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2018年12月の記事 (2/2)

翅の大きさが違う冬尺蛾3種

フユシャク(冬尺蛾)が見られる時期になった。「フユシャク」は年1回、冬に成虫が出現し、メスは翅が退化して飛ぶことができないというユニークな特徴を持ったシャクガ科の蛾の総称。昆虫なのに(虫にとって活動しにくいと思われる)冬に現れるとか、蛾なのにメスは飛翔能力を捨ててしまったという点が興味深い。「どうして、そんなことになってしまったのか?」と想像力を刺激する。飛ぶことができるオス(一見ふつうの蛾)とかけ離れたメスの容姿もおもしろい。活動している昆虫が少ない時期──冬の「主役」ともいえる昆虫だ。

翅が消失したチャバネフユエダシャクのメス



冬に現れる、この奇怪な虫↑──チャバネフユエダシャク♀を知らずに初めて見たときは、いったい何の仲間なのか見当もつかなかった。イモムシにしては脚が長いし、ジョロウグモの仲間にしては、脚は6本……昆虫なのであろう。昆虫の成虫なら翅があってもよさそうなものだが、この虫には無い……。翅の無い昆虫ということでカマドウマを思い浮かべたりもしたが、それともまた雰囲気が違う……。これが冬に出現する蛾のメスだと知った時は大いに驚いた。


フユシャクは種類によってメスの翅の退化の度合いにかなり格差があって、チャバネフユエダシャクではメスの翅はほとんど消失している。蛾の特徴である翅がなく、オスとは似ても似つかないホルスタインちっくな容姿のため、最初はとてもこれが蛾の成虫だとは思えなかったわけだ。
これでもちゃんと蛾である証拠に──以前の記事からペアショットを──↓。


※【チャバネフユエダシャクのペア】より再掲載↑。
今回みつけたチャバネフユエダシャク♀と同じコンクリート壁にとまっていた。

フユシャクとしては大きめの翅を持つクロオビフユナミシャク♀



翅が消失したチャバネフユエダシャク♀とは対照的に、フユシャクの中では大きめの翅を持つクロオビフユナミシャクのメス。これなら、なんとなく蛾の仲間であると想像できる。




体色や模様のコントラストは個体によって変異がある。
やはり擬木で見つけたクロオビフユナミシャク♀↓




フユシャクのメスとしては大きめの翅だが、オス↓と比べると退化していることは明らか。


小さな翅が魅力のクロスジフユエダシャク♀



今シーズン何度か記事にしているクロスジフユエダシャクのメス。


翅は退化して小さいが、ちゃんと4枚(前翅と後翅が1対ずつ)あるのがわかる。小さな翅は可愛らしいアクセントでもあり、完全に消失した種類よりも、むしろ「退化した感」が漂ってくる気がしないでもない。
もちろん、オスは飛翔能力のある翅を持っている↓。


オスもメスも個体によって大きさに差があるが、立派な体格のクロスジフユエダシャク♀↓。


小さな翅を広げてとまった姿勢はりりしさを感じさせる。


なんちゃって冬尺蛾!?なアカシデ種子(果苞)ほか



この時期、木の幹や擬木に付いているアカシデのタネ(果苞)は、ちょっとフユシャク♀に見えなくもない!? フユシャク♀がこうした植物片に擬態しているとは思わないが(それほどの擬態効果があるのかは疑問)、フユシャクに興味を持って探し始めた頃はしばしば騙された。



やはりこの時期に見られるカバエダシャク↑。シャクガ科の蛾だが、メスにも翅があって、フユシャクではない。
体色と似た色合いの幹にとまっていると隠蔽擬態効果抜群のキノカワガだが……ずいぶん目立つところにとまっていた↓