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2018年05月の記事 (2/2)

蜂擬態!?ムネグロメバエ

ハチに擬態!?ムネグロメバエ


葉の上にこんな虫↑がとまっていた。全体の印象はハチに似ている。しかし前翅の後ろには平均棍(後翅が変化した器官)がある──これは双翅目(カ・ガガンボ・ハエ・アブ・ブユなどを含むグループ)の特徴だ。一見ハチっぽく見える触角は、よく見るとY字型をしている──この特徴からハチモドキハナアブというハチ擬態のアブの仲間ではないかと予想。しかし調べてみるとハチモドキハナアブ(ハナアブ科)の仲間ではヒットしない……。更に調べてムネグロメバエ(メバエ科)という種類に行き着いた。

ふつうハエと言ったらこの姿は思い浮かばないだろう。ハチをイメージさせる容姿と関係があるのかどうか……ムネグロメバエは、なんとハラナガツチバチなどに寄生すると考えられているらしい。
効果のほどはわからないが……見た目の印象からすると、ムネグロメバエもやはりハチ擬態と見てよさそうな気がする。そう考えたくなるポイントの1つがY字型の触角だ。
一般的にハエやアブの触角はハチの触角より短い。腹にハチに似せた(?)黄と黒の警告色模様を持つアブはいるが、触角が短いとアブもしくはハエであることがバレがちだ。そこでハチっぽさをアピールするためには短い触角を長く見せる必要がある──ということなのだろう。ムネグロメバエ(やハチモドキハナアブ)は短い触角を長く見せるために触角の基部を伸ばしている……これは背を高く見せるために踵を上げ底にしたシークレットシューズと同じ!? シークレットシューズならぬシークレット触角と言ってもよいのではあるまいか。《無理して頑張ってる感》が伝わってくるような気がしないでもない!?

美しいヨダンハエトリ♂


《無理して頑張ってる感》がある虫ということで──昆虫ではないが、ハエトリグモの仲間のヨダンハエトリ♂──これは昨年5月、知らずに初めて見た時(*)は「日本にもこんな鮮やかなクモがいたのか!?」と驚いた。

ハエトリグモの仲間なのだから、獲物や天敵に対しては目立たぬ方が都合が良さそうなものを……派手な配色をしている。派手なのはオスだけであることから、この目立つ配色は繁殖活動にからんで獲得されてきた特徴なのだろうということが想像できる。獲物に逃げられやすくなったり天敵に見つかりやすくなったり……そういったリスクを背負ってでもメスにアピールする(モテる)特徴を発達させることの方がオスにとって(子孫を残す上で)重要だったのだろう。これはこれで《無理して頑張ってる感》があるような……。
ヒト目線で見たとき──《無理して頑張ってる感》のある虫はおもしろい。


ぷち美麗天牛ルリカミキリ

身近なぷち美麗天牛ルリカミキリ



カナメネモチ類(ベニカナメモチ?)の生け垣で、今シーズン初のルリカミキリを見つけた。これまで5月中旬か下旬に初個体を確認していたが、やはり今年は昆虫の発生が早いようだ。






ルリカミキリは1センチ前後のかわいらしいカミキリ。フォルムはSD(スーパーデフォルメ)風でルリ色にかがやく上翅(翅鞘)が美しい。こんな昆虫が身近で(市街地でも)みられるのだから、ちょっとお得感がある。といっても、この虫──僕が子どもの頃には見たことがなかった。当時は生け垣と言えばマサキやサワラが多かったが、最近はベニカナメモチとかレッドロビンなどと呼ばれるカナメネモチ類が主流のようで、これをホスト(の1つ)とするルリカミキリが増えたということなのだろう。


1枚目の画像でルリカミキリがとまっていた葉↑。成虫は葉の裏にとまって葉脈をかじる(後食する)。なので、葉の裏側を探すと見つけやすい。


SD風の体型もかわいいが、顔つきも可愛らしい↓。


よく見ると複眼が4つ!?──触角の根元が複眼にくいこんで完全に二分している。


三日月湖のように取り残され分離した背面側の複眼↓。


カミキリでは触角の基部が複眼に食い込んでいる種類も多いが、ルリカミキリははっきり二分しているのがおもしろい。




瑠璃に続けて黄斑&紅カミキリ



「瑠璃(るり)」の後にみつけた「黄」のカミキリということで──キマダラミヤマカミキリ。雑木林のふちに生えた草の葉にとまっていた。ルリカミキリ同様、触角の基部が複眼に食い込んでいるが、二分はしていない。
キマダラミヤマカミキリは上翅の模様が複雑で、光の加減や見る角度によってこの模様が変化する。


上翅の表面には細かい毛が密集しているのだが、この毛の向きが部位によって異なっている。ゴルフの芝目に例えると「順目」か「逆目」かで光の反射・吸収のしかたが変わるため、模様の濃淡が変化して見えるというもの。毛の向きは左右の上翅で対称だが、光の加減によって左右の模様が非対称に見えることも多い。

「瑠璃(るり)」・「黄」と続けたので、ついでに「紅」のカミキリも──↓。





アカスジキンカメムシ羽化後の気になる行動

アカスジキンカメムシ気になる《抜け殻落とし》


アカスジキンカメムシは大型で美しいカメムシ。今年はいくらか発生が早いのか……4月30日にアカスジキンカメムシの新成虫を目にしている。羽化を前にした幼虫はこんな姿↓。

羽化シーズンが始まったとなると、気になるのは羽化後の成虫による《抜け殻落とし》だ。アカスジキンカメムシは羽化や脱皮のあとに抜け殻を落とすという奇妙な行動をとる。僕が初めてこの行動に気がついたのはエサキモンキツノカメムシの羽化を観察している時だった。注意して見るとアカスジキンカメムシも脱皮や羽化のさいに同様の行動をとっている。寄生蠅や寄生蜂あるいはアリなどを引き寄せる手がかりとなりうる抜け殻を生活圏の外へ廃棄する意味があるのではないか……と想像しているのだが本当のところはわからない。いずれにしても何か理由があるから、わざわざ《抜け殻落とし》をするのだろう。この行動に気がついてから興味がわいて羽化シーズンには注目している。これまでの観察経験からすると、アカスジキンカメムシの羽化はつぎのように展開する。

①終齢幼虫(5齢)が葉の裏側で頭を下にしてとまる。
②羽化。
③羽化した新成虫が抜け殻と対峙。
④頭突きをして押し出すように抜け殻を落とす(抜け殻落とし)。
⑤葉の表へ移動。
⑥体色が整っていく。

もっとも《抜け殻落とし》は必ず行われるわけではない。葉の裏に抜け殻が残っていることもあるし、僕が観察した例では、羽化後、飛来したテントウムシに接触し大慌てで(抜け殻を残して)逃げて行った新成虫もいた。しかし、誕生してさほどたっていないと思われる新成虫を見つけたとき、周囲の葉の裏には抜け殻がみつからず、その下の地面で新鮮な抜け殻が落ちているのが見つかることの方が多いことから、基本的には《抜け殻落とし》は行われるのだろうと考えている。
ただ、羽化や脱皮の様子を撮影することはできても(羽化や脱皮は始まったらとめることができない?)、《抜け殻落とし》を接写で撮ろうとすると警戒して動きを止めてしまいがちになる。《抜け殻落とし》の現場は何度か確認しているが、なかなかキレイな画像で記録できない。今シーズンも羽化シーズンが始まったので、あわよくばそのシーンをキレイに記録したいところなのだが……。

アカスジキンカメムシの羽化は葉の裏側で行われることが多いので、葉の裏に頭を下にしてとまっている終齢幼虫を探す。まず、クサギ幼木の葉の裏に残っていた抜け殻(だけ)を発見──これは《抜け殻落とし》が行われなかったということだ。近くにはこの主と思われる新成虫がいた。

周辺のクサギの幼木をチェックしていくと、まだ体色が整っていない羽化後の成虫と羽化中のアカスジキンカメムシが見つかった。

画面左側↑の羽化後の個体は、ちゃんと《抜け殻落とし》を済ませたあとらしく、近くの葉の裏に抜け殻はない。成虫の下の地面に目を向けると真新しい抜け殻が落ちていた。

今シーズン観察1例目は《抜け殻落とし》見逃し

ということで、羽化中のアカスジキンカメムシに注目し観察することに。この個体に密着して《抜け殻落とし》を記録しようと考えた。

羽化のようすをざっと記録。画面隅の数字は撮影時刻(時:分:秒)。アカスジキンカメムシ羽化の始めからの記録は→【アカスジキンカメムシの羽化《抜け殻残し》のケース

抜け殻から離脱した成虫が抜け殻と対峙してからが長い……。《抜け殻落とし》が始まるのは、触角や脚の色がある程度濃くなってきた頃だろう(予想)。
これまでの経験では、撮影のため近づきすぎると抜け殻落としを始めないし、離れて待機していると、突然始まってあっという間に終わってしまうシーンにフレーミングやピント合わせが間に合わなかったりする。
今回は、被写体が低い葉の裏にいたため、幼木の葉の中に頭を突っ込み内側から撮影している。このポジションを離れてしまうと成虫の動きが確認しづらく、また抜け殻落としが始まるとわかったところで、フレーミング・ポジションに移るまでに時間を要し、とても間に合いそうにない。今回は密着したまま待つしかない──と覚悟を決める。

成虫は触角を倒している間は動かない。動き出す前には触角が立ち上がる……という判断で、触角が動き出すとカメラを近づけるが、そのたびに触角を倒してしまい《抜け殻落とし》は不発。
覚悟はしたものの長時間不自然な姿勢でスタンバっているのもツラくなってくる……そんなとき、何者かに声をかけられた。「倒れている人がいる」と管理室に通報があったそうな……。僕は倒れているわけではなく、地べたに横座りになって頭を草(クサギの幼木)の中に突っ込んでいただけなのだが……。そういえば以前、ヒルガオの葉の裏にとまったジンガサハムシを寝そべって撮っていたとき、行き倒れだと思われたことがあったが……それ以来のなんだかなぁ体験。
そんなアクシデントにもめげず待ち続けていると……テントウムシ(ナミテントウ)の幼虫がやってきて、なぜか抜け殻に感心を示す。その後テントウ幼虫は成虫に接触。これを嫌って成虫は抜け殻から離れてしまった。

以前小型のテントウムシに飛びつかれて《抜け殻落とし》を放棄した新成虫を見ているので気が気ではない……。
その注目の抜け殻だが、近くの葉が接触して少し位置がズレてしまった。

2時間以上ねばり続けたが《抜け殻落とし》は始まりそうにない……やはり密着していては警戒し続けダメなのかもしれないと断念。ただ、僕が離れて警戒が解ければ《抜け殻落とし》をするだろう……そう考えて5分後にのぞいてみると──、

抜け殻はすでに無く、成虫が抜け殻があった場所を越える位置まで移動していた。抜け殻は直下の地面に落ちていた。おそらく《抜け殻落とし》があったのだろう。

《抜け殻落とし》を果たした(と思われる)成虫は葉の表側へ移動。

この個体は複眼が赤く見える。体色があるていど濃くなっているのに複眼が赤いものもいれば、体色が薄いうちから複眼は黒いものもいて、ちょっと不思議。

今シーズン2例目は当日の《抜け殻落とし》を確認できず…

ということで、今シーズン1例目の観察では《抜け殻落とし》のシーンそのものは確認することができなかったので、別の個体を探す。カナメモチ類の葉の裏に羽化直後の新成虫と抜け殻を見つけ、これを観察することに。見つけたとき、成虫の脚はまだ色が薄かったので、《抜け殻落とし》が始まるのは少し後だろうと判断。脅かさないように1例目よりは少し離れ《抜け殻落とし》を待つ。時々、触角を動かし始め、《抜け殻落とし》が始まりそうな気配があったが、撮り逃すまいとカメラを近づけると触角を倒して静止モードに戻ってしまう……ということのくり返し。1時間半以上ねばったが、目的のシーンは始まらなかった↓。

根気も尽きてきたので今回は方針転換することに。撮り逃すまいと近くで待機していると警戒が続いて《抜け殻落とし》が始まらないので、その場を離れ、他の場所をチェックしつつ時々戻って《抜け殻落とし》が行われていないか確かめるスタイルに変更。しかし、この個体はけっきょく3時間以上経っても《抜け殻落とし》をしなかった。

見つけてから3時間以上経って体色がだいぶ濃くなってきた新成虫↑。それでも(葉の表へ移動せず)抜け殻のそばを離れようとしないので、葉の表へ移動する前に《抜け殻落とし》をする可能性はあるかも知れない。
そう考えて翌日確かめに行ってみると、葉の裏から抜け殻は消えており、近くの葉の上でアカスジキンカメムシの成虫がグルーミングしていた。撮影した画像を見比べると前胸背に広がるメタルグリーンの極小ドーナツ模様の配置が前日撮影した羽化後の個体と一致──《2例目》の成虫である事が確認できた。やはり僕が引き上げた後に《抜け殻落とし》をしたのだろう。

今シーズン3例目は《抜け殻落とし》あったがシーンは確認できず


2例目の方針転換で他の場所をチェックしている時にみつけた羽化直後の成虫とと抜け殻↑。やはりカナメモチの葉の裏で、成虫は触角も脚もまだ色が薄かった。警戒させぬように時々ようすをうかがう方式で観察。
小一時間ほど経つと、触角や脚の色が濃くなってきていた↓。

そろそろ《抜け殻落とし》を始める頃だろうと思い、10分後にチェックに戻ると──成虫も抜け殻も消えていた!?

その場を離れていた10分の間に《抜け殻落とし》があったのは確実だろう。抜け殻が落とされている可能性も予想していたが、成虫も消えていたのは想定外……。しかし、探すと成虫は近くの葉の陰に隠れていた↓。

この個体は背面の体色がまだ薄いが、複眼は黒い。
別の場所も見ながら時々チェック方式に変更してから見つけたアカスジキンカメムシの新成虫トリオ↓。


3匹がとまっていた植物の葉の裏には抜け殻は見つからず、3匹とも《抜け殻落とし》を行って葉の表側へ出てきたのだろう。その下の地面を探すと抜け殻が2個みつかった。
《抜け殻落とし》は通常行われているのだろうが、近くで観察したり接写しようとすると、なかなか見せてもらえない……。
三脚固定のビデオカメラを無人状態で回し続けてあとで必要な部分だけを編集すれば確実な気もするが……ふさわしい機材は持ち合わせていない。虫屋でもないのに、そのために機材を揃えるというのも躊躇が働く……そんな筋肉痛の一般民間人なのであった(1例目の観察で不自然な体勢をキープし続けた代償)。