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ダンゴムシは悲しんだ~どんぐり雑感

ダンゴムシは悲しんだ!?



こどもの頃よく拾ったドングリ。中には虫くい穴があいたものも落ちている……ドングリ・ネタの記事を書こうと思いたち、カメラを向けたところ……その穴の中でうごめくものが!?


穴からのぞく体の一部はダンゴムシのようだ。しかしダンゴムシがこの穴をあけて中に入ったとは思えない。この穴はおそらくドングリに寄生するシギゾウムシの脱出孔だろう。


このようすを見たとき頭に浮かんだのが──《山椒魚は悲しんだ。》で始まる井伏鱒二の短編小説『山椒魚』(さんしょううお)だった。棲家(すみか)の岩屋の中で生活しているうちに体が成長し、頭がつかえて外へ出られなくなってしまったサンショウウオの話。
穴の中でうごめくダンゴムシも、小さな頃に虫食い孔からドングリの中に潜入し、そのまま成長して出られなくなってしまったのだろうか!?
ボトルシップ状態のダンゴムシ!?


そんなマンガのようなコトが実際に起こるものなのだろうか?
実は2枚目の画像を撮った後、僕は1度その場を後にした。しかし、その後も「『山椒魚』のようなダンゴムシ」のことが気になり、翌日もう一度たしかめに行ってみた。そして撮影したのが3枚目の画像である。
ダンゴムシはまだドングリの中にいた。動いているので生きているのは間違いない。
他にダンゴムシが出入りできる経路がないか調べてみたが、ドングリに他の出入り口は無い。やはりダンゴムシはこの穴から入ったのだろう。

さて、どうしたものか。
完成したボトルシップを壊すような「もったいなさ(?)」を感じないでもなかったが……《岩屋に閉じ込められた哀れな山椒魚》のようなダンゴムシを救出すべく、殻を割って状況を確かめてみることにした。
何か解体用の道具を持参すればよかったのだが、何も無かったので指先で慎重に殻を割って剥がす……と、果たしてダンゴムシが現れた。


あらわになったダンゴムシは想像していたよりも小さかった。それが予想に反して何匹か這い出してきた。
出てきたサイズのダンゴムシが、山椒魚のように穴をくぐれないほどに成長していたかどうかは判らない。殻を割った時に穴を壊してしまったので、大きさを比較することはできなかったのだ。
ということで、マンガのような《山椒魚現象》が本当にあったのかどうか……真偽のほどはサダカではないのである……。

ドングリの思ひで



ドングリには子ども心をひきつけずにはおかない魅力があるのだろうか。僕も子どもの頃、ドングリ拾いに夢中になったことがあった。
掌にはいる大きさといい、スッキリしたデザイン・フォルムといい、スベスベの表面、中にはベレー帽を思わせるもの(殻斗)を被っているものもあるフシギな物体。人が造型したものではない、未知なるものの意図を感じさせる創造物!?──それが雑木林の地面に無造作に散在している……そんな「フシギ」を見つけ出し、ゲットすることが宝探しのように感じられた。

踏まれて割れたり発芽しているものもあるし、虫食い孔のあいたものも落ちている。なので「完品」のドングリを吟味して拾い集め、ポケットにしこたま貯め込んだ。
拾ってきた宝物は帰宅後、机の引き出しの中にしまい込む──そんなことをくり返していた。
そんなある日、何気なくポケットに手を突っ込むと、指先に「ぷにょん」と触れるものがあった。柔らかく冷たい異物だった。そんな感触のモノを入れた覚えは無い。「はて、何だろう?」思い当たるものが浮かばぬまま、その「ぷにょん」をつまんで引っ張り出してみると──小さなウジのような幼虫だった!
ポケットの中に突然湧いたウジ虫(?)に身の毛がよだった。いったいなんで!? どうしてこんなものが!?
ポケットに入れていたドングリに穴が開いていることに気づき、ドングリからでてきた虫だということは想像できたが……それで嫌悪感が払拭されるものでもない。
帰宅後ドングリをしまっておいた引き出しをあけてみると、はたして穴のあいたドングリがある!
ドングリをかき分けると、引き出しの底にはいくつもの干涸びたウジ虫(?)のミイラが見つかった。

宝物をしまっておいた大事な引き出しに、薄気味悪いウジ虫(?)が湧いたこと。そして宝物として集めた──「完品」だったはずの、よりすぐりドングリが傷物になってしまったことに大きなショックを受けた。
夢中になって集めた大事な宝物が急に色あせ、おぞましいモノに変貌してしまったのだ……。

虫のミイラはもとより、その発生源となったドングリもすべて捨てた。
しかし、無傷を確かめて集めたはずのドングリの中にどうやって虫が入ったのか……当時は見当もつかず、「おぞましく怪しげな謎の虫」として心に残った。

この「おぞましく怪しげな謎の虫」の正体が判明したのは、それから30年以上経ってからのことだった。今はなきニフティの昆虫フォーラムで、ドングリからでてきた虫がシギゾウムシ(の仲間)の幼虫であることを知った。ドングリの内部を食って成長した幼虫がドングリの殻を食い破って外へ出、土に潜って越冬後サナギになるのだとか。成虫は虫見でも馴染みの顔で、どことなくユーモラスでおもしろい姿をしている。




(※この個体↑はオス/メスはもっと口吻が長い)
コナラシギゾウムシの場合、産卵はドングリがまだ若いうちに行なわれるため、産卵痕はドングリの成長とともに塞がれるのだとか。僕が子どもの頃に無傷だと思って拾ったドングリにもすでに虫は入っていたのだ。
ちなみに、ハイイロチョッキリもドングリに産卵する。こちらはベレー帽(殻斗)の部分に孔をあけて産卵し、その痕を塞ぐそうだ(産卵痕は残る)。
「そういうわけだったのか……」とわかってみれば合点がいく。謎が解け、正体がユーモラスな虫の幼虫だと判ってしまえば何のことはない。30年越しで「おぞましさ」は解消したのだった。

ふり返ってみれば、ドングリに湧いた幼虫への嫌悪は「未知なるものへの不気味さ」に由来するところが大きかった。何者なのか、なぜ・どこから湧いたのか──素性が判らぬことで不安が拡大したようにも思える。
昆虫や爬虫類は好きな人も多いが嫌悪を示す人も多い。生き物に対する理解の差が好き嫌いを分けるケースも多いのではないだろうか。正体が判らなければ理解不能な異形だが、知識を持ってながめれば、その形態や生態もむしろ興味の対象となりうる。

《語源》と《誤源》/どんぐり Don't cry.

ところで、「ドングリ」の語源について、僕は「鈍栗」だと思い込んでいた。「どんくさい栗」で「鈍栗」……あるいは「栗」に比べれば価値が低いということで「駄栗」(「駄」=価値の低いもの)が訛ったものかも知れない……漠然とそんなイメージでとらえていた。
しかし【どんぐり】は漢字で記すと「鈍栗」ではなく「団栗」──これは当て字だそうだが、どうせ当て字なら「鈍栗」の方がよかったのに……と思うのは僕だけであろうか?
由来について検索してみると、コマの古名「ツムグリ」(「ツム」は「回転する」/「クリ」は「石」の意味とか)が転じたものとか、朝鮮語の「トングル」(「円い」の意味)、日本語の「トグロ」(「円い輪」の意味)などが語源だという説があるらしい。
諸説あるようだが……語源については何が本当なのかわからない。が……一般的に「どんぐり」という言葉で思い浮かぶのは「鈍栗」「駄栗」のイメージではないだろうか? 言葉の響きから、そんなイメージで広がっているのではないかと想像する。「ツムグリ」「トングル」「トグロ」なんて言葉思い浮かべる人はむしろ少ないのではないか。

由緒正しい本来の《語源》と《広まった解釈》は同じとは限らない──いってみれば《語源》ならぬ《誤源》で浸透している言葉だってきっと多いに違いない。
昆虫の【アメンボ】なども《語源》は「飴の坊(飴ん坊)」だという。アメンボが臭腺から発するニオイが飴に似ていることからこう呼ばれることになったらしいが……アメンボのニオイなど嗅いだことがない人が大多数だろう。
僕はこの虫が水面に広げる波紋をみで「雨が降り始めたのか?」と思うことがしばしばあって、てっきり「雨ん坊」が語源だろうと思っていた。同じように感じた人もきっと多いはず──少なくともアメンボのニオイを知っている人よりは、だんぜん多いと思う。

さらに余談だが、今は死後となった「話がピーマン」「頭がピーマン」というセリフ──「中身が無い」という意味で一時期よく使われていた流行語だったが、この「ピーマン」は「野菜のピーマン(中身がカラッポ)」に由来すると当時よく解説されていて、その解釈で世間に広まったことは間違いない。だが真相は、僕は友人のあだ名「プチコンマン→Pマン」が語源だったのではないかと僕は考えている(※【昔流行った「ピーマン」語源/震源地は僕ら?】)。

などと、話は迷走するが……それでは「どんぐり」の語源(誤源?)として、こんなのはどうだろう?
「どんぐり→Don't cry.説」……こうなると、もうダジャレ?

ところで、「どんぐり」という言葉は、広義の童謡『どんぐりころころ』で浸透し、このイメージで親しまれてきた部分も大きいような気がする。短い作品だしパブリックドメインということで、その全編を紹介してみると──、

『どんぐりころころ』作詞・青木存義/作曲・梁田貞

  どんぐりころころ ドンブリコ
  お池にはまって さあ大変
  どじょうが出て来て 今日は
  坊ちゃん一緒に 遊びましょう

  どんぐりころころ よろこんで
  しばらく一緒に 遊んだが
  やっぱりお山が 恋しいと
  泣いてはどじょうを 困らせた


『どんぐりころころ』の結末は「泣いてはどじょうを 困らせた」──それで、「どんぐり…Don't cry.」
つまり、作詞者は「どんぐり」の語源「Don't cry」説をふまえた上でこの作品を書いたのである──というのは、もちろんジョークである。


ダンゴムシやシギゾウムシのことも取り上げたので、書庫(カテゴリー)を【昆虫など】にすべきかどうか迷ったが、《ダンゴムシは悲しんだ~Don't cry.》という、とりとめもないどんぐり雑感なので【エッセイ・雑記】に入れておくことにした。

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コメント

No title
ボトルシップ状態のダンゴ虫面白いです。
ドングリは私も完品状態を持ち帰ったのに虫が出て来て驚いたことが有りました。
ブログ記事にもしましたがシギゾウムシを捕まえ餌用にと若いドングリを入れ翌日撮影していたら穴を開け産卵を始め一部始終を見る事が出来ました。
No title
ドングリの穴の中にダンゴムシの体の一部が見えたときは驚きました。体の一部しか見えなかったので成虫サイズを想像して山椒魚を連想してしまったしだいです。

市川さんのシギゾウムシの産卵記録、拝見しました。とても興味深かったです。
シギゾウムシが産卵するシーンは映像で見たことがありますが、それ以来、あの頭がボールペン筆先のボールに見えてしかたがありません。
No title
ダンゴムシは出られて喜んでいると思います。^^
こびとづかんを見て笑ってしまいました。
No title
今回は、どんぐりネタをとりとめもなく記してみました。
ダンゴムシ入りのドングリは、カメラを向けなければ気づかなかったろうと思います。
どんなところに「発見」が転がっているかわかりませんね。
見過ごされがちな「発見」に気づくとテンションがあがるというのは、子どもの頃のドングリ拾いに似てる気がします。
No title
こんばんは。
・・・ドングリに開いた穴の大きさとダンゴムシの大きさの関係にお気付きに成るなんて・・・素晴らしいですね~!!!☆
(そう言った事への発見、疑問、感性)が素敵で、素晴らしいといつも感じさせられてます・・・。
・・・私も、子供の頃(今は違う意味で)ドングリ大好き!集めるの大好き少女でした・・・。
極力、緑色の新品感あふれるものを拾って帰るのに・・・後に、茶色に変身してる姿にガッカリさせられたりもしましたっけ・・・!
・・・(笑)シギゾウムシの幼虫の記憶もあります・・・
目撃した瞬間、体が固まりましたよ・・・(その頃は、流石に飼育してみようとは思わなかったです~・・・)☆
No title
ドングリの時期になると拾っている子をよく見かけますが、拾わずにはいられない時期がありますよね(笑)。
こっそりさんも、シギゾウムシ幼虫を経験されてましたか(笑)。ドングリを拾う子が多いのだから、アレを体験している子も多いハズ。やっぱり衝撃的ですよね。
きっと同じ経験をした人も少なくあるまいと思って、子ども時代のエピソードも記しておくことにしました。
No title
面白く読ませていただきました。
ところでこのドングリはコナラですよね?
『どんぐりころころ』のドングリもコナラなのか?・・・なんてくだらないことを考えてしまいました。
お山からころころ転がってお池にはまった・・・比較的丸いクヌギっぽい感じがしまします。
どうでもいいことですが、そんなことを考えるのも面白いですよね。
No title
画像の細長いドングリはコナラだと思うのですが(途中に出てくる丸いのはクヌギ)、ちょっと自信はありません。

『どんぐりころころ』のドングリは、どのドングリがモデルなんでしょうね。僕のイメージの中ではコナラだったのですが……こちらで最も多く見られるのがコナラだからかもしれません。

でも、考えてみたらクヌギの方が斜面を転がりやすいすもしれませんね。コナラだと側方にしか転がりにくそうだから、斜面では大きな弧を描いて止まりそうな気もしてきました。より遠くまで転がるならクヌギが有利──みたいに、ドングも形状によって、それぞれ利点があるのかもしれませんね。
No title
真実は不明だとしても、元気なダンゴ虫の姿を確認して、一安心ですね。
ナイスです。
No title
もっとでかいダンゴムシが出てくるものと思っていたのですが……。
でも、あけてみなければずっと気になっていたでしょうから、とりあえず一安心しました(笑)。
複数出てきたのは予想していなかったので、ちょっと「!」でした。
No title
白いイモムシにまつわる幼少期のトラウマ、星谷さんもあるんですね。
それにしても、ものすごくたくさんの幼虫が
うじゃうじゃと出てきた記憶があるのですが
シギゾウムシってあんなにたくさんは見かけませんよね?
やっぱり幼虫の時点で食べられたり死んでしまうことが多いのでしょうか。

シギゾウムシの口吻て、蛹の中でどうなってるんでしょうね。。。
No title
noriさんも同じような経験が……。このドングリ・トラウマを幼少期に体験した人はきっと少なくないでしょうね。ドングリをあるていど拾ったことがある子なら、ほぼもれなく体験していそう……。
おそるべしっ! シギゾウムシ!(&ハイイロチョッキリ!)

落ちているドングリの何割かは幼虫入りだと思いますが、それほど多くの成虫がいる実感は確かにないですね……何割くらいが成虫になれるんでしょうかね?

逆にウラギンシジミなどは成虫はよく見かけるのに、幼虫がなかなか見つけられません……。成虫より幼虫の方が多いはずなので探し方が悪いのでしょうが……。であったら、また「線香花火*」をみてみたいのですが……いるはずの虫でもなかなか出会えないものですね。
http://blogs.yahoo.co.jp/ho4ta214/31368378.html

シギゾウムシの蛹がどんななのかもちょっと気になりますね。ドングリの中からでてきたのがシギゾウムシの仲間と知った時、ドングリを拾って、そのあたりも含めて確かめてみたいと思ったことがありましたが……まだ試した事はありません。
No title
おはようございます、私もドングリよく拾っていました、でも残念ながら(笑)ウジムシの経験はありません。
ただ、子ども時代ではなく、昨年、衝撃的なウジムシ経験をしました。
大好きなマンゴをバケツ2杯くらい頂き、食べきれず、置いていたら、傷みはじめたので、仕分けをしようとしたら、何やら見知らぬクリーム色の細長い物体が底の方から這いあがってきました。
「ウヒヤーーーーー!」
インドネシア産のマンゴが日本への輸出が許可されないのは”イエバエ(果実蠅)”のせいだということは知っていましたが、それを証明してくれたできごとでした。
No title
こちらの記事をきっかけに、今朝ちょっとネットで調べてみたら、『ミバエ(果実蠅)は翅に美しい斑紋のある種が多く、生きているときの複眼は緑色または青色に輝き美しい』とありました。確かに露店のマンゴにたかっている小さめのハエはそんな感じです。

ウジムシ≒無農薬と思えば、喜びの使者でもありますが。。。
あーいう姿形に好んで生まれたわけではないのに、成虫の瞳は美しい青色に輝き。。。なのに

とはいえ。。。今朝もしっかりマンゴを美味しくいただきました!笑)
誰でも好きなものにはしぶとく、多少の困難(?)も乗り越えられるのでしょうね。
No title
りんさんは、幸か不幸か(?)「ドングリから幼虫」は体験していませんでしたか。
しかし「マンゴからウジムシ」もなかなか強烈ですね。食べるつもりでいたものから出てきたとなると、また違ったインパクトがありそうな。
そういえば僕も子どもの頃に桃を齧ったたら、その痕から幼虫がのぞき、一気に食欲が吹き飛んだ経験があります。

ミバエの仲間にはキレイなのがいますね。ハエは基本的には撮らないのですが、キレイなミバエに出会うとカメラを向けてしまいます。

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