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2018年09月の記事 (1/1)

謎めいたビロードハマキ:成虫&抜け殻

フシギ感のあるカラフルなビロードハマキ(ビロウドハマキ)



笹の葉にビロードハマキ(ビロウドハマキ)がとまっていた(画面左側が頭部)。まるでカラフルな一枚貝!?──これでも(?)蛾なのだが、なんともフシギ感のあるユニークなルックスをしている。


ネット情報によると2003年から都内での発生量が増加しているとか。僕も2~3年前から目にするようになった。それにしても、この派手にして風変わりな容姿──これには何か意味があるのだろうか?
まず思い浮かぶのは、警告的な意味合い(の可能性)。毒を持つとか・不味いなど……捕食者が避けて通りたくなるようなアイテムを備えているのであれば、派手なルックスは捕食者たちに「二度と食いたくない」と印象づけるための警告サインとして有効だと考えられる。
しかし、ビロードハマキが毒を持っているとか忌避物質を装備しているいう話は聞いたことが無い。もし、防衛アイテムを備えていないのだとすれば、目立つ容姿は捕食者に見つかりやすいデメリットになるのではないか?
しかし実際にこの派手で目立つ姿で生きのびて来たのだから、このデザインにも何らかのメリットがあるのだろう。
ちょっと考えると(天敵に)見つかりにくい隠蔽擬態の方が生存率が高そうな気がするが……逆に(?)目立ったとしても、「蛾(エサ)に見えない」と認識されれば捕食者のターゲットから外される──なんてことがあるのかも知れない? あるいは捕食者の感覚に、「得体の知れない警告色をしたもの」「気色悪いモノ」として訴えるようなデザインだったりするのかも知れない?
他に目立つことで有利な点があるとすれば……ペア相手を見つけやすいことだろうか? ビロードハマキは広食性でいろいろな広葉樹がホスト(幼虫の食植物)となり得るらしい。対応できる種類が多いということは食資源的には有利な設定だが、食植物が限定的な昆虫(特定の植物に集まることで個体密度が高まりやすく繁殖相手を見つけやすい)に比べて、拡散しがちなぶん、ペア相手探しには不利かもしれない。ビロードハマキは昼行性なので、目立つ色彩はペア相手を見つける手がかりになるはずだ。派手なカラーリングは繁殖率を高める役目を果たしているのではなかろうか?
あれこれ色々な想像ができそうだが……なぜこんなユニークなデザインを採用しているのか、本当のところは解らない。わからないから、不思議感がわく。ビロードハマキはそんな謎めいた蛾だ。

ところで、このビロードハマキを見つけたときは風が吹いていて撮るのに苦労した。ビロードハマキがとまっていた葉は風にあおられ、なかなかフレームに収まらない……。やむなく葉先を左手でつかんで固定し、右手でカメラを構えて撮影。昼行性の蛾なので飛び去られる危惧もあったが、このビロードハマキは珍しく良いモデルをつとめてくれた。


撮影のため、風に揺れるの笹の葉をつまんだ時のことだが──葉が何枚か重なって貼りついていたことに気がついた。笹食いの蛾の幼虫でも入っているのだろうと思ったものの、その時はビロードハマキが飛び去りはしないかと気にしながら撮ることに集中していたので、それ以上深くは考えなかった。
しかし、後になってふと「笹食いの蛾の幼虫の巣」だと思っていたのは撮影したビロードハマキのものだったのではないか?──と気がついた。
あのビロードハマキは、とまっていた葉を綴り合わせた中で蛹になり、羽化して葉の表面に出てきた新成虫だったのかもしれない……羽化してあまり時間が経っていないとすると、(翅が充分に固まるまで?)じっと飛び立たずにいたことも納得できる。
ビロードハマキが笹を食うとは思っていなかったが、ひょっとすると笹を食うこともあるのかもしれない? あるいは別の木で育ち、蛹化に選んだ場所がたまたま笹だった……という可能性も考えられないではない?
──ということで、後日、ビロードハマキがとまっていた笹の葉を確かめに行ってみた。

ビロードハマキの抜け殻



これがビロードハマキのとまっていた笹の葉↑。裏側はこんな──↓。


3枚の葉が内側から糸でつづられている。これを開いてみると──↓。


蛾の蛹の抜け殻(羽化殻)と終齢幼虫(前蛹?)の抜け殻(蛹化殻)が残されていた。




蛹の形から種類を特定することは僕にはできないが、終齢幼虫(前蛹?)の抜け殻を見ると……白い毛の生えた黒イボなどの特徴から、やはりビロードハマキのものらしい。先日撮影した成虫はやはりここで羽化したのだろう。ビロードハマキの幼虫が笹の葉を食っていたのかどうかはわからないが、少なくとも笹の葉で蛹化・羽化用の巣(?)を作ることはある──ということだ。
意外に感じたのが、終齢幼虫(前蛹?)の抜け殻(蛹化殻)が全身一体型で残っており、その頭部が裂けていたこと。


チョウやガの幼虫は脱皮が近くなると硬い頭部(の殻)から頭を抜いておく(そうしないと脱皮時に頭が頭部殻から抜けなくなってしまう?)──そのため脱皮直前の幼虫は頭の後ろに大きなコブ(実は新幼虫の頭)ができているように見える──そういった認識が僕にはあった。つまり脱皮後の頭部抜け殻(いわゆる「お面」)は硬くて無傷で残されるものだと思っていた。ところが、巣の中に残されていた終齢幼虫(前蛹?)の抜け殻を見ると、頭部は割れていて、その裂け目が背につながっていた。ここから蛹が出たのだろうが……硬いはずの(?)頭部が割れていたことに「へえ!?」と思った。終齢幼虫(前蛹?)から蛹になるときは特別で通常の脱皮とは異なるのか、あるいは脱皮のさいに古い頭部が割れるのがビロードハマキの通常スタイルなのか……僕にはよくわからない。他の蛾やチョウではどうなのだろう? 実際に昆虫を見ると「知らないことだらけ」といことに気づかされる。



虹色宝石アカガネサルハムシ&ビロードハマキ ※5月に見つけたビロードハマキ

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翅多型のハリサシガメと前胸背紋



翅の大きさや前胸背の紋に変異があるハリサシガメ

この夏は猛暑のためか期待していたほどには観察できなかったハリサシガメ。9月半ばに衰弱した♂と♀がみつかり、今シーズンはこのまま終わってしまうのではないかと心配していたが、涼しくなって再び石垣に姿を現すようになった。


雨上がり──乾き始めた石垣の上にあらわれたハリサシガメの成虫。


ハリサシガメは翅の大きさに変異が多い翅多型の昆虫。この個体は翅が長い長翅型↑。湾曲してしゃくれた腹からオスであることが判る
『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』(石川忠・高井幹夫・安永智秀/全国農村教育協会)にはハリサシガメの特徴として《後葉(前胸背の下側)に4つの黄褐色の楕円紋が横一列に並ぶ》と記されているが、この個体にはその紋が無い。


前胸背側角の部分をのぞいて前胸背後葉(前胸背の下側)の紋が消失した個体も多い。
この翅多型♂↑を撮っているうちに、その下にもハリサシガメの成虫がいることに気がついた。


落葉の上に現われたハリサシガメ成虫はオス。翅は前述の長翅型個体よりも短め。前胸背の後葉には紋がある個体だった。


石垣の下側にとまっていた成虫もオスで、前胸背の紋がある個体だった↓。


ちなみにこの3匹の成虫♂の位置関係は──↓。


ハリサシガメは見られない時はまったく見つからないが、見られる時は複数が狭い範囲に集まっていることも多い。成虫になっても集合フェロモンのようなもので集まってくるのか、それともエサとするアリの巣の近くに自然と集まるようになるのか、あるいは近くに潜んでいるメスを探して集まって来たのか……。3匹のオスはいずれも翅は長め──長翅型と準長翅型(?)といったところ。
準長翅型(?)よりさらに翅が短い──中間型のハリサシガメ成虫↓。


前胸背に紋があるこの成虫↑はメスだったが、すぐに石垣のすきまに逃げ込んで姿を消した。少し離れたところで見つけた、前胸背の紋が薄い中間型の翅を持ったメス↓。




さらに翅が短い──短翅型の成虫♀↓。


翅が小さいため、腹部背面の大部分が露出している。




僕が見てきた範囲ではハリサシガメはオスに長翅型が多くメスに短翅型が多い。この短翅型♀の近くにいた長翅型♂↓。


この長翅型♂には前胸背の紋があった。


まだ活動している複数のハリサシガメを見て少し安心したが、やはり活動は終焉は近づいているのだろうか? 雨上がりの石垣付近で、またハリサシガメ成虫の死骸を拾った↓。


この死骸はメスで、腹が膨らんでいる──卵が詰まっているようにも見えるが、産卵を終える前に死んでしまったのだろうか? 翅はボロボロだったが、中間型のよう。前胸背後葉の紋がある個体だった。


ハリサシガメの翅の大きさや前胸背の紋の変異はどうして起こるのだろう? その意味するものが(あるのか無いのか)何なのか──気になることの1つだ。


擬態の達人コノハムシ~TV番組

擬態のスペシャリスト・コノハムシ



「《擬態》で思い浮かぶ生き物といえば?」──そんな質問をし集計をとったら、コノハムシはおそらくかなり上位にランキングされるだろう。
葉にそっくりな姿で知られるコノハムシ──実際に見たことがある人は少ないだろうが、その存在は多くの人の知るところだと思う。
以前、タイ産コノハムシ(画像)を飼育したことがあったが、その擬態っぷりには驚くばかりだった。姿が木の葉に似ているのは見ての通りだが、とまり方がまた絶妙だったりする。


コノハムシは必ず腹面を上、背面を下に向けてとまる。ポジションもうまく葉にまぎれる位置を選んでいる。


単に体の形を葉に似せているというだけではない。体を葉のように薄くすれば、ふつうならばどうしたって内蔵が(透過光で)透けて見えてしまう。いくらボディーラインを葉に似せても、内蔵の影が透けていたのでは、そこにいるのがバレバレ。ところが、コノハムシは通常のとまり方をしたときのみ内蔵の影が透けて見えないようになっている。




そして視覚的な擬態だけではなく、おそらく化学擬態もしておりニオイもホストの植物に似せている──というのは、次のようなエピソードがあったからだ。


コノハムシは食べる葉(種類)が限られている。他の葉を与えても食べなかったのだが……あるとき、なんとキッチンペーパーを食べた個体がいた。キッチンペーパーにはコノハムシの糞(ほのかにエサの葉のニオイがする)の染みがついており、この染みにそって食痕が残されていたのだ。


食草以外の葉は食べようとしなかったコノハムシがキッチンペーパーを誤食した──これは《コノハムシがエサとなる葉を「ニオイ」で識別している》ということなのだろう(だから、そのニオイが染みたキッチンペーパーをエサの葉と誤認した)。
誤食といえば……コノハムシの密度が高くなると、他の個体の体を齧ってしまうという事故が起きる。最初はケンカかとも思ったのだが、どうもそうではないようで……どうやら《仲間の体をエサの葉と誤認して食ってしまう》らしい。



①《コノハムシはエサとなる葉を「ニオイ」で識別している》
②《仲間の体をエサの葉と誤認して食ってしまうことがある》

──この2つのことから、《コノハムシの体はエサの葉と同じニオイがする》ということが推察できる。コノハムシは容姿をホストの葉に似せているだけでなく、ニオイも似せてアリなどを欺いているのではないか──僕はそう考えるようになった。

コノハムシの木の葉への擬態の完成度には感心するが、さらには……自らを木の葉に似せているばかりか、周囲の木の葉を自分に似せて加工している可能性すらある。
ふつうに考えると、葉を食べる虫は食痕をあまり残し(広げ)たがらないのではないか? 食痕は天敵が獲物を見つけるさいの手がかりになるだろうから、食い散らかしてあちこちに食痕を拡大させるより、食い始めた葉はキチンと食べて(処理して)次の葉に移った方が手がかり(食痕)を少なく抑えられる。チョウやガの幼虫には寝床(?)と食事の葉を分けているものもいるようだが、これも食痕の近くにいると寄生蜂などの天敵に見つかりやすくなるため、その危険回避の行動という気がする。
ところが、飼育していたコノハムシは食痕を残したまま他の葉を食い始めたりしていた。最初は食べ散らかして行儀が悪い虫だと思ったのだが……コノハムシが葉を齧ったあとのカーブはコノハムシの脇のカーブに似ている。つまり、コノハムシは《コノハムシの食痕のある葉》のように見えるわけだ。


(※【コノハムシ~卵から成虫まで~】より再掲載↑)
《コノハムシの食痕のある(コノハムシに似た)葉》が散在することで、コノハムシ本体がそれにまぎれて、どこにいるのか見つけにくくなる効果があることに気がついた。これは《周囲の葉を自分に似せて加工する事で自らのカムフラージュ効果を高めている》とも言えるわけで──自らの体を葉に似せる一方、周囲の葉を自らに似せているとすれば、これぞ《擬態》の奥義という気がする。


コノハムシがテレビ番組で取り上げられる!?

こんなユニークな昆虫・コノハムシの記事を過去にいくつか投稿しているが、最近(先月初旬)、テレビ番組の制作スタッフの方からコノハムシの画像を使わせて欲しいという連絡があった。許諾していくつか画像をお送りしたので、番組内で1枚か2枚、使われるかもしれない。
その番組とはテレビ東京のリトルトーキョーライフ(毎週水曜日24:12~25:00)というバラエティ番組。来週の「へんないきもの」というテーマの回でコノハムシの画像が使われるらしい。
番組ホームページの「次回予告」には──、

2018年9月26日(水) 24時12分~
食事中に餓死!?「へんないきもの」について質問!!

▽負けたら性転換!!性別をかけた交尾とは!?
▽食事中に餓死する生き物とは!?
▽ゾウは耳と○○○で音を聴く!?
▽擬態がヘタクソすぎる生き物とは!?ほか

出演者
【MC】
 Hey!Say!JUMP
 川島明(麒麟)
【アシスタント】
 繁田美貴(テレビ東京アナウンサー)
【師範】
 早川いくを

番組概要
「質問道場」とは…知っていそうで、意外と知らない世の中の事。その道に詳しい師範(専門家)を招き、Hey!Say!JUMPとジャニーズWESTが質問攻め!「良い角度の質問」をするセンスを競い合う!はたして、どんな質問が飛び出すのか…!?


──とある。
果たしてコノハムシの話題がどれだけ取り上げられるものか……僕はテレビを離脱しているので、放送内容を確かめることはできないが、コノハムシのアッパレな魅力が紹介されることを期待している。
そんなことがあったので、あらためてコノハムシのことを記してみた。


9月の天狗セプテング!?他

9月前半のテングスケバ

8月にも2度紹介しているが……9月前半にも見られたテングスケバ──いると、つい撮ってしまいたくなる昆虫の1つ。9月(September)のテングスケバ……ということで、略してセプテング(!?)。特に目新しい発見があったわけではないが、9月前半に撮っていた昆虫の画像をいくつか。


葉上のプチ天狗。もっと人気があっても良い虫なのではないか……と、応援の意味を込めて(?)魅力的な姿を機会あるたびにアピールしてみる!?












テングスケバ(科)はカメムシ目(半翅目)。ということで……。

カメムシ目つながりで…



ハリサシガメの観察ポイントでもある石垣でみつけたカメムシ。フタモンホシカメムシの長翅型(短翅型もある)ではないかと思うが、よく似た種類にクロホシカメムシというのがいて、腹面の違いを確かめないと正確には両種を見分けるのが難しいらしい。


一部に「青リンゴの香りがする」と噂があって(?)、先月も嗅いでみたオオクモヘリカメムシ


以前、擬木で見かけた時は感じなかったが、こうして緑色の葉の上にとまっていると、体の緑色の部分が葉に溶け込んで、意外に(?)隠蔽効果が高そうだ。全身緑色でもよさそうな気がするが、そうなると「葉の緑」と「カメムシの緑」のわずかな色あいの違いがかえって目立って体の輪郭が悟られやすくなるのかもしれない。翅がベージュであることで、ベージュと緑色という大きな色格差に(捕食者の認知が)陽動され、「葉の緑」と「カメムシの緑」のわずかな色格差が認識されにくくなるということ(=ボディラインの隠蔽)は、ありそうな気がする。
もっともオオクモヘリカメムシは悪臭の武器を持っているのだから(これが捕食者に対して忌避効果があるのなら)むしろ目立つ警告色であった方が生存率が高まるのではないかという気もするが……カメムシのニオイと体色の関係はそう単純ではないのかもしれない。
体色が緑色のカメムシは葉の上では目立たないのだろうが……ケヤキの樹の幹で目立っていたフトハサミツノカメムシ♀↓。


フトハサミツノカメムシ♀はヒメハサミツノカメムシ♀とよく似ているが、フトハサミツノカメムシには前胸背の後側縁に歯状突起があるので、その有無で他種と識別できる。
やはりケヤキの幹にいたツノカメムシの幼虫↓。


カメムシ臭を放つ臭腺開口部(開孔部)は、幼虫では腹部背面に位置している(ツノカメムシ科は3対で6個)。


↑と少し違う感じもするが……やはり、ケヤキの幹にいたツノカメムシの幼虫↓。単に成長度合い(幼齢)の違いなのか、別種なのかはよくわからない。




幹の上では、ヨコヅナサシガメの幼虫に捕まり体液を吸われているカメムシの姿もあった……↓。


松の枝先にはマツアワフキが隠れていた↓。


アワフキムシはカメムシ(科)ではないが、カメムシ目(半翅目)の昆虫。


アリを襲うハリサシガメ/アリに襲われるハリサシガメ

今年は活動時期が早めだったのか、あるいは夏が暑過ぎたせいか……7月後半以降ハリサシガメを見る機会が減って、8月もほとんど見ることができず……今シーズンはペアを1組も確認していない。ようやく気温が落ち着いて、ハリサシガメ成虫が姿を見せるようになったが……活動シーズンも終盤といった感じがしないでもない。

瞬殺!ハリサシガメの狩り



雑木林のふちにある石垣に姿を現したハリサシガメ成虫♂。もっぱらアリを捕えて体液を吸う捕食性カメムシ。成虫は背中に逆ハの字模様があるのが特徴。


前胸背の両側に突き出した側角や、小楯板から突き出した棘状の突起も魅力。


このハリサシガメ成虫は腹がしゃくれている↑のでオス。撮り始めるとサッと動いた──と思ったら、近くを通りかかったアリに襲いかかっていた。電光石火の早技。あっという間にアリはしとめられていた。


このようすを撮ろうとカメラを近づけると、ハリサシガメは口吻の先に獲物をぶら下げて隠れようと右往左往!? ピンボケになってしまったが↑アリの頸にハリサシガメの口吻が刺さっているのがわかる。瞬殺したアリを口吻でぶらさげ移動するピンボケ画像──↓、




この↑あと、獲物をひっさげたハリサシガメは石垣の隙間に隠れてしまった。
別個体のハリサシガメ成虫↓。


この個体↑も直後に、やはり石垣の隙間に隠れてしまった。生きている虫はじっくり撮るのが難しい……。

活動を終えようとしている?ハリサシガメ成虫♂



後日、石垣の上で見つけたハリサシガメ成虫。不自然に体が傾き脚が浮いている。死骸かと思って触れてみるとゆっくりと動く。どうやら寿命を終えようとしているオスのようだった。


逃げる力は残っていないようなので、接写。


この個体は翅がやや長めだが、ハリサシガメは翅多型で、個体によってその大きさはバラバラ。オスに長翅型が多く、メスでは短翅型が多い印象がある。前脚と中脚の脛節(けいせつ)内側には脛当てのような器官があって僕はレガースと呼んでいる。獲物であるアリを押さえ込むさいの摩擦力を高める働きをしているのだろうと考えている。
この衰弱した成虫♂は触角や脚を動かすことはできるが体勢を制御することはでいないようす。仰向けにひっくり返すと起き上がれないが、その脚先に触れると、指先につかまる力は残っていた↓。


元気な時はなかなかじっくり撮らせてもらえないので、この機会に葉の上に乗せて接写↓。




この個体は左右の前胸背側角の間(前胸背後葉)にペールオレンジの紋が入っているが、紋が消失した個体もいる
直径20mmの1円玉に乗せての大きさ比較もしてみた↓。


エサであるアリに襲われる!?ハリサシガメ成虫♀



ハリサシガメは成虫も幼虫もアリを主食にしている。しかし、そのアリに襲われているハリサシガメ!? アリには申し訳ないが、拾い上げてみると、衰弱した短翅型の成虫♀だった。やはり活動も終盤なのだろうか……。普段アリをエサにしているハリサシガメもアリのエサになり得るということだろう。これも葉の上に乗せて接写。




よく見ると、短い左翅の縁が欠けている↑。回収時に背中に乗っていたクロヤマアリにかじられた痕かもしれない。


腹は(しゃくれた)オスと違い膨らんでいる↑。アリの体液を吸う口吻はカメムシの仲間としては短い。ハリサシガメの頭~胸あたりを見ていると、なんとなくコンドルを連想してしまう……というのは僕だけだろうか?


チャバネアオカメムシの羽化殻落とし

カメムシが羽化や脱皮の後に自らの抜け殻を攻撃して落下させる──そんな興味深い行動を僕は何度も観察している(*)。この《抜け殻落とし(羽化殻落とし・脱皮殻落とし)》には、寄生蠅や寄生蜂、アリなどが嗅ぎ付けて来ないように、抜け殻を生活圏の外へ廃棄する意味合いがあるのではないかと想像している。この行動をこれまでアカスジキンカメムシ(羽化殻落とし&脱皮殻落とし)・エサキモンキツノカメムシ(羽化殻落とし)・ツヤアオカメム(羽化殻落とし)で観察しているが、今回、チャバネアオカメムシで《羽化殻落とし》を確認することができた。

チャバネアオカメムシの《羽化殻落とし》



ケヤキの幹に羽化してあまり経っていないと思しきチャバネアオカメムシ&抜け殻を見つけた。もしかするとチャバネアオカメムシでも《羽化殻落とし》が見られるのではないか……と思って近づくと、成虫が抜け殻に近づき、頭突きを始めた──ので、あわてて撮り始める。


カメラを近づけると、警戒して動きを止めてしまったが……ほどなく《羽化殻落とし》を再開。画面上隅の数字は撮影時刻(時:分:秒)。


頭突きをするように抜け殻を押し、その下にもぐり込んで抜け殻を浮かす。そして《羽化殻落とし》の瞬間──↓。


風があったので羽化殻は下に落ちず横に飛ばされていった↑。


《羽化殻落とし》を終えたチャバネアオカメムシ新成虫↑。
《羽化殻落とし》の瞬間の前後をリプレイ風に↓。


これまで《抜け殻落とし》の記録には手こずることが多かったが、今回は意外にあっさりと《羽化殻落とし》を確認することができた。


全身緑色なのは、羽化後あまり時間が経っておらず、まだ本来の体色が現われていないため。やがて和名にもある「茶翅」になる。
近くにいた別個体のチャバネアオカメムシ成虫↓。


成虫になる前の姿──チャバネアオカメムシの終齢幼虫は、こんな姿↓。


キアイを入れれば(?)日本髪を結ったつり目の顔に見えなくもない? カメムシのニオイを嗅いで、しかめた顔──みたいな!?


周辺では数匹のチャバネアオカメムシの幼虫が見られた。カメムシは蛹を経ずに幼虫から成虫へと羽化する──これはセミと同じ。セミは頭を上にして羽化を始めるが、カメムシは頭を下にして羽化するものが多いように思う。
ケヤキの幹に下を向いてとまっていたチャバネアオカメムシ終齢幼虫↓。


頭を下にしてじっとしていることから羽化が近いと判断。27分後に戻ってみると、既に新成虫が誕生していた。抜け殻と絡んでいたので《羽化殻落とし》の最中かと思ったら……。


新成虫の左翅が抜け殻の中に残ったまま体が固まってしまったようだ。


羽化不全はしばしば起こる。こうしたシーンを見ると、脱皮や羽化は大変な作業なのだとあらためて感じる。
やはりケヤキの苔むした幹上で、羽化してまもないと思われるチャバネアオカメムシを見つけた。


画面の左側に下を向いた抜け殻。昆虫の脱皮や羽化を見るたびに思うが……よく、こんな小さな殻の中に収まっていたなと感心する。カメムシは抜け殻から出てくる新成虫や新幼虫の方が大きい(体を膨らませることで古い殻を破って体を押し出す?)。余談だが、ヘビの場合は逆に抜け殻の方が大きく(長く)なる


新成虫の翅がのびていく。抜け殻に近づいたので《羽化殻落とし》が始まると思いカメラを近づけると警戒して動きを止めてしまった。この新成虫は左触角が途中で欠けていた。


カメラを構えていると《羽化殻落とし》を始めないので、しばらく他を見て回り、戻ってくると、抜け殻も新成虫も消えていた……。
ついでに、先月撮影していた、(おそらく?)チャバネアオカメムシの初齢幼虫↓。