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2016年12月の記事 (1/1)

年末のフユシャク♀@桜

とりあえず2016年末のサクラッチ(桜ウォッチ)

サクラの古木でよく見つかるイチモジフユナミシャク♀をターゲットに、とりあえず年末のサクラッチ(桜ウォッチ)。フユシャク(冬尺蛾)は旬の時期を逃すと次の冬まで見ることができないので、やはりこの時期はサクラをチェックしてしまう。


桜並木の古木の北側(日陰側)にとまっていたイチモジフユナミシャク♀↑。産卵前の新鮮な個体のようだ。この個体をクローズアップ↓。


退化して飛ぶことができない小さな翅に不思議な魅力を感じる。
やはり桜の幹の北側(日陰側)にとまっていたイチモジフユナミシャク♀↓。こちらは産卵して腹が縮んでいる。


産卵後の♀は腹が縮んで背面の模様の間隔が詰まって見える。腹が縮んだことで翅が大きく見える。別の♀↓。


イチモジフユナミシャク♀は苔むした幹の北側で見つかることが多い。乾燥しがちな日向より、湿度が保たれる日陰側が産卵に適しているなどの理由があるのかもしれない?


別の産卵後♀↓。


翅の青みが薄めで白っぽく見える個体も多い。


イチモジフユナミシャク♀は日陰側にいることが多いが、日向にいないわけではない。陽の当たる場所にいた♀↓。


とまっている大枝には陽があたっていたが、表面には苔が生えている。陽の当たる場所にいた別個体↓。


周囲に散らばって見えるあわい緑~青をしたものは地衣類。イチモジフユナミシャク♀の翅や胸の背面の色合いによく似ている。この地衣類がイチモジフユナミシャク♀に見えてしまうことも、しばしば……。


サクラの幹上の地衣類とイチモジフユナミシャク♀はまぎらわしい……ということは、イチモジフユナミシャク♀のあわいブルーには隠蔽効果があるのかもしれない。


産卵後の個体が増えてきた中、産卵前の「ぷっくり感」があるイチモジフユナミシャク♀↑。この個体はブルーがきれいに出ていたが、翅が若干のびきっていない感じ。同個体↓。


やはり産卵前の「ぷっくり感」がある♀がイイ感じ。
産卵前の別個体↓。サクラの幹ではないが、サクラの近くのフェンスにとまっていた。


「ぷっくり感」がある腹の側面にはリング模様があって、これも魅力。



イチモジフユナミシャク♀ではないが、コンクリート製の鉄道柵にとまっていたフユシャク亜科のフユシャク♀↓。


フユシャク亜科のフユシャク♀は翅が消失していて種類を特定するのが(僕には)難しい。
擬木の上にいたフユシャク亜科のフユシャク♀↓。



※昨シーズンのイチモジフユナミシャク♀→【あわいブルーの冬尺蛾

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桜でイチモジフユナミシャク

あわいブルーの小さな翅をもつイチモジフユナミシャク♀は羽化してあまり時間が経っていない、ぷっくりした新鮮な個体が美しい。強風にさらされたり時間が経過したものは体の表面を覆っている鱗粉が浮き上がったり剥がれたりして、ちょっとみすぼらしくなってしまう。産卵後には腹がしなびて印象がだいぶか変わってしまう。フユシャクを見始めた頃には産後の個体は別の種類のフユシャク♀だと思っていた。狭山丘陵周辺では12月後半に現れ始め、年を越すと産卵後の個体の割合がぐっと増える……という印象を持っている。
ということで、新鮮で美しいイチモジフユナミシャク♀を見るなら発生初期が狙い目かもしれない。前の記事で記した通り、今冬もイチモジフユナミシャクの発生を確認できたので、♀探しをしてみた。
イチモジフユナミシャク♀を探すとき、僕は桜の古木を見て歩く。ギボッチ(擬木ウォッチ)ならぬサクラッチ(桜ウォッチ)。苔むした幹の日陰側にとまっていることが多い。
何年か前から桜の古木が伐採されたり大胆に枝打ちされたりしてフユシャクは減ってきた印象もあるのだが……とりあえず、見つけたものから……。

サクラッチ(桜ウォッチ)でイチモジフユナミシャク♀探し



まずは、サクラわきの支柱でみつけたイチモジフユナミシャク♀から。この柵は前の記事で♀を見つけた場所。すぐそば(画面左)にサクラの木がある。幼虫時代はこのサクラで育ったのだろう。


この♀は、あわいブルーの前翅に走る黒い帯模様が途中で途切れていた(黒帯の明瞭さは個体によって差がある)。
サクラの幹に止まっていたイチモジフユナミシャク♀↓。


右の前翅(あわいブルー)の縁から後翅(白)がのぞいている↑。この個体は体全体に黒い鱗粉がまじっていた。
別のサクラの日陰側にとまっていた、産卵後と思われるイチモジフユナミシャク♀↓。


産卵後は腹が縮み、その比較で翅が大きく見える。この個体も前翅の黒帯が途切れている。
やはり苔むしたサクラの日陰側にいた産卵後の個体↓。


腹はすっかり縮んで、産卵前の「ぷっくり感」はない↑。
この♀↓は背中(腹背面)が凹んで見えたが……産卵途上!?


産卵前の「ぷっくり感」満載の個体がいないかと探し続けると……いた↓。


この♀はお腹がパンパンに張っていて、《シャツの裾とズボンの間から豊満な腹がはみ出した》かのような「はみ腹」状態!?


産卵後の♀とはだいぶイメージが違う、ぷっくり感増量!?個体。


別のサクラに、やはりぷっくり感増量──「はみ腹」状態の♀がいた↓。


この♀は前翅が持ち上がり、じゃっかんカールしている──アメリカンカール(猫)の耳を連想した。


さらに別のサクラ古木の幹にとまっていたイチモジフユナミシャク♀↓。


これが標準的な(?)ぷっくり感。この個体は前翅の黒帯が明瞭だった。


イチモジフユナミシャク♀は個体や状態によって印象がずいぶん違う。ぷっくり感があって模様がクッキリ鮮明でブルーが強い個体は一段と美しいのだが……美麗個体はなかなか見つからない……。

※昨シーズンのイチモジフユナミシャク♀→【あわいブルーの冬尺蛾

空色の羽の妖精!?

空色の羽の妖精!?イチモジフユナミシャク♀



12月も下旬になってイチモジフユナミシャクを確認。桜並木沿いのフェンス支柱にとまっていた♀。フユシャク(冬尺蛾)というと地味な色合いのものが多いが、イチモジフユナミシャク♀は淡く青みがかった小さな翅が美しい(個体によって白っぽいものから緑がかったもの、青みがもっと強いものもいる)。


《流氷の天使》《氷の妖精》などと呼ばれるクリオネ(ハダカカメガイ)に似ていると感じるのは僕だけだろうか? 空色の羽の妖精っぽく見えなくもない!? あわいブルーのプチ羽と腹の側面に並ぶリング模様が魅力的。


イチモジフユナミシャク♀がよくみつかるサクラの古木には、よく緑~青みがかった地衣類がついている。イチモジフユナミシャク♀のあわいブルーはこの地衣類に紛れる擬態色なのではないかという気もする。フユシャク探しをしていると、この地衣類が(逆に?)イチモジフユナミシャク♀に見えてしまうこともあるからだ。


「イチモジフユナミシャク♀!?」と思いきや、なんちゃってな地衣類だった……なんてコトがあるということは、それだけ「まぎらわしい」わけで、つまり隠蔽効果もあるのではないかと想像するしだい。
この地衣類に溶け込む(?)淡いブルーは♀限定で♂はベージュ系をした蛾。♀とは色合いもスタイルも全く違うイチモジフユナミシャク♂↓。


コンクリート製の鉄道柵にとまっていたイチモジフユナミシャク♂。すぐ近くには、やはりサクラの古木がある。サクラはイチモジフユナミシャクの幼虫時代の食植物の1つ。


♂は飛ぶための翅を備え、いたって普通の蛾に見える。なのにメスは翅が退化して飛ぶことができない──というのがフユシャクの特徴の1つなわけだが……左半身には♂の翅を持ち、右半身の翅が小さなイチモジフユナミシャクを見つけた。一瞬、以前遭遇した半♂半♀のニホントビナナフシの雌雄モザイクが思い浮かんだ。


フユシャクの雌雄モザイク個体か!?──と驚いたが、よく見ると右翅が伸びきらなかった羽化不全のイチモジフユナミシャク♂のようだった。

フユシャク亜科のフユシャクも出てきた



ギボッチ(擬木ウオッチ)をしているとき、ちょうど支柱をのぼってきたフユシャク♀。歩行している時は、頭を起こし、触角を広げ・前へ向けたりしているので、ちょっと印象が変わる。見つけた時は歩行中だったが、カメラを向けると、止まって触角をたたみ始めた↑。そして静止モード(?)に入ったフユシャク♀↓。


フユシャクはエダシャク亜科・ナミシャク亜科・フユシャク亜科にまたがっているが、フユシャク亜科の♀はどれもよく似ているので、僕には見分けがつかない。ウスバフユシャク♀ではないかという気もするが……自信は無い。
フユシャク♀なので退化した翅が特徴だが、腹端の化粧ブラシのような毛束も目をひく。この毛で産卵した卵をコーティングするのだが、その形状は種類によって違いがある(※【フユシャクの産卵とその後】【フユシャクの産卵:列状卵塊ほか】)。


やはり♀とはずいぶん違うウスバフユシャク♂↓。


ホルスタインちっくなチャバネフユエダシャク♀



この冬、クロスジフユエダシャクはピークを迎える前に姿を消してしまった(発生数が少なかった)印象があるが……チャバネフユエダシャクは継続して見かける。


塀に微妙な距離をおいて止まっていたチャバネフユエダシャクの♂と♀↓。


クロオビフユナミシャク♀



このクロオビフユナミシャク♀は【フユシャク3種~12月中旬の昆虫】で撮ったのと同じ個体のようだ。撮影した数日後、同じ擬木の上にいた。支柱の上での位置や向きは変わっていて、陽の当る角度も違っていたので改めて撮ってみた。


数日経っているわりに鱗粉はキレイに整っていて、テカっていた。フユシャクの♀としては大きな翅だが、(フユシャク♀としては)広めでテカる翅は夜には月明かりを反射して♂からの発見率(繁殖達成率)を高める効果でもあるのだろうか?……ふとそんな可能性も思い浮かんだ。
フユシャクの種類によって違う♀の翅の大きさ(退化の度合い)。これには何か意味(役割り)があるのか……あるいは、そんなものは無いからバラツキが放置されているだけなのか……フユシャク♀の小さな翅には、何かと関心をひきつける魅力を感じる。

あわいブルーの冬尺蛾 ※昨シーズンのイチモジフユナミシャク

チャバネフユエダシャクのペア

別種のようなチャバネフユエダシャクのペア



チャバネフユエダシャクのメスが擬木にとまっていた。ホルスタインちっくなスタイルはユニークきわまりない。


翅はすっかり退化し消失している──これで蛾の成虫だというのだから驚いてしまう。ちなみに、チャバネフユエダシャクのオスは、こんな姿↓。


サクラの幹の低い位置にとまっていたオス↑。チャバネフユエダシャク♂は地味な普通の蛾。翅もあるし、もちろん飛ぶこともできる。翅の有無が大きな違いだが、翅をのぞいた体幹部分も──♀にはホルスタインやダルメシアンを思わせる斑もようがあって、♂とはずいぶん違っている。
ユニークきわまりない♀と一見普通の蛾である♂──同じ種類だとはにわかに信じがたいルックスだ。
しかしこれが同じ種類であるということが一見して判るのがペア・ショットだ。と、いうことで──、


コンクリートの塀の日陰側にとまっていたチャバネフユエダシャクのペア。本来は夜行性のはずだが、ときどき、こうして日中でもペアになっていることがある。




似ても似つかない♀と♂だが、こうしたシーンを見ると、同じ種類だということが納得できる。

前の記事でも記したが、チャバネフユエダシャクは、冬に出現する蛾・フユシャクの1つ。本来なら昆虫の活動に不向きな冬に成虫が出現し繁殖活動するようになったのは、天敵が少ない時期だからだろう。とはいえ、気温が低い環境では外温性(変温動物)の蛾が飛翔するのは大変なはずだ。卵を抱えた身重の♀が飛ぶのは負担が大きいから、飛ぶのは身軽な♂にまかせ、♀は飛翔能力を捨てて、そのぶん卵を増やすことに専念したのではないかと想像する。天敵が少ない冬なら飛んで逃げる必要性も低いはずだ。
ただ、天敵が少ないといっても全くいないということはない。天敵が全くいなければ気温の高い昼に活動する種類がもっといていいはずだ。フユシャクの多くが夜行性だということは、鳥などの天敵がいるからではないか。目立つ繁殖活動は鳥が活動していない夜に行ない、昼はじっとしている方が生存率が高いのだろう。昼間繁殖活動をするクロスジフユエダシャクなどは♀が落ち葉などの下に隠れていることが多く、♂も葉の下にもぐって交尾する(*)──これも対天敵(鳥など)対策仕様なのではないかという気がする。
チャバネフユエダシャク♂の樹皮や枯葉に溶け込めるような翅の色には昼間目立たぬような隠蔽擬態的な効果があるのだろう。♀が♂とは全く違う色と模様をしているのは、それなりの意味があるのではないかと想像したくなる。
翅を持たず体幹部まるだしの状態では天敵(鳥など)に見つかりやすい──白黒の斑模様は鳥糞っぽく見えなくもないし、樹皮にとまっていればボディラインをかく乱する効果があるのかもしれない。天敵(鳥など)に見つかりやすい個体は食われ、少しでも見つかりにくい個体が生き残ってその特徴を受け継ぎ濃縮していってできたのが、ホルスタインちっくな模様なのではないか……などと個人的には想像している。

ところで、このユニークな♀の模様(の一部)が、ゆるキャラ風の「殿様」の顔に見えてしかたないのは、僕だけであろうか?





フユシャク3種~12月中旬の昆虫

翅が消失したチャバネフユエダシャク♀

まずはこのユニークな(異様な?)姿をご覧あれ。多くの昆虫が姿を消す冬になると出現する。初めてこの虫を目にした時は何の仲間なのかも想像ができず《謎の生命体》だった。




初めて見た時は翅がないから何かの幼虫なのだろうかと疑った。節のある体はイモムシっぽく見えなくもないが……イモムシにしてはずいぶん立派な脚がはえている。その脚は6本あるから、きっと昆虫なのだろう……そう考えて翅がない昆虫を思い浮かべたりもしたが、例えばカマドウマなどともずいぶん違う……。
この正体不明のホルスタインちっくな虫の画像を、今はなきニフティの昆虫フォーラムに投稿し、【フユシャク】の仲間だと教えていただいたのは10年余り前になるだろうか。これが蛾の成虫♀だと知って大いに驚いた。
ちなみに、幼虫時代のチャバネフユエダシャクや成虫♂の姿は、ごく普通の蛾↓。


【フユシャク(冬尺蛾)】は年1回、冬に(成虫が)発生するシャクガ科の蛾で、メスは翅が退化して飛べないという性的二型(オスとメスの特徴が異なる)が顕著なグループの総称(冬に見られる蛾の全てがフユシャクというわけではない)。エダシャク亜科・ナミシャク亜科・フユシャク亜科の3つの亜科にまたがって、国内に30種類以上いるらしい。メスの翅の退化の度合いは種類によってかなり違いがあって、チャバネフユエダシャクではきれいに消失している。
こんなチャバネフユエダシャク♀を初めて見た時はその容姿にも驚いたが、昆虫なのに冬に活動すること・蛾なのに♀は翅を退化させ飛べないということを知って、さらに意外に感じ興味を覚えた。
【フユシャク】の存在を知ってからは、冬になるとこのユニークな昆虫に注目してしまう……。

小さな翅をもつクロスジフユエダシャク♀





このクロスジフユエダシャクもフユシャクのひとつ。チャバネフユエダシャクと同じエダシャク亜科だが、クロスジフユエダシャクの♀には小さいながら翅が残っている。この翅ではとても飛ぶことができないだろうことは一見して想像がつく──フユシャク♀の特徴である「退化した翅」を実感できる小さな翅は《フユシャクらしさ》の象徴のようにも感じる。
ガードパイプの支柱にとまっていた別個体♀↓。


クロスジフユエダシャク♀の大きさは、こんな感じ↓。


夜行性が多いフユシャクの中にあって、クロスジフユエダシャクは昼夜性。昼間に繁殖活動を行なうので観察するのによい素材だと個人的には思っている。♂が婚礼ダンス(羽ばたき歩行)によって、隠れた♀の居場所をつきとめるようすは興味深い(*)。
今シーズンは、クロスジフユエダシャクの発生が遅かった印象があるが……これまでの感じでは、発生数自体が少なめだったのではないかという気もしてきている。

冬尺蛾としては大きめの翅をもつクロオビフユナミシャク♀



擬木の上にいたクロオビフユナミシャクのメス↑。支柱上部の縁にとまっていることが多い。同個体を別角度から撮ったもの↓。


フユシャク♀の中では大きめの翅をもつ種類。


フユシャク♀としては大きめの翅に陽があたると鱗粉がキラキラと輝いて見える。


翅がテカッていると印象が変わるので、陽をさえぎって撮影↓。


クロオビフユナミシャク♀の大きさを1円玉と比較↓。


ちなみに飛翔能力のあるクロオビフユナミシャク♂の姿は、ふつうの蛾↓。



■今シーズンの初フユシャク
プレフユシャク~初フユシャク ※チャバネフユエダシャク
意外な翅の役割り!?クロスジフユエダシャク ※クロスジフユエダシャク
冬尺蛾と極小カミキリ他 ※クロオビフユナミシャク

12月中旬の擬木でみられた昆虫から



本来の活動時期には植物について汁を吸っているのだろうが……ムラサキナガカメムシは冬になると擬木上で見かけるようになる小さなカメムシ。翅の膜質部(この種類では透けている部分)にある「1対の黒い点」が特徴だが、これは左右の翅に1つずつある模様が翅を重ねた時に(一方が)透けることで2つ並んで見えるということのようだ。↑の個体では左の翅(黒点)が上に、↓の個体では右の翅(黒点)が上になっているのがわかる。


体長は4~5mmほど。


擬木のカメムシつながりで、モンキツノカメムシ↓。


紋がハート形のエサキモンキツノカメムシに似ているが、モンキツノカメムシの紋はやや小さめで丸みをおびた逆三角形(ただし個体によってはハート形に見える紋をもつものもいる)。前胸背が緑色(エサキモンキツノカメムシでは茶褐色)なので、エサキモンキツノカメムシより緑っぽく見える。
擬木上の緑色つながりで(?)、ハラビロカマキリ↓。


12月にもカマキリの生き残りを見ることがあるが、年を越した生体はまだ見たことが無い。このハラビロカマキリも新年を迎えることはできないだろう……。
そして、やはり緑色をしたニホントビナナフシ♀↓。


ナナフシの仲間は本来南方系の昆虫らしいが……ニホントビナナフシも意外なことに12月に入ってからも、ちょくちょく目にする昆虫だ。屋久島以南では普通に(?)両性生殖をしているが、九州以北ではおもに単為生殖すると考えられているらしい。だからこのあたり(狭山丘陵)で見られるニホントビナナフシは全て♀──と思っていたのだが、たまに♂が出現することもある。僕は(東京で)ペアを確認したことがあるが、これも12月だった(*)。僕はまだ年越し生体を見たことが無いが、たざびーさんのブログでは年を越したニホントビナナフシが紹介されている。
ニホントビナナフシもフユシャク同様、性的二型が顕著な昆虫で、オスとメスの違いは一見してわかる。体の半分がオスで半分がメスという雌雄モザイク個体を見つけて驚いたこともあったが……ニホントビナナフシも不思議な昆虫だ。


婚礼ダンスでペア成立

婚礼ダンスでペア成立の瞬間:クロスジフユエダシャク

落ち葉の上を低く飛ぶクロスジフユエダシャクの姿があちこちで見られるようになった。「チョウが飛んでいる」なんていう声も聞こえたきたりするが、これは冬にだけ出現する昼行性の蛾。飛んでいるのは全てオスで、メスは翅が退化して飛ぶことができない。落ち葉の下などに隠れているメスを、オスは婚礼ダンス(はばたき歩行)によって見つけだす──というのは先日【意外な翅の役割り!?クロスジフユエダシャク】で記した通り。
このオスの婚礼ダンス(はばたき歩行)に着目すれば、高い確率でメスを見つけ出すことができる──わけなのだが……肝心の婚礼ダンスがいつ始まるかはわからない。観察するのに「婚礼ダンス待ち」をすることも少なからず。
だが今回はラッキーなことに「待ち時間ゼロ」。通りかかったクヌギの根元近くで、2~3匹の♂がタイミングよく婚礼ダンスを始めたので、そのまま観察。
落ち葉の上を低く飛んでいる時とはあきらかに違う動き──羽ばたき回数は増え狭い範囲をせわしなく歩き回っている。1匹が幹の低い位置でこの行動を、他に1~2匹がその下の落ち葉の上を羽ばたき歩き、タッチアンドゴーをくり返していた。婚礼ダンスが始まってしまえばペア成立まではあっという間だ。複数のオスが反応している場合はどれが本命か判断しかねているうちに(ロクな画像が撮れないうちに)正解者(♂)が、さっさと落ち葉の下にもぐりこんでしまうということになりがちだ。
これまで落ち葉の上で婚礼ダンスを舞う♂は何度も見ているが、木の幹で舞っているのは見たことがない──そうした不自然な(?)ことをやっているということは、正解はそこ(メスがいるのは木の幹)なのだろろうと判断し、クヌギの幹で婚礼ダンスを舞うオスに絞って撮り始めた。














最初の画像から交尾が成立したことが確認できるここ↑まで、わずか26秒。


婚礼ダンスを撮っている間は気づかなかったが、メスは樹皮のすきまに隠れていた。♀の放つフェロモン(ニオイ物質)を手がかりにその位置を正確に割り出す♂の婚礼ダンス(羽ばたき歩行)アッパレ!


交尾が成立すると根元の落ち葉で婚礼ダンスを舞っていたライバル♂は関心を失い、離れて行った(これまでの観察と同じ)。交尾が成立すると♀のフェロモン放出はシャットダウンするのだろう。
隠れている♀の姿がこれではよくわからないので、擬木に単独でとまっていたクロスジフユエダシャク♀の画像を↓。


目立つ所にいるのに♂が寄ってこないのは、交尾済みの(フェロモン放出がシャットダウンした)♀なのかもしれない。


冬尺蛾の時期にも健在なウバタマムシ



フユシャクの活動時期にミスマッチな感じもするが……このあたりでは1年中みかけることのあるウバタマムシ




冬尺蛾と極小カミキリ他

今シーズン初のクロオビフユナミシャク♀



先日確認したチャバネフユエダシャククロスジフユエダシャクに続いて今季3種目のフユシャク(冬尺蛾)。初クロオビフユナミシャクはだいたい例年並み。


画像を見ると体の下に小さな昆虫が隠れている……撮っている時には気がつかなかった。
クロオビフユナミシャク♀も翅が退化して飛ぶことはできないが、フユシャクの♀の中では翅は大きめ。


とはいっても、♂と比べると違いは歴然。


先日ペアショットを撮ったクロスジフユエダシャクも♀が単独で擬木にとまっていた↓。クロオビフユナミシャク♀に比べると翅はずっと小さい。


クロスジフユエダシャクは昼行性なので♂は♀を探して飛んでいる。♀は落ち葉の下に隠れていても、たちまち♂に見つけだされる(*)のに、こうした場所に単独でいるのはフェロモンを放出していない→交尾を終えた♀なのだろうか?
やはり擬木に単独でとまっていた、別個体のクロスジフユエダシャク♀↓。


冬のカミキリ!?ヘリグロチビコブカミキリ登場





フユシャク(冬尺蛾)を見かける頃になると現れる《冬の極小カミキリ》──という印象があるヘリグロチビコブカミキリ(あくまでも個人的印象)も、今冬初個体を確認。この昆虫の実際の活動期間はわからないが、僕がギボッチ(擬木ウォッチ)で見るのはもっぱら冬。昨年は初めて11月に1匹確認しているが、それまでは12月~3月までしか見たことがなかった。雪が残る中でも動いていたし、1月2月の寒い時期にも平気で(?)飛翔するので驚かされた。飛ぶことができるのだから繁殖活動だってしていてもおかしくないのではないか……そんな気さえしないでもない。




小さいながら前胸両側にはちゃんと(?)突起があって、カミキリらしさをかもしだしている。

目がデカくてチビで可愛いゴミムシ&人面蜘蛛

同日、やはり擬木の上で見かけた、これも体長4mmほどの甲虫類──メダカチビカワゴミムシ。


↑と同じ個体↓。よく見ると背中の模様が美しいのだが……これも動き回って、なかなか撮らせてくれない……。


メダカチビカワゴミムシはこの日、擬態木で4匹を確認。
昆虫ではないが……見かけると撮らずにはいられない人面系美麗クモ・ビジョオニグモもいた。




これは♀だが、美女というよりオッサン顔に見えてしかたがない。これまで何度か空目系のネタにしてきた。


※【ヒゲづらの王様!?人面蜘蛛】より↑再掲載。


プレフユシャク~初フユシャク ※今季初のチャバネフユエダシャク
意外な翅の役割り!?クロスジフユエダシャク ※今季初のクロスジフユエダシャク・ペア
冬の極小カミキリ登場 ※2014年12月のヘリグロチビコブカミキリ
小さなカミキリと大きなタマムシ ※2015年11月のヘリグロチビコブカミキリ

意外な翅の役割り!?クロスジフユエダシャク

《飛ぶための翅》《隠蔽ツールとしての翅》そして《嗅ぐための翅》

クロスジフユエダシャクはフユシャク(冬尺蛾)の中でも早い時期に出現する昼行性の蛾。狭山丘陵では11月の下旬頃から、落ち葉の積もった林床をオスたちが低く飛ぶ姿が見られるようになる。が、今シーズンは発生が遅れているようで、11月の終わりにオスの姿は確認できたものの、その数はまだ少なく飛んでいる時間(メス探しをしている時間)も短かった。12月2日、複数のオスが飛ぶ姿は確認できたが、その数はまだ少なかった。

クロスジフユエダシャクに限らずフユシャク(冬尺蛾)の仲間は、飛ぶことができるのはオスだけ。メスは翅が退化し飛ぶことができない。なぜ昆虫なのにわざわざ低温の冬に発生し繁殖活動をするのか、なぜメスは飛ぶことをやめたのかについては、これまで色々素人想像を記してきたので(*)今回は割愛。
今シーズンも、ようやくクロスジフユエダシャクが出始めてきたので、♂の♀探し──婚礼ダンス(はばたき歩行)でメスを探しあてる様子を観察するために雑木林をのぞいてみた。


クロスジフユエダシャク♀は飛ぶことができない──ということで、飛ぶことができる♂が♀を探して飛び回ることになる。羽ばたくことで飛翔するクロスジフユエダシャク♂の翅は「プロペラ」に例えることができるだろう。♀のいるところまで移動する《飛ぶための翅》だ。
林床の落ち葉の上を低く飛び続けているのは♂で、♀はたいてい落ち葉の下に隠れている。隠れた♀をどうやって探しあてるのかというと、♀が放つ性誘因物質(性フェロモン)というニオイ物質を手がかりに定位している。

林床を低く飛ぶ♂たちを観察していると、それぞれ別々行動しているようで、飛翔タイムと休憩タイムがあるていど揃っていたりする。おそらく♀の放つフェロモンが風に乗って(?)漂ってくると飛び立ち♀を探し続け、そのニオイが解消されるとやがて探すのをあきらめて降りて翅を休めるのだろう。


クロスジフユエダシャク♂が降りて静止すると、周囲の落ち葉に溶け込んでしまい、見つけ出すのは容易ではない。


《飛ぶための翅》が、この時は《隠蔽擬態(カムフラージュ)ツールとしての翅》となる。


クロスジフユエダシャク♂の翅には、もう1つ重要な役割りがある!? それを説明する前に、♂の触角に注目。


♀の触角は糸状だが、♂の触角はブラシのようになっている。触角の表面積を増やすことで、♀が放つニオイ物質(性フェロモン)を拾いやすくし検知感度を高めているのだろう。この検知感度を高める方法が、《空気に接する触角の表面積を増やす》こと以外にもう1つある。《触角に接する空気の量を増やす》ことだ。
空気の流れを作り、強制的に触角に送り込めば空気中のニオイ物質を拾いやすくなる。クロスジフユエダシャク♂は♀が近くにいると察すると、降りてせわしく羽ばたき続けながら向きを変え歩き回る。着地した状態で羽ばたき続けることで前方の空気を引き込み《触角に接する空気の量を増やす》──羽ばたく翅は空気を引き込む「プロペラ」=ファンの役割りをする。いってみれば《嗅ぐための翅》というわけだ。この《嗅ぐため》に翅を羽ばたかせて歩き回る行動が「婚礼ダンス(はばたき歩行)」ということになる。羽ばたきながら向きを変え、ニオイを強く感じる方向へ進むことで♀に到達するしくみだ。


※【フユシャクの婚礼ダンス】より再掲載↑
僕が【婚礼ダンス】という言葉を知ったのは、平凡社『アニマ』1980年12月号(【カイコガの婚礼ダンス なぜ踊るのか】文・小原嘉明/写真・松香宏隆)だった。家畜化されたカイコガは成虫になっても飛ぶことができない。なのに成虫♂は交尾する前には決まって羽ばたき【婚礼ダンス】をする──羽ばたくことをできなくした♂は♀を見つけることができなくなるという。
何年か前、路上で轢死したクロスジフユエダシャク♀の周辺で複数の♂が【カイコガの婚礼ダンス】と同じ行動をとっているのを目にし、クロスジフユエダシャク♂も【婚礼ダンス】によって♀の位置を定位しているのだろうと考えた。そして婚礼ダンス(はばたき歩行)をする♂に注目し、実際に♀をみつけだし交尾するようすが観察できるようになったしだい。
クロスジフユエダシャク♂の翅には《飛ぶための翅》・《隠蔽ツールとしての翅》そして《嗅ぐための翅》という重要な役割りがあると考えてよいだろう。

クロスジフユエダシャク♂の婚礼ダンス

ということで、今シーズンもクロスジフユエダシャク♂の《婚礼ダンス(はばたき歩行)による♀探し》を観察。
前述の通り、今シーズンはまだ飛翔しているクロスジフユエダシャク♂が少なく待ち時間も長めだったが……コナラの根元で♂2匹がせわしなく羽ばたきながら降りたり舞ったりをくり返し始めた。婚礼ダンスは突然始まる。


あらかじめ♀の居場所がわかっていれば撮るのに都合が良いのだが……♀の位置は♂が見つけてくれるまでわからない。せわしなく動き回る2匹のどちらが♀を見つけるかもこの時点ではわからず、ボケだ画像になってしまったが……。


わかりづらいが青円内の♂↑が先に♀に到達。羽ばたきが止むと交尾の体勢に入っていた。


交尾が成立すると♀のフェロモン放出はシャットダウンしてしまうらしい。婚礼ダンスをしていたもう1匹の♂は近くを横切ってもスルーして飛び去ってしまった。こうした光景は以前も見ている。


フユシャクの特徴として♀は翅が退化して♂とはかけ離れた容姿をしてている。
クロスジフユエダシャク♀はたいてい落ち葉の下に隠れていて、♂は死角にいる♀をきっちり探し当てる。ペアがとまった葉を裏返して撮影↓。




今回まだ♂の密度が低い中で、2匹の♂が同じ♀に反応して婚礼ダンスを始めた。昨シーズンの観察では3匹の♂が同時に反応していた(*)。♀のフェロモン放出のタイミングで近くにいた♂が強く反応するのかもしれない。
別の場所での婚礼ダンス↓。1匹しか写っていないが、この時も2匹の♂が反応していた。


激しく羽ばたきながら落ち葉の下に潜り込んだ♂。まわりこんでのぞき込んでみると……。


すでにペアが成立していた。


カールした落ち葉の下に落ち葉があり、その陰に♀はとまっていた。このままでは見えにくいので、カールした葉と手前の葉をどけて……。


さらに♀がとまっていた葉を裏返すと♂も同じ葉に移動した↓。


やがて♂は翅を伏せて、通常の姿勢をとった↓。


同じ種類なのに、♂と♀の容姿の違いが興味深い。♂は翅が大きいので(天敵の鳥などに)見つかりにくいように枯葉に溶け込む色合いをしており、♀は目立たぬように葉かげに隠れているのかもしれない。


フユシャク種類によっては♀の翅がほとんど消失したものもいるが、クロスジフユエダシャクの♀には小さな翅があって「退化した」感が伝わってくる。見た目的には地味な普通の蛾っぽい♂より、ついユニークな姿の♀にカメラを向けてしまいがちになってしまう……。