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オカモトトゲエダシャクはなぜ翅をたたむのか

メカニカルな変形翼をもつ早春の蛾



今年も見かけるようになった早春の蛾【オカモトトゲエダシャク】。フユシャクの♀も翅が退化した姿がユニークだが、オカモトトゲエダシャクもなかなかユニークな姿をしている。出現時期がフユシャクとも一部重なっているオカモトトゲエダシャクだがフユシャクでない。フユシャクと違ってオスもメスも同様の翅を持っているのだが、この翅がなんともユニークで、止まる時には扇子のようにたたまれるのだ。




1年前にもオカモトトゲエダシャクの「変形翅」について思うところを記している(*)。「風の抵抗を少なくするため」という可能性についても考えてみたものの、当時は否定的だった。
表面積は減らしているものの、この前翅の保持角度では風は受けるだろう。風の抵抗を受けないようにするのなら、同じ時期に出ているフユシャクの♂のように樹皮に翅をはりつけるように密着させて止まった方が効果的なのではないかと考えたからだ。
しかしその後、樹皮や擬木に張り付いたフユシャク♂が強風で翅をあおられる様子を何度か目にし、樹皮にはりついていても強風で翅はたやすくめくれてしまうことを知った。
同じ時期に見られるシロトゲエダシャク♂の場合↓。


また、風雨で翅がボロボロになったのではないかと思われる(?)蛾もときどき目にしているが、昆虫──特に甲虫類のように飛ぶための翅を収納できない蛾にとって「強風」は意外に脅威なのかもしれない。
上画像のオカモトトゲエダシャクを見たのも風の強い日だった。モフモフの毛をなびかせながら、オカモトトゲエダシャクは安定して止まっていた。ふつうの蛾であったなら翅がパタパタなびいて体勢の保持にも労力を要すのではないかと想像した。
そんなわけで、強風が吹くことがままある早春に出現するにあたって、風にあおられ大事な翅をいためることがないように、あるいは風に飛ばされないように──嵐に遭遇した帆船が帆をたたむように、オカモトトゲエダシャクも翅をたたんで風の抵抗を軽減しているのではないか──と改めて「風の抵抗を少なくするため、翅をたたんで表面積を小さくしている」説(?)の可能性を考え始めている(素人の想像)。




オカモトトゲエダシャク♂と♀の触角



オカモトトゲエダシャク♂の触角はクシ状でボリューム感がある。この個体を裸眼で見ていた時はクシ状の触角が見えなかったので♀かと思っていた。ところが……。




これに対し、オカモトトゲエダシャク♀の触角は、こんな↓。








※【追記】投稿時は今季撮ったオカモトトゲエダシャク♀の画像が無かったので去年(2013年)に撮影した♀画像を使ったが、その後♀・♀と卵が撮れたのでその画像を《追記》した。
以下のオカモトトゲエダシャク♀と卵は去年(2013年)撮影した画像。


そのオカモトトゲエダシャク♀と卵↓。




シロトゲエダシャク♀

今回、翅が片方ずれて開いたシロトゲエダシャク♂の画像をアップしたので、ついでに、その♂とは全然似ていない♀の画像も↓。








ヒロバフユエダシャク♀

フユシャクついでに、最近見かけたヒロバフユエダシャク♀↓。






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コメント

No title
おはようございます。こんなにも鮮明に…。拡大なので細部まではっきりと理解できます。楽しく美しい世界の紹介をありがとうございます。
No title
新しいデジカメ(OLYMPUS STYLUS TG-2 Tough)はずいぶん大きく撮れるのでビックリしています。露出を補正すると色あいが変わってしまうようなのですが……前のデジカメではうまく撮れなかった小さな虫も撮る事ができそうです。
No title
こうみると、ホントかっこいいですね。
No title
ユニークにしてカッコ良いですよね。
なんで、こんなスタイルなんだろう……と想像力を刺激してくれる蛾でした。
こんな虫の姿の陰に「生命」の不思議さが隠れているような……そんな感じがしないでもありません。
No title
かっちょいい蛾ですね~。
こういうT字?ぽい蛾って、翅がたたまれてるのですね。
翅自体が細いのかと思っていましたが、そんなわけないですね…。
♂のほうが赤と白のコントラストがはっきりしてよりかっこいいですが
性差ではなく個体の新鮮度合によるものでしょうか?
No title
十字架みたいで面白いですね。
静止する時何故羽を畳む必要が有るのか不思議に思っていました。
今日灯火に来たオスを撮って見ました。
No title
こんばんは。
・・・私は、未だこのオカモトトゲエダシャクに出会った事がありません(出会った事のない虫が多くて・・・)
ですが、以前から図鑑を観るたびに、カッコイイ!是非出会ってみたいと願ってた蛾の一種です!!
・・・お写真を拝見させて頂きましても、フォルムがカッコよくて、何より閉じた翅に興味がそそられますね・・・
ランボルギーニのドアの様な翅・・・その翅の形は何を意味してるのでしょう???その不思議が、又カッコイイです!!!☆
No title
>>noriさん

T字の蛾というと、トリバガが思い浮かびますが、あれとはまた違う印象なんですよね。
トリバガは枯れた草のかけら?っぽく見えるけど、オカモトトゲエダシャクはけっこうボリュームがあって目立つような……これで枯れ枝なんかについていたら意外に目立たないのだろうか?

♀の画像は1年前に撮ったもので(前のカメラ)、撮った個体もちょっとくたびれていたかも。新しいデジカメのスーパーマーマクロモードを使うと(特に露出補正して撮ると)ちょっと赤みが強くなる感じなので、♂が鮮やかに見えるのはそのせいかもしれません。
No title
>>市川さん

この止まり方、やっぱり気になりますよね。♂は灯火に集まるそうですが、♀は飛翔力が弱いか無いのではないかという疑問を持ち始めています。去年撮った♀は数日間同じ場所にいました。当時は卵を守っているのだろうか──などとも考えましたたが、灯火に集まるのは♂ばかりという記述をどこかで読んで、♀が来ないのは飛翔力が弱いまたは無いからではないかと思い至ったしだいです。
トビモンオオエダシャクでも数日同じ場所にいて卵を産み続けているのを見ているので、母蛾が同じ場所に居続ける事はありがちなのかも知れませんが……。
No title
>>今日も、こっそり自然観察!さん

僕もまだ出会った事がない虫が多いです。
予想もしていなかった虫をみつけたときの驚きも楽しいですが、「見てみたい」と思い続けていた虫に出会った時の感動もひとしおですね。
オカモトトゲエダシャクは早春の蛾ですから、今が出会えるチャンスかもしれませんね。
No title
今季もオカモトトゲエダシャクの♀が撮れたので、その画像を追記しました。

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