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2016年10月の記事 (1/1)

ヤニサシガメのベタベタは分泌物なのか松ヤニなのか?

ヤニサシガメのベタベタは【分泌物】なのか【松ヤニ】なのか?



ヤニサシガメは主に松類に生息している捕食性カメムシ(捕えた獲物に針のような口吻を「刺し」て体液を吸う「カメムシ」→「サシガメ」)。ヤニサシガメは幼虫時代、松ヤニをまとったようにベタベタしている(体表面が粘着物質でおおわれている)──これが名前の由来だろう。
画像↑は昨年5月に撮った擬木上の新成虫。僕が見かけるのは、もっぱら擬木の上だが、たいていその近くには松や杉(orヒノキ)の木がある。幼虫は松や杉の樹皮下で集団越冬するという。
今年3月に撮った越冬明けのヤニサシガメ幼虫の捕食↓。


餌食になったのは、まだ牙(脱落性牙状大顎突起)が片方残るマツトビゾウムシ新成虫だった。

実はヤニサシガメについて、僕はこれまであまり関心を持って見てこなかった。それが最近ある別の昆虫のことを考えている過程で、にわかに「知りたいこと」が出てきて気になっている。
《ヤニサシガメのベタベタ(体表面をおおう粘着物質)は【分泌物】なのか【松ヤニ】なのか?》──ということだ。ネット上には【分泌物】であるとする情報と【松ヤニ】だとする情報が混在している。はたして、どちらなのだろう?
とりあえず、実際にベタベタしているかどうか──まずはその確認から。
サシガメに刺されると、とても痛いらしいので、これまで不用意に触れないようにしていたのだが……口吻が届きにくそうな背中に触れてみると──なるほどベタベタしており指に貼りついてきた。


脚や背中を含め、全身が粘着物質でコーティングされているようだ。
このヤニサシガメ幼虫のベタベタについて、百科事典マイペディアの解説には【分泌物】と記されている(世界大百科事典の「サシガメ(刺亀)」の中では肢からヤニを出すと記されている)。一方、ネット上には【松ヤニ】(を塗りつけている)とするサイトが見受けられる。おそらく同一ソースの記事からの引用や伝聞情報と思われる……が、その元記事は削除されているのか、現在見ることができない。

松ヤニ説によれば……ヤニサシガメが主に松類に生息しているのは、「松ヤニを利用している」からで、「松ヤニを体に塗りつけることで(その粘着性によって獲物の保持力を強化し)獲物の捕食効率を高めている」というような理屈らしい。
なるほど「おもしろくて判りやすい解釈」だが……真相を知らない僕には不自然に感じられた。
(あくまでも真相を知らない僕が)想像するに……ヤニサシガメが松類に多いのは、この昆虫が幼虫で越冬するため──幼虫がもぐりこんで越冬するのに適した樹皮を持つ松類が生活の場に選ばれたということにすぎないのではなかろうか。もし他の場所に拡散していたなら、幼虫で越冬するヤニサシガメは冬を前に越冬場所まで飛来して集まることができない。幼虫は飛べないのだから、最初から越冬に適した場所(松類)付近に制限されて生活しているのだろう──そう考えるのが自然な気がする。
ひょっとすると、越冬明けの幼虫は(獲物が少ない時期に)植物の汁を吸うようなこともあるのかもしれない(カメムシは捕食性の種類でも植物の汁を吸うことがあるそうだ)。「越冬に適した(潜り込める形状の)樹皮」と「越冬明けに吸汁できる常緑樹」という条件から松類が生息の場に選ばれたのかもしれない……などという可能性も想像してみたが、これは根拠の無いただの憶測。

松ヤニを体に塗りつけて捕食効率を高める──という解釈にも、いささか無理を感じる。ヤニサシガメがどのようにして松ヤニを調達するのかわからないが、それは小さな幼虫にとって大きな負担となる作業ではないのか。ヤニ源は松の木には豊富にあるものなのだろうか? 粘度が高ければ松ヤニに捕えられてしまう危険だってあるかもしれない。手頃な粘度の松ヤニを探すのは大変そうな気がする。あるいは自ら松に傷をつけて松ヤニを採取するのだろうか? いずれにしても、手間をかけて調達し、わざわざ体中に塗り付けて──果たしてそれだけの労力や危険にみあうほどの効果があるのだろうか?
他のサシガメたちはそんな手間ヒマをかけずに、ちゃんと狩りをしている。捕食中のサシガメを見るとカマキリのようにしっかり獲物を保持しているわけでもない。労力を費やして松ヤニの粘着力を借りなくてもさほど困ることはないのではないか?
松ヤニを体に塗りつける意味が「獲物の捕獲率を高めるため」ならば、獲物をおさえる前脚だけに塗ればよさそうなものだ。しかし、実際はヤニサシガメ幼虫は全身ベタベタしている。わざわざ全身に塗りつけるのは無駄だし、粘着性によって獲物の捕食効率が向上するというなら、同じ理由で天敵からおそわれたときの被捕食率も高くなるはずだ。触れた指に貼りついてくるくらいなのだから、天敵に襲われたときも逃れにくくなることは明白だ。松ヤニを全身に塗ることは、労力を費やしてわざわざデメリットを増やしていることになりはしないか。
もし本当に松ヤニを全身に塗りつけているのだとしたら、それは「捕食効率向上」では説明がつかない。あるいは松ヤニに「天敵に対する忌避効果」のようなものでもあるのであれば、説明はつくが、それは捕食効率とは全く別の話である。果たして松ヤニにそんな効果があるのだろうか?

疑問のきっかけは粘着物質つながりでハリサシガメ

僕はヤニサシガメのベタベタは【分泌物】だろうと考えた。そのきっかけはハリサシガメだった。ハリサシガメは幼虫がゴミをまとってカムフラージュするというユニークな習性を持っている。ゴミをまとうさいに使われているのは「粘着性のある分泌物」であろうと思われ、ここから全身が粘着物質に覆われたヤニサシガメ幼虫との関連が思い浮かんだ。ハリサシガメとヤニサシガメは同じサシガメ科だし、脚のまだら模様などの特徴も似ているところがある。幼虫時代に粘着性のある物質を分泌するという共通の生理システムがあるのではないか?
ヤニサシガメのベタベタの延長→ハリサシガメのゴミをまとう習性(粘着性の利用)──と考えたわけだ。樹上性のヤニサシガメはベタベタのままでいるが、地上性のハリサシガメでは細かなゴミがつきやすいだろうし……ゴミをまとうことでカムフラージュ効果が生まれ、そうした方向で習性が培われてきたのではないか?

ヤニサシガメにしてもハリサシガメにしても、全身をおおう粘着物質が何なのか・どうしてそんなことになったのかは判らないが……「分泌物」であれば、両者に共通する生理システムとして捉えることができる。
ヤニサシガメのベタベタが分泌物ではなく松ヤニであったとすれば、それでは(松ヤニとは無縁の)ハリサシガメ幼虫の粘着物質は何なんだということなる。
ハリサシガメの粘着物質が分泌物であるなら、ヤニサシガメの粘着物質も分泌物ではないか──と考えるのが「つじつま」的にはスッキリする。
こうした思考経緯があって、「ヤニサシガメのベタベタの正体は【分泌物】なのか【松ヤニ】なのか?」ということが気になりだした次第。
はたして真相はどちらなのか──ネット検索では納得できる情報がみつからないので自分で確かめてみることにした。

もしこれが松ヤニなら、幼虫が脱皮をすれば松ヤニは抜け殻に残される。新たに「塗りつけ」が行われない限り、脱皮後の幼虫はベタベタしないはずだ。松ヤニの供給が無い状況で脱皮した幼虫が、その後ベタベタするようであれば、それは分泌物ということになる。
ヤニサシガメ幼虫を飼育し、脱皮後の幼虫のベタベタの有無を確認すれば真相が明らかになるのではないかと考えた。

別の案として採集した個体から粘着物質を取り除いて(松ヤニのない環境下に置いて)ベタベタが復活するかどうか(再び分泌するかどうか)を確かめる──という方法も考えたが、ハリサシガメの抜け殻から付着物を取り除こうとして苦戦し、きれいに取り除けきれなかったことから、生体の粘着物質を完全に取り除くことは困難だと判断。飼育して脱皮後の確認をした方が確実だろうと考え、脱皮前の幼虫を持ち帰って飼育してみることにした。

擬木上のヤニサシガメ幼虫は みなベタベタしていた

これまであまり気にとめることがなかったヤニサシガメだが、擬木の上でも見ることができる。
問題解明の飼育観察に使う幼虫は、越冬前に脱皮をしてくれる個体が望ましい……そんなことを考えながらヤニサシガメ幼虫を物色していると、何かを捕えた幼虫が目に入った。


意外に小さな虫も獲物になるようだ。何を捕まえたのかと思ってよく見ると極小のアリだった。
やはり擬木の上にいた別個体のヤニサシガメ幼虫↓。


この幼虫は体も小さいが翅も小さい。全身テカッてみえるのはヤニのような粘着物質に覆われているからだろう。腹もヤニが乗った部分でテカっているが、中央部の盛り上がった箇所がヤニ・コーティングから取り残されているようにも見える。


もしこれが松ヤニで、塗りつけられたものであれば、でっぱった部分から付着し凹んだ部分に塗り残しができそうな気がする。もしでっぱり部分が「取り残されている」のだとすれば、滲出液のように(?)しみ出した粘液が、出っ張った部分を残して腹をおおっているのかもしれない!?
テカリが粘着物質のコーティングであることを確かめるために触れてみるとベタベタしており、指に貼りついてきた。


これ↑が脱皮した後のステージと思われる、やや大きなヤニサシガメ幼虫↓。


パッと見、黒い部分が多く感じる。翅も前の個体より大きい。触れるとやはりベタベタで貼りついてきた。


さらに別個体のヤニサシガメ幼虫↓でも試してみるが、結果は同様。


擬木の上にいたヤニサシガメ幼虫10匹ほどに触れて確かめてみたが、もれなく全身がベタベタしており、指に貼りついてきた。
再び別の小さな個体↓。


粘着物質でコーティングされた腹の右背面にゴミ粒が付着している。これを全身に付着させたらハリサシガメ幼虫のようになるのではないか……。
この個体も粘着テストをしてみたが、この通り↓。


小さめながら腹は大きく膨らんでいる。同じ日に見られたやや大きめの個体に比べるとまだ翅も小さい。近いうちに脱皮が期待できそうだと判断してこの個体↑を持ち帰って飼育してみることにした。


飼育ヤニサシガメ幼虫のハリサシガメ的アクシデント



我流の飼育セット↑。知識も経験も無いので、これが適切であるかどうかはわからない。足場用の枝と樹皮(トウカエデ)、乾燥防止用に水を含んだテッシュペーパーを設置。ピンで孔をあけたフタを被せて飼育容器とした(詳しくは【ヤニサシガメぷち飼育中】)。
エサには何種類か与えてみたが、その1つがクワの葉の裏に集団でいるメダカナガカメムシ(成虫の体長が2~3mm)の幼虫(ちょっと見はアブラムシのよう)。


エサとして投入したメダカナガカメムシ幼虫だが……ヤニサシガメ幼虫の背中へ登り、粘着物質に脚をとられて動けなくなってしまうというアクシデントが発生した。
ヤニサシガメ幼虫も背中の虫が気になるのか、何度か後脚を腹の背面にもちあげる仕草をしたがメダカナガカメムシ幼虫がとまっているところには届かない。そのうち、やはりエサとして投入していた小型のアリまで付着するしまつ……。(松ヤニの供給がない環境で)飼育開始して5日目のことだが、ヤニサシガメ幼虫をおおう粘着物質の効力(?)は継続していた。


ヤニサシガメ幼虫はこの後、腹端に付着したアリについては後脚を使って落とすことができたが(引きはがしたアリを食すことはしなかった)、背中に乗ったメダカナガカメムシ幼虫は落とすことができずにいた。何度も後脚を持上げて背中をかこうという仕草をみせるが、アリには届いた後脚がメダカナガカメムシ幼虫の位置までは届かない。
ということは──もしヤニサシガメ幼虫が松ヤニを脚を使って体に塗りつけようとしても、メダカナガカメムシ幼虫が貼りついた位置には届かないのではないか。しかし、実際はそこにも粘着物質がコーティングされているからメダカナガカメムシ幼虫は貼りついたわけで……脚の届かない背中(背面)全域に粘着物質をコーティングするのは「脚を使って塗りつける」という方法では難しそうに思える。やはりコーティングは分泌したものではないかと改めて思わせるアクシデントだった。
この背中に虫たちを貼り付けたシーンは偶然のものだったが、ハリサシガメ幼虫が獲物の残骸を背中に貼りつけた姿と良く似ている。
樹上生活しているヤニサシガメも飼育容器の中ではケースの底を歩くし、狭い飼育容器内では獲物や死骸と接触する機会が多くなる──そのために起こったアクシデントではないかという気がする。
本来であれば樹上生活しているヤニサシガメは体表面がベタベタしていても異物が付着する機会は少ないだろう。それに対し土粒や細かいゴミがたくさん落ちている地上で生活しているハリサシガメは異物を拾いがちなので、積極的にこれを利用するようになったのではないか?
ヤニサシガメ幼虫のアクシデントの延長──その発展型にハリサシガメ幼虫があるのではないか……そんな想像をしたくなる。


この2種類のサシガメの粘着物質を「分泌物」という共通の要素で考える方が、「片方は松ヤニで、もう一方は分泌物」と複数の要素で捉えるよりも解釈としてはスッキリすると思うのだが……。

松ヤニ説を紹介したカメムシの本

さて、ヤニサシガメ幼虫の飼育を初めて1週間程経過してのこと……問題の「ヤニサシガメのベタベタ」を松ヤニだとする本を偶然見つけた。図書館で借りてきた『いたずらカメムシはゆかいな友だち』(谷本雄治・文/つだ かつみ・絵/くもん出版/2006年)という本で、その中では次のように紹介されている。

 松の木で見つかるヤニサシガメは、ヨコヅナサシガメを黒くしたようなカメムシです。その名前の通り、べたべたした松やにをからだにつける習性があります。
 松やにを見つけると前あしでやにをとり、あしを器用にあやつって、あし全体やおなか、せなかとこすりつけます。人間でいえば、コータールをべたべたとぬりつけるようなおかしな行動です。
 どうしてそんなことをするのかというと、集団で冬越しをするときに体温の低下をふせぐためだとか、乾燥をふせぐため、べたべたしたからだにすることで、うっかりくっついた虫をえさにするため──だとかいわれています。
 ほんとうのところはヤニサシガメにしかわかりませんが、観察の結果を見ると、どれもが正解のように思えます。泥や木の葉、アリの死がいなどをからだにつけて歩くヤニサシガメもいるので、敵から身をかくしたり、すてきなファッションのつもりでいたりするのかもしれません。
(『いたずらカメムシはゆかいな友だち』P.92~P.93)


著者はヤニサシガメが松ヤニを体に塗りつける様子を観察したかのように記しているが……「本当なのだろうか?」というのが読んだ時の率直な感想だった。この本の記述内容には間違いや怪しいと思われる箇所がいくつかあって、いささか信用性に欠く印象が否めなかったからだ。

この本ではヤニサシガメが体に松ヤニを塗るのは《集団で冬越しをするときに体温の低下をふせぐためだとか、乾燥をふせぐため》と説明しているが、僕が擬木上のヤニサシガメ幼虫に触れてみたところ、冬までにまだ脱皮すると思われるステージの個体もベタベタしていた。「越冬時の防寒&防乾用」に松ヤニコーティングをするのであれば、冬が来る前に脱皮で脱ぎ捨ててしまう体表面にわざわざ手間をかけて塗りつける意味がない──脱皮前の「塗りつけ」は全くの無駄ということになってしまう。
著者は《松やにを見つけると前あしでやにをとり》と記しているが、適度な粘度(?)のヤニ源は簡単に見つかるものなのだろうか? 粘度が高い松ヤニに手を出せば抜け出せなくなって命取りになる危険もあるかもしれない──特に小さな個体が粘着性の高い松ヤニを前脚でとるというのは危険が伴う作業ではないかという気がする。そんな危険を冒してわざわざ松ヤニを利用する意味があるのだろうか……。そもそも適度な粘度のヤニ源は容易くみつかるものなのだろうか?
飼育中のヤニサシガメ幼虫の観察では脚が届かない背中までベタベタしていた──脚の届かない部分にどうやって松ヤニを塗り付けているのかという疑問もある。
もしかすると、『いたずらカメムシはゆかいな友だち』に記されているヤニサシガメが「松ヤニを体に塗りつける行動」は昆虫がよく見せるグルーミングなのではないか……グルーミングを見て、マツヤニを塗つけていると勘違いしたなんて可能性も考えてしまう。
また、引用した後半の《泥や木の葉、アリの死がいなどをからだにつけて歩くヤニサシガメもいるので》という部分は、おそらくヤニサシガメではなくハリサシガメ(別種)のことだろう。この本の内容については信頼性に疑問が残る。
僕には疑問も多い松ヤニ説だが、こうして書籍でもしっかり「松ヤニを体に塗りつける行動」が紹介されていることがわかった。
はたしてヤニサシガメのベタベタは松ヤニなのだろうか?──という思いが強くなる。

脱皮したヤニサシガメ幼虫はベタベタしていなかった



飼育開始から9日目↑。ヤニサシガメ幼虫は飼育容器内の枝にぶら下がってあまり動かなくなった。背中にはメダカナガカメムシ幼虫が貼りついたまま。そして10日目、ついに脱皮をした↓。


容器越しの撮影でかなり不鮮明になってしまったが↑……前脚・中脚。後脚と抜けていくのがわかる。脱皮に気づいた時はこの状態だったが、これから20分ほどで完全に抜け殻から離脱した。
ヨコヅナサシガメは木の幹などの鉛直面で脱皮や羽化が行われていたが(それでトウカエデの樹皮で垂直面を設置した)、ヤニサシガメの脱皮は枝にぶら下がる形で行われたのが意外だった。後日、松を観察に行ってヤニサシガメの抜け殻を10余り見つけたが、新芽に残されていた1つをのぞいて、いずれも松葉にぶら下がる形で脱皮は行われていた。


細い松葉や枝をかかえるようにぶら下がるのがヤニサシガメの脱皮スタイルなのかもしれない。
飼育個体に戻って、ヤニサシガメ幼虫の脱皮後まもない姿↓。


抜け殻から伸びた細い糸のようなものは、古い気管壁だろう。脱皮後の幼虫は本来黒い部分の色がうすい。腹の方が黒っぽいので、コントラストが逆転したような感じがした。


抜け殻の背中には5日前に貼りついてしまったメダカナガカメムシ幼虫がそのまま残っている。抜け殻に触れてみたところ、まだベタベタしていた。幼虫のベタベタの有無も確かめてみたいところだが、体が固まっていないうちに不用意にさわると傷つけてしまうかもしれないのでこの時点では自粛。
おそらく脱皮直後からベタベタしているわけではないはずだ(ベタベタしていたら古い殻を脱ぐのに障害となる)。


脱皮した翌日のヤニサシガメ幼虫の姿↑──体色も通常のものになり、動き回ってもいたので体も固まっているのだろう。画像を撮ってみると、つやがありヤニ・コーティングがなされているかのようにも見える。だが、触れてみると、まったくベタベタしておらず、むしろサラッとしていた。
画像をよく見ると脚にかすかに産毛のようなものが毛羽立っているのがわかる──粘着物質がまだからんでいない状態なのだろう。

脱皮の時点では新たな体がベタベタしていたのでは困るだろうから、直後の幼虫が粘着物質をまとっていないのは当然ともいえる。ベタベタの正体が分泌物であったとしても、脱皮後の分泌(再コーティング)が始まるまで時間がかかるのかもしれない。
脱皮後、栄養不良で分泌が正常に行われない──ということがないように、ちゃんと食事しているのを確認しつつ様子をみる。


ハバチの幼虫の体液を吸う脱皮後のヤニサシガメ幼虫↑。画像右はおよそ5時間(あるいはそれ以上)かけて吸っていたハバチ幼虫の死骸(左の捕食されているものとは別個体)。消化液を注入しながら吸うのだろうか。かなりしっかりと中味が吸い取られている。

当初は「飼育下で脱皮させ、ベタベタを確認できれば、粘着物質の正体は自前の【分泌物】であると判るだろう」──そう考えていたが、脱皮後1週間を経過してもベタベタは確認できず、ヤニサシガメの体の表面は乾いたままだ。
ということは、粘着物質のコーティング素材は自前の【分泌物】ではなく、外部調達によるもの──【松ヤニ】なのだろうか。
「捕食効率を高めるために松ヤニを体に塗りつける」という解釈には疑問があるが、解釈の真偽は別にして、松ヤニを利用している可能性はあるのかも知れない。
しかしながら、松ヤニだとすればどのように調達して体中に(脚の届かない背中にも)塗りつけるのだろうか──そうした疑問が残る。
なれない飼育をして脱皮後のチェックをしてみたわけだが……これで「スッキリ解決」という感じにはならなかった。

《(松ヤニのない飼育下で)脱皮した幼虫が(脱皮後1週間を過ぎても)ベタベタしていないこと》は確認できたものの、だからといって松ヤニ説を受け入れるにはまだ疑問がある……松ヤニ説を支持するには《松ヤニを体に塗りつける》という行動も確かめてみる必要があるように思い、観察に適していそうな松を探し始めている。
今のところヤニサシガメ幼虫や脱皮した抜け殻は見つかるものの、適したヤニ源はみつかっていない。
1度松ヤニの出ているところでヤニサシガメ幼虫を見つけ、松ヤニとの関係を示唆するシーンが……あわよくば《松ヤニを体に塗りつける》シーンが観察できるかと期待が高まったが……何事も起こらず幼虫はすぐに立ち去ってしまった。松ヤニに触れてみると、すでに固まっていてベタベタしていなかった↓。


透明なしずくのように見えた松ヤニ↑は比較的新しいものだろう。しかし表面はすでに乾いておりベタベタしていなかった……ここで新たな疑問が浮かぶ。
松ヤニは空気に触れると揮発成分が飛んで固化していくわけだが、この雫状の塊の松ヤニの表面が固化するのにどれだけ時間がかかったのだろう? ヤニサシガメ幼虫の体を覆うコーティングはこの松ヤニの塊に比べれば遥かに薄い。これが松ヤニであれば固化する(ベタベタしなくなる)のに要する時間もわずかだろう。
今回飼育したヤニサシガメ幼虫は飼育開始から10日目に脱皮をしている。少なくとも10日以上は松ヤニの補給はなかったはずだが、脱皮後の抜け殻は、まだベタベタしていた。松ヤニであれば、極薄コートでこれほど長い間ベタベタした状態を保っていられるものだろうか?

ヤニサシガメのヤニ(ベタベタ)の正体について、「飼育してみれば判るだろう」──最初はそう考えたが、謎は深まるばかり!?
まだしばらく悶々と思いをめぐらすことになりそうだ……。



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『いたずらカメムシはゆかいな友だち』感想


『いたずらカメムシはゆかいな友だち』(谷本雄治・文/つだ かつみ・絵/くもん出版/2006年)という本を図書館でみつけ、借りてきた↑。表紙画像の右の文章は、カバーそでのリード。
ちょうど疑問に思っていたことを確かめるためにヤニサシガメという捕食性カメムシの飼育を始めていたのだが、読んでいくと、そのヤニサシガメに関する話もでてきて、僕の疑問にも言及している。それで僕の疑問がスッキリ解決したわけではないのだが……その部分を含め、この本を読んでの感想を記しておくことにする。例によってあくまでも個人的な感想ということで。

僕も含めてカメムシ好き(?)には共感できる内容だろうと期待して読み始めたわけだが……全体を読み終えての印象を一言でいうなら──この本は「カメムシのことを好きでずっと観察・研究していた人が書いたもの」ではなく、「カメムシのことを書くという企画が先ずあって、にわか仕込みで集めた情報をもとに書かれたもの」……という感じがする。
実際に昆虫を観察していれば感じるだろう疑問や驚き・感心──現場感覚(?)みたいなものがあまり伝わってこない。正しい知識を紹介するはずの本なのに、明らかに間違っていると思われる箇所や怪しい記述などもあって、信頼性にも欠ける気がした。

気になった部分をいくつか引用しながら感じたことを記してみたい。まずは本文の冒頭部分──。


 カメムシはくさい──。
 そう思っている人が多いのではないでしょうか?
 ぼくが生まれてはじめてカメムシを見たのはいつ、どこだったかのか、思い出せません。でもたぶん、くさい虫だということはすぐにわかったと思います。
 たとえば庭の植物に、一ぴきのカメムシがついていたとします。
 見たところ、チョウとはちがいます。バッタでもトンボでもありません。
「なんか、ヘンな虫だなあ」
 せいぜいそう思うくらいで、子どものころのぼくはまよわず手をのばしたことでしょう。
 いけどりに成功し、にぎりこぶしを顔の前に持ってきて、指をそーっと開きます。すると、すきまから少しずつ虫のからだがみえてきて、
「く、くさい……」
 次のしゅんかん。ぼくはしかめっつらをしてその虫を手ばなし、それが「カメムシ」というものだということを二度とわすれません。カメムシの発するにおいは、それほど強烈でくさいものです。(P.6~P.8)


「初めてカメムシを見たときのことは思い出せない」と明言しているのに、記憶に無いことを想像で書いている──そして想像の中でカメムシの悪臭初体験について《それが「カメムシ」というものだということを二度とわすれません》と記している……。「《二度とわすれません》て……実際は覚えていなかったじゃん」とツッコミたくなるのは僕だけだろうか?
おかしな文章だが、著者の意図はわかる。カメムシのことを紹介する本なので、冒頭にはカメムシのよく知られた特徴──悪臭をアピールする内容をもってこようという「計算」があったのだろう。そのさい、《カメムシの発するにおいは、2度と忘れないほど強烈でくさいものです》と言いたかったに違いない。ところが、自分の記憶には残っていない。そこで、「きっとこうだったろう」と都合の良い想像で「頭の中で考えたシナリオ」をでっち上げてしまった……。

本来なら、体験や観察がまずあってそこから考察が生まれるわけだが、この著者は、頭の中で考えたシナリオを描くために体験(現実)を都合よくあわせようとしている……そんな冒頭部分からして、この著者は(いわゆる)「頭で書いている」感じを受けた。
自らの実体験に立脚した知見というより、「知識」として集めた情報を中心に頭の中で再整理してシナリオを組み立てている気がする。
この本の内容は、すべてとはいわないが……主要な部分は「(卓上の)知識」主導で書かれたものだという印象が強い。

自宅のアサガオについたマルカメムシ集団のエピソード(P.24~P.32)など「実体験」を綴った部分もあるが、「それでは、なぜ群れるのか、なぜ悪臭を発するのか?」という「虫に興味がある人なら当然考えるはずの核心的疑問」には触れられないまま展開していく。著者がマルカメムシに翻弄されたという話をおもしろおかしく(?)記しているが、語るべきところは著者の奮闘ではなく、虫の生態だろう。生き物を描く本としては興味の焦点がズレている感じがして、これが僕には違和感として感じられた。
本の終わり近くになって、ようやく(?)《カメムシのにおいは敵を攻撃するだけでなく仲間をよんだり、危険をしらせる道具としても使われていることがわかっています。(P.109)》とあっさり記しているが、これは二次情報(他者情報)的結論であって、カメムシを見ずにカメムシ情報を見て書いている感が否めない。

カメムシの悪臭を紹介したあとには、カメムシ以外のクサい虫のウンチクも展開している。


 もっと強烈で、くさいだけではすまない虫もいます。田畑で見かけるゴミムシの一種、ミイデラゴミムシです。この虫は、百度にもなる高温の毒液をジェット噴射して、敵に立ちむかいます。
 プシューッと吹きつけられたら、野生の生きものはもちろん、人間だってひとたまりもありません。一度ついたにおいはなかなか消えず、いやな気分をしばらく味わうことになります。
『鉄腕アトム』などの作品で有名なマンガ家、手塚治虫さんの名前は、オサムシという昆虫にちなんだものだそうです。オサムシはカブトムシやクワガタムシと同じ甲虫で、「生きた宝石」の名前の通り美しくかがやき、昆虫ファンのあいだではちょっとした人気者です。せなかの下にかくれた後ろばねが退化しているため、空を飛ぶことはできません。
 宝石にたとえられるほどのオサムシですが、ひとつだけ残念なのがくさいことです。地面を歩いてほかの虫やミミズなどをえさにしているせいか、いやなにおいがします。
 オサムシによく似たマイマイカブリも、空を飛ぶことができないくさい虫です。地上をせかせかと歩いてカタツムリをさがし、おそいかかって、えさにします。
 マイマイカブリはカタツムリの殻の中に頭をつっこみ、くちから出す消化液で肉をとかして食べていきます。そのせいでくさくなるようです。「マイマイカブリのにおいは、果肉のついたギンナンそっくりだ」といった人もいます。(P.16~P.17)


ミイデラゴミムシが放つ分泌液を、ここでは《毒液》と称している。僕も実際に浴びたことはないが、これは100℃にもなる爆発的な化学反応なのだから《プシューッ》というスプレーのような表現は適切なのだろうか?──と、ひっかかった。もしかすると、こうした部分も実体験の無いまま「頭で書いている」のではないか……。
ミイデラゴミムシでは噴射される分泌液をとりあげていながら、オサムシやマイマイカブリの悪臭については、食物由来の臭さだとし、防衛用に放たれる酸の分泌液に言及していないのは不十分な気がした。個人的にはオサムシやゴミムシが放つ酸はカメムシにおとらずクサいと思う。
また、この文章では「オサムシは飛べない虫」という認識を読者に与えることになりそうだが、オサムシの仲間にも飛べるものがいるという説明を入れた方が適切ではないかと思った。

カメムシとはどんな昆虫かを紹介する中で、「毒をもつカメムシはいるのか」──という話題では、


 ほんとうはどうでしょう。毒のあるカメムシはいるのでしょうか。
 カメムシ研究をしている人たちに聞くと、くちのするどい肉食のカメムシでは、うっかりすると手を刺されることがあるそうです。運が悪いと、手がはれます。でも、それはきわめて例外的なことで、カメムシのほうからわざわざ、人間をおそうことはありません。
 毒を持ったカメムシもいるのは事実です。熱帯地方には人間も刺してからだの中に病原菌を送りこみ、眠り病の一種である「シャガス病」を引き起こすカメムシがいます。生物の進化を研究した博物学者のチャールズ・ダーウィンも南米でそうしたサシガメに刺されシャガス病にかかったとされていう説があります。
 でも、安心してください。日本にはそうした毒のあるカメムシはいません。(P.22)


著者はシャーガス病の病原体を媒介するサシガメを(媒介者だから)《毒のあるカメムシ》だと認識しているように読めるが、「病原体」と「毒」は違うだろう。著者の理屈でいえば、病原体を媒介する蚊も《毒をもっている》ことになる。致死的な感染症のキャリアは《毒のあるヒト》ということになるのだろうか?
また著者はシャーガス病の病原体を「病原菌」と記しているが、これは細菌ではなく「原虫(寄生虫)」だ。
そして《刺してからだの中に病原菌を送りこみ》と記しているが、媒介サシガメが刺しただけではシャーガス病の感染は起こらない。サシガメが吸血前後にした糞尿から原虫が体内に侵入して感染が起こるとされる(サシガメに血を吸われた人が刺し傷近くの糞尿に触れ、その手で刺し傷や目・口・傷口などをささわることで原虫が体内に入る)。
「サシガメが媒介する病気がある」という知識だけで詳しくは知らぬまま「頭で書いてしまった」ことによる間違いではないかという気がする。

この項目で著者は日本には《毒のあるカメムシはいません》と言い切っているが、やはりカメムシをあつかった『カメムシ観察事典(自然の観察事典25)』(構成:小田英智/文&写真:新開 孝/偕成社/2002年)という本には《サシガメの口吻からだされる唾液には、強力な毒があり、獲物はすぐに体が動かなくなってしまうからです》という文章がある。サシガメに刺されるとかなり痛いらしいが、これは毒があるから(その影響)とみるのが自然な気がする。
「毒」の定義にもよるのかもしれないが……ミイデラゴミムシが放つ分泌液を《毒液》と称しているのに、(日本の)サシガメには毒がないと明言しているのは、ちょっと納得し難い気がする。

カメムシはそのニオイをどこから放つのかという話題では──、


カメムシはあしのつけ根にあるあなから、くさいにおいの元となる液体を出しています。出てくるのはアルデヒドの一種です。
 おどろくことに、あしのつけ根から液体を出すのは成虫だけで、カメムシの幼虫はせなかにあるあなから出すそうです。(P.42)


《カメムシの幼虫はせなかにあるあなから出すそうです》というのは、まだ自分で確かめたことがないということだろう。著者は「プチ生物研究家」を名乗っているようだが、カメムシ幼虫の臭腺開口部を確認したことすらなく、カメムシの本を書いているのか!?──と驚いた。
本書で紹介されている興味深い昆虫うんちくの多くは、こうした伝聞情報で、著者はじっさいに観察したことが無い(よく知らない)まま書いているので「こなれていない」──いささか、底の浅いものになってしまった感じがする。


 松の木で見つかるヤニサシガメは、ヨコヅナサシガメを黒くしたようなカメムシです。その名前の通り、べたべたした松やにをからだにつける習性があります。
 松やにを見つけると前あしでやにをとり、あしを器用にあやつって、あし全体やおなか、せなかとこすりつけます。人間でいえば、コールタールをべたべたとぬりつけるようなおかしな行動です。
 どうしてそんなことをするのかというと、集団で冬越しをするときに体温の低下をふせぐためだとか、乾燥をふせぐため、べたべたしたからだにすることで、うっかりくっついた虫をえさにするため──だとかいわれています。
 ほんとうのところはヤニサシガメにしかわかりませんが、観察の結果を見ると、どれもが正解のように思えます。泥や木の葉、アリの死がいなどをからだにつけて歩くヤニサシガメもいるので、敵から身をかくしたり、すてきなファッションのつもりでいたりするのかもしれません。(P.92~P.93)


この本を読んだとき、ちょうどヤニサシガメの飼育を始めていたのだが、その動機は「ヤニサシガメの体をおおっている粘着物質は【松ヤニ】なのか【分泌物】なのか」が知りたかったからだ。それは別の記事(*)にまとめるつもりでいるのでここではさておき──。
著者はヤニサシガメが松ヤニを体に塗りつける様子を観察したかのように記しているが……「本当なのだろうか?」というのが読んだ時の率直な感想だった。先に記した通り、本書の内容には首を傾げたくなる箇所がいくつかあって、いささか信頼性に欠く印象が否めなかったからだ。

この本ではヤニサシガメが体に松ヤニを塗るのは《集団で冬越しをするときに体温の低下をふせぐためだとか、乾燥をふせぐため》と説明しているが、僕がヤニサシガメ幼虫に触れてみたところ、冬までにまだ脱皮すると思われる小さな個体も、しっかりベタベタしていた。「越冬時の防寒&防乾燥用」ならば、冬が来る前に脱皮で脱ぎ捨ててしまう体表面にわざわざ手間をかけて塗りつける意味がない──脱皮前の「塗りつけ」は全くの無駄ということになってしまう。
《べたべたしたからだにすることで、うっかりくっついた虫をえさにするため》という説も疑問があるが……それは後の記事で記すことにして……。
また、引用した後半の《泥や木の葉、アリの死がいなどをからだにつけて歩くヤニサシガメもいるので》という部分は、おそらくヤニサシガメではなくハリサシガメ(別種)のことではないかと思う。

本書で紹介されていたカメムシうんちくには面白い情報もふくまれているのだが……残念ながら、科学マインド的な深みが感じられない。実体験に根ざした知見ではなく、「知識」として集めた情報を「頭で書いている」感がしてならない。もう少し昆虫に造詣のある人が執筆していれば「こなれた」面白い本になったのではないか……という気がしないでもない。


*ヤニサシガメのベタベタは分泌物なのか松ヤニなのか?

https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-599.html

●昆虫など~メニュー〜
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-902.html

ヤニサシガメぷち飼育中

ヤニサシガメのプチ飼育



10月半ばから地味~な昆虫を飼育している……。ヤニサシガメという捕食性カメムシの幼虫だ。これまで見かけてもあまり気にとめない昆虫だったが……ちょっと確かめたいことがあってプチ飼育を始めたしだい。その内容については後日まとめて投稿する予定(*)。
そんなわけで、どういう昆虫なのかもあまり知らず、飼育ノウハウも皆無のまま、ヤニサシガメの幼虫をこんな簡易セットで飼うことにした。


容器は100円ショップで買った数個セットになったランチ系(?)グッズ。
枝はヤニサシガメの止まり木用。ここに止まっていれば、エサとなる虫が登って来くるだろうから遭遇率が高まる──狩りのチャンスを増やす場となることを期待しての設置。
濡れたテッシュペーバーを詰めたペットボトルのフタは乾燥防止と水分補給用。テッシュペーバーを詰めたのは水だけだと溺死する危険も配慮して。
フタには通気孔としてピンで孔をあけた。


ヤニサシガメは捕食性なので、エサに生きた虫が必要となる。飼育する幼虫が小さいのでそれなりのサイズの虫でなくてはならない。あまり頑丈そうなものや攻撃力のあるものは避けた方が無難だろう。よく飛んだり跳ねたりする虫は容器を開けた時に逃げ出すとややこしいから、候補から外し……この時期に安定供給できるものは何だろうかとか、どこへ行けば採れるだろうかとあれこれ思案する……。




メダカナガカメムシは、いるところではクズの葉の裏にけっこうみつかる。
サクラの枝の下のフェンスではハバチの仲間の幼虫がよくみつかる。


マテバシイについていた大型のアブラムシ↓。



飼育開始時、何種類かの虫を与えてみたところ、捕食する気配が見られず、やきもきした。飼育環境を警戒してのことか、与えた虫がエサとしてふさわしくないのか(であれば、他の虫を調達してこないといけないわけで、何が良いかまた思案しなければならない)、それとも、単に腹が減っていないだけなのか……。

ようやく捕食を確認し一時ホッとしても、油断はできない。そもそも、捕食性の昆虫となると、どのくらいの頻度で食事をするものなのか、そのあたりのことからして判らない。飼育下に置いた虫の行動が正常なのか異常なのか(元気か否か)をきちんと判断できるだろうか……と、ヤニサシガメ幼虫の一挙手一投足に右往左往する。

今回飼育で知りたかったことを確認するには脱皮をさせる必要があったのだが、この難関(?)を無事にクリアできるのか……その不安が大きかった。
「昆虫は脱皮をする」なんてことは誰でも知っているあたりまえのことだが、実際に自分の飼育管理下でそれをクリアせねばならないとなると気が気でない。
「妊婦は出産する」というのは誰もが知っているあたりまえのことだが、いざ自分のヨメが出産するとなると右往左往するオットになったような気分……。

ヤニサシガメがどんなところで脱皮するものなのか、僕はこの時点では知らなかった。何か参考にならなるものはないかと思いめぐらせ、ヨコヅナサシガメがサクラの幹や擬木などの鉛直面で羽化や脱皮をしているのは何度も目にしていたのを思い出した。


擬木の鉛直面で脱皮するヨコヅナサシシガメ幼虫↑とサクラの鉛直面で羽化するヨコヅナサシガメ成虫↓。


ヤニサシガメもおそらく同じようなスタイルだろうと考え、飼育容器の中に樹皮(トウカエデのもの)で鉛直面を設置。脱皮前にはこの鉛直面で動かなくなるだろうと予想していた。


しかし、ヤニサシガメはエサをとらなくなり枝の下にぶら下がる形でじっとしていることが多くなった。脱皮前のようにも思えるが……弱ってきたとも考えられなくはない……。
弱っているのなら、何が悪いのか早急に検討して手を打たねばならない……あれやこれや考えながら気をもんだが、枝にぶら下がったまま無事に脱皮を果たした。


その後、松葉にぶら下がった形で脱皮したヤニサシガメの抜け殻をいくつも見つけた。鉛直面ではなく細いものにぶら下がるのがヤニサシガメの基本的な脱皮スタイルなのかもしれない。




中には脱皮不全のまま絶命している個体も……。


昆虫が脱皮するのはあたりまえのことのように認識していがちだが、自然の中でも脱皮不全や羽化不全は少なからず存在する。こうしたシーンを見ると、脱皮の大変さを改めて実感せずにはいられない。そして飼育下で無事に脱皮までこぎつけたことに、安堵とも感慨ともつかないものを感じるのであった……。

「知識」としては知っていても、実際に昆虫の脱皮を見ると──あの細い触角までキレイに抜けて、「こいつら、スゴイことをやりよるなぁ……」と驚き、感嘆せずにはいられない。
ふだん見かける昆虫は──害虫も含め、こうしたプロセスを経て存在しているのだと思うと、ぞんざいに扱えない気分になる。

「脱皮」なんて、誰もが知っているあたりまえのコトだが、【知識】(二次情報)として知っているということと、実態を目の当たりにして【観察】して(一次情報として)感じることとでは、理解の度合いがずいぶん違う──【地図】と【風景画】ほどの違いがあるように改めて感じるしだい。

好きで飼い始めた虫ではないが、飼育し始めると、目が離せず、あれやこれや気になってしかたがない今日この頃なのであった……。


10月前半の空目&人面虫ほか

10月前半の空目&人面虫

もう何度もネタにしている常連メンバーだが……いると撮ってしまう。ということで、10月前半に撮影した虫から。




キアイを入れればお地蔵さんに見えるアカシマサシガメ。この画像↑では光の反射が口に見え、不二家のペコちゃんの顔に見えなくもない!?
昆虫ではないが、クモの人面系といえば、ビジョオニグモ↓。


王冠をかぶったヒゲの王様に見えなくもない!?


「美女鬼蜘蛛」というより「王様鬼蜘蛛」の方がふさわしい……そう感じてしまうのは僕だけであろうか?
昆虫では、その名も「ジンメンカメムシ」という外国産カメムシがいるが、国内にも人面に見えるカメムシは存在する。オオホシカメムシもそのひとつ↓。




オオホシカメムシによく似たカメムシで、ヒメホシカメムシというのがいるが、これは腹が黒い(※【《顔がある》虫たち:スジベニコケガ他】)。


10月前半に撮ったその他の昆虫から





ヤマトタマムシは夏の昆虫という感じがするが、ウバタマムシは1年を通して見かける昆虫。
落葉が始まると擬木の上で見かけることが多くなるニホントビナナフシ↓。


本州では単為生殖とされている。これ↑はメスだが、(東京でも)まれにオスも見られ、2013年の12月には交尾も確認できた(※【ニホントビナナフシ東京でも両性生殖】)。
このところめっきり涼しくなったが……陽当たりの良いクワの葉の上に、ストライプがオシャレなテングスケバが出ていた↓。



緑~赤金に輝くアオクチブトカメムシ

緑~赤金に輝く10月のアオクチブトカメムシ成虫



擬木の上にいたアオクチブトカメムシ成虫(この個体は右中脚が欠けていた)。金属光沢があって、光の入射角や見る角度で色合いが変わる。背面ショットでは赤~金色の印象も強いが、角度を変えるとメタルリックな緑色に見える。


さらに反対側から見ると──↓。


この角度では小楯板の半分──手前が赤っぽく・奥が緑色に見える。翅(前翅革質部)も手前は赤みを帯びた金色・奥は緑色に見える。
秋にみかける個体は新成虫よりも赤みが目立つように思う。
ということで、昨年の新成虫が見られる6月と秋が深まった11月の成虫の比較↓


(※↑【アオクチブトカメムシの輝き】より再掲載)


(※↑【モンキツノカメムシとエサキモンキツノカメムシ他】より再掲載)

アオクチブトカメムシの幼虫



今年の4月末にミズキの葉の上に固まっていたアオクチブトカメムシの幼虫。90度回転してアップにした画像↓。


幼虫の群れの中に脱皮したばかりの個体が2匹、その抜け殻(黒っぽいもの)もある。アオクチブトカメムシは捕食性だとばかり思っていたが、『カメムシ観察事典(自然の観察事典25)』(構成:小田英智/文&写真:新開 孝/偕成社)によると、1齢幼虫は植物の汁を吸い、2齢になると他の昆虫などの体液を吸うようになるそうだ。


この頃↑は、ちょっとアカスジキンカメムシの若齢幼虫にも似ている。


このあと5月下旬~6月頃に新成虫が見られるようになる。
成虫は捕食性だが植物の汁を吸うこともあるという。


ハリサシガメぷちまとめ

逆《ハ》模様がトレードマークのハリサシガメ成虫





この夏、雑木林のふちにあたる石垣で初めて目にしたハリサシガメ。成虫は体長14.5~16mmほどの捕食性カメムシで、墨を流したような黒い翅に「ハリサシガメ」の頭文字──《ハ》を逆さにしたような模様が目をひく。そこでTokyoToraカミキリ同様、背中のトレードマークをロゴに使ってみたしだい。
前胸の左右の角(前胸背側角)もお気に入りだが、背中に突き出した棘状の突起がユニークでカッコ良い。


ハリサシガメは長翅型と短翅型が混在する翅多型で、翅の長さは個体によってかなりバラツキがある。僕が見た数ペアでは全てが長翅型♂と短翅型♀という組み合わせだった。






ゴミをまとってカムフラージュする幼虫



捕食した獲物の死骸を背負ってカムフラージュする幼虫──といえば、クサカゲロウの仲間が思い浮かぶが、カメムシの仲間でこんなことをするものがいるとは驚きだった。クサカゲロウ幼虫が「背中に乗せる」だけなのに対し、ハリサシガメ幼虫は腹や脚にまでもゴミをくっつけていて、かなり念入りだ。主にアリを捕らえて体液を吸うようだが、そうした獲物の残骸や土粒、ゴミなどを体にまとう。


石垣の上にいたハリサシガメ幼虫↑この画像ではハリサシガメ幼虫は画面右を向いている。乾燥した土の粒をまとっていて体はほとんど見えない。これが土の上ではボディラインが隠蔽され、ゴミにしか見えない↓(別個体)。


ちなみに、このハリサシガメ幼虫↑は画面左下を向いている(よく見ると触角と前脚ふ節が写っている)。

イリュージョンな抜け殻にビックリ



アリやワラジムシの死骸をまとったハリサシガメ幼虫↑(画面左を向いている)──と思いきや、これはハリサシガメが羽化した後に残された抜け殻。頭のうしろに、わずかに白い糸くずのような気管の抜け殻部分がのぞいているが、成虫が脱出した裂け目はわからず、一見これが抜け殻だとはとても気がつかない。
《抜け殻の見事さではチャンピオン》ではないかと感心する。ヘビもほぼ全身無傷のみごとな抜け殻を残すが、抜け殻であることは一目瞭然。セミの抜け殻もかなりキレイに残るが、背中に脱出するさいの裂け目は残ってしまう。脱皮(羽化)前の姿を完璧に残すという点でいえば、ハリサシガメの抜け殻は見事というしかない。
「抜け殻」とは気づかず「死骸」だとばかり思って回収した別の抜け殻↓。


抜け殻の触角や脚はもろく、すぐに折れてしまった。体の背面だけではなく腹面も土粒でおおわれ、腿節や脛節までゴミを付着させているのがわかる。


この抜け殻から付着物を取り除いていくと、抜け殻の頭部および前胸背面に成虫が脱出した(羽化した)裂け目が見えてきた↓。


付着物の中にはアリの死骸がいくつかあったが、ずいぶん大きさが違うものが混在しており、意外に感じた。この時は「ハリサシガメ終齢幼虫が、こんなに小さなアリを捕食するものだろうか?」と疑問に思え、「小さなアリは《若齢・中齢幼虫時代に狩ってデコレーションしていた素材》で、これを脱皮後も流用しているのだろうか?」とか、「ひろったアリの死骸をデコレーションしたのだろうか?」などと想像したが、後に目の前で成虫が極小アリを捕食する場面に遭遇し、小さなアリでも獲物の対象になるのだということを確認できた。
ちなみに、濡らした筆でさらに付着物を落とした抜け殻↓。


アリを捕食するハリサシガメ成虫



ハリサシガメ成虫がとまっていた石垣を極小アリが横切りかけた瞬間──それまでじっとしていたハリサシガメが素早く飛びつき、餌食にしてしまった。それぞれのステージで自分の大きさに見合ったサイズのアリ(ばかり)を狩るのだろうと思い込んでいたが、そうでもないらしい。羽化後の抜け殻に小さなアリの死骸が混じっていたのも、ちゃんとハンディングしたあとの戦利品(?)だったのだと納得した。
体に見合ったサイズのアリをハンティングする瞬間も一度目にしたことがあった↓。


この画像↑では判りにくいがハンティング直後、アリの頸あたりにハリサシガメの口吻が刺さっている。
別の食事シーン↓。


このときはアリを捕らえる瞬間は見逃したが、食事中、何度か口吻を刺し直しており、画像では腹の付け根に口吻が差し込まれている。

日本原色カメムシ図鑑でハリサシガメ

この夏はじめて知って、にわかに注目しているハリサシガメ。個人的には大いに面白いと感じているカメムシなのだが……その割りに、この昆虫に関する情報は少ない……気がする。

僕には高価な図鑑なので購入はあきらめていたのだが……陸生カメムシ類に特化した『日本原色カメムシ図鑑』全3巻あたりにはどう記されているのか調べてみたくなった。図鑑の内容を紹介したサイトを見ると、サシガメ科のカメムシは『日本原色 カメムシ図鑑』と『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』に掲載されていることになっている。
図書館で読むことができないかインターネットで蔵書検索をしてみたところ、『日本原色 カメムシ図鑑』については、市内では中央図書館に1冊あるだけ。『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』に関しては多摩六都(小平市・東村山市・清瀬市・東久留米市・西東京市)の全5市(以前は6市で構成されていたが田無市と保谷市が合併して西東京市となり現在5市)の全図書館の中で蔵書は西東京市中央図書館のただ1冊のみという寂しい状況が判った。
図書館には小遣いで買える人気作家の新刊本より、個人で買うのが難しい図鑑等の(調べもので活用できる)資料を充実させてほしい……などと思いつつ、それぞれの図書館へ出かけてみた……のだが……。

日本原色 カメムシ図鑑』に関しては、なんとハリサシガメは掲載すらされていなかった。9,030円(+税)もする陸生カメムシ専門の図鑑で、こんなおもしろいカメムシがスルーされていたとは……。
日本原色カメムシ図鑑 第3巻』の方は(ネットの書籍紹介では)サシガメ科110種が掲載されているとのこと。【特色】には《859点の鮮明な生態写真》《普通種はもちろん、稀種も生態写真で掲載されています》《可能な限り各発育ステージの写真を掲載》《成虫以外の、各齢期幼虫や卵などのステージの生態写真もできる限り掲載し、幼虫での同定もある程度可能になりました》などと記されてある。お値段も12,000円(+税)とゴーヂャスなので内容もきっと充実しているハズと期待して3駅離れた図書館へおもむいたのだが……ハリサシガメについての記述は思いのほかあっさりしており、「たったこれだけ?」とガッカリした。
記されていたのは形態の説明部分をのぞくと、【ハリサシガメ属】の項目で《幼虫はアリの残骸やゴミを背負うという特徴的な行動を示し、隠蔽のひとつと推察される。日本には1種のみが知られる》と記され、【ハリサシガメ】の項目で《珍しい種だが、荒原で地表を徘徊しているのが確認されているほか、墓地といった人為的環境からも見つかっている。アリ類を捕食する》と記されているくらい。
形態の説明部分でも翅多型については触れられておらず、特徴的な背中の棘状の突起についても(もしかするとこれが和名の「ハリ」の由来ではないかと想像していたりもするのだが)記されていない。和名の由来も、産卵時期&産卵場所・孵化の時期などの知りたかった情報も得られなかった。掲載されていた写真は短翅型の成虫♀と4齢幼虫の2枚だけだった。
「図鑑」は種類を特定できる情報があれば、それで充分なのかもしれないし、(限られたページ数の中では)種ごとの詳細情報よりも多くの種類をカバーすることの方が大事なのかもしれないが……個人的には、物足りなさを感じたというのが、正直なところ。
とりあえず、ハリサシガメの項目が載っている1ページをコピーしただけで、さびしく帰宅したのだが……『日本原色 カメムシ図鑑(第1巻)』では取り上げられず、『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』でもあっさりめの紹介にとどまっていたハリサシシガメについて、「こんなにおもしろいカメムシなのになぁ」という気持ちから、あらためて興味深いところをプチまとめしてみたしだい。


ハリサシガメは翅多型/腹の大きなメス

9月下旬のハリサシガメ・ペア/長翅型♂&短翅型♀

9月の石垣シーリズ(?)最後は、この石垣で本命のハリサシガメ。7月下旬に初めてここでハリサシガメを見つけた頃、交尾中のペアをよく目にした。その後だんだんペアを見る機会が減っていったので、繁殖活動は7月下旬から8月上旬頃がピークなのだろうと思っていた。しかし、9月も下旬になって久しぶりに交尾ペアを見つけたので記しておくしだい。






同一個体群内で翅の長さに明確な多型(形態的な差)を生じるものを翅多型(or翅型多型)というそうだが、ハリサシガメ成虫の翅の長さは個体によってまちまち。僕が見た交尾中のペア数組では、すべてが長翅型♂と短翅型♀の組み合わせだった。
7月末~8月初めに見ていたペアと比べると今回見つけたペアは♀の腹が大きく膨らんでいた。おそらく卵が詰まっているのだろう。

長翅型・短翅型・中間翅型(?)/ハリサシガメは翅多型



これは翅が長めの長翅型個体。もっと長い翅を持つものもいる。この個体↑↓は左触角が途中で切れていた。


長翅型に対して翅が短い短翅型個体↓。


そして、長翅型と短翅型の中間型ともいえる翅を持つ個体↓。


同じ時期に同じ場所でみつかる同種なのに、これだけ翅の大きさが違うというのはフシギな気がする。
この昆虫についてはまだまだ謎が多い(単に僕が知らないだけなのだろうが)。ゴミをまとってカムフラージュする終齢幼虫は興味を持って見ることができたが、卵をいつ、どんなところに産みつけるのかとか、孵化の時期、若齢幼虫が現れるのはいつなのかなど……そのあたりも気になっている。

石垣わきの草にとまる若齢サシガメは!?

そんなことを考えつつ石垣チェックをしていたところ、石垣わきの植物にサシガメの若齢幼虫がとまっているのに気がついた。


ハリサシガメの出現率が高い場所だったので、もしやこれがハリサシガメの若齢幼虫ではあるまいか!?──と期待が高まる。肉眼ではよく見えずカメラを向けてクローズアップしてみたところ、アリが頻繁にフレームインしてくる。


近くの同じ植物にはアブラムシ(アリマキ)がついていてアリがとり巻いていた。このサシガメ幼虫がとまっている茎にアブラムシはいなかったが、アリは頻繁に上り下りしていくる……アリをエサとするハリサシガメがいても不思議はないではないか。むしろ、狩りの場所としては、茎にとまって待っていればアリの方からやってくるし、アリの逃げ場が少ない茎の方が(地面などの開けた場所で狩りするよりも)狩りの成功率も稼げそうな気がする。
まだカムフラージュする以前のハリサシガメ若齢幼虫ではあるまいか……などと期待をして撮ってみたのだが……どうやら、これはシマサシガメの幼虫だったようだ……。





ぷち地蔵アカシマサシガメQuiz

なんちゃってプチ地蔵アカシマサシガメのなぞなぞ

9月下旬の石垣シリーズ(?)がまだ残っていたので……。ハリサシガメヒガシニホントカゲアオダイショウなどの観察舞台となった石垣で出会ったアカシマサシガメ。


これまで何度もネタにしているが、見つけるとやはり撮ってしまう。


というのも《キアイを入れれば見える空目ネタ》であったりするからだ。


なんちゃってプチ地蔵ネタはもう何度も使っているので(*)、これだけでは目新しさに欠ける……何か新しい切り口で──とあれこれ考えてみた。
「地蔵」というのは「地蔵菩薩(ぼさつ)」の略だそうで、仏教の信仰対象である菩薩のひとつになるらしい。「仏教」→「仏の教え」……と連想を広げ、「仏」という文字から、「なぞなぞ」のヒントを思いつく……が、これがなかなかキレイにまとまらない。
いささか強引な、ちょっと(かなり?)イマイチな「昆虫なぞなそ」になってしまったが……いちおう、こそっと記しておくことにする。


なんちゃってプチ地蔵ということで、アカシマサシガメが説法している。さて、「誰に(何に)話しているのか」──というのが問題。
【仏に託して活きる】──この中から1文字を取って残りを並べ替えると答が見えてくるという、並べ替えなぞなぞ。


──と、ジョロウグモ♀の腹側から撮った空目画像をさしはさんでみる。


──ということで、答は↓。


「仏に託して活きる」→1字取って並べ替え→「(き取って)イモムシに話してる」
なんちゃってプチ地蔵が話している相手は「イモムシ」というのが答。
……お粗末でした。

着想は「仏」の文字が半角カタカナの「イム」に空目(?)できるところから。あと「モ」と「シ」があれば、並べ替えて「イモムシ」になる。
ある意味を持つ文字列を並べ替えて別の意味を持つ文章に再構成せよという設問で、文字単位という常識の裏をかいて漢字の偏(へん)と旁(つくり)を分離りして並べ替えることで正解にたどりつける答を用意できたら「なぞなぞ」として成立する──そう考えた次第。
このアイディア自体は悪くはないと思うのだが……これがなかなかスマートな例が思いつかなかった……。
昆虫を見ていると、その興味深い生態などに「なぜ?」「どうして?」──と、あれこれ思いを廻らせてしまいがちだが……こうした、しょーもないコトも考えてしまうのであった……。

ついでに、サシガメつながりで……9月に撮っていたが投稿の機会がなかったアシブトマキバサシガメと思しき昆虫をくわえておく。