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コノハムシの誤食

コノハムシの誤食~コノハムシはどうやってエサを認識するのか

コノハムシは葉にそっくりな姿から想像できるように、葉にまぎれて生活している。エサとなるのは木の葉である。
しかし、木の葉なら何でも食うというわけではなく、食草(樹)の確保が飼育の第一条件といえるかもしれない。
ウチではシラカシ・アラカシの枝を水容器にさして与えている。


シラカシやアラカシは常緑樹なので冬でも調達ができるのが良い。クヌギやコナラの葉も食うが水差ししたときの日持ちがあまり良くないのでほとんど利用していない。アカメガシワを食うという話も聞いた事があるがウチでは試した事は無い。グアバの葉で飼育している人も多いようだ。

マテバシイやカナメモチなど他の種類の葉を与えてみたことがあったが、僕が試した限りでは食わなかった。

コノハムシに限らず葉を食う昆虫で食草(樹)=餌となる植物の種類が限定されているものは多い。
栄養的には食草(樹)以外の種類でもOKなものは、いくらでもありそうな気もするのだが……しかし食べない。
飼育する立場からすると「偏食」などせずに幅広く食ってくれた方が管理しやすいし、その方が虫にとっても生活域を広められるのではないか……などと、つい思ってしまいがちだ。

しかし「偏食」が多いのには、きっとそれなりの理由があるのだろう。
植物の中は対虫用に(?)毒を装備した種類もあるので、毒草を食うリスクを避けるために食草(樹)を限定的に設定しておいた方が安全──ということなのだろうか?
あるいは食草が限定的な方が昆虫の密度が高まることで繁殖率も高められる──そんな利点があって「偏食」の方が生存率が高まるということなのかもしれない。

さて、そんなわけでコノハムシにも与えても食べない葉は多い。
ところが、先日コノハムシの餌交換&ケージ掃除をしたとき、床に敷いていたキッチンペーパー片になんと食痕を発見した。
食草(樹)でなければ葉であっても食わないのに、キッチンペーパーを食うとは意外だった。


齧られたキッチンペーパーは枝をさした水容器の下に敷いていたもの。水容器は使っているうちにフタの機密度が落ちて水がもれたり、夏には交換後結露するので、床が濡れないように水容器の下にキッチンペーパーを切ったものをコースターのように敷いていたのだ。

元気なコノハムシは葉についているから床のキッチンペーパーをかじることなど無い。
ただ、脱皮不全や弱った個体は葉から脱落して床付近にとどまりがちになることがある。こうした個体が手近にあったキッチンペーパーを誤食したのだろう。
それにしても、どうしてコノハムシはキッチンペーパーをエサと間違えたのだろう?

かじられた部分をよく見ると、茶色いシミがついており、ここを限定的に食べていた事がわかる。


このシミは餌交換後、水を吸ってぬれているキッチンペーパーの上にコノハムシの糞が落ちたことで、糞からとけだした成分がしみた跡だろう。
コノハムシの糞は葉のニオイがする。グアバを食べさせたコノハムシの糞から「グアバ茶」が作れないかと考えた事があるほどだ(コノハムシ由来のグァバ茶!?)。
ということは、糞からしみだした成分が、キッチンペーパーにエサの葉のニオイをつけ、これによってエサの葉と誤認したコノハムシが誤食したと考えられる。






コノハムシにとって「ニオイ」が食草を認識する手がかりの一つ──ということは言えそうだ。

コノハムシの糞を溶いたものをコノハムシの糞をマテバシイやカナメモチなど、今まで食わなかった葉に塗れば食うかもしれない……などと考えたが、まだ実験はしていない。

ところで、このときの餌交換では1匹が死亡していた。弱っていた個体が死んだのか、キッチンペーパーの誤食が原因で死んだのか、あるいは双方からんでのことなのかは定かではない。

今回の誤食事故(?)から、コノハムシはどうやってエサを認識しているのかなど、あらためて色々なことを考えさせられた。
さて、コノハムシの誤食といえば……こんな例もある。

葉と間違われて齧られるコノハムシ



コノハムシが仲間に齧られるのは、最初は縄張り争い(?)のケンカが原因ではないかと考えていたが、どうもそうではないらしい。
コノハムシは仲間に接触されると大きく腹を振って、これを嫌うアピールをする。接触した側もそれで気づいて離れる事が普通だが、密度が高くなると、けっきょく仲間と近い位置で安定してしまう事も多く、そのまま食事タイム(?)になると手近にある仲間を食い始めるということが起こる。齧られた方はそのときになって暴れるが、相手が離れる前にいくらか食われてしまっている──ということが起こるのである。

食草(樹)でない葉は食べないコノハムシが葉と間違えて仲間を齧るということは、コノハムシの体も食草(樹)と同じニオイがするのかもしれない。鳥などの天敵に対しては色や形の擬態が有効だが、アリ等の相手にはこうしたニオイ次元の化学擬態が有効だろうと想像できる。

トビモンオオエダシャクの幼虫(ネコのような虫!?)は食草に合わせてニオイも化学擬態しているというが、コノハムシもニオイの擬態を身につけているのかもしれない。
カムフラージュをきわめた結果(?)、密度の高い所では仲間に齧られるという、一見ギャグのような事態が発生する。
しかし、よく考えてみると密度の高いところでは「食痕がある葉」が多いため、「食痕のあるコノハムシ」は、これによってカムフラージュの精度をさらに上げているといえなくもない!?

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コメント

No title
羽根を囓られたコノハムシは痛くないのでしょうか?
No title
昆虫に「痛い」という感覚があるのかどうかわかりませんが……食われている事に気づくと、さすがにジタバタしますが、その後は何食わぬ顔(?)をしています。

コノハムシの♀(葉に似ているのはメスでオスは似ていない)は飛ぶことができず、翅はカムフラージュ専用なので、飼育上は少々齧られても特に問題はないようです。
No title
黒子です。私のところは田舎のせいか、余り生態系を熱心に見る気は起きません。畑の害虫とかは別ですが。仲間に誤食された虫ですか。豚の尾囓りとかは聞いたことありましたが。読みでのある記事でした。
No title
冗漫な記事におつき合いいただき、ありがとうございます。

「虫は自然が使わした大使だ」というような事をどなたかが仰っていましたが、小さな虫をみることで、背景にある大きな自然のシステムを感じる事はありますね。

畑の害虫など、人間の生活・利害に直接関わりがあるものは研究も進んでいるのでしょうが、「人にとってはどうでもよい虫」も害虫や益虫同様、自然のシステムの中で進化してきたはずです。
だから「ただの虫」でも注意深く観察すれば「自然の示唆」を読み取ることができるかもしれない──そんな未知なる魅力を昆虫は秘めている気がします。
No title
仲間にかじられたコノハムシ、ちょっとコッケイにも見えますが・・・弱ってお腹がすきすぎたコノハムシは仕方なく匂いの染み付いた身近にあるキッチンペーパーを食べてますます弱っていったりもするんでしょうか?
そうですよね、虫たちがただの虫だとすれば人間もただの人間ですよね(^_^.)
No title
いちおう、床に接するようにエサ(葉)の一部をレイアウトしてエサ交換をしているのですが……キッチンペーパーを食っていたのには驚きました。

現在飼育中の4代目は、去年の3月から5月の間に孵化したグループです。全て成虫になって卵もたくさん産んでいますから、それなりの虫生?をまっとうしたといえるのかも? 徐々に数が減って残り少なくなってきています。
No title
はじめまして。
僕はコノハムシに興味があります。3月にコノハムシを見にマレーシアへ行こうと思っています。具体的にどこへ行けば、コノハムシに会えるのか、教えてください。
お願いします
No title
>>aoinumaさん

マレーシアへ行かれるのですか。
どこへ行けば、コノハムシに会えるのか──残念ながら、僕にはわかりません。
自然のフィールドでコノハムシを見つけるのは、なかなか難しいかも……。
生息場所を知っている人に案内してもらうとか……あるいは飼育している施設を訪ねるのが確実かもしれません。
具体的な情報については僕も持ち合わせていないのですが……マレーシアへ行かれる前に下調べしておいた方が良さそうですね。
No title
先日は、母がコメントしたので、消して僕からお礼コメントします。
あれから、いろいろ調べたら、スラエェシ島でコノハムシが見れそうだということがわかりました。ただ、その話はかなり昔の話なので、今でもその場所が存在しているのかどうかも分からないです。ただ、たぶんスラエェシ島に行けば、見られるかもなあ~と思っています。
No title
星谷さん こんにちは、突然ですが、卵を分けて頂けないでしょうか、もし分けて頂けるなら、一個いくらですか。お盆の間台湾に帰省してきました。ほとんど毎日グアバを食べました。コノハムシがグアバの葉をたべることは知りませんでした。本当にグアバの葉に似ていますね。飼ってみたいです。よろしくお願いいたします。
No title
コノハムシは4代目まで飼育していたのですが、一昨年終了していて(卵もそのとき処分してしまいました)、今は何も飼育していません。ということで…お役に立てずスミマセン……。
No title
星谷さん、返事を有難うございました。凄く残念だと思います。
私は凄く虫が大好きです。面白い虫があったら、教えてください。このホーンページをゆっくり拝見させていただきます。では 王

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