FC2ブログ

インナーが美しいムツボシタマムシ

ムツボシタマムシの隠された美しさ

ムツボシタマムシ(かその仲間?)が欄干に止まっていたので撮ってみた。このときは数枚撮影できたが、タマムシの仲間はカメラを向けると(人の気配を)敏感に察知してすぐに飛び去ってしまいがち──撮れないことも多い。


ヤマトタマムシに比べると地味だが、くぼんだ六星(ムツボシ)紋には光沢があって、角度によって見え方が変わる──いわゆるタマムシ色をしている。↑画像も手前の紋は金色に見えるが奥の紋は緑色に見えている。


ひときわ大きな眼が印象的。それだけ視力も発達しているのだろう。人影を察知しすぐに飛び去るのも納得できる。


和名の「六星」にもしぶい輝きがある……が、ムツボシタマムシには、もっと鮮やかな部位がある。


腹端がホタルのように?輝いて見えるが、これは上翅に隠された腹の背面の色。後胸~腹節背面はとても美しい輝きを放つ。今回もテイクオフ・シーンでそれをおさえたかったのだが、素早く飛び去ったため撮れなかった。
ということで去年撮った、(片翅故障のため?)うまく飛び立てないムツボシタマムシ画像を↓。


上翅の下にこんな鮮やかな輝きが隠されていたとは──最初に見たときは、「こんなに美しい部位を持ちながら、地味な上翅でおおい隠しているなんて、なんと、もったいないことか!」──などと思ってしまった。
そして改めてフシギに感じた。本来「目立つ」部分は見やすいところにあってこそ意味があるはず。わざわざ目立たぬ場所に最も目立つ部位があるというのは、いったいどういうことなのだろう?

ムツボシタマムシは、なぜインナーが美しいのか?

タマムシの仲間はとても眼が大きい(ものが多い?)──視力が発達しているということなのだろう。これが例えばトンボのように動き回る獲物を狩る昆虫であったなら眼が発達しているのも理解できる。しかし動かない餌を食う植物食のタマムシの眼がこれだけ大きいというのはなんだか意外だ。にもかかわらず眼がこれだけ発達したということには何か理由があるはずだ。
また、タマムシの特徴としては、美しい金属光沢(を持つものが多い)が思い浮かぶが、《眼が大きい(視力が発達している)》ことと《金属光沢(構造色)をもつ》という2つの特徴──これには何か関連があるのではないだろうか?

例によって「頭の体操」をしてみる。
タマムシ類は優れた視覚を頼りに仲間(繁殖相手)を見つけていたのだとする。輝く構造色は目印として有効なはずだ──輝く姿は遠くからでも見つけやすい。そして、その輝きをより遠くからでも見つけられるように視力がさらに発達し眼が大きくなった……そんな風に考えることはできないだろうか。

ヤマトタマムシではその輝きが鳥(昆虫の天敵)から身を守る効果をもたらしているという説もあるそうだが……目立つことで天敵から狙われやすくなるということも起こりうるだろう。

実は一見地味に見える種類も多いタマムシ類だが……かつては多くが金属光沢を持っていたとする。特に小さく個体数が多いタマムシ類は昆虫食の鳥とでくわす機会も多かったろうから、鳥たちに《輝きによるハッタリ》を見破られるリスクも多かったに違いない。鳥の多くが《輝きによるハッタリ》で敬遠しがちだったとしても、その一部がひとたび口にし「食べても問題ない」と学習すれば目立つ構造色はかえって標的となってしまうはずた。

そこでタマムシ類の多くが、鳥たちに目立たぬようにアウターを《地味化》させていった……というシナリオはどうだろう?
発達した眼を持つタマムシ同士には仲間が見えるが、鳥には見えにくい程度に《輝き度》を下げる──こうした方向で進化があったのではないか?
タマムシ類は一見地味なものも多いが、よく見ると鈍い光沢を放っているものも少なからずいる。人間や天敵の鳥には「地味」に映りながら、タマムシの大きな眼にはその光沢がしっかり見えているのではないか?

タマムシ類は視力を向上させることによって《輝き度》を下げ《地味化》を実現してきた──これが、タマムシ類の《眼が大きく発達》した理由であり、(一部で)《アウターが地味になっていった》理由ではないか……などとイメージが展開した。

ムツボシタマムシの六星紋もよく見ると光沢があって、角度によって色合いを変える。この紋は凹んでいるところも面白いが、この凹みだって輝いて見える反射角度を増やすための構造だろう。
体全体が光ると天敵に捕捉されやすいので一見地味なアウターを装い、(ボディラインが判らない)紋のにぶい輝きによって仲間には存在をアピールしている……ということではないかと考えてみたのだが……。

もちろんこれはド素人の想像。ムツボシタマムシのを見て「なんでアウター(外装)よりインナー(後胸~腹節背面)の方が美しい(目立つ)んだろう?」という疑問から脳内展開した思考シミュレーション──「頭の体操」に過ぎない。

昆虫の光沢はミステリアス

「タマムシ」というと鮮やかな光沢を放つ【ヤマトタマムシ】が思い浮かぶが、しぶい味わいの種類や中間的なものもいる。


ヤマトタマムシとウバタマムシの特徴をあわせたような【アオマダラタマムシ】↓。


光沢のある昆虫を見ると、「その美しさは何のため?」と思わずにいられないが、よくわからないものも多い。ムツボシタマムシの隠されたメタリックな青緑色で思い起こされるのが先日も紹介したセイボウだ。セイボウがなぜあれほどキレイなのかもよくわからないでいる。


※↑托卵の機会をうかがうムツバセイボウより


スポンサーサイト



コメント

No title
良く観察されています。
目の大きいのと輝く翅の役割納得です。
小さくても綺麗なマスダクロホシタマムシ等出会うと狂喜してます。ナイス
No title
b(≧δ≦)d おっ…*(≧〇≦)* はー!

こんなに綺麗な昆虫がいるのね!!/(*=゚▽゚ノノ゙☆パチパチ/(*=゚▽゚ノノ゙☆パチパチ!!すごーい!
(。→‿◕。)☆ぽち! ☆ いいね!ナイスゥ☆
No title
先日、ムツボシタマムシに出会いました。
地味だが6つの星が緑に輝いているのが魅了くて器で、ファンになりました。
翅下にそんなきれいなインナーを着ていたとは知りませんでした。
全く飛ぶ気配もなかったので、知っていれば捕獲して見たのに・・・・と残念でなりません。
No title
>>市川さん

疑問に対する「解釈」の1つとして、こんな可能性(シナリオ)を思い浮かべたという事で記してみました。

マスダクロホシタマムシはヤマトタマムシに比べると小さいですが、独特の美しさがありますね。今年はまだ見ていませんが、出会える事を楽しみにしている虫の1つです。
No title
>>usaさん

身近なところにも、けっこうキレイな昆虫がいるものですね。
虫を積極的に見るようになってから、驚いたり感心することが少なくありません。
No title
>>ピンちゃんのママさん

ムツボシタマムシはその外観もしぶい魅力がありますが、翅をひらいたときの意外な美しさも魅力だと感じています。
今回も翅を開いたテイクオフ・ショットが撮りたかったのですが、かないませんでした……。
No title
いつもそう思いながら拝読しているのですが、
今日の記事は特に思いました。

「深い世界ですね!」

同じタマムシでもこんなに種類がいて、(もしかして進化の道筋、度合いも環境によって)違うのですね!

ヒトは環境によってどんな風に進化していくのでしょうね、細分化していくのかなぁ。。。
No title
地味なスーツの裏地がオシャレ!みたいな感じですかねーwww、
小粋な感じで!?
No title
昆虫は嗅覚を使って異性を見つける種類が多いみたいですが、タマムシは視覚情報が重要のようで面白いですね。面白い実験の記事を見つけました。
mph.fbs.osaka-u.ac.jp/~ssc/scvol2pdf/hariyama.pdf
タマムシ専門の人はよく緑のネットを使ってますが、これをハルニレなどの回りで振り回してるだけでタマムシが飛んでくるようなことがあるそうです。
No title
>>りんさん

生き物の世界は深いですね。「深い世界」を感じさせてくれる身近な存在が昆虫だったりします。
「深い」と思いながら的外れなところを掘り返していることもありがちな気もしますが……とりあえず色々掘ってみたくなる気にさせてくれます(笑)。
No title
>>124090_560TEさん

全身ピカピカのヤマトタマムトとはまた違った魅力がありますね。確かに「小粋」という言葉が似合うタマムシかもしれません。
No title
>>itaさん

とても興味深い記事を教えていただき、ありがとうございます。ヤマトタマムシ♂は単にピカピカした金属光沢ではなく構造色を識別して♀を見つけていたとは。撮影すると、頭部をねじってこっち(カメラ)を見上げている事がありますが、あのカメラ目線の大きな眼もやはりダテではなかったかと納得してみたり。

緑のネットを持っている虫屋さんを見たことがありますが、ネットの色も用途によって色々あるのですね。

管理者のみに表示

トラックバック