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幻と消えた大発明/永久機関の夢

子どものとき、モーターで動くオモチャは好きではなかった。
モーターは電気をくう。電池が切れれば動かなくなってしまう……動かなければ壊れたも同然。動かし続けるためには(子どもにとっては)高価な電池を買い続けなければならない。それは面倒だ。
その点ゼンマイは、巻きさえすればまた動く──タダで動くのが良い。
電池切れの心配なく遊べるオモチャの方が安心感があった。

そんな僕が小学校の終わり頃に考えたからくりがあった。小学生の工作能力の限界から実際に作り上げるには、さらなる工夫(いかにして作るか)が必要だったが、図面上では完成していた。てこやりんじくを応用し永久に動きづける装置だった。
「電気を使わないモーター」である。
電気だけではない──いっさいの燃料を使わずに回り続ける。
子供心に、これはすごいものを思いついたと興奮し、特許を取得しようと考えて発明に関する本を買った記憶がある。
(当時は『アイデア買います』という発明投稿番組があり、これをよく見ていたので「特許」なるものがあることは知っていた)

ところが、僕が考えた「電気を使わないモーター」──これが【永久機関】と呼ばれるもので、過去の学者がすでに考え出していたことを、当時の雑誌(『6年のかがく』だったか?)で知り愕然となる。

その雑誌をめくっていて永久機関のイラストが目に飛び込んできたときの衝撃は忘れない。僕が考えたものと同じ!──何が描かれているかは本文を読む前に判った。一瞬「僕の発明が、どうして雑誌に載っているのか!?」と混乱した。
ちなみに、紹介されていた永久機関は円盤の中に仕切られた小部屋がいくつもあり、それぞれの小部屋の中に重りの金属球が配置されたものだった。小部屋の中の金属球が低い方へ移動する事によって円盤のバランスがくずれ円盤が回転し続けるしくみである。
僕が考案したものと違う点と言えば円盤内の小部屋の数と「重り」の素材だけで、原理としては雑誌に紹介されていた【永久機関】と全く同じものだった。
僕が設計したものは材料費をかけずに作るため「小部屋の中で低い方へ移動する重り」に金属球ではなく、水を使う予定だった。

【永久機関】のイラストに動揺しながら、あわてて記事を読み、僕の発明(と思っていたもの)が、すでに他者によって考案されていた事を知り、まず大きな衝撃を受けたわけだが……読み進むうちに第二の衝撃が走る──。
「【永久機関】は実現しない」と書かれていたからだ。
実は僕はこの円盤タイプの他に、やはり、てことりんじく、てこと浮力・ポンプを組み合わせたものなど、計3タイプの「電気を使わないモーター」を考えていたのだが……それらも完全否定されたのだ。

当時はエネルギーの概念などなかったから「電気を使わないモーター」がなぜ動かないのか、にわかに納得できなかった(理解したのは中学に上がってからだった)。
人生最初の大きな挫折は、これだったのではないか──というくらいへこんだかもしれない(笑)。

その頃には、他にも色々なオモチャや装置を考えたりしていたが、やはりどれもモーターを使わないものばかりだった。実際に作ってみることはまれだったが、実現するより考えることの方が好きだったのだろう。

例えば踏んだ圧力で開く自動ドア──なんていうのも考えたことがある。
ドアの前に立つと、体重でプレートがわずかに沈み、それに連動するしくみでドアが開く──というもの。ドアから離れると、沈んでいたプレートがバネで持ち上がり連動してドアも閉まる──というしかけである。
自動ドアを見て電気嫌いの僕なら──と電気を使わない方式を考えて思い付いたものだが、今考えてみてもけっこうエコなシステムかもしれない。

大人になってからもふと考えるのは自転車のブレーキをかけるさい減速してムダにしていてるエネルギーをバネのようなものにためておいて、スタート時に打ち出す力として利用できないか──ということである。
坂を下る時にブレーキをかけたり、交差点、信号などでせっかく出ているスピートを落とさざるをえないとき「もったいない」と感じる人は多いだろう。
減速するさい、捨てているエネルギーを機械的なしくみで蓄えておき、スタートするさいに放出できたら便利ではないか。自転車はスタート時の「よっこらしょ」が、けっこう力を使うところである。このときバネ仕掛けのような補助力が働けば、こぎ出しがずいぶん楽になるはずだ。

ダイナモを回し、電気に変換して蓄える仕組みはすでにあるのだろうが、やはり僕はバネやゼンマイのようなものを使った(電気を使わない)機械的・力学的なしくみを考えてしまうのである。

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コメント

No title
これは私も真剣に考えたことがありますが、自分の考えたのものがさきに出てたらビックリしますよね。
ちょっと前は永久機関ではないですがスターリングエンジンなんかに興味を持ったりしましたよ。
No title
>>snowcoldさん

スターリングエンジンというのは初めて知りました。調べてみたら、温度差を利用したシステムみたいですね。

他には……通勤時の地下鉄などのエスカレーター。「昇り」より「下り」が明らかに多い時間帯は、電気を使わず、より重い「下り」側の重り(人達)を降ろす力を利用して「昇り」側を動かす(シーソーで重い方が下がれば軽い方が上がるイメージ)──なんてシステムを使えば省エネになるのではないか……なんて考えたこともあります。
No title
俺も永久機関を無理と分かっていても、どうにか作りたいと検討中です!
あなたの気持ち、すごくわかります!
No title
エネルギーの観点から考えると「無」から「有」を生み出すのは不可能に思えますが……永久機関は夢のある魅力的なテーマですね。
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