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2018年03月の記事 (1/2)

今季初のカミキリ

今シーズン初のトウキョウトラカミキリ(東京都産)

3月28日は全国的に気温が高かったようだが……桜も咲き誇っている狭山丘陵で、今シーズン初のトウキョウトラカミキリを確認。




狭山丘陵でみかけるトラカミキリの中では一番早く出てくる。標準和名に「東京」が入っているので、東京産が純正っぽい感じがするのは僕だけであろうか? 他県産のトウキョウトラカミキリは「オーストラリア産神戸牛」みたいな?……あくまでもイメージ。
陽の当たる白いガードパイプの上では影ができてコントラストがきつくなるので、落ち葉に乗せて直射日光をさけて撮影↓。


特徴は背中(翅鞘)のイカリ型模様──この個体では若干不明瞭だが、この模様が「TokyoTora」の頭文字「T」に見える。模様は翅鞘表面の微毛の有無で形作られていて、大きめ個体ほど明瞭な傾向があるように思う。地表に降りた同個体↓。




以前の記事【TokyoToraカミキリの模様】から、トレードマークの「T」模様が明瞭な画像を再掲載↓。


桜が咲く頃あらわれるヨツボシチビヒラタカミキリ



この日はヨツボシチビヒラタカミキリも確認できた。こちらもカミキリの中では早く出てくる種類で、毎年サクラの開花に合わせるように姿を現しはじめる。同個体↓。


輪郭がわかりやすいように、手にとまったところを撮影↓(上と同個体)。


近くの鉄柵にとまっていたヨツボシチビヒラタカミキリ別個体↓。


カメラを近づけると動き出して撮りにくいことこの上ない。せわしなく歩く姿はアリに似ている気がしないでもない。
この日3匹目のヨツボシチビヒラタカミキリは擬木に上にいた。背景に開花したサクラを入れて──↓。


今年の桜の開花宣言は東京では3月17日(千代田区の靖国神社にあるソメイイヨシノの標本木)で、史上3位の早さだったとか。
狭山丘陵のサクラは開花は少し遅れて始まるが、28日にはだいぶ咲いていた。


ついでに、狭山丘陵のカエデも早いところでは開花が始まっていた。




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マツトビゾウムシのシンデレラ



着想の経緯

昆虫ウォッチングで擬木を見続けていると、脳味噌は設定した昆虫フィルターに反応があったときに注意が呼び覚まされる自動運行モードになりがちだ。(機械的に?)目では擬木を追いながら、脳味噌はあまり働いていないか別のことを考えていたりする。
《悟りの境地》か《妄想の狂地》か──こうした状態では弛緩した脳味噌の片隅・意識の隙間にたあいもない着想がわいたり、荒唐無稽なイメージが展開すことがある。僕はこれを「エアポケット幻想」などと呼んでいるが、今回もそんなハナシ。タイトルをつけるなら──『マツトビゾウムシのシンデレラ』。

今回の着想のきっかけは、ギボッチ(擬木ウォッチ)をしていて目に入った入れ歯だった(冒頭の画像)。昆虫を想定していたので、まさかこんなものがフィルターに引っかかるとは予想もしておらず、違和感たるや大きかった。いったい、どうしてこんなモノが擬木の上に置かれるなどといった状況が発生しうるのか!?──どうでもいいといえばどうでもいい話だが、これはちょっとしたミステリーとして心にひっかかっていた。そして後日、この入れ歯はこつ然と姿を消していたのである。誰が何のために持ち去ったのか!?……謎は深まるばかりであった……。

この「擬木上に残された入れ歯」からふと連想したのが(既に記した)シンデレラの話(*)。「残されたガラスの靴」で持ち主(シンデレラ)を特定する定番のストーリーは説得力に欠ける。持ち主を特定するのであれば、残されたツールは「靴」よりも「入れ歯」の方がふさわしいのではあるまいか? 歯の治療痕は(検死で)被害者特定にも使われたりもする。「残された入れ歯」がピッタリ合った人がシンデレラだというのであれば納得できる……そんなことを考えたわけだ。

さて、ギボッチ(擬木ウォッチ)ではその後、マツトビゾウムシを見るようになる。この虫の新成虫には牙(状突起)がついていて、地上に出てくるとほどなく脱落するらしい(*)。擬木上で片方の牙をなくしてたたずむマツトビゾウムシ(画像)を見ているうちに、ふと閃くものがあった。「マツトビゾウムシの失われた片牙」と「擬木上にとり残されていた入れ歯」が、頭の中でリンクしたのだ。『奇跡の人』で、「手に触れているもの(井戸水)」と「water」が突然結びついたヘレン・ケラーの心境!?
《擬木の上に残されていた謎の「入れ歯」は、片牙のマツトビゾウムシが落としていった「ガラスの靴」的存在ではなかったか?》──頭の中にはにわかに、『マツトビゾウムシのシンデレラ』のストーリーが展開するのであった。



マツトビゾウムシのシンデレラ

あるところに新出(しんで)玲良(れいら)という娘がいた。意地悪な継母とその連れ子である義理の姉に虐げられた生活で、自由な外出もままならない。彼女の友達は虫たちだけであった。その虫たちが擬木のステージで舞踏会を開くという話を知り、玲良はできるなら自分も虫になって参加してみたいと思う。と、そこに現われたお人好しの老婆──実はかつてシンデレラに魔法をかけ、車錠探偵長(@破裏拳ポリマー)にホラメット(転身用ヘルメット)を与えた魔法使いであった。
「虫たちの舞踏会に出たいんだね。願いをかなえてあげよう。一晩だけあんたを虫にしてあげるよ」──魔法使いのおばあさんが杖を一振りすると、玲良の姿ははあっという間にマツトビゾウムシに変わった。「ただし、今回の魔法の効力はは今日限り。夜12時を告げる鐘が鳴り終わる前に戻ってくるんだよ」
魔法使いのお婆さんに見送られて、マツトビゾウムシとなった玲良は飛翔して虫たちの舞踏会場へ向かう。

玲良は擬木の上で行われた虫たちの舞踏会に飛び入り参加。そしてマツトビゾウムシの王子に見初められる。あまりの楽しさに時が経つのを忘れていた玲良だが、ふと気がつけば夜12時が近づいていた。
「しまった。はやく戻らなければ!」あわてて舞踏会場をあとにするが、そのとき、マツトビゾウムシになっていた玲良は、牙(状突起)の片方を擬木の上に落としてしてきてしまう……。
なんとかタイムリミットギリギリで、部屋に帰りつき人間に戻ることができた玲良だったが……鏡を見てビックリ! 彼女の上あごからは歯がごっそり抜け落ちていたのであった。
そのころ、虫たちの舞踏会場となった擬木の上では……マツトビゾウムシの王子が、行方をくらました愛しい相手が落としていった片方の牙を手にしていた。「この牙が、欠け痕と一致する娘をきっと探し出して妃にするのだ」──王子が宣言したまさにそのとき、12時の鐘が鳴り終わった。すると彼が手にしていた牙は巨大化し、人間の入れ歯になった──シンデラレの魔法が解けたタイミングで、マツトビゾウムシの牙もヒトの歯に戻ったのだ。王子はその下敷きになって身動きがとれず、気を失ってしまう。

さて、人間に戻った玲良だが、歯がごっそり抜け落ちていたことに我慢ならず、魔法使いのお婆さんを探しまわって数日後にようやく見つけて談判する。「どうひて、わたひがこんな目にあわなきゃいけないの!? 元の姿に戻ひて!」
魔法使いのお婆さんは早合点して「おやおや、そんなに虫の姿がよかったかい。それじゃ戻してやろう」と玲良に魔法をかけて再びマツトビゾウムシに変えてしまった。
途方に暮れたマツトビゾウムシの玲良は舞踏会場だった擬木に戻る。すると彼女の片牙を抱いた王子が気を失って倒れていた。王子を押さえつけていた入れ歯は、再びかけられた魔法によってマツトビゾウムシの牙に戻っていたのだ。
「王子様、しっかり!」玲良が王子を抱き起こすと王子は覚醒し、かかえていた牙を玲良の顎にあてる。「おお、ピッタリ一致する! 君こそ探していたプリンセスだ!」
玲良は昆虫として生きることを受け入れ、マツトビゾウムシの妃になったのだった。

これが、「《擬木上に突如現われ、数日後にこつ然と消えた入れ歯》の真相」である……。
──という、エアポケット幻想ストーリー。


*シンデレラには嘘がある!?~ガラスの靴よりふさわしいもの

https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-745.html

*片牙ゾウムシ&シロトゲエダシャク
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-749.html

●エアポケット幻想
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-642.html

【冗区(ジョーク)】~メニュー~
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-379.html

フチグロトゲエダシャクの産卵他

フチグロトゲエダシャクの産卵



フチグロトゲエダシャクは冬の終わりに現れる昼行性のフユシャク(冬尺蛾)。僕が目にするのはこれが2度目──6年前に初めてフチグロトゲエダシャクのペアを見て以来。今回はメスだけだったが、すぐにフチグロトゲエダシャクと判った。いたのは以前見たポイントから1kmほど離れた場所。メスは擬木を登っており、カメラを向けると落下。近くの草をよじのぼってきたが、不安定でなかな落ち着かない。そこで安定した場所に移動させるために一時回収してみたしだい。


この姿勢だと、やけに腹が長く見える。フチグロトゲエダシャク♀には翅が無いが、こうして見るとプロポーションはシロトゲエダシャクやシモフリトゲエダシャクのメスに似ている感じもする。ちなみにこれら──「トゲエダシャク」がつくものは、フユシャクであっても標準和名に「フユ」がつかない。
このメスを近くのサクラの若木にとまらせてみた。待っていればオスがやってくるかも知れないと期待したのだが……オスを呼ばずに産卵行動をとりはじめた。


一時回収したときとプロポーションがずいぶん違う感じだが、同個体。腹端から産卵管を出し入れし、樹皮に触れながら産卵場所を探しているようす。




動きを止めたフチグロトゲエダシャク♀。この場所で産卵を始めた。


樹皮の隙間に卵を産みつけていく。






♀は移動しながら卵を産み続けていた。
フユシャクの多くが夜行性だが、フユシャク・シーズンの最初(冬の始まり)に現れるクロスジフユエダシャクと最後(冬の終わり)に現れるフチグロトゲエダシャクが昼行性というのが、おもしろい。これには何か理由があるのだろうか?
ちなみに、クロスジフユエダシャクの方は通常メスは落ち葉の下などに隠れており、オスは《婚礼ダンス(はばたき歩行)》によって、物陰にひそんでいるメスを探り当てる

クロスジフユエダシャクはなぜ隠れて交尾するのか

なんちゃってフユシャク(冬尺蛾)メスコバネマルハキバガ



擬木の上にいたメスコバネマルハキバガ♀──(フユシャク同様)メスは翅が退化したフユシャクちっくな蛾だ。しかし、メスコバネマルハキバガは「メスコバネマルハキバガ科」なので、フユシャクとは呼ばない(フユシャクは年に1度、冬に成虫が出現/メスは翅が退化し飛ぶことができないという特徴をもつ「シャクガ科」の蛾の総称)。


この個体……よく見ると、顔に仮面をかぶっているような!?


羽化のさいに、頭部の蛹殻がうまく剥離できなかったのだろうか?
しかし、動き出すとせわしなく元気に歩き回っていた。



なんちゃって冬尺蛾メスコバネマルハキバガ

擬装するイモムシ他



アオシャクの仲間と思われる幼虫。ゴミをまとってカムフラージュするのがおもしろい。


チョウも色々見かけるようになったが、早春の蝶・コツバメも出ていた。


コツバメはコンクリート擬木にとまって太陽光を効率よく浴びる角度に翅を傾けていた。
鱗翅目(蛾やチョウ)以外の昆虫も少しずつ増えてきている。


ミヤマシギゾウムシはコナラの虫こぶに産卵するらしい。擬木の上でもしばしば目にするが、動きまわってなかなか上手く撮れないことが多い。


擬木のふちから思い切り身を乗り出していたミミズクの幼虫↓。


面に貼り付いていると輪郭がわかりにくいのだが、こうしているとよく判る。このあと跳ねて姿を消してしまった。


ヒガシニホントカゲ~《分類》雑感

かつてはニホントカゲ・今はヒガシニホントカゲ

気象庁による桜(ソメイヨシノ)の開花宣言──東京の桜(靖国神社の標準木)の開花は3月17日に発表された。平年に比べて9日、去年より4日早いという。この日、トカゲ密度の高いポイントに行ってみると、すでにアリが活動していた。


ホソヘリカメムシの死骸を運ぶクロヤマアリ↑。
石垣には日光浴をするヒガシニホントカゲの姿もあちこちで見られた。




ところで、このトカゲ──かつてはニホントカゲと呼ばれていた。それが遺伝子型の違いから3種類(ニホントカゲ・ヒガシニホントカゲ・オカダトカゲ)に分けられ、今ではニホントカゲというと西日本に分布する別種をさすことになる。分けられた3種類を外見で識別するのは難しそうだ。
ニホントカゲとヒガシニホントカゲ(東日本に分布)を見分ける目安として(?)頭部のウロコの配置(前額板の並び)の違いをあげている記事もあったが……僕がみたところ、この石垣では両種の特徴をもった個体が混在する。この見分け方は確実ではなさそうだ。けっきょく僕には外見では識別できないので、分布上(東京で見られるものは)ヒガシニホントカゲなのだろうな……と判断しているしだい。

かつては「ニホントカゲ」だったものを「ニホントカゲ」「ヒガシニホントカゲ」「オカダトカゲ」に分けたのには、もちろん学術的な根拠があって、それが妥当だという科学的判断に基づいてのことだろう。
しかし、素人の立場からすると、外見上も生態的にもさして違いがあるとは思えないものをどうして別種として扱わなければならないのか、よくわからない。

《分類》と《種》…素人の雑感

個人的には《分類》とは、「特徴の共通するものをグループ分けして《整然化》すること」だと考えていて、「《分類》の単位にあたるのが《種》」だという理解でいる。生物学の現場感覚とは違うかもしれないが、一般の人が考える《分類》の基本概念は、そんなところではないかと思う。

しかし生物学界では、ニホントカゲの例を含めて、科学の進歩でより厳密な分け方ができるようになって《分類》が細分化していく……科学的には《整然化》が進んだということになるのかもしれないが、一般の人には正しい同定が困難になって、むしろ《煩雑化》に向かっている気がしないでもない。科学的正確性を高める《分類》が、逆に誤同定のリスクを増やしているのであれば、本来の《分類》の理念とは逆行しているような気がしないでもない……。

生き物について見たり語ったりするのは専門家の独擅場ではない。多くの人が生き物を話題にするとき、その生き物をさす固有名詞として「種名」を利用している。「種名」の圧倒的ユーザーは、一般の人(素人)だろう。そうした大多数のユーザーが客観的に判断できるわかりやすい基準で《種(名)》が決められることが望ましい……一般の素人の立場からすると、そんな思いがする。

画像のトカゲも、以前ならその外見的特徴から「ニホントカゲ」と自信をもって記せたが、今は「ヒガシニホントカゲ」と確信を持って言うことができない。僕には確かめる手だては無いが、分布域からすると、どうもそうらしい……と曖昧さをもって判断することしかできず、納得感が薄い。
「ニホントカゲ」「ヒガシニホントカゲ」「オカダトカゲ」を(かつてのように)同じ《種》として扱い、その中に生息域によって遺伝子型の違いがある──という形で理解することはできないものだろうか?
実質的(?)に明確な違いがないものは同一種として扱った方がスッキリする──そう思うのは僕だけではないだろう。

種類を特定する「ものさし」として図鑑を利用する人は多い。それが図鑑の役割りでもあるはずだ。ならば、図鑑を頼り同定しようとする利用者が判断可能な客観基準によって種が記載されていることが望ましいのではあるまいか。

生き物の《分類》&《種(名)》というのは、《住所》&《氏名》みたいなものだろう──僕はそう考えている。「どこの誰」かを示す記号。その人自体は変わらないが、現住所が変わったり、氏名が変わることがある……。

《分類》&《種(名)》はその生き物をさす記号だが……当該生物そのものは「自然物」であり、《分類》&《種(名)》はヒトが作った「記号」──「人工物」にすぎない。生き物そのものは変わらないのに、《分類》や《種(名)》の方は時代によって・図鑑によって・専門家によってしばしば変わる──移ろうのはヒトが作った記号の部分だ。
変更が絶えないのは──《分類》は、自然物を理解するために人がこしらえた「後付けの理屈(基準)」だからだと僕は考えている。これは《文法》に似ている。言葉は自然発生したものだが、これを整理するために《文法》が作られた──「生物」も「言葉」も自然発生したものであって、《分類》や《文法》はあとからそれを分析して《整然化》をはかった基準だろう。後付けの理屈だから、うまく当てはまらない部分が発覚するたびに、つじつま合わせの対応──整合性の調整や変更が必要になって《煩雑化》してきたのだろう。

《分類》や《種(名)》の変更は、きっと専門家にとっては科学的根拠に基づく妥当な判断──《整然化》なのだろうが……「種名」を使う大多数のユーザーにしてみれば《煩雑化》であることも多いのではなかろうか? 同定の基準がもっと一般的でわかりやすいものであったらいいのに……と思ってしまうのは僕がド素人だからだろう。


天狗蝶ペアの脚は10本!?

テングチョウ・ペアの脚は10本!?

コンクリート擬木の上にいたテングチョウのペア。脚の数を数えてみると、合わせて10本!?
オス・メスそれぞれに偶数本の脚が同じだけあれば4の倍数になるはずだが……10本ということは……テングチョウの脚はそれぞれ5本!?──かというと、もちろんそんなコトはない。


テングチョウではオスの歩脚は4本だが、メスには6本(3対)ある……ということらしい。
タテハの仲間など4本(2対)脚に見えるチョウは少なからずいるようだが(前脚は退化してふだん畳まれているため中脚と後脚だけの4本脚に見える)、同じ種類で脚の数が違う(違って見える?)のはおもしろい。なぜなのか気になるところだが、僕にはよくわからない。


このところ、晴れて気温が上がるとチョウが飛ぶ姿が見られるようになったが、狭山丘陵で今もっとも多く目にするのがテングチョウだ。Wikipediaでは《東京都で絶滅》と記されているが、東京側でもよく目にする。毎年この時期に遊歩道を歩くと、白線上から飛び立ち、また白線の上に降りて翅を広げる姿が見られる。


いわゆる《テリ張り》(テリトリー行動)というものだろうか。だとすれば、これはオスなのだろう。


ところで、テングチョウの名前の由来は頭部の突起が「天狗の鼻」に見えることからだろう。これは下唇髭(パルピ)という器官だそうだ(他のチョウにもあって、感覚器官や複眼・口吻などの掃除器官の機能が考えられるらしい)。テングチョウの発達した下唇髭(パルピ)は、側面から見ると「天狗の鼻」に見えなくもないが……下唇髭は1対──2枚あるので、個人的には「鼻というのは違う」気がしてしまう。なので、テングチョウを見て思い浮かぶのは……天狗よりも、フィッシャーカメレオンだ。鼻先の1対の突起がテングチョウの下唇髭によく似ている。僕の中ではテングチョウの愛称は「フィッシャー」だったりする。


ちなみにフィッシャーカメレオンの突起は繁殖期のオスの闘争に使われるとされている。

可変式の翅!?オカモトトゲエダシャク

可変式の翅!?メカニカルなギミックは何のため?



摩訶不思議なフンイキをかもしだしている蛾──オカモトトゲエダシャク。
狭山丘陵では春一番が吹く頃──2~3月頃に現れる。


オカモトトゲエダシャクのユニークなところは、とまっているとき(OFF状態?)では、前後の翅をそれぞれ扇子かアコーディオンドアのように折りたたむことだ。図鑑や標本で展翅した(ON状態の?)姿しか見たことがない人には、OFF状態のオカモトトゲエダシャクが同じ蛾とはわからないだろう。このメカニカルなギミックには興味を覚えずにはいられない。


特殊な翅のたたみ方をするため、オカモトトゲエダシャクは他の蛾とはかなり違った雰囲気のフォルムとなる。この虫のことを知らずに初めて見たときは、翅が縮れた羽化不全もしくは異常個体かと思った。
このユニークな容姿について、《擬態》という見方をする人もいるようだ。たたまれた翅は縮れた落ち葉のように見えなくもないし、色合いは枯れた植物片のようでもある。またパッと見も蛾っぽくないので、天敵の目をごまかす擬態効果も、ないとはいえないかもしれないが……他の蛾の隠蔽擬態にくらべれば目立つ。すぐに蛾とは気がつかないにしても……立体的なフォルムは目をひきやすい。なので僕はオカモトトゲエダシャクが翅をたたむのには隠蔽擬態とは別の意味があるのだろうと考えている。
扇子orアコーディオンちっくな可変翼ならぬ可変翅の役割り──それは《強風対策》なのではなかろうか。オカモトトゲエダシャクが出現する頃(春一番の頃)にはよく強い風が吹く。この時期出ているフユシャクのオスが強風にあおわれて翅をバタバタなびかせる姿はしばしば目にするし、(おそらく)強風で翅を痛めたり失ったりしたと思われる個体を見ることもある。蛾の「薄くて表面積の広い翅」は春の強風にはダメージを受けやすいのだろう。しかし、オカモトトゲエダシャクは「嵐の中で帆を畳んでやりすごす帆船」のように、翅を折りたたむことで風を受ける面積を減らし、強風によるダメージを回避しているのではないか。翅を丸めて束ねることによって強度を高めているという側面もあるのかもしれない。他の蛾が強風に翅を激しくあおられているのにオカモトトゲエダシャクは平然と風に耐えていたのを見たことがあって、僕は可変翅の役割りは《強風対策》なのだろうと考えるようになった。

ドリーミーなルックスも魅力



とまっている時は翅を折りたたむというメカニカルなギミックも面白いが、全体の見た目も魅力的だ。オカモトトゲエダシャクを見るたびに、ファンタジックな飛行船を想像する。こんなデザインの空飛ぶ乗り物がSFファンタジー作品に登場しても違和感はないだろう。腹の側面には丸い模様が並んでいるが、これが飛行船の丸窓っぽく見えなくもない。


腹の丸窓模様がわかるように指にとまらせて撮影すると、モコモコのファーに隠していた触角をあらわにした。耳を倒したウサギっぽく見えなくもないが……クシ状の触角なので、これはオス。メスの触角はヒモ状になる↓(【可変翼機なオカモトトゲエダシャク】より)。


植込みの枝先にとまらせて撮った背面ショット↓。


前翅も後翅も折りたたまれて収納されている──このメカニカルな感じが何とも言えない。双尾翼の可変翼機のようでカッコ良い。

ついでに──といっては失礼だが、欄干や擬木で見かけたきれいな虫↓。


ムラサキナガカメムシ↑とモンキツノカメムシ↓。



片牙ゾウムシ&シロトゲエダシャク

片牙のマツトビゾウムシ



先日は牙なし&牙ありのマツトビゾウムシを紹介したが、今回擬木の上でみつけたのは……。


知らずに見ると「ゾウムシにするどい牙!?」とビックリするが……口吻が短いゾウムシ(短吻類)の中には、羽化直後の成虫が大顎に牙状付属突起を装備しているものがいて、これは蛹室から地上へ出るさいに使われると考えられているらしい。《牙(状付属突起)》は、役目を果たすと(?)ほどなく脱落してしまうようだが、左右同時にはがれ落ちるわけではないようだ。


このような片牙状態の新成虫を目にすることもしばしば。マツトビゾウムシの《牙》は大きく交差しているので、強く噛み合わせるとか、何かを挟んで噛むことで《牙》の根元に力をかければ、折る(剥がす?)ことができそうだ。しかし、どちらかの《牙》が脱落すると、「噛み合わせる力」を利用して折る(剥がす?)ことはできなくなるから、片牙が残った状態がしばらく続くのかもしれない。






別の擬木の上にいたマツトビゾウムシ↓。よく見ると、こちらも左の《牙》だけ残っていた。






よく見ると《牙(状付属突起)》の根元はアンプル容器の頸部のように細くなっている。この部分で折れるようにできているのかもしれない。

シロトゲエダシャク

マツトビゾウムシの新成虫もでてきて春の気配も感じられるが……頑張っているフユシャク(冬尺蛾)もいるということで──。


名前に「フユ」はつかないが、メスの姿はまさにフユシャク(メスは翅が退化して飛ぶことができない)。


僕は「はみ腹」と呼んでいるが、伸びきった腹の節部分──鱗粉エリアの裾から卵の詰まった薄い皮膚(緑色)がのぞいている。


メスはこんなにユニークな姿をしているのに、オスは平凡な(?)蛾↓。





擬木にいたカメムシも、ちょろっと──↓。


カッコ良いウシカメムシ↑とキレイなムラサキナガカメムシ↓。




『三宅裕司のえびぞり巨匠天国』と出演覚書

今ではすっかりテレビのない生活に慣れてしまったが……もう四半世紀以上も前に、冗談半分に作った映像作品でテレビ番組に出たことがある。この番組を検索してみたところ、Wikipediaにも情報がまとめられていたが、いくつか間違いも見受けられた。そんなこともあって、この番組と僕が出演した回の覚書をあらためて記しておくことにした。

『三宅裕司のえびぞり巨匠天国』通称『えび天』出演覚書



平成名物TV『三宅裕司のえびぞり巨匠天国』──通称『えび天』は、1991年1月12日~1991年9月28日にかけてTBSテレビで毎週土曜日の深夜24:40~27:00(日曜日午前0:40~3:00)に放送されていた映像作家発掘番組。ミュージシャン発掘番組『三宅裕司のいかすバンド天国』──通称『イカ天』の後継番組ということで、(『イカ天』に対して)『えび天』になったのだろう。<映像><美学><造形><理念>──この頭文字をとって「えびぞり」という説明が番組内でなされていた。
司会は三宅裕司と福島弓子(TBSアナウンサー)。毎回10組の自主制作映像作品(基本的には3分以内)が紹介され、映像関係者やゲストからなる「えび天選考委員(えび選)」が審査する。優れた作品を制作した監督には特典が与えられ、番組でプロデビューの後押しをすることになっていた。ゆるいものからキアイの入ったものまで……個性豊かな作品&監督が集まり、見ていて楽しいバラエティ色の強い番組だった。


番組のシステムとしては──監督は「銅」からスタートし(番組採用時点で「銅」は確定)、「銀」「金」と段階を経て「巨匠」に挑戦することができる。銅賞監督には銅メダル、銀賞監督には銀メダルと編集機材、金賞監督には金メダルと映像機器&賞金50万円が贈られる。そしてみごと「巨匠」になると副賞は「夢」(の実現)──劇場公開映画Vシネマの監督ができる──というものだった。
番組では1組ずつ監督&作品が紹介され、作品上映後に「えび天選考委員(えび選)」が講評する。評価の目安として「えびせんボード」と呼ばれるパネルに《えびせん》全員の印象が表示される。「えびせんボード」は、アイディア/コンセプト/テクニック/パッション/インパクトの5項目からなり、いずれかの項目で満点がつくと「パーフェクト賞」として監督3点セット=ディレクターチェアー・メガホン・ストップウォッチが贈られる(受賞監督の首にはメガホンがかけられた)。
(逆に全ての項目で一つもボタンが押されなかった場合「逆パーフェクト賞」という見舞金(?)のようなものが出る制度が番組の途中から加わり、三宅裕司氏のポケットマネーから2万円が与えられた)
10組の作品が全て紹介された後に《えびせん》によって協議が行われ、番組の最後にそれぞれの監督に対して「金」「銀」「銅」の判定結果が発表される。

僕が出演したのは第6回(1991年2月16日 24:40~27:00放送)。上映された作品は『ミラクル☆スター』──変身ヒーロー・怪人・カメラマンを一人で兼ねたスーパーヒーロー・アクションだった。


『ミラクル☆スター』上映後のスタジオ↓。評価は……。




パーフェクト賞には1つ足りなかった(パッション)。
最終的な結果は【銅】賞。しかしキャプテン・ジョージから【特別奨励賞】のミニトロフィーをいただいた。


ちなみに、第6回の放送内容は↓。


Wikipedia情報では第6回の「審査員」にブルース・オズボーンの名があるが、この回の「えび天選考委員(えび選)」は大林宣彦/武藤起一/キャプテン・ジョージ/椎名桂子/高城剛/松永麗子の6名だった。また、この回には『川口浩の火星探検』で安原伸監督が初登場しているが、Wikipedia情報では、安原伸氏について第14回に放送された《「国防挺身隊 第1話 挺身隊出撃」で初登場》と記されている。

えび天出演の経緯

『三宅裕司のえびぞり巨匠天国』の第1回放送があったのは1991年1月12日の深夜(1月13日未明)。この時、僕は何をしていたかというと、イタズラ感覚で試作中の実写版『ミラクル☆スター』の編集をしていた。『ミラクル☆スター』は個人誌で誕生した(僕が創作した)変身ヒーローで、実在の友人たちが登場する内輪ウケ狙いの小説シリーズ。当時、僕を含め3人が、自分をヒーローにした内輪ウケヒーロー小説を書いて競い合っていたのだが、このレースを一気に制すべく『ミラクル☆スター』の実写映像版が作れないかと画策していた。当時、里山の小動物などを撮るのに使っていたビデオカメラで、ミラクル☆スター試作カットを撮影。うまくつなぎ合わすことができるか編集を試していた。当時はダビング編集──2台のビデオデッキをつなぎ、片側で再生した映像を、もう一方で録画(必要なシーンだけをコピー)するのだが、ビデオデッキは録画開始や一時停止・解除の操作をしてから作動するまでタイムラグがあり、目まぐるしいアクションのカットイン・カットアウトのタイミングを合わせてダビングするのが厄介だった。うまくいけば数人に見せるつもりで試作を開始したのだが、ダメなようならボツという可能性もあったため、撮影は1人で行っていた(ビデオカメラを三脚に固定して、ヒーローと怪人の二役を演技──それを編集で闘っているように見せようと考えた)。そのテストカットのテスト編集をしているときに、偶然目にしたのが『えび天』第1回の放送だった。番組で映像作品を募集していると知り、編集中の『ミラクル☆スター』を応募してみようと思い立つ。さっそく応募規定(3分以内)に合わせたえび天バージョンを編集。1月14日にできあがったビデオを投函したところ、1月16日の夜(PM8:30)に採用を知らせる電話があって、あっけなくテレビ出演が決定。1月23日に説明会が開かれ、第5回と第6回の出演メンバーが集められた。僕が出演する第6回の番組収録は2月9日、放送日時は2月16日24:40~27:00(2月17日0:40~3:00)と、トントン拍子でことが進み、我ながら急展開に驚いていた。番組内では生放送ということになっていたが、実はノンストップで(CM時間も含めて2時間20分編集無しで)収録する生収録。放送時間は深夜だったが、実際の収録は19:40~22:00だったので、(終電前に)電車で帰宅することができた。
当初は数人の仲間に見せるつもりで気まぐれに試作した実写版『ミラクル☆スター』だったが、こうして思いがけず多くの人に見ていただく機会を得たのだった。

ミラクル☆スター~実写版~※ひとりで撮ったスーパーヒーロー・アクション
ミラクル☆キッド~実写版~※小学2年のスーパーヒーロー誕生
ミラクル☆シリーズさくっと制作経緯

てんしのヒロバ他

天使の翼!?を展翅したかのように広げるヒロバフユエダシャク♀



ヒロバフユエダシャクのメス──2月末に見たメス(【シモフリトゲエダシャクペア&ヒロバフユエダシャク】の画像)と同じ個体が、3月頭にも同じサクラの幹にとまっていた。小さな翅をめいっぱい広げて背筋を伸ばした姿勢がりりしい。


ヒロバフユエダシャクのメスはお気に入りの昆虫の1つ。これでも立派な蛾の成虫だが、メスの翅は退化して小さい(オスは蛾らしい翅を持っている)。飛ぶことのできないメスの小さな翅は、《天使の翼》っぽくも見える。4枚の翅は重ならないように角度をつけて……まるで《展翅》したかのようにきれいに広げられている。


拡大すると、小さいながら翅は鱗粉で覆われていて、ちょっとビーズ細工っぽい感じがしないでもない。左右にはり出した前翅は短く、やや後方へつき出した後翅の方が長い。翌日もほぼ同じ場所にとまっていた↓。


今シーズンは1月下旬からオスが目につきだし、2月上・中旬はよく見られた。しかし3月に入ってからは(オスは)まだ見ていない。メスは3月に入って4匹ほど確認しているが、これ↑以外は、皆サクラの高い位置にとまっていて接写できなかった。




ちなみに、ヒロバフユエダシャク♂はこんな姿↓。


産卵後のシロトゲエダシャク♀



雑木林の木柵にとまっていたフユシャクのメス──最初は産卵後のシモフリトゲエダシャクかと思ったが、よく見るとシロトゲエダシャクだった。


産卵前のメスと比べると、ずいぶん縮んでしまっている。腹も凹んでいた。


シロトゲエダシャクのオスは3月に入ってからもあちこちで目にしている。




フユシャク以外の蛾





ウスベニスジナミシャクも目につくようになってきた。きれいな模様だが、幹にとまっていると、意外に樹皮にとけこんで目立たない。
フユシャク(冬尺蛾)ではないが、冬の間、時々みかけるエレガントなマエアカスカシノメイガ↓。


この時期にセミ!?──と思わせるようなボリュームの蛾・トビモンオオエダシャク↓。


丸みのある腹を見てサンダーバード2号を思い浮かべるのは空目家(?)の僕だけであろうか? 空目と言えば、トビモンオオエダシャクの幼虫はネコ顔に見える!?


ネコのような虫!?


牙なし&牙ありマツトビゾウムシ他

マツトビゾウムシ牙なし(越冬成虫?)&牙あり(新成虫)



2月の終わりに擬木上でみつけたマツトビゾウムシ。名前のとおり松の近くで見かけることが多い。この虫を見ると、つい口元をのぞき込んでしまう。ゾウムシの中でも口吻が短い(ゾウムシといいながらゾウには似ていない)短吻類の新成虫は牙(きば)状の付属突起を付けていることがあるからだ。この《牙(状付属突起)》は羽化直後の成虫にあって、蛹室から地上へ出るさいに使われ、その後脱落してしまうらしい。「鋭い鉤状の牙をもつゾウムシ」──温厚な(?)イメージのゾウムシと恐ろしげな(?)《牙》のミスマッチな姿が面白いので、このテ(短吻類)のゾウムシを見ると《牙》の有無を確かめてしまう。
──ということで、このマツトビゾウムシには《牙》はついていなかった。新成虫が現われるのは3月になってからだろうと予想していたが、それには少し早い。これは成虫で越冬した個体だろうか?


さて、そして3月。やけに暖かい日があったりして、そろそろ《牙》つき新成虫バージョンが出てきているのではないか……と思っていると、いた↓。


いたのは2月の終わりに牙なし個体を見たのと同じ松近くの擬木上。期待の《牙(状付属突起)》があるのはすぐわかったが……何やらゴミのような物がついている。




蛹室を破壊したときのなごりか、地上へ掘り進むさいに付着した物なのか……《牙(状付属突起)》が利用されたこと(器官として機能していること)を示すものだろうか? しかし、この状態では《牙(状付属突起)》の形がわからないので、ティッシュを使って取り除いてみた。


ぷちクリーニングした直後は触角を倒してじっとしていた↑が、やがて触角を立てて歩き出した↓。


もう少し色々な角度から撮りたかったのだが……この後、ポロッと落下。見失ってしまった。

牙付きマツトビゾウムシ
牙付きクチブトゾウムシ

ハートカメムシよりキレイなモンキツノカメムシ



やはり擬木の上に出ていたモンキツノカメムシ。成虫で越冬した個体だろう。よく似た種類で背中の紋がハート形のエサキモンキツノカメムシというのがいるが、紋の形には個体差があって両種にまぎらわしいものが存在する(*)。
ハート紋が標準のエサキモンキツノカメムシの方が人気&知名度は高いが、エサキモンキツノカメムシでは茶色の前胸背がモンキツノカメムシは緑色。配色的にはモンキツノカメムシの方が美しい──と僕は感じている。



*【ハート紋のモンキツノカメムシ&…】より↓。 ※標準的なタイプの比較