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夏の昆虫たち

季節の変化が年々早くなると感じているが……今年もいつの間にやら夏の昆虫たちが顔を揃えていた。

夏の昆虫王:カブトムシ



子どもの頃、カブトムシはあこがれの昆虫だった。夏になるとカブトやクワガタをとりにいったものだ。樹液にあつまる虫たちの中心でひときわ大きなカブトムシは昆虫の王様に見えた。子どもの頃のそうした体験が思い出され、この虫をみると《夏》を実感する。
余談だが昔撮ったインディーズヒーロー【ミラクル☆キッド】でも子どもたちに人気があるカブトムシをネタにとり入れていた。《カブト手裏剣》&《カブト・クワガタとりで鍛えたキック力》が悪を倒す!?(笑)


スズメバチそっくりなトラフカミキリ

夏になるとカブトムシやクワガタ、カナブン等が集まる樹液ポイントでは、スズメバチの姿もよく目にするようになる。スズメバチの怖さはよく知られている。刺されて亡くなる人のニュースが毎年後を絶たない。子ども時代、カブト・クワガタとりは「宝探し」のような感覚があったが、スズメバチの存在は「宝探しを阻むドラゴンや魔物」といったところだろうか。この恐ろしいスズメバチにそっくりなカミキリが、トラフカミキリ↓だ(この個体は右前脚が欠けていた)。






産卵のために産卵管を伸ばしているのが、スズメバチが毒針を出し入れしているように見えてしまい、ちょっとコワイ。ということで、その本家(?)スズメバチの画像も参考に↓。




危険なスズメバチに擬態することで、このカミキリは生存率を高めているのだろう。それにしても、面白いと感じるのが《スズメバチとトラフカミキリは体型がまるで違う》という事だ。そして《模様の形もずいぶん違う》。個別のパーツを比べてみると、あまり似てないのに、全体としてパッと見た瞬間スズメバチに見えてしまうのだから感心する。スズメバチにはない《「く」の字模様》は、トラフカミキリにはないウエストのくびれを錯覚させるトリックアートになっているのかもしれない。天敵の「認識システム」を反映しながら進化の中で練り上げられてきたデザインなのだろうが……そうした部分も含めて自然の奥深さを感じる。
トラフカミキリの他にもハチに擬態したカミキリ、昆虫は少なくない。

童謡のモデル!?宝石の輝き:ヤマトタマムシ







子ども時代のカブトさがしは「宝探し」のようだったが、実際に財宝のような昆虫がいる。ヤマトタマムシ──これも夏の昆虫という印象がある。日本の昆虫の中では比較的大型で、宝石のように輝くメタリックボディも美しいので存在感は抜群だ。この仲間はインドや中国ではアクセサリーとして宝石商が扱っているという。日本でもヤマトタマムシの翅鞘を装飾に使った「玉虫厨子(たまむしのずし)」が有名だ。
童謡『黄金虫(こがねむし)』(野口雨情・作詞)で歌われている虫はヤマトタマムシだという説もある。実はこの童謡に関しては色々なメディアで「実はチャバネゴキブリのことだった」と流布されてきた。「《群馬県高崎地方》ではチャバネゴキブリをコガネムシとよぶ」という話がその発端で、同じ《北関東》出身の野口雨情の記した「コガネムシ」も「チャバネゴキブリ」のことだったのだろうという憶測が大元だったらしい。しかし野口雨情が生まれ育ったのは《群馬県高崎地方》ではなく、《茨城県磯原町》(現在の北茨城市/筑波山より水戸市に近い)であって、この周辺では「ヤマトタマムシ」のことを「コガネムシ」と呼んで、「財布の中に入れておくとお金が貯まる」とか「箪笥の中に入れておくと虫がつかない」などと言われ、貴重品のように扱われていたという記録もあるそうだ。このあたりの事は『月刊むし』2010年6月号(472号)【童謡"黄金蟲"はタマムシだ!?】(枝 重夫)という記事で詳しく記されている。
きらびやかなヤマトタマムシが童謡のモチーフに選ばれるということは大いにありそうだし納得できる。僕は『黄金虫(こがねむし)』は「玉虫厨子」をモチーフに作られた作品ではないかと想像している。野口雨情は「玉虫厨子」を「こがねむし(ヤマトタマムシ)の金蔵(蔵)」に見立てるという着想を得て、《黄金虫は金持ちだ 金蔵建てた 蔵建てた》という詞を書いたのではないだろうか……そう考えるのが自然なように思えてならない。
ヤマトタマムシを数匹目にした同じ日、ウバタマムシとも遭遇(東京側と埼玉側で1匹ずつ)。飛来して目の前の枝に止まったのでカメラを向けると、また飛び去って行った。


大きさやプロポーションはヤマトタマムシとよく似ている。そのためか、ヤマトタマムシのメスだと誤解されることもあるようだ。ヤマトタマムシが見られるのは夏だが、ウバタマムシは1年を通して見かける。日本のレッドデータ検索システムによるとウバタマムシは東京都で「絶滅危惧I類」に、埼玉県で「準絶滅危惧種」にカテゴライズされている(2013年)が、狭山丘陵ではちょくちょく目にしている。
(※絶滅危惧!?東京のウバタマムシ

チョッっと悲しきキリギリスの音

狭山湖(山口貯水池)の堤防周辺では6月下旬からニイニイゼミやキリギリス(ヒガシキリギリス)の鳴き声が聞かれるようになった。どちらも鳴くのはオス。メスは鳴かない。




キリギリスは「チョッ・ギィーー」と鳴いているハズなのだが、堤防の上で耳を澄ますと、聞こえいくるのは「ギィーー」ばかり。以前【キリギリス幻想】で記したが……加齢による聴覚の衰えのためだろう。ますます「チョッ」の部分が聞こえにくくなってきている気がする。
「去年よりも(聴覚の)衰えが進行しているのか……」といささか不安になって土手に降りてみると、近くで鳴いているものは「チョッ」の部分もハッキリ確認できた。まったく聞こえなくなったというわけではないことにちょっとホッとするが、遠くで鳴いているものは、やはり「ギィーー」しか聞こえなくなっている……。毎夏、老いを気づかされるキリギリスの鳴き声……子どもの時に聞いていたおもむきとはまた別の響きを感じる昨今……。
オスがあちこちで鳴き競っているなか、黙々と食餌をするキリギリスがいた。長い産卵管が目立つメスだった↓。


ところで「キリギリス」と言えば思い浮かぶのがイソップ寓話の『アリとキリギリス』だが……元は『アリとセミ』だったそうな。Wikipediaの【アリとキリギリス】によると、《ヨーロッパ北部では(セミは)あまりなじみが無い昆虫のため、ギリシアからアルプス以北に伝えられる翻訳過程で改編された。日本に伝わった寓話はアルプス以北からのものであるため、日本では『アリとキリギリス』で広まっている。》とのこと。
キリギリスが鳴く狭山湖堤防近くの桜ではニイニイゼミもしきりに鳴いていて、周辺ではその抜け殻が点在していた。


ニイニイゼミの新鮮な抜け殻が目立つようになってきた中、7月に入ってもまだ去年の抜け殻(アブラゼミ?)が残っている事も確認できた。セミの抜け殻は意外に長く残っていることがあるようだ。
(※ど根性ぬけがら~シラケトラの唄など

昆虫ではないけど…クサガメ





狭山湖周辺にはまだ田んぼが残っているところがある。田に水が張られている期間は限定的なようだが、この時期になるとクサガメが入っていることがある。
子どもの頃、「ヒトにはヘソがあるが、卵から生まれるカエルにはヘソが無い」というようなことが書かれている本を読み、「卵から生まれる生き物にはヘソがない」としばらく思い込んできた。だが後に孵化してまもないカメやヘビの幼体にはヘソにあたる器官(痕跡)があることを知って驚いた(やがてこの痕跡は消失する)。卵から生まれる生き物でも爬虫類や鳥類ではほ乳類における《ヘソの緒》にあたる器官が存在する──ことのことを知らない人は意外に多いかもしれない?
画像のサイズのカメでは無理だが、硬貨サイズの幼体をみつけたらひっくり返してみるとヘソを見ることができる。
(※カメのヘソ!?


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コメント

No title
こんばんは♪
私も含め大人になっても昆虫達(特に夏の虫)に魅せられている人は多いですね(^_^;)

梅雨も明け、台風も去った週末の沖永良部には特製の捕虫網を持って本土から昆虫採集に来た人達を見かけました(^o^)
No title
子どものときの延長で、あるいは、また違った視点での再発見が面白くて昆虫を追い続ける人はけっこういるようですね。

南房系の昆虫はバリエーションも豊富だし、珍しかったり美しい種類もいるから、本土から出かける人がいるのもわかる気がします。
No title
トラフカミキリもう発生ですね。
昨年私が出会った時すぐ近くにスズメバチがいて間違える所でした。
No title
画像のトラフカミキリが今年初の個体でした。いつ見てもスズメバチと間違えそうです。
静止画でみるとそうでもないですが、実際に動いているところはホントにスズメバチそっくり。このカミキリを知らない人は、ずっとスズメバチだと思っているでしょうね。
No title
盛りだくさんですね!
ミラクル☆キッドの額のカブトムシ、おもしろいです!
トラフカミキリは昨年も今年も見ていません。
かっこいいですよね~。見たいです~。
キリギリスの産卵管て長いんですね。ちょっとコワいです。。。
キリギリスのチョッという音は
聞こえにくくなる周波数の音なんですね。
知りませんでした!
No title
もう少し素材(画像)が溜まったら(必要なシーンが揃ったら)アップしようと思いつつ、保留のまま季節が移り変わって投稿の時期を逸したネタもあれこれあったりして……とりあえず夏の虫でいちどまとめてみたしだいです。
トラフカミキリはスズメバチっぽくてカッコイイですね。刺さないとわかっていても、ちょっと緊張が走ります(笑)。
高齢になると聞こえにくくなる「モスキート音」はよく知られていますが、キリギリスの「チョッ」も意外にそんな領域の周波数なのかも?
近くで鳴いていると解るんですけどね……昔はもっと遠くで鳴いている「チョッ」も聞こえていた気がします。
No title
こんばんは。
・・・あれは、どういったものでしょうか?・・・
よ~く見ると違うのに、パッと見!そっくり!見間違えてしまう!
ハチ!スズメバチの仲間の印象は、黄色に黒色(ほんとは茶色でしょうけど) 「危険!」「工事中!」「立ち入り禁止!」の色ですね!!(私は、あの立て看板観るだけでもスズメバチを連想しそうです)
・・・しかし、ヤマトタマムシがチャバネゴキブリ?コガネムシ?・・・コガネムシはあってもチャバネゴキブリは流石に・・
連想できません・・・けど・・・不思議な様な?明日からゴキブリを観る目が変わる様な?変わらない様な!?変わらないな!☆
No title
夏の昆虫の王様といえば、やはりカブトムシでした。中でもオスの角には魅せられました^^
兄たちは上手に捕まえていましたが、私は捕まえることは出来ず、ただ見るだけでした。
マッチ箱に重りを乗せ、カブトムシの角や胴体にタコ糸を縛り力比べをやらせたり、小枝の上や空き箱の上を土俵代わりにしてお相撲させたりして遊んでいたのを懐かしく思い出しました。。

トラフカミキリははじめて知りました^^本当にちょっと観はスズメバチですよね。よく見ると全く違う体型なのですけどね・・・
大変勉強になります。。

ナイス☆
No title
>>今日も、こっそり自然観察!さん

黄色に黒の「警告」パターンは人間の世界でも(人工物でも)使われていますね。やはりそれだけ目立つ配色だからなのしょう。「警告」的な意味合いはスズメバチ(=危険)を連想させる潜在的なイメージも関係しているのかも?

童謡『こがねむし』で歌われていたのはチャバネゴキブリだったという説はセンセーショナルだったので、けっこう広まったようです。拡散の段階で色々な解釈が加わってますます浸透したような。
僕もチャバネゴキブリ説は知っていましたが、枝 重夫氏の記事を読んで、「タマムシなら納得できるけど、チャバネゴキブリは無いな……」と思いました。
でもチャバネゴキブリだと断定する記述の本もいろいろ出回っているので、そう信じている人も多いと思うんですよね……。タマムシ説の巻き返しを期待したいです。
No title
>>えみちゃん

カブトムシはボリュームもあるし、力持ちですね。虫とりをして育った子どもたちは遊びを通して体感的にそのことを知っています。
「昆虫は自然が使わした大使だ」というような意味の事をどなたかがおっしゃっていましたが、虫にふれ、体感的に知ることが、自然への興味や理解につながるのだろうと思います。

トラフカミキリをスズメバチだと思っている人はけっこう多いと思います。クワの幹にスズメバチを見つけたら、よく見るとトラフカミキリかもしれません。

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