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2017年05月の記事 (1/2)

アカスジキンカメムシ:羽化~抜け殻落とし



前の記事ではアカスジキンカメムシの《抜け殻落とし》を確認できたものの、肝心のシーンの画像はヒドイできだったので、もう少しマシな画像をが撮れないものかと再びアカスジキンカメムシの発生ポイントへ──。結果からいうと、羽化中の個体を見つけ、今回も《抜け殻落とし》を確認することができたのだが……またしても《抜け殻落とし》シーンの画像は激しいピンぼけとなってしまった。
そんなわけだが、いちおう羽化(途中)から《抜け殻落とし》の記録を記しておくことにする。

アカスジキンカメムシ:羽化~抜け殻落とし(またもピンぼけ)



前日、目星をつけていた終齢幼虫が羽化をしていた↑。これは前回の記事で紹介した終齢幼虫2匹のうちの1匹(だと思う)。前回見た時には葉の裏にとまっていたものの、頭を上にしていたので(羽化の際には頭を下にしがち)すぐには羽化は始まらないだろうと判断。次の日あたりに羽化するのではないかと予想し、翌日その場所へ行ってみたところ、まさに羽化の最中だった。
ということで、羽化途中からの記録を記す。画像すみの数字は撮影時刻(時:分:秒)。ちなみに、アカスジキンカメムシの羽化の最初からの画像は【アカスジキンカメムシの羽化《抜け殻残し》のケース】に記してある。


今回の観察対象は、みつけたときにこの状態↑だった。殻から抜けた脚や触角の色は薄い。











羽化した新成虫が抜け殻と対峙してからが長かった。その間に新成虫の脚や触角の色が濃くなっていく。前回は新成虫を脅かさないように5メートルほど離れたところで《抜け殻落とし》待ちをしていて、そのシーンの撮影に間に合わなかったわけだが……今回は2メートルほどのところで待機。目を離したスキに抜け殻落としが行なわれたこともあったので、今回は現場を離れず監視を続けた。
《抜け殻落とし》待ちの間には、獲物を探して葉の裏を飛び歩くアシナガバチや捕食性アブ、アリのパトロールがすぐ近くまでやってきたりもして気をもんだ。小型テントウムシとの接触で《抜け殻落とし》を放棄した新成虫を見ているので、気が気ではない。僕はこのアカスジキンカメムシの家族でも親族でもないが、その身を案じてしまった。そしていよいよ無事に待望の《抜け殻落とし》の瞬間がやってくることになるのだが……今回もあっという間で、あわてて撮影するも、シャッターを切ることができたのは1度だけ──それも(またしても)力いっぱいピンぼけとなってしまった……。


肝心の《抜け殻落とし》の場面は思い切りピントが外れている↑。あわてて近づきカメラを構えたものの、被写体は葉の裏なので逆光気味となり、オートフォーカスの焦点がなかなか合わない……。観察を始めてから2時間20分近く、ヤブ蚊献血をしつつ待ち続けた瞬間の画像がコレとは情けない……「なんでこうなるの!?」と脳内で(コント55号の)欽ちゃんが叫ぶ……。
とはいえ、とりあえず今回も《抜け殻落とし》を確認することはできた。その功労者(?)は↓。


目の前で落とされた抜け殻はというと──↓。


この抜け殻を回収して撮影↓。


葉の裏にとまっていた新成虫をフラッシュ撮影↓。まだ体色は薄い。


近くの葉の上に出ていた体色がだいぶ整った新成虫↓。少々青みがかった個体だった。




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アカスジキンカメムシ羽化後《抜け殻落とし》確認

羽化シーズン中に《抜け殻落とし》現場を押さえたい



発生ポイントで見かけるアカスジキンカメムシは成虫が多数派になっている。しかし、幼虫がいないわけではない。終齢(5齢)幼虫が見られるうちは、まだ「羽化後の《抜け殻落とし》」を観察できるチャンスが残されている……。
《抜け殻落とし》とは僕が勝手につけた呼び名だが、羽化や脱皮したあとのカメムシが抜け殻を落とす行動のこと。寄生蜂や寄生蠅などの天敵あるいはアリなどを自分たちの生活圏に呼び寄せないように抜け殻を落とすのではないか──などと想像している。この行動は過去にエサキモンキツノカメムシやアカスジキンカメムシなどで観察している。
アカスジキンカメムシの羽化シーズンに《抜け殻落とし》を見ておこうと、このところ何度が観察に出かけてみたのだが……【アカスジキンカメムシの羽化《抜け殻残し》のケース】の時は、羽化の様子を観察でき、残るはいよいよ《抜け殻落とし》──という段階で、突然テントウムシが乱入。パニクった新成虫は抜け殻を放棄して遁走してしまうという中途半端な結末になってしまった。これまでに葉の裏側にアカスジキンカメムシの抜け殻が残されている(つまり《抜け殻落とし》をしなかった)ケースも確認しているので、どういう状況で《抜け殻落とし》が行なわれたり行なわれなかったりするのだろうと疑問に思っていた。新成虫が《抜け殻落とし》をする前に天敵に襲われたり逃げたりすると残るのではないか……という気はしていたのだが、それに準じた状況を確認することができたことは収穫だった。
アカスジキンカメムシ新成虫《抜け殻落とし》のケース】では、羽化後間もない新成虫と抜け殻をみつけ、「これで《抜け殻落とし》が観察できる」と楽観したのだが……肝心のシーンを見逃すというポカをおかして、「ばんざーい…無しよ(欽ちゃん風に)」的なコトに……。このときは、抜け殻から離れてしまった新成虫が「わざわざ抜け殻のある葉に戻って《抜け殻落とし》をした」ことがわかって、これはこれで収穫ではあったのだが……。
ただ、このまま《抜け殻落とし》の現場を見ずに終わってしまったのでは心残りなので……今度こそと、《抜け殻落とし》を確認すべく羽化を控えた終齢幼虫を探してみた。これまでの観察では、通常羽化は葉の裏側で行なわれる。




葉の裏側にとまっている終齢幼虫が2匹みつかったが、いずれも上を向いていた。これまでの観察では羽化時、抜け殻は下を向いていた。まだ上を向いているということは、羽化直前ではないだろうと判断。他を探す……。そして、うってつけの状況に遭遇。

アカスジキンカメムシ羽化後の《抜け殻落とし》を確認



同じ葉の裏に羽化して間もない新成虫と抜け殻を発見。《抜け殻落とし》の瞬間を見逃した【アカスジキンカメムシ新成虫《抜け殻落とし》のケース】のときの個体よりもいくらか体色が濃い(それだけ羽化後の時間が経過している)──いつ《抜け殻落とし》を開始してもおかしくない状況だ。


《抜け殻落とし》は、すぐに始まるだろうと予想し、数枚撮ったあとは新成虫を警戒させないように2メートルほど離れて見守る。
しかし、新成虫は動かず……始まって良いはずの《抜け殻落とし》はなかなか始まらない……。警戒しているうちは動かない可能性があるので、念のためにさらに離れ、5メートルほど距離をおいて待機することに。


見つけてからおよそ52分後──それまでじっとしていた新成虫が動き出した。「いよいよか!」と脅かさないように近づくが、新成虫の動きは思いのほか早かった。抜け殻に突進すると頭突きをするようにぶつかり、そのまま押し出すように抜け殻を落としてしまった。10秒程度の出来事でピントを合わせる間もなく、抜け殻が落ちる前に撮れたのはこの1枚だけだった↓。


角度も悪いし、それ以前にピントがまるっきり外れていて判りにくいが……この直後に抜け殻は落下。あっという間だった。初めてエサキモンキツノカメムシで抜け殻落としを見たとき、その行動を抜け殻への「攻撃」だと感じたが……じゃまになった抜け殻を「廃棄」あるいは「処分」するというより、抵抗することのない抜け殻に対して容赦ない「攻撃」──そんな印象を強くした。
羽化する時まで自分の体の一部──「自己」であったのに、羽化後は「非自己」として認識されて攻撃される……免疫反応に似た(?)システムが働いているかのようなイメージ!?
肝心の《抜け殻落とし》のシーンがうまく撮れなかったので……その前後のシーンの比較を↓。


画像左↑は見つけた時の新成虫と抜け殻。画像右は《抜け殻落とし》直後の新成虫。抜け殻があった位置まで移動して落とした。


葉の裏にとまっていると逆光になるので、葉をめくって順光でとったもの↓。


そして、目の前で落とされた抜け殻は↓。




今回も肝心の《抜け殻落とし》シーンがちゃんと撮れず悔しい思いをしたが……とりあえず、確認したかった《抜け殻落とし》のシーンは見ることができたので、ちょっとホッとしているところもある……。

アカスジキンカメムシの羽化
アカスジキンカメムシの抜け殻おとし
カメムシの抜け殻落とし行動
ハート亀虫羽化 見守るキリスト!?※エサキモンキツノカメムシの抜け殻落とし2012
エサキモンキツノカメムシの抜け殻落とし他※2015年11月
モンキツノカメムシとエサキモンキツノカメムシ他 ※ツヤアオカメムシの《抜け殻落とし》
アカスジキンカメムシの臭腺開口部
アカスジキンカメムシぷち実験で輝き復活
アカスジキンカメムシ新成虫と抜け殻
アカスジキンカメムシの羽化《抜け殻残し》のケース
アカスジキンカメムシ新成虫《抜け殻落とし》のケース
アカスジキンカメムシ:羽化~抜け殻落とし
《抜け殻落とし》の瞬間!?

他の昆虫も 少し…



地味系のムツボシタマムシ類だが……凹面鏡のようにくぼんだ紋が鈍く輝く。普段はシブめだが、翅を開くと腹がエメラルドのように美しく、僕は密かにエメラルド・ステテコッサンと呼んでいる。




ムネアカナガタマムシ西南日本に多く、以前は東日本では珍しいタマムシだったそうだが、最近ふえてきたらしい?


ヒシモンナガタマムシ──菱形の模様が名前の由来だろう。ダイヤ型のこの紋、頑張れば、ハートやスペード、クラブに見える個体もいてもよさそうな……トランプタマムシが揃えられたら……と思わないでもない。


ミズイロオナガシジミも見かけるようになった。
アカボシゴマダラは最もよく見かけるチョウのひとつになっている。




シラホシカミキリと食痕

シラホシカミキリと食痕



シラホシカミキリは体長8~13mmほどのきれいなカミキリ。頭部と前胸はクッキリ鮮明な黒で、白い模様がそれを引き立てている。その黒との対比が鮮やかな上翅基部のブラウンが、翅の先端に向かうにつれて焦茶へと境い目のないグラデーションで変化、翅先端では再び黒っぽくまとめられているのが美しい。配色の鮮明さ(前胸と上翅基部の対比や白い模様との対比)と淡さ(上翅のグラデーション)の両極をあわせもつデザインが秀逸だと思う。
そんな格調の高さをかもしだしているシラホシカミキリがガマズミの葉にとまっているのを見つけた。


今シーズン初のシラホシカミキリ──ということでカメラを向けて、食事中だったことに気がついた。


「へえ!?」と思ったのが、葉の表側にとまって齧っていること。これまで僕は葉を後食(成虫になってからの食事)するカミキリは葉の裏側にとまって葉脈を齧るものだと思っていた。以前飼育したことがあるイッシキキモンカミキリラミーカミキリも決まって葉の裏から葉脈をかじっていたので、「なるほど葉の裏側に隠れたまま食事をするというのは、鳥等に見つかりにくいだろうから理にかなっている」と感心し納得していた。
実は昨シーズン、シラホシカミキリの発生ポイントで、葉脈に沿ってスリット状の食痕が残された葉を見つけ「変わった食い方をする虫がいるな……」と思っていた。同じ場所で葉脈が齧られている葉もあり、それはカミキリの──おそらくシラホシカミキリのものだろうと考えていたのだが、葉脈わきの食痕の主は別の昆虫だと思い込んでいた。


葉の裏からかじれば出っ張った葉脈が齧りやすそうなものだが、わざわざそのわきを齧るのは不自然で妙だ……葉脈部分と葉脈でない葉の部分では味(養分?)に違いがあるのだろうか? 葉脈でない部分を食べるのなら、葉脈から離れたところをかじればよさそうな気もする……わざわざ葉脈沿いに食うのは、そこが特にうまいのか……あるいは逆に他の部分には植物の防衛物質(葉を食う虫対策の忌避物質)が集まりやすいのだろうか?……などと不思議に思っていた。
しかし今回、葉の表から後食しているシラホシカミキリを見て、謎が解けた。葉の表側からでは葉脈は凹んでいて齧りにくく、逆に葉脈の縁部分が齧りやすくなる──それで、葉脈沿いに穴が開くのだろう。




葉の裏から齧っていれば安全な(鳥等の天敵には見つかりにくい)気もするが……シラホシカミキリは、葉の表にとまって後食する(こともある)ということを初めて知った。
これまでは見つけてもカメラを近づけるとすぐに飛び去られてなかなか撮らせてもらえなかったが、今回は食事中だったためか、これまでになくじっくり撮ることができた。今回のシラホシカミキリは全て同じ個体。






上翅先端は外角・内角ともに棘状に尖っていてシャープな印象を高めている。

シラハタリンゴカミキリ@スイカズラ



シラホシカミキリに続いて「シラ」で始まるカミキリということで……シラハタリンゴカミキリ。ホストのスイカズラが咲く頃に出現するので、スイカズラの甘い香りを嗅ぐとシラハタリンゴカミキリを連想する(子どもの頃、夏に雑木林で樹液の発酵したニオイを嗅ぐとカブトムシやクワガタを連想したのと同じ)。今年は発生ポイントになかなか行けずにいたのだが……久しぶりにのぞいてみると、出ていた。このカミキリも葉の裏側から葉脈をかじるので、発生していれば葉脈部分がスリット状に抜けた葉が見つかる。


黒とオレンジ色のシンプルなデザインだが、美しいカミキリ。






スイカズラの香る頃に現われて、花が終わるといつの間にかいなくなっている……ちょっとはかなげで幻想的なイメージがあったりもするカミキリ。

シラ…ではなくシロコブゾウムシ



前述のシラホシカミキリとシラハタリンゴカミキリを確認した日に見た「白」で始まる甲虫をもうひとつ。もっとも「シラ」ではなく「シロ」と読む。和名に「白」がつく昆虫は多いが、「シラ」「シロ」「ジロ」と読み方が種類によって違うので、ちょっとややこしく感じることがある……。


シロコブゾウムシは大きめのゾウムシ(体長13~15mm)で、黒いつぶらな眼(複眼)が印象的。この眼を閉じるかのように触角で隠すのを初めて見た時は驚いたものだ(※【シロコブゾウムシの《いないいないバア》】)。

美麗クモ:ヨダンハエトリのダンス

きれいなクモ:ヨダンハエトリのダンス

先日、雑木林の下草の上でやけに鮮やかなハエトリグモを目にした。初めて見るクモで「こんなキレイなハエトリグモが日本にいたのか」と驚いた。僕はクモには(も)疎い。人面系のビジョオニグモなど、空目ネタに撮ることはあるが、ふだんクモはスルーしがち。なのだが、この時は珍しくカメラを向けた。残念なことにこのとき撮ったものはどれもトホホ画像になってしまったが……とりあえず(帰宅後調べて)このクモが【ヨダンハエトリ】という名前であることはわかった。腹部にある四本のオレンジ色の模様が「四段(ヨダン)」の由来らしい。鮮やかに見えたのはオスの成体だった。




見苦しい画像↑だが……配色が派手なのはお判りいただけるだろう(脳内補正で鮮やかさをイメージしておくんなまし)。黒ベースの体に赤と白・橙が映える。緑の葉の上にいたことも、より鮮やかさを際立たせていた感じがする。
これが熱帯の生き物であれば、(ハデな配色のものも多いので)こんなハエトリもいるのか……と納得してしまいそうだが、日本のクモとしてはちょっと異彩を放っている──知識が乏しい僕にはそう感じられ、「美しさ」に加えて「意外性」という部分でも感じるものがあった。
ハエトリグモといったら……なんとなく配色的には地味なイメージがある。徘徊性の小型ハンターなのだから、派手なカラーリングでは獲物に察知され逃げられてしまいやすくなるのではないか……という気もするし、目立つことで天敵にも狙われやすくなってしまうだろう。ちょっと考えると鮮やかな配色は生存効率(?)が悪そうな気がしてしまう。
目立つことで有利になるとすれば《警告色》としての効果だろう。もしヨダンハエトリが毒や忌避物質を持っているのであれば警告色としての役割りを果たすのかもしれない。しかし警告色の効果があるのであれば、卵を産むメスだって(むしろオスよりも優先的に?)採用していて良いはずだ。ところが検索した画像を見ると、メスはオスに比べて地味だ──ということは、《警告色》というわけでもなさそうだ。
オスがメスより派手な生き物というと、求愛ダンスがユニークなフウチョウ(極楽鳥)が思い浮かぶが……ヨダンハエトリもフウチョウのように派手な配色をメスに見せつけてアピールでもするのだろうか──などと冗談まじりに想像が展開した。
が──2度目にみつけたとは、オスは葉の上でフウチョウばりのダンスを披露していた。






体を左右に揺らす動きは、ちょっとミミズクのダンスに似ていなくもない。さらに模様のついた前脚(第1脚)を広げたり持上げたりもしていた。よく見ると、先端が白い第2脚も使っている。








オスの体を向けた先にはメスがいたので、求愛ダンス(ディスプレー)の類いの行動とみて間違いないだろう。




葉の陰に隠れていたメス↓。オスよりやや大きかった。




オスがダンスで駆使していた前脚(第1脚)にある橙色と黄色&第2脚の先端の白い模様はメスにはない。オスの脚にある模様は求愛ダンス用のアイテムなのだろう。
ヨダンハエトリのダンスを見るとフウチョウ(極楽鳥)の求愛ダンスを連想せずにはいられないが……ヨダンハエトリのオスの派手さは(も)メスにモテるために発達させたものなのだろうか?

ヨダンハエトリ♂のダンスの意味

しかし考えてみると、ダンス(誇示行動)自体は似ているものの、フウチョウ(鳥類)とヨダンハエトリ(クモ類)では脳味噌(?)の大きさ(処理能力)が全然違うのだから、生態システム(プログラム)としては違うのだろうなぁ(クモの方がよりシンプルなはず)……と、そんな気もする。
フウチョウのメスがオスの求愛ダンスをどう見ているかはわからないが、少なくとも踊るオスを獲物としては見ていないだろう。ヨダンハエトリのメスはオスを獲物と同じように認識しているかもしれない?
脳味噌(?)が小さなクモでは生命活動に必要なプログラムは鳥類よりもずっとシンプルなものだろう。捕食システムと繁殖システムを兼ねた共有プログラムであった方が効率的だ──という発想。

小さなハエトリグモは徘徊性の捕食者だが、同時に被捕食者でもある。出会った相手を「獲物」と認識すればアタックするし、「敵」とみなせば逃げたり隠れたりしなければならない。オスはメスと交尾するためにメスのと接触しなければならないが、体はメスの方が大きい。「獲物」として認識されれば食われてしまう危険があるし、「敵」と見なされれば逃げられてしまう。そこでオスはとりあえず「獲物」のふりをしてメスの注意を引きつける──そうしてクギ付けになったメスに接近するが、メスの攻撃を封じなければらない。オスのダンスにはその攻撃を抑制する効果があるのではないか?
ヨダンハエトリ成体オスの前脚(第1脚)には目立つ橙色と黄色の模様があり、第2脚の先端にも白い部分がある。オスはこの橙・黄・白の左右合わせて6つの明るいポイントを複雑に動かすことでメスの注意を引きつけているように見える。目立つポイントが複数あってそれぞれが動き続けていれば、オスを「獲物」として捉えたメスも同時多発注目点に攻撃ポイントが絞りにくくなるのではないか。つまりオスのダンスはメスの照準システムをかく乱する陽動行動なのではないか──という気もする。
また、ハエトリグモには獲物の動きに反応して襲いかかるタイミングのようなものがあって──オスのダンスはそのタイミングを与えない動きなのかもしれない?……などと想像してみたり。
メスの照準システムをかく乱する陽動行動なのか、攻撃のタイミングを封じる動きなのか……いずれにしてもオスのダンスで、メスは攻撃が抑制されたコンフリクト状態(?)に陥り、これがオスにとっての交尾のチャンスとなる──そんな解釈が展開した。

そして、ヨダンハエトリだけに余談だが……♂の先端が白い第2脚を広げる姿を見ていて、ふと触角の先端や途中に明るいポイントがある昆虫が浮かんだ。ハエトリグモの捕食対象となるサイズの昆虫で、長い触角の先端や途中に目立つポイントを持つものは、ひょっとして(ヨダンハエトリの第2脚と同じように?)ハエトリグモの照準システムをかく乱しているのではないか……というのは単なる思いつき。虫(クモは昆虫ではないが……)を見ていると、色々と想像が展開(暴走?)するということで。


最後のヨダン(余談)を含めて、全て素人の想像──頭の体操なので、こうした解釈が当っているかどうかはわからない。単に解釈のシミュレーションであって、真実──実際にどうなのかとは別のハナシである。
さて、今回ヨダンハエトリを見つけたのはこんな場所↓。手前の下草の上にいた。


最近見た昆虫から…

5月に入って色々な昆虫を見るようになったが……その中から好きなものを少し。




タキシード姿のキョンシーことラミーカミキリ。5年ほど前から自宅近くでも見られるようになったカミキリ。今年もムクゲで発生していた。


このところ注目していたアカスジキンカメムシ↑。本来の体色が整ってきた新成虫は、やはりキレイ。


カメムシつながりで人気が高い(?)ハート紋のエサキモンキツノカメムシ↑。僕が初めて《抜け殻落とし》を見たのは、このカメムシだった。


ウラナミアカシジミ↑も出てきたということで。緑の葉の上に止まっていると、やはりキレイだ。

アカスジキンカメムシ新成虫《抜け殻落とし》のケース

アカスジキンカメムシ《抜け殻落とし》の状況証拠



アカスジキンカメムシの羽化シーズン──このところ発生ポイントでは葉の上に出ている新成虫が次々に見つかる。近くの葉の裏で羽化したものと思われるが、周辺の葉の裏を探してみても抜け殻は見つからない(ことが多い)。抜け殻はどこかというと、新成虫がとまった葉の下──地面に落ちていることが多い。


これはアカスジキンカメムシが葉の裏で羽化した直後──葉の表へ出てくる前に《抜け殻落とし》をするからだ──と僕は考えている。先日の【アカスジキンカメムシ新成虫と抜け殻】の中でも記したが、寄生蜂や寄生蠅などの天敵にみつかる手がかりを排除するために抜け殻を落とすのではないか──と解釈している。今シーズンは20匹以上の新成虫を見ているが、近くの葉の裏に抜け殻が残されていたのは2例のみ。その1つは【アカスジキンカメムシの羽化《抜け殻残し》のケース】で記した通り、テントウムシの乱入によってパニクった新成虫が抜け殻を残して遁走するというアクシデントによるもの。ちなみに、このアクシデントで葉の裏に残された抜け殻は(その後雨や風の強い日もあったが)3日後まで同じ場所に残っているのを確認している。
葉の上に出ているアカスジキンカメムシ新成虫を見つけたら、その下を探すと《抜け殻落とし》によって落とされた抜け殻が見つかることが多い。




もし抜け殻が風などで自然に落ちたのだとすれば、飛ばされてしまって見つけることは難しい。新成虫の直下で見つかるのは新成虫によって落とされたのだと考えるのが妥当だろう。
──というように、今シーズンは《抜け殻落とし》の状況証拠は見つかるものの、まだ《抜け殻残し》行動そのものは確認できていない(過去にはエサキモンキツノカメムシの新成虫やアカスジキンカメムシ幼虫で確認している)。羽化シーズンの間に観察できないものかと探していると──好材料が見つかった。

羽化したて・新成虫と抜け殻のツーショット



葉の裏に羽化したてでまだ白っぽい新成虫と抜け殻が見つかった。


本来、抜け殻と同じ葉の裏で(抜け殻おとしまで)待機しているはずの新成虫がナゼか下の葉に移動してしまっているが……この抜け殻はこの新成虫のものだろう。どうして別の葉に移動してしまったのかこの時点では判らなかったが(後に判明)、ビミョ~に距離は置いているものの《抜け殻落とし》の圏内のような気もする。以前、擬木で脱皮後《抜け殻落とし》行動を見せたアカスジキンカメムシ幼虫が、落ちきらずに途中でひっかかった抜け殻を追い落すシーンを見たことがあった(【カメムシの抜け殻落とし行動】)──それを考えると、この新成虫が上の葉に戻って《抜け殻落とし》をすることもあり得そうに思えた。《抜け殻落とし》をするとすれば、おそらく新成虫が葉の表へ出る前だろう。新成虫が葉の表へ出るまでは観察のチャンスがあるだろうと考え、観察しながら僕も待機することに。
上の画像を撮影してから約25分後の新成虫↓。


同じ葉の裏にとどまってほとんど動きはない。前の画像と比べると触角や脚の色が少し濃くなってきたのが判る。
待っているうちに、そばで待機していると警戒して《抜け殻落とし》を始めないのではないかと心配になってきた。とくに今回は《抜け殻落とし》をするには別の葉に移動しなくてはならないのでハードルは高めかもしれない。僕を警戒して《抜け殻落とし》をあきらめるようなことがあっても困る……。動きがないので、少しその場を離れ、近くに羽化中の個体がいないかなどチェックしてみることにした。
アカスジキンカメムシの発生ポイントはルリカミキリの発生ポイントでもあり、アカスジキンカメムシの新成虫にやや遅れて姿を見せ始めている。


ルリカミキリは見つけても、近づくとすぐにポロッと落下して、なかなかうまく撮れない。今回もNGをくり返したり……もはや普通種となった(外来種の)アカボシゴマダラの春型が羽化していたので、これも抜け殻とのツーショットを撮ってみたり……。


ちなみに1週間ほど前に見かけたボシゴマダラの夏型パターンの春型(※訂正:春型・夏型を模様型の呼称だと思って「夏型」と記したが、「第1化→春型」という指摘をいただいたので「夏型パターンの春型」に訂正)↓。


白っぽい春型にまじって、時々黒っぽい夏型パターンが見られるのはどうしてなのだろう……などと考えつつ、そろそろ《抜け殻落とし》が始まらないかと戻ってみると──。

わざわざ上の葉に戻って《抜け殻落とし》



なんと、僕がいないスキに(僕が離れていたのは22分)《抜け殻落とし》が行なわれ、すでに抜け殻は落とされた後だった……。《抜け殻落とし》の現場を観察できなかったのは悔やまれるが……僕が見ている間は警戒してじっとしていたということなのかもしれない……。
新成虫は《抜け殻を落とするために、わざわざ上の葉に戻っていた》──抜け殻があった時との位置関係を比べててみると↓。


抜け殻が残っていたとき(画像左↑)は、抜け殻のある「上の葉」と新成虫がとまっている「下の葉」とは離れていた。しかし新成虫が「上の葉」に戻ったあと(画像右)、「下の葉」は「上の葉」と接している。僕が見つけた時に2つの葉が離れていたのは新成虫の体重で「下の葉」が下がっていたためだった。
「上の葉」で羽化が行なわれたとき、「下の葉」は「上の葉」に接しており、羽化したての新成虫がたまたまつかんだ葉が「下の葉」だったため、体重が移動すると「下の葉」は重みで下がり「上の葉」と離れてしまったのだろう。
さて、それでは、葉の裏から消えた──落とされた抜け殻は、いずこ? この個体がとまっていた木の下は草がしげって探すのが難しそうだったが、落差はさぼどなかったので、落ちた範囲も限られている──そう目星をつけて探すと、ほどなく抜け殻は見つかった。


抜け殻が羽化の行なわれた葉の直下で見つかったこと、新成虫がわざわざ抜け殻があった葉まで戻っていたことなどの状況から、22分の間に《抜け殻落とし》があったことは確実だろう。その行動を今回は確認できなかったのは残念だが、過去の観察例からすると、抜け殻に頭突きをしたり、抜け殻の下に体をもぐり込ませてプロレスのショルダースルーのように投げ落としたのではないかと想像する。


抜け殻があった葉に戻って《抜け殻落とし》をやり遂げた新成虫↑。見つけたとき(白っぽかった)から約1時間10分ほどが経過している。
見つけたときから2時間半ほど経過して↓(フラッシュ発光)。


もう少し体色が整ってきたら葉の表へ移動して行くのだろう。
落とされた抜け殻は↓。




今回、《抜け殻落とし》のシーンを見逃したのは残念だったが……新成虫が《抜け殻を落とするために、わざわざ上の葉に戻った》ことが確認できたことには満足。労力を要する(わざわざ行なう)行動にはきっと意味がある──この《抜け殻落とし》にも、やはり想像したような(天敵リスクを低減させる)意味があるのではないかと改めて感じていたりする。


アカスジキンカメムシの羽化《抜け殻残し》のケース

アカスジキンカメムシ羽化シーズン



前回の記事【アカスジキンカメムシ新成虫と抜け殻】に引き続いて──アカスジキンカメムシの新成虫。このところ羽化してまだあまり経っていないと思われる体色が整っていない個体が葉の上で見つかる。この個体↑は緑がきれいに出ているが赤い模様がまだ薄い。
こちちら↓は背中(小楯板)の中央部が青っぽくまだ色ムラがある。複眼も赤い。


複眼の赤いアカスジキンカメムシ新成虫は何度か見ているが、羽化時にすでに黒い(複眼は黒く単眼が赤い)個体も見ている。体色が整うまでの間に一時期赤くなるのか個体差なのか──そのあたりはわからない。
さらに色ムラがあって赤がでていない新成虫↓──こちらは複眼が黒い。


体色がまだ薄くムラがあるのは羽化してあまり時間が経っていないためだろう。ということは、この近くで羽化したはずだ。とまっていたのはこんなところ↓。


模様が笑っている人の顔に見えてしまう──という空目ネタはさておき、この新成虫がとまっていた周辺の葉の裏をチェックするが抜け殻はみつからない。やはり羽化後の《抜け殻落とし》をしたのだろうとこの葉の下を探してみると、予想通り見つけることができた。


さらに別の場所で見つけた色の薄いアカスジキンカメムシ新成虫↓。


これもとまっていた葉および周辺の葉の裏を探すが抜け殻は見つからず。やはり直下の地表に落ちていた↓。


他にも新成虫の下で抜け殻が見つかっている。今シーズンはこれまで20匹近くアカスジキンカメムシの新成虫を見ているが、羽化後の抜け殻が葉の裏に残されていたのは(《抜け殻落とし》をしていないと確認できたものは)、前回記した例と、後に紹介する例の合わせて2例だけ。新成虫の直下で抜け殻が見つかることは度々あって、《抜け殻落とし》は常態的に行なわれているのではないかと思われる。とはいっても状況証拠だけでは説得力がないので、やはり現行犯で──《抜け殻落とし》の現場を押さえ、観察例を増やして行きたいところ。
今は新成虫とともに羽化を控えた終齢(5齢)幼虫の姿も見られる。


終齢(5齢)幼虫が見られるということは羽化が観察できるチャンスはまだあるということだ。雨でもないのに葉の裏にとまってじっとしている終齢幼虫がいたら、羽化体勢に入っている可能性が高い──近くで待っていれば羽化および《抜け殻落とし》を観察できるかもしれない──そう考えて該当幼虫を探していると──。


葉の裏にとまったイイ感じの終齢幼虫を発見。羽化が始まるのを待ちながら、この周辺に他にも「候補」がいないか探す。結果から言うと、期待をかけたこの終齢幼虫は、この日羽化をしなかった……のだが。

アカスジキンカメムシの羽化:《抜け殻落とし》をしなかったケース

前述の羽化待ちをしている最中に、葉の裏にとまっていた2匹目の終齢幼虫を見つけた。


よく見ると前胸と中胸の間が開き、白い成虫の背中がのぞき始めている↑──羽化が始まったばかり! 急きょこちらを観察することにした。


前胸と中胸の間が開き、胸の背面が楯に割れて、十字に亀裂が入ったように見える。そこから白い成虫の背がのぞく。幼虫の前胸の両側には白い模様があるが、この先端部内部では既に離脱が始まり、ミが抜けた部分が半透明になっている。
※画像左下の数字は撮影時刻(時:分:秒)。


裂け目が広がり、白い新成虫の背中がせり出してくる。


葉につかまり体を支えている脚の形は変わらないが、触角は引き抜きやすい角度に変化。この個体はこの時点ですでに複眼は黒い(単眼は赤)。


触角・脚・翅がゆっくりと引き出されていく。


ようやく脚と触角が抜ける↑。


しばらく逆さの宙づり状態でいたが、初めて新成虫の脚で葉をつかむ↑。


新成虫の体は白っぽい。抜け殻を見ると、幼虫時代に白かった部分はミが抜けて半透明の膜になっている。幼虫の白い部分は、やがては新成虫になる白い体が透けていたということのようだ。


ほぼ脱皮を終えたアカスジキンカメムシ。このあと抜け殻から離脱。


腹端を抜いた時点では、腹が少し寸詰まりのように見えたが……やがてアカスジキンカメムシらしいラインになっていった。


この後、しばらくして(体が固まるのを待って?)《抜け殻落とし》が観察できるだろうと期待していたのだが……。
待機中に、小型テントウムシが飛来し、静止する新成虫の体にとまった。そのとたん、新成虫はパニクって抜け殻を残して逃走!(テントウムシも驚いて飛び去り、僕もあわててカメラを向ける) 新成虫は羽化直後とは思えない素早さで枝を伝って葉の奥に隠れてしまった。


「なんだお前、羽化したてで、そんなに速く動けたのかよ!」とあきれるほどの逃げ足で、最後はピントを合わせる余裕もなかった。
テントウムシの乱入で、あっけない観察の幕切れとなってしまったが……こうした状況で《抜け殻落とし》が行なわれずに抜け殻が残る(ことがある)という例を確認することができた。

《抜け殻落とし》は前記事【アカスジキンカメムシ新成虫と抜け殻】でも記した通り、寄生蜂や寄生蠅あるいはアリなどに見つかるリスクを減らし《種の安全》を高める役割りを果たしているのではないか──と僕は想像している。
《種の安全》のためには、抜け殻落としをした方が生存率を高められる──そんな自然の選択が新成虫に《抜け殻落とし》をさせるのではないか──しかしこの本能プログラムでは《抜け殻落とし》はデフォルトのようなもので、個の危険が迫ったときなどは《個の安全》が優先されるのかもしれない。身の危険が生じたとき、《個の安全》が保たれなければ《抜け殻落とし》だって実行できなくなり《種の安全》もはかれなくなってしまう──これでは元も子もないので、危険を察知した時は、とりあえず《個の安全》を確保することが優先される──危険を回避して逃げ延びることができれは繁殖活動に携わることで《種の生存率を高める》ことに貢献できる可能性が残せる。そう考えると《抜け殻落とし》をせずに逃げたり隠れたりするケースがあることも理解できる。
今回は期待した《抜け殻落とし》を観察することができなかったが、《抜け殻落とし》をしないケース──いってみれば《抜け殻残し》の1例を見て、そんなことを考えたしだい……。






アカスジキンカメムシ新成虫と抜け殻

アカスジキンカメムシ新成虫と抜け殻

そろそろアカスジキンカメムシの羽化が始まるのではないかと思い、先日発生ポイントに見に行ってみた。葉の上に終齢(5齢)幼虫がいくつかでていた。


これが葉の裏側にとまっていれば羽化が近いサインと予想し、探してみるが見つからず。今年は花の時期も昆虫の発生も遅れているようなので、アカスジキンカメムシの羽化も、もう少し先かもしれない……などと考えていると、葉の上に今シーズン初の新成虫を発見。




トレードマークの「赤筋」模様は薄く、まだ本来の色が出きっていないようだ。おそらくこの近くで羽化したはず。カメムシの羽化といえば気になるのが《抜け殻落とし》だ。脱皮や羽化したばかりのカメムシが自分の抜け殻を落とす行動をこれまで何度か目撃しており、これを僕は勝手に《抜け殻落とし》と呼んでいる。抜け殻を残しておくと天敵に嗅ぎ付けられやすくなるため、発生の痕跡を生活圏から排除するという意味があるのではないかと想像しているのだが、詳しくは後述。
興味深い《抜け殻落とし》だが、この行動は必ず行なわれるわけでもないらしい。というのも、葉の裏に残されている抜け殻が見つかることがしばしばあるからだ。脱皮直後・羽化直後にわざわざ労力を要す《抜け殻落とし》をするのには、それなりの理由(意味)があるはずだが、《抜け殻落とし》をするもの・しないものがいるのはどうしてなのか……このあたりが気になっている。
まだ羽化してさほど時間が経っていない新成虫が出ていれば、おそらくその近くで羽化したはずで、そのさいの抜け殻が残されているのか、落とされているのか──確かめてみたくなる。
ということで、この新成虫の近くを探すと、葉の裏に抜け殻が見つかった。


たぶんこの新成虫の抜け殻だろう。この個体は《抜け殻落とし》をしなかったことになる。葉の裏に残されていた抜け殻↓。


幼虫時代に白かった部分は半透明の膜で、硬質の黒っぽい部分とは質感が違っている。白い糸のように見えるのは気管の外壁(?)だろう。
今シーズン初の新成虫を見つけた少し先で2匹目の新成虫を見つけた↓。


赤筋の色がまだ薄い新成虫。羽化後現場にとどまっている状態っぽい。ならば抜け殻は──と周囲を探してみるが葉の裏には見つからない。葉の裏に残っていれば見つけ出すのは容易いが、落とされたものを探すのは難しい……葉や枝に止まっていた昆虫がカメラを向けると落下することはよくある。落ちた昆虫を見つけるのは難しいが……あれと同じ。新成虫がとまった下の地表を探してみたが抜け殻は見つからなかった。
そうこうしているうちに見つけた時は尻を向けていた新成虫が向きを変えた↓。


証拠品(抜け殻)は見つからなかったが、葉の裏にあったはずの抜け殻が残されていないということは……この新成虫↑は《抜け殻落とし》をした可能性が高そうだ。
そこからさらに離れた場所で3匹目の新成虫をみつけた。




体色は薄め──この近くで羽化したはずである。とまっていた周辺の葉の裏を探すが抜け殻は見つからず。《抜け殻落とし》をしたのだろうと、新成虫の下の地面も探してみる。さいわいなことに下はアスファルトだったので(見つけやすい場所だったので)すぐに《落とされた抜け殻》を見つけることができた。


終齢幼虫と、3匹目の抜け殻の画像を並べると幼虫の白い部分が半透明の膜であることがわかる。


この抜け殻を落ち葉の上に乗せて撮影したもの↓。




よく見ると腹のふちに気門の丸い孔が開いているのが判る。カメムシ特有の針のような口器は、口針とその鞘にあたる口吻が確認できる↓。


こんな細かいところまできれいに脱皮しているのに、あらためて感心してしまう。
この個体は《抜け殻落とし》をしたと認定。
この日は3匹のアカスジキンカメムシ新成虫を見ることができたが、翌日も同様に葉の上に出ている新成虫を5匹確認できたので、引き続いて今シーズンの4匹目↓。


やはり赤い部分が薄め。おそらくこの葉か近くの葉の裏で羽化し、葉の表に移動して待機(?)をしているところ。葉の裏を探すが抜け殻は残されておらず、おそらく落とされたのではないかと思われる枝の下を探してみるが、みつけることはできなかった。
5匹目の新成虫は、赤が比較的鮮やかに出ていた。羽化から少し時間が経っているのかもしれない。




この場所で羽化したのではなさそうな気もするが、一応周囲を探す──が、抜け殻は発見できなかった。
6匹目と7匹目はほぼ同時に見つかった↓。


葉の裏に抜け殻は確認できず、2匹の下(地表)で1つだけ落とされていた抜け殻を見つけることができた。
8匹目は周囲の葉の裏に抜け殻はなく、すぐ下に落とされていた。


今回見つけた新成虫8匹のうち、葉の裏に抜け殻を残していたのは1匹だけ。確認することができた落下抜け殻は3個。不明は4つ。葉の裏に残されていればみつかりそうなものだから、不明の4個も落とされた可能性が高そうな気がしている。
こうしたことを考えると、アカスジキンカメムシは基本的には《抜け殻落とし》をするのではないか。《抜け殻落とし》をしなくても風等の影響や時間の経過で劣化した抜け殻が自然に落ちることもあるだろうが、羽化したての成虫がその場にとどまっているようなタイミングで新品の抜け殻が落ちるとは考えにくい。風等で落ちたのであれば、軽い抜け殻は飛ばされ、直下の地表で見つかることもないだろう。
それでは、《抜け殻落とし》をしないで抜け殻が残される状況はどうして生まれるのだろう? 羽化(脱皮)直後、《抜け殻落とし》をする前に何かに驚いたりして逃げたり、天敵に襲われて抜け殻が残るということもあるだろう。しかし、それだけで片付けてしまって良いものか……実際にどのくらいの割合で《抜け殻落とし》が行なわれるのか・行なわれないのか──そのあたりは気になるところだ。

カメムシの《抜け殻落とし》とは?

羽化したてのエサキモンキツノカメムシが、自分の抜け殻に攻撃を仕掛け落とすようすを初めて目にしたのは5年程前だった。その時はなぜこんな行動をするのかわからず驚いた。この謎めいた行動は、その後アカスジキンカメムシの羽化や脱皮でも確認。わざわざ労力のかかる仕事をするのだから、そこには何か理由があるはずだ。天敵対策的な意味があるのではないか──そう考えるようになった。寄生蜂や寄生蠅がニオイを手がかりに寄主(宿主)を探していたとすると、脱皮や羽化直後の抜け殻を自分たちの生活圏に残しておくことは天敵を呼ぶことにもなりかねない。その危険を排除するために生活圏の外に抜け殻を落とすのではないか──という解釈。
これがセミやチョウなどなら、成虫が飛び立ってその場から離れてしまえば抜け殻がその場に残ったところで自分たちに不利益は無い。しかしカメムシは幼虫・成虫ともに脱皮や羽化をしたあとも同じ場所に留まり生活する──抜け殻を残しておけば寄生蜂や寄生蠅を自分たちの生活圏に呼び寄せてしまう危険がある……。やはり生活圏内で脱皮するチョウの幼虫の場合は自分の抜け殻を食うことで天敵に見つかる危険を消去できるが、カメムシは口の構造上、抜け殻を食べて隠滅することもできない……。そこで《抜け殻落とし》で天敵の手がかりになるものは速やかに生活圏から排除する──そんな意味があるのではないか。
また、抜け殻が葉に残れば、やがでアリに見つかり大挙して押し寄せるアリの行列に自分たちの生活圏が脅かされることにもなりかねない──こうした危険(不利益)を回避するために《抜け殻落とし》は機能しているのではないだろうか。

この考え方に立つと、チョウや蛾の終齢幼虫が食草から離れ意外に離れたところで蛹になるのも、(カメムシが抜け殻を生活圏の外へ排除するように)蛹を自分たちの生活圏から遠ざけるため──という解釈もできそうな気がする。
チョウや蛾の場合は、幼虫時代に寄生され蛹から寄生蜂・寄生蠅がでてきたりすることが少なくない。不幸にも寄生されてしまった幼虫が仲間の近くで蛹化し、そこから寄生蜂や寄生蠅が発生すれば仲間達が次のターゲットにされる危険が高まる。これは種としての生存率にも関わる問題だ。そこで寄生蜂や寄生蠅の発生源となりうる蛹を仲間達から遠ざけるために、わざわざ危険を冒して徘徊するのではないか?
蛹を遠ざけるという行動は(目立つ移動で)個の危険を高めるとも考えられるが種としての危険リスクを減らし生存率を高めることにつながっているからこそ採用されてきたと考えると合点がいかないでもない。
脱皮直後あるいは羽化直後のカメムシがわざわざ《抜け殻落とし》をするのも、種としての危険リスクを排除する行動の一環ではないかと思えてくる。



過去の画像から、これ↑は脱皮直後のアカスジキンカメムシの幼虫が《抜け殻落とし》をするようす。


アカスジキンカメムシの羽化↑の観察では《抜け殻落とし》の瞬間は確認することができなかったが(雨で観察を一時中断した2時間半の間に抜け殻が落とされた)、落とされた抜け殻は確認することができた。



オオモンキカスミカメ幼虫?

世界最大級のカスミカメムシ幼虫?

見慣れない昆虫が擬木の上に出ていた。翅の形や口吻などからカメムシの幼虫だろうということは見当がつくが……すぐには成虫の姿が思い描けない。とりあえず撮っておいて帰宅後、調べてみることにした。
擬木上の昆虫は見つけやすいが(本来いるべき場所ではないためか落ち着きがなく)動き始めると撮影が厄介になりがちだ。止まっている個体を動き始める前に撮ってしまうのが好ましい。と、いうことで、擬木支柱の縁でじっとしているカメムシ幼虫に、そーっと近づきカメラを向けたのだが──シャッターを切ろうとしたそのとき、被写体の背後からフレームインしてくるものが……。


突然現われた毛虫に轢かれかけ、被写体のカメムシ幼虫はあわてて走り回るしまつ。かろうじて撮れたのは動き出す直前の1枚だけ。被写体が擬木支柱の鉛直面で立ち止まったところを再び撮ろうとするが……なんとまた毛虫がフレームイン──。




毛虫の乱入で被写体がパニク・モード(?)におちいってしまったので追加ショットをあきらめた。


なんとか撮れた最初の1枚↑(1枚目をトリミング)を帰宅後じっくり見てみると……アカスジキンカメムシ幼虫やキマダラカメムシ幼虫などでは確認できた臭腺開口部(開孔部)──カメムシ臭を発する孔(幼虫では背面に開口している)──がこの画像ではどこにあるのかわからない……。『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』(野澤雅美・著/農山漁村文化協会・刊/2016年)によると、カメムシ幼虫の腹背面にある臭腺開口部は科によってその位置や数が違うそうで、ツチカメムシ科・カメムシ科・キンカメムシ科・ツノカメムシ科などでは3対(6個)あるが、カスミカメムシ科では1個だけだという。今回撮影した虫もカスミカメムシの幼虫っぽい感じがするが、腹背面にあるスリット状のすきまが臭腺開口部(開孔部)および蒸発域なのだろうか?
最近撮ったクヌギカメムシ幼虫の臭腺開口部(開孔部)と比べてみると……↓。


白矢印で記した部分が臭腺開口部だろうか? クヌギカメムシ類幼虫の方は3対(6個)あるように見える。左右の孔の間にある凹みがニオイ物質を気化する蒸発域にあたるのではないかと想像するが、カスミカメムシ幼虫と思しき虫の背中にあるスリットは開孔部と蒸発域が一体化したものなのかもしれない(素人解釈なので間違っているかもしれない)。
今回みつけた虫は容姿からするとカスミカメムシの幼虫のような気がするが……だとすると、僕には思い当たる種があった。《世界最大級》とされるオオモンキカスミカメだ。この成虫なら同じ場所(狭山丘陵)で何度か見たことがある。


《世界最大級》などというと大層な感じがするが、あくまでもカスミカメムシの中でのこと。カスミカメムシはほとんどが5mm以下・2~3mmもザラだという。オオモンキカスミカメでも体長は9~12mm(ネット情報)程度。色彩変異が多いらしいが、前翅革質部の先端にある紋が黄色~赤なので「モンキ(紋黄)」なのだろう。


今回みつけた幼虫がオオモンキカスミカメの終齢幼虫だとすれば大きさ的にも合点がいく。過去のオオモンキカスミカメ成虫画像をチェックしてみると、撮影していたのは5月中旬から下旬にかけて──今回見かけた幼虫がこれから羽化する終齢幼虫と考えると時期的にも合致している。
今回見つけた幼虫とオオモンキカスミカメ成虫の画像を比べてみると……脚の白黒模様なども似ている。


これはもう、オオモンキカスミカメで決まりだろう……そう思ってオオモンキカスミカメ幼虫の姿をネット検索で確認して片をつけようとしてみたのだが……成虫の画像はそこそこヒットするものの、幼虫の画像が見つからない……。
そこで図書館へ行って『日本原色カメムシ図鑑』(安永智秀ほか/全国農村教育協会/1993年12月)を調べてみたが……こちらも成虫の写真だけで幼虫の写真は掲載されていなかった。
ちなみに、『日本原色カメムシ図鑑』では【オオモンキカスミカメ】は【オオモンキメクラガメ】として記載されていた。《体長9mmを超え、アカスジオオメクラガメと並んで、世界最大級のメクラカメムシである。ヤナギやハンノキなどの樹にすみ、ヤナギハムシなどの幼虫を捕食する。人体を刺すことがあり激痛を与える。また種内捕食も観察されている》──とのこと。
現在「カスミカメムシ」と呼ばれているグループは、ほとんどが単眼を持たないことから、かつては「メクラカメムシ」と呼ばれていたそうだ(『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』情報)。『日本原色カメムシ図鑑』の著者でもある安永智秀博士らが2000年に「カスミカメムシ」を提唱し、改称されたらしい。『日本原色カメムシ図鑑』(第1巻)発行時(1993年)には、まだ「メクラカメムシ」が使われていたということのようだ。
そんなわけで、ネット上でも『日本原色カメムシ図鑑』(第1巻)でもオオモンキカスミカメの幼虫の姿を確認することできなかったので現時点では確定できていないが……今回みつけた虫がオオモンキカスミカメだとすると、そろそろ羽化する時期かもしれない。幼虫が撮れる時に追加ショットを撮ってかねば……と思い立って……↓。


この個体は欄干の上を歩いていた。カスミカメムシとしてはかなり大きいということがわかる画像が欲しかったのだが、じっとする気配がないので恒例の1円硬貨との比較ショットは無理。指に乗せて爪や指先を通過する瞬間を狙っての撮影──NGを量産した。


このあと、擬木で別の個体をみつけるが、これも歩き回っていて、しばらく追い続けるがうまく撮れない。ためしに近くの植物の葉に移動させてみたところ動きがにぶったのでシャッターを切った↓。


このあと幼虫は葉の裏へ移動。そのまま動かなくなったので、そっと葉をめくってみると──、


このまま動かないでいたのでシャッターを切り続けるが、よく見ると口吻を葉脈に突き立てている!?


じっとしていたのは吸汁を開始したためだったようだ。擬木遭難していて飢餓状態だったのだろうか? しかしオオモンキカスミカメについては《ヤナギハムシなどの幼虫を捕食する》《種内捕食も観察されている》という情報から捕食性が強いイメージを思い描いていたので、このシーンには驚いた。
カスミカメムシの中には植物の汁を吸いながら捕食もする種類もいるらしいので、オオモンキカスミカメも両刀使いなのかもしれない。それともこれは植物食の別のカメムシ幼虫なのだろうか?



*【アリを護衛に雇うカイガラムシ】 ※2015年05月のオオモンキカスミカメ

フレームインしてくるオジャマ虫

オオモンキカスミカメと思しき幼虫の撮影時には毛虫の乱入で参ったが……臭腺開口部(開孔部)の比較で使ったクヌギカメムシ類の幼虫を撮影している時にも、およびでない虫(クモ)の乱入があった。




良いモデルをつとめていたクヌギカメムシ幼虫だったのに、このあと当然パニクって撮影は中止……。
撮影しようとしているときにフレームインしてきて「台無し」にしてしまう虫を「オジャマ虫」と僕は呼んでいる。擬木上の虫が増えるこの時期には多い。オジャマ虫のクモには赤いダニがついていた──いらない虫が画面に入り込むオジャマ虫のオジャマ虫といったところか。
擬木の上で何度も翅をたたみ直している小さめのトウキョウトラカミキリがいたので撮り始めると、アリや毛虫がフレームインしてきた。




このトウキョウトラカミキリは翅が故障していてるらしく飛び立てなかったが、オジャマ虫の乱入で飛び去ってしまう被写体も少なからず。オジャマ虫には迷惑することが多いが……まれに嬉しい乱入もある。去年の5月には期待したヨコヤマトラカミキリが見つからないので、かわりに(?)イモムシを撮っていたところ、なんとヨコヤマトラカミキリがフレームインしてきて驚いた──なんてこともあった(※【ピンク&イエローの猫耳幼虫ほか】)。
ところで、このトウキョウトラカミキリの撮影中に乱入してきた毛虫は冒頭のカメムシ幼虫の撮影度に2度も乱入・妨害した毛虫と同じ──キアシドクガの幼虫だ。ミズキで集団発生するが、今の時期は蛹化場所を探して徘徊する終齢幼虫が多い──オジャマ虫になりがちな種類だ。


余談だが、キアシドクガが羽化した後の蛹(抜け殻)と思しきものは人気漫画『とりぱん』(とりのなん子/講談社ワイドKCモーニング)に「天然超ミニツタンカーメン」「極小ツタンカーメン」として登場したことがある(※【極小ツタンカーメンの季節!?】)。
キアシドクガのホストでもあるミズキは、今シーズンは開花が遅く、そのぶん長持ちしているようだ。5月中旬入ってもまだ蕾を持つ木があった。


花にはコアオハナムグリやクロハナムグリ、アシナガコガネなどがあちこちに見られた。カミキリが来ていないか探してみたが、確認できたのはエグリトラカミキリ1匹(枠内の別ショット)だけだった。

擬木を齧るヨコヤマトラカミキリ

擬木をかじるヨコヤマトラカミキリ@東京



前回、4月下旬に投稿したヨコヤマトラカミキリはギリギリ埼玉県側で見つけたものだったが、今回は東京都側の擬木の上にいた。


下翅がちょろっとのぞいているこのヨコヤマトラカミキリは、しきりと擬木に口をつけていた。最初は擬木上に落ちた花粉でも食べているのかと思ったが……花粉は見当たらない。どうやら擬木の表面を齧っているようだった。


場所を変えては齧っている。それにしても脚が長い……。




ひょっとして、これは産卵孔を開けようとしているのではないか?──ふとそんか考えが頭をかすめたが、「何で擬木に?」と首を傾げたくなる。後食のつもりだろうか?──とも考えてみたが、「何で擬木を?」と思ってしまう。結局この行動が何を意味するのか、よくわからなかった。

メッシュ構造の前胸と毛だらけの翅鞘(上翅)

ところで、ヨコヤマトラカミキリは前胸の表面構造がおもしろい。「透かし俵(すかしだわら)」と呼ばれるクスサンの繭を思わせる編目模様が入っている。


こんな凸凹構造だと、羽化のときに古い殻(蛹)から離脱しにくいのではないか──などと心配になってしまうが、逆に羽化直前に編目構造が形成されることで古い殻との剥離が進むのだろうか?──などとも思ってみたり(根拠の無い想像)。このメッシュ構造の意味についてもよくわからなかった。
前胸の表面はユニークなメッシュ構造だが、翅鞘(上翅)の表面には細かい毛が生えている。


翅鞘基部のえんじ色の部分も白い「ハ」の字模様も密集した微毛で描かれ、灰色に見える部分にも毛が生えているのがわかる。


ヨコヤマトラカミキリは大きさや動き、配色がムネアカオオアリに似ていて、「擬態している」と考えたくなる。。翅鞘(上翅)の赤い部分がムネアカオオアリの赤い胸、その下の(画面では右側の)灰色~黒の部分がアリの「丸みをおびた腹」っぽく見えるわけだが……灰色~黒の部分は光の加減で明るさを変える。これが「球面によるテカリ(反射率の変化)」であるかのような錯覚を生み、そこにあるはずのない「(アリの)腰のくびれ」や「(アリの)丸みをおびた腹(のテカリ)」を感じさせる理由ではないかと思う。


この画像↑では右翅鞘(上翅)の方が灰色の部分が多く見えるが、ちょっとした光の加減で左翅鞘(上翅)の方が灰色の部分が多く見えたりする↓。


体長7~10mmほどのヨコヤマトラカミキリと直径20mmの1円硬貨との比較↓。


今年はミズキの開花時期が遅め?

昨年はミズキが咲くのも早く、4月29日の大風でだいぶ散ってしまってGWはミズキの花が少なかった気がするが……今年はGWが明けても満開のミズキも見られる。


もちろん、早く咲き始めた木では散ってしまっているところも少なからず。


かと思えば、まだ蕾が多い開花中の木もある。


ミズキの花にカミキリがきていないか探してみたが、甲虫類ではコアオハナムグリやクロハナムグリ、アシナガコガネなどが多く、カミキリは確認できなかった。




ということで、以前撮ったミズキの花を訪れたヨコヤマトラカミキリとトウキョウトラカミキリの画像を再掲載↓。


※↑【ヨコヤマトラカミキリ@ミズキ】より


※↑【カミキリ@ミズキ満開】より
※追記:もう少し判りやすい画像があったので追記↓


※↑【東京のトウキョウトラカミキリ】より


クヌギカメムシ幼虫の色~クリベニトゲアシガ

クヌギカメムシ幼虫のカラフル・バージョン!?



雑木林の縁のヤマブキの若葉の上に赤・黒・白のキレイなカメムシの幼虫がとまっていた。クヌギカメムシ(類)の幼虫──よく見かけるカメムシだが、これまであまり関心が無くスルーしがちだった。しかし、こうして見ると意外に美しい。


クヌギカメムシは雑木林でよく見かけるカメムシのひとつ。卵で越冬し、早春に孵化した幼虫はホストの若葉が展開されるまでの間、卵とともに産みつけられたゼリー状の養分を食して成長するという──生態的には面白いところのある昆虫だが、ルックス的には今ひとつ感があってカメラを向けることはほとんどなかった。印象的には緑っぽいカメムシ……晩秋には紅葉・黄葉にあわせるかのように、赤っぽくあるいは黄色みがかってくるのが、ちょっと面白いと感じるくらいだった(以前10月に撮った成虫↓)。


クヌギカメムシの幼虫についても淡い緑の印象がある──。


模様入りのカラフル・バージョンでは判りにくいが、緑バージョンの腹背面の中央に並んだ3対の黒い点が、幼虫の臭腺開口部(開孔部)だろう(成虫は後胸腹面に1対)。
クヌギカメムシ幼虫の中には赤みがかった模様が入るものがいるということは知っていたが、模様入りのカラフル・バージョンはなかなか美しく見応えがある。模様の入り方は個体によって差が見られた──これは単に個体差なのか、あるいは脱皮前後の時期による変化なのだろうか? 冒頭の画像より白い部分が多い個体↓。








若葉の緑の葉の上で、赤・黒・白の配色が映える。クヌギカメムシに関しては、これまで「緑」の隠蔽色(保護色)イメージがあったので、意外な感じ……成虫や幼虫の一部(緑バージョン)は隠蔽系(保護色で目立たない)なのに、どうして、こんなに目立つ(警告色系?)カラフル・バージョンが存在するのだろう?──撮っているうちに、そんな疑問が浮かんできた。
隠蔽系か警告系か──体色が進化の中での生存に有利な選択であったとするなら、どちらかに分かれそうなものだ。成虫の保護色がこの昆虫にとって生存に有利なのだとすれば、幼虫時代も緑バージョン(保護色)だけでよさそうな気がするし、幼虫の目立つカラフル・バージョン(目立つ警告系)が有利なものであったなら、成虫になっても目立つ配色であってよさそうな気がする。
緑バージョンとカラフル・バージョンが混在するのは、生存率を高める選択次元の話ではなく、単に形成上の問題なのだろろうか──。
アカスジキンカメムシの幼虫が赤みをおびることや、脱皮・羽化直後のヨコヅナサシガメが赤いことが思い浮かび、カメムシの赤は、成長(形成)と関係があるのかもしれないとふと考えた。
──ということで、最近見かけるアカスジキンカメムシの終齢幼虫↓。




アカスジキンカメムシ幼虫は、ふつう黒白模様だが、黒っぽい部分は成長がとまった硬い組織で、白っぽい部分が成長にともなって拡張してい組織のようだ。羽化間近の肥えた終齢幼虫では白い部分が広がっている↓。


この白い部分が赤みを帯びている個体がしばしば見られるが、これがクヌギカメムシのカラフル・バージョンに相当するのかもしれない?


アカスジキンカメムシの白い部分は、脱皮後の抜け殻をみると半透明の膜であり、(古い皮の下の)新しい体の色(赤)が透けて見えているのではないかと思う。アカスジキンカメムシの脱皮直後の体も赤みをおびている↓。


カメムシの脱皮や羽化では抜け殻より大きな体が出現するのに驚くが、体を膨らませることで古い殻を押し破って出てくる《脱出圧》のような働きもあるのかもしれない。体が膨らむ──拡張する(硬化していない)組織であることが「赤い」ことと関係があるのではないか?
脱皮後・羽化後の抜け殻を見ると、白い模様だった部分は半透明の膜であることがわかる↓。


今の時期、桜の幹でヨコヅナサシガメの集団羽化が見られるが、ヨコヅナサシガメも羽化中~羽化直後は赤い。


本来は黒い体色のヨコヅナサシガメだが、羽化中~羽化直後は鮮やかな赤。


ヨコヅナサシガメも終齢幼虫や抜け殻に比べると成虫は格段に大きい。赤いのは拡張段階の色──硬化していない拡張組織だからではないか……。
クヌギカメムシのカラフル・バージョンの赤い模様も、成長域と考えると、そのデザインの入り方はそれっぽく納得できそうな気もする……。
《カメムシの赤は硬化していない成長組織の色》なのではないか……という着想が当っているかどうかはわからない。鮮やかなクヌギカメムシを見ていて、ふとそんな解釈が思い浮かんだ……という話。

若葉に鮮やかな赤と黒:クリベニトゲアシガ



若葉の緑に映える赤──つながりということで。葉の上に赤い小さな甲虫がとまっている──パッと見そう思った。細長い体型はカミキリっぽいが、脚を持上げているポーズはマメコガネを連想させる。近づいてユニークな姿を確認して昆虫ブログで見覚えのある蛾であることがわかった(ユニークな姿には記憶があったが名前が出てこない)。
帰宅後、検索してみると、まず「セグロベニトゲアシガ」というよく似た蛾に行き当たった。ただ、「セグロベニトゲアシガ」は名前の通り「背(が)黒(い)」──前翅の会合部がもっと黒い。僕が撮った蛾は「クリベニトゲアシガ」というらしい。幼虫はクリタマバチやクヌギエダイガタマバチの虫えいや堅果を食べるらしいという情報もあった。
蛾は草食性が圧倒的だ。良く似たセグロベニトゲアシガは幼虫が肉食性でワタアブラムシやタケノアブラムシなどを食すらしいが……クリベニトゲアシガも虫えい(虫瘤)を作る虫を食べていたりしたらおもしろいのに──なんて思わないでもない。
名前の通り、トゲ状の毛がはえた脚を持上げて止まっている姿はなんともユニークだが……蛾がどうしてこんなとまり方をするのか謎めいている。