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2018年05月の記事 (1/2)

虹色宝石アカガネサルハムシ&ビロードハマキ



またまた虹色にきらめくアカガネサルハムシ

光沢美麗昆虫アカガネサルハムシ──今月既に2回記事にしているのだが、開いてみると、あまりキレイぢゃない……。タマムシに引けをとらない美しさをアピール&後押し(?)するつもりで投稿したのに、画像では実際の輝きは感じられず、アカガネサルハムシに申し訳ない……。このままでは、「アカガネサルハムシの名誉を傷つけた」としてアカガネサルハムシ連盟から「今後は撮影禁止!」と処分されかねない?
実際の輝きを再現することは無理だとしても、もう少し「虹色にきらめくメタリックな感じ」が出せないものかと、再々リベンジ。










金属光沢のある昆虫は陽射しや映り込む周囲の状況などの撮影環境で写り方が変わってくる。くもりがちな日にいくらかひらけた場所で良いモデル(あまり動かない)に出会ったときがチャンスだと思っているのだが……。
前回より良い条件で撮れたのではないか……と撮影してる時は思ったのだが……やっぱりイマイチ感は否めない。実際はもっと輝いているので脳内補正してみておくんなまし。今回のアカガネサルハムシ画像はすべて同一個体。

鮮やかなビロードハマキ(ビロウドハマキ)



クワの葉の上に風変わりな蛾が頭を下にとまっていた。漆黒のビロード地に黄色の水玉と赤い帯が鮮やかなビロードハマキ(ビロウドハマキ)。緑の葉の上でいっそう映えて見えたので、角度を変えながら撮ってみた。






ビロードハマキはハマキガ科の中で最大種だそうで、その上この配色なのだから、かなり見映えがする。こんなに目立ってしまって良いのだろうかと心配になってしまう。とまっているときの姿も、なんとも不思議な形に見える。こうした配色や体型には何か意味があるのだろうか?
目立つ配色には警告色のような効果でもあるのだろうか? 一見蛾には見えない形は、「目立っても、虫に見えない」ことで昆虫食のハンターからスルーされがちだったりするのだろうか?
こうしたデザインがもし生存率に有利に働いているのだとしたら、他に似たようなデザインの種類がいても良さそうな気がする。しかし、実際は似たような種類はいないようなので、「たまたま、こんなユニークな姿になっちゃったけど、生存率には支障がなかった」感がないでもない?

ところで、このビロードハマキ──僕は「とても美しい」と感じるのだが、「気持ち悪い」と感じる人もいるようだ。蛾や昆虫にはありがちなことだが、同じ虫を見ても人によって好き嫌いが大きく分かれることがある。
昆虫自体の姿や生態に対する関心とは別に、個人的には昆虫に対するヒトの反応──認知の仕組みにも興味を覚える。
ビロードハマキにしてみれば、そんなヒトの認知よりも、昆虫食のハンターたちにどう認知されるかが重要なのだろうが……。


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ハリサシガメ脱皮後の再装備は?

擬装する珍虫ハリサシガメ





雑木林ふちの石垣に、今年もこの昆虫が姿をみせるようになった。土粒をまといアリの死骸などを背負って擬装するユニークなハリサシガメの幼虫だ(成虫は擬装しない)。




ハリサシガメは幼虫も成虫もアリを狩る捕食性カメムシ。かなりおもしろい昆虫だと思うのだが……その割にこの虫に関する情報は少ない。
しかたないので、素人観察で謎解きに挑んでいるが……「なるほど、そうだったか」と驚いたり納得することがある一方、解明できずにいる疑問も少なくない。
そんなハリサシガメについて、今更ながら、こんなサイトを見つけた。


このサイトではハリサシガメの生態に関して興味深い情報が紹介されていた。ただ、使用されていた画像は外国産の種類ばかりだったので、僕が観察している(日本産の)ハリサシガメとは異なる部分もあるかもしれない。
そこで、このサイトのハリサシガメ情報を見て感じたことを、《僕の観察・考察と合致する点》《知りたかった点》《僕の観察とは異なる点》に分けて記してみることにする。

僕の観察・考察と合致する点:擬装の意味

ハリサシガメの特徴といえば、幼虫が土粒をまといアリなどの死骸を背負うことだ。そしてこのユニークな姿を見れば、まず思い浮かべるのは、「この擬装には、いったいどんな意味があるのか?」という疑問だろう。
前記サイトではこの擬装について、《自分のニオイをごまかす》意味もあるというような解説をしていた。この点は僕の観察&考察と合致する。

ハリサシガメが土粒をまといアリの死骸などをデコレーションするのは、一見、体を隠す視覚的カムフラージュのように見える。もちろん昆虫食の捕食者に対しては、そういった効果もありそうだが、アリの行列のすぐそばでハンティングするようすを観察していると、アリに対する擬装工作としての意味合いが強いのではないかと思えてくる。アリは一般的に視覚はあまり良くはないそうで、触角で触れてニオイで相手を識別しているらしい。そこでアリの触角タッチで正体がバレないよう、ハリサシガメは土粒で体の表面を覆っているのではないか──つまり、土粒コーティングには「自分のニオイを隠してアリをごまかす擬装工作」の意味があるのだろうと僕も推理していた。
あくまでも個人の素人想像だったのだが、《自分のニオイをごまかす》という見方があることを知って、僕の解釈もまんざらではなかったかと思った。

僕が知りたかった点:どうやってデコるのか?

「擬装の意味」については関心の1つだったが、それでは、ハリサシガメ幼虫は土粒やアリの死骸などの擬装素材を「どうやって体に貼り付けているのか?」という疑問も当初から知りたいことの1つだった。

僕はハリサシガメの羽化殻に残されていた擬装素材を剥がしてみたことがある。そのとき素材同士がくっついていたので、「何らかの粘着物質で接着するのだろう」と考えた。その接着剤にあたる物質を体から分泌するのか、口から吐き戻すのか、排泄するのか、あるいは臭腺開口部から分泌される液が接着剤の役割りを果たすのか……色々な可能性を思い描きながらハリサシガメ幼虫のデコレーション行動を観察してみたが、結局よくわからなかった。
これについては、昆虫学の大家・岩田久二雄氏が『昆虫を見つめて五十年(II)』(朝日新聞社/1978年)という本の中に次のように記されている。

吸血をおわるとサシガメは不器用なかっこうをしながら、前肢でその吸殻を自分の背中に押しあげた。それはしっかりと糊着されるわけではなく、ただ乗せられるだけであるが、何分忙しげに走りまわれるたちの虫ではないので、それらの無様な積荷が崩れおちるおそれもない。後になっていよいよ最後の脱皮を終えて成虫になり、その吸殻の山をくっつけた抜け殻が、すっぽりぬぎすてられた時に、初めて明らかになったのだが、いちばん下層の吸殻はカメムシの背中の棘にひっかかっていて、上層のものは下層のものの付属肢と、もつれあって巧くとまっているのであった。(『昆虫を見つめて五十年(II)』P.96)

この部分は岩田久二雄氏の間違いだと僕は思っている。僕の観察では捕食後のアリの死骸(岩田氏のいうところの《吸殻》)は、《前肢》ではなく、決まって「後脚」で背中にデコられる。羽化殻の擬装素材を剥がしたとき、土粒同士もくっついていた。付属肢などない土粒同士が《もつれあって巧くとまっている》ことは考えられず、これは岩田氏が否定している《糊着》だろう。
これについては、「きっと多くの人はド素人の僕の観察より、岩田久二雄氏の著書の記述を信じるのだろうな……」と思っていた。
しかし、先のサイトでは、擬装行動について《ペースト状のフンを使って食べかすを貼り付けていると言われている》と解説されていた。
これは大いにありそうだと感じた。幼虫がアリを背中に貼りつけるさいには、後脚で尻の方から既に背負った素材と背中の間に押し込むような動作を見せる。このときペースト状のフンをぬりつけているとすれば、筋は通る。

僕の観察とは異なる点:脱皮後の再装備は?

先のサイト情報には納得できる部分も多かったが、疑問に感じる点もいくつかあった。明確に「僕の観察とは違う」と感じたのが、ハリサシガメ幼虫は脱皮後、いつ・どのようにデコレーションの再装備をするかという点についての説明だった。先のサイトでは《脱皮のとき、そばに残骸を置いておいて、終わったらちゃんと背負いなおす》という解説がされていた。

脱皮後の擬装素材の装備は、いつ・どのように行われるのか──という疑問は僕も当初から抱いていた。擬装がアリ狩りに必要な(身を守る)アイテムであったとするなら、脱皮後丸裸で狩りに行くのは危険だ。おそらく狩りの前に土粒コーティングをするなり、アリのゴミ捨場で死骸を調達してデコるのだろうと当初は想像していた。
ところが、ハリサシガメの脱皮殻をみつけ、背中から擬装素材が剥ぎ取られていることに気がついた。脱皮の前に貯えてきた擬装素材は脱皮後、引き継がれ再利用されるのだと考えを改めた。
先サイトの解説にあった《脱皮のとき、そばに残骸を置いておいて、終わったらちゃんと背負いなおす》という説(?)も「脱皮後の幼虫が、脱皮前に背負っていた素材を背負っている/脱皮殻からは擬装素材がなくなっている」という状況を見て(実際の脱皮のシーンは確認せずに)、そう判断したのではないか……という気がしないでもない。

しかし、実際に脱皮を観察する機会があって──大いに驚いた。ハリサシガメ幼虫は「脱皮しながら擬装素材(残骸)を引き継いでいた」のだ。




(※【ハリサシガメぷちまとめ2】より再掲載↑。実際は鉛直面に頭を下にして脱皮している)
擬装素材は脱皮殻に付着している。新幼虫が擬装素材を背負おうとすれば脱皮殻もくっついてきてしまう。背負った擬装素材にくっついてくる脱皮殻を後脚を使って引き剥がす──という形で脱皮&擬装素材引き継ぎが行われていたのだ。
つまり──、

①脱皮前に擬装素材(残骸)を外し、そばに置いておいて
②脱皮を行う
③脱皮後、擬装素材(残骸)を背負いなおす

のではなく──、

①擬装素材(残骸)をつけたまま脱皮を開始
②脱皮しながら新幼虫が擬装素材(残骸)を背負う
③擬装素材(残骸)から脱皮殻を引き剥がす

という手順で行われていたのだ。
ときに③にてこずることがあるのだろう、脱皮殻を背負った幼虫や、背負った擬装素材(残骸)から脱皮殻を剥ぎ取ろうとする幼虫を目にすることが何度かあった。




このシーン↑も【ハリサシガメぷちまとめ2】からの再掲載↑。
今シーズンも、抜け殻を背負っていた幼虫が、抜け殻を剥がしたと思われるケースを2例見ている(剥がすシーンは見ていない)。
直近の例↓。


何日か前、脱皮殻を背負っていた幼虫がその後見た時には剥がしていたということがあったので、このときも剥がすのではないかと思って30分後に見に行くと──、




やはり脱皮殻を剥がしていた。アリの死骸やアリが廃棄したような虫の残骸などは積極的にデコるのに、自分の抜け殻はデコレーションから排除しようとするのが興味深いところ。擬装がアリの嗅覚を欺くためのものだとしたら、自分の(ニオイがついた)脱皮殻を排除するのは理にかなっている。そんなふうに僕は解釈している。
ハリサシガメについては色々と思うところが多い……。

ハリサシガメぷちまとめ
ハリサシガメぷちまとめ2
珍虫ハリサシガメ
ハーリーをさがせ!ハリサシガメ幼
ハリサシガメの抜け殻
ハリサシガメ幼虫の粘着性物質は水溶性!?
ハリサシガメ:幼虫・抜け殻・成虫
ハリサシガメの捕食
ハリサシガメは翅多型/腹の大きなメス
アリをデコったハリサシガメ幼虫
ハリサシガメ幼虫のデココレ素材
ハリサシガメ幼虫の装飾行動 ※ハリサシガメ幼虫はどうしてデコるのか?
ハリサシガメ幼虫の狩り
ハリサシガメの脱皮殻
ハリサシガメ:脱皮後の《荷移し行動》
ハリサシガメ幼虫のデコレーション&コーティング
捕食したアリをデコるハリサシガメ幼虫
ベールを脱いだハリサシガメ
「ハ」は「ハリサシガメ」のハ
ハリサシガメのペア
謎めいたハリサシガメの脱皮
翅多型のハリサシガメ
ハリサシガメのレガース
ハリサシガメの腹
本とは違う!?ハリサシガメ
レガースで獲物を保定するハリサシガメ
ハリサシガメの単眼&脛節など
ハリサシガメ幼虫と脱皮殻
ハリサシガメ幼虫のスッピン
ハリサシガメの捕食~擬装行動
白腹のハリサシガメ幼虫
クロオオアリを狩ったハリサシガメ幼虫
ハリサシガメの羽化殻&脱皮殻
ハリサシガメ:初成虫&若齢幼虫
ハリサシガメとファーブル昆虫記
ハリサシガメ羽化殻のレガース
パリコレならぬハリコレ~ハリサシガメ幼虫:擬装の意味
★ハリサシガメ記事一覧">★ハリサシガメ記事一覧

虹色光沢アカガネサルハムシ

先日アカガネサルハムシの記事(【虹色の宝石!?アカガネサルハムシ他】)を投稿したばかりだが……今回もアカガネサルハムシ。といっても何か新しい発見があったというわけではない。先日の記事以降も、アカガネサルハムシを見ると「もう少しキレイに撮れないものか……」とカメラを向けてしまい、結局満足のいく画像は撮れずに試し撮りをくり返して未投稿画像がたまってしまった……といった状況。アカガネサルハムシはお気に入りの昆虫でもあるし、知名度向上のため(?)後押しておいてもよかろう……ということで。

虹色の金属光沢を放つアカガネサルハムシ











実際のキラキラ感がうまく記録できないのがもどかしい……。アカガネサルハムシの配色は、頭部・前胸はメタルグリーン、上翅は光沢のある赤銅色で会合部と縁がメタルグリーン──といった感じだが、光の加減や見る角度によって色合いが変化する。








メタリックな美麗昆虫の代表・ヤマトタマムシも、光の具合で色合いが変わって見え、このことから「玉虫色」(解釈に幅=曖昧さを持たす)などという言葉が使われるが……元祖タマムシよりもアカガネサルハムシの方が「玉虫色」の度合いは高いように思う。








光沢美麗昆虫の代表・ヤマトタマムシが緑を基調とした印象があるのに対し、アカガネサルハムシは赤っぽい印象がある。ボリューム感では圧倒的な格差(ヤマトタマムシの体長が30~41mmなのに対しアカガネサルハムシは体長5.5~7.5mm)があるが、メタリックな輝きはアカガネサルハムシだって負けてはいない。「玉虫色」の多彩さにおいてはむしろアカガネサルハムシが勝っているようにも見える。


タマムシ(ヤマトタマムシ)の知名度の高さに比べるとアカガネサルハムシは意外に知られていない気がする。実力(?/美しさ)以上に認知度に差があるのが、ちょっと悔しい?
頑張れアカガネサルハムシ! 負けるなアカガネサルハムシ!!

体型も大きさもよく似たトビサルハムシ



アカガネサルハムシ同様によくみかけるサルハムシにトビサルハムシがいる。プロポーションも大きさもアカガネサルハムシによく似ているのだが、印象はずいぶん違う。派手なアカガネサルハムシに対してトビサルハムシは地味。カメラを向ける機会も少なかったが、今回アカガネサルハムシとの比較で撮ってみた。


よく見るとしぶい魅力があるようにも思うが……似た仲間にアカガネサルハムシがいることで「地味な方」的な印象があって、ちょっと気の毒な感じかしないでもない?
上翅の白い模様は、白い毛が密集して作っているようだ。


立派な触角ヒゲコメツキ

立派な触角のヒゲコメツキ♂とブルウィンクル



葉の上にヒゲコメツキのオスがとまっていた。なんと立派な触角だろう。天空でソアリングする鳥の広げられた翼を思わせる。このりりしい姿はコメツキムシの仲間の中でも異彩を放っている。
見かけるとカメラを向けたくなるが、この立派な触角を持っているのはオスだけ。メスの触角は鋸歯状。比較用に過去に撮ったメスの画像を探したら、2015年の6月に撮ったきり……やはり見映えのするオスと比べるとメスはスルーしがちなのであった……。


オスとメスの見た目の違いは触角で顕著だが、眼もオスの方が大きい。これはオスがメスを見つけるための機能拡張のためだろう。眼が大きければメスを見つけやすいだろうし、触角の表面積が広ければメスのニオイ(フェロモン)を察知しやいのだろう。
しかし──それにしても立派な触角だ。ヒゲコメツキ♂の触角が立派なのは「メスの放つフェロモンをキャッチするため」と考えられているそうだが、「これほど立派な触角が《必要》だったのだろうか?」とも思えてくる。他のコメツキムシたちは、こんな立派な触角が無くても、ちゃんと生きのびて来ている。ヒゲコメツキ♂の立派な触角が進化のどの時点で獲得されたのかは知らないが……「ヒゲコメツキのオスがメスと出会うためにこれほどの触角が《必要》だった」のだとすると、「オスが触角を櫛状に進化させる前は、どうやってメスと出会っていたのだろうか?」ということになる。
オスの触角が櫛状になる前には、それでもちゃんとメスを見つけることはできていたはずだ(でなければ生き残っていない)。櫛状の触角を持つオスが出現したことで、メス探しに有利なオスが優勢になってその子孫に特徴が受け継がれ顕著化したということなのだろうか? 触角を発達させることで繁殖率を向上させることができるのであれば、他のコメツキムシの中にももっと触角を発達させた種類が多くいてもよさそうな気がする。
他のコメツキムシと比べるとやたらと立派な触角は、単に「機能拡張」のためというより、イレギュラーな(?)過剰形成的なところもあるのではないか──そんな気がしないでもない(必要がないから他の種ではこれほど発達しなかった/あってもさほど不都合は無いからヒゲコメツキ♂ではこの特徴が受け継がれている)。
あるいは、これだけ立派な触角なのだから、メスをめぐるオス同士の争いで、ボリュームのある触角は威圧効果が高い(→メスの獲得率が高まる)──みたいにコトでもあるのではあるまいか……。そんな想像も湧いてきたりする。
ホントのところはわからないが、「それにしても立派すぎる触角」には意味深オーラを感じてしまう。

さて、立派な触角を持つヒゲコメツキ♂だが──この虫に出会うと僕は子どもの頃に見ていた海外アニメ『空飛ぶロッキー君』に出てくるブルウィンクル(ヘラジカ)を思い浮かべてしまう。
ヒゲコメツキ♂を見てブルウィンクルを連想するのは僕だけであろうか?


ムササビのロッキー君(画面右)とヘラジカ(ムース)のブルウィンクル↑。

ハリサシガメ幼虫と脱皮殻

今シーズン初のハリサシガメ幼虫





今シーズン初のハリサシガメ幼虫を5月19日に確認した。初めてハリサシガメに出会ったのは一昨年の7月下旬。その時は成虫と終齢幼虫が混在していた。キレイなデザインの成虫と土粒をまとい虫の死骸等を背負ったユニークな幼虫が同じ種類の昆虫とは現場では気づかなかった。帰宅後調べて「ハリカメムシ」を知り、がぜんこの虫に興味がわいのだが……とてもおもしろい昆虫のわりにこのカメムシに関する情報は少ない。いつ頃から活動するものなのかもわからず、昨年は気をつけて発生場所をチェックしていたたところ、5月31日に初個体(幼虫)をいくつか確認。今年はさらに気をつけていて、5月19日に2匹を確認することができたしだい。すでに土粒とアリなどのデコレーションをしており、いつ頃から活動を開始していたのかは今年もよくわからなかった。
とりあえず、この段階では小さいながらあるていど育っている(2齢以降?)。記録程度にと思って数枚撮っておいたのだが……帰宅後、画像をチェックしてみると、このうちの1匹が背負っていたデコレーションの中に自身の若齢脱皮殻と思われるものがあることに気がついた。




こうなると↑、一見どっちを向いているのかもわからない!? 「く」の字型の触角がある方が頭部なのだが、ボデイラインはおおい隠され、背中のデコレーションからつきだした虫の脚がまぎらわしい……。この触角とまぎらわしい虫の脚が、ハリサシガメの脱皮殻の後脚だった──と、気づいたのは帰宅後、パソコン画面で画像をチェックしていたとき。
この画像を見て、去年も1度同じような光景を見ていたことを思い出した。
自分の脱皮殻を背負う昆虫はいる。セモンジンガサハムシなどもそうだが、多くは視覚的擬装としてのカムフラージュではないかと思う。ハリサシガメの場合は、獲物であるアリに対するもの──嗅覚的な擬装の意味あいが大きいのではないかと僕は考えている。アリに近づいても(アリが接触してきても)ニオイでバレないように土粒で体をコーティングし、アリが廃棄したゴミ(昆虫の死骸)をデコっているのだろうという解釈。だとすれば、自分のニオイのついた脱皮殻をかついでいたのでは都合が悪いのではないか……という気がする。
ハリサシガメは狩ったアリなども背中にデコるが、抜け殻に関しては積極的に背負うわけではない。僕の観察ではハリサシガメは脱皮する際に(脱皮しながら)古い殻が背負っていたデコ素材を引き継いで行く。その過程で、デコ素材とつながっている脱皮殻がいっしょにくっついてきてしまうのだ。脱皮後、それを引き剥がす行動も観察したことがあったので、自分の脱皮殻は排除する習性があるのではないかと考えていた。去年見た《自分の脱皮殻を背負ったハリサシガメ》は、たまたまその離脱が上手く行かなかったケースなのだろうか……などと想像していたのだが、よくあることなのだろうか?
脱皮殻を背負った個体をもっと観察しておけばよかったと悔やみ、近く確かめに行かなければ……と思った。

アリをデコったハリサシガメ



ということで、2日後に発生場所に行ってみると、まず石垣の上に1匹ハリサシガメ幼虫が出ていた。先日見た2匹とはおそらく別個体。


アリの死骸をデコっている。ちょっとわかりづらいがこの幼虫は画面左手前を向いている。まだ小さく、直径20ミリの1円玉と比較すると、こんな感じ↓。


自分の脱皮殻を背負ったハリサシガメ

さて、問題の自分の脱皮殻を背負ったハリサシガメ幼虫がいたポイントを探すと……若齢幼虫の抜け殻をデコっている個体を発見!


先日見た個体よりもデコレーションが増え、その配置もじゃっかん変化しているが、同じ個体ではなかろうか!? 帰宅後、画像を比較してみると、デコレーションの中に共通する素材(水色矢印)があり、脱皮殻に付着した土粒の位置等も符合することから、やはり同じ個体のようだった。


現場では、他の個体がいないか石垣を一通り見て戻ってくると(その間約10分)……先日2匹を見たのと同じ石垣の隙間に2匹がかたまっていた。1匹はデコレーションから先日見たもう1匹の方であるとわかった。先日見た2匹だろうと思ったのだが……よく見ると、もう一方に脱皮殻がついていない!?──と、思いきや、近くに落ちていた!?


画面右のハリサシガメ幼虫が先日・そして先ほども確認した脱皮殻を背負っていた個体だと思ったのだが……そのデコレーションに脱皮殻はなく、手前に落ちている!? これは今しがた、引き剥がしたということなのだろうか? 画像を確認すると、先ほど脱皮殻を背負っていた個体と同じ素材(黄色矢印)を背負っているので、やはり同一個体のようだ。2日間背負っていた脱皮殻を、この10分の間に脱ぎ捨てたということなのだろうか? なんともフシギな気がするが……やはり自分の脱皮殻は排除したいのかもしれない。
とりあえず、脱皮殻を回収。


これまで見たハリサシガメの抜け殻の中で一番小さい。カメムシにしては短めの口吻がハリサシガメっぽさをかもしている。脚やその基部は黒く硬い組織だが、腹は透明な部分が多かった(終齢に近い抜け殻では腹は黒っぽかった)。




去年回収した脱皮殻の画像と比較してみると──、


一番大きい脱皮殻(画面右端)は羽化時のものではないので、おそらく脱皮後が終齢幼虫だったのではないかと思う。終齢幼虫が5齢であるとすれば、この(画面右端の)脱皮殻は4齢のもの、画面中央が3齢で、それより小さい今回の脱皮殻は2齢幼虫のもの(3齢に脱皮したさいの抜け殻)ではないか……と想像する。
今回みつけた脱皮殻と羽化殻から付着物を取り除いた画像を並べてみると──↓、


腹の色が違う(若齢脱皮殻では透明/羽化殻では黒)。
ハリサシガメについては色々なシーンを見て、あれこれ考えることも多いが、ぷちまとめの記事を作ってある。


アカスジキンカメムシの羽化他

アカスジキンカメムシの羽化(完全版)

羽化後の新成虫による《羽化殻落とし》(後述)を観察すべくアカスジキンカメムシを探していると、ツツジの葉の裏に、うってつけ(理由は後述)のターゲットを発見。遠目には2匹並んだアカスジキンカメムシ終齢(5齢)幼虫に見えるが、1つは羽化後の抜け殻(羽化殻)で、もう1つはミの入った終齢幼虫だった。


アカスジキンカメムシはふだんは頭を上にしてとまっていることが多い。しかし、脱皮や羽化のときは頭を下にする。この終齢幼虫は頭を下向きにとまっていたので羽化が近いと判断。羽化の流れで《羽化殻落とし》までを記録できれば申し分ない──ということで注目していると、腹を上下に動かしたり、ピクリと震えるような動きが見られはじめたので、いよいよ羽化が迫ってきていると感じた。
ちなみに幼虫の黒っぽい部分(鈍い金属光沢がある)は硬い組織で、白い部分は軟らかい組織。成長にともなって広がるのは白い部分で、そのため脱皮後は黒い模様が詰まって見え、羽化(次の脱皮)前は広がって(白い部分の面積が多く)見える。この白い部分は抜け殻では半透明になる。この時点で見えている「白」は半透明の組織越しの新成虫の体だということが、羽化が始まるとわかる。


終齢幼虫の背中が割れて羽化が始まった。古い殻の腹端の中で新成虫の腹が移動して行くのが半透明の組織越しに確認できる。画面隅の数字は撮影時刻(時:分:秒)。


触角や脚がゆっくりと引き出されていく。白い糸のようなものはセミの抜け殻でもみられる気管だろう。


触角、前脚と引き抜かれ……、


中脚・後脚も引き抜かれていく。


腹端で体をささえ、逆さのまましばらくじっとしているが、やがて葉をつかみ、


腹端を抜いて羽化殻からの離脱を完了。


離脱した新成虫は、向きを変え(頭を上に向け)抜け殻と対峙する形になる……と予想していたが、カメラの方を見ると(?)反対向きに方向転換して……。


若干カメラを遠ざけるような形で上を向いて安定した。──と、ここまでで「羽化」は完了(体色か本来のものになるまでには更に時間がかかる)。羽化するモデルを見つければ羽化のようすを撮影することは難しくない。難関はこのあとの「本来なら基本的には行われるだろうと思われる《羽化殻落とし》」──これを無事に記録できるかだ……。

《羽化殻落とし(抜け殻落とし)》とは…

羽化した新成虫は羽化殻の近くでしばらくじっとしているが、(ある程度体が固まってくると?)抜け殻を攻撃して落とす──アカスジキンカメムシでは脱皮後の幼虫を含めてそんな行動を何度も確認していて、僕はこれを(勝手に)《抜け殻落とし》と呼んでいる(最近、羽化に関しては《羽化殻落とし》を使うことにした)。《寄生蜂や寄生蝿・アリなどを呼び寄せかねない手がかり(抜け殻)を生活圏の外へ破棄する意味合いがあるのではないか》と考えているのだが、これは単なる個人的な想像にすぎない。
今回の羽化観察の舞台となった葉の裏には、抜け殻が残っていた。《羽化殻落とし》が行われないこともあるということだ。
まだ体色が完全に整っていない新成虫が見つかると、羽化が行われたはずの近くの葉の裏には抜け殻が見つからず、直下に落ちていることが多いことから(風などで飛ばされたのなら直下には落ちない)《羽化殻落とし》は基本的には行われるのだろうと考えているが、葉の裏に放置された羽化殻もないわけではない。
以前観察した例では、羽化後に飛来したテントウムシに接触した新成虫が抜け殻を残して逃去った(その後戻ってこなかった)ということがあった。また、落とす瞬間を記録しようと近くでスタンバっていると警戒してなかなか《羽化殻落とし》を始めないこともある(その場を離れた間に抜け殻が落とされている)。
さて、《羽化殻落とし》について関心を持つようになって抱いていた疑問がある。「新成虫が羽化した葉の裏に、他の個体の羽化殻が残されていたら……新成虫はどうするのか?」ということだ。「自分の羽化殻だけを落とすのか? 自他とは関係なく近くにあった1つを落とすのか?(1つ落とせば行動欲求は解消するのか) それとも葉の裏にある別の羽化殻もすべて排除するのか?(羽化殻がある限り行動欲求は解消しないのか) あるいは全てを放置するのか?」ということだ。《羽化殻落とし》に生存率を高める意味があったとしても、昆虫がそれを理解して行っているとは思えない。羽化殻を落とすという行動が、どういうシステムで成り立っているのか興味がある。
「新成虫が羽化した葉の裏に、もし他の個体の羽化殻が残されていたら……」というシミュレーションを想像していただけに、今回、羽化殻が残されている葉の裏で羽化を始めようとしている幼虫を見て、これは「うってつけ」だと思ったわけである。

説明が長くなったが……そんなわけで、今回羽化を観察したアカスジキンカメムシの《羽化殻落とし》には期待が高まる。
じっと近くでスタンバっていると警戒して《羽化殻落とし》を始めないかもしれないので、ときおり経過記録の画像を撮るときだけ近づき、あとは少し離れて見守ることにした。
が……この「時々近づく方式」が良くなかったのか……新成虫は半分隠れたような位置で2時間ほどほとんど動かなかった。やがて抜け殻を残し、葉の表側へ移動してしまったので《羽化殻落とし》は、もう行われないだろうと判断してその場を離れた。


羽化殻が2個あったために《羽化殻落とし》が発動しなかったというより、観察されて警戒してのことではないかという気がする。
念のため2時間後に戻ってみるが、やはり羽化殻は葉の裏に2つ残されたままだった。


このとき「!?」と思ったのが、近くにいた別の新成虫と今回観察した新成虫の体色の整い方に違いがあるということだ。今回観察していた新成虫は、本来の体色であるグリーンの部分が前胸から整っているのに対し、別の新成虫では逆に前胸で遅れている。これまでどの個体も同じように変化して行くのだろうと思っていたが……ちょっと意外だった。

触れることなく《羽化殻落とし》!?



これは別の葉の裏で羽化中のアカスジキンカメムシ。


この角度からだと「縮れた翅」のようにも見える小楯板がしだいに伸びていくのがわかる。


葉につかまって腹端を外す。


離脱後、抜け殻と対峙する新成虫。


時折、触角を起こすので、《羽化殻落とし》に備えて接写の体勢をとるが……警戒してそのつど触角を倒して静止モードに戻ってしまう。


抜け殻の近くに留まっているうちは《羽化殻落とし》をする気がある(?)と判断して待ち続けていたのだが……。


新成虫は別の葉へと移動してしまった。どうしてとまっていた葉の表ではなく別の葉へ移動したのか、ちょっと不自然な気はしたが……じつは、この前後の画像にアリが写り込んでいた。不覚にも撮影中はアリに気づかず、新成虫が大きく離れてしまったので《羽化殻落とし》をしないと判断して観察を終了することに。




11時55分台に新成虫と抜け殻を入れた画像を数枚撮ってその場を離れた。羽化殻を引き剥がすアリの拡大画像はそのとき気づかずに撮ったもののトリミング。
観察を終了した15分後にのぞいてみると、新成虫は離れた葉にとまっていたが、羽化殻が消えていたので驚いた。そこで腑に落ちないまま状況の追加撮影。


新成虫が羽化殻を落としに戻って、また離れた葉の裏に移動したとも思えない……。離れた場所から触れずして羽化殻を落とす、アカスジキンカメムシの超能力か!?
アリが羽化殻を葉から外していたことに気がついたのは帰宅後、画像を整理している時だった……。
《抜け殻落とし》の意味について、抜け殻が残されているとアリをアカスジキンカメムシの生活圏に呼び寄せることになる──それを回避するためという可能性も想像していたが、実際にアリが羽化殻に集まることがあるのだということが確認できた。期待した《羽化殻落とし》は見られなかったが、これは予想外の収穫だった。
観察中に新成虫が離れた場所へ移動したのも、アリを嫌ってのことだったのかもしれない。

見てないところで《羽化殻落とし》は行われる!?

接写で撮影しようとすると、なかなか見せてくれない《羽化殻落とし》だが、監視していないととどこおりなく実行される?


葉の裏で羽化殻と対峙している羽化直後の新成虫。この場所は見づらく撮りづらいところだったので、継続的な観察対象から外した。その瞬間を見ることはあきらめて、2時間40分後にのぞいてみると、羽化殻はなく、新成虫が葉の表に出ていた。おそらく《羽化殻落とし》をしたあとに葉の表に移動したのだろう。《羽化殻落とし》の観察は、ちょっともどかしい……。



【追記】まだ体色が薄い羽化まもないアカスジキンカメムシ新成虫。ここで羽化したのだろう。しかしこの葉の裏に羽化殻はない。ということは、すでに《羽化殻落とし》が行われていたに違いない。見ていないと《羽化殻落とし》は速やかに行われる!?
一方、冒頭の羽化観察で《羽化殻落とし》が行われなかった羽化殻は3日後も、また葉の裏に残っていた。




虹色の宝石!?アカガネサルハムシ他

虹色に輝くアカガネサルハムシ

ノブドウの葉の上にアカガネサルハムシを見つけた。珍しい昆虫ではないが、すこぶる美しい。ヤマトタマムシなど光沢美麗昆虫は色々いるが、メタルカラーの多彩さではアカガネサルハムシが秀でている。赤~黄~緑~青~紫……虹のように輝くメタルカラーが素晴らしい。


いつもは動き回ってなかなか撮らせてくれないアカガネサルハムシが、めずらしくじっとしている……と思ったら排泄中!?──動かずにいるというのはシャッターチャンスでウンが良いのか!? しかし、この姿勢では顔が見えないので、葉を動かして顔の見えるアングルを模索……すると、アカガネサルハムシは動き出して葉の裏側にまわり込もうとした。


葉の裏に移動しようとするアカガネサルハムシ↑。葉の裏に隠れたので葉を裏返すと……さらにその裏へ(葉の表へ)まわり込む……。そんなことを繰り返しているうちに、葉の縁でアカガネサルハムシの動きが止まった。




よく見るとノブドウの葉を齧り始めていた。食事中も撮影のチャンス!?
しばらく葉を食べていたのでそのようすを撮るることができた。








光沢昆虫は画像にすると実際のキラキラ感はかなり目減りしてしまうのだが……それでも、かなり美しい。光沢美麗昆虫の代表ヤマトタマムシ(体長30~41mm)に比べるとアカガネサルハムシはボリューム感で劣るものの(体長5.5~7.5mm)、美しさにおいては決して引けをとらないアッパレな虫だと思う。

ハチっぽいハエ・ムネグロメバエふたたび



アカガネサルハムシが「美しい昆虫」なら、ムネグロメバエは「おもしろい昆虫」といった印象。先日、【蜂擬態!?ムネグロメバエ】で初めて見た昆虫だが、これで(ハチっぽい容姿なのに)ハエだというところに面白味を感じた。その後目にする機会があったので、あらためて撮ってみたもの。


ハチに擬態した昆虫は少なくない。蛾やカミキリなどでもハチに似たものがけっこういる。毒針を持つ危険昆虫ハチに似せることで天敵を回避して生存率を高める生存戦略が有効ということなのだろう。その強面のハチに寄生するハエ──というところも意外でおもしろい。普通、ハチとハエといったら、ハチの方が断然強そうな気がするが……ムネグロメバエはハラナガツチバチなどに寄生するらしい。

最近見た虫から…



アシナガオトシブミは5月中旬に雑木林で2度見ている。雑木林の縁にはウラナミアカシジミ(成虫)の姿もあった。


止まっているところに近づくと、後翅をこすり合わせ、尾状突起を上下に動かしてみせる──これは虫の触角の動きを思わせる。尾状突起の根元には眼状紋もあるので、天敵に偽の頭部と誤認させる陽動効果がありそうだ。実際、尾状突起付近を失った個体を見ることも少なくない。頭部を狙われていれば致命的だが偽の頭部に攻撃を誘導したことで生き延びることができたということなのだろう。
やはり雑木林の縁に出ていたミズイロオナガシジミにも似たような尾状突起がある。


チョウではないが、なかなかキレイな蛾↓。


ウコンカギバは成虫よりも幼虫に魅力を感じるのだが……。


※↑【葉上のドラゴン:ウコンカギバ幼虫】より


羽化殻落とし@アカスジキンカメムシ



葉の上に新成虫が目につくようになったアカスジキンカメムシ。しかし終齢幼虫の姿もまだそこかしこに見られる。ということは、羽化後の《抜け殻落とし》を観察するチャンスはまだあるということだ。
さて、以前記した《抜け殻落とし》関連の記事にいただいたコメントの中に「羽化殻」という言葉があった。なるほどこれは「羽化後の抜け殻」をわかりやすく示す便利な言葉だと感心。僕も使わせてもらうことにした。
ということで、《羽化殻落とし》──これが見られる今の時期に見ておかねば……と、つい、アカスジキンカメムシを探してしまう。その瞬間をキレイに撮るのは僕には難しそうだが……とりあえず観察例を増やしておきたい。

頭上で行われた《羽化殻落とし》



ムクゲのやや高い葉の裏で羽化中のアカスジキンカメムシを見つけた。撮影するにはちょっと遠い……しかし《羽化殻落とし》の確認をしておこうと観察を始めた。いちおう経緯は記録程度に撮影。画面すみの数字は撮影時刻(時:分:秒)。


①羽化中のアカスジキンカメムシ(羽化の詳しいようすは→【アカスジキンカメムシの羽化《抜け殻残し》のケース】)。②離脱した新成虫が向きを変える。③羽化殻と頭をつき合わせるような形。この時点で羽化殻の脚は葉から外れかけていた。④しばらくじっとしていた新成虫が動き出す。⑤頭で羽化殻を押しながら前進。⑥葉の根元付近まで前進して羽化殻を寄り切るように羽化殻を落とす(この直後に羽化殻は落下)。⑦羽化殻落としを終えたアカスジキンカメムシ新成虫。
これまで観察してきた《抜け殻落とし》(《羽化殻落とし》や《脱皮殻落とし》)では、新成虫・新幼虫が頭突きで抜け殻を浮かせ、その下にもぐり込むように前進をすることで抜け殻を引き剥がして落とすような動作が見られた。

《羽化殻落とし》の新たなワザ!?



こちらは、やけに小さな葉の裏で羽化したアカスジキンカメムシ。見つけたとき、成虫は足場がないので羽化殻にしがみついていた。これまで見てきた《抜け殻落とし》では、新成虫・新幼虫は、ちゃんと足場を確保し、ふんばることで抜け殻を押し出すことができていたように思われるが……この状況で新成虫は《羽化殻落とし》をするための足場をきちんと確保できるのだろうか?


①新成虫は羽化殻につかまっていたが……。②葉のふちにもつかまる。


③この時点では、羽化殻の右前脚はちゃんと葉の縁をとらえている。しかし……④羽化殻の右前脚が葉から離れ、左前脚と左中脚も宙に浮いているのがわかる。


⑤この時、羽化殻は右中脚1本だけで葉につかまっていた。ぶら下がった羽化殻の開いた前胸背からカラッポになった内部がのぞいている。この中によくこの新成虫が収まっていたものだ。


⑥この画像を見ると、羽化殻は右中脚の──それもツメの1つだけでぶら下がっていることがわかる。⑦そして、ついに羽化殻が葉から剥がれる。⑧羽化殻を支えているのは新成虫の脚だけ。この直後に羽化殻は落下。


⑨今回は頭を使うことなく(頭突きや頭で押すことをせずに)羽化殻を落とした新成虫。いや、むしろ頭を使って脚で落とした?(というのはジョーク)
今回の行動が、意図的?(積極的)に羽化殻を落とすワザだったのか、それとも新成虫の足場が無くてたまたま羽化殻を踏みつけることで起こった落下なのか……このあたりは、ちょっと判然としない。しかし、無事に(?)羽化殻は落下し、新成虫は満足げに見えなくもない(?)。


⑩体色がだいぶ濃くなってきたが、「赤筋」模様はまだ白いまま。


新たな脚ワザ(?)で落とされた抜け殻(羽化殻)がコレ↑。幼虫時代に白かった部分は半透明になっている。背面の画像では羽化の際に裂けた前胸背の穴から前胸腹面が見える。前脚を引き抜いた跡や半透明になった前胸腹面ごしに長い口吻が透けて見える。

《羽化殻落とし》を視認



クサギの幼木の葉の裏で羽化を終えたアカスジキンカメムシ。模様が判る程度に体色は濃くなりつつあるが、羽化殻はまだ残っている。この葉は風でずっと揺れていたが、それが羽化殻落としの開始を遅らせていたのだろうか?
羽化や脱皮はいったん始まれば、近づいて接写しても継続されていく(中断できない?)が、抜け殻落としは不用意に近づくと止めてしまったり始まらなかったりする。それで今回は警戒させないように離れたところからようすを見守った。


①新成虫は孵化殻から少し離れたところに移動していて体色もだいぶ濃くなってきている(時間も経過している)。もう《羽化殻落とし》はしないのだろうか……という懸念もあったが……。②は羽化殻落とし直後の画像(1秒前にはフレーム内に羽化殻があった)。目の前で《羽化殻落とし》を確認していながら、その瞬間は撮り逃してしまった。
その時の状況は……少し離れた場所で新成虫が羽化殻に接近して行くのに気がつき、《羽化殻落とし》を確信したが、ここであわてて近づくと動作をやめてしまうかもしれない。ゆっくりと慎重に近づくと、新成虫は抜け殻を頭で押し始めた。《羽化殻落とし》とわかるシーンにカメラを向けるが……風で葉が揺れてピントが合わない……。多少のピンぼけやブレは覚悟でシャッターを切らないと、また撮り逃すことになる──とりあえず撮っておこうと決断した瞬間──羽化殻は落下……。ほんの0.何秒かのタッチの差で撮れたのがこれ。1秒前にシャッターを切っていればそのシーンが撮れていたはず……どうせピンぼけかブレていただろうが……やはりちょっと悔しい。
とりあえず、通常の(?)「頭を使っての《羽化殻落とし》」を確認したので記しておく。


タキシード天牛・虹色葉虫ほか

タキシード的ラミーカミキリ・虹色アカガネサルハムシetc.





今年もこの姿を見るようになった。2012年に初めて市内で発生を確認した時は驚いたが(*)、今ではすっかり定着して「お馴染みの顔」になったラミーカミキリ。タキシードを着たキョンシーに見えてしかたがないユニークな姿は見つけるとつい撮りたくなる──撮ると「ふきだし」を入れたくなってしまう。


ラミーカミキリ成虫はムクゲやカラムシの葉の裏にとまって葉脈をかじるが、葉の上に出ていることも多い。緑の葉の上ではけっこう目立つので(天敵に対して)コレで大丈夫なのかなぁ……と心配になってしまう。どうしてこんなデザインが実現したのか不思議な気がする。


カミキリつながりで、この時期カナメモチ類で見られるルリカミキリ。ラミーカミキリもルリカミキリも僕が子どもの頃には見たことがなかった。ラミーカミキリは温暖化にともなって(?)生息域を北上させてきたようだが、ルリカミキリは生け垣で(ホストの)カナメモチ類が増えたことで数を増やしてきたのだろう。上翅(翅鞘)のメタリックなルリ色が美しいカミキリだ。
美しいといえば、アカガネサルハムシも小さいながら金属光沢が美しい。




メタルカラーは多彩で虹色葉虫と呼びたくなる昆虫だ(*)。ただ、動き回ってなかなか希望通りに撮らせてくれない……今回も、このあと落下して見失ってしまった。
美麗昆虫では、羽化シーズンにあるアカスジキンカメムシも美しい。


美しいカメムシなのだが、この体色は標本にするとあせてしまうようだ。ただ、死んで色褪せた体に水を塗るとメタルグリーンが復活したりする(*)。
強引に「赤」つながりで、赤いもようが鮮やかなカメノコテントウ↓。


葉の上にとまっていると「赤い甲虫類」っぽく見えてしまう蛾──クリベニトゲアシガ↓。


近くの葉の上にいた別個体↓。


エレガントなキアシドクガも幻想的に舞い始めた



輝くような純白──白いチョウよりもエレガントなキアシドクガ(蛾)の羽化がはじまり、すでにミズキのまわりで幻想的な舞いが始まっている。
羽化して間もなく、まだ翅が伸びていない成虫がいたので、翅が伸びるようすを撮ってみた↓(画面すみの数字は「時:分:秒」)。




成虫だけ見ていると美しいが……今年は狭山丘陵で大発生してホストのミズキが大変なコトになっている(*)。
キアシドクガに比べると、地味な印象が免れないテングチョウ↓。


ツノゼミとアリ



葉の上にツノゼミがとまっていた。オビマルツノゼミではないかと思うが自信はない。そばにはアリがいて、しきりにツノゼミを調べていた。








ツノゼミの幼虫とアリには共生関係があるという認識はあった。幼虫がノズルのような腹端から排泄する甘露をアリはもらい、天敵からツノゼミ幼虫を守るというもの。似た関係ではオオワラジカイガラムシとアリで甘露の受け渡しを観察したことがあった(*)。
ただ、ツノゼミは成虫になっても同じようなことを続けているとは思っていなかった。成虫には翅があって、これが甘露ノズルのある腹端を隠しているように見えたからだ。
しかし、『ツノゼミ ありえない虫』(丸山宗利/幻冬舎)を改めて開いてみると、ツノゼミの成虫に甘露をねだるアリの画像も載せられていた。このツノゼミ成虫も甘露でアリのガードマンを雇う共生関係は続いているのかもしれない。


《抜け殻落とし》の瞬間!?



アカスジキンカメムシの奇行(?)《抜け殻落とし》。羽化や脱皮の後に自らの抜け殻を攻撃して落下させる──そんな興味深い行動を僕は何度も見てきた。寄生蠅や寄生蜂、アリなどを呼び寄せかねない手がかり(抜け殻)を生活圏の外へ破棄する意味合いがあるのではないかと想像しているのだが、この《抜け殻落とし》の決定的瞬間をキレイな画像で記録しておきたいと常々思っていた。そしてついに新成虫が抜け殻を落とすシーン──落ち行く抜け殻が、まだ空中にある瞬間をとらえることができた!?!
──かに見える画像だが、(残念ながら)さにあらず。見つけたとき、抜け殻はこんな状態で宙に浮いていた!?

亀虫のイリュージョン!? 空中浮遊する抜け殻!?!



人体が宙に浮く《人体浮遊》はイリュージョンの代表の1つだが、アカスジキンカメムシが抜け殻を使ってイリュージョンを披露している──ようにも見えなくはない!?
イリュージョンでは、特殊なワイヤーを使ってマジシャンを吊り上げていたりするらしいが、アカスジキンカメムシの抜け殻も極細の糸で吊られていた。


糸の正体は、おそらくクモが歩いたあとに残していく「しおり糸」だろう。これは絹糸よりも強靱らしい。これがアカスジキンカメムシ新成虫によって落とされかけた抜け殻の脚に引っかかったと思われる。《抜け殻浮遊》はイリュージョンではなかったが……「終齢幼虫の抜け殻から、それより大きな成虫が出現する」という羽化の方が、よっぽどイリュージョンぽいかもしれない。
さて、抜け殻は羽化の最中、落下しないように、しっかり葉にしがみついているわけだが、その足先には二股に分かれたするどい鉤型のツメがついている。糸はこのツメに引っかかっていたようだ。
やはり《抜け殻落とし》で落とされたと思しき別の抜け殻でツメをチェックしてみると↓。


この鋭いツメが、羽化や脱皮のさいにしっかり足場をつかみ、体を支える役目をしているのだろう。アカスジキンカメムシは羽化や脱皮のさいには頭を下に向けてとまるが、そうすることで体重がかかり後脚と中脚のツメは足場にしっかりくいこみ安定性が増しているように見える。


羽化や脱皮の最中、自らの体重などで下向きの力がかかることで鉤型の爪はグリップ力を増していると思われるが、離脱後のカメムシが下から抜け殻を押しあげれば、上向きの力がかかって後脚と中脚の爪フックは容易に外れて抜け殻を落とすことが可能になるなわけだ。
本来なら、爪フックが外された抜け殻は地面に落ちるが、今回はたまたま近くにあったしおり糸にひっかかって宙に浮いた形になってしまったようだ。
しばらくして戻ってみると、抜け殻は下の葉に背中をつけていたが、後脚のツメにはまだ糸が引っかかっていた。


さらに25分後、のぞいてみると抜け殻は消え、外れた糸が残されていた。


──ということで、今回目にしたのは《抜け殻落とし》の瞬間ではなかったが、《抜け殻浮遊》の画像を見ると、《抜け殻落とし》があったことがうかがえる。
羽化が行われたのは新成虫がとまっていた葉の裏だろう。何らかの理由で抜け殻が葉から離れ、しおり糸に引っかかったとして……落下開始位置よりも高い位置に宙吊りになるとは考えにくいから、抜け殻は落下前には撮影時新成虫がとまっているあたりにあったものと思われる。抜け殻があったはずの位置に体色が整っていない(羽化してさほど時間が経っていない)成虫が陣取っているということは、新成虫がその位置まで抜け殻を押し上げ、爪フックを外した──と考えるのが自然だろう。

過去の《抜け殻落とし》シーン

ということで、今回は(も?)《抜け殻落とし》そのものは見ることができなかったので、《抜け殻落とし》がいかなるものか、過去の画像をあげておく。
2015年9月に撮影したアカスジキンカメムシの脱皮~《抜け殻落とし》。


①頭を下向きにとまって脱皮中のアカスジキンカメムシ。②後脚&中脚の鉤型ツメが葉面にひっかかっていることで、下向きに力(体重)がかかっても抜け殻は安定している。③新幼虫が抜け殻から離脱。よくこのサイズの体が小さな抜け殻に収まっていたものだといつも感心する。④向きを変えて抜け殻と対峙。⑤抜け殻に頭突き攻撃。⑥抜け殻の下にもぐることで抜け殻の前脚を葉から引き剥がす。カメラを近づけたためこの姿勢で触角を倒し、静止してしまった。この2分20秒後の画像が→⑦わずかに目を離したスキに抜け殻は落とされてしまった。
(※詳細→【アカスジキンカメムシの抜け殻おとし】)

次は擬木で脱皮したアカスジキンカメムシ幼虫が《抜け殻落とし》に悪戦苦闘するようす。擬木には周辺の枝先から落ちたイモムシ毛虫やクモが登ってくることが多く、彼らが徘徊したあとには糸が残っていたりする。これが抜け殻のツメにひっかかってしまうと、《抜け殻落とし》は難航する……。


①脱皮後の《抜け殻落とし》の最中のアカスジキンカメムシ新幼虫。通常(葉の裏での脱皮)であれば抜け殻は既に落ちていただろう。擬木にはクモや毛虫イモムシが這いまわるさいに残した糸が残留している。この糸に抜け殻が引っかかってなかなか落ちないのでアカスジキンカメムシ新幼虫は悪戦苦闘していた。②頭を使ってすくい投げしようとするが、抜け殻は姿勢を変えるだけで落ちない。③とうとう頭上高くリフトアップしてしまった。④リフトアップした抜け殻を擬木の下に投げ落とすことに成功した……かと思いきや、糸にひっかかった抜け殻は宙吊り状態に。⑤宙吊りの抜け殻に気づいたアカスジキンカメムシ新幼虫は、ふたたび落としに向かう。⑥頭突き攻撃で抜け殻を落とすが……。⑦抜け殻はさらに下で宙吊りになる。アカスジキンカメムシ新幼虫がどうするか注目していたが、この後風で抜け殻が飛ばされ《抜け殻落とし》は終了した。
(※詳細→【カメムシの抜け殻落とし行動】)

昨シーズン観察した羽化後の成虫による《抜け殻落とし》↓は、肝心のシーンが力いっぱいピンぼけ……。


※【アカスジキンカメムシ:羽化~抜け殻落とし】より再掲載↑。
このピンポケとなったシーンをきれいな画像で撮り直しておきたいものだが……今回の冒頭画像は《抜け殻落とし》ならぬ《抜け殻浮遊》だったしだい。