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2016年11月の記事 (1/1)

「9.0」で減点は《厳密な指導》ではなく《間違った指導》


「9.0」正しい回答なのに減点!?

小学3年生の算数テストで「3.9+5.1」に「9.0」と回答したところ『.0』を記したことで減点されたという話題を目にした。正解は「9」でなくてはいけないということらしい。

■3.9+5.1=9.0は減点対象……理由を文科省に聞いた 「減点は教員・学校の裁量次第」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161129-00000081-it_nlab-sci

「3.9+5.1=9.0」は数学的に正しい。それなのになぜ減点されるのか理解できない。もちろん「9」でも間違いではないが、設問が小数点以下1桁で記されているのだから桁を揃えた方が美しい(親切?)という気がしないでもない。小数点をもつ数字では小数点以下の数字がたまたま「0」であっても意味を持つこともある。
例えば、ある歩道には基点からの距離が100メートルごとにkmの数字で記されているが、9km地点の表示は「9.0」になっている(冒頭の画像)。「3.9km」地点から「5.1km」進めば「9.0km」地点ということになる。式にすれば「3.9+5.1=9.0」。
昆虫の体長を示す場合も「3.0~5.1mm」など、『.0』がついているのはよく目にする。
純粋に数学的に言えば「9.0」と「9」、「3.0」と「3」は同じ。しかし実際に使われる数字としては、小数点以下の数として『.0』が意味を持つ場合もある。「9.0km付近」と「9km付近」、「3.0mm前後」と「3mm前後」では「付近」や「前後」の許容誤差範囲(?)が大きく違ってくる(精度が1桁違ってくる)。
話題になった設問の「式」では小数点以下1桁の数字をあつかっているのだから、「答」の数字を小数点以下1桁でそろえても、ちっともおかしくはない。

数学的には(算数としては)「『.0』は省略してもかまわない」というのが正しい理解で、「『.0』は省略しなくてはいけない」という指導は間違っている。

リンクした記事によると、この問題について文科省は「基本的には『9』と『9.0』は同じと考えている」「『.0』を付けてはいけないというルールは学習指導要領にはなく、文科省が指示しているものではない」と説明してるそうだ。しかし、記事には次のようにも記されている。


文科省によると、「(9.0の場合)小数点を書き忘れて90になってしまう」「小数点が必要ない計算でも『.0』を書いてしまう」という子どももいるとのこと。そういった子どもに厳密な指導をする目的で「『.0』を書いたら減点します」と教員がアナウンスすることもあるそうです。

小数点を書き忘れたり、不要な『.0』をつけた回答には「×(不正解)」や「減点」の評価をすれば良いだけの話で、そうしたミス(未然の過ち)を防ぐために(?)正しい答を減点して良いという理屈は成り立たない。「『.0』を書いたら減点します」というのは《厳密な指導》ではなく《間違った指導》だ。

この問題では、「減点」という間違った採点にあきれたが、SNSでは「減点」を擁護する意見が意外に多いらしく、これにも驚いた。
文科省によると、『.0』を斜線で消すというルールが「教科書にはそうするように書かれている」そうだ(しかし「『.0』を書いた場合減点するよう指導しているわけではない」とのこと)。「教科書にはそうするように書かれている」ことをもって、それに従わないのだから減点は当然だというような考え方をする人もいるらしい。

教科書の指導や教師が期待する答と違うからといって、明らかに正しい答が減点される──それがまかり通る教育現場に不信感を覚える。学校は学問を学ぶ場ではないのか。「正しいか否か」よりも「教えた通りに答えるか否か」が優先されて良いわけがない。
小学校の算数とはいえ「出題者の意図を汲んだ答のみが正解」と考え、数学的正しさをゆがめてかまわないという認識で教壇に立っている教師がいるとすれば問題だ。
出題者の意図がどうであれ、正しい回答を減点するのは間違っている。

また、同じ答を書いたのに、あるクラスでは減点され他のクラスで減点されないといったことが──ことに算数のテストで起こりうるということも問題だ。数学的な正しさは「教員の裁量」の範疇のものではない。
文科省は「正しい指導」を徹底し、《間違った指導》が行なわれないように、それこそ正しい指導をすべきだろう。


■エッセイ・雑記 ~メニュー~

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プレフユシャク~初フユシャク

プレフユシャクな蛾

秋から冬へと移行するこの時期──蛾の種類の移り変わりで「季節の変化」を感じる。10月下旬~11月初旬あたりからケンモンミドリキリガというキレイな蛾が見られるようになり、「ああ、今年もケンモンミドリキリガが現れる時期になったか」と実感し、続いてニトベエダシャクやチャエダシャクを目にするようになると、間もなくフユシャク(冬尺蛾)が登場する。「今年もフユシャクが見られる時期になったか」と冬の到来を実感するしだい。
フユシャクは、わざわざ(?)冬に出現し、メスは翅が退化して飛ぶことができないというユニークな特徴を持つ蛾の総称。
このフユシャクが出てくる前に出現する蛾──ケンモンミドリキリガやニトベエダシャク・チャエダシャクなどを「プレフユシャク」と僕は勝手に呼んでいる。今年はプレフユシャクの出足も遅めだった気がする。



今シーズン、ケンモンミドリキリガを見かけるようになったのは11月上旬。この日は4~5匹見かけたが、そのうちの別個体↓。


ケンモンミドリキリガから予想以上に間があいて、ニトベエダシャクが現れたのは11月下旬。


前胸背面の模様には個体差があるが、これがなんとなくオランウータン顔に見えてしまう!?


全貌は茶・ベージュ系のセンスの良いデザイン↓。(でも、マントをはおったオランウータンに見えなくもない!?)


ニトベエダシャク──略してニトベエ(と勝手に呼んでいる)がいたのは、こんなところ↓。


やはり同じような所にとまっていた別個体↓。


ニトベエことニトベエダシャクのすぐ近くにいたチャエダシャク↓。


こうして、プレフユシャクたちを見かけるようになったということは……いよいよフユシャクの出現を予感させる。

今季初のフユシャクはチャバネフユエダシャク



と、いうことで、今シーズン初のフユシャクはチャバネフユエダシャクのオスだった。
オスだけ見ると、その姿はいたって普通の蛾……どこといって変わったところは無いのだがメスの姿がふるっている。というわけで、同じ日に見つけたチャバネフユエダシャクのメス↓。


これでもちゃんとした蛾の成虫。メスは翅が退化してオスとかけ離れた姿をしているのがユニークなところ。


未明まで降っていた雨の影響か、体に泥水が乾いたような汚れが付着している。
ちなみに昨シーズンの初フユシャク確認は2015年11月16日──クロスジフユエダシャク♂(羽化不全個体)とチャバネフユエダシャク♀だった(*)。2014年は11月20日にクロスジフユエダシャク♂、2013年は11月11日にチャバネフユエダシャク♀だった。これに比べると今年は遅い。
昨年は同じ時期にすでにクロスジフユエダシャク♂が林床の上を飛び交い、♀を探して交尾するようすを撮影していた(*)が、今年はその場所でクロスジフユエダシャク♂が飛ぶ姿をまだ確認できていない。

フユシャクについて改めて簡単に記すと、年1回冬に(成虫)が発生するシャクガ科の蛾でメスは翅が退化して飛べないという特徴をもっている蛾の総称。フユシャク亜科・エダシャク亜科・ナミシャク亜科にまたがって30種類以上いるらしい(冬に見られる蛾がすべてフユシャクというわけではなく、フユシャクと同じ時期に見られるフユシャク以外の蛾も存在する)。

昆虫を含む変温(外温性)動物は、冬は休眠状態で活動しないものだと思いがちだが……わざわざ冬に出現する昆虫がいると初めて知った時は驚いた。しかも、蛾なのにメスは飛ぶことができないというのも驚きだった。オスは特に変わったところのない蛾に見えるが、メスは同じ種類とは思えないほどユニークな姿をしているのも大いに気になった。
「いったいなぜ、虫が活動に不向きな冬に繁殖活動をするのか?」と当初は不思議に感じ、「きっと天敵となる捕食性の虫や爬虫類が活動していない冬に活動することで生存率を高める戦略だろう」と考えた。「天敵がいなければメスが飛んで逃げる必要も無いから飛翔能力を捨て産卵に専念しているのだろう(身軽なオスだけ飛べれば、それで繁殖機会は確保できる)」──そう考えて納得したが、毎冬フユシャクを見ているうちに「そう単純でもないらしい」と思うようになった。
冬に天敵がいないのなら、昼行性の種類が多くてよさそうなものだが、実際は夜行性のものが多い。昼行性のクロスジフユエダシャクなどは、たいていメスは落ち葉の下に隠れていて、オスがそれを探して葉の下に潜り込んで「隠れて」交尾をする(*)。これは、冬でも鳥などの捕食圧がかかっているためだろうと考えるようになった。
チャバネフユエダシャクのメスがオスとは全く違った色や模様をもつことも、こうした鳥の捕食圧が関係しているのかもしれない。白地に斑の黒を配した姿は鳥糞に擬態しているように見えなくもない。木の幹にとまっていればボディラインが分断・かく乱されて隠蔽効果があるのかもしれない。


雪とウバタマムシ&1年中

初雪とウバタマムシ

今シーズンはフユシャクの発生が遅れている……と思っていたら、その前に雪が降った。東京で11月に初雪が観測されるのは1962年以来54年ぶりだとか。そんな初雪が残る中、松葉にもぐって寒さに耐えるウバタマムシの姿があった──。


松葉がじゃまして見えにくいので、角度を変えて↓。


ウバタマムシのホストはマツ。幼虫はマツの枯木に穿孔し、成虫になるとマツ類の葉や樹皮を後食するという。このあたりでは成虫で越冬する個体が見られる。
松葉の寝床(?)から引っ張り出すのも気の毒なのでそのまま撮影したが、これ↑ではわかりづらいので、数日前に撮った落葉の上にいたウバタマムシを↓。


体長:24~40mmと、この時期に見かける昆虫の中ではボリュームがある。カメラを近づけると触角をたたんだ。


ウバタマムシは日本のレッドデータ検索システムで見ると、東京都では「絶滅危惧Ⅰ類」・埼玉県では「準絶滅危惧種」ということになっている。しかし狭山丘陵では東京都側でも埼玉県側でもしばしば目にする昆虫で、希少という印象は無い。

オールシーズンなウバタマムシの1月~12月まで

(僕の虫見散歩では)1年を通して成虫の姿が確認できているのはウバタマムシくらいではないか……そんな気がする。そこで過去に撮影した1月~12月すべての月でのウバタマムシ画像をそろえてみた(撮影した年はバラバラ)。

【1月のウバタマムシ】──まずは元日のものから↓。



【2月のウバタマムシ】


※↑【2月のウバタマムシ&冬尺蛾】より再掲載。冬でも陽が射すと擬木の上などで日光浴している姿が見られる。
2月に撮った画像の中にも背景に雪が写っているものがあった↓。


※【絶滅危惧!?東京のウバタマムシ】より再掲載。

【3月のウバタマムシ】


※【3月のカミキリ・ウバタマムシ~牙ゾウムシ!?】より再掲載。

【4月のウバタマムシ】



【5月のウバタマムシ】


※【ニイジマチビカミキリ~ウバタマムシ】より再掲載。

【6月のウバタマムシ】



【7月のウバタマムシ】


埼玉県側で撮影した個体↑。東京都側で撮影した個体↓。



【8月のウバタマムシ】



【9月のウバタマムシ】



【10月のウバタマムシ】


※【10月前半の空目&人面虫ほか】より再掲載。

【11月のウバタマムシ】






※↑【ウバタマムシ@松~初ケバエ幼虫集団】より再掲載。この日はマツの枝先で6匹見られた。

【12月のウバタマムシ】


ウバタマムシは比較的大きな昆虫だが、虫が少ない時期に遭遇すると、いっそう立派に見える。出会うと嬉しい昆虫の1つだ。


アカスジキンカメムシぷち実験2

水を塗っただけで復活したメタリックグリーン

先日のプチ実験では黒化したアカスジキンカメムシの前胸(死骸の一部)を濡らしただけでメタリックグリーンの輝きがよみがえることが確認できた。




(※↑【アカスジキンカメムシぷち実験で輝き復活】より)
しかし、輝きが復活するのは一時。乾くとすぐに黒くなってしまう。
ニスでも塗ったら輝きを維持できないものだろうか……などと考えたりもしていたわけだが、ネイルアート用のトップコートで試してみることにした。

アカスジキンカメムシぷち実験2・トップコートを塗る

被験素材は前回のプチ実験で使用したアカスジキンカメムシの前胸。ちなみにアカスジキンカメムシ成虫の全体像と黒化した前胸↓。


この成虫は↑今日コブシの幹にとまっていたのを撮影。生きている時は緑色をしている部分が死ぬと黒っぽくなる。
水を塗るとメタリックグリーンが復活したが、ネールアート用のトップコートを塗るとどうか……。


お手軽な100円グッズで試してみることに。


乾いて「ツヤ消しの黒」になっている前胸↑。この表面にトップコートを塗ってみると↓。


表面にツヤはでたものの……黒いまま。ネイル用トップコートではメタリックグリーンの輝きを復活させることはできなかった。
表面に塗ったトップコート液は粘度が高かったので水がしみ込んだ層にまで入り込むことができなかったのかもしれない。
水をしみ込ませ、乾く前の状態でコーティングしてしまえば輝きが保てやしないかと思い、前胸の裏側(未コーティング)から水をしみ込ますことを考える。


前胸を腹面から見たところ↑。前胸は見つけた時は中味はすでにカラになっていた。上の大きな穴は頭部へつながる部分。小さな穴は前脚につながる部分。
これをしばらく水につけてみた↓。


水の中で↑黒かった部分が、しばらくすると緑味がかってきた。


水からとりだした前胸↑はメタリックグリーンがいくらか復活していたが、ムラがあり暗く、水で濡らしただけのときの鮮やかさはなかった。
この裏面の水をティッシュベーパーでさっと吸い取り、内部が完全に乾く前に裏面にトップコートを塗る。そしてトップコートが乾いたものが↓。


黒みがかって生体のときの輝きとはほど遠い状態。
アカスジキンカメムシの美しいメタリックグリーンを(死んだ後も)恒久的に保ち続けるのは難しそうだ……。


紅葉・黄葉するカメムシ!?

紅葉・黄葉する!?ツノカメムシ

紅葉・黄葉が進む今日この頃。最近見かけたカメムシの中にも枯葉のように色あせた感じがするものが。


セアカツノカメムシはツノカメムシ(前胸の両側につきだしたツノのような突起=側角が特徴)の中では比較的よく目にする種類。春~夏に見かける個体はもっと緑がかっているが、ちょっと枯れた感じの色になっている。オスは腹端に一対の突起がある。
同じような「枯れた色合い」のメス↓。


やはりセアカツノカメムシ♀↓だが、こちらは「黄葉」っぽい色合い。


「黄葉」っぽい色合い↑に対して、「紅葉」っぽい色合いのセアカツノカメムシ♀↓。


同個体の腹面↓。中脚つけ根の外側に臭腺開孔部(臭腺開口域)が見える。


最近の色あせたセアカツノカメムシに対して春~夏に見られる緑色の個体↓。


(※【ツノカメムシの異種ペア】より再掲載↑)
やはり色褪せた感じがするヒメハサミツノカメムシ↓。




ヒメハサミツノカメムシのオスは腹端にセアカツノカメムシ♂よりも立派な「ハサミ」(状の突起)をもつ。


よく似た種類にハサミツノカメムシというのがいるが、ハサミツノカメムシ♂のハサミがほぼ平行なのに対し、ヒメハサミツノカメムシ♂のハサミは「ハ」の字型に開いている。
ヒメハサミツノカメムシも新緑の時期には鮮やかな緑色をしている。


ヒメハサミツノカメムシ♂のハサミに比べると長さではだいぶ見劣りするが、太さは立派なフトハサミツノカメムシ♂↓。


腹端の太いハサミは、やはり♂の特徴。フトハサミツノカメムシも本来はもっと緑色をしている。上の個体よりやや色褪せたフトハサミツノカメムシ♂↓。






緑色だった葉が晩秋に紅葉・黄葉するように体色が変わるカメムシは、他にアオクチブトカメムシやクヌギカメムシ類などが思い浮かぶが、カメムシの褪色に(紅葉・黄葉にシンクロしての)隠蔽効果があるのかどうかはわからない。
緑が鮮やかなまま冬を迎えるカメムシもいる。




モンキツノカメムシは越冬個体も前胸背はきれいな緑色。よく似たエサキモンキツノカメムシは前胸背が茶褐色をしているが、色合いは新緑の頃と変わらない。
……と思っていたら、色褪せた感じの個体を発見!?


よく見ると↑羽化後まだ完全に体色が整っていない新成虫のようだ。以前見た羽化前後のエサキモンキツノカメムシの状況と比較すると、たぶん前日に羽化したものだろう。近くに抜け殻はなく、おそらく抜け殻落としをしたのだろう。
ツノカメムシの仲間ではないが、やはり緑色が鮮やかなまま冬を迎えるツヤアオカメムシ↓。





アカスジキンカメムシぷち実験で輝き復活

緑に輝くアカスジキンカメムシは死ぬと黒化!?



メタリックグリーンの体に赤い模様が鮮やかなアカスジキンカメムシ成虫。よく見るとメタリックグリーンなのは、体の表面にほどこされた点刻まわりの小さな環。黒地に無数の緑色極小リングがちりばめられていることで、これがメタリックな輝きを生みだしている。ただ残念なことに、この輝きは標本にすると(死んでしまうと)失われてしまうという。ヤマトタマムシのように標本にしてもこの輝きが保たれるなら、アカスジキンカメムシはもっと人気がある昆虫だったかもしれない?
メタリックグリーンの輝きが魅力のアカスジキンカメムシだが、まれに黒化型がみつかるらしい。ネット上の画像を見るとツヤ消しの黒い姿は──これはこれでシブくてなかなか美しい。黒化型の画像を見ると、点刻まわりに極小環はあるがこれが緑ではなく黒い──ということのようだ。
黒化型アカスジキンカメムシの存在を知ってから、いつか見てみたいと思っていたが、なかなか縁がなかった。ただ、死骸では一部黒化したものを何度か目にしている。どうやらアカスジキンカメムシは死ぬと黒っぽく変色してしまうらしい。死ぬと色があせるのは乾燥によるものだろうが……乾燥と黒化には関係があるのだろうか?
一部黒化したアカスジキンカメムシの死骸を見つけるとそんなことを考えていたが、去年は生きている成虫で体の大部分が黒い個体をみつけたことがあった。


待望の黒化型か!?──と思ったが、どうも雰囲気がちょっと違う。頭の周辺にはメタリックグリーンが残っているし、黒い部分の感じも、ネット画像で目にしていた黒化型とは少し違うような気がする……。


遺伝的な欠損(?)で起こる黒化型ではなく、発育途上で起こった後天的な原因で中途半端に黒くなったのではないか?……などと想像してみたが、本当のところはよく解らない。

そして先日、欄干の支柱で、クモの糸にひっかかって貼り付いていた、こんなものを見つけた↓。


アカスジキンカメムシの前胸(中味はカラ)だったが、いわゆる黒化型の「ツヤ消しの黒」っぽい感じ!? しかし、これも生きている時はメタリックグリーンだったものが乾燥して黒くなったのだろうか?
死んで色褪せたアカスジキンカメムシを水で濡らすと緑色が復活するというハナシをネットで知っていたので、試してみることにした。

ツヤ消し黒からメタリックグリーン復活



ピンセットの先にひっかけたアカスジキンカメムシの黒い前胸↑。よく見ると無数にある点刻の周りには小さな環が確認できる。通常はこれが鮮やかな緑色をしているわけだが、これが黒いために黒地にみえるということのようだ。
この黒い前胸がどうなるか……水を吸わせた筆で濡らしてみると……。


みるみるメタリックグリーンの輝きが復活! 予想以上の鮮やかさにビックリ!
枯れ木に花を咲かせた花咲か爺さんの気分!?
点刻まわりの極小リングが黒から緑に変わったのがハッキリわかる。


乾き始めると、輝きも失われていく……。画面右側から乾燥していくのがわかる。


みているうちに緑の領域が、どんどん侵食されていく。


乾くと、ツヤ消しの黒に戻った。


どういう仕組みかはわからないが、濡れると点刻周りの極小リングがメタリックグリーンに発色し、乾燥すると黒くなるということのようだ。
乾燥した前胸背は黒化型個体と同じように見える。黒化型も同じ仕組みで黒く見えるのだとすると……生体が本来もっている「体表面の潤い」を保つことができない欠損(機能不全)個体なのかもしれない。だとすれば、黒化型アカスジキンカメムシも、水で濡らせばメタリックグリーンに輝くのだろうか?
あるいはニスでも塗ったら、アカスジキンカメムシの死骸もメタリックグリーンの輝きを保っていられるのだろうか?(*)
いずれチャンスがあれば、そんなプチ実験もしてみたい。

アカスジキンカメムシぷち実験2 ※ネール用トップコートを塗る

ハート紋のモンキツノカメムシ&…

ハートマークの(エサキでない)モンキツノカメムシ

「ハート模様のカメムシ」といえばエサキモンキツノカメムシ。エサキモンキツノカメムシといえば、トレードマークの「♥」──というのが一般的な昆虫ウォッチャーの認識だろう。背中(小楯板)のもようがハートの形をしていることでエサキモンキツノカメムシは、とかく嫌われがちなカメムシの中にありながら人気がある。よく似た種類にモンキツノカメムシがいるが、こちらは(ふつう)紋が丸みを帯びた逆三角形でハートには見えない──そのためかイマイチ注目度が低い。
最近読んだ『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』(野澤雅美・著/農山漁村文化協会・刊)でも、この2種の《形態上の最大の違い》として紋の形があげられていた。
エサキモンキツノカメムシ→《小楯板と呼ばれる三角形の大部分を覆う大きな黄色の紋は、何とハートの形をしている。これほど明瞭なハートの形の紋はほかの昆虫では見られない大きな特徴である》
モンキツノカメムシ→《黄色紋の前縁に切れ込みがなく、ハート形でなく丸みを帯びている》《このことからモンキツノカメムシは、マルモンツノカメムシとも呼ばれてきた》
だが……実際は、エサキモンキツノカメムシにもモンキツノカメムシにも個体差があって、紋の形だけ見ると紛らわしいものがそれぞれに存在する。
ということで、まずはエサキモンキツノカメムシの特徴=ハート紋を思わせる模様をつけたモンキツノカメムシ↓。


黄色紋の前縁に切れ込みがあるので、この点だけ見て判断すればエサキモンキツノカメムシということになりそうだが、これはモンキツノカメムシだろう(理由は後述)。雨上がりの擬木にとまっており体に水滴をつけている。
次に同日やはり擬木上にいたハート紋の本家(?)エサキモンキツノカメムシ↓。


単独で見るとわかりにくいかも知れないが、2種を比べてみると違いが感じられる。
あたらめて、黄色紋の前縁に切れ込みがない標準的なモンキツノカメムシ↓。


このモンキツノカメムシを横から見ると──(↑と同じ個体↓)。


カメムシの例に漏れず、モンキツノカメムシも捕まえようとすると悪臭を放つ。そのニオイのもとは胸の腹面に開口した一対の孔(臭腺開孔部)から発せられる。
さらに別個体のモンキツノカメムシ↓。


標準的な紋をもつモンキツノカメムシとエサキモンキツノカメムシとを比較してみると──、


①前胸背の色に違いがある。モンキツノカメムシ→緑色/エサキモンキツノカメムシ→茶褐色。
②側角はモンキツノカメムシの方が鋭く大きく突き出しており、エサキモンキツツノカメムシはゆるやかでいくらか丸みをおびたものが多い。
③紋の形は、モンキツノカメムシ→丸みをおびた逆三角形/エサキモンキツノカメムシ→ハート型。紋の大きさにも差があるようで、小楯板(前翅基部に挟まれた逆三角形の部分)の中での紋が占める割合(面積)はモンキツノカメムシの方が小さく、エサキモンキツノカメムシは大きめの傾向があるように思う。
これが正確な見かけ方かどうかはわからないが……パッと見、モンキツノカメムシの方が緑味が強く、紋が小さめに感じられる。
紋の形だけでは判断できない例──「なんちゃってエサキモンキツノカメムシ(実はモンキツノカメムシ)」を、昨年撮った画像から↓。


紋の形だけ見ればエサキモンキツノカメムシと判断してしまいそうだが、その割には紋は小さめで、前胸背は緑色──違和感がある。上述の理由から、これはモンキツノカメムシの方だろう。

本家ハート亀虫エサキモンキツノカメムシ



元祖というか本家というか……純正ハート紋のエサキモンキツノカメムシ。前胸背が茶褐色なのでモンキツノカメムシに比べると緑味が薄い印象。別の個体↓。


前胸の側角(肩の張り出し)には個体差がある。上の↑個体に比べ側角が立派な個体↓。


側角が立派な個体↑に対して、側角がほとんど消失した個体↓。


昨年も側角がほとんど消失したエサキモンキツノカメムシを見て驚いたが……個体差はけっこう大きい。
そして、個体差はトレードマークの紋にもある。冒頭の画像とは逆に、モンキツノカメムシ(マルモンツノカメムシ)っぽいエサキモンキツノカメムシ↓。


紋の形だけでは、モンキツノカメムシかエサキモンキツノカメムシか判断できないこともある──ということで、そのまぎらわしい個体を並べてみた↓。


模様の形だけを見ると間違えそうだが、全体を眺めれば、誤認するには違和感がある。前胸背の色や紋の大きさなどから、それぞれ「なんちゃって個体」だということが判断できる。


ヤニと謎に包まれたヤニサシガメ!?

一見地味だが…謎めいたヤニサシガメ



最近、にわかに注目しているヤニサシガメ。その名のとおり、ヤニのような粘着物質におおわれている捕食性カメムシ。いるのはこんなところ↓。


以前は擬木の上にいるのを目にするくらいでスルーしがちな昆虫だったが、ちょっとした疑問からプチ飼育をし(*)、今は自然の活動が見たくてホスト(?)の松で観察中。ホスト(?)といっても捕食性カメムシなので餌は昆虫など。ヤニサシガメは松や杉の樹皮の隙間に潜り込んで幼虫で冬を越すという。松で生活しているのはそのためだろうと思っていたが、松ヤニに依存しているというような研究もあるらしい。詳しいことは僕にはわからないが、何かヒントになるような行動が見られないか松をチェックしているというしだい。
これまで積極的に松を見ることは無かったのだが……探してみるとヤニサシガメはけっこう見つかる。






触角は途中から2つに折り曲げることができる。樹皮下にもぐりこんで集団で越冬するさいに折りたためるのは便利そうだ。途中で折れ曲がった触角は角度によって初代ウルトラマンを倒したゼットンを思い起こさせる(……と思うのは僕だけ?)






松の枝先を見ていると、幼虫が脱皮した抜け殻もみつかる。




松葉をかかえるようにぶらさがるのがヤニサシガメの通常の脱皮スタイルのようだ。中には、かかえていた松葉からすり抜け、抜け殻表面に残されている粘着物質で貼り付いているものも見受けられる。


後頭部~背中が割れここから幼虫が出たのがわかる(白っぽい半透明の部分が眼)。脚は松葉をかかえた形を残しているが、その中に松葉はなく、別の松葉に貼り付いた形で残っていた(尻と後脚の一部で松葉にくっついている)。松葉の先端を抱えて脱皮した後に、風にあおられるなどして隣接する松葉に貼り付いて抱えていた松葉から抜けてしまったか、抜け落ちる途中で別の松葉に貼り付いてしまったのだろう。
この抜け殻に残された粘着物質──ヤニサシガメの全身を覆うベタベタについては【分泌物】とする説と【松ヤニ】とする説があって、どちらが本当なのか確かめたくてプチ飼育したのは以前記した通り──(松ヤニが供給されない)飼育下で脱皮した幼虫は9日経っても粘着性分泌物に覆われることはなかった(*)。【分泌物】を否定する結果だったが、だからといって【松ヤニ】そのものだと考えるにはまだ疑問があって素直に受け入れられずにいることも記した通り(*)。


そのヤニサシガメ記事を投稿したとき、今日も、こっそり自然観察!さんに教えていただいた『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』(野澤雅美・著/農山漁村文化協会・刊/2016年)という本をを読む機会を得た。
「ヤニサシガメが自ら松ヤニの分泌部へ移動し脚を使って体にぬりつける行動」を含め、色々と興味深いことが記されていた。

僕はヤニサシガメがベタベタしているのは(粘着物質に覆われているのは)幼虫だけだと思っていたが、この本には《ヤニサシガメは、その名のとおり、幼虫、成虫ともに体の表面にヤニ状の粘着物質で覆われているのが大きな特徴である(『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』P.70)》と記されていた。僕が「成虫はベタベタしていない」と思い込んでいたのは、成虫が幼虫のようにベタベタしていたのでは翅の開閉もままならず飛翔能力に支障をきたすだろうと考えたからだ。ヤニサシガメを含め、カメムシの仲間では翅がたたまれたとき重なっている部分があり、どちらが上になるかは決まっていない。ベタベタした翅の上にもう一方の翅を重ねれば貼り付いてしまうだろう──だから当然、成虫はベタベタしていないものと思っていたのだ。


(※↑【ヤニサシガメのベタベタは分泌物なのか松ヤニなのか?】より再掲載)
しかしヤニサシガメ成虫はちゃんと《飛ぶことはできる(同P.70)》そうだ。
問題のヤニサシガメと松ヤニの関係については──、

 ヤニサシガメのからだのヤニはどこからくるのだろうか。ヤニサシガメの行動を観察すると、マツヤニの分泌部分に口吻を差し込んで、吸収することも確認されている。ということは、ヤニサシガメの各脚の節状の膨らみから分泌しているという説もあることから、吸収されたヤニが体内で消化吸収されたものが、あるいは老廃物として分泌していると言うことも考えられる。
 ところが、幼虫の行動から、体内からヤニを分泌するということとは全く違う行動をすることも分かってきたのである。何と、ヤニサシガメ自身が、ヤニの分泌されている場所に行き、体にこのマツヤニを塗りつけるのである。この行動を見た時は、にわかに信じがたい光景であったが、飼育実験でも、マツの枝の切り口から分泌されるヤニに近づきこすり取る姿は何度も確認できたのである。ヤニサシガメのヤニを体に塗りつける付着行動はヤニサシガメ特有の行動と考えられる。(『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』P.70)


と記され、こすりとった松ヤニを体に塗りつける行動が次のように紹介されている。

 ヤニ分泌部への移動→前脚の先端部(跗節)によるヤニのこすりとり
 →前脚の先端部(跗節)による中脚の大腿部(腿節)へのこすりつけ→中脚の大腿部(腿節)による後脚の大腿部(腿節)とすね(脛節)へのこすりつけ→中脚の大腿部(腿節)による前脚の大腿部(腿節)とすね(脛節)へのこすりつけ→後脚のすね(脛節)による腹部側面と背面へのこすりつけ(同P.70)


飼育実験では1時間ほどかけて念入りに付着行動がなされるのが確認されているという。
この付着行動で思い浮かんだのはグルーミング。前後となり合った脚をからめるようにこすりあわせたり後脚で腹部背面をさするような動作はカメムシに限らず昆虫ではよくみられる行動だ。僕のプチ飼育でも、松ヤニを与えていないヤニサシガメが脱皮後(粘着物質がない状態で)グルーミングを行なっていた。


前脚と中脚をからめるようにこすすりあわせるヤニサシガメ幼虫↑。
後脚で背中をなでつける羽化後のエサキモンキツノカメムシ↓。


『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』の著者・野澤雅美氏は50年以上もカメムシの研究をされている専門家だそうで、こうしたベテランが、グルーミングと松ヤニの付着行動を見誤ることなどないとは思うが……この行動の前後で実際にベタベタ感に変化があったのか──つまり、ベタベタしていなかった個体がこの行動によってベタベタを得たこと(この行動によって粘着物質のコーティングが行なわれたこと)が確認されていているのかが気になる。

一応ことわっておくが、僕の疑問は実際に行なわれてきた松ヤニ説の研究・観察に対して向けられたものではない。どういう研究や観察がなされたのか、その詳細について僕は知らないし、だから評価もできない。疑問は「僕が知り得た情報」に対して「僕が納得できるかどうか」という次元の問題である。

さて、もしヤニサシガメの粘着コーティングが松ヤニで、それを脚で体全体に塗り付けているのだとしたら──次のような疑問が残る。
①体の表面に極薄に引き延ばされた松ヤニがなぜ固化せずに長い間、粘着性を保っていられるのだろうか?……僕のプチ飼育個体は飼育を始めて10日目に脱皮したが(10日松ヤニの供給が無かったのに)、脱皮後の抜け殻はベタベタしていた。松の枝先でみつかる松ヤニは大半が固くなっている。ヤニサシガメのコーティングが松ヤニそのものであれば揮発成分が飛んですぐに固化してしまう(ベタベタしなくなる)のではないか?
②脚が届かない背中にヤニを塗り付けられるのだろうか?……僕のプチ飼育個体では、餌として与えた虫がヤニサシガメ幼虫の背中に貼りついてしまうというアクシデントが発生したが、ヤニサシガメはそれを取り除こうとして脚が届かなかった。つまり脚が届かない部分にも粘着コーティングはほどこされていたことになる。脚の届かぬ場所にどうやって塗り付けたのだろうか?
こうした疑問を考えると、単純に「松ヤニの塗り付け」では片付けられない気もする。①と②は、分泌物であれば説明できそうだが、脱皮後の個体には粘着コーティングがなされなかったことから、単純に「分泌物」とも考えられない。

それから……疑問と言えるほど明確な根拠があるわけではないが、漠然と思い浮かんだことを、覚え書きとして記しておくことにする。

『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』では飼育実験におけるヤニサシガメの付着行動について、《ヤニ分泌部(マツの枝の切り口)への移動》をし、《(塗りつけ)動作を開始してからその場を去るまでに、およそ1時間を費やしたのである》と記されている。
飼育実験では必要に応じて松ヤニを供給できるだろうが、自然の中でヤニ源は豊富にあるのだろうか?……と思った。松の枝先でみつかるヤニはすでに固まっているものが多く、適度な粘度をもったヤニ源は思っていたより少ない気がする。
ヤニサシガメに興味を持った当初、擬木上にいた10匹程に触れてみが、その全てが粘着物質に覆われており指に貼り付いてきた。ベタベタしているのがヤニサシガメ幼虫の通常の状態であるとすれば、ほぼ全てのヤニサシガメ幼虫の需要を満たすに足るヤニ源がなくてはならないことになる。はたして自然の中でそれだけ豊富に供給ポイントがあるものだろうか?

ヤニサシガメが松ヤニの分泌部に移動するということからは「樹液に集まる昆虫」を思い浮かべた。カブトムシやクワガタ・カナブンその他チョウやハチなどが樹液に集まるお馴染みのシーン──しかし、彼らはには飛翔能力がある。樹液の分泌されている場所まで飛んで移動することができるから集まって来ることもできるわけだが、ヤニサシガメ幼虫にはそれができない。
また、カブトムシらが利用している昆虫酒場(樹液の分泌部)は夏の間ずっと営業状態だが、松ヤニの場合は揮発成分が飛んでしまえば固まってしまうから、すぐに閉店状態となってしまう。歩行で移動するしかないヤニサシガメ幼虫が利用できるできる新鮮なヤニ源はそう多くはないのではなかろうか。
松ヤニの新鮮な分泌部が開店すれば、その松に暮らすヤニサシガメ幼虫たちが集まって来るだろう……1匹のヤニサシガメが付着行動に1時間を要すとすれば、集まってきた全ての個体が装備を完了するにはそれなりの時間が必要なはずだ。新鮮な分泌部には順番待ちの集団ができてもよさそうな気がするが……僕はまだそんなシーンには出会えずにいる。

飼育実験では、松ヤニを分泌した枝をいくらでも用意できるだろうが、自然の中では各個体(歩行しか移動方法をもたない幼虫)がヤニ源を補給し続けるのは簡単ではなさそうな気もするのだが……。

 ヤニサシガメの幼虫や成虫を見ると、野外の個体の方が光沢も強く、粘着性もある。この光沢は、ヤニの光沢によるものであり、松の枝葉が古くなったり、枝葉からヤニが出なくなったりすると容器内の飼育個体の光沢は失われ、次第に動きが弱まり餌もとらなくなりやがて死んでしまうのである。このことから、明らかにヤニサシガメにとっては、マツのヤニは、欠くことのできないものであるに違いないことが分かる。ヤニサシガメの体の光沢は、いわばヤニサシガメの健康のバロメーターとも言える。(同P.71)

「松ヤニを充分供給できる飼育個体」より、「ヤニ源確保が難しそうな野外個体」の方が《光沢も強く、粘着性もある》のはなぜだろう?──上記部分を読んでそう思った。

ひょっとすると、ヤニサシガメの体を覆っている粘着物質は【松ヤニ(松の樹液)を原料とする分泌物】で、飼育環境では充分な生成ができなかったのではないか?
たとえば紫外線を浴びることがビタミンD3の生成に必要なように……分泌物質の生成には何らかの条件が必要で、飼育下ではそれ充分満たされず、そのため分泌物の生成が不充分となり、《野外の個体の方が光沢も強く、粘着性もある》ということになるのではないか?──そんな解釈が思い浮かぶ。
【松ヤニ(松の樹液)を原料とする分泌物】と考えると、プチ飼育で脱皮後の個体に粘着コーティングがなかったのも、薄いコーティングなのに粘着性が持続すること等も説明がつきそうな気がするが(「脚で塗りつける」にはヤニ源が必要だが枝からの吸汁でまかなえればヤニ源がなくても樹液は調達できる)……ホントのところはわからない。
(ちなみに僕がプチ飼育した個体は脱皮して9日後、松に戻すまで、粘着性は全く無かったものの、黒い部分には光沢があり、捕食も続け元気だった)

ところで、以前のヤニサシガメ記事(*)を投稿したさい、Ohrwurmさんより日本応用動物昆虫学会大会でヤニサシガメと松脂に関する興味深い講演があったことを教えていただいた。ヤニサシガメの孵化には松脂が必要で、メスには松脂を溜め込む器官があって腹部末端から松脂を吸い込むという驚くべき内容だったそうだ↓。


詳しいことはわからないが、ヤニサシガメと松ヤニには意外に深い関係があるらしい!?
その真相についても興味があるが、それが本当だったとして「どうして、そういうコトになったのか?」という進化のプロセスも気になるところ。
少し前までは、珍しくもない地味~な虫として、あまり気にとめることもなかったヤニサシガメだが、実は謎に満ちた存在だった。そんなわけで、何か謎解きシミュレーションのヒントでもみつからないかと思って松の木をのぞいているのであった……。

ヤニサシガメを探していて「!」と思うウバタマムシ









ということで、松でヤニサシガメ幼虫を探しているときに目に入ると、やけにでかく感じるウバタマムシ。



ウバタマムシ@松~初ケバエ幼虫集団

松の枝先にウバタマムシが6匹



ウバタマムシは狭山丘陵では1年を通して見られるしぶい味わいの昆虫。これまでは木の幹や擬木で見かけることが多く、単独でしか見たことがなかった。それが最近、松の木をチェックようになり、松の枝先にとまっているウバタマムシを複数目にするようになった。
すぐ近くにいた別個体↓。


ウバタマムシは幼虫がマツの枯木に穿孔、成虫になるとマツ類の葉や樹皮を後食するという。
さらに別の枝先にいた3匹目↓。


そして、やはり枝先にいた4匹目↓。


同じ木のちょっと高い所にいた5匹目↓。


すぐとなりの松の木でも1匹見つかった↓。


この日は同じ松の違う枝先に5匹、すぐとなりの松の枝先に1匹──計6匹を確認。一度に6匹も見たのは初めてだった。全て枝先にいたので、この時期は陽当たりの良い松の枝先にいることが多いのかもしれない。

松で探していたのはヤニサシガメの幼虫

最近、松の木をチェックするようになったのは、ヤニサシガメに注目しているため。


ヤニサシガメの体をおおっているベタベタは分泌物なのか松ヤニなのか?──ということで前記事に記したが……松ヤニとの関連について何かヒントがつかめないかと、松にいるヤニサシガメ幼虫を観察している(……が、今のところ成果なし)。




今シーズン初・ケバエ幼虫集団あらわる!



11月に入ったので、そろそろ出現するのではないか……と思っていたら──この通り! 今シーズン初のケバエ幼虫集団。




超過密なドジョウのおしくらまんじゅうのようにも見えるが……ドジョウの顔のように見えるのはケバエ幼虫の尻。


「うごめく地面!?」かと目を疑うケバエ幼虫の大集団──正体を知らずに初めて見た時のインパクトは忘れない(※【謎の幼虫大群:ケバエ】)。
アップで見るとかなりの衝撃があるが、じっさいは気づかずにすぐ脇を通り過ぎて行く人が意外に多い。
知らずに踏んでいきそうな人を見ると、教えてあげた方がいいのか(無用なパニックを引き起こすかも?)、知らせずにおいた方がよいのか(踏んでも知らなければ平和が保たれる)──悩むシーンも少なからず!?