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イッシキキモンカミキリ/成虫飼育覚書

【イッシキキモンカミキリ】という美しくユニークなデザインのカミキリがいる。生息地域は局所的で、どこでも見られる種類ではないらしい。8年ほど前、知人のカミキリ屋さんの採集に同行させてもらう機会があって、そのとき初めてこのカミキリを見た。
美しい姿を撮りたかったのだが、このカミキリはよく飛ぶので現場での撮影は断念。カミキリ屋さんから貴重な1匹を分けていただき、撮影用に持ち帰ったのだが……飼育してみると百日近く生きていた。以下は、その時のプチ記録。





幼虫はヌルデを食い、成虫は桑の若葉を後食するという。そこで、葉がついたクワの若枝を水の入った容器にさして飼育ケースに入れてみた。


成虫は葉の裏にとまって葉脈を食べ始めたのでこの方式で飼育することにした。コノハムシラミーカミキリのときと同様のスタイル。エサとなるクワの葉はやわらかい若葉を選び、葉がしおれる前に交換。








葉を食べる虫は多い。葉のふちから食べるもの、葉脈の間を食べるものは知っていたが、葉脈を食べるというのは面白と思った(葉を後食するカミキリではふつう)。葉の裏に隠れたまま食事ができるということは天敵の鳥等から見つかりにくいという利点もありそうだ。
食痕(かじった痕)は葉脈部分は変色したりスリット状に穴があくので、こうした食痕のある葉がカミキリ探しでは手がかりになる。

当初は良く飛ぶので餌交換のさいに神経を使っていたが、飼育しているうちに触覚などの動き、活動パターンなどから、飛びそうな状態が察知できるようになり、状況を見て飼育ケースから出して撮影できるようになった。




指の上で触覚の手入れをするイッシキキモンカミキリ。ウサギが耳の手入れをしているような感じにも見える。体の掃除も、動物の毛繕いを思わせる。昆虫もけっこうキレイ好きである。
この頃になると背中の黄色いもようはだいぶかすれてきており(飼育ケース内でもよくとぶので、壁にあたり床に落ちて微毛がとれるようだ)、最初は4つあったドットも2つになっている(肩近くのドットが消失している)。




飼育を始めて3ヶ月余り──11月に入ると桑の葉も枯れてきて、やわらかい葉を調達するのが困難になってきた。11月8日にはまだ葉脈をかじっていたが、11月10日未明に死んでいるのを確認。
桑の若葉さえあれば、あるいはもう少し長く生かしておくことができたのかもしれない。

当初、イッシキキモンカミキリ成虫の発生期間は1ヶ月かそこらだと思っており、また1個体がそれだけ長い間生きてるわけでもないだろうと考えていた。
また採集された成虫を飼育下で生かし続けるのは難しいだろうという先入観もあったのだが……これが意外に長生きし、結局、採集日から98日ほど生きていたことになる。

飼育下でもこれだけ生きられたのだから、成虫の生息環境としては、奥多摩でなくても──狭山丘陵の緑地あたりでも暮らせそうな気がする。成虫のエサとなるクワも多いし、幼虫の餌となるヌルデもある。
どうして発生が局所的なのか、ちょっと不思議な気がする。

余談だが、このイッシキキモンカミキリが採集された同じ日(2005.8.3)、現地(奥多摩)で初めてラミーカミキリを見つけ、これも持ち帰って同じように飼育した(ラミーカミキリに与えた葉はクワではなくカラムシ)。当時は東京ではまたラミーカミキリは珍しかった気がするが、ラミーカミキリは生息域を広げているようで、去年初めて自宅近くでも発生しているのを確認。今年も同じ場所で見る事ができた↓。


広がり続ける昆虫もいれば、局所的にしか発生しない昆虫もいる……なぜなのかわからないが、フシギでおもしろい。


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コメント

No title
おはようございます♪
ルリボシカミキリだと思ったのですが、
ラミーカミキリだったのですね。
教えてくださってありがとうございました。

イッシキカミキリ、初めて見ましたが綺麗ですね。
持ち帰って飼っているとの事ですが、
今思えば、家でも飼えるんですよね。
今度見つけたら、飼って見たいです^^。
ナイス
No title
ラミーカミキリもルリボシカミキリもきれいなカミキリですね。
昆虫の飼育はほとんど経験が無いのですが、この2種類は飼ったことがあります。
ラミーカミキリはカラムシでイッシキキモンカミキリと同じように、ルリボシカミキリは小さくカットしたメロンを与えていました(この方法が良いのかどうかわかりませんが…)。
昆虫もよくみるとおもしろいですね。
No title
カタツムリやサンショウウオやネズミの仲間は置いてみましたが、カミキリもそんなに長生きなんですねェ。蛾の幼虫も置いた事がない・・・
No title
カミキリは羽脱したあとは繁殖活動をして寿命を終える──というイメージで、成虫としての活動期間は短いものだと思っていたので、飼育してみて意外に長生きだったことに驚きました。
No title
こんにちは。
・・・美麗種のイッシキキモンカミキリの飼育観察を興味深く拝見させて頂きました!!!☆

・・・そうか!成程です!・・・
葉に残された食痕の特徴で!カミキリを探し出す方法もありますね!・・・
時間(期間)と共に、ドットが消失!(模様の変化)は面白いですね~・・・(甲虫の模様は、成虫に成った段階のままで死を迎えるものだとばかり想ってました・・・)
なかなか甲虫とは(他にも色々)縁のない私ですが!
今年は、今年こそは!何とか、多種の虫を見付けてみたいものです!できれば、飼育観察も行っていきたいです・・・
No title
> 今日も、こっそり自然観察!さん

イッシキキモンカミキリはなんともオシャレなデザインで感心しました。いまだにこの1匹しか見たことはないのですが、とても印象に残ったカミキリでした。
当初は飼育するつもりはなかったのですが、飼育してみると野外ではなかなかじっくり観察できないような姿を見ることができ、いろいろと発見があったり感じるものがありました。
このときは成虫になってからの飼育だけだったわけですが、昆虫は(も)「飼育してみて初めてわかること」はきっと多いのでしょうね。

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