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フユシャクの口

カリメロ的シロフフユエダシャク

フユシャクは冬に(成虫が)出現するシャクガ科の蛾の総称で、メスは翅が退化してオスとは全く違うユニークな姿をしている。「冬に出現する」といっても、冬の間、ずっと同じ種類がみられるわけではない。見かける種類は時々に移り変わっていく。
最近よく見かけるようになったのがシロフフユエダシャクだ。


先日も手すりに♀をみつけ、カメラを向けたのだが……頭のあたりに異物がついている。植物片かなにかだろうと思って指で取り除こうとしたのだが、なぜかくっついていてとれない。






ということで、この♀がカリメロや鉢かぶり姫(鉢かづき)のようにかぶっていたのは、蛹のときの殻の一部だったようだ。

シロフフユエダシャクの口吻?

帰宅後パソコンでカリメロ的フユシャクの画像をチェックしていて気がついたのだが……よく見ると、ぬけがらには眼・脚・触角らしき形が見てとれる。一部黒くなった部分──右中脚が抜けきらずに殻の中で固まってしまったのだろうか。
そして「あれ?」と思ったのが、両眼がある顔の下にのびた筋状の突起──チョウやガの口吻を思わせる。


フユシャクの多くは口吻が退化し成虫になると餌をとらないとあちこちに記されている。中には「口がない」と断定しているサイトもあるが、(機能しているかどうかはともかく)短いながらもチョウのような口吻を持つフユシャクがいることは知っていた。
では、シロフフユエダシャクも口吻がある種類なのだろうか? それとも、蛹の段階で一度は形成されたのちにアポトーシスで消滅するのだろうか?──そんな疑問が浮かぶ。
「口吻が退化した蛾でも、蛹の時代は口吻の痕跡が残っているものなのだろうか?」と思い、やはり口吻が退化したキアシドクガの蛹(*)を撮っていたことを思い出して開いてみた。


キアシドクガの場合は……口吻を思わせる筋状突起はシロフフユエダシャクほど顕著ではないような気もするが……よくわからない。そもそも問題の筋状突起が本当に口吻なのかどうかも確信が無いのだが……。

蛹の段階の口吻の件は棚に上げておいて、とりあえずフユシャク成虫の口がどうなっているか、以前撮った画像の中に確認できるものがないか探してみた。
ちょっと見にくい画像だが、いちおう「口吻がある」タイプのクロスジフユエダシャク↓。


シロフフユエダシャクは現在みられるので、口吻の有無を確認できるショットを新たに撮ってみようとしたのだが……画像としては今ひとつ↓。


ルーペでものぞいてみたのだが、シロフフユエダシャク♀に口吻らしきものは確認できなかった。完全に消失しているのかどうかまではよくわからなかったが……退化していることだけは間違いなさそうだ。
【追記】死んでいたシロフフユエダシャク♀の画像で、もう少し顔のあたりがわかりやすいものを追加してみた。成虫に口吻らしきものは見あたらない。蛹の《なんちゃって口吻》は何だったのだろう?



フユシャク♀の翅は退化していて飛ぶことができない。しかし、退化の度合いは種類によってずいぶん違う。翅の痕跡がほとんど見えない種類もいれば、蛾とわかる程度の翅を持つ種類もいる。口吻の退化の度合いも種類によって差があるのだろう。

絶食の理由

口吻の退化の記述とともによく紹介されているのが、フユシャク(の多く?)が成虫になってから(冬に)餌をとらないわけについての解釈だ。
「水分が体内に入ると凍ってしまう可能性がある」「凍結の原因となる」というような理由がよくあげられている。
個人的にはちょっと疑問に感じないでもない。もともとある程度の水分は体内に存在しているはずで、その濃度を保つ程度に水分を補給したところで凍りやすくなるとは思えない。体は凍らないのに消化管の中だけ凍結するというのも理解しにくい。
低温環境で餌をとらないのは、消化吸収ができない(しづらい)からだろうと僕は考えている(餌自体も少ない時期だからエネルギーを消費してそれを探すのが非効率という理由もありそうだが)。

ヘビやカメは冬眠に入る前から餌をとらなくなる。消化管の中に未消化の餌が残ったまま冬眠モードに入ると、消化吸収される前に腐敗が進んでやっかいなことになるからだ──というような話を何かで読んだ記憶がある。
消化も化学反応なのだから低温では働きがにぶりがちになるのは想像しやすい。

……などと、シロートなりにあれこれ思ってみるのであった。


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