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2015年10月の記事 (1/1)

トビナナフシの偽瞳孔ほか

セミの終鳴日

10月も終わるので、今年のセミの終鳴日や10月下旬に見た昆虫を少し……。
今年は10月中旬まで鳴いていたセミも下旬に入ってからは確認していない。僕にとっての2015年版セミの終鳴日(鳥や昆虫がその季節に最後に鳴いたのが確認された日)は、アブラゼミが2015.10.18(東村山市)/ツクツクボウシが2015.10.14(所沢市)だった。
ちなみに昨年は10月27日までアブラゼミが鳴いていた(*)。2012年には10月29日にツクツクボウシを撮影している。夏の風物詩的なイメージがあるセミだが、活動している時期は意外に長い。
季節が変わって、秋の風物詩と言えばケバエ幼虫集団(*)──知らない人も多いがインパクト絶大という点でコレを真っ先に思い浮かべる人も少なくないのではあるまいか。今シーズン初めてケバエ幼虫集団を確認したのは10月19日だった(去年は10月01日/一昨年は10月10日)。11月に入れば遭遇する機会も増えてくるだろう。

ニホントビナナフシの偽瞳孔



ニホントビナナフシは晩秋から冬にかけて擬木の上でよくみられるようになる。落葉とともに落ちてきた個体が擬木に登るので目にする機会が増えるのだろう。この時期は成虫が多く、狭山丘陵で見られるほとんどはメス──本州では単為生殖を行うとされている(屋久島以南では両性生殖)。しかし稀にオスが出現することもある。12月に交尾を確認し驚いたこともあった(*)。また、雌雄モザイクや黄色い成虫♀を見たときも驚いた(*)。去年の晩秋は予想していたよりも発生が少なかったが、今年はどうであろうか……。
ピーク時に比べればまだ少ないが、擬木上のニホントビナナフシ成虫♀↓。


この昆虫は撮影すると「カメラ目線」で写る。複眼の中にうつる黒い点(偽瞳孔あるいは擬瞳孔と呼ばれる)がカメラに向けられているように見えるからだ。


しかし、じっさいには偽瞳孔は瞳孔のような器官ではなく、カメラ(や観察者)に「向けられている」わけではない。複眼は個眼と呼ばれる小さな目が集まってドーム状になっているわけだが、個眼の奥──深い部分までのぞける角度で黒く見える。おおむね複眼ドーム面に対して直角の方向から見た部分が黒くうつり、それは見る角度によって変わるので、「黒目(偽瞳孔)が追ってくる」ように見えることになる。死んだ個体でも見る角度を変えれば「黒目が追ってくる」ように見えるし(*)、同時に別方向から撮影しても、それぞれのカメラに偽瞳孔が「カメラ目線」で写ることになる。
ニホントビナナフシの顔のアップを撮るため近づいたらジャンプして路面に落ちた。踏まれてはかわいそうなので、近くの枝に移動しておいた↓。


10月下旬の昆虫から



ヒメヤママユ(蛾)の成虫も、この時期になると見かけるようになる。これは♀だった。
晩秋の蛾では、成虫で越冬するキバラモクメキリガも出ていた。


大写しにするとそうでもないが……実際にはパッと見、朽ちて折れた枝片に見える。翅を棒のように円筒形に巻くあたりも大したものだが、「折れ目」に見える部分のデザインがみごと。
チョウではオオムラサキの幼虫が、欄干を徘徊していたので、エノキに戻しておいた↓


オオムラサキ幼虫はこのあと木をおりて枯葉の下で越冬する。そのときは緑色では目立つので(?)枯葉色になっている。成虫になるのは6~7月頃。ここ何年かで外来種のアカボシゴマダラが増えたが、オオムラサキもとりあえず健在。
チョウでも、こちらは蛹(さなぎ)で越冬するジャコウアゲハ↓。


この風変わりな蛹は別名「お菊虫」──怪談『皿屋敷』の「お菊」に由来するとか。
この蛹のあった場所では一時期、同じ食草(ウマノスズクサ)を餌とする外来種のホソオチョウが発生して、ジャコウアゲハとの競合が懸念されたが、ここでは、その後ホソオチョウは姿を消し、ジャコウアゲハが以前と同じように残っている。
外来種で定着した昆虫は少なくないが、比較的最近の種類ではマツヘリカメムシがいる。


日本では2008年に確認されている(Wikipedia情報)というマツヘリカメムシ。やはり比較的新参者のキマダラカメムシが市街地に多いのに対し、マツヘリカメムシは市街地でも丘陵でも見かける普通種になっている。
擬木や欄干ではカメムシも色々みられるのだが、大型でキレイなアオクチブトカメムシは、やはりカメラを向けたくなる……。


……が、やっぱり光沢感がうまく出ない……。欄干にいたこの個体↑はこのあと飛び去った。
擬木ではゾウムシの仲間もみられるが、小さくて撮りづらいものや動いていて撮りづらいものはスルーしがち。たまたま静止していたので撮ってみたシギゾウムシの仲間↓。


シギゾウムシ↑に比べるとだいぶごついオジロアシナガゾウムシ↓


オジロアシナガゾウムシは春~夏にはクズでよくみかけた。
前々回に紹介した(*)ウシカメムシ幼虫がまたいたので(前々回とは別個体)↓。


ウシカメムシ幼虫は遠目には、カラスハエトリ(ハエトリグモ科)のオスっぽく見える。


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カメムシの抜け殻落とし行動



少し前に【アカスジキンカメムシの抜け殻おとし】でも取り上げたが、先日また脱皮直後のアカスジキンカメムシが抜け殻を落とす行動が観察できたので、その記録。
今回の舞台は擬木。擬木には色々なステージのアカスジキンカメムシがみられる↓。


こうした擬木のひとつで、脱皮直後と思われるまだ本来の体色が出ていない個体をみつけたが、ちょうど《抜け殻落とし》をしている最中だった↓。


脱皮直後の幼虫が抜け殻を落とそうとして、その下に潜り込む姿は【アカスジキンカメムシの抜け殻おとし】で観察したときと同じ。

アカスジキンカメムシ幼虫の《抜け殻おとし行動》



見つけたときは、すでにこの状態だった。抜け殻の下からすくいあげるように投げ落とそうとする体勢だが、抜け殻はなかなか落ちず苦戦しているもよう……。カメラを警戒してか疲れたのか、触角をたたんで一時動きをとめていたが、やがて《抜け殻落とし行動》を再開した。


下にもぐって投げ落とすことができなかったので、ブルドーザーのように頭で抜け殻を押し始めた。


なかなか落ちない抜け殻を押し上げる。ちなみに、抜け殻↑の開いた胸背面から腹側の「脚のつけねの抜け跡」がのぞいている。抜け殻からのぞいている白い糸のようなものは脱皮した気管。


とうとう擬木支柱の上まで押し上げてしまった。本来、葉の裏などで脱皮していれば抜け殻はとうに落ちていただろう。擬木にはクモのしおり糸やイモムシの糸などが残されているので、そうしたものに引っかかっているのか……意外にしぶとい抜け殻に、幼虫もてこずっているようす。


そしてようやく、抜け殻を落とすことに成功した……かに見えたが……なんと抜け殻は落ちる途中でひっかかっていた。


落ちずに引っかかっている抜け殻に気づいた幼虫は、わざわざ落としに戻る。




しきりに抜け殻をこずいて落とそうとするが、なかなか落ちない。


疲れたのか、カメラ&レフ板代わりのアルミシートを警戒してか……触角をたたんで停止モードに。この状態で待機している間に風が吹いて、抜け殻はさらに少し滑落……。


幼虫からビミョ~な距離をおいて止まった抜け殻は、風でペラペラと動く。


《抜け殻落とし行動》の延長戦となるのか……とも思われたが、このあと突風で抜け殻は飛ばされ、あっけない幕切れとなった。しかしながら今回は執拗な《抜け殻落とし行動》を確認することができた。奮闘していたアカスジキンカメムシ幼虫は、これで安心して(?)本来の体色がでるまで休めるだろう↓。


《抜け殻おとし行動》の意味

《抜け殻落とし行動》を僕はアカスジキンカメムシとエサキモンキツノカメムシで確認している。ただしアカスジキンカメムシの抜け殻が葉の裏に残っているのも見たことがあるので必ず落とすというわけでもないらしい。
以前飼育していたコノハムシは脱皮・羽化の後に抜け殻を食べていたが、食べないケースもみられた。カメムシの《抜け殻落とし行動》(する・しない)も同じようなものなのかもしれない。
コノハムシは抜け殻を食べて消し去ることができるが、カメムシでは口の構造上(針のような口吻をさして汁を吸うようにできている)それができない──それで食べる代わりに落とすのではないか?
コノハムシが脱皮(羽化)後に抜け殻を食うのを見ていたときは、自分の体を構築していた物質なのだから、再利用するために取り込んでいるのだろうと思っていた。しかし、カメムシの《抜け殻おとし行動》を見て、これには「隠蔽」の意味もあったのではないかと考えるようになった。脱皮(あるいは羽化)したばかりのカメムシが時間や労力を投資して《抜け殻落とし》をするのには、きっとそれなりの意味があるはずだ。わざわざ「落とす」のは、「その場から消したい」ということ──すなわち「隠滅」に意味があるのかもしれない。
あくまでも想像だが……たとえば抜け殻に脱皮をスムーズに行うための離型剤のような物質(脂?)が残っていて、それを嗅ぎ付けて寄生蜂・寄生蠅のたぐいがやって来ることがあるとすれば、その危険を避けるために、脱皮後すみやかに抜け殻を処分──自分たちの生活圏(カメムシは幼虫も成虫も同じ生活圏で暮らしがち)の外に廃棄する必要がある。《抜け殻落とし》には「被寄生リスクを抑えるため」の行動という意味があるのではないだろうか。
セミやチョウなどは羽化後、成虫はその場から離れてしまうから、抜け殻(蛹)を廃棄する必要がない(だから抜け殻が落ちずにその場に残る)。
ただし……チョウの場合、成虫は蛹(ぬけがら)から離れてしまえば問題ないが、蛹が幼虫の近くにあったのでは、仲間への被寄生リスクを高める危険があるかもしれない──それでチョウや蛾では、蛹化前の幼虫は食植物を離れて徘徊するのではないか?……などと想像が展開した。

チョウやガの終齢幼虫はなぜ蛹化前に徘徊するのか

蛹化する直前と思われる丸まると太ったイモムシ(チョウやガの終齢幼虫)が道路を横断する姿や擬木を這っている姿を目にすることはよくある。路面で轢死したものを見ることも少なくない。「せっかくここまで育ったのに、どうして危険を冒して徘徊するのだろう?」と、よく首を傾げる。
イモムシが育った食植物で蛹になれば、徘徊することで発生する危険──すなわち、踏みつぶさされたり、目立つ場所に出てしまうことで天敵に狙われやすくなったりといった危険は避けられる気がする。また羽化した成虫は、どうせ産卵するために食植物に戻ってくるのだから、さいしょから食植物を離れずに蛹化すれば良さそうな気もしないではない。しかし、もしかすると……「自分たちの生活環境からわざわざ蛹を遠ざける」という行動には、カメムシの「抜け殻落とし」のような(?)「被寄生リスクを減らす効果」があるのかも知れない。
チョウや蛾の場合は、不完全変態(蛹を経ない)のカメムシとは違って、蛹から寄生蜂・寄生蠅がでてきたりすることが少なからずある──不幸にも寄生されてしまった蛹が仲間の近くにあって、そこから寄生蜂や寄生蠅が発生すれば仲間達が次のターゲットにされる危険は大いに高まるだろう。そこで寄生蜂や寄生蠅の発生源となりうる蛹を仲間達から遠ざけるために、わざわざ危険を冒して徘徊するのではないか?
アカスジキンカメムシの《抜け殻おとし行動》から、そんなところまで想像が拡がったが……例によって、素人の脳内シミュレーション。僕の解釈が当っているかどうかはサダカではない。


ソンブレロ仮面ウシカメムシ幼虫ほか

ちょび髭のソンブレロ仮面と美少女仮面



擬木にウシカメムシの幼虫がいた。成虫は8~9mmほどで前胸の左右につきだした突起が特徴的──これがウシのツノを思わせるためにこの名がついたらしい。この特徴的な突起は幼虫にもあって、プロポーションは成虫とよく似ている。しかし模様は異なり、パッと見の印象も違う。成虫も好きな昆虫だが、ユニークな模様をもつ幼虫もお気に入り。ということでカメラを向けると触角をかくした。


この姿↑がソンブレロのようなツバの広い帽子をかぶり、ゾロのようなマスクをつけた、ちょび髭男の顔にも見える。また胸背面の黒い模様は、逆さにすると飛行するスーパーマンのように両手(前脚)を広げたタレ目の黒猫にも見える。


言われてみればたしかに見える……気がする……かもしれない空目ネタ。ちゃんと見えたであろうか?
撮っていると、触角を立てて歩き出した。


大きさが判るように直径2cmの1円硬貨と比較↓。


頭を下にすると、模様が《両手(前脚)を広げた黒猫》に見える↑。
やはり先日、擬木で見かけた成虫との比較画像↓。


成虫は晩秋から冬頃に擬木でしばしば見かける。幼虫もときどき見かけるが、成虫よりも目にする機会は少ない。
※ウシカメムシ成虫の大きな画像を追加↓。




顔の模様には幼虫時代のおもかげが感じられる。

空目ネタ昆虫つながりで──ウシカメムシ幼虫の《ソンブレロ仮面》に対してホソバシャチホコ幼虫の《美少女仮面》。


何度も紹介しているホソバシャチホコ幼虫の空目だが、個体によって模様に違いがあり《美少女仮面》の表情にも変化があるので、この虫をみつけると撮ってしまう。これが先日撮った直近の個体。

アオクチブトカメムシの臭腺開口部



ウシカメムシのように前胸の両側にトゲ状の突起を持つアオクチブトカメムシ──先日も紹介したが(*)、これはウシカメムシよりだいぶ大きくて18~23mmほどある大型で美しいカメムシだ。「大きくて綺麗なカメムシは臭いがしません」とハッキリ言いきっている人がいたので、アオクチブトカメムシの臭腺開口部(ニオイを発する孔)を確かめてみたくなった。
カメムシ成虫の臭腺開口部は胸の腹面にあるので、チェックするにはカメムシをつかまえて裏返すことになるわけだが……このアオクチブトカメムシは捕食性──他の虫などをつかまえて口吻を刺して体液を吸う。捕食性のサシガメは刺すことがあり、とても痛いらしいので、アオクチブトカメムシも(サシガメではないが捕食性なので)、下手につまむと刺されやしないか……という不安はあった。
(といいながら実は初めてアオクチブトカメムシを見たときは捕食性だと知らず、金属光沢の美しく映る角度をさがして手に乗せて撮影していた。そのときは刺されなかったのだが……そのさいにカメムシ臭を感じたことがあったような気もする)
オオトビサシガメの腹面をチェックしたときはピンセットを使ったが、アオクチブトカメムシは幅が広くてピンセットではつかみにくそうだ。この日は気温が低かったせいか、このアオクチブトカメムシは動きがにぶかった。前胸の左右に突き出した突起は、つまむのにちょうど良さそうに見える……ここをつまんで裏返せば、口吻は届かないのではないか? そう考えて、口吻の動き(つまんだ指に届かない保証は無いので)に注意しつつ、臭腺開口部チェック&撮影にいどんでみた。


ちょっと暗めな状況だったのでフラッシュを発光↓


口吻の動きに気を配りつつ、しばし臭腺開口部を撮影。その後にニオイを嗅いでみたがこのときは感じられなかった。撮影中にニオイが飛んでしまったのか、この個体がたまたまニオイを発しなかったのかはわからない。低温でアオクチブトカメムシの動きが鈍かったことも関係しているのかもしれない。あるいはこの個体の臭腺液の貯蔵残量などの関係もあるかもしれない。カメムシ臭を放つ種類でも毎回必ずニオイを放つわけではない。
とりあえず今回は、アオクチブトカメムシの胸部腹面に臭腺開口部と、その周辺に、分泌した液を速やかに気化させる蒸発域らしきものがあることは確認できた。
「大きくて綺麗なカメムシ」では、アカスジキンカメムシも、ちゃんとニオイを発するし臭腺開口部も確認している(*)。最近生息域を広げているキマダラカメムシも大きくて綺麗だが、これはかなり臭かった(*)──これも臭腺開口部を投稿している。
(※追記:アオクチブトカメムシとしばしば間違えられるツノアオカメムシも大型の美麗種だが、ツノアオカメムシでもカメムシ臭を体験していたのを思い出したので加筆)

その他の昆虫@擬木



擬木で見かけるようになったコミミズクの幼虫。晩秋~冬によく目にする虫だ。


立ち上がる(?)と体の側面にすきまができるが、枝に張りつくときはここに脚がピッタリはまる。横から見た姿で、ガメラシリーズに出て来た大悪獣(怪獣)ギロンを連想するのは僕だけであろうか?
そしてコミミズクではなくミミズクの成虫↓。脚が体側に収納されている。


この成虫↑は耳介状突起が小さいのでオスだろう。コミミズクもミミズクも植物の汁を吸うカメムシ目の昆虫。
今の時期、擬態木ではカメムシの仲間が目につくが、甲虫類もいないではない。




シリジロヒゲナガゾウムシ♂のヘラのような触角は、ネコ耳ならぬウサ耳(ウサギ耳)っぽく見えなくもなくて、ちょっと面白い。大きな眼や、シックな模様も魅力的。画像はオスで、メスの触角はこれに比べると小さい。
甲虫類ではゾウムシの仲間も見かける。




ドングリやクリなどに産卵するシギゾウムシの仲間だが、似たようなのがいて僕にはまだ見分け方がよくわからない……ので、とりあえずシギゾウムシということで。
蛾では10月後半になってノコメエダシャク(これも、ヒメノコメエダシャクかオオノコメエダシャクか僕には正確に区別できない)が出てきた。


ノコメエダシャクは傾いでとまり腹を曲げている姿がユニークだが、これには左右の対称性を壊すことで天敵の目をあざむく効果があるのではないかと想像している(*)。傾いでとまることで、(左右対称である)翅の先端の形が非対称に見えたりもする。


また、擬木ではないが、その周囲に生えたキウイの葉を裏返してみると、キウイヒメヨコバイがいた。


キウイヒメヨコバイの存在を知ったのは昨年。1991年に小田原市で初確認された新属新種の昆虫だそうだ。成虫♂は前翅が赤みをおびてくる。白っぽい成虫は♀。この白と赤の感じが、なんとなく和金を思わせる。


バルタン星人に勝つには

vsバルタン星人・必勝法とは



バルタン星人は最も有名な怪獣(宇宙人)のひとつだろう。『ウルトラマン』第2話に初登場したときのインパクトは大きかった。その後もウルトラシリーズに度々登場している人気怪獣(宇宙人)だ。ウルトラヒーローと何度も闘っているほどの強敵だが……このバルタン星人に、スペシウム光線や八つ裂き光輪などの武器をもたぬ我々が勝負をいどんで、はたして勝つことはできるであろうか?
勝つ方法は……ある! しかも必勝の方法が!


バルタン星人との勝負に勝つには──「グー」を出すことである。


ジャンケン勝負なら何度くり返しても、あのバルタン星人に勝ち続けることができる──ウルトラヒーローたちに伝授したい必勝法だ。
これはダイオウサソリ↓にも応用ができる。


ザリガニにだって対応できる。ゆかい愉快。
「こりゃ、楽勝だ」と調子にのっていたところに現れたのがコアオハナムグリ。


と、いうことでジャンケン勝負をすることに──。




──という、しょうもないネタがふと浮かんだので、コアオハナムグリを抜擢して撮ってみたのであった。

今回のネタ──発想のきっかけはネット上で甲虫類の標本写真を眺めていたとき、その爪がVサインをしているように見え、「Vサイン」→「(ジャンケンの)チョキ」→「ジャンケンをすれば勝てるな」と想像が展開し、その応用編で「バルタン星人にだって勝てるではないか!」と思い至ったこと。
甲虫類には楽勝──と思われた必勝法が破れる逆転オチを思いついたところで、ちょろっとジョーク記事にしておこうかという気になった。
当初、そこらで葉を食っているコガネムシを使って撮るつもりだったのだが……少し前まであちこちで目にしていたマメコガネやアオドウガネが、いつの間にか姿を消していて見つからなかった……。
季節の移ろいは早い──時間の加速感をあらためて実感した。そういえば今シーズンもまだ小規模ながら先日、初ケバエ幼虫の群れを確認したところだった。
さて、すぐに見つかるだろうとアテにしていたコガネムシが意外にも見つからなかったので、陽当たりの良い場所に咲いていた花(背は高くなかったけどセイタカアワダチソウ?)をチェック。コアオハナムグリがいたので、急きょ出演を願ったしだい。
コアオハナムグリは花でよく見かける11~16mmほどのコガネムシ。同じ場所にいた別個体↓。


一心不乱に花粉を食うコアオハナムグリの周囲には──、


ヒメジュウジナガカメムシの集団が……。


ガガイモの葉に集まったヒメジュウジナガカメムシは何度か見たことがあるが、ここでは花に集まっており訪花性昆虫のようだった。カメムシというと茎や葉あるいは実で吸汁するというイメージがあるが、この時期・この植物では花の方が吸汁しやすいのだろうか?


背中の模様が(キアイを入れれば?)ヒーローものに登場する「仮面」のようにも見えるので……ヒメジュウジナガカメムシもヒーローつながり(?)で紹介。

光沢亀虫マジック!?

アオクチブトカメムシの金属光沢マジック



アオクチブトカメムシ(成虫)は肩(前胸両側)に立派なツノを持つカッコ良いカメムシだ。昆虫を撮るときは、なるべくその特徴・カッコ良さがアピールできるポーズやアングルをおさえたい。こうした前胸両側に突起がある昆虫は、背面から撮ると突起が脚と重なってしまうことがあるが、突起の輪郭をクッキリ際立たせるには、できれば脚と重ならないアングルを選びたい。本当はボデイラインが目立つような背景で撮りたいところだが、その虫がどんなところにいてどんなふうに見えるのか──という部分も記録したいので、見映えのしない背景で甘んじて撮っていたりする。
アオクチブトカメムシの場合、撮影アングル選びにはもう1つ気にしている要素がある。金属光沢があるので、その色合いが一番美しく見える角度で撮りたいということ。金属光沢のある昆虫は撮ってみると、その輝きがかなり目減りしてしまうのでガッカリしがちなのだが……それでもやはり、キレイな虫はできるだけキレイに記録したい……そう思ってベストなアングルを探してしまう。
ということで、10月に入って擬木や欄干上で見かけるようになったアオクチブトカメムシ成虫を撮ってみた。この昆虫は6月頃にも新成虫を目にしていたが(*)、最近見かける個体は触角が切れたものの割合が多いような気がする。羽化してからの時間経過が長いということなのだろうか? この「赤みが強い」と感じた個体も、右の触角が途中で欠けていた。


アオクチブトカメムシといえば《金緑色の輝き》をイメージするが、この個体ではやけに赤みが強く感じられ、カメラを向けてみた。撮りながら、例によって色合いがキレイに見えるアングルを探していると──アラ不思議!? 赤みがかった輝きが金緑色に変化した!


赤と緑はほぼ反対色(補色)──同一個体でここまで変化して見えとは……まるでクロースアップマジックのようだ。




同じもの(個体)が、まるで別物(別個体)のように見えるアオクチブトカメムシの金属光沢マジック──これは記録しておきたいと思って「格差ショット」のアングルを探してみた↓。




アオクチブトカメムシの金属光沢には──水田に張られた鳥除けのキラキラ・テープのように、(昆虫食の)鳥を忌避させる効果があるのだろうか?
それにしても、どうしてこれほど見え方が違うのか本人(虫)に聞いてみたくなる。

青口太亀虫「そりゃあダンナ、目撃者の証言を混乱させるためでさぁ。こう見えてもあっしらは肉食──他の虫の命をちょうだいして生きてるわけでして、殺生のシーンを目撃されて通報されないとも限りやせん。そんなとき、目撃者たちが『下手人は緑色のカメムシ』『いや赤っぽかった』『右の前翅は緑で左が赤だった』『違う違う、その逆だ!』と、それぞれ食い違う証言をしてくれれば、捜査をかく乱できるってワケでして」
Q「捜査というけど……虫を殺して、いったい何の罪になるのかね?」
青口太亀虫「人を殺せば《殺人ざい》、虫を殺すのは《殺虫ざい》でさぁ」


──などという脳内コントはさておき、新成虫が見られた6月に撮影していたアオクチブトカメムシの画像↓。


そして、最近の画像に戻って──欄干にいた腹の縁が「赤地に青模様」の個体↓。


キレイな個体だったのだが動きまわって、なかなか撮らせてくれなかった。木影に位置する場所だったが、風で枝がなびき陽がさしたシーン↓。


画像では例によって光っている部分が白っぽくとんでしまっているが、実際は美しくキラキラと輝いていた。
アオクチブトカメムシには腹の縁が「黄色地に緑模様」のタイプ(?)もいて、そんなペアもいたので撮ってみた↓。


やはり撮影アングルに気を使う指乗りミミズク



「ミミズク」で検索すると鳥のタイトルばかり並んで閉口するが……これは昆虫の「ミミズク(耳蝉)」。やはり10月に入って擬木で目にする機会が増えてきた。前胸にあるユニークな耳介状の突起が、キアイを入れれば「天使の翼」あるいは「ミッキーマウスの耳」に見えなくもない。このユニークなフォルムをどの角度から撮ったら一番サマになるか……と考えてしまう。
アオクチブトカメムシのようなきらびやかな昆虫ではないが、「撮影アングルを探してしまう」つながりで……。ちなみに、このミミズクも《カメムシ目》の昆虫(カメムシ目・ミミズク科)で、植物の汁を吸う。


見映えのする撮影アングル探しに気をとられ、現場では気がつかなかったが……前胸にゴミが付着していた……。


このアングル↑に「たそがれ感」を覚えるのは、僕だけであろうか? ちなみにこの耳介状の突起はオスよりメスの方が大きいそうで、この個体は♀ということになるのだろう。


大きさがわかるように直径20mmの1円硬貨を並べてみたところ、向きを変えて、このあとピョン!と飛翔した。1円玉にかかった翅の端が透けているのがわかる。木にとまっていると樹皮が透けて翅の色と融け合い、ボディラインの隠蔽効果があるように思う。


耳介状突起の小さい↑これがオスだろう。


ミミズクも撮る角度によって、けっこう印象が変わる。
10月に入って成虫を何匹か目にしたが、小さな幼虫も1匹、目にしている↓。


成虫のような立体的な突起はなく、とても平べったい。画面右が頭部。




ミミズク成虫もアオクチブトカメムシ新成虫が見られた6月に目にしていた↓。




ミミズクもアオクチブトカメムシも、撮影するアングルに気を使うカメムシ目の昆虫ということで、くくってみたしだい。


身近な遭難でUMAと遭遇!?

山奥で遭難し、そのとき異形なモノ(妖怪・UMAのたぐい?)と遭遇した──という話は昔からよくある。
遭難というと人里離れた場所をイメージしがちだが、身近な所でも起こりうる。というより起き続けている。気づかぬ人が知らないだけだ。そしてこうした遭難による異形な存在との出会いもある。
ということで、僕が最近、「身近な遭難」で出会った異形なモノをいくつか紹介してみたい……。

身近な遭難《擬木遭難》&異形なモノとの遭遇

さて、ここでいう「遭難」とは、虫の遭難。枝から落ちて擬木の柵や欄干などに登ってしまい、そこから抜け出せなくなっている状態を僕は《擬木遭難》と呼んでいる。葉を食べる幼虫は、落下すると木の幹をよじのぼり「餌の葉がある《高い所》」を目指す。しかし間違って擬木を登ってしまうとやっかいなことになる。のぼりつめても餌(葉)はない。支柱のてっぺんまで登ってそのフチをぐるぐる回り、その先がないことをようやく悟ると、少し降りて水平の手すりを移動、次の支柱を登って同じ事をくりかえす……擬木の上をいくら徘徊しても目指す枝葉に到達できないことを虫たちは知らない。
擬木上には同じように落下して擬木に登ってきたクモやサシガメ、カマキリなどの捕食者たちもいる。《擬木遭難》は虫たちにとって生死に関わる災難で、「遭難」は決して大げさな言い方ではないだろう。

そんなわけで、雑木林沿いの遊歩道の擬木には、遭難中の様々な虫が這っていたりする。中にはギョッとするような異形な姿をしているものも……。


これ↑は【怪獣!?ドラゴン!?!UMAじゃない実在生物】で投稿した画像だが、先日も擬木で遭遇した。その時の画像がこれ↓。


何度であってもユニークな造型にカメラを向けたくなってしまう。


これはウコンカギバもしくはヒメウコンカギバという蛾の幼虫だろう。キアイを入れればドラゴンに見えなくもない姿は空目(そらめ)チックだが、和名も文字列空目しがちな危険な香りを感じる。「ウコンカギバ」を「う○こ嗅ぎ場」と誤読しないよう注意が必要だ。
この幼虫──頭部に一対の突起があって、これがちょっと猫耳っぽく、猫顔にも見える。猫顔のイモムシは意外に多く、個人的には猫顔幼虫はポイントが高い(いったい何のポイントだか……)。


猫顔もおもしろいが、この幼虫でまず目を引くのは、やはり背中や腹端に生えた何とも不思議な突起だろう。角度や形が変わるのでいちおう可変式の器官ではあるようだが……これにはいったいどんな意味があるのだろう? この突起があることで(昆虫食の)鳥が忌避するとか(鳥も異形を嫌うとか?)……身を守ることに何か役立っていたりするだろうか? 突起をたたんでいるときは枯れた植物片に見えなくもないから、隠蔽擬態の効果はあるていどあるのかもしれないが……隠蔽工作の器官にしては仕掛けが大掛かりすぎる気もする。あるいはやがてメタモルフォーゼするときに備えて養分を貯蔵しておく器官で、体を再構築する際にアクセスが良い資材置き場みたいな役割りでも果たしているのだろうか?
異形ともいえる謎めいた不思議な姿には興味を抱かずにはいられない。
次に紹介するイモムシも猫顔で背中に突起をもつが……この突起を猫のシッポに見たてて、キアイを入れれば《残像を残しながら移動するネコ》に見える……ハズ!?


という↑イメージを思い描いて見てみよう!


見えなかったとすれば……それはキアイが足りなかったのです、きっと……。
いずれにしても、ギンシャチホコ(蛾)の幼虫もユニークな姿をしている。


イモムシで緑色と茶色の配色のものは少なくない。緑色の部分は食植物の葉に溶け込み、茶色の部分は葉のフチの枯れた部分や枝に紛れて見える──配色の違う部分で体が分断されて認識されることで天敵に見つかりにくくなるという隠蔽効果があるのだろう。

次のイモムシは猫顔ではないし、背中に突起も無いが……その模様がふるっている。少し前にもネタにしたが(*)《長い髪をなびかせたスーパーヒロイン》に見えてしかたがないホソバシャチホコ(蛾)の幼虫↓。


個体ごとに描かれたスーパーヒロインの顔・表情に違いがあるので、見つけると、つい撮ってしまう。擬木のふちを徘徊していた個体↓。


スーパーヒロインとはおもむきが違うが、僧侶か地蔵のように見える空目昆虫@擬木↓。


アカシマサシガメは捕食性のカメムシ。カメムシというと嫌われがちだが、僧侶や地蔵に似ていると、ちょっとありがたい感じがしないでもない!?
そして、空目つながりで、擬木上の《赤い笑い》↓。


背中の模様が笑顔に見えるアカスジキンカメムシだが、先日、擬木上で見つけた個体は黒かった。アカスジキンカメムシに黒化型があることは知っていていつか見たいとは思っていた。部分的に黒い個体は何度か見たことがあり、形成過程の部分的不全で黒くなることもあるのではないかと思っているのだが……この個体は「ほぼ全身黒い」。ただ、頭部付近に緑が残っており、「(遺伝的な欠陥で?)緑が作れない」わけではないらしい?
これが遺伝的な要因による黒化型なのか後天的な発達不全(?)による黒化なのか……よくわからない。


ちなみに、スタンダードなアカスジキンカメムシはこんな感じ↓。


身近な所に未知との遭遇を期待し、不思議を発見するのが醍醐味──そう思って虫見をしているのは僕だけではあるまい……。


イラガセイボウの輝き再び

イラガセイボウふたたび・エメラルド&サファイアの輝き



先日、久しぶりにイラガセイボウを目にして記事にしたが、出会うときは出会うもので、その後また擬木でイラガセイボウを見つけた。
前回のイラガセイボウは翅を痛めていたが、この個体も翅を痛めている。そういえば過去にも翅を痛めたイラガセイボウを見たことがあった。イラガセイボウが翅を痛める原因についていくつかの可能性を想像してみたが確かなことはわからない。


今回もキラキラと輝く姿で、すぐにそれとわかった。第一印象は「そうそう! このきらめきなんだよな」──前回イラガセイボウを記事にしたときは、この輝きがうまく表現できていなかったが……再びイラガセイボウを目にして、この宝石のような輝きこそ、この昆虫の大きな見どころだ──という思いを強くした。この特徴をなんとか記録できないものか。


とはいっても前回キレイに撮れなかったものが、今回キレイに撮れるという自信はない。《キラキラ輝いている見た目そのもの》を画像に残すのは難しいが、それならばと《キラキラ輝いていることがわかる説明の素材》として画像を撮ってみることにした。
とりあえず日向で直射日光をあびて輝いているイラガセイボウを撮った画像↓。


セイボウの仲間は体全体に光の粒をまぶしたかのような光り方をする──これが美しいのだが、撮影するとエメラルドやサファイアのような緑~青の光の粒は飛んでしまい、画像上ではただの白い点になってしまう。
光沢昆虫は反射光がまぶしいためか露出がアンダーになり画面が暗くなりがちだが……とくに直射日光が当る日向では影とのコントラストがきつくなって、明るい部分は白く飛び、暗い部分は黒くつぶれてしまう。
実物はキラキラ輝いて見えるのに、画像にすると全然キレイではない↑。これでは輝きどころか体の基本色の美しさすら伝わらない。
ということで、体で直射日光を遮り影に入れて撮ってみたのが↓。


直射日光を遮ったことでイラガセイボウの影は消え、光源(太陽光)の直接反射もなくなり──コントラストの差が小さくなったことで基本の体色がよくわかる。これだけでも充分キレイなのだが、実際はこの体色の上に緑~青の輝きがプラスされているわけだ。
他にも条件を変えて撮ってみた画像の1つ↓。


白く飛んでしまいがちな緑~青の輝き(光のつぶ)に露出が合ったのだろうか。体表面にちりばめられた光の粒の色はわかるが、体の本来の色はつぶれて黒くなっている。まるで闇に乱舞するホタルの光のようだ。緑~青の輝きと体色の明るさには格差があって両方を同時にカメラで捉えるのは難しい──光の粒の美しさと体色の美しさは同一画面では表現できないということなのだろう。
カメラがカバーできない格差を生んでいるのが「光の粒」だが、それ自体が発光しているわけではない。これは反射光で、全身がキラキラ輝いて見えるのはセイボウの体の表面構造に関係している。


セイボウの仲間は点刻と呼ばれる小さな凹みが全身に密にほどこされている。この点刻ひとつひとつが、言わば凹面鏡のような役割りを果たし、どの角度から見ても凹みの中のどこかに光源を直接反射する点を有すことで「光の粒」が生み出されているようだ。
ふつう曲面で構成される昆虫の体で直接反射が見えるのは、光の入射角と反射角(見る角度)が一致する限定的なポイントのみだ。しかしセイボウの場合は全身にほどこされた点刻それぞれに(どの角度から見ても)反射面が含まれ、そこに「光の粒」が生まれる。


画像↑には直射日光は当っていないが、点刻ひとつひとつに明るい空(?)が写り込み光を反射しているのがわかる。この点刻内の反射光が「光の粒」となる。


日向では密集した点刻に直射日光が反射し、光の粒となって全身を飾って美しいことこの上ないのだが……実際に画像にすると↓。


生で実物を見たときのきらめきが再現できないのが残念だ……。
擬木の上では虫影が黒くつぶれがちなので、それを緩和するため、影の側にレフ板がわりにアルミシートを置いて撮ってみた画像↓。




撮影中、翅のグルーミングを始めたので、腹の背面がのぞいたシーンも↓。


本当はもっとキレイなのだが……デジカメ画像ではそれがカバーできない……逆にいうとヒトの目(&それを解析する脳)はそれだけ微細なところまで感知できるほど繊細だということでもあるのだろう。




──ということで、《キラキラ輝いている見た目そのもの》を写すことはできないが、実際は《キラキラ輝いていることがわかる》ような説明をしてみたつもり。
想像力でキラキラ感を補正して見ていただけたらと思う。


宝石の輝き!イラガセイボウ

エメラルドかサファイアか!?輝くイラガセイボウ



擬木の支柱のフチに宝石のように美しい虫がとまっていた。グリーン~ブルーのメタリックな輝き──すぐにセイボウと呼ばれる美麗蜂の仲間だとわかった。これまで見たセイボウに比べてずいぶん大きく感じ、オオセイボウかと思ったが、イラガセイボウ(イラガイツツバセイボウ)だった。
セイボウの仲間はとてもキレイなので、見つけると撮りたくなるのだが……たいていはせわしなく動きまわっていて、ろくに撮らせてもらえないことが多い。それが目の前でじっとしている──躍る心をおさえて、そっとカメラを近づけた。




よく見ると左の翅が大きく欠けている。このため飛翔できずに擬木の支柱に足止めされていたのだろう。
欠けた翅は痛々しいが、そのために通常なら翅でおおわれている美しい腹も広い範囲が見える。ふだんじっくり撮ることが難しいハチなだけに、この機会にしっかり撮らせてもらうことにした。






直径20mmの1円玉との比較↑。『月刊むし』472号 2010年6月《日本産セイボウ図鑑》(むし社)によれば、イラガセイボウの体長は9~12mm。イラガセイボウとしては大きめの個体だろう。
独特のキラキラ感をとらえようとシャッターを切り続けたが……パソコン画面で確認すると、やはり本物の輝きとはほど遠い……。光沢昆虫はそのきらめきを記録するのが難しいとわかっていても、やはりちょっと残念だ。毎度のことながら……実物はもっと美しい!




きらめくイラガセイボウにグッと寄ってみた。


緑~青(紫菫色)に輝く体表面には点刻と呼ばれる凹みが密集している。点刻は超小型の凹面鏡のようだ。この凹み1つ1つにどの角度からみても光を反射する点が存在しているのがわかる。
もし体表面が滑らかであったなら(光をよく反射する表面構造であっても)、光源(太陽など)が反射して輝いて見えるポイント(光の入射角と反射角が等しくなる部位)はごくわずかだろう。
セイボウでは体表面に密にほどこされた点刻の1つ1つが凹面鏡のように光を反射することで、体全体がキラキラと輝いて見えるのだろう。
このイラガセイボウは、翅を痛めて飛ぶことがままならないのに──あるいは飛ぶことがままならないからなのか……翅をつくろいはじめた↓。






腹部末端部にノコギリの歯のように尖った部分が見える↑。セイボウの仲間ではこの突起の数や形状が種類を見分ける手がかりのひとつとなる。イラガセイボウ(イラガイツツバセイボウ)は5つ(5歯)。ちなみに最初に間違えそうになった大型のオオセイボウでは4歯。僕が過去に見た種類では、ミドリセイボウが5歯・ツマアカセイボウは4歯・ムツバセイボウでは6歯。
擬木の上ではこの「歯」の部分がわかりにくいので、指にとまらせて「5歯」を確認↓。


セイボウの仲間はその美しさがまず目を引くが、生態も興味深い。《狩り蜂に寄生するハチ》──というのが基本のようだ。
クモや昆虫などを狩って幼虫の餌として貯蔵するカリバチの仲間──その巣に侵入し、カッコウ(鳥)のように托卵方式で卵を残すらしい。孵化したセイボウ幼虫はカリバチが我が子のために貯えておいた獲物やカリバチ幼虫を食べて成長するという。
だが、今回のイラガセイボウは例外的に(ハチではなく)イラガという蛾に寄生する。セイボウの中では珍しくハチではなくイラガに寄生するからイラガセイボウなのだろう。


宿主のイラガだか、幼虫は毒を持つ毛虫の筆頭に上げられることが多く、触れるととても痛いらしい。枝の股などに小鳥の卵のような(?)繭を作るが、この繭にイラガセイボウは卵を産みつける。


イラガセイボウは堅いイラガ(蛾)の繭に孔をあけて産卵する(産卵後、孔はふさがれる)。寄生されずに順調に羽化することができたイラガは繭の上部にきれいな円形の穴をあけて出てくるが、イラガセイボウが寄生し羽化した繭では、雑な脱出孔が残される。



今回みつけたイラガセイボウは、大きくて輝きも極上だったのに……翅が痛んでいたのは残念だった。しかし、それがなければこうしてじっくり撮ることもできなかったろう。
以前であったセイボウの仲間↓。どれも宝石のように美しい。






視力が衰えることで見えてくる世界!?~文字列空目

超巨大フクロネコが都心に出現!?

先日、webニュースのこんな見出しが目にとまった→【超巨大モッフモフクロネコ出現】(*)──新宿駅に巨大な動物の像(?)が出現したという話題だったのだが、この見出しの文字列を見て、まず瞬間的に認識できたのが「超巨大○○○○フクロネコ出現」だった。ちなみに、フクロネコはオーストラリア・ニューギニア島に生息する有袋類──クウォールとも呼ばれるフクロネコ科フクロネコ属に属する動物の総称だ。有袋類ではフクロモモンガ(シュガーグライダー)が人気がありペットとしてもよく飼われているのは知っていたが「おっ!? 今時はフクロネコが人気なのか!?」と思ってしまった。かつてはペットショップでフクロギツネが売られていたし(現在は特定外来生物)、公園でダマワラビーを散歩させている人をみたこともある──有袋類が注目されることがあってもおかしくはない。余談だが、個人的には「フクロアリクイ」あたりはもっと人気があっても良いように思う。そんなことを考えつつ見出しをながめ、「で、《モッフモ》って何?」と首をかしげた。フクロネコは総称だから、「モッフモ-フクロネコ」という種類がいるのだろうか?
で、記事を開いてみると、冒頭にこう記されていた。


東京・新宿駅(東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナード)に9月28日、横幅6メートル、高さ2メートルもある、超巨大なモッフモフなクロネコが出現した。

なんと「フクロネコ」ではなく「(モッフモフな)クロネコ」だったのだ。これはヤマト運輸が「宅急便コンパクト」の特別企画として設置したものだという。
「フクロネコ」は「誤読」ということになるのだろうが……こうした現象(?)を僕は「文字列空目(そらめ)」と勝手に呼んでいる。
「超巨大モッフモフクロネコ」に関しては「超巨大もっふもふクロネコ」とひらがな混じりで表記してくれれば判りやすかったのに──と思わないでもないが、最近、文字列空目が増えた気がする……。

少し前には『虫はなぜガラス窓をあるけるのか?』という児童書のタイトルを「虫はなぜガラス窓をあけるのか?」と誤読し、「虫が窓を開ける」とはどういうことだろうと考えてしまった。言い訳をすれば「(ガラス)窓」とくれば、その後に「開ける」という言葉を連想するのは自然なわけで、「窓」と「歩く」はふつう結びつかない。タイトルの主旨を適切に表現するなら「ガラス窓」ではなく「窓ガラス」ではないか──と思わないでも無い。またこれも「歩けるのか?」と漢字まじりで表記してくれていれば「開けるのか?」と誤読することもなかったろうに……。児童書では動詞をかなにひらくことが多い。

他にも「ミヤマカラスアゲハ」の文字列が「ミルマスカラス」(メキシコの覆面レスラー)っぽくみえてしまったり、「サルトリイバラ」が「リトルサイバラ」(小さな西原理恵子?)に空目しがちだったりする。

文字列空目が増えたのは、悲しいかな視力の衰えと無縁ではないだろう。
老眼を自覚するようになった頃から、テレビ(現在は離脱している)画面の字幕を読むのが面倒になってきた。洋画など観ていると字幕を読み切れないこともでてきたりして、それだけ(視力の低下によって)読み取りに時間がかかるようになってきたということなのだろう。

しかし、記事などの文章を読むスピードは習慣化しているため、これまで通りすみやかに読み進めようとする……それで「一字一字きちんと読み取る」ことが困難になって「文字列を見て読み取れるものから脳内サジェスト機能(?)が文字列を予想し認識してしまう」ようになったのではないか? 目に入った文字列の中から瞬間的に読み取れた字から意味のある言葉(脳内ライブラリにあるワード)を照合しようとする無意識的な働きが「文字列空目」を生んでいるのではないかという気がする。
カルタで読み札が読み上げられている途中で取り札を予想してとるのに似ているかもしれない。カルタに例えるなら誤読(文字列空目)は「お手つき」といったところか。

文字列の中の文字を読み落したり読み違えることによって生じる空目もあるが、区切る場所を誤って生まれる「お手つき」──「文字列空目」もある。
希少野生動物に関する記事では「オガサワラナガタマムシ」が「小笠原永田マムシ」と認識され、「小笠原で永田氏が発見したマムシ?」なんて思い描いてしまったこともあったが……これも、長い文字列の中から「小笠原」と「マムシ」がまず認識されたことによるフライング解釈による文字列空目だろう(本当は「マムシ」ではなく「タマムシ」の仲間)。冒頭の「フクロネコ」の空目もこれにあたる。

また、文字列に漢字が含まれている場合には「読み」を間違えることで起こる空目もある。
正月に「元旦からパンケーキ!」と記した女性のコメントを「もとだん(元旦那)からパンケーキ!」と誤読し「あれ、この人って離婚歴があるのか。別れたあともパンケーキを贈る元・旦那って……」なんて誤解しかけたなんてこともあった。
これは「元」という文字がまず認識され「もと」と読んでしまったことで、「元カレ」「元カノ(ジョ)」「元旦(那)」の連想が働いたのだろう。
この時はすぐに勘違いに気づいたから良かったものの……文字列空目は、あなどれない。

視界の中で文字の順番を誤認しておこる文字列空目もある。
食品売り場の棚に並べられたペットボトル入りの「ウコン茶」を初めて見た時、カタカナの読み順を間違えて仰天したことは忘れない。当時「ウコン」はまだあまりメジャーではなく、それよりも使用頻度の高い別のワードが脳内検索されてしまったのだろう。
色合い的にも誤読イメージを誘う「ウコン茶」を見て、「飲尿療法なるものがあるとは聞いたことがあったが……時代はここまできたか!」と激しく動揺したものだ。
おそるべしっ、文字列空目!

文字列空目の頻発化とともにタイプミスも増えてきた気がするが、これも視力の衰えによるものだろう。
タイプした文章をチェックしながら読み返しているつもりが……一文字一文字を確認できずに、文字列の塊として認識してしまいがちなので、「正しい文字列であると空目」してしまい、間違いに気づきにくくなっているのだと思う。

視力が衰え、文字の読み取りエラーが増えたことで、目が良かったときには見えなかった世界が垣間みれているような気がしないでもない今日この頃なのであった。


*超巨大モッフモフクロネコ出現、期間限定で新宿駅にさわれる“全身”。
http://www.narinari.com/Nd/20150933933.html

空耳ならぬ空目アワー

■エッセイ・雑記 ~メニュー~

きらめくセモンジンガサハムシ

金ピカなセモンジンガサハムシ@擬木



擬木で小さな虫がキラリとかがやくのが目にとまった。背中に金色のX紋──セモンジンガサハムシだった。


体長5.5~6.5mmと小さな昆虫で、全身金色というわけでもないのだが、意外に強くきらめく。食植物であるサクラの葉の裏についているのを見かけことが多い↓。


葉の裏にとまっているときは逆光になるため、あまり光っては見えないが、擬木にとまっていたセモンジンガサハムシはゴールドの輝きが美しかった。


和名の「セモン」は「背紋」だろう──背中の隆起した部分が「X」に見える。「ジンガサ」=「陣笠(じんがさ)」は、《昔、下級の兵が戦場でかぶとの代わりにかぶった笠(かさ)》のことだそうだ。


「背紋」に特徴のある「陣笠(じんがさ)」の形に似た「ハムシ(葉につく虫)」ということで【セモンジンガサハムシ】──わかりやすいネーミングだが、呼び名としては少々長い。そこで個人的には「背紋GX(Golden-X)」と短縮愛称で呼んでいる。


背面を覆う丸いドームはアリなどの敵から身を守るシールドなのだろう。触角や脚をひっこめて葉の表面にはりつけば敵をシャットアウトできる。シールドのフチが透明なのは、敵影を察知できるように視界を確保するためだろう。丸いボディラインもユニークだが、「金(光を反射する)部分」と「黒(光を吸収する)部分」、さらに「透明(光を通す)部分」を兼ね備えているのがおもしろい。






この個体は何度か翅を広げてはばたくしぐさを見せたが、筋肉が充分に温まっていなかったのか、故障していたのか、飛び立つことができずにいた。
そうして擬木の上を歩き回っているうちに、小さな赤いダニらしきものを拾ってしまった。








ゴールドの輝きが魅力の【セモンジンガサハムシ】だが、実物のキラキラ感を写すのは難しい。画像にするときらめきが目減りしてしまいがちなこともあってか、時々やや地味な【イチモンジカメノコハムシ】と間違えられている。この2つは標本写真の図鑑で見ても、とてもよく似ているのだが、実物を見ると、その印象にはけっこう違いがある。


パッと見た印象では、まず大きさが違う──イチモンジカメノコハムシが体長7.5~8.5mmなのに対し、セモンジンガサハムシは5.5~6.5mmと小さい。そして輝きが違う──セモンジンガサハムシの方がキラキラしている。
画像で見比べるときは、触角も見分ける手がかりになるかもしれない。イチモンジカメノコハムシの触角は黒い部分が多い。

ついでに、擬木でみかけたもの…



ゴマフカミキリ↑。セモンジンガサハムシを見た日に擬木で2匹みかけた。


ヒメヒゲナガカミキリかと思ったら、小ぶりのキボシカミキリだった↑。普段見ている同種に比べて意外に小さかったのでカメラを向けたが、すぐに飛び去ってしまった。


昆虫ではないが……アオダイショウの幼蛇。しばしば見かけるヘビだが、幼蛇には「はしご模様」があって、これがしばしばマムシの銭形模様と間違われて退治されたりすることがあるようだ。
マムシの瞳孔がネコの眼ように縦長なのに対し、アオダイショウ幼蛇の瞳孔は円形。全体の印象もアオダイショウ幼蛇はマムシに比べてスマートだ。