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ツノカメムシの異種ペア

セアカツノカメムシ♂とハサミツノカメムシ♀の異種間交尾













ツノカメムシが交尾をしていたのでカメラを向けると、このペアは別種だった。よくみるとオスはセアカツノカメムシ、メスはハサミツノカメムシのようだ。
思いのほかしっかりつながっているようで、かなりはげしく動き回っていたが離れることは無かった。
ネット上にはセアカツノカメムシ♂は交尾時に腹端の突起で♀を逃がさないようにはさむという情報もあるが……突起は使われているようには見えなかった。

ところで、こうした異種間の交尾はカメムシでは(他の昆虫でも)よくあることなのだろうか?
実を結ばないのだろうから、労力やリスク(天敵に見つかりやすく逃げ難い等)を要する異種間の交尾はどちらの種にとっても損失のような気がする。いってみれば、これは《エラー》の事例だろう。こんなことがちょくちょく(?)起こるようではマズイのではないか?
どうしてこんなこと(両種にとって不利なこと)が起こるのかを想像してみた……。
子孫繁栄(遺伝子をより多く残す)のためには同種間の♂と♀がすみやかに交尾行動に移れるようなシステムが有効だろう。しかし、交尾条件のハードルを下げると《エラー(他種との交尾)》の発生率が増える。かといって《エラー》率を下げるために交尾行動の発令条件を厳しくすると、こんどは同種間の交尾のハードルも高くなって交尾成功率が落ちてしまうことになりかねない……そうした関係の中で、《エラー》がある程度発生しても、同種間の交尾が効率的に行なわれるのであれば良しとする──デメリットとメリットの兼ね合いから現行のシステムが選択されてきたのではないだろうか……そんなふうに解釈できないか考えてみたが、これはあくまで素人の個人的想像。

あるいは……もし、異種間交尾で♀が産む卵の孵化率が落ちるような事があったとしたなら、♂は同種間での交尾をする一方、ライバル種の♀と交尾をする事で競争相手を衰退させるという戦略が成立し得ないか……そんな生存戦略の可能性についても想像してみたり。もっとも、そんなことがあれば、相手側の♀も対抗手段をとって不利を回避する対応をとることになるのだろうが……。
実際は、こうした《エラー》がなぜ起こるのか、どの程度の割合で起こるのか(僕には)わからない。とりあえず、こうした事例の1つとして記しておくことにした。

セアカツノカメムシの交尾



セアカツノカメムシの♂。腹端に小さな一対の突起があるが、Wikipediaの【カメムシ】の「分類と代表種>ツノカメムシ科>セアカツノカメムシ」の項目には《雄の腹端にある一対の赤い突起は、交尾の際雌の腹端をしっかり挟むのに用いられる。》と記されている。しかし僕が見た交尾では、この突起で♀をはさむ行動は確認できなかった。ネット上にはヒメハサミツノカメムシの♂も交尾のさいに腹端のハサミで♀をはさむというような情報もあったが、やはり確認できなかった(※【レッドV:ヒメハサミツノカメムシ】)。そもそも腹端の突起は「はさむ」ような運動器官には見えない気がするのだが……。






ハサミツノカメムシの交尾

ハサミツノカメムシの方も、通常のペアのようすを↓。






ハサミツノカメムシのマウント型!?の交尾

カメムシの交尾は上記のように♂と♀が腹端を接点に反対を向いて一直線に並ぶの形が一般的だと思うのだが……以前、ハサミツノカメムシで甲虫のようなマウント型のスタイルをとっていたものがあったので、この機会に↓。












カメムシの場合、♀が腹端を持ち上げ、♂が腹側を合わせるようにアプローチすると通常の交尾体勢に入れそうな気がするが……腹端を持ち上げようとしない(交尾拒否行動?)♀に対して、♂が強引にこじ開けようとすると、こんな形(マウント型)になるのではないか……などと推理してみた。
しかし、「♀に《交尾拒否行動》があり、この《交尾拒否行動》がとられると交尾はマウント型になる」のだとしたら、冒頭のセアカツノカメムシ♂とハサミツノカメムシ♀の異種間交尾(カメムシの通常の交尾スタイル)では「《交尾拒否行動》が発動されなかった」ということになるのだろうか。だとしたら「《エラー》はセアカツノカメムシ♂だけでなくハサミツノカメムシ♀にもあった」ということなのかもしれない。

などと、あれこれ想像は展開するが、サダカなことはわからない……。
とりあえず、こんな事例もあったということでいちおう記録しておくしだい。

※訂正:セアカツノカメムシ同士の交尾の画像(アップショット)が《セアカツノカメムシ♂とハサミツノカメムシ♀の異種間交尾》の方に入っていたので直しました。
※追記:画像の順を訂正したついでに《セアカツノカメムシ♂とハサミツノカメムシ♀の異種間交尾》のアップショットを追加しました。

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コメント

No title
カメムシの異種間後輩は判りませが、クワガタでしたら以前、経験があります。

フタマタクワガタのパリーとマンディブラリスの一代交配雑種を作った事があります。
大顎はマンディブラリスで体色はパリーでした。
この2種は遺伝子レベルが近い為に交配可能な様です。

セアカツノカメムシとハサミツノカメムシの異種間交配が可能なら一代雑種はどの様な個体になるのでしょうね?
No title
そういえば、クワガタの交雑実験は聞いた事があります。
2つの種類の特徴をそなえた一代目が誕生する事もあるのですね。

カメムシの場合はどうなのか……同じ地域に生息していて「種類」が分かれているのだから、種の壁のようなものは成立しているような気がしていましたが……これも実験してみないと判らないのかもしれませんね。
No title
まぁ、マンディブラリスとパリーの♀は熟練者でも見分けがつかないくらいですからね(^_^;)

身近ではオオクワガタとコクワガタの一代雑種でオオコクワ?がいるという都市伝説的な話もありますが、自然界で発見される確率はゼロに近いかな?

きっとカメムシの場合も同地域に生息しているのなら交配可能な場合は一代雑種を見かけてもよいはずですが、見かけないとっては事はやはりエラーなのかな?
No title
国産クワガタと外国産クワガタでも種類によっては一代雑種が可能だと言う話は聞いた事があるような……。

それに対してカメムシの雑種というのは聞いた事がないので(僕が知らないだけなのかもしれませんが)……交尾は成立しているように見えても、エラーになるのかもしれませんね。
No title
色の綺麗なカメムシですね。
柔らかそうな明るい色具合です。
No title
異種間の交尾興味深いです。
雑種が出来ないか期待してしまいます。
ゾウムシが異種に挑むのは数回撮りましたが最後は諦めます。
やはり立派なハサミも飾り物の様ですね。ナイス
No title
かなり興味深かったです。私は植物か好きなのですが、とくにスミレの類になりますと、異種間での(もちろん昆虫による花粉の媒介によりますが)交雑種がたくさん生まれ、フィールドでの出会いや確認する楽しさがあります。昆虫の世界ではどうなのだろうと、ふと疑問に思ったことでした。
No title
異種間の交尾って、実際見たことないんですよ~。
なんかシュールなかんじですよね。
交尾じたい、成立する種としない種とあるのでしょうね。
ハサミツノカメムシのハサミってすごくかっこいいですが
開きっぱなしというか、鋏のように動くわけではなさそうですね。
No title
>>まあささん

どちらもキレイなカメムシですね。
太陽光が当っているときと影に入れて撮ったときで写り具合がかわったりしますが……。
No title
>>市川さん

こうした異種間交尾が可能であるのに雑種を見ないのは、雑種は成立しないんだろうとなんとなく思っていましたが、雑種ができるのかできないのか……できてはいるけど定着しないだけなのか、ちょっと気になってきました。
「ハサミ」は交尾そのものには使われていないようですね。つながっているのは交尾器によって──というように見えました。
No title
>>白樺平さん

植物の交配はまた複雑っぽい気がしますね。スミレに関しては種類も多くて正確に見分けるのは素人には難しいと聞きました。昆虫は植物よりも交雑のハードルが高いのだろうと思っていますが……それぞれどんなしくみで独自性(?)を獲得したり守ったのしているのか興味を覚えます。
No title
>>noriさん

僕も2匹が別種だとわかったときは「!?」と思いました。
カミキリ屋さんによると、ハナカミキリの異種間交尾?はそう珍しくないらしいのですが、一般民間人的にはあれこれ想像してしまいました。
トノサマバッタ(の♂)がちょっとしたダミーで「釣れる」というのは知っていましたが、さすがに交尾行動まで行なうと「不利益な行動」のように思え、なんでこうした行動が成立しうるのだろう……と考えてしまいます。
ハサミツノカメムシのハサミはカッコイイのですが、ハサミムシやシリアゲムシ♂のように使う事はできないみたいですね。
No title
こんにちは。
・・・虫の世界を眺めてると、一日があっという間に過ぎて行く様に感じます。それほど興味深く、不思議な事が多いですね・・・

・・・ライバル種の衰退狙い!は、作戦的にも面白い発想だと思います・・・けど・・・♂が!(大変かな!?と???)
・・・カメムシのマウント型の交尾・・・(画像にしても)初めて拝見させて頂きました・・・驚きです。(まさか!はさむはさむって!腹端突起と腹部で挟むつもりでは!?と疑いたくなってしまいますね・・・)☆
No title
昆虫にはフシギがつまっていて、見ていると想像力(妄想力?)が活性化しますね。
「ライバル種の衰退狙い」はあくまでも考えうるシナリオのシミュレーションで、実際にはどうかということとはまた別の次元の発想ということで。

カメムシのマウント型交尾はオオトビサシガメでも見たことがありますが……いったいどうなっているのか、よくわからずにいます。
「交尾のさいに♀を逃がさないように挟む」という話がどこから出てきたのかわかりませんが……疑問に思っています。
つながって動き回っているときに♂の突起と♀の腹にすきまがあく局面もあったので「腹端突起と腹部で挟む」というわけでもなく、つながっているのは交尾器によって──というように見えました。
No title
※訂正:セアカツノカメムシ同士の交尾の画像(アップショット)が《セアカツノカメムシ♂とハサミツノカメムシ♀の異種間交尾》の最後に入っていたので、《セアカツノカメムシの交尾》に入れ直しました。
No title
※追記:画像の順を訂正したついでに《セアカツノカメムシ♂とハサミツノカメムシ♀の異種間交尾》のアップショットを追加しました。
No title
甲虫だと見た目がほぼ同じでも交接器の形が違って鍵と鍵穴の関係で、物理的に交尾てきない近縁の種というのが多いですね。雑種が不妊になるくらい分化すると高確率で交接器も変異して交雑を防ぐのか、逆に交接器の変異がトリガーになって分化が進むのか。。。不思議なもんです。
No title
外観がそっくりな種類を見極めるさいに交尾器の形が判断材料になるというのは知っていましたが、実際に確かめた事がないので具体的なイメージがつかめずにいます。
どういう構造になっているのか、よくわかりませんが……このセアカツノカメムシ♂とハサミツノカメムシ♀は意外にしっかりつながっていたので驚きました。
交尾の形は成立しているように見えても、実際には受精が成立しないのか……あるいは一代くらいの雑種ができることがあるのか……いずれにしても、労力とリスクを要する異種間交尾は、一見《エラー》に思えて、なんだかフシギな光景でした。

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