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2016年02月の記事 (1/1)

2月の極小カミキリ~マエムキダマシ

今年初のカミキリ:ヘリグロチビコブカミキリ



体長4mmほどのこのヘリグロチビコブカミキリが今年初のカミキリとなった。この日、ギボッチ(擬木ウォッチ)コースをご一緒したカミキリ屋さんが見つけたもの。昨年も一昨年も1月にヘリグロチビコブカミキリとキボシカミキリを見ている(【新年初カミキリ他】【新年2種目天牛はキボシカミキリ】)のだが……今年は2月も後半になって、ようやく1匹目。例年に比べ出会いが少ない。
個人的には《冬のカミキリ》というイメージのあるヘリグロチビコブカミキリだが、今シーズンは11月に1匹目をみつけ、さい先いいと思いきや……12月半ばに2匹目を見たきりで、1月はなんと0。今回の個体が今シーズン3匹目だった。
この極小カミキリとの出会いが少なくなったのは、ギボッチ・コースのフェンス際にあった発生木とおぼしきミズキが伐採されてしまったこともあるだろう。


発生木だったのではないかと思われるミズキの伐採あと↑。以前はこの近くでしばしばヘリグロチビコブカミキリが見られたのだが、伐採後はさっぱり……。
もちろん他でもどこかで発生しているのだろうが、この極小カミキリを目視で見つけるのは擬木や欄干等の人工物でないと難しい。発生木がフェンス際であれば、付近の擬木や欄干にとまる可能性が高くなるので発見率も高くなる。そうした条件の良い場所にある発生木が切られてしまったたことで以前より発見率が落ちたのだろうと想像している。このミズキはGW頃にはヨコヤマトラカミリやトウキョウトラカミキリなども訪花していたので残念だ。
以前は遊歩道脇の木の枝が天然のアーケードのように頭上に張り出していて、(そこから落ちた虫が這い上がってくるので)擬木の虫も多かった。しかし最近は張り出した枝が切られたり、フェンス際の木の伐採も進み、緑地管理が過剰になってきた気がする。


こうした影響で、擬木などで見られる虫も減ってきた感じがする。


この周辺は「いい感じ」の桜の古木が多いのだが、そろそろ寿命ということもあってか、かなり伐採が進んでいる。ここ↑では古木が切られる前には周辺の擬木などでシモフリトゲエダシャクが見られたが、伐採後、昨シーズン・今シーズンと♀の姿は見ていない。
以前フユシャクがよく見つかったサクラッチ(桜ウォッチ)コースも伐採や枝打ちが進んでからは不作で、昨冬もそのことを記している(【桜ッチは不作~謎のフユシャク!?】)。しかし今冬は更に虫が少ない。
今冬は年が明けてからも擬木周辺の落葉の撤去作業が執拗に続いていて、その過程で擬木の虫もエンジンブロワーで吹き飛ばされているらしい。落葉のシーズンに路面の落葉を撤去するのは仕方が無いないとして……真冬に植込みの中にある落葉までかき出して撤去していく必要があるのだろうか。


こんな作業↑(植込みの中の落葉をわざわざ歩道にかきだしたところ。この後落葉は運び去され、エンジンブロワーで残されたゴミを飛ばして仕上げ)が年明けもずっと続けられている。擬木ぞいの植込みでも落葉が撤去されたことで、落葉の下で越冬していた虫たちもごっそり処分されてしまったことだろう。
植込み内に残された落葉など人の邪魔にはならないし、植込みにとっても霜よけになるだろうから残しておいて良さそうな気がする。落葉は放っておけば土壌生物が分解し土に返る。植込みの養分として再利用・有効活用されるのではないか? 冬はよく野鳥達が植込みの中で落葉を掘り返している姿を目にするが、野鳥のエサ場としても役割りを果たしているのではないかと思う。
近年、緑地管理が過剰になってきたと感じてはいたが……こうなると「過剰」というよりはもはや「無駄」──わざわざ予算をつぎ込んでする作業なのだろうかと首を傾げたくなる。
いずれにしても、こんな状況なので、今冬は擬木上の虫が極端に少ない。以前は冬でもテントウムシやゾウムシ、ゴミムシ、ハネカクシ、カメムシ、コミミズク幼虫、クサカゲロウ幼虫、ヒラタアブ幼虫その他諸々の極小昆虫やクモなどが色々見られたが、今冬の擬木は閑散としている……。

そんなわけで最近は、これまでのギホッチ・コースやサクラッチ・コースとは違うポイントで見つけた虫の割合が増えている。

2月後半の昆虫

この時期の昆虫といえば、♀の翅が退化したフユシャク(冬尺蛾)。シロフフユエダシャクは、相変わらずよく目にする。


ガートパイプにとまっていたシロフフユエダシャク♀↑。よく擬木や支柱の上面ふちにとまっているが、こうした段差やちょっとしたくぼみにいることも少なくない。


木製の手すりのビスを打った凹みに隠れて(?)いるシロフフユエダシャク♀↑。
フユシャク亜科の♀は、産卵後の腹が凹んだり縮んだりした個体の割合が増えてきた↓。


この個体↑は状況からクロテンフユシャクの♀ではないかと思う。やはりクロテンフユシャクではないかと思わせる♀の産卵前の姿↓。


フユシャク亜科の♀はその姿から種類を特定するのが(僕には)難しいが、桜並木ぞいのフャンスで、これまでウスバフユシャクのペアや単独♂をいくつも見ていることから、これ↓はウスバフユシャク♀だと思う。


前の記事で紹介したヒロバフユエダシャク・シロトゲエダシャクは、その後♀の姿はなく、目につくのは飛翔できる翅を持つ♂のみ。


桜の幹にとけこみ意外に目立たないヒロバフユエダシャク♂↑。
シロトゲエダシャク♂はカエデの幹で、白っぽい模様(地衣類?)にまぎれていた↓。


シロトゲエダシャク♂は擬木にとまっていると目立つが、擬木に溶け込んでいる蛾も……↓。


シロテンエダシャクは早春の蛾。フユシャクではなく、♀も♂同様の翅を持っている。この個体↑は上翅の「白点」模様が不鮮明だったので、もう少し「白点」が判りやすい別個体↓。


他にも早春の蛾が色々出始めている。最近みかけるようになった小ぶりだがキレイなナミシャク↓。


毎年、冬から春に移り変わる頃よく目にする蛾。緑色がキレイにでた個体が僕の好みだが、体色はいろいろ。ウスベニスジナミシャクではないかと思うが、シロシタコバネナミシャクという似た種類がいて僕には区別がつかない……。
やはり緑色がキレイな蛾がいたので撮ってみた↓。


調べてみるとアカモンナミシャクのようだ。サクラの幹にとまっていたが、幼虫の食植物はシラカシらしい。これも早春の蛾。

マエムキダマシなクロスジホソサジヨコバイ

今冬は擬木の虫が少ないので、昨冬クロスジホソサジヨコバイを撮ったシャクナゲをのぞいてみた。




これ↑は通常の葉の裏側から見たところ。葉を裏返し順光で撮ると↓。


順光では本物の脚がハッキリ見えるが、葉の裏にとまっているときは葉の透過光に溶け込んで脚は隠蔽、かわりに翅にある黒い模様が眼と脚に見えるというしくみになっている。頭の位置を誤認させるということから「マエキダマシ」の別名を持つこの昆虫──興味深い模様の意味するところについては、昨シーズンの記事(【マエムキダマシ!?クロスジホソサジヨコバイは誰を騙すのか?】で思うところを記している。

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振袖フユシャク【卒】を探せ~トギレフユエダシャク♀

振袖フユシャク【卒】を探せ・ヒロバフユエダシャク♀

前回の【振袖チックなヒロバフユエダシャク♀他】に続いて振袖フユシャクこと(?)ヒロバフユエダシャク♀から。
この日の天気は予報では「晴れ」──出かけるつもりは無かったのだが、午前中雨がパラつき空がどんより暗かった。こういう曇りがちの日にはフユシャクが出ていそうな気がして、近場の桜並木をちょろっと見に行ってみた。期待したのは振袖チックなヒロバフユエダシャク♀──輪郭が太文字の【卒】に見えるので、桜の幹に【卒】を探す。
「桜っち(桜ウォッチ) 探してみよう 【卒】の字を」──サクラッチャー(桜ウォッチャー)心の川柳。


雨でまだ濡れているサクラの幹に、あっけなく【卒】を発見。


ヒロバフユエダシャク♀であった。パッと見が「卒」あるいは「率」っぽく見える。


フユシャク(冬尺蛾)のメスはどれも翅が退化しているが、ヒロバフユエダシャク♀は、その(オスに比べると)小さな4枚の翅を展翅したかのように広げた姿が凛々しい。前翅よりも大きな後翅が「振袖(ふりそで)」のように見えるのは僕だけであろうか?
「降りそうで 降らないときの 振袖蛾」──サクラッチャー心の川柳。
この日最初のヒロバフユエダシャク♀を見つけた木には、少し高い所にもう1匹♀が止まっていた。一応撮ってはみたがイマイチ画像だったのでカット。
しかし、同じ木で2匹見られたということは、条件の良い日なのかもしれないと考え、他の桜の幹もチェック。すると──、


水平に近い角度で伸びた桜の幹(大枝?)に3匹目のヒロバフユエダシャク♀を発見。よく見ると、近くにウスバフユシャクとおぼしき♀もとまっていた。


幹にとまったヒロバフユエダシャク♀は頭を上にしていることが多いようだ。3匹目♀の画像を90度回転したもの↓。


さらに桜並木をチェックしていくと、ヒロバフユエダシャクの♀と♂が↓。




一緒にいると、フユシャク(冬尺蛾)の特徴──雌雄の格差が大きいことがよく判る。


この前翅より立派な(大きな)後翅が振袖っぽく見える。♂と一緒にいたこの日4匹目のヒロバフユエダシャク♀↓。


さらに、この日5匹目のヒロバフユエダシャクの♀↓。


そして、この日6匹目のヒロバフユエダシャクの♀↓。


この♀は腹が凹んでいた。産卵途上あるいは産卵後なのだろう。この日は6匹のヒロバフユエダシャク♀と4匹のヒロバフユエダシャク♂を確認。いずれもサクラの幹にとまっていた。同じ日にこれほどの数のヒロバフユエダシャクを見たのは初めてだった。

今シーズン初のシロトゲエダシャク



♂はボチボチ見かけていたので、そろそろ♀も見られるのではないかと思っていたシロトゲエダシャク。これが今シーズン初の♀個体。


卵がつまってパンパンに張った腹──節部分からのぞく緑色の地肌(?)が、チビTシャツからはみだした豊満な腹を思わせる。ヒロバフユエダシャクの♀に比べると翅はだいぶ小さい。シロトゲエダシャクももちろんフユシャクだが、標準和名に「フユ」が入らないフユシャク。
この時期よく見られるシロフフユエダシャク♀とシロトゲエダシャク♀の大きさ比較↓。


ちなみにシロトゲエダシャク♂は、飛翔できる翅を持った普通の蛾↓。


今シーズン初のトギレフユエダシャク♀



トギレフユエダシャク(旧称トギレエダシャク)♀も出ていた。これも今シーズン初。昨シーズンの初個体確認は3月10日だった(*)。


フユシャクのメスとしてはかなり大きい翅を持つトギレフユエダシャク。その翅の模様はなかなか味わいがある。また翅のふちのギザギザ&縁飾りがなんともオシャレ。




振袖チックなヒロバフユエダシャク♀他

振袖チックな!?ヒロバフユエダシャク♀



ヒロバフユエダシャク♀は4枚の翅を展翅したかのように広げてとまる姿が凛々しく見える。ことに目を引くのが前翅よりも大きな後翅だ。この立派な後翅が艶やかな《振袖(ふりそで)》を思わせる──そう感じるのは僕だけだろうか?


《振袖》といえば、もうすぐ──《卒業式》のシーズンにも見られるが、振袖チックなヒロバフユエダシャク♀がとまった姿は、その卒業式の「卒」の字っぽくも見える──極太文字の「卒」。幹に止まったヒロバフユエダシャク♀が目に入った瞬間は、「あ……【卒】だ!」と思わないでもない。


ヒロバフユエダシャクは冬にだけ(成虫が)出現するフユシャク(冬尺蛾)のひとつ。フユシャクは《蛾でありながら♀は翅が退化して飛ぶことができない》という特徴をもつが、♀翅の退化の度合い(翅の大きさ)は種類によって格差がある。その「退化した翅」を最もきれいに広げているのがヒロバフユエダシャク(♀)ではないかという気がする。前翅も後翅もよくわかるポージングはアッパレ。
♀はとてもユニークな姿だが、♂の姿は、きわめて普通(の蛾)↓。


シロフフユエダシャク





この時期によく見られるのがシロフフユエダシャク。手すりや擬木などで目にすることが多い。目立つ上面にとまっていることも多いが、ちょっとした凹みや段差に隠れるようにしてとまっていることも少なくない。体の色や模様のコントラストは個体によって様々。




シロフフユエダシャク♀も退化した小さな翅を持っているが、ヒロバフユエダシャク♀のようにびしっと広げられていることは少なく、ちぢれがちで、形がわかりにくい。
シロフフユエダシャクも♂は普通の蛾↓。


前の記事【ヒロバフユエダシャクとシロフフユエダシャク】でも記したが両種の♂は翅の模様がよく似ていたりする。

クロテンフユシャクとウスバフユシャク



カエデの幹にとまったクロテンフユシャク単独♂……かと思いきやペア。♂の翅の下に♀が隠れていた。




こちら↓は、擬木にとまっていたクロテンフユシャク。やはり、よく見るとペア。




クロテンフユシャクを含め、フユシャク亜科のフユシャクは♀の翅が消失していて、どれもよく似ている(ように僕には見える)。クロテンフユシャクに似ているが、おそらくウスバフユシャクではないかと思われる♀↓。




桜並木沿いのフェンス↑で、ここではウスバフユシャクの♂やペアがよく見られる。おそらくこの♀もウスバフユシャクだろう。
ウスバフユシャクのペア・ショット↓。




このフユシャク♂は、前翅の外横線だけに注目するとクロテンフユシャクっぽくも見えて(クロテンフユシャクは前縁近くで「く」の字に曲がる)まぎらわしい個体。しかし全体的な色合い(クロテンフユシャクより褐色が濃い)や前翅外横線の外側が白っぽいことからウスバフユシャクだろうと判断した。基本的な特徴が顕著なものは見分けやすいが、まぎらわしい個体もけっこういるように感じる。

その他の鱗翅

冬に活動している蛾はフユシャク以外にもいる。ハイイロフユハマキはかつてフユシャクモドキと呼ばれていたハマキガ科の蛾(フユシャクはシャクガ科)。今の時期、フユシャク同様、ペアをみかける。ハイイロフユハマキはフユシャクではなく、♀も♂同様、ちゃんとした(?)翅を持っている。



蛾ではないが……チョウらしき虫影が目の前を横切り日向に降り立ったので、のぞいてみると、翅を広げていたのはテングチョウだった。




ヒロバフユエダシャクとシロフフユエダシャク

ヒロバフユエダシャクとシロフフユエダシャク



もうそろそろ見られる頃だと思っていたヒロバフユエダシャクが出てきた。これ↑が今シーズン初のヒロバフユエダシャク♂。♂が出てきたのだから、♀も……と期待していると──いた↓。


今シーズン初のヒロバフユエダシャク♀↑──だったのだが、ちょっと、おかしい。ヒロバフユエダシャク♀は後述のシロフフユエダシャク♀と違ってびしっと翅を広げた姿が凛々しくて好きなフユシャク(冬尺蛾)なのだが……この個体はその翅の開き具合が変だった。よく見ると右後脚の先端も欠けている。撮りづらい場所だったので移動しようとすると擬死状態に↓。




動かないのをいいことに、顔(頭部腹面)のアップを撮影↓。


フユシャクの多くは口吻が退化していて成虫になっても餌をとらないらしい。
とりあえず、今シーズンもヒロバフユエダシャクの♂・♀両方の発生を確認。ちなみに去年は2月9日に初ヒロバフユエダシャク♀を見ている(*)。ならば他にもいるだろうとサクラを中心に探してみる。ヒロバフユエダシャクはこれまで擬木や柵でも見ているが、サクラの幹での発見率が高い。そして狙いどおりに──↓。


桜並木のサクラの幹にとまっていたヒロバフユエダシャク♂↑。雑木林のサクラでも↓。


そして同じ林の別のサクラでヒロバフユエダシャク♀を発見↓。


やはり4枚の翅をびしっと広げている姿は凛々しい。90度回転した画像↓(頭が上)。


よく見ると、この個体は前翅の先端がアメリカンカール(ネコ)の耳のようにわずかにカールしていた。






フユシャクといえば冬にだけ現れる蛾で、《♀の翅が退化している(飛翔能力がない)》ことが特徴の1つだが、翅が完全に消失してしまった種類のフユシャク♀は一見、蛾(成虫)に見えない。「蛾」だとわかる程度の翅があって、なおかつ退化していることがわかる程度に小さな翅であった方が、その特徴がわかりやすくて好ましい──などと個人的には思ってしまうのだが、そういった意味でヒロバフユエダシャク♀の翅はフユシャク♀の特徴がわかりやすく、《フユシャク♀らしい》良いモデルだと思う。


ところでこの【ヒロバフユエダシャク】同様、やはりこの時期に同じ場所で見られるフユシャクに【シロフフユエダシャク】がいるが、両者の♂の違いが以前はよく判らなかった。先のヒロバフユエダシャク♂と同じ日に同じ林のサクラの幹にとまっていたシロフフユエダシャク♂↓。


シロフフユエダシャクは今の時期、よく見られるフユシャク。この日も桜の幹で何匹かみつけている。ヒロバフユエダシャクよりも多い。
撮影したフユシャク♂が、ヒロバフユエダシャクなのかシロフフユエダシャクなのか、当初は判別がつかなかった。翅の模様(線)の入り方が両種とも似ており、この形の違いがどこにあるのか着目したのだが……翅の模様には個体差(変異)があって識別ポイントがよくわからない……。
ネット上の画像を見比べている時はよくわからなかったのだが、実際に両種を見てみると、ずいぶん印象に差があることに気がついた。
大きさには個体差があるのだが……パッと見た感じ、ヒロバフユエダシャク♂はシロフフユエダシャク♂よりも大きい。そして翅が丸みをおびてフォルムがふっくらしている。これに対してシロフフユエダシャク♂は前翅の前縁が直線的もしくは反っていてシャープな感じがする。翅の模様(線)は似ているが、翅の形から受ける印象がずいぶん違う。
ということで、桜の幹にとまっていた両♂の比較↓。


そのシロフフユエダシャクの♀の姿は、こんな↓。


♂の模様には変異があるが、♀も個体によって印象に差がある。




2月のウバタマムシ&冬尺蛾

2月のウバタマムシ



寒い日が続いているが……擬木の上で日光浴をしているウバタマムシをみつけた。冬でも陽が射していると、こうした光景に出会うことがある。虫が少ない冬場はフユシャク♀や極小昆虫の姿をサーチ対象にイメージして歩いているので、こういうデカい甲虫類に出くわすと「おっ!」と思う。脳内でくす玉がパカッと開いて紙吹雪とともに「大当たり」の垂れ幕が落ちてくるイメージ!?


ウバタマムシ(24~40mm)は、夏に見られるヤマトタマムシ(30~41mm)と大きさも形も似ているので、ヤマトタマムシのメスだと誤認されることもあったようだ。
キレイな大きな眼をしているが、よく見えるのだろう。カメラを近づけると動き出した。


きらびやかなヤマトタマムシに比べると地味な印象は否めないが、よく見るとなかなかシブくて味のあるデザイン&色合いをしている。背面の筋模様は立体的な構造になっていて、木材の年輪を引き立てて見せるためにやわらかい部分を磨いて凹ませた「浮造り(うづくり)」仕様のようだ──と、いつも感じる。


上翅にタテに走る筋模様が隆起しているのは(上翅の)強度を増すための構造ではないかと想像する。同じような大きさのヤマトタマムシの上翅には、こうした隆起が無い。


そのためか、ヤマトタマムシの上翅はよく凹んだり折れ目のような筋が入っていることがある。


ちょっとヤワなヤマトタマムシの上翅と比べると、筋隆起(波板構造?)のウバタマムシの上翅はしっかりしているように見える。

ウスバフユシャク



ウスバフユシャクのオスとメスのツーショット。今よく見られるフユシャク亜科のフユシャク(冬尺蛾)。♂・♀単体でいることが多いが、とりあえずペアでいるとカメラを向けがち。


これ↑とは別のペア↓。




♂の翅の下に♀が隠れていることがあるので、一見単独♂に見えても確認するようにしている。といっても、いつも♀は隠れているわけではない。




↑とは別のペア↓。




同じ擬木の支柱にペアと単独の♀がいた↓。


クロテンフユシャク



ウスバフユシャクに似たクロテンフユシャクも見かける。こちらも♂の翅の下に♀が隠れていることがある。




シロフフユエダシャク



エダシャク亜科のフユシャクのひとつシロフフユエダシャクも少しずつ増えてきたが……去年に比べると少ない。発生の時期が遅れているのか、あるいは擬木まわりの(植込みの中まで)落葉が頻繁に撤去されている影響か……。


地味なシロフフユエダシャク♀個体↑。背景には3週間以上前の雪がまだ残っている。
最後に模様がきれいにでているシロフフユエダシャク♀個体↓。



うつろう記憶媒体~失われし記憶ハ痛イ~

ビデオテープの時代





僕が初めて購入したビデオデッキ(ビデオテープレコーダー)はβ方式だった。これ↑は当時ビデオテープに録画したテレビ番組の内容を記したノート。後で確認したいシーンを探し出しやすいように、登場する動物種を順番に書き出していた。
家庭用ビデオデッキが登場する以前は、せめて音声だけでもとテープレコーダーで気に入ったテレビ番組を録音していたなんてこともあった。昔はテレビ番組は見逃してしまうとそれっきり。だから見たい番組はキアイを入れて視聴していた。
それが「録画」できて、好きな時に何度でもくり返し見られるというのだからスゴイ!──ビデオデッキは夢のような機械だった。ターゲットの番組があると、撮り逃すことが無いように放送時間の前からテレビの前に待機。カウントダウンするような気持ちで放送が始まるのを待ち受けていたものだ。当時はまだビデオデッキのリモコンもワイヤレスではなかった(ケーブル・コードで本体とつながっていた)。ビデオテープも高価だったため、録画時間を節約しようと(&再生時の利便性も兼ねて)、手動でCMカット(一時停止/解除)しながら録画していた。今から考えれば煩わしいが、当時は「テレビ番組を録画保存できるとは、なんと便利な機械だろう」とその機能にすっかり満足していた。

高価なビデオテープを準備したり、録画内容を書き出して整理したり……当時はそれだけキアイを入れてテレビ番組を視聴していたわけだ。人によって愛好番組は様々だろうが、そうした「放送を心待ちにしている人たち」が「質の良い視聴者」なのではないだろうか。テレビ局はこうした人たち(質の良い視聴者)に愛される番組作りを目指すというのが本来あるべき制作姿勢ではないかと思うのだが……実際は目先の視聴率競争にやっきになり、てっとり早く視聴率を稼ぐために、本来大事にすべきファン──《放送を心待ちにしている「質の良い視聴者」》をないがしろにし、《家事をしながら、あるいは惰性でテレビをつけている、いわば「質の悪い視聴者」》の関心を引くことばかりに熱心だった印象が強い。そのジャンルにふさわしいとは思えない人気タレントを起用したり(番組の内容よりもタレントの人気で視聴率を稼ごうという安直さ)や、過剰な演出や思わせぶりな演出、肝心なシーンを先延ばしにしてひっぱり続け、「おいしいシーンはCMの後いよいよ」的な展開で視聴者に散々気を持たせ、実際はしょぼい内容で番組を終えるという詐欺のような手法が増え、テレビファンを失望させていった気がしてならない。こうしたあざとい演出で目先の視聴率を稼ごうとする制作姿勢が、本当に放送を心待ちにし、キアイを入れてテレビに見入っていた「質の良い視聴者」を失望させ、テレビ離れに拍車をかけたのは確かだろう。僕も地デジ化を機にテレビから離脱している(*)。

ビデオの話から脱線してしまったが……話を戻して──、
録画内容の整理ノートからも判るようにテレビ番組を録画したビデオテープはたまっていった。録画機も、β方式→VHS→S-VHS→8mmビデオ→VideoHi8へと変遷していったわけだが……その過程の中で、番組録画のみならず、自分で撮影できる家庭用ビデオカメラが登場する。

映像を記録するカメラとしてはビデオ以前にも8mmフィルムを使ったものがあるにはあった。友人にこの8mm(ビデオではなくフィルム)カメラを持っている者がいて、高校時代にはアクション映画を撮って文化祭で上映したこともある。ただ、8mmフィルムは1本で3分あまりしか撮れず、ビデオのように撮り直しがきかない。撮影した映像を確かめるためには現像に出して何日か待たなければならなかった。また、フィルム代のほかに現像代もかかるし、音声の記録はオプション扱い──ビデオテープよりはるかに高価で不便なメディアだった。
そんな8mmフィルム時代を経験してきているから、1本のテープで(標準モードで)2時間も撮影ができ、撮影した映像をその場で確認することができ、そのうえ撮り直しもできる、しかも現像代もかからないビデオカメラは、これまたスゴイ製品だった。

ということで、僕もビデオカメラを購入し、最初は里山のヘビやカメなどの小動物や昆虫等を撮ったりしていた。そのうちビデオカメラを使って何か面白いことができないかと考え、インディーズ・スーパーヒーローミラクル☆スターを試作。8mmフィルムよりも不便だと感じたのは……8mmフィルムではカットイン・カットアウトの位置をコマ単位で決められるのに対し、ダビング編集の8mmビデオでは(当時の家庭用編集機器では)コマ単位での指定できなかったこと。カットのタイミングを合わせるのに苦労した思い出がある。そうして仕上げたミラクル☆スターは、なんとテレビ番組(「三宅裕司のえびぞり巨匠天国」通称「えび天」)の中で上映され、その放送をビデオデッキで録画する──ということもあった。





こうしてビデオテープはテレビ番組を録画したものだけでなく、ビデオカメラで撮影したもの、編集したものを含め、どんどん増えていった。
ビデオテープの形式がβ→VHS→S-VHS→8mmビデオ→VideoHi8へと推移したことは前記の通りだが、さらにDVDやBD、HDDへと記憶媒体も変化していった。

カセットテープの時代

話は前後するが、「映像」を記録する装置の前に「音声」を記録する装置──テープレコーダーがあった。僕が子どもの頃に初めて我が家にやって来たのはオープンリールのテープレコーダーだった。装置自体もかさばるし、録音・再生する時のテープのセッティングが煩わしい。その後登場したコンパクトなカセットテープを使うラジカセはラジオ放送を録音できたりレコードプレーヤーと直結できて画期的だった。
音声の再生専用装置としてはそれ以前からレコードプレーヤーがあったわけだが、好きな曲だけをまとめて聞くにはカセットテープにまとめる必要があった。またレコードは傷つきやすく取り扱いに神経を使う。友人の中には同じレコードを2枚ずつ買っていた者もいたくらいで、なるべくラジカセで録音したテープを聴くようにしていた。

ラジカセといえば──東海ラジオの深夜放送をラジカセで録音していた時期がある。東海ラジオ放送は名古屋の放送局だったが東京でも深夜にはなんとか電波が受信できた。兵藤ゆき氏がDJをつとめる「ミッドナイト東海」という番組に童話コーナーというのがあって、そこに投稿して採用された掌編童話がラジオドラマ仕立てで放送になったなんてこともあった。その音声作品はラジカセでカセットテープに録音してある。
掌編童話『雨の日の通信』のイメージ画(後に僕が描いたもの)と、「ミッドナイト東海」で放送されたラジオドラマを録音したカセットテープ&ケース↓。




当時主流であったカセットテープも、使い続けていると時々巻き込みトラブルがあってダメになることがあった。録音できる容量(時間)も今の記憶媒体に比べればずいぶん少なく、安泰の記憶媒体ではなかった。
再生専用メディア(記憶媒体)であったレコードはその後登場したCDにとって変わられることになるが、そのCDも、今では(楽曲もインターネットでダウンロードできるようになったため?)需要が減っているらしい。何年か前にCD店がずいぶん少なくなっていることに気がついて驚いた。かつては町のあちこちにレコード店はあったものだが……時代の流れを実感する。音声の記憶媒体も移り変わっていった。

ワープロの時代

ところで、冒頭のビデオノートの記述もカセットテープの内容の記載も僕の肉筆。当時はまだ日本語ワードプロセッサもなかった時代。今でこそ文書の作成はパソコンやスマホ等でのタイプが当たり前だが、当時は肉筆で一字一字記すしかなかった。
僕には同人誌活動をしていた時期があるが、自分が書いた作品を活字化することにはあこがれがあった。しかし実際に同人誌を作るとなると、活字を組むにはお金がかかる。そのため、オール手書きで同人誌を発行していたこともある。
《窓》は僕が主宰した同人誌で本文は墨一色、手書きの文字とイラストだった。その《窓》第2号と、読者からの便り&返事を紹介したページ↓。




このページ↑をは全て僕が描いた。字は書体を変えて記している(返事の内容は同人メンバーS氏の文章だが、文字は僕が記したもの)。
僕は元々字は汚かったのだが……同人誌を手書き文字で作る必要から、よそ行きの清書は「字を書く」のではなく「記号を描く」つもりで一時一時丁寧に記すようにしていた。しかしこれは時間&労力を要すものだった。
なので、日本語ワードプロセッサなるものの存在知ったときには激しく羨望した。その頃は1台数百万円もする高嶺の花だったのだが……わずか数年のうちに低価格化と普及が進み、僕もついに憧れのワープロを手にする日が実現する。手軽に文章を作成したり編集でき、しかも活字でプリントできるのが嬉しくて、個人紙・個人誌を作ったりした。そこでイタズラ書きから誕生したのが小説版ミラクル☆スターで、その後ビデオでの映像化へとつながったわけである。




ミラクル☆シリーズさくっと制作経緯より

ワープロの導入により、書いたり直したりする作業はずいぶんと楽になった。そして原稿の記憶媒体は原稿用紙からフロッピーディスクへと移行していく。
ところが……羨望の最新機器であったワープロ専用機自体も、廃れるのは早かった。パソコンの普及によって既に絶滅……ワープロ時代に使っていたフロッピーディスクも化石化してしまった……。

「より便利なもの」より「長く使えるもの」を

ビデオテープやカセットテープ、フロッピーディスク等に記録したものは多い。冒頭のノートを見ると、収集や整理に時間やお金(記憶媒体代)・労力をつぎ込んでいたのがわかる。しかしそうしてコツコツ蓄積してきたデータが、記憶媒体の変化によって(現役の再生機が残っていないため)利用できない状態にある。

ビデオテープ時代に撮影・編集したミラクル☆シリーズはかろうじてDVDにダビングしてあって今でも観ることができるが、カセットテープに録音した掌編童話の方は再生できない。ただ、こちらの作品は原稿用紙に肉筆で書いていた時代のものなのでオリジナル原稿は残っている。

テクノロジーの進歩は目覚ましく、次から次へと「より便利なもの」が登場してくるが、新たなものが出てくれば、それまでのものは古くなり廃れていく……。記憶媒体の変化で取り残され、使えなくなってしまうデータも多い。これでは便利なのか不便なのかわからない。現在使っているDVDやCDだって、いつまで使えるのかと考えると不安になってくる。

小学生時代のガリ版(謄写版)刷りの文集は今でも読めるが、その後登場した最新機器で記録した記憶媒体の多くが今では再生できない……。
けっきょく一番長く安定して利用できているのは最古参の紙媒体だ。便利なはずの最新記憶媒体がどんどん衰退・絶滅して行くのをみてくると、再生装置が無くても(ヒトが標準装備した器官のみで)再生(見たり読んだり)できる紙媒体の優位性が改めて実感される。
これからも便利な道具はたくさんでてくるだろうが、僕が切望するのは「より便利なもの」よりも「長く使えるもの」だ。記憶媒体は長く保存&再生(利用)できることが、何よりも大切なはずだ──僕はそう考えているのだが、最古参の紙媒体に勝るメディア(記憶媒体)はでてくるのだろうか。



シロフフユエダシャク・ペア他

1月18日に降った雪は月末の雨でだいぶ融け市街地からはほとんど消えたが、狭山丘陵ではまだ残っているところがある。陽当たり等の関係で気温が上がりにくいから雪融けが進まないのだろうが、雪が残っていることで気温が上がらない感じもする。
そんな状況で昆虫は少なめだが、さすがに冬に活動するフユシャク(冬尺蛾)の仲間は健在。

シロフフユエダシャク・ペア&♀のキレイな個体



2月に入ってシロフフユエダシャクが少しずつふえてきた。♀の翅は退化して小さく、模様まではよくわからないが……腹も鱗粉に覆われていて、その色合いや模様は個体によってかなり差がある。別個体↓。


上の個体をアップで↓。腹の色合いや模様が地味目の♀。


木製の手すりの上にはシロフフユエダシャクのペアがいた↓。


オスには飛翔できる翅があって見た目は普通の蛾。見つけた時、♂の後翅は前翅におおわれて見えていなかったのだが、近づくと羽ばたいて、こんな状態に。


この直後、♂は再び羽ばたきだし、交尾を解消して飛び去ってしまった。残されたメスは腹の模様がクッキリでているキレイな個体だった。




シロフフユエダシャク♀は腹の模様の変異が大きく、翅の開き方も均一ではないので、個体によってずいぶん印象が異なる。

クロテンフユシャク・ウスバフユシャクのペア



クロテンフユシャク♂のかげに擬木の隙間に頭をかくしている♀の姿が。別角度で↓。


別のクロテンフユシャク・ペア↓。


サクラ並木沿いのフェンスではウスバフユシャクのペアが──。




フユシャク亜科の♀は鳥フン擬態!?



2月に入ってもまだ雪が残る狭山丘陵の擬木にいたフユシャク亜科のフユシャク♀。単独でいると(僕には)種類がよく判らない。擬木では産卵後の♀や卵塊も見られる。




これ↓は欄干にとまっていた産卵前のフユシャク♀。


産がつまった腹は太めで、こうしたところに止まっていると目立つ。同じく産卵前のフユシャク♀↓。


この時期、虫見コースでは野鳥もよく見かける。これだけ目立つと鳥たちに見つかって食われたりしないのだろうかと心配になる。実際にはそれなりに(?)食われていて、たまたま「まだ食われていない」ものが目についているだけなのかもしれないが……もしかするとコレ↓と誤認されてスルーされていたりして?


なんてことも想像しないではない。鳥糞に擬態したと思われる昆虫は少なからず存在する。
「目立つところ(人工物など)にとまっていると、(ヒトには)鳥の糞に見える(ことがある)」ということに実際に擬態効果(鳥等の天敵をだまし生存率を高めるほどの効果)があるのかどうかは判らないが……ひそかに、こんな鳥糞を僕は「なんちゃってフユシャク♀」と呼んでいる。

2月に入ってから見かけた他の昆虫から



この時期に目にする昆虫の中では大きめのクビキリギス。昆虫が少ない時期なのでカメラを向けたくなる被写体も少なめ。