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ホソオチョウ@狭山丘陵東京側

ホソオチョウ/狭山丘陵東京都側でも確認






【ホソオチョウ】は、アゲハチョウ科の中でも古い系統のものらしい(ギフチョウなどと同じウスバアゲハ亜科)。原産地は東アジア一帯だそうだが、本来日本には生息していなかった外来種の蝶。
そのホソオチョウが狭山丘陵の東京都側で発生していた。
狭山丘陵の緑地と接する市街地の歩道を歩いていたときのこと、すぐわきの草むらでホソオチョウ♂が数匹舞っているのが目に入ったのでビックリ。このチョウが、そこから湖(貯水池)を2つ挟んだ反対側──狭山丘陵の埼玉県側某所で発生しているのは2009年に確認していた。しかし、このチョウの発生地は局所的だというイメージがあった。
アカボシゴマダラ(*1)やホソオチョウは比較的最近狭山丘陵でも目にするようになった外来種(両種とも要注意外来生物)だが、アカボシゴマダラが森から市街地まであっという間に広範囲で普通に見られるようになったのに対し、ホソオチョウの方は初めて見た場所以外では見た事がなかったから局所的に細々と(?)発生しているものだとばかり思っていた。
それが東京都側で視界にとびこんできたので、予想外に感じたわけである。

今回見つけた発生地はジャコウアゲハの発生場所でもあり、食草のウマノスズクサが生えていることは知っていた(ジャコウアゲハもホソオチョウも幼虫はウマノスズクサを食う)。ちょくちょく通る場所なのに、ここでホソオチョウを見たのは初めてだった。

ということで、証拠画像をおさえるべく、歩道わきの斜面にできた草むらに降りてニガテなチョウの撮影に挑んでみた(その結果が前の画像)。
以前、埼玉県側で見た時と同じように、舞っているのは♂ばかり。学校のプールほどの狭いエリアで、視界には絶えず数匹~10匹前後の♂が舞っている感じだった。♂たちは草の上をゆったりと低空で舞う……今にも降りそうに見えるのだが、なかなか止まってくれない。優雅な低空飛行はとまる場所を探しているのではなく、草むらに隠れている(?)♀を探す行動なのだろう。
まずは目移りするほどいる♂から撮影しようと思うのだが……止まってくれないかぎり、僕には撮りようがない。
やっと草にとまっている姿を見つけ、そっと近づくと交尾を始めたペアだった。とりあえず、♂と♀の2ショットをおさえる。




しかし、チョウの画像といえばやはり翅の模様がちゃんとわかるように、翅を開いたところが撮りたい。ということで、♂が降りるのを待つ。その間、ウマノスズクサの葉を食べる幼虫の姿も撮っておく。


そして、ときおり草にとまる♂をねらって、ようやく単独画像もゲット(それが冒頭の画像)。あとは♀の単独カットが欲しいところ……。
注意深く見回し、草の中ほどに止まっている♀をみつけて、そっと近づくもののチョウ撮影に不慣れなせいか、あっけなく逃げられてしまう──♀が飛び立つと、たちまち複数の♂が見つけて追いかけ回す。そしてその場から離れて行ってしまった……。

♀を求めて舞い続ける♂たちだが、ときおり視界の中の数が減ってみえる時があった。休憩に入る♂が増えたためだろう。飛翔♂の数の変化があるのは時間帯に関係しての事か、単に確率的に起こるムラなのか判らないが……ふとクロスジフユエダシャクの♀を探していた時のこと(*2)が思い浮かんだ。

♀を探して乱舞するクロスジフユエダシャク♂たちは、無風状態のときに翅を休めるものが増え、風が吹くと舞い始める。♀のニオイが運ばれてくるとそれに反応して♀探し飛行が始まるのだろう。フユシャクなどの蛾は♀がフェロモンを発して♂を呼ぶものが多いという。
これに対し蝶の場合は♂がフェロモンを発するものが多いらしい──と僕は思っていた。だから、ホソオチョウも♂が♀のニオイ(フェロモン)をたよりに♀探しをするものかどうか……怪しい気もするが、乱舞する♂の行動だけを見ていると、ホソオチョウも(クロスジフユエダシャク同様)「オスがメス探しをしている」ように見える。とするなら、メスを探す手掛かりに嗅覚を使っていてもいいような気がしてきた(真偽のほどは不明)。それとも、♂はフェロモンをまき散らしながら草むらの上をさまようだけで、あくまでメスの側が♂のフェロモンに反応して現れるのを舞っているだけなのだろうか? あるいは、♂は視覚だけをたよりに草むらにひそむ♀を探して飛び続けているのか……。

♀が現れるのを待ちながら、「もしホソオチョウもフユシャクのように♂が♀のニオイを手掛かりに舞っていたのだとしたら、♂が舞っている風上にニオイのもと=♀がいるのではあるまいか?」と考え、♂の密度が高い場所を離れ、風上側を探してみた。
はたして(!?)──偶然かどうかはサダカでないが、風上側から♀が飛んできて、近くの葉の上に降りたので、今度は逃がさないようにと慎重に近づき、♀の単独ショットも撮る事ができたのだった(冒頭から2枚目の画像がそれ)。
あまりきれいなショットではないが、とりあえずホソオチョウの特徴がわかる証拠写真ということで。

ところで、ホソオチョウの名前の由来でもある後翅の細長い尾状突起──これにはどんな意味があるのだろう?
アカシジミやウラナミアカシジミなどでは後翅の尾状突起がダミー触角(そして尾状突起付近の紋がダミーの眼)として、頭部を狙う鳥などの天敵からの攻撃をそらす役割りを果たしていそうな事はわかる(*3)。
しかし、ホソオチョウの尾状突起は、ダミーの触角としては立派すぎる気がする。


草むらの上を飛ぶホソオチョウ♂同士がでくわすと、絡み合うように争って相手を追い立てる。そんなシーンを何度か見たが、もしかすると、このとき尾状突起が立派な方がハッタリがきくのだろうか? 前の記事で紹介したエゴヒゲナガゾウムシ(*4)は♂同士が眼の幅を競うことでその幅が「広がった」のではないかと想像しているのだが……ホソオチョウも♂同士の争いで尾状突起が長い方が優位に立てる【威嚇アイテム】として発達したことで「長くなった」のだろうか……。

ホソオチョウが降りるのを待つ間、ぼんやりあれこれ想像したが……「待って撮る」のはせっかちの僕には珍しいことだった。
ホソオチョウ発生地の近くでは草刈りが進んでいて、この草むらも近いうちに刈られることになるだろう。草刈りが入ったあとだったら、今回撮ったシーンは見られなかったに違いない……そう考えると、草刈りまぎわ(?)に気がついたのはラッキーだったかもしれない。



追記:2009年8月に狭山丘陵埼玉県側で撮影したホソオチョウ














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コメント

No title
おはようございます。何時もご訪問ありがとうございます。

ホソオチョウは初めて拝見させていただきます。
♂はとても綺麗な蝶なのですね^^それに比べて♀はやや美しさは♂には負けていますね。全般的にもそうですね^^

この様な昆虫にはすかさず目に留まり見つけてしまう星谷さんには、相変わらず感心させられます。素晴らしいですね。

本当に、発達した尾状突起にはどんな役割があるのでしょうかね~?

幼虫の姿は、私にはグロテスクに見えます。こんなのがいたらとても触る事は勿論出来ませんけど・・・

蛾もそうですが、幼虫と成虫のギャップが、昆虫好きには興味をそそるのでしょうか?
一度 朝顔に付いていた幼虫を駆除するつもりが 出来ず、無謀とも言える飼育に挑戦したことを思い出しました。
不思議ですね、姿はともあれ やはり自分で飼育すると毎日の成長が楽しみでした。
成虫に生ったら蛾だったのにはチョッピリ残念でしたが、外へ放してあげる時は寂しくてね^^無事に命を全うして欲しいと願っていましたよ。
お話がそれてしまいました^^:
9月になり秋の虫も鳴き始めています^^鈴虫の声でし
No title
ホソオチョウはキレイな蝶ですね。オスとメスでカラーリングが違うのも魅力のような気がします。
美しい蝶なので放蝶してしまう人がいるのか……人為的な移入で定着しつつある?みたいです。
外来生物の問題を考える複雑な心境ですが、ホソオチョウを見ると、やはり純粋に美しいなと感じます。
ちょっとユニークな姿の幼虫がこのチョウになるというのも、不思議で神秘的な感じがしますね。
No title
おぉ~~!!これは初見です。狭山丘陵ですか…
今年はもうチャンスがなさそうですが、行ってみようかなぁ…
凸ヾ
No title
この場所はよく通るのですが、9月後半には姿を見ていません。
埼玉県側では毎年のように発生しているようですが、東京都側でホソオチョウを見たのは今年が初めてでした(何年か前に目撃されたことはあったそうな)。
アカボシゴマダラやツマグロヒョウモンのように定着(?)するのかどうか……今後も注目して行きたいと思います。

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