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2017年01月の記事 (1/1)

フユシャクがとまりがちな所

シロフフユエダシャクがとまっていがちなところ



1月下旬に入ると見かけることが多くなったシロフフユエダシャク(♂は12月下旬から見られ始めた)。


シロフフユエダシャクは冬に出現するフユシャクのひとつ。オス↑は普通の蛾に見えるが、メスは翅が退化してユニークな容姿をしている↓。




欄干(らんかん)にとまっていたシロフフユエダシャクの♀。前回紹介したものより腹の模様が明瞭な個体。夜行性なので昼間は静止していることが多いが、そのときは首をちぢめ触角を体に沿わすように畳んでいる。この♀も静止していたが、カメラを近づけると触角を起こして歩き始めた↓。


木製デッキの上に置かれた(?)苔にくっつくようにしているシロフフユエダシャク♀↓。




人工物の手すりや柵にとまっている個体は見つけやすいが、こうしたちょっとした出っ張りやくぼみにいることも多く、そんな個体は見逃しやすい。


くぼみや接続部、あるいは段差、角などにとまっていがち。


手すりや擬木の上部にとまっている個体も多いが、面のフチ(角)にいることが多い。


手すりの縁(角)に近い所にとまっていたシロフフユエダシャク♀↑。


擬木支柱の上部にとまったシロフフユエダシャク♀。この♀↑はフチに近い鉛直面(側面)にとまっていたが、水平面のフチ近くにとまっていることも多い↓。


やはり擬木上部の水平面のフチにとまっていた別個体↓。


カメラを近づけると歩き出した。頭をおこして触角を前に向けて歩く姿は、静止しているときとは違った印象がある。


フユシャク亜科のフユシャク♀もチラホラ。こちらは翅が完全に退化して消失している↓。



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シロフフユエダシャクも出てきた

シロフフユエダシャクほか冬尺蛾



1月下旬になってシロフフユエダシャク♀を見かけるようになった。フユシャク(冬尺蛾)の仲間なのでメスは翅が退化している。木製デッキの手すりにいた↑同個体↓。


その近くにいた別個体↓。




直径20mmの1円玉と比較すると、こんな感じ↓。


同じ木製デッキの側面──鉛直面にとまっていたシロフフユエダシャク♀↓。


退化した小さな翅が確認できる。このメスは不明瞭だが、個体によって腹の背面にクッキリ模様が現れているものもある(*)。
ガードパイプにとまっていたシロフフユエダシャク♀↓。


シロフフユエダシャクは、狭山丘陵ではもっともよく目にするフユシャク。1月~3月まで比較的長い期間見ることができる。今シーズン、♀は1月下旬に入って見かけるようになったが、♂は例年よりやや早く12月下旬から出ていた。
ユニークなメスとは違って平凡なオス↓。


シロフフユエダシャクはシャクガ科>エダシャク亜科のフユシャクだが、シャクガ科>フユシャク亜科のフユシャクも見かける。やはりオスは平凡な蛾↓。


オスとは容姿がかけ離れているフユシャク亜科のフユシャク♀↓


翅は退化し消失している。同個体↑↓。


フユシャク♀は壁や柵など人工物にとまっていると見つけやすい。


サクラの古木では、12月下旬から正月あたりが見頃だったイチモジフユナミシャク(シャクガ科>ナミシャク亜科のフユシャク)はすっかり減った。1月下旬の産卵後(腹がしなびた)個体↓。


ついでにカメムシ/擬木の虫は少なくなった…

サクラッチ(桜ウォッチ)をしていると、幹の凹みで集団越冬しているヨコヅナサシガメ幼虫が見つかりがち……。


冬でもカメムシの仲間はちょくちょく目にする。






これ↑も擬木で見かけたツヤアオカメムシ。
冬でも色々な虫たちが見られたギホッチ(擬木ウォッチ)コースだが……最近めっきりその姿が減った。
隣接する雑木林から歩道上に伸びていた木の枝(枝のアーケード?)が最近大胆にカットされたり伐採されたりしており(頭上の枝から落ちて擬木にのぼってくる虫が減り、発生木とおぼしき木も切られたりしている)、また晩秋から擬木まわりの落ち葉撤去作業が頻繁に行なわれていること(落ち葉とともにそこにいる虫も撤去される)などが原因のような気もするが……以前もっとも虫が多く見られたコースは、昨冬あたりから閑散としている。以前はギボッチ(擬木ウォッチ)コースを一周りすればフユシャク♀もいくつ見たか覚えられないほど出会っていたので「フユシャク♀カウンター」を持参していたこともあったのだが……。


3年前のギボッチ(擬木ウォッチ)コースのフユシャク状況↑。この日確認したフユシャク♀の大半はシロフフユエダシャクだった。


標本箱がコワイ!?~虫の知らせ




昆虫の標本箱がコワイ…!?

虫屋さんのスゴイところは色々あるが、採集の苦労もさることながら……得た昆虫をひとつひとつ手間をかけて標本にし、きちんと管理しているところだ。怠惰な僕にはとてもマネできない。ラベルのつけ方には学術資料としてのルールがあるようだが、ポージングについてはそれぞれの虫屋さんの好みや考え方で色々な流派(?)があるらしい。また標本の並べ方などにも見映えやスペースの効率性など、虫屋さんによって選抜・配置には工夫がほどこされているようで、虫屋さんの個性や美意識が反映している。オフィシャルな学術的価値とはまた別に、それぞれの虫屋さんの技術の粋を結集した「作品」という芸術的側面もあって、標本および標本箱はおごそかなオーラを放っている。

僕は虫屋ではないので標本は作らないし持ってもいない。それでも昆虫に興味はあるので生体に触れたりすることもあるのだが……実は標本には怖くて触れることができない。昆虫標本を目の当たりにする機会があっても、ビビッてしまい手を触れたことは1度も無い。というのも、触れた瞬間にポロッと脚や触角が落ちてしまったら、どうしよう……という不安があるからだ。虫屋さんが情熱と技術の粋を結集した貴重な「作品」を壊してしまったら一大事だ。

一般民間人の僕の感覚でいえば……昆虫が死んだ後、何年も何十年もその原型をキープし続けているというのが、そもそも信じがたい。野山には毎年たくさんの昆虫が発生し、死んでいるはずだが、虫の死骸だらけにはならない。死骸は順次分解されてしまうからなのだろう。野外ではほどなく分解される虫の死骸が、標本箱の中では何年も何十年も原型をとどめている──というのがフシギでならない。甲虫類などの固い装甲は残りやすそうな気もするが、関節などの可動部分でポロッと脱落してバラバラになっても、ちっともおかしくない。生体でも脚が取れたり触角が切れたりすることがよくあるのだから、死骸ともなれば、たやすくポロッといきそうな気がする。

実際に展示されている標本箱の中で、体の一部が欠けたり、針から外れて箱の底に落ちている標本を見たこともある。展示してあるだけで壊れることがあるのだから、触れたりすればそのわずかな振動で脚がポロッと落ちたりすることは大いにありそうでコワイ。標本箱をのぞき込む時はつい息を殺してまいがちになる。奇跡的に形を保っている標本は壊れる機会を今か今かとうかがっている気配すらしないでもない。不用意に屁でもひったら、その音でポロッといきかねない気もして、とても油断ができない……。

死骸なのに長い間原型をとどめているなんて、とても尋常ではない──これを実現しているのは「永遠にこの姿を定めておくべし」という虫屋の神通力が標本作りで込められているからではあるまいか? その(略して)「永・定(えーてー)フィールド(特殊バリア)」のような神通力が死んだ昆虫を保全しているとしか思えない!? 考えてみれば、虫屋の研ぎすまされた精神集中の中で行なわれる標本制作作業──その亡骸に展翅・展足の整形針を1つ1つ立てていく作業は黒魔術(?)の儀式のようでもある。虫屋は意識せずともこの怪しげな(?)儀式を経てA.T.魔術を実践しているのではあるまいか……? そんな妄想がわき上がる。

今回は標本ネタということで冒頭には標本っぽい(?)画像を並べてみた。マルスゾウカブトは標本ではなくレプリカ(『世界の昆虫 DATA BOOK』4号付録)。ホウセキゾウムシの一種はアクリル樹脂標本のキーホルダー(インセクトフェアで購入)。シャチホコガの幼虫はイモムシストラップコレクション(*)のフィギュアを使って撮影したもの──これならば「ポロッ」の心配は無いし、面倒なメンテナンスの必要もないので安心して持っていられる。

さて──、《昆虫標本は虫屋の神通力(永・定フィールド)によってキープされているのではあるまいか》という着想から展開した妄想イメージの概要を掌編風に記しておく。一人称で記すが「私」は想像上の人物で、僕ではない。



虫の知らせ

仕事上必要な資料が見つからず家捜ししていると、棚の奥から昆虫の標本がでできた。昔、虫屋の友人Aからもらったものだった。私は虫屋ではないので贈られた時は内心当惑した。しかし「彼にとって大事な物を譲ろうとしている」というAの気持ちに友情の深さを感じて、ありがたく受けたものだった。
標本箱はほこりを被っていたが、収められている昆虫は、もらっときと同じ姿でいる。放置しておいたのに死んだ昆虫が「当時のまま」でいることに驚きがあった。頻繁に会っていた頃、Aの部屋でたくさんの針を立てられた昆虫を見たことを思い出した。標本作りの過程で、昆虫の姿勢を整えるための針だと言う。私が手にしている標本も、彼が丁寧に一本一本針をさして形を整えたのだろう。Aがおごそかにその作業をしている姿が思い浮かび、手入れもせずに放置していたのにきれいな姿を保っているのは、彼の神通力がこめられていたからではないか……などと考えたりする。そんな標本をぞんざいに扱っていたことにいささか罪悪感を覚えた。
本来であれば標本はきちんと管理していなければならないのだろろうが……メンテナンス方法については聞いていなかった──いや、聞いていたが忘れていたのかもしれない。近いうちに標本管理のことも含め、久しぶりにAと連絡してみようと思い、発掘した標本を机の上に置いて、資料発掘に戻った。資料は30分後に発掘された。
翌日、机の上の標本を見ると、なんと虫の脚が1本脱落していた。棚の奥で放置されている間は変化が無かったのに、机の上に移動して温度や湿度が変わったせいだろうか……一晩で壊れてしまったことが意外だった。
修復の方法があるのか──メンテナンスの方法とあわせてAに聞いてみようと、久しぶりに電話をかけると、Aの家族が出てAは昨夜、急死したという。Aの標本が壊れたのとAが逝ったタイミングの一致に鳥肌が立った。虫の脚がとれたのは不吉な予兆ととれなくもない。これを「虫の知らせ」というのだろうか。
この標本にはやはり彼の神通力が込められいたのではないか……彼の死でその神通力が効力を失い標本がくずれたのではないか……私には、そんなふうに思えてならなかった。


*怪虫シャッチー(シャチホコガ幼虫)イモコレ!2に!

https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-353.html

■ぷちホラーな幻想(妄想)を記した記事
・キリギリス幻想

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・フォト怪奇譚『樹に宿る眼』
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-320.html

・巻貝が描く《幻の地図》
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-564.html

●昆虫など~メニュー~
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-902.html

クロオビフユナミシャク♀@桜ほか

苔むしたサクラを登るクロオビフユナミシャク♀



サクラッチ(桜ウォッチ)をしていたところ、苔むしたサクラの幹をのぼっていく小さな蛾が目にとまった。動いていなければ見逃していたかもしれない。よく見るとクロオビフユナミシャクのメス──サクラで出会うとは、ちょっと意外だった。これまでクロオビフユナミシャク♀を見るのは、もっぱら擬木や塀・柵などの人工物ばかりで、近くにはツツジの植込みやコナラ・クヌギなどがあったので、そうした木で発生するのだろうと思っていたからだ(サクラはホストとして認識していなかった)。この場所はサクラばかりで、コナラ・クヌギなどはない。しかし、道路を隔ててツツジの植込みがあったので、あるいはそこからやってきたのかもしれない。
──と思っていたら……↓。


サクラの幹に生えた苔に腹端をさしこんで産卵行動のような動きを始めた。サクラで産卵するということは、サクラもホストの1つなのだろうか? 観察するには位置が高く、実際に産卵しているかどうかは確認できなかった。
撮影しにくいこともあって、移動してもらうことに──。


指の上を歩くクロオビフユナミシャク♀↑。フユシャクのメスは、じっと止まっている時と歩いている時では姿勢が変わって印象も違う。小さな頭を起こして触角を前に向け、歩き始めるとけっこう活発に動きまわる。クロオビフユナミシャク♀はフユシャク♀としては(退化している割には)大きめの翅を持っているが、この翅をやや持上げるようにして歩く。
同じ木の低い(撮影しやすい)位置にうつしたクロオビフユナミシャク♀↓。


サクラの幹を登り始めたクロオビフユナミシャク♀↑。
少し登ったところでとまったが、翅は持ち上げたまま……↓。


しばらく動きが無かったので、近くのサクラを見て回る。ちなみにこのクロオビフユナミシャク♀がとまっていた木にはイチモジフユナミシャク♀も2匹いたが、いずれも産卵後の腹が縮んだ個体だった(少し高い位置にいたので撮らなかった)。
少しして戻ってみると、クロオビフユナミシャク♀は翅をふせて通常の(?)静止姿勢になっていた↓。




斜めに差し込む陽射しで鱗粉がテカり、じゃっかん模様がわかりにくいので、直射日光をさえぎって撮ってみた同個体↓。


産卵後の個体が目立つイチモジフユナミシャク♀@サクラ



クロオビフユナミシャク♀がいたのとは別の苔むしたサクラ。今年は正月を過ぎてから見つかるイチモジフユナミシャク♀は産卵後の個体ばかり……。








「旬」の時期は過ぎ、イチモジフユナミシャクの時期もそろそろ終わりか……と思っていたところ、産卵前のぷっくり感のあるイチモジフユナミシャク♀が見つかった↓。


腹は卵が詰まっていて大きいく、翅との比率が産卵後の個体と比べるとだいぶ変わる。これはやけに白い個体だった。


フユシャク亜科のフユシャク♀と卵塊



コンクリート製の鉄道柵にとまっていたのはフユシャク亜科のフユシャク♀↑(メスだけでは僕には種類がよくわからない)。腹端には化粧ブラシのような毛束があるが、この毛は産卵の際に産みつけた卵をおおうのに使われる。その卵塊が↓。


この種類は卵をかためて産み、毛のコーティングをしっかり行なうタイプ。
※産卵のプロセス→【フユシャクの産卵とその後
種類によっては卵を列状に産みつけ、毛のコーティングが雑なものもいる。

昆虫の発生ムラ


昆虫は収束してムラ作りに励む!?

フユシャク(冬尺蛾)のひとつ、イチモジフユナミシャク♀は12月下旬頃から1月上旬にかけて桜の古木を探すと見つけやすい──というのは、あくまでも僕のフィールドにおける個人的な経験則。この頃になると、サクラッチ(桜ウォッチ)をして歩くのだが、年が明けると産卵後の個体が増え、新鮮で美しい個体の割合が少なくなっていくので、旬の時期は意外に短い感じがしている。
サクラッチをしていて思うことだが……「いい感じの古木」なのに──環境的にはいてもおかしくない(気がする)ポイントなのに見つからないことも多い。いい感じの桜がたくさんある場所でも、発生密度にはムラがあるように感じられる。イチモジフユナミシャク♀は飛ぶことができないので、基本的には生まれ育った木で世代交代しているだろう。発生密度の差は引き継がれている感じがしないでもない。

虫見を始めた頃は、普通種ならばその生息域で発生条件に合う場所へ行けば見つかるものだと思っていた。植物食の昆虫なら食植物があるところには「いるもの」だというイメージ。しかし、実際には予想よりも「いない」ことの方が多い。発生ポイントをみつけて「こういう環境にいるのか」と、その時は発生条件が把握できたような気になったりするが、同じような環境を探しても、予想に反して見つからなかったりすることも少なくない。

昆虫の発生には密度の高い所と低い所──ムラがあるというのは、しばしば実感することだ。当初は何らかの環境条件の微妙な違いがこうしたムラを作るのだろうと思っていた。しかし虫見をしていると、どうもそれだけではなさそうな……。環境条件にはもちろん大きな影響要素だろうが、それとは別に、昆虫は積極的に(?)発生ムラをつくる傾向があるのではないか──そのポイントに「いる・いない」は「たまたま」「偶然」によるところも少なからずあるのではないかと考えるようになった。

仮に、その昆虫にとって育成条件が全く均一なフィールドがあったとする──これは現実的ではないが、あくまでも仮想シミュレーション。自然科学というより数学的な考え方として。育成条件が全く均一なフィールドに、例えばフユシャクの♀がほぼ均一に分散していたとする。そこに♂を均一に放した場合──育成条件均一ならば、均一な密度で発生し続けるかと言えば、きっとそうはならないだろう。
条件が均一であっても、たまたま偶然、わずかに♀の密度が多いエリアができたり、わずかに♂が多く集まるエリアができることはあるだろう。6個のサイコロをふれば、いつも6つの目がそれぞれ均等に出る──というわけではない。その時々によって出る「目」に偏りがあるように、均等な条件でも確率のゆらぎで密度に偏り──ムラが発生するのは不自然なことではない。

フユシャクなどの蛾では、♀が放つ性誘引フェロモンをたよりに♂は♀を見つけて交尾に至るわけだが、♀の密度が高まったエリアはフェロモンの密度(濃度)も高まるはずだから、♂も集まりがちになるだろう。カップルは成立しやすくなって、そのぶん繁殖率も高まることになるはずだ。
クロスジフユエダシャク♂の♀探しを観察していると実感できるが(*)、♂は少しでも性誘引フェロモン濃度の高い方向を選んで進むことで♀に到達する。

他店よりわずかに安い商品を求めて買い物客が殺到するように──という例えは適切ではないかもしれないが……昆虫がフェロモン濃度のより高いところを目指すのであれば、ゆらぎによって発生したわずかに密度の高まりをきっかけに、そこへ集中することはあるだろう。集中することでさらに密度が高まり、吸引力もより強まる──こうした循環が生まれてムラが拡大することで(密の部分を作ることで)繁殖効率が高められるといったことはあるのではないかと想像する。

フユシャクの場合、♀の密度が高まったところに♂が集まるということも考えられるが、逆に♂密度が高いところに「たまたま」いた♀が繁殖機会を得るのに有利だったことから、こうしたところで発生率が高まることもあるだろう。フユシャク♀は飛ぶことができないが、♂には飛翔能力があって、他の昆虫と同じように街灯などの光に集まってきたりする。そうしてできた♂が集まりやすいポイントで発生率が高まるといったこともあるのではないか──そう考えてみると、該当するポイントがいくつか思い当たったりする。

こうして「より密度の高いところに集まること」──すなわち「発生ムラを作る」ことが種としての繁殖率を高めることにもなるので、環境条件は同じに見えるのに「いる・いない」という密度の差が生まれがちなのではないか。仮に「育成条件が全く均一」であったとしても、発生密度のムラはできるのではないかと考えるようになった。

ただ、「繁殖率」に関しては「密度が高いほど(♂と♀が出会う機会が増えるので繁殖に)有利」というメリットがあっても、過密になれば、餌資源をめぐる同種間の競合が生まれたり、天敵や病原体にとっても絶好のポイントとなって被捕食率・被寄生率・感染率を高めるなどのリスクも拡大するというデメリットも出てくるだろう。
「疎」の部分では「繁殖率」のデメリットはあるが、「密」部分のデメリットを低く抑えられるという点ではメリットがあると考えられる。
こうしたメリットやデメリットの兼ね合いで、発生ムラの加減はそのフィールドに最適なバランスで安定しているのではないだろうか。

話は少し変わるが……植物食の昆虫では、食植物を限定する種類も多い。「栄養的には他の植物でも問題ないのでは? 多食性の方が生存の可能性が広がるだろうに……」などと思ったりしたこともあったが、食植物を限定することは収束条件を作ることで、発生密度を高める(すなわち繁殖効率を高める)──といったメリットもあるのではないかと考えるようになった。昆虫の中には多食性のものもいるし、かなり限定食の種類もいる。それぞれにメリット・デメリットがあって、その昆虫にふさわしい戦略が選択されてきたのだろう。

冒頭のイチモジフユナミシャクの(成虫)発生期間が短いのも、時間軸上の密度の高い部分を作るという意味があるのかもしれない。同じ数の成虫が発生するのであれば、タイミングを合わせて一時期に集中した方が婚姻相手を見つけやすいはずだ。
「もう少し長いあいだ見ることができればいいのに……」と毎冬思うのだが、昆虫には、それなりの事情があるのだろう。
虫見をしていると、そんなコトを漠然と考えたりするのであった……。


*意外な翅の役割り!?クロスジフユエダシャク

https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-609.html

●昆虫など~メニュー~
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-902.html

謎のなんちゃって東屋!?(正体追記)


謎のなんちゃって東屋(あずまや)!?

《先日、天気予報で傘マークが無い事を確認して出かけたのに雨が降り出した。》──以前、そんなうらめしい書き出しで記事を綴ったことがあった(*)。その記事では次のように続く──《予報では晴れマークもあったし、雨は一時的なものですぐ上がるだろう……上がらねばならぬ……と思っていたのに、やむどころか雨脚は強くなるばかり。やがて土砂降りとなり雷まで鳴りだす始末!(中略)天気予報は、はずし過ぎ! 天文では何十年も先の月食まで正確に予想できるというのに気象の方は1時間先の雨すら予報できないのが情けない。》

外出先での予想外の雨はいまいましい。街なかであれば店や建物の軒下に入るなどして雨宿りができるが、緑地ではそれもままならない。そんなときに、がぜんとありがたみを発揮するのが「東屋」(あずまや=眺望を妨げないように壁を排し、柱と屋根で作られたシンプルな小屋)の存在だ。
突然の雨にあわてふためき、「駅まで走ろうか……いや、方向は逆だけど東屋が近い」──と、普段は気にもとめずにスルーしていた「東屋(あずまや)」の存在を思い出して、勇気と希望を奮い起こし、雨宿りに向かう──なんてこともあるだろう。
しかし──息せき切ってたどりついた「東屋」が、これ(冒頭の画像)であったとしたら……。
この建物は多摩湖(村山貯水池)を一望できる都立狭山公園の一角に比較的最近作られたモノだが……どうしたワケか、屋根は骨組みだけのフェイク(?)でついていない。
雨宿りしようと駆けつけた人が、はじめてそのことに気づいたら……「バンザーイ……なしよ」という欽ちゃんの声(古…)が脳内にむなしく響くのではあるまいか。

ふつう、東屋には屋根がありそうなものだ。いや、あってしかるべきものだろう。屋根がいらないというのなら、柱だって必要ないはずだ。役立たずの屋根もどきを支える柱をわざわざ設置する意味が、いったいどこにあるのだろうか?
しかし実際には、この、なんちゃって東屋(?)には屋根がない……。
せっかく骨組みまで作ったのに手抜かりで屋根の仕上げを忘れたまま放置された東屋──「耳無し芳一」ならぬ「屋根無し放置」!?
いったいどういうことなのか?

工事途中というわけではなさそうので、コレが完成型なのだろう。都立公園の施設なのだから、ちゃんとした業者が設計し施工しているはずだ。大福を作ってアンコを入れ忘れた──みたいな手抜かりはないだろう。
コレで完成型ということは……コレはホントは東屋ではなく、何か別の施設なのだろうか?
ひょっとしてパーゴラ(藤棚のような、つる棚)?──とも考えてみたが、肝心の蔓植物やそれを生けるスペースが見当たらない。
予算が通って設置された施設なのだから、きっとちゃんと意味があるのだろろうが……いずれにしても、これを(雨宿りができる)東屋と認識している来園者は多いのではないかと思う。突然の雨に見舞われ、「バンザーイ……なしよ」的な経験をした人もいるのではあるまいか?
「屋根ぐらいつけたらいいのに……」と思ってしまうのは僕だけだろうか?

緑地歩きで昆虫を見ていると不思議に感じることは多いが、ときには人工物で不思議を感じる事もある……ということで。
ちょっとしたプチ・ミステリー!?



【追記】正体は「防災パーゴラ」

※mixiの方でコメントをいただき、謎の東屋(?)の正体が判明──「防災パーゴラ」なるものでした。
ふだんは休憩施設として利用し、災害時には屋根や壁にあたるホロをかぶせてテントのような形にして、救護室や倉庫などに使うようです。

平常時に壁(目隠し)にあたる部分を外して、眺望を確保できる「休憩施設」として利用するというのは理解できますが……ただ、屋根くらいつけたままにしておけば雨宿りもできる「東屋」として使えるのに(その方が便利なのに)……と、そんな気がしないでもありません。

あるいは……屋根が常設されていると、ここで寝泊まりする者が居着いてしまいがち!?──と、そんな危惧でもあって、あえて「屋根無し放置」にしているのか……。
いずれにしても、(東屋と思い込んでの「バンザーイ……なしよ」の悲劇を減らすためにも)この施設が「防災パーゴラ」だという周知はもっとして良いのではないかと思います。


*うちゅうのモグラ捕獲!?!

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*雨でも傘は濡らさない
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■エッセイ・雑記 ~メニュー~
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正月のフユシャク2017

正月のイチモジフユナミシャク@桜など

暮れから年明けにかけて見られるイチモジフユナミシャク。(成虫の姿は)この時期にしか見ることができないので、とりあえず「見られる時に見ておかないと損──」というビンボー根性で、つい発見率の高い桜の古木をチェックしに出かけてしまう(「桜ウォッチ」→略して「桜ッチ」)。


元日、桜の古木の日陰側にとまっていた新鮮なイチモジフユナミシャク♀。淡いブルーの小さな翅が美しい、ぷっくりした個体。


イチモジフユナミシャクを含むフユシャク(冬尺蛾)のメスは翅が退化して飛ぶことができない。若齢幼虫時代にクモのように糸を使って風に乗って移動すること(バルーニング)があるらしいが、他の蛾のように(産卵場所を選んで)自由に飛び回れるわけではないのだから、メスは生まれ育った木(食樹)で産卵することが大半なのではないかと想像する。新しい木へ移動し新天地を開拓するのがままならず、代々同じ木で繁殖しているのだとすると、やはり歴史の長い古木に依存しがちな昆虫なのかも知れない。
別の桜の古木で産卵行動をとっていたイチモジフユナミシャク♀↓。


実際に産卵しているのは確認できなかったが、腹端から産卵管をのばし、樹皮の隙間に産卵場所を模索するような動きをしていた。
年明けのイチモジフユナミシャク♀は産卵後の(腹が縮んだ)個体の割合が多くなる。
この♀も腹がいくらか短く(産卵途上?)、その対比で翅が長く見える↓。


淡いブルーの前翅の前縁の下から白っぽい後翅がのぞいている。イチモジフユナミシャク♀ではよく見られる姿勢だが、前翅より後翅が前にせりだしているのが、ちょっとおもしろい。
高架下の壁にイチモジフユナミシャク♂がとまっていたので、まったく容姿が異なる♀との比較用に撮影↓。


同じ種類なのにメスとオスでは、こんなにも違う──性的二型が顕著なところにも驚きとユニークさを感じる。
元日のプチ桜ッチでは、サクラの古木でイチモジフユナミシャク♀11匹を確認できたが、ぷっくり感のある新鮮な個体は2匹のみたった。

1月2日は、イチモジフユナミシャク♀9匹を確認したが、そのうち、ぷっくり個体は2匹だった。そのうちの1匹↓。


イチモジフユナミシャク♀は苔むした桜の古木の北側(日陰側)にいることが多いが、この♀は日向側にとまっていた。日光を受けて翅や体を覆う鱗粉がテカり、ちょっとキレイ。


背景の樹皮には、イチモジフユナミシャク♀と似たような色合いの地衣類が。
サクラ並木にまぎれた(?)ケヤキにイチモジフユナミシャク♂が2匹とまっていた。


このケヤキ↑の向かいには街灯があったので、夜間この光に引かれてやってきたのかもしれない。

1月3日は、イチモジフユナミシャク♀7匹を確認したが、すべて腹がちぢんだ産卵後の個体だった。


産卵後しばらく同じ場所にとどまっている個体もあり、そうした個体が累積していくことで、産卵後の個体の割合が多くなってきたと感じるところもある。新鮮な個体の発生率自体はどのように変化していくのか……よくわからないが、まだもう少し新鮮な個体に出会うチャンスは残されているだろうと考えている。
フユシャクでは、イチモジフユナミシャク♀7匹の他にチャバネフユエダシャク♀を1匹、ケヤキの幹で見つけた。


イチモジフユナミシャク♀には小さいながら魅力的な翅があるが、チャバネフユエダシャク♀の翅はすっかり退化して消失している。



年季の入った桜の古木が寿命のためか(?)ここ何年かでだいぶ伐採されたり大胆に枝打ちされたりしている。おそらくその影響でフユシャクも減ってきた感じがする。
虫見をしていると、虫たちにとって並木は、(ヒトに例えるなら)群島のようなものではないか──と感じることがある。古木ひとつひとつが島で、鳥のように飛べるものは島と島を行き来できるが、飛べないものは代々同じ島に暮らしている。1つ1つの木に歴史とともにプチ生態系が構築されている。群島がある日とつぜん海に沈んだところで、ヒトが絶滅することはないが、代々そこで暮らしていたヒトたちは姿を消すことになる……。
ある日、なじみの並木の古木が伐採されていたのを見た時、「虫たちの群島が消えた」と感じた。それで虫が絶滅することはないだろうが、観察の舞台が消失してしまったことに色々と感じることも多い……。


謹賀新年2017酉年



チキン賀新年~年賀状にかえて~

元旦恒例の《年賀状にかえての年賀記事》。かつては毎年出していた年賀状を今では廃止し、かわりにこうしてブログで新年の挨拶を済ませたことにさせていただいている。
さて、今年の干支は「酉(とり→鶏)」──ということで「謹賀新年」にかけて「チキン賀新年」な図案にしてみたしだい。年賀状を廃止した大きな理由の1つとして、こうしてパソコンで図案を作成でき、インターネットで年賀状より早く発信できるようになったことがあげられる。
ところで、干支の酉(とり)をネタに年賀図案を考えているとき、ふと思ったのだが……2017年はコンピュータ・ネットワークの年──サイバー・イヤーなのではあるまいか?




「酉」をよくみると「西(サイ)」と「ー(横棒=バー)」で構成されている。
「酉」は他にも色々なパーツに分解できる。「一年の計は元旦にあり」などと言うが、酉年は計画を立て何かを始めるのにふさわしい年なのかもしれない……。



「酉」の頭の「兀」部分は円周率を表す「π(パイ)」に見えたりもするのだが、今回「兀」という字が存在することを知った。「コツ・ゴツ・たか(い)」と読むらしいが……、



「兀(ゴツ=めっちゃ・はなはだ)・E(イー)・I(アイ)」と読めなくもない!?
──などと、「酉」をお題に、脳内はひとり大喜利状態!?
最後に年明けの句をひとつ──、




年明け早々、おそまつさまでした。

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