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雌雄モザイク報道の「!?」

成虫になってから大きく育った!?
ノコギリクワガタの雌雄モザイクがニュースになっていた。

左はオス、右はメス 突然変異のクワガタ、宮崎県に出現

体の左右でオスとメスが分かれる現象(雌雄モザイク)は珍しいので、しばしば話題になる。カブトムシやクワガタではオスとメスの特徴の違いが顕著(性的二型)なので目立ちやすいのだろう──雌雄モザイクのニュースではよく見かける。
だから今回のニュースでも、雌雄モザイクのクワガタそのものについては特に目新しい感慨はなかったのだが……僕が驚いたのは記事の最後の部分である。


 学芸課の竹下隼人主査は「『雌雄モザイク』という突然変異。餌場の縄張り争いなどで不利なため、大きくなるまで育ったのは大変珍しい」と話している。

学芸課主査が「餌場の縄張り争いなどで不利なため、大きくなるまで育ったのは大変珍しい」と話しているというのは本当なのだろうか!?
餌場の縄張り争いは成虫になってからの話で、クワガタが成虫になってから大きくなることなどなかろうに……。

以前、雑木林で虫とりをしていた親子に出会い、コクワガタのオスを手にした父親に「まだ子どもですかね?」と尋ねられて驚いたことを思い出した。これが成長すればヒラタクワガタやオオクワガタのようになると勘違いしたらしい。バッタやカメムシのように成虫と幼虫が似たような姿の昆虫(不完全変態)もいるが、カブトムシやクワガタは完全変態で、子ども(幼虫)は全然違う形をしている。成虫の大きさには個体差があるが、これは成虫になってからの変化ではなく、幼虫時代の成育状態によるものだろう(遺伝的な要素もあるのかもしれないが)。成虫になってから成長することはない──僕はあたりまえのようにそう認識していたが、小さなクワガタ(成虫)が成長して大きくなると思っている人もいるのかと新鮮な(?)驚きを覚えたものである。

生き物のことをよく知らない素人であれば、そんな誤解もあるのかもしれない。しかし、博物館に努めるプロの学芸員が、メディアに対して、こんな解説をすることがあるのだろうか──という驚きが大きかった。
それにしても……おかしいと気づかない記者やデスクも、どうかという気がする。
あるいは記者による誤解があっての記事なのだろうか?


雌雄モザイクのニュースではカブトムシやクワガタが取り上げられることが多いが……さらに珍しいニホントビナナフシの雌雄モザイク@東京⬇


左右で♂と♀が別れた個体↑と、部位によって♂♀が交互に別れた個体↓。




ニホントビナナフシ東京でも両性生殖(2013年12月)
ニホントビナナフシの雌雄モザイク(2013年11月)
半♂半♀のトビナナフシ(2014年11月)
黄色いトビナナフシ(2013年11月)
珍しいナナフシのオスと過密!?(2013年11月)
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コメント

雌雄モザイク
この手のニュースはちょくちょくありますね。良く取り上げられます。タイトルだけ見て中まで読まなかったけどそんなこと書いてあったのですか?
幼虫時代から生きていくのに不利なことがあるのかも?
トビナナフシはメスが緑色で雄は褐色なんですか?それ知らなかったです。左右はよく聞きますが、前後で入れ替わったりするのは初めて聞きました。
Re: 雌雄モザイク
カブトムシやクワガタの雌雄モザイクはちょくちょく話題になりますね。
性的二型が顕著なであること、飼育されていることが多いことから確認されやすいということなのでしょうが。
ニホントビナナフシもオスとメスでは色・大きさが違うので一見、別の種類に見えます。
どうして同一個体の中にオスとメスの特徴が混在する現象が起きるのか、不思議ですね。

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