FC2ブログ

2017年06月の記事 (1/2)

ハリサシガメ幼虫のデコレーション&コーティング

ハリサシガメ幼虫は後脚でデコる



捕食したアリの体液を吸っていたハリサシガメ幼虫。途中で前脚と中脚を使って獲物を押さえて口吻を引き抜き、位置を変えて口吻を刺しなおす。上の画像は口吻を引き抜いたところ。画像ではわからないがアリが前脚と中脚で抱えられている。アリの向きを変えて口吻を刺しなおしながら食事は続く↓。


やがて口吻を刺しなおす間隔が短くなり、前脚・中脚で獲物を抱えなおす頻度が高くなると食事終了が近い。


食事を終えると、アリの死骸を腹の下を通して後脚に受け渡す。この動きが、ちょっとアメフトの攻撃開始(中央の選手が股を通してボールを後ろの選手に渡す)を思わせる。


後脚で受け取ったアリの死骸を背中のデコレーションに押し込む。


すでに同じようなアリがいくつもデコられていてどの位置に追加されたのか、今回はよくわからなかった。
デコレーション作業中に向きを変えたハリサシガメ幼虫↓。


後脚を使ってデコレーションをととのえる。


この時も、接着剤にあたる粘着物質(?)の塗布のような処理がどの段階で行なわれるのか(行なわれないのか?)はよくわからなかった。


ハリサシガメ幼虫が捕食したアリをデコレーションするシーンは何度か目にする機会があったものの、土粒まみれの脚の陰になってアリがどうなっているのか見えないことが多い。デコレーション行動は【ハリサシガメ幼虫の装飾行動】でも記しているが、やはりわかりにくかった。もう少し判りやすい画像で記録できないものかと思っているのだが、なかなかうまくいかずにいる。

土粒コーティング行動?

5月末に今年初個体を確認してから、ずいぶん大きく育ってきたハリサシガメ幼虫(小さな個体も混在している)。その背中にデコられている素材にも変化(季節感?)が現われてきているような。最近は甲虫類のパーツが増えてきたように感じる。中にはけっこうリッパなコレクションをまとっているものも──。


甲虫類の脚や前胸・頭部であることがわかる。倒した大物をかざして己の強さをアピールしている──のではなく、これはアリが廃棄した残骸だろう。これだけ大きな相手を捕食したり分解する能力がこのハリサシガメ幼虫にあるとは思えない。同じ被写体の別アングル↓。


アリを捕食するシーンを期待して眺めていると、立派なデコレーションを傾けて、脚で地面をかくような動きを始めた。


土がたまった部分で後脚をかくようなしぐさは何度か目にしている。土粒をかき集めて体にコーティングしているようにも見える。


土粒で体の表面を覆い隠すのは、アリが接触してきた時の隠蔽偽装だと僕は考えている。デコレーション素材も(アリがスルーする)アリの廃棄物を隠れ蓑に利用しているのではないかという気がする。エサであるアリに気づかれることなく接近するための装備。
じっさい、このハリサシガメ幼虫のすぐわきをアリ達が行き交っていたが、皆ハリサシガメ幼虫には無反応だった。


アリがすぐわきを行き交っていたのは偶然ではないだろう。おそらくこのハリサシガメ幼虫は狩りをするためにアリの通路に近づいた──そして、狩りの合間に(?)土粒コーティングを行なっていたのではないかと思う。


昆虫のグルーミング──体に付着したゴミをとりのぞく行動はよく見るが、ハリサシガメ幼虫の場合は土粒コーティングを保つことがグルーミングなのかもしれない。

今季3つ目のハリサシガメ幼虫の抜け殻(脱皮殻)



石垣の間にハリサシガメ幼虫の抜け殻が残されていた。今シーズン3つ目。落ち葉の上に移動して撮影しようとしたところ、突風で飛ばされてしまった……。


この画像からもわかるように、この抜け殻(まだ小さかったので羽化ではない)も、幼虫がデコっていたはずのデコレーション素材をつけていない──脱皮した幼虫が剥ぎ取っていったのだろう(*荷移し行動)。

エゴヒゲナガゾウムシも出ていた



(ホストのエゴノキではない草の)葉の上にエゴヒゲナガゾウムシ(*)の姿があった。小ぶりのオスで、オスの特徴である眼の離れ具合も小さめ。オスのユニークな顔を見ると、つい撮ってしまう。


そいうえば、昨年8月にはエゴヒゲナガゾウムシの死骸をデコったハリサシガメ終齢幼虫の姿も見ている。


スポンサーサイト



干渉色の輝き:オオナミモンマダラハマキ



画面右側を向いたハエトリグモに見える(!?)↑オオナミモンマダラハマキ(蛾)。葉の上でクルクルと向きを変え後ろ向きに進む「動き」がハエトリグモに似てると感じてよく見れば、「姿」もハエトリグモっぽいことに気がついた──という話は先日記した通り(*)。意外にも光の加減でメタリックな輝きを放つのも前の記事で記した通り(*)。
その後、葉の上に静止しているオオナミモンマダラハマキをみつけたので、角度によって変化する多彩な干渉色をもう少しきれいに撮れないかと思って再挑戦してみたのだが……思うようには撮れなかった……。
ということで、前回と似たような画像になってしまったが……新たに撮影した同一個体の「変化」ぶりを投稿。

オオナミモンマダラハマキの干渉色ショット















※同日、同じ葉の上で撮影した同一個体。


キラめくオオナミモンマダラハマキ

ホストはコブシ?オオナミモンマダラハマキ

前記事(*)で紹介したオオナミモンマダラハマキ──コブシの木の周辺で見つけた小さな蛾だが、昨年別の場所でも目にしている。そのときもたしか近くにコブシがあったはず……そう思って確かめに行ってみたところ、やはりコブシの木が植えられていた。そしてその下の植込みの葉上に今回もオオナミモンマダラハマキの姿が確認できた。


画面右に映っているのがコブシの幹。コブシの枝の下には植込みがあって、その葉の上で数匹のオオナミモンマダラハマキを見ることができた。ネット情報では幼虫食餌植物はホオノキの実とされているようだが、同じモクレン科のコブシもホストではないかという気がする。


干渉色にきらめく見返りショット

雨上がりだったためかオオナミモンマダラハマキはどれも静止していた。ハエトリグモのような動きをしているときよりも翅をすぼめており細く感じた。じっと動かずにいたので、この機会にメタリックに輝いて見えるアングルを探してみることに。同じ個体をフラッシュ発光でアングルを少しずつ変えながら撮ってみた。
まずは普通(?)の角度から↓(以下の画像は同一個体)。


(ピントがボケてしまったが……)頭の後ろから背中に走る縦縞模様にご注目。にぶい銀色をしているのだが、この画像では地味なブラウンに見えている。これが少し角度を変えて撮影すると……。


頭の後ろにわずかに青く輝く部分が出現。さらに──↓。


背中の縦縞模様が色とりどりに輝いて見える。ほんのわずかなアングルの違いでメタルカラーが変化する。


縦縞模様以外の部分でも色合いに微妙な変化が見られる。


同一個体とは思えない多彩なきらめきの変化は驚くばかり。


メタリックな輝きはやや後方から撮ると顕著なようだ。オオナミモンマダラハマキは、尻を持上げ後ろ向きに進むという変わった動きをするが、このユニークな行動と後方から見ると煌めいて見えるということには何か関係があるのだろうか?──そう考えたくなってしまうが、今回の画像はカメラに内蔵されたフラッシュを発光させて撮ったもの。同じ角度から撮影しても、光源の角度が違えばこうはならない──自然光の中では、いつも輝いて見えるというわけではならないだろう。
オオナミモンマダラハマキがフラッシュ撮影で(角度によって)輝いて見えるのは鱗粉等の構造や配列でたまたまおこる光の干渉現象(干渉色)という気がする。


クモ擬態の蛾!?オオナミモンマダラハマキ

ハエトリグモに擬態!?オオナミモンマダラハマキ

葉の上動くものがあった。大きさや動きからハエトリグモかと思いスルーしかけたが、ちらっと見えた模様がきれいだったので、のぞき込んでみると……クモではなく小さな蛾だった。この蛾には見覚えがある──オオナミモンマダラハマキ。蛾としては小ぶりだが模様がコッていて美しい。光の加減でメタリックに輝いて見えたりもする(*)。


近くにいた別個体↓。


去年の6月に撮影した画像があるが、その時も葉の上にとまっていた。後ずさりしたりクルクル回るので撮りづらかったのを覚えている。そのときはなんでこんな動きをするのか不思議に感じただけだったが……今回、ひょっとするとハエトリグモに擬態しているのではないかと感じた。




頭を低くし、尻を上げるような姿勢でナゼか後ろ向きに進む。カメラを近づけると尻をこちらにむけて迫ってくる!?──「おまえは、『クレヨンしんちゃん』の《ケツだけ星人》か!?」とツッコミたくなってしまう。


ときにクルクル向きを変え、持上げた尻の方へ進む──この蛾とは思えない動きが、パッと見、葉上のハエトリグモに見えた。
ハエトリグモは頭の方にボリュームがあり逆三角形っぽく見える(頭側を底辺とする三角形)。オオナミモンマダラハマキがとまった姿は(頭を頂点とする)三角形──これが後ずさりするとハエトリグモが前進したように見える。クルクル向きを変えるのもハエトリグモがよくやる動きに似ている。ハエトリグモが眼を高い位置に構えて前進し、周囲の動きに反応してクルクル向きを変えるのはわかる。しかし蛾が尻をかかげて後ずさる行動にどんな意味があるのだろう? クモに擬態した行動!?──それ意外には思いつかない。


《ハエトリグモ擬態》──そう考えると、思い当たることがある。ハエトリグモの仲間は頭の前面に円形の眼が4つ並んでいる。


葉上のヨダンハエトリ♂&葉裏のカラスハエトリ♂↑。
アリそっくりに擬態したアリグモも、この眼をみれば昆虫ではなくクモだとわかる↓。


ハエトリグモの頭部前面にならぶ丸い眼──それをイメージさせる紋が、オオナミモンマダラハマキの翅の縁にも並んでいる。翅にはクモの脚に見えなくもない模様も配置されている。


また、オオナミモンマダラハマキの翅には谷折りのような凹みがあって後ろから見ると変わったフォルムを作っていて──これがハエトリグモの頭胸部と脚部を演出ているように見えなくもない。




そう考えて見ると、(動きだけではなく)デザインも《ハエトリグモ擬態》に符合しているように思えてくる。


これ↑やこれ↓も近くにいた別個体。


ただ……よく判らないのが、《ハエトリグモ擬態》であったとしたら、どんなメリットがあるのだろうか?──ということだ。昆虫の天敵というと、鳥やトカゲ、カエルなどが思い浮かぶが、これらは蛾であろうとクモであろうとエサとして認識されてしまいそうな気がする(とすればハエトリグモに擬態する意味が無い)。他に《蛾は狙うがクモは敬遠する》ような天敵が存在するのだろうか? 《クモの4連眼》に反応しこれを警戒するものがいなければ、オオナミモンマダラハマキの模様(擬態?)も意味をなさないことになる。
《クモの4連眼》に反応するものがいるのかどうか僕にはわからないが、ハエトリグモの中には《4連眼》を目立たなくするデザインやカラーリングがあるように思う。


マミジロハエトリ♂↑は黒い《4連眼》の形がわかりにくくするように(?)周囲は黒い。さらに上下に白い(明るい)模様をほどこすことで、黒い部分に配置された《4連眼》の隠蔽効果をより高めている。こうしたデザインは、《4連眼》に反応するものがいることで発達したものではないか。例えば、エサとなる被捕食者が《4連眼》に反応して逃げるようになれば、クモの側としては捕食率を高めるために《4連眼》を隠すことが有効となってくる……。
ハエトリグモの《4連眼》に反応するもの……というと、ハエなどだろうか? ということは、オオナミモンマダラハマキの《ハエトリグモ擬態》の対象はハエあたり? あるいは、寄生蠅などを近づけないために発達した《ハエトリグモ擬態》なのではないか……そんな風に想像は展開したが、実際のところは判らない。

オオナミモンマダラハマキを検索してみると、《幼虫はホオノキの実を食べる》らしい。今回撮影した場所はコブシの木の周辺で、数匹の個体が確認できた。去年オオナミモンマダラハマキを撮影したのは別の場所だったが、やはりコブシの木の近くで複数見ている。ホオノキもコブシもモクレン科だそうだから、あるいはコブシでも発生しているのかもしれない?

オオナミモンマダラハマキの後ずさるユニークな動きについては、waiwaiさんのブログ【オオナミモンマダラハマキ:ネコな日々】で動画が紹介されている。

さて、種の生存率にかかわる擬態はさておいて……それとは別に僕には(空目的には)、オオナミモンマダラハマキの模様がウルトラマンに登場した脳波怪獣ギャンゴや宇宙怪獣ベムラー系の顔に見えてしまうのであった……。




ハリサシガメ:脱皮後の《荷移し行動》

抜け殻を背負ったハリサシガメ幼虫!?



土粒コーティングで身を固め、アリやゴミを背中にデコレーションするユニークなハリサシガメの幼虫。デコレーション・コレクションは捕らえたアリの他にもさまざま(おそらくアリのゴミ捨て場で調達して対アリ用の《隠れ蓑》に使っている?)。画像下(水色枠)の個体は大きな繭だか蛹だかをくっつけている。上(黄枠)の個体は──抜け殻を背負っていた!?


自分の抜け殻をデコったハリサシガメ幼虫!?──見つけたときにはそう思った。これまで1度だけ、抜け殻を背負ったハリサシガメ幼虫を撮影していて、「こんなコトをするものだろうか?」と不思議に思っていたのだが……2度目ともなると、「やっぱりやるのか!?」と半信半疑ながら証拠を記録すべく接写。すると、この個体は後脚で背中の抜け殻をととのえ始めた(撮影時にはそう感じた)。「安定が悪いのでしっかりつけ直そうとしているのだろう」と思いながら撮り続けていると、カメラに警戒してか、抜け殻を付けなおすのを止めて放棄してしまった(と撮影時には思った)。警戒して抜け殻を捨てたのなら、僕がいなくなれば抜け殻を再び背負うかもしれない──そう考えて一時その場を離れた。少しして戻ってみると、期待に反して抜け殻は背負われておらず、石垣の上からも消えていた。抜け殻は石垣の下に落ちていたが、自然に落ちたのか、アカスジキンカメムシなどのように(幼虫による)《抜け殻落とし》があったのかはわからない。
そして改めて撮影した画像をチェックして、これが「抜け殻を付けなおそうとして途中でやめた」のではなく「抜け殻からデコ素材をはぎ取って背負う」行動だったことがわかった。

抜け殻からデコ素材を剥ぎ取るハリサシガメ幼虫



砂粒やデコ素材でわかりにくいが……幼虫は画面右側(触角がある方が頭)。その尻に抜け殻が貼り付いている。


デコ素材にくっついてきてしまった抜け殻を引き離そうとする幼虫。


後脚を駆使して抜け殻を離そうとするが……。


抜け殻はしぶとく、デコ素材から離れようとしない。


まるで、コレクションを奪い合う、幼虫vs抜け殻!?


奮闘を続け……。


ようやく……。


引き離された抜け殻とデコ素材の間に糸!? 粘着物質が糸を引いているかのようにも見えるが……脱皮のさいに抜け殻から伸びる糸のような気管(の外壁抜け殻)がデコ素材に絡んでしまってこのような形になったのだろうか? あるいは、デコ素材の中に糸系(?)のものがあったのか?


抜け殻を剥ぎ取ることに成功した幼虫は、後脚を使ってデコレーションを整えはじめた。剥ぎ取られた抜け殻の姿が……。


前回見つけた幼虫の抜け殻は触角まできれいに残っていたが、今回の抜け殻は触角が左右とも「争奪戦」で折れている。それだけ今回は、引き剥がすのに手間取ったということなのだろう。
今回の抜け殻↓。デコレーションが剥ぎ取られている。


頭から背にかけて幼虫が抜け出た(脱皮した)スリットがある。白い糸のように見えるのが気管。
前回の抜け殻(撮影時に触角が折れている)との比較↓。


サイズの違いは幼齢の違いだろう。デコ素材を剥ぎ取った幼虫は──↓。


まだ少ない土粒の間から腹の一部がのぞいている。この幼虫は腹が黒い。昨夏みた終齢幼虫の腹も黒かった。これに対し6月の初めに撮影した小さな幼虫では腹は白かった↓。


今回、争奪戦的?《荷移し(デコレーション移動)行動》をみせた幼虫↓。


格闘の際に折れたと思われる抜け殻の触角が、石垣の上に落ちていた↓。


まだ脚の土粒コーティングはほとんどなされていない。


触角は露出しているものだが、この個体はつけねに近い部分にプチ飾りがついている。《荷移し行動》のさいに付着したものだろう。この特徴をふまえた上で、翌日同じ場所にいたハリサシガメ幼虫↓。


触角つけ根付近のプチ飾りや、デコレーション・トップの素材などから同じ個体と思われる。1日のあいだに土粒コーティングもしっかりされていた。

脱皮後の幼虫が抜け殻のデコ素材を再利用する《荷移し行動》

ハリサシガメの脱皮殻】ではハリサシガメ幼虫の脱皮後の抜け殻からデコ素材が消えており、脱皮の際に落ちたか落としたかしたのか、あるいは脱皮後の幼虫のデコ素材として再利用されたのか……そんな可能性も想像していたが、やはり新幼虫が再利用していたことが確認できた。今回のケースでは抜け殻のデコ素材を移し替える過程で、(デコ素材にくっついてきた)抜け殻も一緒に背負ってしまい、不要な抜け殻を引きはがすという形で作業が完了している。
これを見て、以前撮影した抜け殻を背負っていた個体は同じようなプロセスで最後の抜け殻を剥がす作業がうまくいかなかったのではないかという考えに至った。
そもそもハリサシガメ幼虫がデコレーションするのは、アリの廃棄物(アリがスルーする)や捕食したアリの死骸──これをまとい、体の表面(アリが触れる部分)を土粒でおおい隠すことで、接触して相手を確かめるアリを欺く(警戒心を解除する)ためではないかと僕は想像しているのだが……わざわざ体の表面を土粒コートで隠しているのに自分の抜け殻をデコるのは妙な気がしていた。今回、脱皮した幼虫が《荷移し行動(デコ素材の再利用)》をすること、抜け殻を執拗に引き離そうとする行動を見て、やはり基本的には「デコ素材は再利用するが、抜け殻はデコらない」のだろうと今は考えている。
(※《荷移し行動》は便宜的に僕がつけた仮称)
※今回の《荷移し行動》の前過程→謎めいたハリサシガメの脱皮


ゴマダラカミキリに思う…



先日ゴマダラカミキリを見た。珍しくもなく子どもの頃から馴染みのある昆虫だが……なんだかとても大きく立派に感じられた。






「でかい……ゴマダラカミキリって、こんなに存在感があったかなぁ?」──と、ちょっとフシギな感覚にとらわれた。というのも、カブトムシやクワガタなど、子どもの頃になじんだ昆虫は大人になってから見ると意外に小さく感じることが多かったからだ。

《子どもの頃見た昆虫はもっとデカかった》感

僕は虫屋ではないが、子どもの頃には夏休みになるとカブトムシやクワガタを捕ったりしていた。虫捕りは当時の(?)子どもの遊びの1つだった。捕ったり飼ったりするのはカッコイイ昆虫限定。カミキリもその対象だった。カブトムシ♂のツノやクワガタ♂の大顎、シロスジカミキリやゴマダラカミキリの首(前胸)両側に突き出したいかつい突起はカッコ良く映った。当時「カミキリ」と言えば頭に浮かぶのはシロスジカミキリやゴマダラカミキリ──馴染みのあるこれらが「カミキリ」のスタンダードだと思っていた。だから、シロスジカミキリ(体長45~52mm)に比べてゴマダラカミキリ(体長25~35mm)は「小さい方のカミキリ」という認識でいた。
「大きい方の」シロスジカミキリは最近ほとんど目にしない。しかし、ゴマダラカミキリはしばしば見かけ、改めて「キレイでカッコイイ昆虫だな」と感じたりしている。
木を食害するので農家や園芸家などからは《害虫》と目の敵にされがちな昆虫だが、生木を弱らせたり枯らしたりするカミキリも、自然の中では森林の更新を促し生態系を活性化する役割りを果たしてきたのかもしれない。《害虫》というと《悪い虫》と思われがちだが、それはたまたま《ヒトにとって都合が悪い虫》というだけのハナシであって、何も昆虫に悪意があるわけではない。《害虫》も《益虫》も生き物としての活動にさして違いは無い。

さて、僕の場合は虫捕りは主に小学生時代の遊びで、その後は昆虫フィールドから慣れていたのだが、大人になり、甥っ子が昆虫に興味を示すようになった頃、カブトムシを捕りに連れて行ったりした。久しぶりにカブトムシやクワガタを見て感じたのが、「昔はカブトもクワガタも、もっとデカかった気がするなぁ……」ということ。その後、虫見をするようになったのだが……総じて子どもの頃に見た虫は……大人の目には(子ども時代の印象に比べて)小さくなったように感じられた。

これは久しぶりに訪れた小学校のグラントや校舎、廊下や教室、机・椅子が小さく感じられるのと同じだろう。子どもの頃に比べて体が大きくなっていることから生まれるギャップ──目線の高さも変わっているし、同じ空間を移動するのに要する歩数も少なくなっている。身体感覚でとらえていた「大きさ・広さ」は、基準としていた体が大きくなったことで、相対的に小さく感じられてしまう。単純化して……身長が2倍に成長したとしたら、(かつて過ごした小学校のグランドや校舎等は)成長した体の比率でいえば広さ(面積)で4分の1、大きさ(容積)で8分の1になってしまう。久しぶりに訪れた小学校の廊下や教室、机や椅子が小さく感じられるのは、きっとそのためだ。
子どもの頃になじんでいた昆虫が、大人になってから見ると小さく感じられるのも同じ理由からだろう。子どもの小さな手で持ったカブトムシは大人の手でつまんだカブトムシより相対的に大きく感じられるのは当然なのかもしれない。
この《子どもの頃見た昆虫はもっとデカかった》感──体感印象のギャップは継続的に昆虫を見続けてきた虫屋さんには、あるいはない感覚かもしれない。

大人になって虫見を始めると、子どもの頃は気づかなかった小さな昆虫が多いことに驚いた。虫捕り遊びをしていた頃に「昆虫」として認識していた虫は昆虫の中でも目立つ大型の種類ばかりだったことを知った。
子どもの頃に「カミキリ」の基準だったシロスジカミキリ(45~52mm)やゴマダラカミキリ(25~35mm)はむしろ特大級で、カミキリのほとんどはもっとずっと小さいことを知った。5mmに満たない極小カミキリの存在を知ったときには驚いたものだ。




ゴマダラカミキリは大きなもので35mm、これに対してニイジマチビカミキリの小さな個体は3.5mm。体長の比率で言うと10分の1ということになる。体長が10分の1というとボリュームも10分の1とイメージしがちだが、仮に同じ形をしていたとすれば、体積的には1000分の1ということになる。実際にはゴマダラカミキリの方がガッシリした(幅広の)体型をしているので体積(あるいは体重)はニイジマチビカミキリの1000倍以上だろう。一般的に動物は大きくなるほど体型がガッシリし体を支える脚は太くなりがちだ。理屈でいえば、同じ形(&比重)のまま体長が10倍になれば体重は1000倍になるが、それを支える脚の断面積や筋肉の断面積は100倍にしかならない。単位面積当たりの体重負担は10倍になってしまうわけで……これでは強度不足になってしまうから脚や筋肉の断面積を増やすためにゴツつなることが必要となるのだろう。

極小カミキリを含め、子どもの頃には見たことがなかった多くのカミキリと接するうちに《カミキリの標準サイズ(?)》の認識が大きく修正されたためだろう──先日見たゴマダラカミキリは、とても立派でデカく感じられた。



ところで……僕が子どもの頃に活躍していた人たちで逝ってしまった人は多い。恩師や友人も減っていき、「かつてのあの姿を見ることは、もう無いのだなぁ」としんみりすることも少なからず。町並みも変わっていき、自分自身も老朽化が進んでいく……。「世の中は移ろっていって、子どもの頃になじんだものは皆、遠いところへいってしまった」──そんな喪失感を覚えがちな昨今。子どもの頃に馴染みのあった昆虫を見かけると「変わらずに存在しているもの」と出会えた感慨のようなものを感じないでもない。
ゴマダラカミキリが意外に大きく感じられたのは、そんな「感慨」→「存在感(の大きさ)」が投影されている部分があるからなのかもしれない。

余談だが、甥っ子を連れてカブトムシを捕りに行った頃に撮った動画↓。カブトムシが重要な役割りをする!?
(カブトムシをとりに行ってヒーローに抜擢され、カブト手裏剣でピンチを逆転)

ミラクル☆キッド~実写版~※小学2年のスーパーヒーロー誕生

ハリサシガメの脱皮殻



毎度お馴染みの(?)ハリサシガメ幼虫。土粒コーティングで体をおおい隠し、アリの死骸やゴミ(アリのゴミ捨て場で調達したもの?)を背中に積み上げるというユニークな特徴を持っている。デコレーションの素材やレイアウトは個体によって違う──これが《作品》のようでおもしろい。


土の上にいると土粒コーティングの部分は背景に溶け込んでデコレーションがゴミの塊のように見える。この個体↑は画面左下に頭部がある(よく見ると触角があるのがわかる)。
5月の終わりに見つけた時は小さな個体ばかりだったが、だいぶ育ってきたようだ。一方時間差で孵化したと思われる小さな個体も加わり、6月中旬には大きさに差のある幼虫が見られるようになっている。




幼齢が違うと思われる幼虫たちを見ると、気になるのが「ふだんデコレーションに身をかためている幼虫が、脱皮のときにはどうしているのか?」ということだ。昨夏の羽化シーズンにはデコレーション付きの抜け殻を見つけて大いに驚いたが……デコレーションをしなくなる成虫がデコ素材を残していくのはわかる。しかし、ひき続きデコレーションを続ける幼虫はどうなのだろう? いさぎよく、それまでコレクションした素材は脱ぎ捨て、新たな素材探しを始めるのだろうか……それとも脱いた抜け殻にデコられていた素材をリサイクルするのだろうか?
羽化後の抜け殻が石垣に残されていたのだから、幼虫が脱皮した後の抜け殻だって見つかってよさそうなものだ──そう考えて、抜け殻がないか気をつけていたのだが……。

デコられていたハリサシガメ幼虫の抜け殻





石垣の上に大きさの異なるハリサシガメ幼虫が4匹。いずれも「幼虫」であって「抜け殻」ではない──そのことは確認していたのだが、そのうちの1匹が、なんと抜け殻をデコっていた。不覚にも現場では気がつかなかった。この時はカメラの電池が残り少なくなっていたので画像チェックをせずに4匹をざっと撮っただけだった。帰宅後、パソコンで撮影画像を見て初めて「抜け殻」に気づき、「もっとしっかり撮っておくんだった」と悔やしい思いをした。
不鮮明ながら「抜け殻」が映っていた画像を見ると、デコレーションの頂上に仰向けに貼り付いている。


この画像を見た時は驚いた。ハリサシガメ幼虫が自分の抜け殻をデコることは無いだろうと考えていたからだ。
ジンガサハムシの幼虫が抜け殻を背負っているのは見たことがある。だから、ハリサシガメ幼虫が脱皮したあとに抜け殻をデコることも、可能性としては想像したことがある。しかし、おそらくそれはないだろうと思っていた。ジンガサハムシ幼虫の抜け殻装飾はゴミっぽく見えることで(昆虫には見えないことで)天敵の目を欺く効果があるのかもしれない。これに対しハリサシガメ幼虫の偽装は対アリ用だと考えていたからだ。視覚より嗅覚に優れたアリに対して抜け殻をまとっていたのでは、土粒コーティングまでして本体を隠しているのにその隠蔽効果が台無しになってしまう……だから、それはないだろうと推測していたのだ。アカスジキンカメムシは脱皮の後にわざわざ抜け殻を捨てる(落とす)くらいだ。それを背負い込んで歩くようなことはしないだろうと想像していた。
改めて思いをめぐらせてみれば、デコった抜け殻を「おとり」にアリを狩るということも考えられないではないが……これは後付けの解釈。どうもスッキリしない。
これまで、色んなモノをデコったハリサシガメ幼虫を見ているが、抜け殻を背負っているのに気がついたのはこれが初めて。抜け殻をデコることが標準行動なのであれば、大きさが違う(幼齢が違う)幼虫が混在するこの時期、他の個体でも抜け殻を盛った姿が確認できてよさそうな気もする。
もしかすると、この幼虫は脱皮後、抜け殻に残されたコレクションをデコろうとして、(間違って?)抜け殻まで背負ってしまったのではないか……そんな可能性も思わないではないが、サダカなことは判らない。
一方もし、抜け殻を背負うことが標準行動でないのだとすれば、幼虫の抜け殻だけが見つかっていい気もする……。そんなことを悶々と思いめぐらせていたのだが……。

残されていたハリサシガメ幼虫の抜け殻





──ということで、ハリサシガメ幼虫が脱皮をしたさいの抜け殻を発見。昨夏みた羽化時の抜け殻と同じように石垣の上にあった。同じサシガメの仲間でもヨコヅナサシガメは樹皮などの鉛直面で脱皮や羽化をし、ヤニサシガメは松葉や細い枝にぶら下がる形で脱皮していた。ハリサシガメはこうしたところで脱皮や羽化をするようだ。
この抜け殻を見て、まず気づいたのが、脱皮前には背負っていたはずのデコ素材が無くなっているということだ。頭頂部から背中にかけて脱皮した痕──新幼虫(?)が出た裂け目が残されているが、脱皮の際に剥がれ落ちたか、ジャマになるので脱皮前に剥がしたのか……あるいは脱皮後、新幼虫がリサイクルでデコ素材だけ持ち去ったのか……観察を続けていると新たな疑問が次々に生まれてくる。
この抜け殻は完品だったが、抜け殻の触角はもろく、撮影のため移動すると折れてしまった。






今回見つけた抜け殻が何齢のものかはわからないが、終齢幼虫よりもずっと小さい(羽化ではく脱皮)。


この抜け殻を見て気づいたことが、もう1つ。「幼虫の抜け殻も土粒が付着している」ということだ。先に見つけた幼虫の背にデコられていた抜け殻は腹面だけしか確認できないが、その腹は透明できれいだった──ほとんど土粒はついていない。これは、どういうことだろう? ハリサシガメ幼虫でも、若齢幼虫は装飾行動をしないのだろうか?
観察すればするほど謎が深まるハリサシガメなのであった……。

※昨夏の羽化後の抜け殻↓




ハリサシガメ幼虫の狩り

ハリサシガメ幼虫のハンティング



土粒をまとい、背中にアリの死骸等をデコレーションしたハリサシガメの幼虫が石垣の隙間で食事をしていた。エサとなっていたのはアリ──ハリサシガメは成虫も幼虫もアリを捕らえて体液を吸う。


デコレーションしたハリサシガメ幼虫は石垣の上でじっとゴミと化し(?)、アリが近づくと飛びついてしとめてしまう。このところ幾度かハリサシガメ幼虫の狩りのようすを観察しているが、「不意打ち」という印象が強い。
ハリサシガメ幼虫が移動するときは体を前後に揺らすように歩く──これは枝に擬態したナナフシや隠蔽擬態の名人カメレオンなどの動きとよく似ている。ちょっとモタついた感じもするが、アリを捕らえる時は意外に素早い。もっとも、ダッシュできる距離は短いようで、目の前を通りかかったアリに反応して追いかけるが追いつかずに取り逃がすといったシーンも何度か目にしている。ハリサシガメ幼虫がアリと競走したら、きっとアリの方が速い。逃げるアリには追いつけないだろうし、アリたちに追いかけられたらとても逃げ切れはしないだろう。近づくアリに気づかれることなく「不意打ち」を仕掛けてはじめて獲物をゲットできる……「真っ向勝負」ではなく「不意打ち」がハリサシガメ幼虫の狩りのスタイルなのではないかと考えている。
観察していると、近くを通るアリはハリサシガメ幼虫に気をとめない(気づかない?)ことが多い。ハリサシガメ幼虫のデコレーション素材をみるとアリが巣から廃棄したと思われる素材も含まれている。アリがどのように獲物と廃棄物を識別しているのかはわからないが、用済みで巣から運び出された廃棄物を再び拾い集めてくるようなムダはしないだろう。1度廃棄されたゴミや仲間の死骸はスルーする仕組みがあって、ハリサシガメ幼虫はそれを利用してアリの廃棄物にまぎれ、アリに警戒されることなく近づくことができるのではないか。体の表面を土粒で覆っているのも、接触して相手をニオイで確かめようとするアリを欺く隠蔽偽装工作と考えると合点がいく。
つまりハリサシガメ幼虫のユニークな特徴であるデコレーションには《アリの警戒を回避》する《蟻スルー》の意味(効果)があるのではないかと考えていた。
ところが、今回の食事中のハリサシガメ幼虫を撮っているとき、デコレーションに関心を示して近づいてきたアリがいた。




このアリはデコられたアリの死骸が気になるらしい。上にのぼって調べ始めた。


すでに食事中だったハリサシガメ幼虫は、これを嫌うように体を震わせ、アリを振り落とすが、アリは執拗に調査を続けようとする──と、そのアリをハリサシガメ幼虫は素早く襲ってしとめて、体液を吸い始めた。


アリを捕えた口元を確認したいところだが……なかなかキレイには撮れない状況……。昨年、ヤニサシガメをプチ飼育した時は、捕らえたハバチの幼虫を5時間以上かけて吸っていたので、ハリサシガメ幼虫も食事が終わるまで(デコ行動に移るまで)にはそれなりに時間がかかるだろうと考え、他の撮影しやすい個体を探す。およそ30分後に戻ってみると……。


すでに食事は終わっており、地面にアリの死骸もない……どうやらデコった後のようだった。
これ↑とは別のハリサシガメ幼虫↓。アリを捕食中だったので、口元をハッキリ撮るためにカメラを近づけると、警戒して食事を中断してしまった。


警戒して食事を中断してしまったハリサシガメ幼虫に、アリが近づいてきた。


このアリもデコられたアリの死骸に興味を示していた。本来だったら狩りが行なわれてもよさそうなものだが……カメラを警戒してかこのハリサシガメ幼虫はじっと動かずにいた。デコ素材に触れていたアリは、この後立ち去っていった。
また、別のハリサシガメ幼虫を撮影しているときにデコ素材を確かめにきたアリがいたが、これもすぐに立ち去っている↓。


デコレーションの役目は《アリ誘引》か《アリ回避》か?

今回紹介した1匹目の例では、ハリサシガメ幼虫のデコレーションに関心を示してやってきたアリが餌食になっている。これはデコレーションが《アリ誘引》の役割りを果たした形だ。2例目・3例目ではアリはデコレーションをチェックしたもののすぐに関心を失って立ち去っている。ハリサシガメ幼虫のデコレーションが《アリの警戒回避(蟻スルー)》の役目を果たしたともいえる。《アリ誘引》と《アリ回避》──言葉にすると(意識化すると)相反する矛盾したことのようにも感じられるが……自然の創り出したシステムは、ヒトの言語で単純に色分けできるものではないらしい。
《アリ誘引》効果で餌食になったアリも、《アリ回避》でハリサシガメ幼虫をスルーしたアリも、ハリサシガメ幼虫の存在には気づかずデコレーションに関心が向けられていた。デコレーションにはハリサシガメ幼虫の存在からアリの注意をそらす《陽動効果》があるということはいえそうだ。
さて、画像からは確認しづらいが……やはり食事中のハリサシガメ幼虫↓。


食事中のハリサシガメ幼虫をみつけても、こんなふうに土粒を盛った脚の陰になって口元がよく見えないことが多い……。このハリサシガメ幼虫も、食事中にデコレーションに関心をもってまとわつくアリを捕食している。


さらに別個体のハリサシガメ幼虫の食事シーン。口吻を刺してアリの体液を吸っている↓。


積極的(大胆?)な狩りをするハリサシガメ幼虫

ゴミのデコレーションに身を隠してアリの行動圏内に潜入し、通りかかったアリを捕食する──ハリサシガメ幼虫のハンティングを観察し始めた頃は、そんなイメージでとらえていた。しかし見ているうちに、デコレーションに誘引されてくるアリを捕食することもあるということがわかった。
さらには、果敢にアリの往来が絶えない通り道に入り込んで狩りをするハリサシガメ幼虫も──↓。


ピコピコ歩いてきたハリサシガメ幼虫──その先にはアリの行き交う通路がある。いくらアリの天敵だとはいっても、1匹で多数のアリの集中攻撃の的となってしまえばひとたまりもないだろう。「不意打ち」でアリをしとめることはできても、動きはアリの方が敏捷だ。一度に多数のアリを相手にしたらハリサシガメ幼虫に勝ち目は無いだろう──そう思って成り行きを見守ると。


アリの進路に入ってすぐにハリサシガメ幼虫は獲物をゲット。驚いたことに──反撃に出るだろうと予想したアリたちはまったくの無反応。すぐそばに天敵がいるというのに警戒するそぶりもなくスルー……。獲物を得たハリサシガメ幼虫はアリの進路わきに移動。




すぐそばをアリたちが行き交っているのだが、彼らは仲間が襲われたことに全く気づいていないようだ。難なく獲物を得たハリサシガメ幼虫は捕食後ふたたびアリの進路に入り込むが、アリたちは「見えていない」かのように無反応。ハリサシガメ幼虫のデコレーションは、アリにとって《天狗の隠れ蓑(みの)》みたいなものなのかもしれない。


トカゲにも見えていない!?ハリサシガメ幼虫





何度も記しているが、ハリサシガメ幼虫が暮らす雑木林の縁に位置する石垣にはヒガシニホントカゲが多い(ニホンカナヘビもいる)。ヒガシニホントカゲが石垣で餌探しをし捕食する姿もよく見られる。
餌を探して徘徊するヒガシニホントカゲがハリサシガメ幼虫に気づかずに接触したりはじき飛ばしたりするシーンも最近2度見ている。獲物をもとめて歩き回るヒガシニホントカゲも、すぐ近くにいるハリサシガメ幼虫を昆虫と認識することはできずにいるようだ。


ハリサシガメ幼虫の装飾行動

そこまで盛るか!? ハリサシガメ幼虫はどうしてデコるのか?





5月の終わりから石垣の上で見かけるようになったハリサシガメ幼虫。土粒で体をおおい隠しアリの死骸をデコレーションするというユニークな特徴をもつカメムシだが……そのデコりぐあいがハンパではない。いくらなんでも盛り過ぎではなかろうかという過積載気味(?)の個体も……。


盛りに盛った姿は、ちょっとヤドカリっぽい感じがしないでもない(!?)↑。「そんなに盛っちゃってどうするんだよ! だいたい脚が届かないところまでデコるなんて、ありえないだろ!」とツッコミを入れたくなるほど。
デコられたコレクションはアリに限らず、虫の残骸やゴミなど様々。


白いアーチ型のもの↑はオカダンゴムシの殻のようだ。その横には中味がカラになった昆虫の胸~腹をつけている。カタツムリの殻を飾ったオシャレな個体も↓。


念入りなデコレーションで本来の体はほとんど覆い隠されているハリサシガメ幼虫。どっちを向いているかもわかりづらいが、触角が出ている方が頭。


デコ・コレクションのアリ密度が高い個体↑。
こちら↓は、大きめのアリの死骸をデコったハリサシガメ幼虫。


デコ素材やそのレイアウトは個体によって様々なので見飽きるということがない。


ハリサシガメはもっぱらアリを捕食し、幼虫はその死骸を背負うと言われているが、デコレーション素材をみるとアリが廃棄した残骸も多いように感じる。


ここで見つかるハリサシガメ幼虫はもれなく土粒もつけているが、その部分は土の上ではみごとに背景にとけこんでしまう。ハリサシガメ幼虫が暮らす石垣のすきまには、こうした土がたまっている。




画面↑左側のハリサシガメ幼虫は下を向き、右側のハリサシガメ幼虫は左を向いている(よく見ると触角がある──その付け根が頭部)。土粒をまとった部分は隠蔽され、それ意外のデコ素材が浮き上がってゴミの塊のように見える。視覚的な隠蔽効果だけを考えたら、土粒だけをまとっていた方が効率的(目立たないし手間もかからない)な気がするが……わざわざ死骸・残骸をデコレーションするのには意味があるのだろう。
ハリサシガメ幼虫が暮らす石垣にはアリの巣も多く、ハリサシガメ幼虫のすぐ近くにアリの行列ができていたりもする。


こうした石垣の隙間にはアリが廃棄したと思われるアリの死骸やエサの残骸が散乱しているスポットがあり、ハリサシガメ幼虫はそこでデコ素材を調達しているふしがある。アリが廃棄した残骸にまぎれ、アリの警戒心や攻撃をスルーしているようにも見える。
《アリをまとう》──アリ偽装というと、《虎の威を借る──》ではないが、アリの威を借るアリ擬態の虫が思い浮かぶ。アリグモ(昆虫ではないが)やホソヘリカメムシの幼虫などはアリそっくりで驚くばかりだ。


アリグモやホソヘリカメムシ幼虫のアッパレな似せっぷりは視力の弱い(とされる)アリ相手ではなく、眼の良い捕食者にアリと誤認させるための警告的なものだろう。しかしハリサシガメ幼虫がアリをデコレーションするのは警告アイテムとしてではなく隠蔽アイテムとしてという気がする。
アリの多くは視力は良くないという。接触しニオイで相手を確認するアリに対しては、触れられては困る体の表面を土粒でおおい隠し、アリが捨てたゴミや死骸で偽装すればアリを欺くことができる──そう考えるとハリサシガメ幼虫のデコレーションは理にかなっているように思われる。
アリを捕食するためにアリの生活圏に潜入せざるをえないハリサシガメ幼虫にとって、アリの警戒・攻撃を回避すること──存在を悟られないようにすることが重要なことは想像にがたくない。土粒で体をおおいアリが廃棄したゴミやアリの死骸をまとうのは、視覚より嗅覚に優れたアリにゴミや仲間だと誤認させスルーさせる偽装工作という意味合いが強いのではあるまいか。

捕食したアリをデコるハリサシガメ幼虫

5月の終わりに小さな個体が出ているのを確認できたハリサシガメ幼虫(その時点で既にデコっていた)だが、その後少し大きくなった個体を見るようになった。個体の大きさはデコ具合によっても感じ方が変わるが……現在、大ざっぱに見て2種類の大きさが混在しているように感じる。これは脱皮前後の差で幼齢の違いによるものではないかという気がする。


石垣の上にでていたサイズの違うハリサシガメ幼虫を比較するめに撮ってみたもの↑だが……この小さい方(左)が、このとき食事中だったことに、この画像を撮った後に気がついた。


小さな被写体に寄って撮影したので被写界深度(ピントの合う範囲)が浅く(狭く)見づらい画像になってしまったが……ハリサシガメ幼虫が前脚と中脚で極小アリをつかみ、口吻を刺している。画面右側の腹のようにも見える黒っぽいふくらみは、ハリサシガメ幼虫がデコったアリの頭部。
ハリサシガメ幼虫は何度も獲物を持ち替えて口吻を刺し直しては体液を吸っていたが、やがて獲物を股の下を通して(アメフトのスナップのように?)後脚に受け渡すと、デコレーションする動きを始めた。


後脚でつかんだ極小アリを、すでにデコっていた大きな黒いアリの頭の下に押し込もうとしている。


向きを変えたので、ハリサシガメ幼虫の右前からのショット↓。後脚を腹の背面に持上げているのがわかる。


また向きを変え──ハリサシガメ幼虫の左後方から↓。


黒いアリの頭部の下に新たなコレクションが追加された。


後方からのショット↑。ピンぼけだが……両後脚で極小アリを押さえているのがわかる。
デコレーショニング(装飾行動)の前後の画像を比較すると──↓。


ちょっとわかづらいが、前からデコられていた黒アリの巨大頭部の下──腹との間に新たなコレクションを追加したようだ。
アリのゴミ捨て場(と思しき所)で拾ったアリの死骸をデコった【ハリサシガメ幼虫のデココレ素材】のときも、似たような位置に新素材を追加していたが、ハリサシガメ幼虫は既にデコった素材と腹の間に新しい素材を押し込むという形でコレクションを増やして行くのかもしれない。てんこ盛りのデコレーションをみて、「脚の届かない高さにどうやって盛りつけたのだろう?」と不思議に思っていたが、新たな素材は上に積み上げて行くのではなく下から追加し押し上げていくのがハリサシガメ幼虫方式のデコレーションなのかもしれない。

ハリサシガメの捕食シーンや拾ったアリの死骸をデコることは確認できていたが、捕食した獲物の死骸をデコるシーンは初めて見ることができた。もっとも貼りつけるための処理──接着剤のようなものの塗布等があったのかどうかなど《素材が貼り付くしくみ》は今回もよくわからなかった。


礼服ぷちキョンシー天牛&怪虫シャッチー

タキシード姿のぷちキョンシーことラミーカミキリ



葉の上に小さなタキシード姿を見つけると、ちょっと嬉しくなる。僕には礼服姿のぷちキョンシーに見えるラミーカミキリ。前胸の背面に1対の眼状紋(?)をもち、これが背面から狙おうとする敵に睨(にら)みをきかす──「睨みミカミキリ」がつまって「ラミカミキリ」→「ラミーカミキリ」になった……というのはウソで、「ラミー」は繊維をとるために輸入された植物のことだそうだ。このラミーについて日本に入ってきたと考えられることから「ラミーカミキリ」──ということらしい。
見かけるとカメラを向けたくなり、撮るとふきだしを入れたくなってしまう昆虫だ。




メスはオスより大きめ。体型的にもメスの方がズングリしている。


黒い部分の割合には個体差があるが、メスは胸や腹の腹面で黒い部分が(オスに比べると)多い。


顔もメスは黒っぽくオスは白っぽいので、ちょっと印象が変わる。




このあたりで見られるようになったのは比較的最近(*)。温暖化で分布域が北上しているらしい。今や身近で見られるカミキリの1つになっているが、見かけると、つい撮ってしまう。

ラミーカミキリ@武蔵野

異形の怪虫シャッチーことシャチホコガ幼虫



見かけるとつい撮ってしまう虫つながりで……シャチホコガの幼虫。まだ若い個体がベニカナメモチ類(?)の生け垣で葉を食していた。カメラを近づけると葉から枝へ移動し隠れてしまった。


まだチビ助なので怪虫の迫力に欠けるが、イモムシとしては驚くほど長い胸脚(特に長いのが中脚・後脚になる2対)がなんとも異様……。このあと、独特のポーズ(枝にひっかかった植物片のよう見える)で《擬態モード》に入った……。


何度もネタにしているので、今回はあっさりめで……。