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鳥山プールの思ひ出

01鳥山プールにて

幻の鳥山プール!?のおもひで
僕は長いことプールには行っていない。最後に利用したのは、多摩湖(村山貯水池)南側──狭山丘陵の雑木林に囲まれた『貯水池 鳥山』のプールで、おそらく30年以上前だったように思う。日本料理店の鳥山には昔、プールがあったのである。
鳥山プールのことは検索してもあまり情報がでてこない。西武園のプールとさほど離れていないところにありながら、〝まぼろしのプール〟という印象がなくもない?

子どもの頃、僕の中では、プールと言えば西武園──夏になると行くのが楽しみだった。当時はまだウォーター・スライダーのような施設はなく、ただ水に入って遊ぶだけ──それでも、西武園のプールは、けっこう賑わっていた。
あるとき更衣室で小銭を落とした友人がいて、拾うために床に敷かれたすのこを持ち上げたところ──なんと、落とした衝撃で硬貨が小額に「くずれて」いた!?──かと思いきや、そこには小銭が散在していて、持参した金額以上を回収をした──なんてこともあった。それだけ西武園のプールは利用客が多かったということなのだろう。

高校3年の頃だったろうか……友人たちと初めて鳥山のプールに行った。それまで僕はそんなところにプールがあるとは知らなかった。西武園からさほど離れていないのだが、交通の便が悪く、自転車か車がなければ利用は難しい。狭山丘陵の雑木林の中なので目につきにくい穴場のプールだった。
当時まだめずらしかった滑り台(ウォータースライダーの走り?)つきの浅いプールもあって、僕らは「大滝滑り」と呼んで、滑走姿勢を工夫しながら水面を滑る距離を競ったりしていた。
そのうち誰かが「ボブスレーをやろう」と言い出し、3人連なって滑ることになった。ところが、先頭が入水した時点で水圧ブレーキがかかり、そのため最後尾の者は行く手をふさがれる形で推進力が下へ向かい、低い水底に尾てい骨をしたたか打ちつけるという貴重な経験をすることとなって、大笑いした思い出がある。
ひとしきり「大滝滑り」を楽しんだあと、僕らは「泳げる(普通の)プール」へ移動して遊んだのだが……約1名だけ滑り台が大いに気に入った者がおり、子どもにまじって、いつまでも飽きることなく滑っては昇るということをくり返していた。
帰りに「お前の遊び方はお子さまなみだ」とからかうと、その友人は真顔で「そのプールの特徴を活かした利用をしないと失礼にあたるんだぜ」などと威張っていた。

余談だが鳥山プールの大滝滑りで体験したエピソード──ボブスレー式アトミック・ドロップ(尾てい骨砕き)は、内輪ウケを狙ってジョークで書いたスーパーヒーロー小説のミラクル☆スター・シリーズ第1弾でも出てくる。大滝滑りばかりやっていた悪島という男(仮名)が、正義のヒーローに対して放った最後の必殺技《死のボブスレー落とし》がこれである。

    *    *    *    *    *    *


02CF9MS激闘篇より
(※個人誌【チャンネルF】Vol.9『ミラクル☆スター《激闘篇》』より)

 ミラクル・スターは、間一髪、悪島の頭突きをミラクル・チョップで受け、そのふところに体を反転させながらとび込んだ。
「飛龍天空落とし!」
 ミラクル・スターは、悪島の百キロはあろう巨体を軽々と抱え上げ、ジャンプした。
 天空で1回転半し、相手を脳天から地面に叩きつける必殺技である。
 しかし、ミラクル・スターは、悪島を地面に叩きつけることはしなかった。彼は、あえて、ショックの少ない川の中に飛龍天空落としを見舞うことで、悪島の命を救おうと考えたのであった。
 ドシャッ!
 激しい水柱を上げ、ふたりの体は、荒川の水中に没した。
 大量の泡とともに、ミラクル・スターの姿が、つづいて悪島の顔が水面に浮かび上がった。
「観念しろ悪島! 勝負はついた。水の中ではジャンピング・ヘッドバットは撃てまい」
 ミラクル・スターが言った。「それに、おまえは泳ぎが達者ではなかったはずだ」
 悪島はかつて、鳥山プールに出かけたさい、水泳用のプールにはほとんど入ろうとせず子供用の滑り台《大滝滑り》ばかりしていたのである。
「わ、わかった! たすけてくれ! お、おぼれ……ガボガホ……ビ、ビート板……」
 流されていく悪島の体を追って、ミラクル・スターは手をのばした。
 ところが──、ミラクル・スターの手をとった瞬間、悪島は背中をぶつけるようにしてミラクル・スターの両腕を自分の両脇に抱え込んだ。
「ど、どういうつもりだ!?」
「甘い。甘いぜ、ミラクル・スターよ。俺の必殺技は、頭突きだけじゃねぇんだよ」
 ミラクル・スターは、両腕をとられたまま、悪島におぶさる格好で、川の中を流されていった。
(この体勢では、攻撃できん……しかし、悪島にしても私の腕を抱えたままでは、攻撃できないはずだ……。いったい、こいつは何を考えているのか?)
 しかし、ミラクル・スターは、流されていく先に、滝があるのを知って、悪島の恐ろしいたくらみに気がついた。
「うっ!? ま、まさか──死のボブスレー落とし!!」
 鳥山プールの大滝滑りで、複数の人間が連なってボブスレーのように滑ったさい、先頭の人間が入水したときのブレーキ力で推進力が失われ、最後部に位置した人間が、したたか尾てい骨を水底に打ちつける──そして、尾てい骨を打ちつけた者は、あまりの痛さに笑いながらもだえ死ぬというエピソードがあったことを、ミラクル・スターは思い出した。
 その恐ろしい滑り方──《ボブスレー》を、悪島は今、この滝壺で再現しようとしていたのだ!
 たとえ、バトル・スーツ──強化戦闘服を身につけていても、《ボブスレー》で尾てい骨をしたたか打ちつけられたのでは、助かる見込みはないだろう。
 ミラクル・スターは激しく身をよじったが、悪島はかかえた腕を放さなかった。
「ミラクル・スター。てめえを地獄の入口まで案内してやるぜ」
 地獄への水先案内人・悪島を先頭に、2人の体が滝の斜面に吸い込まれていった。
「死ねっ! ミラクル・スター!!」
 強烈な加速度をつけ、滝を滑り落ち、2人の体は、激しい水しぶきをあげて、滝壺に突っ込んだ。
 一瞬、あたりを滝の音だけが支配した──次の瞬間、尾てい骨を砕いた者の、狂ったような笑い声が、葛飾のジャングルにこだました……。
 おお──天は、正義を見放したのか!?
 しかし──滝壺の水底で尾てい骨を砕いたのは、ミラクル・スターではなく、先頭の悪島であった。
 悪島は愚かにも、ミラクル・スターに比べ座高があまりにも高すぎたことに気がつかなかったのだ。後ろに位置したミラクル・スターよりも、先頭の悪島の尻が水底に届く方が早かったのである。

    *    *    *    *    *    *

さて、2度目に鳥山のプールを訪れたのは、当時幼稚園生の甥っ子を連れて行ったときで、これが僕のプール利用の最後となった。西武園のプールは混んでいるはずだが、鳥山のプールなら空いているだろう──そう考えて、自転車で行ってみると、予想以上にがらんとしていた。確か、プールについた時は、僕と甥っ子だけしかいなかった気がする。利用客より監視員の方が多いという状況。同じ時刻、おそらく西武園プールはごった返していただろうに、鳥山プールはゴーストタウン……異次元の世界に迷い込んだかのようである。その後別のグループが1組か2組入ってきたが、ほとんど貸し切りのような状態だった。このとき、プールの中で、シマゲンゴロウ(コシマゲンゴロウだったかもしれない)が泳いでいたのを覚えている。周囲は雑木林に囲まれているので、虫も来る。多摩湖(村山貯水池)のすぐ近くだから水生昆虫がいても、ちっともおかしくない。
訪れるのはヒトより虫が多かったかもしれない。こんな状況でプールの運営ができるものだろうかといぶかったものだが……やはり、いつの間にか鳥山からプールはなくなったようだ。僕にとっては2回しか行ったことがない〝まぼろしのプール〟となった!?

それから、もう30年程プールには行っていない。僕の中ではプール遊びは「夏休みとセットになった子どものイベント」というイメージが、なんとなく出来上がっていた。遠い昔のことである。
しかし最近、子どもの頃に遊んだプールの記憶が、ちょくちょく脳裏によみがえる。【記憶層と忘却の浸食】で記したような理由(遠ざかる過去の記憶に、かえって近づいているように感じる現象)もあるのだろうが、それとは別に、近年、自分の体が重く感じられるようになったためである。筋力の低下が原因なのだろうが、まるで地球の重力が増したかのようである。昔は、体がずっと軽く、気軽にどこでも宙返りが跳べたし、時速50キロのトラックに正面から当ってもほとんど無傷でさばけるだろうという妙な自信もあった。実際に250ccのバイクで走行中、路地から飛び出してきた乗用車にブレーキをかける間もなく激突──飛ばされたものの1回転して着地し、急加速して逃去る車のナンバーを覚えたなんてこともあった(♧)。今ではとてもそんなコトは、できそうにない。
昨今感じる体の重さ……この感覚が子どもの頃の記憶を呼び覚ますのである。
子どもの頃、プールでしこまた遊んだ帰り──浮力に慣れた体が重く感じられることがあったが、あの感覚によく似ている。あるいは、トランポリンをしばらく跳び続け、浮遊感に慣れたあとに床に降りると、やけに重力を実感することがあったが、あの感覚とも似ている。
そんなわけで、長い間プールに行ってないのに、子どもの頃のプールへ行ったことを思い出すことが多い昨今なのである。



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コメント

No title
鳥山_プールで調べると、スライダーのことが書いてありました!
あんな雑木林の中にプールがあったなんて、すごくいいですね。
星谷さんは友達や甥っ子さんと行けてよかったですね。
わたしも知っていれば行ってみたかった…と思って調べても、いつまでやっていたのかとか、全然情報がなかったです…

ゲンゴロウ、夜の間に飛んできたりするのかもしれないですね!
意外と西武園のプールでも見られるのかもですね。
狭山丘陵で水生昆虫調べてみたいのですが、流れや池のまわりにどんどん柵が設置されてしまいます。
Re: No title
僕も以前、鳥山プールのことを検索してみたことがあったのですが、情報が少ないんですよね……。
昆虫の場合は希少な種類はかえって情報が上げられていたりしますが、希少プール(?)の情報は、投稿する人も少ないのかも?

西武園のプールも立地環境からすれば、ゲンゴロウの仲間がいてもおかしくないかもしれませんね。僕はここでは見た記憶はないんですが。

僕は虫見を始めてから水生昆虫を積極的に見ることはなかったのですが(空堀川にアメンボのニオイを嗅ぎに行ったくらい)、ひとつには柵が増えたということもあったかも。
都立狭山公園のたっちゃん池(宅部池)も昔は柵などなく、池のフチまで行けたんですけどね。
顔に「いいじま」って書いてあるじゃん!?※
 むかーし昔、「あべのプール」という名のプールが大阪市内にございましてな。
 水中エアステーションがある深さ3mのプールが売りでした。
 そのプールは側壁がガラス張りになっていて、プールで泳ぐ人たちを地下から水族館のように眺めることができたのです。

 実際に出かけたのは後にも先にも1度きりでしたが、ガラスの向こうですいすい泳ぐ大人たちの様子が格好良くて憧れで、そこには中学生以上でないと入れないルールだったにもかかわらず、まだ小学生の身でありながら監視員さんに大嘘ブッこいてエアステーションのあるプールに入った。そんな思い出が私にはあります。

 まぁ結局のところ、怖くてよう潜らんかった(それどころか壁から離れることもできなかった)のですが。なにしろ当時はほとんど泳げなかったもので。何しに行ったんだ。

 とまれプールは楽しいですな。50mプールを必死こいて泳いでもよし、流れるプールでぷーかぷか流されているだけでもよし、滑り台を滑りに滑ってもよし、プールサイドで河岸のマグロと化してもよし。
 男性は一年365日、いつなとプールで泳げはるんですから、思い立ったが吉日、ちゃちゃっと泳ぎに行かはったらよろしのにというのが今回の記事の感想です。



「4」の下に「よ」があるような胸のマークは「しま」と読むのでしょうか。
額の「す」はお名前の頭文字でしょうか。
ちょっと気になる。
Re: 顔に「いいじま」って書いてあるじゃん!?※
子どもの頃、プールは「夏の遊び」の1つでしたが、成人してからは行かなくなりましたね。遊ぶためにわざわざ行くところでもないし(他にやりたいことがある)……という感覚だったような……。
虫見を始めてからは、夏は(も)虫見で歩きまわり、帰宅すると水を張った湯船に浸って涼むというのが習慣になって、わざわざプールに行こうという気は起きなくなりました。

楽屋落ちパロディー・ヒーローは、関係者しかわからないようなネタが満載で、「す」は彼が名乗っていた「スーパースター」を表したもので、胸の記号にもヤバイ意味があったりします……。

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