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人はなぜ《霊》を感じるのか

「人はなぜ、お化けや幽霊を信じるのか?」
前日記の「人はなぜ宝くじを買うのか?」と同様にしばらく謎に思ってきたことのひとつである。
いわゆる心霊現象やお化け・幽霊の類い──これも「道理」で考えれば信じる事が難しい。しかし実際はといえば、信じている人が意外に多い。

「道理」では「いない」とわかっていても、いざ独りで寂しい場所に置かれると「出そう」な気配をリアルに感じ、(頭では否定している)幽霊の存在に怯えてしまう──そんな経験をした人は少なくないのではないだろうか。
これは人が比較的新しく獲得した「理性(による否定)」よりも、本能に近い「感情(による肯定)」がより優位に(強く)働くことで、「《霊》が存在する」という認識が生まれる──ということなのだろう。

僕は《霊》を昔から「物理的には存在しない」と考えていたが、あるときから「心理的(主観的)には存在する概念」とも考えるようになった。
ちょっと妙な例えだが《霊》は「重心」のようなものではないかと思う。
人が物理現象をとらえるとき、物体の質量を「重心」という点でイメージすると判りやすいことがある。しかし、実際に「重心」という点が物理的に存在しているわけではない。「重心」は人の脳が円滑な運用(理解・納得)をするために作りあげた便宜的なイメージに過ぎない。
《霊》もまた、物理的な存在ではなく、脳が運用上の都合(?)で生み出したイメージなのではないか。

では、物理的には存在しない《霊》のイメージが、なぜ人の心に生まれるのか?
これには人が獲得してきた社会性と深く関わりがある──と僕はみている。
人は強い社会性を築く事で生存率を高めてきたといっていいだろう。
しかし社会性を築くためには個体同士が同調できるよう「つながっている」必要がある。

ところが個体同士は神経が繋がっているわけではないから、本来ならそれぞれの感情は互いに伝達しない。そこで、自分の心を他者に投影するシステムが発達したのではないか。つまり、自分が感じている他者の心というのは相手の本当の心(神経が繋がっていなければわからない)ではなく、自分の中に作り上げられた相手の心のダミーイメージだということである。こうした「心の投影システム」によって人は他者の《気持ち》をおもんぱかる事ができるようになったのではないか。
人は自己の内部にダミーイメージを作り、それを他者の心として認識する投影システムを発達させる事で、(みせかけ上の)「共感」を得、個体同士の「つながり」を強化・シンクロ化できるようになったのだと僕は想像している。
他者の存在として感じる気配は、実は自己の心の一部(の投影)だということである。

例えば子どもは作り物の人形にあたかも魂があるかの様にふるまう。これは「心の投影システム」によって人形にも「心」があると認識(誤認)・実感するためだろう。
この「人にとって必要な」投影システムの誤作動・過剰反応が、本来そこに存在しない「心」を認識(誤認)させる──これが《霊》の正体だと僕は考えるようになった。

余談だが「ダンゴムシにも心がある」と考えそれを研究している人もいる(※)。『ダンゴムシにも心はあるのか』の著者は、著書の中で「ダンゴムシの心」どころか「石の心」についても触れている。
人が感じる「心」の気配は、無機物にも投影され得る──ということなのだろう。そう思えないでも無い。

人が生存率を高め繁栄する基盤となった社会性──それを構築する上で必要だった心理システム──これが一見「道理」では説明がつかない《霊》を認識(誤認)させるのだろうと考えるに至ったわけである。

《霊》の認識やその意味については他にも色々な要素・パターンが絡んでいそうだが、いずれも、この「ダミー投影システム(?)」が根っこにあってのことだろうと考えている。
心霊現象を積極的に(?)信じている人は、世の中の理不尽な出来事、説明がつかない現象を、こうしたツール(?)を使う事で解釈できる(納得できる)心理構造ができあがっているのではないかと思う。「心が納得するための便宜的なイメージ」という部分では、ちょっと共通する感じがしないでもない。


※【ダンゴムシの心?】
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-144.html

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コメント

No title
はじめまして!
先日は、ハリネズミちゃんの記事にコメントを有難うございました。
(o⌒∀⌒o)とっても嬉しかったです。

さて、ワタシもダンゴムシにも心があると思う人です。
霊の存在もあるんじゃないかー?なんてことも・・
そして、それは自己投影のなせること、ってのも理解できます。
でも、世の中は、答えが出ないことがあるから面白いと思う人です。

これからも、うかがいたいのでお気に入り登録させてくださいね。
No title
chieさん、コメントありがとうございます。
昆虫や小動物には興味があるので、あちこちのぞいて歩いています。

「心」は興味深くて奥が深いテーマですね。
僕も「世の中には答が用意されていないことが多い」と考えています。
不思議に感じたり疑問に思ったりした事について自分なりにあれこれ考えることも好きなので、ときどきこんな記事も綴っていこうかと。

テーマに統一感の無いブログですが、よろしくお願いいたします。
No title
ここの投稿だけではわからなかったのですが、ダンゴムシの投稿のページも読んで、唯心論的な心の認識なのかな、とも思いました。難しい問題ですが、おもしろいですね。
No title
> 佛生山孝恩寺さん

「唯心論」がどういうものなのか知らないので、それに近いのかどうか判りませんが……「一見不合理に見えるヒトの行動心理について論理的に説明できる解釈」が真理に近いのだろうというのが僕の考え方です。
「霊」を物理的に証明するのは難しい──なのにそれを感じるヒトの心は、どういうシステムで動いているのだろう?──ということを考え、こうした解釈に至ったしだいです。

ダンゴムシの心に関する本については、「心」の本質を外した的外れの研究だと感じています。

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