントビナナフシの《雌雄モザイク》のイメージと、ちょっと重なった。




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コメント

No title
今年も雌雄同体に出会われ凄いです。
オスはいないと言われる中でオスを探し出したのも凄いと思います。
楓の葉も面白いです。
しっかり観察されていますね。ナイス
No title
> 市川さん

去年に引き続き、また雌雄モザイクに遭遇してビックリです。
このあたり(狭山丘陵)でニホントビナナフシのオスが見られるとは長い間思ってもいなかったたので、オスとであった時も驚きました。
虫の世界を見ていると、それまでの認識がくつがえされることにしばしば出会います。
No title
何回見ても雌雄モザイクは不思議です。
No title
おはようございます。
雌雄モザイクは探しても、見つける事は稀なのに2年続けて発見出来るなんて凄いですね(゜ロ゜)
貝類では環境ホルモンの影響で♂♀の同化が進んでいる様ですが、昆虫でも影響を受けているのでしょいか?
やはり、木の葉の落ちる晩秋が見つけ易いのかな?

私は以前、1回だけコクワガタの雌雄モザイクを採集した事がありますが、その後は全く出会っていません(^_^;)
No title
> すぬーぴーさん

本当に雌雄モザイクは不思議ですね。パッと見は「小さなメス」でしたが、よく見るとオスの特徴が混じっていたので「またかよ!」とビックリしました。
No title
> キヨカズさん

雌雄モザイクの個体に出会うこと自体、珍しいことだと思うのですが、2年続けてのことで更に驚いています。

キヨカズさんもコクワガタの左右モザイクをみつけたことがあったのですね。
僕はまだニホントビナナフシ以外では見たことがあのません。
たまに「雌雄モザイクが発見された」というニュースを目にし、まれにそういう現象があるということは知っていましたが、実際に見るとやはりビックリしてしまいますね。
No title
こんばんは。
・・・ニホントビナナフシの生態の不思議を堪能させて頂きました!!!☆・・・
・・・その姿・色彩には、以前から興味があったものの・・・
先ず、出会った機会がなく・・・
これ程まで、奥深いものだとは思いもしませんでした・・・
・・・これだから面白いですね・・・

記事を読みながら・・・
何故か?何故だか?・・・ベルクカッチェの顔が頭の中に勝手に浮かんできてしまって(ベルクカッチェとは何ら関係ございません!・・・失礼致しました)
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

地域によって「常連さん」の顔ぶれが違うのも昆虫のおもしろいところかもしれませんね。

ナナフシの仲間もけっこうユニークです。日本では昆虫飼育と言えばカブト・クワガタが主流ですが、ヨーロッパではナナナフシが多いなんてハナシもあったような……。

ベルクカッツェやアシュラ男爵は僕も連想しました。雌雄モザイクが発見されたというニュース等を目にすると、たいてい頭に浮かびます(笑)。
No title
今年も雌雄モザイク個体に出会ったのですね。
やはり単為生殖だとこういう個体が発生しやすのかも、と思ってしまいます。
生殖器が形成不全なのでしょうか。。。
瘤状になってしまっているのが、なんだか痛々しいですね。
オスを見てみたいのですが、簡単には会えなそうですね。。。
交尾体も、出会いましたらぜひ載せてください~。
No title
> noriさん

去年に続いてのまたしてもの雌雄モザイクにビックリです。腹端の腫瘤は去年みつけた個体でもあったので、雌雄モザイクにはありがちの症状なのだろうかと疑っています。
これから見られるニホントビナナフシの数が増えて行くでしょうからオスやペア・ショットを撮るチャンスもあるのではないかと期待しています。

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