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2017年08月の記事 (1/1)

シブく輝くウバタマムシ他

シブい輝きを放つウバタマムシ美麗個体



マツのそばのエノキの葉にウバタマムシがとまっていた。幼虫はマツの枯木に穿孔し、成虫になるとマツ類の葉や樹皮を後食するらしい。美麗昆虫の代表ヤマトタマムシと体型も大きさもよく似ている大型のタマムシなのだが、派手なヤマトタマムシに比べると地味なためか知名度はいまひとつな気がする。しかしこの個体はシブい色合いながらシックな輝きを放っていた。


画像では光沢感が分かりにくいが……赤銅色もしくはセピア色orチョコレート色に輝いていた。ヤマトタマムシのような派手さは無いが、なかなか味わいのある昆虫だ。背面の模様は立体的な凝った造りになっていて──おそらく上翅の強度を増すための構造なのだろう。これがまるで《浮造り(うづくり)加工》(木材を研磨し柔らかい夏目を削って硬い冬目を浮き上がらせることで木目を強調する技術)をほどこしたかのような味わいをかもしだしている。


宝石にたとえられるヤマトタマムシの上翅は実はペラペラ──シワや折り目が入りやすいが、それに比べ表面構造が凝ったつくりのウバタマムシの方が、高級感(?)が漂っている気がしないでもない。


凹んだ部分の点刻の集合が、離れて見るとセピア色に輝き、その中に黒い筋が走っているように見える。




ウバタマムシの眼には、昔の少女漫画のヒロイン顔負けのキラ星がいくつも輝いていたりもする。


地味なイメージがあるウバタマムシだが、その中でも美麗個体はいる──ということで。ついでにやはり(ヤマトタマムシに比べれば)地味系(?)のアオマダラタマムシでも、時々目にすることがある赤紫ががって輝く美麗個体を↓──過去の記事から再掲載。


シブい輝きを放つアカスジキンカメムシ幼虫ほか



シブい色合いながら、よく見ると金属光沢のある昆虫つながりで……アカスジキンカメムシの終齢(5齢)幼虫。ゴンズイの実にとまって汁を吸っていたこの5齢は、まだ脱皮してあまり時間が経っていない個体のようだ。
アカスジキンカメムシの幼虫にはユニークな白黒模様がある。この黒っぽい部分(金属光沢がある部分)は硬く脱皮後ほとんど大きさは変わらないようだ。成長とともに大きくなるのは白い部分──脱皮後この白い部分が広がることで幼虫は大きくなる(なれる)。5月に撮影していた羽化前の終齢(5齢)幼虫と比べると、白い部分の幅に差があるのがわかる↓。


ちなみに、この白い部分は抜け殻では透明感のあるやわらかい膜になっている。
ゴンズイの葉にはアカスジキンカメムシの幼虫が集まっていた。


4齢幼虫の中に5齢幼虫が1匹まじっている。この5齢幼虫も脱皮してさほど経っていない感じ。白い模様部分(脱皮直後の幼虫は赤みがかっている)がまだ狭い。近くで脱皮したはずだが、抜け殻は見つからなかった。おそらく脱皮後、幼虫によって落とされたのだろう(*)。


アカスジキンカメムシ幼虫がいた場所の近くにとまっていたムラサキツバメ↓。


Wikipediaによると、《ムラサキツバメは1990年代までは本州(近畿地方以西)、四国、九州に分布していると考えられていた》とのこと。南方系昆虫の北上化は珍しくないが、ムラサキツバメの場合は幼虫の食植物になるマテバシイが植樹で増えたことも関係しているらしい。


やたらハデなガガンボがいたので撮ってみた。ホリカワクシヒゲガガンボというらしい。オスはその名のとおり触角が櫛(くし)状になるので、これはメス。ネット上には「成虫は餌を食べない」というような情報があったが、葉の上の濡れた部分を舐めていた。水分補給はするようだ。よく見ると右側の脚が1本とれていた。




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ヤスマツトビナナフシとニホントビナナフシ

ニホントビナナフシ:ヤスマツトビナナフシ

狭山丘陵でこれまでに僕が確認したトビナナフシはニホントビナナフシとヤスマツトビナナフシの2種類。ニホントビナナフシが多い。ニホントビナナフシの方は(本州の個体は)単為生殖といわれているのに両性生殖を確認したり、(体色が緑色とされているメスで)黄色い個体に遭遇したり、オスとメスのパーツが混在する雌雄モザイク個体を見つけたりして、これまでに何度もブログネタにしている(*)が、ヤスマツトビナナフシについては少し前に柔らかいネタで1度取り上げただけ──あまり注目することがなかった。
思えば意外に出会う機会が少なかったヤスマツトビナナフシ成虫♀(単為生殖をし♂は確認されていない)を先日また見かけたので、ニホントビナナフシ成虫♀との違いなどを比べてみることにした。
見慣れたニホントビナナフシに比べるとヤスマツトビナナフシは若干小さめな感じもするが、両種はよく似ている。一見してわかりやすい識別点は【眼の後ろから体の側面を縦に走る筋状の模様】の有無だろう。あればニホントビナナフシ。ヤスマツトビナナフシには無い。【前翅の配色】にも違いがあって、ニホントビナナフシでは赤褐色の部分がある(同じ部分がヤスマツトビナナフシでは緑色)。また、腹端にある【尾毛(びもう)】と呼ばれる1対の突起が、ヤスマツトビナナフシでは長く飛び出しているように見える。
画像で比較すると違いがわかりやすい──↓。






というニホントビナナフシ↑に対して、ヤスマツトビナナフシでは↓。






ヤスマツトビナナフシの大きな瞳!?

こうした相違点とは別に、パッと見の印象で違うと感じたのは眼だ。トビナナフシの複眼にはカマキリで見られるような偽瞳孔(カメラ目線で写る複眼の中の黒い点)があって、つねに見つめ返しているようにうつる。この偽瞳孔は背面から撮ると上を向いた寄り眼がちの黒点になるのだが……ヤスマツトビナナフシでは、この黒い部分がやけに大きく、「パッチリした目」に見える!?


ヤスマツトビナナフシの背面ショットを見て「ずいぶん大きな偽瞳孔(擬瞳孔)だな……」と最初は驚いたが……じつは、これは偽瞳孔(擬瞳孔)ではなく、複眼の模様だった。
そんな眼の比較ということで、まずは見慣れたニホントビナナフシから──↓、


ニホントビナナフシと頭部の造型はほとんど変わらないのにヤスマツトビナナフシでは黒目模様(?)があることで、ずいぶんと表情(?)の印象が違って見える↓。


ヤスマツトビナナフシの背面ショットで黒目にみえたのは複眼の模様で、角度を変えると偽瞳孔(擬瞳孔)は別にあるのがわかる。(ヒトでは)「黒目を大きく見せるカラーコンタクトレンズ」なんてものがあるらしいが……なるほど、黒目が大きいと印象も変わるものだ。しかし、ヤスマツトビナナフシがヒトの好感度を上げるために「黒目を大きく見せる」ことをしているとは思えないから、複眼の模様には何か別の意味があるのかもしれない。
ニホントビナナフシも複眼に筋状の模様が入っている。眼を隠蔽する分断模様にしては……むしろ黒っぽい模様は目立つ気がしないでもない。あるいはハレーションを防ぐような役割りでも果たしているのだろうか?


テングスケバのペア



テングスケバ・ペアのコンビダンス!?



前々回の記事【テングスケバの複眼と単眼】でネタにしたばかりのテングスケバだが、ペアショット↑が撮れたので投稿。交尾のようすを色々な角度から撮っていたのが……反対側を向いたオスとメスが《左右対称の動きで魅せるコンビダンスをしている》かのようにも見えてきて、冒頭画像のイメージが展開!?
もちろん実際はミミズクのダンスのような動きがあったわけではないのだが……キアイを入れれば「ザ・ストライパーズ」のコンビダンスがイメージできる!?






















テングスケバの魅力といえるストライプ模様だが……単独ショットでは顔(頭部腹面)のストライプと背(胸部背面)のストライプを同時に写すことはできない。しかしペアショットでは角度によって、それができる──そのことに気づき、面白いと感じた。深度合成ができる機種なら手前の顔と奥の背の両方を鮮明に撮影できるのだろうが……残念ながら僕のカメラではそれができない。ピントの位置を変えたりアングルを変えたしながらペアショットを撮ってるうちに、コンビダンスのイメージが展開したしだい。
ペアの他にもテングスケバはいくつか見られた。テングスケバの単独ショット↓。








テングスケバがいる若いクワでよく見かけるミドリグンバイウンカも──↓。


色合いとあわい青緑色のラインが、テングスケバとちょっと似た感じがする。


ハリサシガメのレガース

ハリサシガメのレガース(すねあて)は何のため?



ハリサシガメの前脚と中脚は脛節(けいせつ:ヒトでいえば膝から足首にかけての部分)の先端が太く、ちょっとパンタロン(裾広ズボン)を思わせる。そしてよく見るとその内側には「脛(すね)当て」のようなものがついていたりする。


ハリサシガメは成虫も幼虫もアリを捕食するが、狩りのさいには前脚と中脚を使って獲物をおさえこむ。「脛当て」はアリをおさえこむときの「滑り止め」として発達したものだろうと思っていた。
ところが撮影した画像を眺めていて、この器官が袖口のように前方に開口しているようにも見えることに気がついた。


まるで分泌腺の開口部のよう!?──これが幼虫なら、《ここから粘着物質を分泌してデコレーションの接着剤に利用するのではないか?》と想像したくなるところだが……これは成虫(背中に異物をデコレーションするのは幼虫だけで、成虫には無用)。それはないだろう。しかし、あたらためてこの「脛当て」の役割りについて考えてみたくなった。
分泌腺の開口部でないとすると、オスが交尾の際にメスを抱えるさいのグリップ力を高めるためのもの──という可能性はどうだろうか?


しかし、この「脛当て」は成虫のメスにもある↓。ということは、性差器官ではなさそうだ。


ペア・ショットでオスのかげからのぞくメスの前脚にも「脛当て」があるのがわかる↑。テーマから少しそれるが、このメスについては説明しておく必要がある。アングルを変えて同ペア↓。


一見、翅が消失しているように見えるこのメスは実は何日か前にも目撃していた。ハリサシガメは翅多型で、短翅型もよく目にしていたが、さらに翅が退化した無翅型か!?──と、その時は驚いた。しかし、よく見ると翅は根元に近い部分でちぎれ、腹のふちにも外傷があって、欠損は羽化後のものだとわかった。


初めてこのメスを目にした少し前、周辺には草刈りが入っていた。翅や腹の縁が欠けたのは草刈り機による被害ではないかと思っている。
話を「脛当て」に戻して……成虫メスにも「脛当て」はあるということ──この器官が性差ではないことが確認できた。また、幼虫にも同様の器官がある↓ことから、「脛当て」は繁殖活動のためのものでもないと思われる。


同個体を少し角度を変えて──、


成虫のオス・メス両方に、そして幼虫にもある(=共通している)ということは、「脛当て」はやはり捕食行動で使われる器官──獲物をしっかりと保持するための「滑り止め」ではないかという気がする。


食事中、小さめのアリ(この画像では脚のかげになって見えない)を前脚と中脚をつかっておさえるハリサシガメ成虫♀↑。
こちら↓は大きめのアリを捕食中のハリサシガメ成虫♂↓。




ハリサシガメの狩りは、すばやくアリに飛びついて前脚と中脚で押さえ込んで口吻を突き刺す──そんな形で行なわれる。カマキリは獲物を前脚で抱えて食事をするが、ハリサシガメは食事中、1度口吻を刺してしまえば、脚を放し、口吻だけで獲物を保持していることが多い。前脚と中脚を使って獲物をおさえるのは獲物を捕らえる時や口吻を刺しなおすとき(獲物の刺し位置を変える)、口吻を引き抜くときだ。
ハリサシガメのエサはもっぱらアリだが、アリの体は小さくて丸っこい。これを細い前脚と中脚でコントロールしようとすると──小豆を細い箸先でつまむようなもので、接面積の少なさから保持が不安定になりやすい。そこで「小さく丸っこい(滑りやすい)獲物との接面積を増やし、摩擦力を高めるため(グリップ力を増すため)」に「脛当て」は機能しているのではないかと推察するしだい。


ハリサシガメの「脛当て」は獲物のアリ保定のための「滑り止め」と考えると納得できそうな気がする。




もう少し「脛当て」の構造がわかるような画像を撮りたいところだが、僕の腕では難しい……。生体の足元を撮るのに四苦八苦している時にハリサシガメの死骸を発見した↓。


死骸は長翅型の成虫♂で、捕食の際に使われる前脚と中脚のうち、ふ節(ヒトでいえば足首から先の部分)が残っていたのは左中脚だけだった。そこでこの中脚の「脛当て」を角度を変えながら撮ってみた↓。


この死骸では、「脛当て」が少しへこんでいたが、柔らかいことが獲物との接面積を増やすこと(摩擦力を高めること)に役立っているとも考えられる。
例によって無知な素人の想像に過ぎないので、この解釈が当っているかどうかはサダカではないが……。
別個体(生体)で、恒例の1円玉比較↓。




テングスケバの複眼と単眼

テングスケバ:偽瞳孔in複眼&単眼



この時期、雑草の中に生えた若いクワで見かけるテングスケバ。いるとつい撮ってしまう。


涼しげな青緑色のストライプがお気に入り。
脚にもストライプが走っていて、複眼も縞模様。その複眼に浮かぶ黒い点──偽瞳孔(擬瞳孔)が、いつもカメラ目線なのもひょうきんさをかもしだしている。


テングスケバを検索していると「単眼は2個」という記述が目にとまった。これまで気がつかなかったが、単眼がどこにあるのか画像をチェックしてみた。


分かりづらい画像だが……複眼と触角基部の間にあるのが、おそらく単眼だろう。


今年は多い気がするテングスケバ。


葉の上だけでなく枝(茎?)にとまって吸汁しているものもいた。


最近見た昆虫から



ゴンズイの実にアカスジキンカメムシの幼虫がとまって吸汁していた。
葉の上ではプチ集団が身を寄せ合っていた。


今年は8月に入って雨続きだったが、雨上がりに石垣を見に行くと、乾き始めた石垣にハリサシガメ幼虫が現われた。




雨続きの影響か、デコレーションに子実体のようなもの(?)が生えていた。


ついでに、ハリサシガメがいた場所から少し離れた石垣にとまっていたウバタマムシ↓。




翅多型のハリサシガメ

ハリサシガメ成虫:長翅型~短翅型



土粒にまみれアリの死骸などをまとっていた幼虫時代とはうってかわって精悍さすら感じさせるハリサシガメの成虫。背中──小楯板からつきだした鋭い突起が特徴的。前胸両側には側角とよばれる突起もあって厳めしい。


口吻は他のサシガメに比べてやや短め。毛足の長い毛虫などを狩るには長い口吻の方が便利なのかもしれないが、小さなアリの急所を正確に貫くには短めの口吻の方が(ズレたりブレたりしにくいだろうから)適しているのかもしれない。
このところ幼虫よりも成虫をみかける機会の方が多くなってきた。




成虫には逆「ハ」の字模様が入った翅があるが、この翅の長さは個体によって、かなりバラツキがある。この個体は今シーズン見た中で一番長い。


これ↑に比べると明らかに翅が短い成虫↓。




さらにミニサイズの短翅型↓。




背面からも腹の節がしっかり見える。


ペアのハリサシガメでは──僕が見た限りは、決まって翅の長さはオスの方がメスより大きかった。


このペアも翅の長さは♂>♀。


なんとも不可解なハリサシガメの翅多型

同種の個体に形態的な差を生じることを多型現象というそうで、翅の長さに多型を生じるものは翅多型(もしくは翅型多型)と呼ぶらしい。ハリサシガメは長翅型と短翅型、そしてその中間型ともいえる長さの翅を持つものがいて、なんとも不思議な気がする。今シーズン見た成虫の中から翅の長さの違うものを並べてみると↓。




















ハリサシガメの翅の長さは、かなりいい加減なのがわかる。

一般的には、同種内に生じる翅の長さの違い──「長翅型と短翅型」もしくは「有翅型と無翅型」は、飛翔能力の有無を意味することが多いらしい。
昆虫にとって飛翔能力は新天地の開拓や悪化した環境からの脱却という生存率を高める上で有益なツールだろう。一方、翅や飛翔筋などの飛翔器官を形成するにはそれなりの資源や手間がかかるはずで、もし移動の必要がなければ(生息環境が良い状態で永続すれば)、飛翔器官の形成コストを生殖器官に振り替えた方が(養分仕分け?で飛翔器官をカットした方が)生存率が高まる──というケースもあり得るだろう。昆虫の中には生息環境が良い状態で安定しているときは(繁殖能力に優れた)短翅型あるいは無翅型が出現し、餌が枯渇したり個体密度が高くなると(繁殖能力は目減りするが)飛翔能力を持った(移動・拡散ができる)長翅型あるいは有翅型が出現するものがいるという。

ならば、ハリサシガメの場合はどうかというと──、
短翅型は見た目にとても飛べそうにないが、ならば長翅型は飛べるのか──といえば、(無知な僕の浅い観察経験からすると)懐疑的だ。これまでハリサシガメが素早く石垣の隙間に隠れる姿は何度も目にしているが、飛翔したり飛ぼうとする(翅を開く)シーンは一度も見たことがない。
もし飛翔能力の有無で翅多型が生じたのであれば、長翅型と短翅型の二極にきっぱり分かれて良いような気がする。
生殖能力を落として移動拡散のメリットにかける長翅型と移動拡散を捨て生殖能力に注力する短翅型──どちらかに分かれるのは理解できるが、どっちつかずの中間型は中途半端なムダな存在ということになりはしないか?
翅の長さがこれだけいい加減なのは、そもそも飛翔に関するこだわりを捨てているからではないか──翅の長さに関わらず、ハリサシガメは飛翔筋が無い(その形成資源は生殖器官に回されている)のではないか……そんな気がする。一方で、飛べないのであれば、みな短翅型で安定しそうなものだ──という気もする。どうして同じ時期に同じ環境で育った個体群のなかからバラツキがある翅が形成されるのか理解に苦しむ。
ということで、やっぱりハリサシガメは、謎が多い……。


ヒガシニホントカゲの捕食

ヒガシニホントカゲの捕食など



獲物(虫)を探して歩きまわるヒガシニホントカゲの幼体。ヒガシニホントカゲは幼体のときがとびきり美しい。黒い体に縦に走る金色のライン──それが尾では鮮やかな青い輝きを放つ。


雑木林ふちの石垣では日光浴する姿やエサを探して徘徊する姿がよくみられる。捕食シーンを目にすることも、しばしば。












石垣やその周辺につもった落ち葉、くさむらで狩りをしている。






ときには、「それ、食えるのか?」と思うような大きな獲物をくわえていることもある。ヘビなら自分の頭よりも大きな獲物を丸呑みにできるが(*)、ヒガシニホントカゲの場合、どの程度の大きさまで対応できるのだろうか? くわえた獲物とともに石垣の隙間や落ち葉の中に姿を消してしまいがちなので「ちゃんと食えたのか」見届けられないことが多い。
どん欲な食欲をみせるヒガシニホントカゲだが、同じ石垣でくらすハリサシガメの幼虫には見向きもしない。




(※【捕食したアリをデコるハリサシガメ幼虫】より再掲載↑)
ハリサシガメの幼虫に接触するほど接近することもあるのに、まったく眼中に無く、獲物探しを続けているのが不思議な気もする……。

ヒガシニホントカゲの幼体は美しさもさることながら、そのプチサイズな大きさ(小ささ)が可愛らしい。サイズの感覚が判るように直径20mmの1円硬貨との比較画像を撮ってみたいところだが……警戒心が強く、すこぶる敏捷なので、近づくことが難しい。とても1円ショットは無理だろうとあきらめかけていた。が、あるとき、炎天下の地面にしゃがみ込んで別の虫を観察していると──路面に出てきたヒガシニホントカゲ幼体が、なんと僕の足元によってきた。日に焼かれた路面の暑さを嫌い、僕の影に入ってきたのだろう。ふだんは、そっと近づこうとしても逃げてしまうヒガシニホントカゲ幼体が、自分から僕の足元にすり寄ってきたのでビックリ! 小さな獲物でも動くものにはすばやく反応するが、大きな人間も動いていなければヒト(敵)と認識できないのかもしれない。足元でくつろぐ幼体はまったく警戒心をみせない……むしろ物陰にいることで安心しているようにも見える。そこでトライし実現したのがこの↓1円ショットだった。


このときは、ヒガシニホントカゲは「動かぬ相手は認識できない」のではないか──そう感じ、彼らがハリサシガメ幼虫に気づかなかったのは、ハリサシガメ幼虫がじっと動かないでいたためではないか……などと考えたりした。

しかし、その後「動かぬ相手は認識できない」ことを否定する、次のようなシーンを目にした。石垣の隙間で獲物を探していたヒガシニホントカゲが木の枝のようなものをくわえ、ハイテンションで現われた。


何をくわえているのかとよく見ると……どうやら干からびたミミズっぽい。少なくともこれが「動く獲物」であるとは到底思えない。こんな小枝は周囲にはいくらでも落ちているだろう。その中でミミズの干物をエサと認識したたのは、おそらくニオイを確かめてのことではないかという気がする。
同じような「動かぬ獲物」をくわえていた別ケース↓。


こうしたケースを見ると、「動かぬ相手は認識できない」というわけでもなさそうだ。
ところで、ヒガシニホントカゲの密度が高いこの石垣では、アリも多く活動している。ところが、ヒガシニホントカゲは「(目の前で)動くアリ」には無反応。これはアリを認識できていないのではく、「狩りの対象ではない=NGエサ」として認識してスルーしているということなのだろう。蟻酸を持つアリは獲物からはじかれているのかもしれない。とすれば、アリを背負ったハリサシガメ幼虫もアリの延長で(存在に気づかないのではなく)NGエサとして認識&スルーという扱いなのかもしれない。あるいは土粒まみれのハリサシガメ幼虫はジャリジャリして(?)食べにくくて敬遠されていたりして?


だとすれば、ハリサシガメ幼虫の蟻デコレーションや土粒コーティングには、トカゲ除けの効果があったりするのかも知れない?──そんなコトを漠然と考えた。
この石垣ではヒガシニホントカゲが多いが、ニホンカナヘビも時々姿を見せる。


ニホンカナヘビはヒガシニホントカゲに比べ雑木林で見かけること多い。ニホンカナヘビはよく木の枝の上で日光浴していたりもする(活動空間が立体的)が、ヒガシニホントカゲはもっぱら石垣壁面や地上付近で見かける。
同じトカゲの仲間では、ニホンヤモリもこの石垣では見かける。



穴を掘るヒガシニホントカゲ ※穴を掘ってコガネムシの幼虫を狩る
ヒバカリ幼蛇の捕食(頭よりも大きなオタマジャクシを丸呑みにする)

謎めいたハリサシガメの脱皮



脱ぎながら装飾する!?ハリサシガメの脱皮



石垣のすきまにハリサシガメ幼虫をみつけた。昨年初めて目にした時は驚いたが、もうすっかり見慣れた姿……だったが、なんだか、ちょっと違和感。のぞき込んでいると向きを変えたが、その動きはいつもより緩慢。ゆっくりと身じろぐしぐさがわずかに見られ、これは羽化が近いと直感した(実際は羽化ではなく脱皮だった)。ただ、僕はハリサシガメの脱皮や羽化を観察したことがない。僕が感じた違和感が《兆候》であったとしても、脱皮や羽化が始まるのが数分後なのか数時間後、あるいは翌日以降になるのかはわからない。
ハリサシガメの羽化や脱皮は見てみたかったことの1つ。背中に異物をデコレーションした幼虫がどのように古い殻から脱出するのか/脱皮の場合は、デコレーション素材が脱皮後どのように新幼虫に引き継がれるのか──興味がある。
石垣の隙間でみつけた幼虫はおそらく羽化を控えているとふんだのだが……観察場所としては狭い隙間の奥──暗くて見づらいし、撮影アングルも限定されてしまうので条件的にはあまり良くはない……。見やすいところに移動させるか、持ち帰って観察するか──そんな選択も考えないではなかったが、今回は下手にいじらずに見守って、変化があったら自然なままの形で記録することにした。
上の画像はハリサシガメ幼虫が脱皮する前の姿勢──鉛直面に頭を下にしてとまっている。90度回転した画像が↓。画面の「左:右」→「地(下):天(上)」。


暗くてわかりにくいが、触角や眼も見える↑。画像すみの数字は撮影時刻(時:分:秒)。この36分後↓。


すでに脱皮は進んでおり、脚はすっかり(古い殻から)抜けていた。この時点で「羽化」ではなく(おそらく終齢幼虫への)「脱皮」だと気がついた。よく見ると、新幼虫の腹の下に抜け殻の触角や脚が確認できる。
ハリサシガメの幼虫は捕食したアリなど色々な素材を背中に背負う習性があるが、これが脱皮のさいにジャマにならないのか──いったいどのように脱皮するのかという疑問があった。また、羽化のさいにはこのデコレーション素材は抜け殻に残される(成虫はデコらない)が、幼虫への脱皮では、抜け殻にデコ素材は残らない。脱皮後どのようにデコ素材が抜け殻から新幼虫へと《荷移し》されるのかも確かめてみたいと思っていた。《荷移し行動》の最後の部分──脱皮後に移動したデコ素材から抜け殻を引き剥がす行動は1度見たことがあるが、そこに至るまでの過程が知りたいと思っていた。
そして初めて目にするハリサシガメの脱皮。《脱皮しながらデコ素材をひきついでいく》──この姿には大いに驚いた。
ハリサシガメ幼虫がまとった土粒や装飾素材は接着剤のような粘着物質によって貼り付けられていると僕は考えている(羽化後の抜け殻に付着していた素材は、抜け殻から剥がした後も素材同士でくっついていたことから)。体の表面から粘着物質が分泌される可能性も想像していたが、脱皮直後の体表面には粘着物質はないと思っていた。ベタベタしていたのでは古い殻を脱ぎ捨てる脱皮の障害になってしまう。しかし画像を見ると、まだ体色も出ていない「脱ぎたてのホヤホヤ」の体に、すでに装飾素材が背負られている。これはいったいどうしたことか? (脱皮の障害になるので)体表面に粘着性がないとすれば、貼りついているのはデコ素材の側に粘着性が残されているためだろうか? しかしデコ素材に粘着力があるのであれば、《これまで貼り付いていた抜け殻から剥がれ、スベスベの新幼虫に貼りつく》というのも不自然な気がする。いったい、どうなっているのだろう?
謎を解くためにハリサシガメの脱皮を見たいと思っていたが、観察すればすればするほど新たな謎が増えていくハリサシガメの不思議!?
脱皮前の画像と脱皮中の画像の間には36分あるが、その間何度も石垣の間をのぞいている。変化があったら記録(撮影)しようと思っていたのだが……気づくのに遅れてしまったためだ。気づくのが遅れた原因は、暗く見づらい位置だったからだろう。羽化や脱皮が始まれば(本来の色がついていない)明るい色の体が古い殻の背中側からせり出してくる──そんなイメージを描いていたが、実際はデコレーション素材の下側から現われたようにも見え、ちょっと意表を突かれた感もある。


ふたたび90度回転した画像↓(画面の「左:右」→「地:天」)。


ハリサシガメ幼虫の後脚は捕食したアリの死骸などをデコるときに使われるが、脱皮の際には引き継いだデコ素材から抜け殻を引き剥がすために使われるようだ。


デコ素材と新幼虫の体の間には古い外皮(抜け殻)があったのに、古い外皮だけ脱いで新幼虫の背中にはデコ素材が残る──なんとも不思議な光景だ。テーブルの上に食器を並べ、テーブルと食器の間にあるテーブルクロスだけを引き抜き、食器をテーブルの上に残す「テーブルクロス引き抜き」を思い浮かべてしまった。
また、そもそも脱皮といえば古い殻を「脱ぎ捨てる」行為なのに、その最中に古い殻からデコ素材を「拾って身につける」という真逆のことをしている点にもユニークさを感じてまった。


抜け殻から糸を引いて離脱!? セミの抜け殻などでも見られるが、白い糸状のものは気管の外壁だろう。
覚悟はしていたが、見づらい場所での観察だった……。


この後しばらく変化がない状態が続いるところに、除草作業の準備が始まったので撤退。この後の展開は以前観察した【ハリサシガメ:脱皮後の《荷移し行動》】ということになるのだろう。
翌日、現場をのぞいてみると──↓。


壁面に抜け殻だけが残されていた。脱皮した幼虫の姿を探してみると──↓。


この画像ではわからないが、このときハリサシガメ幼虫は小さなアリを捕食していた。


この幼虫が前日脱皮を観察した個体であることを確かめるために、脱皮に気づく1時間半前に撮影していた画像と比較↓。


じゃっかん配置は換わっているが、デコ素材の構成はほぼ同じ。同一個体とみて間違いないだろう(←※訂正)。
※【訂正】画像の整理をしていて、脱皮翌日に撮ったハリサシガメ幼虫(B)は、脱皮していた個体(A)とは別個体だということがわかった。


脱皮を撮影した日、同じ場所(石垣の隙間)↑には2匹のハリサシガメ幼虫がいたことが判明。脱皮前にA→B→Aとの2匹が入れ替わって写っていた。撮影時には気づかず、てっきり同一個体だと思い込んで写していた。脱皮を撮影した個体はAだが、翌日の幼虫との比較に使った「脱皮前」の個体はBだった。脱皮前に2匹いて2度も入れ替わっていたとは……。

石垣の隙間に残されているだろう抜け殻を回収するつもりで持参したピンセットでつまみ出した抜け殻↓。








抜け殻の触角はもろく、1円ショットの撮影中に折れてしまった。

ハリサシガメの成虫&ペア



今回、ハリサシガメ幼虫の脱皮待ち・変化待ちの間にみつけたハリサシガメ成虫↑とペア・ショット↓。






ハリサシガメのペア

ハリサシガメの成虫&ペア



雑木林のふちの石垣で観察を続けている捕食性カメムシのハリサシガメ。


前胸背面の複雑な立体模様や背中に突き出したトゲ状の突起、墨を流したような黒い翅に映える「ハ」の字模様(逆ハの字模様)が魅力。1円硬貨と比較すると、こんなサイズ↓。


7月下旬から成虫の姿を見るようになったが、石垣の隙間で今年初のペアを確認。


奥まった場所で撮りにくいが……とりあえず、撮影できる角度から撮影。






ハリサシガメの交尾は、オスがメスの側面から抱きつくようなスタイル。カメムシの交尾というと、腹端を接点にオスとメスが反対方向を向いている姿をイメージしがちが、それとはずいぶん印象が異なる。翅の長さも違うし(これまで見たペアではいずれもオスの翅が長くメスの翅は短かった)、咋シーズン初めて見た時は、側面から抱きかかえている成虫(翅が長い方)が亜成体(翅が短い方)を捕食しているかのようにも思え、「!?」だった。じっさいは翅が短い方も成虫で、ハリサシガメの翅の大きさは、個体によってまちまちだということがわかった。


(※【ハリサシガメぷちまとめ】より再掲載↑)
ちなみに、よく見かけるカメムシの交尾──ハリサシガメの石垣近くで撮影したオオホシカメムシとキバラヘリカメムシのペア姿↓。


ハリサシガメの幼虫



7月下旬から羽化シーズンに入ったようだが、まだ幼虫も見られる。この幼虫は狩ったアリの他にオカダンゴムシ(白くなっている)をデコっている。
別のハリサシガメ幼虫↓。


こうして石垣の上に出ていると比較的見つけやすいが、土の上にいると(まとった土粒コーティングのため)輪郭がわかりにくい。


石垣にはまだ大きさ(ステージ?)の違う幼虫が混在している。




「ハ」は「ハリサシガメ」のハ

「ハ」は「ハリサシガメ」のハ(頭文字)



雑木林のふちの石垣に《「ハ」の字模様》の昆虫の姿! 知る人ぞ知る(?)珍虫ハリサシガメの成虫(長翅型)。上の画像では頭を下にしているので《逆「ハ」の字模様》と言うのが正確かもしれない。「ハ」が上下裏返しで「ハ裏(り)・サシガメ」──というのはジョークだが、この目立つ模様がトレードマーク。


《「ハ」の字模様》があるのは翅の部分だが、成虫の翅は個体によって大きさにかなりバラつきがある(翅多型)。幼虫は土粒で全身をおおい隠し、捕食した獲物やゴミを背負ってカムフラージュするという、カメムシにしてはとてもユニークな特徴をもっている。現在、この石垣では成虫と幼虫の両方が見られる。


アリを捕えたハリサシガメ成虫

ハリサシガメは成虫も幼虫もアリを主食とする捕食性カメムシ。ということで、アリの体液を吸うハリサシガメの成虫↓。


針のような口吻を刺して獲物の体液を吸う。




背中から突き出した棘状の突起や、前胸両側のとがった側角が勇ましい。


獲物のアリは大きいものばかりとは限らない。別個体が小さなアリを捕らえたところ↓。


獲物を捕らえる時や口吻を刺しなおすときは、前脚と中脚を使って獲物をおさえる。


口吻の先に小さなアリが刺さっているのがわかる↑。
さらに別のハリサシガメ成虫が小さなアリを食しているシーン↓。


短翅型のハリサシガメ成虫



翅が短い成虫(短翅型)↑。昨シーズンはじめて短翅型を見た時は翅が小さいので亜成体かと思ったが、これで成虫。翅の大きさには個体によってかなりバラツキがあるのだが、この個体は左右の大きさに格差がある。左右の翅がこれだけ違う個体を見たのは初めて。


個性的な装飾のハリサシガメ幼虫

ハリサシガメの幼虫は捕食したアリやゴミ(アリが廃棄した残骸?)などをデコってカムフラージュするが、その素材や配置は個体によって違うので、それぞれ個性的。その中から今回「ナイス!」を押したくなった個体。


黄色いアシナガバチ(セグロアシナガバチ♀?)の頭が目立っている。スズメメバチやアシナガバチのカラーリングは警告色の意味合いがあるといわれるが、頭だけになってもその威厳はあるのだろうか? 隠蔽のためのデコレーションに威嚇効果が加味されているのかどうかはサダカではないが……ちょっと面白い。


にぶい金属光沢を放つパーツもデコられているが、これはトビサルハムシの上翅(翅鞘)のようだ。


やはり「ナイス!」個体↓。画像ではわかりにくくなってしまったが……光を反射してメタリックに輝いていた。


金属光沢の素材はアオドウガネあたりのパーツだろうか?