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オスがメスの触角を噛むヨツボシヒラタシデムシの交尾

ヨツボシヒラタシデムシ



画像右は撮影中プチ飛翔した後で、また下翅がのぞいている状態。

先日、ふとある着想(*)にとらわれ、ヒラタシデムシ亜科の《オスがメスの触角を噛んで交尾する》ようすを確かめてみたくなった。
この仲間ではオオヒラタシデムシが最もよく見かける種類なのだが今年は単体でいるのを1度みたきりで、まだ「飽きるほど見られる時期」ではないらしい。ヨツボシヒラタシデムシは4月下旬頃から何度か見かけるようになっていたので、うまくすれば問題の交尾のシーンが確かめられるかもしれない……そんな期待を抱いてペアを探してみた。
シデムシは「死出虫」の名の通り動物の死骸に集まるもの(死肉食)が多い(死骸を埋めてしまう種類もおり「埋葬虫」とも記される)。
食しているモノがモノだけにエンガチョ感があって、一般民間人の僕は、糞虫とシデムシには触れないようにしていたのだが……ヨツボシヒラタシデムシは蛾の幼虫などを補食すると知り、じっさいその補食シーンを目にして「エンガチョ感」は解除された(で、大きさがわかるように指にとまらせて撮ってみたしだい)。


今年みかけたヨツボシヒラタシデムシは、いずれも擬木の上にいた。この時期、木から落ちた蛾の幼虫が食植物と間違えて擬木を登り、葉のある「上」を目指すが行き止って遭難している姿をよく目にするが、こうした遭難幼虫を擬木上で待ち受けて食っているようだ。
警戒するとカメのように頭をひっこめるのがおもしろい。先端にボリュームのあるユニークな触角もかくしてしまう。








ヨツボシヒラタシデムシの交尾

なんとかペアをみつけて《触角を噛んでいるところ》を確認したいところだが……単体はみつかるもののペアがなかなか見つからない……。
この日も擬木の上で蛾の幼虫を食っていたヨツボシヒラタシデムシを見つけたが単体だったため、ちょっとガッカリ。気をとり直して歩き出すと20~30m先の擬木の上に2匹目のヨツボシヒラタシデムシがいた。1匹目に比べ翅鞘からのぞく腹端が長かったのでこれが♂ではないかと思った。もしこれが♂で、つい今しがたスルーしたのが♀だったとすると、一緒にしたら交尾行動が観察できるのではないか……自信は無かったが、とりあえず試してみる事に。
2匹目をプチ容器に入れて1匹目のそばに放してみた(プチ容器内にほこりがあったのか、移動した個体の背中が汚れていることに後で気づいた……)。
期待を込めて注目するが……1匹目(この後に♀と判明)は食餌を続け、2匹目(この後に♂と判明)は警戒して頭を隠しカメの子状態……2匹は互いに無反応。




そう都合良くはいかないか……と半ばあきらめつつしばし眺めていると、1匹目(♀)が食餌を終え、触角を繕い始めた頃、2匹目(♂)が突然相手の存在に気づいたようで、あっという間にその背中飛び乗った。すぐさまその様子を撮影。1匹目(♀)は激しく体を揺すって2匹目(♂)を振り落とそうとするが離れない。




事前のイメージでは、まず♂が♀の触角をつかみ(くわえ)、抗う♀との距離を固定した上で、これを支点に体を重ねるのだろうと想像していたのだが、♂は意外にあっさり♀の背後をとった。肉眼ではどの時点で♀の触角をくわえたのか判らなかったが、撮影した画像を見ると♂は♀の背に乗った時点ですでに触角を噛んでいる。
背に乗ってから触角をつかんだのか、触角をつかんでから背に乗ったのか──どちらが先かは確認できなかったが、早い時期に(交尾が行なわれる前に)♂は♀の触角を噛んでいた。


♂が♀の背に乗って触角をキープした状態から交尾に至るまでは少し時間がかかった。この間断続的に♀は♂を振り落とそうと体を揺すって抵抗するが♂は♀の触角噛んだまま6本の脚でしがみついて離れない。


♀の触角を確保することが交尾の前段階プロセスのようだ。


触角を引かれた♀がヘッドアップした頃に交尾体勢が完成したようだった。
♂の触角が後方に寝たのをみてニホントビナナフシの交尾を思い出した。あのときもふだん前を向いている♂の触角が後方に倒れているシーンがあった。
じつはここでデジカメの電池切れ。とりあえず交尾が成立するまでを見届け、確認したかったヒラタシデムシ亜科の《オスがメスの触角を噛んで交尾する》状況も観察できたことに満足してその場を離れた。
交尾後も♂は♀をガードし続けるのか、激しく引っ張られていた♀の触角が切れてしまうようなことが起こるのか──その後の興味も無いではなかったが……。
ということで、翌日ふたたび現場をおとずれてみた。






♂も♀も離れてはいたものの同じ擬木にいた。ヒラタシデムシの仲間では触角が噛み切られることがあるそうだが、今回交尾を確認した♀の触角は(現時点では?)無事だった。


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コメント

No title
こんにちは。
・・・興味があるにも関わらず、シデムシ・オサムシ・フンチュウの仲間になかなか出会えず・・・今年は、トラップでも作ってみようかな!・・・と思っておりました・・・
・・・「ヨツボシヒラタシデムシ」の生態・交尾シーンをじっくり拝見させて頂き・・・思わず、うなってる状態です・・・感動!(泣)
(・・・ですが、こういったシーンを観ながら様々なセリフを妄想するのも私の癖でして・・・)
・・・♀「お止め下さいませ・・・」♂「まあ!ようではないか・・よいではないか・・・」 (一応、これでも女性です・・・)

何故に触角を加えて!?皆がそうするのか!?常にそうするのか!?
・・・虫にとりまして、重要機能の触角を咥えて(捕らえて)♀の動きを鈍くさせようとでもしたのでしょうか!?・・・
不思議で興味深いシーンの連続に堪能させられ、感動さえ覚えました!!!☆
No title
交尾の際に♂が♀の触角を噛むのはヒラタシデムシの仲間では普通なようで、中には触角を切断した♀では♂が交尾できなくなる種類もあるとか。
交尾の様子を見ると、触角を引く力がと交尾器を挿入す力が関連しているようにも思えるのですが……。
それにしても触角をつかんで……というのが意外でした。反則に近い?けれど有効なワザだったりして?

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