マジック番組を見て感じること
視聴者が見たいのは《芸人やタレントのリアクション》ではない。《マジシャンが演じるマジック》である。
マジック番組は《マジックをきちんと見せる》ことに終始すべきである。
マジックの進行中にゲスト芸人の驚いた顔をアップで抜くのはいただけない。カメラがマジシャンから目をそむける瞬間があったのでは「その間にすり替えたり隠したり盗み見たりできる」可能性を残してしまうことになり、「目をはなさず見ていたのに──不可能と思えるような事が起こった」という状況を成立し得なくしてしまう。つまり、せっかくのマジックをぶち壊してしまうことになるからである。
ゲスト芸人は「リアクション」が仕事だと思っているから大げさな驚き方をする。そしてそれを突っ込み合ったりするものだから、観客役のタレントたちまでが演技中のマジシャンから目を離してしまうことがあり、すごく不遜な感じかする。
歌手が歌っている時にその場にいるタレントたちがボケたり突っ込んだり、歌と離れた所ではしゃいだり目立ったりしていたら、歌を聴きたくて番組を見ている視聴者はどう思うだろう?
それはマジック番組でも同じ事だ。マジシャンが演技している時は、進行を妨げる事がないように真面目に見守るべきだ。
マジックの素晴らしさ、スゴさは演技そのもので伝えれば良い。
それを芸人のリアクションで無理矢理ハデに見せようなどという演出意図がそもそも腹立たしい。
最近のテレビの演出は「驚きや感動の押し付け」的なものが多すぎてウンザリする。
マジック番組に限らず、最近のテレビは、多くの視聴者層から気を引こうとする短絡的な演出に走りすぎていやしないか。
家事をしながらチラ見する人たちの視聴率をかせぐことに躍起になってか、本当にそのジャンルが見たいと心待ちにしている本来のファン層には顰蹙を買う番組作りをしていることは間違いの無いところだろう。
スポーツ番組であっても、新たなファン層獲得のためなのか、無知な人気タレントを起用してみたり妙なあおり方をした演出を入れたりして、本来のファン層に対してはむしろ不快感を与えている気がしないでもない。
僕は以前は動物番組や科学番組などはよく録画しながら見ていたものだが、最近はあまりのお粗末さに録画はおろか見る気もしなくなってしまった。
好きなジャンルの番組をフラストレーションを感じながら見るのは辛い。
ゲームやインターネットの普及、その他の状況でテレビの視聴率が下がっているのは当然の事だろう。ヘンに視聴率回復(?)を狙ってジタバタしてもしかたあるまい。
人がテレビから離れて行きがちな時代だからこそ重要なのは《本来のファン層を大事にし、ファンに支持される番組づくりをする》ことではないか。なのに目先の視聴率を上げようとして本来のファンにまでそっぽを向かれるような番組づくりを続けているようでは、テレビは衰退の一途をまぬがれないだろう──そう感じているのは僕だけではないはずだ。
もう少し良心や誠意、志をもった番組づくりができないものか。
※外部日記【最近のマジック番組を見て思う事】2008.04.17/再収録
●テレビが終わる日
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-161.html
本当にテレビが危機的状況になってきていると危惧しております。
コメントありがとうございます。
今のテレビは、本当にそのジャンルが好きな本来の視聴者層・ファンに向かって番組づくりをしているようにはとても思えません。
よけいな演出や客寄せタレントなど使わずに、そのジャンル本来の魅力をしっかり誠実に伝える──そうした姿勢こそ必要だと思うのですが……。
僕の周辺ではテレビを見なくなったとか、テレビそのものを持たない人が増えきているような気がします。
僕もこんな状態ではとてもテレビを見続ける気になれず、地デジに乗り換える気も起こりません。
来年アナログ放送が終了するときが「テレビの終わる日」だと思っています。
コメントありがとうございます。
視聴率至上主義を否定する気はありません。ただそれはあとからついてくるもの。いい番組を作れば自然と視聴者はついてきます。つまりこれが本当の意味での視聴率至上主義ではないかと思います。
それをしない今の軽々しい視聴率至上主義はいずれ終焉を迎えることになるでしょう。将来の為に今出来ることを小さなところからでも発信していこうと思います。
コメントありがとうございます。
いい番組作りを目指す事で、本来の視聴者層・ファンに支持される──やはり、これが原則であろうし、あるべき形だと思いますね。
スポンサーがあることなので、目先の視聴率アップを追ってしまいがちな事情はあるのでしょうが、番組づくりにたずさわっている方たちには、長期的な視野に立って「あるべき形」を追求してほしいと思います。
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