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2015年11月の記事 (1/1)

フユシャク婚礼ダンスで♀探し

今シーズン初のクロスジフユエダシャク♀



今シーズン初のフユシャク(冬尺蛾)は先日(11/16)見たクロスジフユエダシャク♂だったが、今シーズン初のクロスジフユエダシャク♀。フユシャクの仲間は冬にだけ出現する蛾。


これでも立派な蛾の成虫↑。フユシャクのメスは翅が退化して飛ぶことができない。そのためフェロモン(ニオイ)でオスを呼び寄せる。オスには翅があり、飛ぶことができる。
クロスジフユエダシャクは昼行性で、この時期、雑木林で落ち葉のつもった地上付近を低く飛ぶオスの姿が見られるようになる。そのオス↓。


オスはユニークなメスとは違い、見た目は普通の蛾。落ち葉の積もった林床では目立たない。


オスが林床を低く飛ぶのは、メス探しのため。オスの触角は試験管ブラシのような形をしている(メスの触角はヒモ状)。メスの放つフェロモン(ニオイ物質)を察知しやすいように表面積を増やす構造なのだろう。我々ヒトは鼻でニオイを嗅ぐが、蛾は触角でニオイを嗅ぐ。
我々ヒトはニオイを嗅ぐとき、息を吸い込んで鼻にニオイ物質を引き込むが、カイコガ(蛾)♂は羽ばたいて(空気の流れを作って)触角にフェロモン(ニオイ物質)を引き込む。家畜化されたカイコガの♂は飛ぶことができないが、♀の放つフェロモンを察知すると羽ばたきながら歩き回って♀を見つけだす──それが「はばたき歩行」「婚姻ダンス」と呼ばれる行動で、クロスジフユエダシャク♂も同じことをやっているようだ(【フユシャクの婚礼ダンス】)。
クロスジフユエダシャク♀は落ち葉の下などに隠れていることが多いようだが、フェロモンを察知した♂は♀が隠れた近くに舞い降り、婚礼ダンス(はげしく羽ばたきながら歩き回る行動)で正確に♀の居場所をつきとめ交尾をする。♂も落ち葉の下にもぐってしまうので、自然な状態で交尾しているクロスジフユエダシャクを見つけ出すのは難しいが、♂の婚礼ダンスに注目すれば(♂が婚礼ダンスを始めれば)、♂を追ってたやすく♀を見つけ出すことができる。
──ということで、今年も「♂の婚礼ダンスで♀探し」をしてみた。

オスの婚礼ダンス(はばたき歩行)でメス探し

この日、雑木林では落ち葉の上を低く飛ぶクロスジフユエダシャク♂があちこちで見られた。♂が婚礼ダンス(はばたき歩行)を始めれば♀を見つけるのはたやすいのだが……ただ、それが始まらないことにはどうにもならない。すんなり立て続けに観察できることもあったが、待たされることもあった。この日は風が吹き♂が降りて翅を休めてしまう時間帯が多く、「♂の婚礼ダンス待ち」が続いた。
ちなみに、降りた♂が翅を休めればハズレ(♀をみつけられなかったとき)。降りてなお、せわしなく翅を羽ばたかせていれば(通常よりもあわただしい動きになる)アタリ──♀は近いと考えられる。
風がおさまるのをみはからって舞う♂達をながめながら長期戦を覚悟し始めたころ、とつぜん婚礼ダンスは始まった。
目で追っていた♂が落ち葉の上におりて激しく羽ばたき出した。それまで見ていた動きとは明らかに違うので「婚礼ダンス」とすぐに判る。しかも、ほとんど同時に3匹の♂が同じ落ち葉に降りて「婚礼ダンス」を始めた。
そこに♀が隠れていることは確実だと確信しながら「トリオの婚礼ダンス・ショット」を撮るべくカメラを向けるが……モニター画面内で落ち葉でおおわれた背景の中からクロスジフユエダシャク♂を瞬時にとらえるのは難しい。フレーミングでもたついている間に3匹の♂は、あっという間に問題の落ち葉の下に潜り込んでいってしまった。






フレーミング&フォーカシングが追いついたときには、3匹の♂はすでに落ち葉の下。わずかに翅がのぞいているといった状況だった。そこで、手前の葉をどけて、問題の落ち葉の下をのぞきこんでみると……、


落ち葉の下で、取り込み中のようす……やがて動きは収まったかに見えたが、3匹の♂と、そこに隠れているはずの♀の状況がわからない。


やがて葉の下に潜り込んだ♂のうち1匹が、葉の上にでてきた。


この♂↑はすぐに飛び去った。しかし、落ち葉の下にはまだ2匹の♂がいるはず。いったい、どうなっているのか確かめるべく、そっと葉を持上げてみると──、


なんと、1匹の♀の2匹の♂がとりついていた。


しかし結合が甘い右側の♂が離脱。




離脱した♂も飛び去り、ペアが成立。




♂が立てていた翅を倒すと、擬木などで通常よく見かける形になった。
交尾が成立するとフェロモン放出がシャットダウンするのか「売約済み」フェロモン?のようなものが立ち上がるのか判らないが、交尾前の♀には3匹の♂が集中したのに、交尾が成立した後は他の♂は近づいてこなかった。

今回の「♂の婚礼ダンスで♀探し」では、同時に3匹の♂が集中することになったが、昨年も2匹の♂が同時に同じ場所で婚礼ダンスを始めるのを目にしている(【クロスジフユエダシャクはなぜ隠れて交尾するのか】)。♀がフェロモンを放出するタイミングがあって、そのとき近くにいた♂が反応するのだろうか。
これまで「♂の婚礼ダンスで♀探し」では、「♂の求婚ダンス待ち」すにわち、♂が♀を見つけ出せるかどうか──という捉え方をしていたが、それよりは「♀のフェロモン放出待ち」というのが近いような気もしてきた。♂が乱舞する林床では、♀がフェロモンを放出すれば♂の婚礼ダンスはすぐに始まる体制ができているのかもしれない。


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擬木の昆虫NOV2015

擬木の昆虫・11月中旬以降2015

11月も早いもので残り少なくなってきた。昆虫は減ってはきているものの、擬木などではそれなりに見ることができる。
僕の場合、何を撮るかは気まぐれだが……撮影した中から使えそうな画像にはトリミング・リサイズ・キャプションをつけるなど加工をほどこしてブログ用候補素材としている。が……投稿するきっかけがないまま期限切れになってしまうコトも少なからず。このままでは《期限切れ》になりそうな11月中旬以降の候補素材を放出してみることにした。
といったわけで今回、テーマは特にないのだが……強いて言えば【11月中旬以降の擬木の昆虫】。

まずはこの時期の大物甲虫類ウバタマムシ。何度も紹介しているが、大きな虫が少ない時期にはとくに、見つけるとカメラを向けたくなる。






ウバタマムシ(体長24~40mm)のような大きなタマムシもいれば、小さなタマムシの仲間もいた──ということでナガタマムシの仲間↓。


甲虫類ではまだカミキリも時々みられる。擬木ではないが、欄干にとまっていたナカジロサビカミキリ↓


ナカジロサビカミキリは3月頃から比較的長い間みられるカミキリ。欄干ではゴマフカミキリの姿も↓。




甲虫類ではテントウムシの仲間もよく見かけるのだが……意外に撮りにくいという苦手意識を持っている。丸っこいフォルムがラブリーな魅力なのだが、背中が盛り上がっているのでピントがあいにくい。盛り上がった背中にピントを合わせると体の縁がボケてしまうし、体の縁に合わせると背中がピンぼけになる……撮ってもNGになりがちなので、実は敬遠することも多い虫なのだが、コレ↓はあまり見かけない気がして撮ってみた。


帰宅後しらべてみたらヒメカメノコテントウの黒化型のようだ。
小さくてよく動く虫はあきらめてスルーしがちなのだが、綺麗な模様をもつものを見つけると、つい頑張って撮ってみたくなってしまう……。


エゴシギゾウムシというもようがきれいなゾウムシがいるが、それをぐっと小さくしたような虫がジュウジチビシギゾウムシだ。よく似たのにレロフチビシギゾウムシというのがいるが、両者とも小さい上によく動く……。なんとかキレイに「撮ろう」とするのだが「徒労」に終わることが多い……。


この↑ジュウジチビシギゾウムシは右中脚が欠けていたがやはり動き回っていてなかなかうまく撮れなかった。動き回る昆虫を追っていると、別の極小昆虫がフレームインしてくることもしばしば。このときもテントウムシ型の極小甲虫が画面を横切って行った。
鉄柵のポール上に別個体のジュウジチビシギゾウムシを見つけ撮り始めると、やはり極小昆虫がフレームインしてきた↓。




小さな昆虫はただそれだけで鮮明に撮るのが難しいが、動き回っているとなおのこと……。


クサカゲロウの仲間の幼虫では、ゴミ(抜け殻や獲物の死骸など)を背中にかついだものも見かけるが、これは素のまま(?)の姿。顎の感じはアリジゴク(ウスバカゲロウの幼虫)に似ている。この大きなアゴで小さな虫を捉えているところもたまに見かける。


オオメカメムシは5mm前後の小さなカメムシ。植物の汁も吸うそうだが、このカメムシも小さな昆虫を捕食するらしい。そのため生物農薬としての利用も研究されているそうだ。オオメカメムシを撮っているときも、よくわからない昆虫が写り込んできた……。




というように、よく見るとこの時期にも小さな虫は色々いたりする。
※追記:ともっくさんより画面左の極小昆虫はクダアザミウマの仲間と教えていただきました。



ニホントビナナフシ──九州以北で普通みられるのは単為生殖を行う緑色の♀。♂はぐっと小ぶりで茶色っぽく、別の種類に見える。去年・一昨年は多く、ピーク時にはギボッチ(擬木ウォッチ)コースを一周する間に3桁ほどの数がみられ、珍しい♂や雌雄モザイク個体、黄色い♀なども見ることができたが(*)、今年は少なく、多いときでも1桁前半といったところ。一昨年が多すぎたのかもしれない?


以前はハラビロカマキリといえば緑色というイメージを持っていた。なので初めて茶色い個体を見たときは驚いたが、狭山丘陵では茶色型の割合はさほど少なくはないようだ。


このルリタテハは11月中旬に撮っていたもの。チョウはキレイに撮っている人が多いので下手くそな僕が見苦しい画像をあげることもあるまいとスルーすることが多い。このときはたまたま撮りやすいところにとまっていたので撮って、いちおうトリミグ・リサイズ・合成&キャプション入れをほどこした画像を作成していたのだが、なかなか投稿する機会がなかった。この機会にこそっと加えておく。


晩秋の蛾も色々見られるようになったが、その中から、ケンモンミドリキリガ↑。
そしてニトベエタダシャク↓。


そして冬に出現するフユシャクのひとつ、クロスジフユエダシャクの♂↓。擬木ぞいのフェンスにとまっていた。


今シーズンは11月16日に初個体を確認したクロスジフユエダシャクの♂だが、その後ちょくちょく見かけるようになった。ただ、飛んでいる♂はさすらうように飛び続け、止まっている♂は翅を休めている。♀が出ていれば(そのフェロモンを察知して)♂が同じエリアを舞ったり、もっと飛んでいて良い気がする。まだ♀はあまり出ていないのかもしれない。
たぶん♀より♂の発生が少し早く、♂が拡散した頃に♀が発生することで、近親婚が起こらないようなシステムがあるのではないか……などと想像しているのだが、♀が出て来るようになれば、落ち葉の積もった林床でクロスジフユエダシャク♂が乱舞する姿がみられるようになるだろう。


「足し算の順序」にあきれる

●「足し算の順序」にあきれる

某所で話題になっていた子どもの算数に関するニュース↓

■「足し算の順序」アナタは大丈夫?
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/jikenbo_detail/?id=20151121-00045993-r25

「くるまが5だいとまっています。9だいくるとなんだいになりますか?」
という設問に対し子どもが式の欄に記した「9+5」が『あとから9台来たんだから5+9じゃないとダメ』とバツにされたという。
《回答は同じでも、9を先に置いた式は“間違い”だという》ことを記した記事だった。

「5+9」と「9+5」は数学的には同じことだ。
「5+9」が正解で「9+5」が不正解というのでは数学的概念が成り立たない。
5台とまっているところに9台くるのと、9台きたところに5台とまっていたことは同じ。

バカげていて間違った指導をする先生がいるものだと呆れたが、こうした指導の意図も判るというような向きもあるようなので……ここでも所感を記しておくことにする。

設問の内容を数学的に正しく理解・解釈しているかが大事なのであって(この場合「2つの数の和」)、設問に出て来た数字の順番にこただわる必要は全くない。
なのに、この記事に対して──、
「5台あった場所に9台加わるから、5+9はわかる。
 9+5にわざわざ、順序を入れ替える意味がわらない」
という声もあった。

いったいどうして「順序」にこだわるのだろう?
記事の中では──、

> 現在、一部の小学校では、足し算を「合わせていくつ(合併)」
> 「増えるといくつ(増加)」という2つの考え方に分けて教えており、
> 「増加」の場合、「元からあったもの→後から加わったもの」の順番に
> 並べないと不正解になるのだ。

と記されている。
もしかすると、×をもらったという生徒は「増加」というイメージで考え、「5」に「9」をたす──すなわち「5」から9目盛り増やすよりも、「9」に5目盛り加えた方がカウントしやすいと考えたのかもしれない。だとすれば、考えやすい式を選択したことは褒められてよいことである。
いずれにしても「5+9」と「9+5」は同じことなのに後者を×にするのはおかしい。
「増加」で教える方針の元では「合併」の考えを否定するのか──という話にもなる。

例えば次のような足し算の問題があったとする──、

 1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=

1から10まで順番に足して行くのは面倒だ。かしこい子ならば、

 1+2+3+4+5
+10+9+8+7+6

と数字を並べ替え、まず上下の数字を足し、

 11+11+11+11+11

として計算し、答が「55」であると考えるだろう。
あるいは──、

   1+2+3+4+5
+10+9+8+7+6

と和が「10」になる組み合わせを作って(上下に並べて)数字を足し、

+10+10+10+10+10+5

で「55」とするかもしれない。

足し算の数字を計算しやすいように組み替える柔軟な発想は数学的感性のようなものだ。
しかし「足し算の順序」の指導概念はこれを否定するものだ。
指導方針の解き方に即していない解き方だからという理由で、それが数学的に正しいにもかかわらず不正解とみなす教育は不適切きわまりないといわざるをえない。

問題を解くには色々なアプローチの仕方がある。ピタゴラスの定理を教える時に、教えた解き方以外で答えた解答は(正解であっても)×をつける──というような指導方針は間違っているし、数学的数学的発想の幅を狭めることになりかねない。
自由な発想で問題を解く──そう指導するのが本来のあり方だと思うが、それを許さない指導方向は大いに疑問だ。

僕は勉強に不熱心な生徒だっが、自分なりの解き方を考えるのは好きだった。
数学の問題で解き方を教わって導かれた答は、「納得」しただけで「自分で解いた」ことにはならない──それは他人の考えをなぞっただけ──そう考え、同じ問題を教わったのとは別の方法で自力で解いてみようとしたものだ。指導要綱に記された方法を用いた解答のみを正解とし、「教え方」から外れた別の解き方には(導き出された答が正解であっても)×をつけるという方針はとうてい受け入れがたい。
教育現場はセオリーオンリー主義で、認めるべき個性や多様性を許容できないほど硬直化しているのだろうか──そんな危惧すら抱かずにいられない記事だと感じた。

※加筆:この問題に関して、《問題通りに式をかけば「5+9」で、そうでなければ間違い──そう習った》と「順序」を重視する人が予想以上にいるようなので、少し加筆する。
「順序」を重視する人は次のような設問ではどう考えるのだろう。

Q:A子さんが通りかかったとき、駐車場が開門して車が5台でていきました。開門したスタッフに聞くと開門前には9台駐車していたといいます。すると駐車場には何台残っていますか?

これを《問題通り》に式にすると「-5+9」となる。
この場合、「9-5」と記した子は不正解なのだろうか?
《問題に出てくる数字の順番通りに式にしなければ×》というのであれば、×にあたる。
マイナスの数字の概念を習っていない子どもであれば、むしろ「9-5」と記したくなるのが自然だ。しかし「問題どおりに式を書かないと×になる」と教えられていたら、この設問にどう答えるべきか混乱するだろう。

この設問では正しい答えを導く式であるのだから「-5+9」も「9-5」も○でなくてはおかしい。
「設問に記される数字の順どおりに式を書かねばならない」ということに数学的整合性はない。
同様の理由で、元の問題で「9+5」を×にするのはおかしいと考えるしだい。



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エサキモンキツノカメムシの抜け殻落とし他

エサキモンキツノカメムシ:羽化後の《抜け殻落とし》

擬木で羽化中のエサキモンキサノカメムシをみつけた。3年前にも同じ状況で羽化した成虫が抜け殻を落とす行動を見ている(*)。今回も羽化後に《抜け殻落とし》をするだろうと期待して観察。予想通り確認することができ、そのもようを撮影したのだが……肝心のシーンが光線の加減でコントラストがきつくなり残念な画像になってしまった。見苦しい画像ではあるが、《抜け殻落とし》の記録として投稿しておく。


見つけたときは羽化の終盤だった↑。画面隅の番号は撮影順を示したもの。


まだ本来の体色は出ていない。抜け殻から伸びた白い糸のようなものは気管。


羽化後は後脚を背にまわすしぐさをくり返していた。3年前にも見た行動だが、翅をととのえているのだろうか?
「あ~しんど。腰にきたヨ」と腰に手をあてた姿に見えなくもない。


体が固まるのを待っているのか体力の回復(?)をはかっているのか……羽化後30分余りこの↑体勢でいた。そばについていると警戒して《抜け殻落とし》を始めない可能性があるので、少し離れて見守る。その間に光線の状況が変化。陽射しが横から差し込むようになり《抜け殻落とし》を始めた時にはコントラストがきつい状況になっていた↓。


レフ板代わりのアルミシートで光を反射させて影を緩和することも考えたが、おどかすと行動を中断してしまうかもしれないので、そのまま撮影。


予想した通り、新成虫が頭で抜け殻を押して落とす仕草が見られた。が、擬木ではありがちな、「落ちかけた抜け殻が、(クモや幼虫のしおり糸?に)ひっかかってぶら下がる」という状況に。
ここでアルミシートを使って影だった部分を照らすが、そのためもあってか成虫は触角をたたんで静止モードに入ってしまった↓。


落ちかかって宙ぶらりんになった抜け殻は、ほどなく風にあおられて落下。すると成虫が動き出し、抜け殻がなくなったことを確かめるような(?)しぐさをした。


《抜け殻落とし》を終えた新成虫は触角をたたんで動きを止めた。


翌日ほぼ同じ場所(数mm左にずれていた)にいた新成虫↑。だいぶ本来の体の色が浮かび上がっていたが、上翅革質部には色の薄い部分があり、紋にもまだムラが残っている。
今回は羽化の終盤からの撮影だったので、終齢幼虫の姿は写っていない。ということで、別個体の幼虫の姿↓。


エサキモンキツノカメムシの幼虫(の腹)は髪を真ん中で分けた人面っぽい。
そして、成虫(別個体)↓。これが本来の体色。


エサキモンキツノカメムシ似のモンキツノカメムシ

ハート形の紋をもつエサキモンキツノカメムシばかりに目が向き、スルーしがちだった、良く似たモンキツノカメムシ↓。


モンキツノカメムシの紋は「丸みをおびた逆三角形」が標準。しかし紋の形には個体差があって、エサキモンキツノカメムシのハート紋を思わせるようなモンキツノカメムシ個体もいる↓。


前胸両側の突起(前胸背側角)がエサキモンキツノカメムシより尖っていることや、前胸背面の色が緑色であることなどから、モンキツノカメムシであることがわかるが、紋の形だけでは判断しづらい(例もある)。
紋に変異のあるモンキツノカメムシ(別個体)↓。


両者ともモンキツツノカメムシ↑。エサキモンキツノカメムシの紋にも個体によって変異があるがモンキツノカメムシも同様。「紋の形」だけで両者を識別するのは難しいケースもある。「紋の形」ではなく「紋の位置」に違いがあるように思うがどうだろう?
モンキツノカメムシとエサキモンキツノカメムシを比較してみると、小楯板の中で紋が占める位置に違いがあるような気もする。


着目点は、小楯板(しょうじゅんばん/前胸背板と上翅に挟まれた逆三角形の部分)のフチと紋との距離──「隙間A」と「隙間B」の格差。モンキツノカメムシは紋が小楯板の前(上)フチ寄りについているので「隙間A」が狭く、それに比べ小楯板側面縁との間「隙間B」が広い。エサキモンキツノカメムシでは紋は小楯板の中央にあって「隙間A」と「隙間B」の格差は少ない。
全ての個体に共通する識別ポイント(相違点)といえるのかどうかは判らないが、僕が見た範囲に限っていえば、こうした特徴があるように感じられる。

きれいなカメムシ幼虫とカッコイイ成虫

エサキモンキツノカメムシもモンキツノカメムシも綺麗なカメムシだが、綺麗なカメムシつながりということで……キレイなことで知られているアカスジキンカメムシ。成虫が美麗種なのは周知のことだが、幼虫もよく見ると美しい。


一見、黒っぽく見える部分には鈍い金属光沢があって、見る角度によって、とてもキレイに輝いて見えることがある(個体によってずいぶん違う)。同個体を角度を変えてみると──↓。


幼虫の赤く見える部分(あるいは白い部分)は、脱皮直後には幅が狭く、幼虫の成長とともに拡がっていくようだ。この部分は脱皮した抜け殻で確認するとビニールのように半透明になっている。
その部分が拡がった個体↓。




さらにカメムシつながりで、ガードレール支柱の反射板の上にとまっていたウシカメムシ成虫↓。






赤い太陽の謎?

日本の子どもはなぜ太陽を赤く描くのか?

『日本人の知らない日本語』(蛇蔵&海野凪子/メディアファクトリー)というコミックエッセイのシリーズがある。外国人に日本語を教える日本語学校教師の体験を原案とする漫画で、日本語について、ありがちな疑問や誤用などについて解りやすく解説した本なのだが、「日本人のあたりまえ」に対して「先入観の無いピュアな」あるいは「間違った先入観を抱いてきた」外国人たちが抱く素朴な疑問や勘違いのエピソードの数々が、新鮮かつ抱腹絶倒で、とてもおもしろい。

日本語のみならず日本の風習・文化に対する再発見が随所にあって、これも興味深いのだが……第2巻の「色の話」の回では、「日本の学校に子供を通わせる外国人のお母さんたちが共通して驚くこと」として「子供の描く太陽が赤い!!」ということが紹介されていた。そう言われてみれば……僕らが子供だった頃、太陽を赤で描くのは定番だった。しかし改めて考えてみれば「太陽を赤く描く」というのは確かに妙だ。赤といったら──「血」を思い浮かべる人だって少なくはあるまい。血の色でそまった太陽を子供が描いたとなれば、ビックリする人だっていてもおかしくはない。

何年か前にこの本を読んだ時は「なるほど……太陽を赤く描くという《常識》は、そうでない人たちにとっては異常にうつるかもしれない」と納得して読み進んでいた。それが先日、全く別のところで「子供が描く太陽の色」に関する話題を目にすることがあって、あらためてこの問題が脳裏に浮上した。

日本の子どもはなぜ太陽を赤く描くのだろう?

僕らが子供だった頃をふり返ってみると……太陽を赤く描いていたのは「太陽がそう見える」からではなく「赤で描く」ことが常識になっていたからだったように思う。《太陽=赤》という記号化されたイメージだった。
描いた場面が屋外であった場合、広い空の下であることを示すために、天に太陽を描く──太陽は「屋外」であることを示す「背景記号」として描かれることが多かったのではないかと思う。夜であることを示すのに☆形の星を描くのといっしょだ。「そう見える」からではなく「それを表す記号」として描いていた──そんな気がする。子供の描く絵というのは写実的ではなく印象(イメージ)優先になりがちだ。

それでは日本で《太陽=赤》の記号化がなされたきっかけは何だったのだろう?
「赤い太陽」でまず思い浮かぶのは、美空ひばりの『真赤な太陽』。「まっかに燃えた 太陽だから 真夏の海は 恋の季節なの」というフレーズは余りにも有名だ。
「どうして太陽を赤く描くのか?」という問いがあったときに、「だって……歌にもなっているじゃん!」と答えたくなる人も多いのではないか?

だが、『真赤な太陽』のタイトルや歌詞の《太陽=赤》というイメージが日本人に違和感なく受け入れられたのには別の素地があるのではないかと僕は想像する。

個人的な見解だが、日本人に浸透している《太陽=赤》のイメージをもたらしたのは、日本の国旗──日の丸のよるところが大きいのではないかと思う。
白地に赤い丸──「日の丸」は「お日さま(太陽)の丸」のことだろう。国旗の赤い丸は太陽のことだと認識している日本人は多いはずだ。
日本は「日出ずる国」などとも呼ばれるから国旗の丸は朝日をイメージして(朝日や夕日は赤っぽく見えることから)、赤く描かれたのかもしれない。あるいは単に国旗としての見映えから白地に赤という配色が採用されたのかも知れないが──いずれにしても、「日の丸」(の丸)が赤く描かれ、子供の頃からそれになじんできたことで、日本人には「お日さま(太陽)=赤」のイメージが定着したのではないか?

──という解釈を考えてみた。根拠の無い個人的な想像にすぎないわけだが。


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初フユシャク2015他

今季初フユシャク(冬尺蛾)

前回の記事の最後で、ニトベエダシャクが出てきたので、フユシャクも間近……というようなことを記したが……今日、今シーズン初のフユシャクを確認。


初物のフユシャクは、羽化不全のクロスジフユエダシャク♂だった。痛々しい姿だが、出現確認の記録として画像を上げておく。フユシャクといえばやはり翅が退化した♀にその特徴が顕著なので、♀がいないかと探していると──いた!


ホルスタインやダルメシアンにも例えられる、ユニークな柄のチャバネフユエダシャク♀。見ての通り翅が退化して、一見蛾には見えない。フユシャクを知らなかった頃、初めてこの昆虫を見たときは何の仲間かすら想像できなかった。


フユシャク(冬尺蛾)は冬にだけ(成虫が)出現するシャクガ科の蛾の総称で、メスは翅が退化して飛ぶことができないという特徴をもつ。フユシャクの存在を初めて知った時には「昆虫なのにあえて冬に出現して繁殖活動を行う」という点、そして「蛾なのにメスは翅が退化し飛べない」という点に《意外性》→《興味》を感じた。
自然界に存在する《意外性》はある種の《必然性(合理性)》に裏打ちされているはずで、その「手品のタネ」を「謎解き」してみたくなる。
「天敵の少ない時期に出現して繁殖活動を行うことで生存率を高める生存戦略をとったのではないか」とか「天敵が少ないから、メスに逃げて飛び去るための翅がなくても生き残れたのだろう(翅=飛翔力はオスに残されていれば配偶機会は得られる)」という想像をし、自分なりに《必然性》を解釈したが、フユシャクを観察しているうちに自然界はそう単純ではないことに気づかされていった。
実際には冬にも少ないながら天敵は存在する──フユシャクがクモの餌食になるシーンや産卵した卵に寄生蜂と思われる昆虫が来ているシーンも目にして、冬は全く天敵がいないわけではないことを知った。産みつけた卵塊に毛のコーティングをするフユシャクを見て、霜対策や乾燥防止の意味合いだけではなく寄生対策の可能性もあるのではないかと考えてみたり、フユシャクの多くが夜行性であることを知って(冬に天敵がいないのであれば日中活動した方が良い)、日中は天敵がいるのではないか──鳥の捕食圧が「夜行性」の多い理由ではないかと考えたりするようになった。昼行性のクロスジフユエダシャクの交尾を観察すると、ナチュラルな状態では、たいていメスは落ち葉の下に隠れている。これは鳥に見つからないよう隠れているのではないか。その「見えない所にかくれたメス」を見つけるためにオスは婚姻ダンスをすることも観察できた。当初、オスの翅は、(メスのいるところへ)《移動するための器官》と考えていたが、メスの居場所を探り当てる《検索器官》(の一部)として重要な役割りを果たしている事を知った(*)。
フユシャクの《意外性》と《必然性》も、当初想像していたものより複雑なようで、色々脳みそを刺激してくれる。
ちなみに、昨シーズンの初フユシャクは2014年11月20日に確認したクロスジフユエダシャク♂、一昨年(2013年)は11月11日に確認したチャバネフユエダシャク♀だった。

擬木や柵の昆虫など



チャバネフユエダシャク♀がいた近くで見つけたウバタマムシ。この時期に(も)見られる甲虫類の中では最大級で、存在感がある。


擬木ではないが、鉄柵の支柱の上にはミミズク成虫の姿があった↓。






ミミズクがどういう生活史をもっているのかわからないが……この時期、小さな幼虫をみることもある──ということで、先日撮った画像を↓。




1円硬貨との比較で成虫と幼虫の格差が大きいことがお判りいただけるだろう。
半翅目(カメムシ目)つながりで、欄干にいたクロスジホソアワフキ成虫↓。




クロスジホソアワフキ成虫は昨年12月にも見ている。
鉄柵の上のブチミャクヨコバイ成虫↓。




ブチミャクヨコバイは7月にユニークな姿の幼虫を撮っていて、注目していた。


ルリボシカミキリ~ツインテールヨコバイで投稿した画像↑。
半翅目(カメムシ目)つながりで、今日に話を戻して──前回記事にしたモンキツノカメムシのペアがいたので撮っておいた↓。


エサキモンキツノカメムシが5月~7月に交尾しているのは見ているが、モンキツノカメムシは11月に(も?)交尾をするものなのだろうか……。
きょうは暖かかったので、他にも色んな虫が活動していたが、こんなキュートなものも見られた↓。




モンキツノカメムシとエサキモンキツノカメムシ他

モンキツノカメムシとエサキモンキツノカメムシ



擬木ウォッチ(ギボッチ)で最近よく見かけるモンキツノカメムシ。背中に丸みのある黄色い逆三角の紋がある(それで「紋黄(もんき)」なのだろう)ツノカメムシの仲間。


よく似た種類で、背中の紋がハート型に見えるエサキモンキツノカメムシというのがいて、こちら(ハート紋カメムシ)の方がよく知られている。


エサキモンキツノカメムシは、やはり「ハート紋」が目にとまるのか、ふだん昆虫に関心がなさそうな人たちのブログ等にもしばしば登場し話題になることがある。カメムシにしては好感が持たれやすい存在のようだ。僕が持っている図鑑でも載っているのはエサキモンキツノカメムシでモンキツノカメムシの記載はない。
だから僕も初めて知ったのはエサキモンキツノカメムシの方だった。「長い名前だなぁ……モンキツノカメムシでいいじゃないか」なんて思ったものだが、モンキツノカメムシというのが別にいることを知って、「それに似てるので、こんな長いなまえになったのか」と納得した。やはり面白いと思ったのはエサキモンキツノカメムシの「ハート紋」。また、母カメムシが卵や孵化した幼虫を守るという習性も興味深いと感じ、そのシーンを撮ったこともある。カメムシの《抜け殻を落とし行動(*)》を初めて目にしたのもエサキモンキツノカメムシだった。


紋がハート形であるエサキモンキツノカメムシの方に、どうしてもカメラを向けたくなるのは人情だろう。注目されがちな「ハート紋」だが……肉眼で見るとハートっぽく見えても大写しにすると整ったハート形はさほど多くはない。撮るなら、より綺麗なハート紋を──と品定めするようになり、紋をのぞきこんで「なんだ、モンキツノカメムシか」と気づくこともしばしば。モンキツノカメムシは、そのままスルーしがちで、ぞんざいに扱ってきた。
狭山丘陵ではエサキモンキツノカメムシに比べれば少ないものの、特に珍しいという感覚はなかったのだが……地域によっては(?)モンキツノカメムシは珍しいらしい(?)。
ふり返ってみれば……エサキモンキツノカメムシに関する記事は何度か投稿している(*)のに、モンキツノカメムシについては取り上げた記憶が無い。そこで、今さらながらモンキツノカメムシについても、少し紹介しておくことにしたしだい。


よく似たエサキモンキツノカメムシとモンキツノカメムシの違いだが……わかりやすいのは前胸背板(頭と紋の間)の色かも知れない。モンキツノカメムシは緑色をしているのに対し、エサキモンキツノカメムシでは茶色。前胸両側に突き出た突起(前胸背側角)も少し違う。モンキツノカメムシの方がやや尖っていて、エサキモンキツノカメムシは丸みをおびている。


トレードマークの背中(小楯板)の紋は、モンキツノカメムシでは丸みをおびた逆三角形だが、エサキモンキツノカメムシでは紋の中央部にくびれがあってこれがハート型に見える──というのが標準的な形だが、これには個体差がある。どちらにも「まぎらわしい紋」を持つものがいるようだ。


これ↑はエサキモンキツノカメムシだが、紋の中央の凹みが浅く、(モンキツノカメムシの)丸みをおびた逆三角形っぽくも見える。もっとモンキツノカメムシ似の紋をもつエサキモンキツノカメムシもいるようだ。ちなみに、このエサキモンキツノカメムシは右の上翅が革質部の途中からかけており、右の脚も欠損していた。


こちら↑はモンキツノカメムシだが、紋の中央部がわずかにくびれているようにも見え、エサキモンキツノカメムシの紋にも似ている。


こうした個体を見ると、紋の形だけで単純に両種を見分けるのは難しそうな気がする(*)。
モンキツノカメムシの大きさは、こんな感じ↓。


今回、あらためてモンキツノカメムシを撮ってみたわけだが……力強いカメムシ臭を体験。そこで、ついでにニオイをどこから放つのか──臭腺開口部を確かめてみることに。カメムシ成虫の臭腺開口部は腹面にある。


ツヤアオカメムシの《抜け殻落とし》など

他にも擬木では色々なカメムシが見られるが、羽化して間もないと思われるツヤアオカメムシに遭遇した。成虫のそばには抜けたてのホヤホヤな殻が残っている。
もしかすると、エサキモンキツノカメムシやアカスジキンカメムシでみられたような《抜け殻落とし》がツヤアオカメムシでも確認できるかも知れない──そう期待して眺めていると、果たしてそれらしい行動がみられた。


そして──、


順調に《抜け殻落とし》が見られるかと思いきや……実は(3)の段階──成虫が抜け殻の下に頭をもぐりこませる動作をしているときにカメラを近づけると警戒して動きを止めてしまった。そのまましばらくじっとしていたのだが、やがて、わずかに動き出した──と思ったところ、風で抜け殻は飛び去ってしまった。最後は自力で落としたのか、風の力を借りたのかはビミ~な感じがしないでもないが……とりあえず、《抜け殻落とし行動》をツヤアオカメムシもやることが観察できた。
また別の擬木では、脱皮してまだ体色がでていないアカスジキンカメムシ終齢(5齢)幼虫の姿があった↓。


脱皮してまだ間もないと思われる幼虫だが、その近くに抜け殻は見当たらない。ということは、《抜け殻落とし》をしたのだろう(アカスジキンカメムシの《抜け殻落とし行動》は確認済み)──そう考え、幼虫がとまった擬木の下を探すとすぐに見つかった。


もし風で飛ばされ落下したのであれば、離れた場所に落ち見つけ出すのは難しかったろう。抜け殻はほぼ直下に落ちていた──脱皮後、幼虫によって落とされたに違いない。地面の上ではわかりにくいので……。


これ↑は当然、4齢幼虫の形をした殻。
擬木では若齢幼虫から色々なサイズの幼虫が見られるが、成虫の姿もあった↓。




アカスジキンカメムシはとても綺麗なカメムシだが、やはり大型でキレイなアオクチブトカメムシの姿も見られた。


和名に「アオ」がついているが、この時期に見られる成虫は赤みをおびた個体が多い(この個体は左触角が途中で欠けていた)。
季節に会わせ(?)紅葉を思わせるかのようなアオクチブトカメムシ成虫だったが……季節の移ろいは早い。
ベージュに焦げ茶色というシックなデザインのニトベエダシャク──略して「ニトベエ」(と呼ぶのは僕だけであろうか?)が出ていた。この蛾を目にするようになると、間もなくフユシャクシーズンがやってくる……。




小さなカミキリと大きなタマムシ

ヘリグロチビコブカミキリ・今季は早い!?

ヘリグロチビコブカミキリは僕にとって驚きに満ちたカミキリだ。僕は長い間(虫見を始めるまで)「カミキリ」といえばシロスジカミキリやゴマダラカミキリ等をイメージしていた。それを標準サイズと思っていたから、体長4mm前後の極小カミキリの存在は驚きだった。ヘリグロチビコブカミキリではさらに《冬に活動している》という点にも仰天した。僕はこれまで12月~3月の間しか見たことがない。そして極寒の時期にも平気で飛翔する姿を何度も目にしている。僕の中では、すっかり《冬の極小カミキリ》というイメージが定着していた。
去年の初個体を確認したのは12月5日(*)、あと1ヶ月ほどで、またヘリグロチビコブカミキリが見られる季節になるのか……などと思っていたところ、たざびーさんのブログでヘリグロチビコブカミキリの写真が紹介されていたのでビックリ。今年は発生が早いのだろうか? そう思って確かめに出かけてみると……いた!


今シーズン初のヘリグロチビコブカミキリは鉄柵を歩いていた。毎シーズン初個体を見たとき感じることだが、今回もやはり「小さい……」と実感。体長4mm前後のカミキリだが、体が細いので同じ体長のテントウムシやゾウムシなどに比べ、だいぶ小さく感じる。
とりあえず、とまっている状況がわかる引きの画を撮ってからアップショットを──とカメラを近づけるが、明るい背景で黒い小さな虫は撮りづらい。まして動き回っていれば、なおのこと……ということで、手こずっている間にあっけなく飛び去られ、アップショットは撮れなかった。
個人的には《冬のカミキリ》という印象があるヘリグロチビコブカミキリだが、僕が見た中では一番早い時期の出会いだった(11月に見たのは初めて)ので、不鮮明な画像ながら記録しておくしだい。

この時期最大級の甲虫ウバタマムシ



擬木ではヘリグロチビコブカミキリの他にも小さい虫がそこそこ見られる。テントウムシやゾウムシ、ハムシ、ハネカクシ……甲虫類も少なからず見られるが、どれが最小なのかはよくわからない。が、この時期に見られる最大の甲虫といえばウバタマムシだろう。成虫越冬するようで、この時期にもしばしば見られる。


ヤマトタマムシのようなきらびやかさはないが、しぶい味わいを感じさせる大型のタマムシ。前胸背や上翅の黒い縞の部分は隆起して立体構造の模様になっている。木目を浮き立たせた浮造り(うづくり)仕上げの民芸品のようで、ヤマトタマムシとはまた違った美しさがある。
ウバタマムシの体長は24~40mm。夏に見られるヤマトタマムシ(30~41mm)と互角の大きさで、タマムシの仲間の中ではかなり大きい部類──存在感は圧倒的だ。


直径20mmの1円硬貨よりはるかに大きい↑。昆虫が少ない時期に出会うと、ヘリグロチビコブカミキリ(3.7~4.8mm)とは逆に「でかいなぁ!」と実感する。ボリュームを体長の数字や体長比だけで想像するのは難しいので、今回であったウバタマムシと昨年撮影したヘリグロチビコブカミキリの「1円玉比較」の画像を並べてみた↓。


11月に入ってから見られた他の昆虫も少し…

極小カミキリを意識して擬木ウォッチ(ギボッチ)をしているときに、にわかに緊張を高めてくれるのがこの虫↓。


チャタテムシの仲間のようだが、長い触角と縦長のボディラインが、パッと見、極小カミキリに見えなくもない。動きは全然違うし、ヘリグロチビコブカミキリはもっと小さいのだが……。
擬木の上には小さな昆虫が他にも色々……。




日本のツノゼミの中では最もポピュラーなトビイロツノゼミ。5~6mmほどの昆虫で植物の汁を吸う。熱帯のツノゼミのような派手さはないが、ちょっと面白いルックスなので、見つけるとカメラを向けてしまいがち。
10月下旬に投稿した【ソンブレロ仮面ウシカメムシ幼虫ほか】の中でも紹介したシリジロヒゲナガゾウムシ♂がまだ頑張っていた。


別の場所にいた別個体↓


擬木ではカメムシも色々見られるが、人面風ということでオオホシカメムシにカメラを向けたところ飛翔。しかしすぐ近くの葉の上に降りたので撮ってみた↓。


カメムシでこの時期この界隈で見られる大型な種といえば……アオクチブトカメムシだろう。


アオクチブトカメムシの別個体↓。


アオクチブトカメムシは金属光沢がキレイなので撮ってみるのだが……例によってその輝きがうまく写せない。


大型の昆虫といえば、カマキリもそうだろう。このあたりではハラビロカマキリが多い。もうカマキリのシーズンは終わりに向かっている気もするが……。
「まだ頑張っている」感のある虫も少なくないが、「晩秋が旬」の昆虫も見られる。インパクトが強烈なケバエ幼虫集団も撮ってはいるのだが、今回は自粛。最後はキレイどころの蛾で──、


擬木にとまった晩秋の蛾・ケンモンミドリキリガ。緑~青系の蛾はきれいな種類が多い気がする。幼虫はヤマザクラなどの葉を食べるというが、桜の幹に止まっていれば、地衣類にまぎれてしまいそうな色&模様という気がする。


陽だまりのカメムシ

11月のキマダラカメムシ

11月に入った市内の公園。コヒガンザクラがたくさん植えられているが、これがキマダラカメムシには人気があり、夏にはどの木を見ても、もれなくついている状態だった。それが今では大半が葉を落とし、閑散としている。ざっとながめたところ、枝がすっかり裸になった木にはキマダラカメムシの姿はない。それでも葉がいくらか残っているコヒガンザクラを探してみると、キマダラカメムシを見つけることができた。


「いない木」が多いが「いる木で」は何匹かみられた。別の木にいた別個体↓。


体にシミがあったり、触角や脚が欠けて疲れた感じの個体もいたが、吸汁しているものもいた。


キマダラカメムシは体長20~23mmと大きくてキレイなカメムシ。成虫は胸の腹面・幼虫は腹の背面からカメムシ臭(分泌液)を放つ。この悪臭はきつめで、夏に臭腺開口部を確認した時に指先に付けられたニオイは水洗いしただけでは落ちず(風呂に入って頭を洗ってようやく落ちた)。(分泌物による)指先のシミに至っては3日余り残った(*)。

キマダラカメムシは戦後長崎周辺から九州に広がったという外来種だそうで、僕が初めて見たのは2011年9月だった。Wikipediaによると2010年に東京都でも生息が確認されているらしい。
「ついに東京にも現れたか」と驚いてからわずか4年──今では市街地(平野部)ではすっかりおなじみの昆虫になってしまい、市内では最も多く見られるカメムシと言っても過言ではない状況だ。なぜか狭山丘陵(丘陵地帯)ではまだ一度も見たことがないのだが……今年は丘陵から100mほどしか離れていない桜でも確認しているので、来年あたりは丘陵地帯でも目にすることになるのかもしれない。

葉上のカメムシ

夏には大繁盛していたコヒガンザクラの大半が葉を落として吸汁に適さなくなったのか、客の数はだいぶ減った。店じまいした(?)コヒガンザクラから離れた(?)キマダラカメムシはどこへ行ったのだろう? そう思って、コヒガンザクラ周辺の植込みを探してみると、陽当たりの良い葉の上で日光浴している成虫が目にとまった。


樹皮についていると意外に目立たないキマダラカメムシだが、緑の葉の上ではむしろ鮮やかに感じる。この時期になると外温性の昆虫は陽だまりに出て活動体温を得ようとしがちなのだろう。陽当たりの良い葉の上には他にも色々な昆虫がみられた。その中で、とりあえずカメムシのいくつかを──。


この木はマユミだろうか? 陽当たりの良い葉の表面にキマダラカメムシの幼虫が出ていた。この木についたカメムシはまだ吸汁できそうだ。同じ木の別の葉では↓。


クサギカメムシ(13~18mm)も、よく見るカメムシで、キマダラカメムシを初めて見た人がクサギカメムシだと誤認することがあるようだ。パッと見、プロポーションはよく似ているが、キマダラカメムシの方が大きくてキレイだ。


同じ木(マユミ?)では常連のキバラヘリカメムシも陽のあたる葉の表面に出ていた。
公園の植込みではテントウムシなどの姿もあったが、テントウムシ風なカメムシも↓。


コブシの近くの植込みの葉の上にいたアカスジキンカメムシの幼虫↑は3齢だろうか。終齢(5齢)幼虫の姿も↓。


そして、この公園では初めてのウシカメムシ↓。


カッコ良いウシカメムシ同個体を角度を変えて──、


ウシカメムシは擬木の上で時々目にするが、木にいるところは(目立たないためだろう)あまり見た記憶が無い。今回は葉の上に出ていたから見つけることができたのだろう。
11月になって活動している昆虫の総数は(夏に比べて)だいぶ少なくなった気がするが、陽当たりの良い葉の上に出てくるものが増えたということでは、ある意味「見つけやすい」時期なのかもしれない。