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2015年04月の記事 (1/1)

4月下旬の《他人のそら似》昆虫ほか

エゴシギゾウムシとレロフチビシギゾウムシ



エゴシギゾウムシ──体長5.5~7mmほど。派手さはないがシックなデザインが、なかなかしゃれている。鴫(シギ)のクチバシを思わせる長い口吻でエゴの実(種子)に穴をあけ産卵するそうな。
この昆虫を初めて見た時は、地味系が多いゾウムシの中で異彩を放つユニークなデザインだと感心した。ゾウムシの人気投票をすれば、きっと上位にランクインするだろう。




人気のデザインだからコピー商品が出回る……というわけでもないのだろうが、これとよく似たデザインをもつ極小ゾウムシ(チビシギゾウムシ)がいることをその後知った。その「なんちゃってエゴシギゾウムシ」なジュウジチビシギゾウムシというのを去年紹介したが(*)、今年はまた別種のレロフチビシギゾウムシと思われる極小ゾウムシを何度か目にしている。その姿をおさえようとカメラを向けるのだが……これが小さい上にせわしなく動きまわり続けるのでなかなかキレイに撮れない……。


1円玉での大きさ比較を試みたが動きまわって撮れず。はからずしもツーショットとなった蛾の幼虫で「間接大きさ比較」してみたしだい。レロフチビシギゾウムシの体長は2~3mmほど。ジュウジチビシギゾウムシともよく似ているが、レロフチビシギゾウムシは「上翅中央白帯は第4間室で欠ける」そうな。
ジュウジチビシギゾウムシでは背中の十字模様の横棒がつながっていたが、今回のチビシギゾウムシでは途中、欠けている。上翅会合部から数えて4列目──これが「上翅中央白帯は第4間室で欠ける」ということなのだろう……と解釈。


違いが判るように去年撮ったジュウジチビシギゾウムシ(背中の十字模様の横棒がつながっている)の画像↓。


エゴシギゾウムシ・ジュウジチビシギゾウムシ・レロフチビシギゾウムシのデザインの類似性は興味深い。昆虫の模様のパターンというのは発生しやすい「型」のようなものがあることを示唆しているように感じる。
じつは意外に出現しやすい「他人のそら似」!?
エゴシギゾウムシ・ジュウジチビシギゾウムシ・レロフチビシギゾウムシの場合は、種類が違うとはいっても同じゾウムシの仲間(ゾウムシ科)だから──「他人のそら似」ならぬ「いとこのそら似」といったところか。

科が違っているのに似ている「他人のそら似」





最近みかけた昆虫で、違うグループなのにデザイン・カラーリングが似ているもの──ということで。上はヨツボシケシキスイだろう(ケシキスイ科)。下はヒメオビオオキノコムシかミヤマオビオオキノコムシあたりだろうか?(オオキノコムシ科) 図鑑を見ると他にも似ているのがあるようで正確な種類はわからないが……とりあえず、科が違っているのに似ている「他人のそら似」もある──という一例。
この2つの昆虫の模様が似ていることに意味があるのかどうか、よくわからない。発生のブロセスで形成されやすい「型」のようなものがあって、意図せずにたまたま偶然似てしまっただけのかもしれない。
自然界ではこうした「他人のそら似」は意外に起きやすく、偶然の「空似」が天敵の「空目」をさそい、生存率を高めるような効果があった場合(周囲の葉や枝に似ていたり・危険な昆虫に似ているなど、天敵にスルーされがちな状況が生じた場合)に、生存に有利な特徴が受け継がれ凝縮し《擬態》としての完成度を高めていくことになるのではないか……そんな気がしないでもない。

4月下旬に見られた昆虫から

上翅にならぶ四つの紋──というデザインも、けっこうありがちなパターンなのかもしれない。もう何度もアップしているヨツボシチビヒラタカミキリも、そのひとつ。


そのヨツボシチビヒラタカミキリと出現時期や和名の「ヨツボシ」と「ヒラタ」が被るヨツボシヒラタシデムシも出ていた。


ヨツボシヒラタシデムシは、ちょっと地味目な昆虫だが、昨春は《ひげ噛み行動》をめぐって想像が広がり個人的に大いに注目した昆虫だった(*)。昆虫を見ていて脳みそが刺激されることは多い。

ついでに4月下旬あたりから地面を這う姿がたびたび見られるようになったアオオサムシ↓。


けっこうキレイな虫だが、ピンチにおちいると腹端から酸を噴射して身を守るという《最後っ屁》のような化学兵器(化学屁器)を隠し持っている。昔飼っていた《最後っ屁》標準装備のフェレットが、なんとアオオサムシの《最後っ屁》に敗退するなんてこともあって、《最後っ屁》の効果・役割りについてあれこれ考えるきっかけとなった昆虫だった(*)。

あなどれない武器を装備した昆虫と言えば……でかいオオスズメバチの女王蜂が飛ぶ姿も見かけるようになった。スズメバチほどではないだろうが、アシナガバチの集団もそこそこ迫力がある。
先日見かけた──越冬から覚め、桜のウロからでてきた(と思われる)ムモンホソアシナガバチの集団↓




スズメバチやアシナガバチは基本的には新女王のみが越冬し、翌春たった1匹から新たな巣をスタートさせる──という認識でいたので、(なんとなく越冬も単独で行われるものだとばかり思い込んでいたので)集団で越冬するアシナガバチがいると知った時は意外に感じた。
その事実を知った時の画像がこれ↓──2013年10月に撮影したもの。


今回撮影したのと同じ木のウロに、越冬に備えてたくさんのムモンホソアシナガバチが集まっていた。
越冬時は集団でいても、営巣は女王1匹ずつ行なうようだ。去年の5月に撮影した、ムモンホソアシナガバチの営巣↓。


ちょっと意外だったのが、育房室(子どもを育てる部屋)は構築途中なのに既に卵が産みつけられていたこと。育房室を作り上げてから産むより、早めに産みはじめて、卵が孵化するまでの待機時間(?)も有効に活用して巣作りを進めた方が効率的だということなのだろう。その後も巣の拡張工事は進められていった↓。




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TokyoTora・ヨコヤマトラ・MF春の3カミキリ

ヨツボシチビヒラタカミキリ・トウキョウトラカミキリ・ヨコヤマトラカミキリ──この3種を僕は勝手に《マイフィールド・春の3カミキリ》としている。僕の虫見コースでは毎春みられる種類だが、どこでも普通に見られるわけではないらしい。そういった意味ではこの3種には地域色があると考えてもいいのではあるまいか……とそんな思い(まったくの個人的感覚)で、僕の虫見エリアにおける《春の3カミキリ》に選出(?)してみたしだい。
今年も早春のヨツボシチビヒラタカミキリに始まり、《春の3カミキリ》を確認できたので、その記録。

紋章《T》は頭文字!? Tokyo Tora カミキリ



和名に「東京」がつく【トウキョウトラカミキリ】──なぜなのかその由来については知らないが、名前の割に東京では少ないという話も聞く。
これまで何度かネタにしているが……このカミキリの背中の通称(?)「錨(いかり)型」の模様が、僕には「Tokyo Tora」の頭文字である「T」(明朝系)に見えてしかたがない。
また「東京のトラさん」の愛称で呼びたくなるが、「東京の寅さん」といえば「フーテンの寅」。上翅端の「二つの点」を「二(ふー)テン」と読めば、「ふーテンのトラカミキリ」→「フーテンのトラ」と呼べなくもない。
こうした符合にくわえ、さらに、逆さに見ると上翅の模様が人面に見えるという「空目ネタ」も兼ねているのが、人面虫好きな僕としては大いに好ましい。
そんなネタが豊富な(?)トウキョウトラカミキリ──そろそろ出て来て良いのではないかと思っていたが、今年も確認することができた。
今シーズン初のトウキョウトラカミキリを見つけたのは、東京都ではなく、ぎりぎり埼玉県側だった↓(上の画像とは別個体)。


この個体は小さめで、全体的に暗い印象。肝心の(?)《T》マークがクッキリ出ていなかった。


小型の個体では《T》マークが両サイドの模様とつながっていることが多いように思う。上翅の模様を形成する白っぽい微毛(後述)が、小さい個体では少ない傾向があって、全体的に暗いトーンになったり模様がクッキリ見えなかったりするのではないか。以前、《T》マークが完全に消失した個体を見たことがあったが(※【東京のトウキョウトラカミキリ】参照)、あれも微毛が消失した結果だったような気がする。
トレードマークの《T》が不明瞭だったのも、ちょっと残念だが、「東京」の名前がついているのに「埼玉産」というのも、なんだかちょっとバッタもん臭くてスッキリしない。
ということで、由緒正しい(?)トウキョウトラカミキリを求めて2匹目↓。


「おっ、これは期待できる!」──とカメラを近づけると、あわただしく動きだし、地面に落下↓。


そのまま撮るが……これは《T》マークがサイドの模様と分離してクッキリ出ていた。
そして、さらに3匹目↓。


ちなみに、冒頭の画像はこの個体。


撮影している時には気づかなかったが、ダニがいくつもついていた……。
ここで、背中の紋章を再確認──キアイを入れれば《T》に見える!


その上翅を拡大すると、微毛が模様を作っているのがわかる。


大きめの個体ではこの微毛が多く模様が明瞭だが、小さめの個体ではこの微毛が少なくなりがちで、模様が不明瞭になるのではないかと思う。


ヨコヤマトラカミキリ

2匹目のトウキョウトラカミキリを見た日、今シーズン初のヨコヤマトラカミキリも確認できた。


ガードレールのポストにとまっている虫影を見て、最近よく飛んでいるケバエだろうと思ったら……なんとヨコヤマトラカミキリだった。想定していたエリアの外だったので、ちょっとビックリ。あわててとりだしたカメラを近づけると、警戒したのか動きだし……飛び去ってしまった。追いかけながら撮った何枚かの画像をチェックするが……まともに撮れていなかった。
ということで、2匹目↓。


今度は逃げられないように慎重に近づく──、




おとなしく撮られていたので、例によって1円硬貨との比較画像を撮ろうと、そーっと1円玉を近づけたところ……突然スイッチが入って動きだし、例によって飛び去っていったのであった……。
左後脚のふ節が欠けており、完品ではなかったが……とりあえず「出現」の記録ということで。
※追記:その後のヨコヤマトラカミキリ→【ヨコヤマトラカミキリ@ミズキ
余談だが、この日、今シーズン初のハルゼミの鳴き声も確認(鳴いていたのは埼玉県側)。

ヨツボシチビヒラタカミキリ

早春のカミキリで、もう何度も取り上げているが、《春の3カミキリ》ということで、最近の画像をサラッと。




ヨツボシチビヒラタカミキリも小さめの個体では模様が不鮮明なものが多い気がする。上翅の白い部分を拡大すると白い微毛が生えているのが判るが、やはり小さめの個体ではこの微毛が薄くなるために模様が不明瞭化するのではないかと思う。
擬木の上にいた、別の個体↓。白い紋には微毛が密生している。


ついでにヒシカミキリも出てきた

極小カミキリつながりで、最近みたカミキリの中からヒシカミキリ↓。


後翅は退化しているそうで、飛ぶのを見たことはないが……そのぶん(?)とにかくよく動く。


ヨツボシチビヒラタカミキリ(3.5~6mm)も小さいが、ヒシカミキリ(3~5.1mm)も小さなカミキリ。


肩甲骨カミキリ~えぐれた複眼・触角が浸食!?

肩甲骨カミキリことハイイロヤハズカミキリ

先日、擬木のヘリにハイイロヤハズカミキリがとまっていた。僕は密かに(?)「肩甲骨(けんこうこつ)カミキリ」と呼んでいる。タケやササなどがホストだそうで、周囲を見ると、なるほど竹だか笹だかが生えていた。




背中(上翅上部)の特徴的な隆起が肩甲骨に見えてしかたがない。【ハイイロヤハズカミキリ】の標準和名は長いので、愛称で【肩甲骨カミキリ】。標準和名についている「ヤハズ」の由来は「矢筈(矢の末端の弓弦をうけるところ)」──上翅先端の「く」の字型の切れ込みが「矢筈」に似ていることからつけられたらしい。だが、個人的には「ヤハズ」より「肩甲骨」に目がいってしまう……。


こうしてアップで見ると特徴的な複眼にも目がいく──《眼の中から触角が生えている》ようにも見える奇妙な構造。ハイイロヤハズカミキリでは触角の根元で複眼が分断されているのがわかる。
前回ネタにしたキマダラカミキリ(キマダラミヤマカミキリ)でも、触角の根元で複眼が大きくえぐれていたが、キマダラカミキリは複眼が、かろうじてつながっていた。


奇妙なカミキリの複眼──ハイイロヤハズカミキリではギリギリで分断、キマダラカミキリではわずかにつながっていたが、ルリカミキリでは完全に分断していて、背面の複眼は《取り残された三日月湖(河跡湖)》のようだ。




カミキリの《複眼に触角の付け根が食い込むようなデザイン》は子どもの頃から、なんとなく知っていた。たぶん図鑑か何かに載っていたのだろう──シロスジカミキリの複眼(つながっているが、触角の根元付近でえぐれている)の写真を見て、「フシギな形の眼だな」と思った記憶がかすかにある。カミキリの複眼については、ずっと「そういうものだ」という認識でいた。


これ↑は今年1月に撮ったキボシカミキリ(活動期には黄色かったはずの斑紋がすっかり白くなっていた生き残り個体)。このカミキリも大きな複眼が触角の根元で大きくえぐれている。

えぐれた複眼と触角の関係!?

《眼の中から触角が生えている》ように見えるカミキリの《えぐれた複眼》&《複眼に埋もれた触角》──これまで「そういうものだ」と思ってきたが……あらためて考えてみると、どうしてこのような形になったのか、不思議な気がする。
「触角の周囲に複眼が回り込んだ」のか、それとも「複眼の中に触角が入り込んだ」のか──。
ハイイロヤハズカミキリやルリカミキリのような複眼が分離したケースがあることを考えると、「もともと複眼のあったエリアに触角が侵出した」とみるのが自然だろう。本来は一塊だった複眼が触角に浸食され、ついには分断に至った……ということなのだろう。

カミキリの触角はよく発達している。その触角を支えるためには──力学的には体幹軸の中心に近い部分に触角基部を置いた方が頑丈なつくりを実現できる。それで、顔の先端できなく中心に触角基部を置く(移動する?)ことになったのではないか? 太く長い触角を支えるためには頑丈な土台や関節が必要だろうし、大きな触角を動かすためにはそれなりの筋肉の拡充だって必要だったろう。顔の中心──つまり左右の複眼の間で「触角基部」が充実・発達してその容積を拡大させたことで、複眼が浸食され削られていったのではないか……と想像してみた。

また、複眼エリアの縁あるいは内側に触角が入り込めば、その直近の個眼(複眼を構成するひとつひとつの小さな眼)は触角の影になってしまうから、センサーとしての役割りを充分果たせなくなる。それで触角の根元にある個眼は消失し、その結果、複眼エリアの境界線が後退して「えぐれた」形になった──というようなこともあったのではないか。

理屈としては筋が通りそうな気もするが……しかし浸食され、えぐられた複眼だって、もともとは「必要があってその位置に発生・発達した器官」だったはずだ。その大事な器官を浸食させずに触角を発達させることはできなかったのだろうか?──と思わないでもない。

それでは「触角の立派な他の昆虫」ではどうなのだろうか?──と考え、思い浮かんだのが、シリジロヒゲナガゾウムシ。このオスはユニークにして立派な触角をもっている。


シリジロヒゲナガゾウムシ♂は大きな触角が目立つ昆虫だが、複眼も大きい。そしてその複眼は浸食されることなく、ちゃんとキープされている。発達した触角と大きな複眼は両立しうる──という例だろう。
触角の位置を口の方にずらせば、複眼を浸食することなく長い触角を獲得できる──少なくともそういう《処理》をして「両立」させている昆虫がいるということだ。
シリジロヒゲナガゾウムシ♂の立派な触角もカミキリに比べれば、まだ小ぶりだからこの《処理》が可能なのだろうか? しかしカミキリで触角が比較的短い種類でも、ちゃんと(?)複眼はえぐれていたりする。


トラフカミキリはスズメバチやアシナガバチに擬態していると思われるカミキリ。ハチに擬態してのことなのか、触角は(カミキリにしては)短い。だが、やっぱり触角付近で複眼は、しっかりえぐれている。
さて、ここで興味深いのは、このトラフカミキリが擬態したモデルのスズメバチやアシナガバチも《触角付近でえぐれた複眼》を持っているということだ。
カミキリとハチ──まったく別のグループなのに、この奇妙な特徴が共通しているということは、それぞれの生態の共通する部分に《謎解きの鍵》が隠されているのかも知れない。






一方、ハチの仲間であっても複眼がえぐれていない種類もいたりする。






セイボウの仲間では触角の基部が口に近いところにあり、複眼は干渉を受けずに基本的な形(?)をキープしているようだ。触角基部を複眼の間ではなく、口に近い所に置いているというのはシリジロヒゲナガゾウムシの《処理》と似ている。
同じハチの仲間にして複眼がえぐれたスズメバチ・アシナガバチと、複眼がえぐられていないセイボウの違いは何なのだろう?
スズメバチやアシナガバチは木をかじって巣の素材に使う。カミキリも木を齧って産卵したり、幼虫は木を内部から食ったりする。アゴが発達しているという点で似ている。
セイボウの仲間はそれにくらべてアゴは小さい。
大きなアゴをもつカミキリやスズメバチ・アシナガバチではアゴ付近に収納される筋肉の量もそれなりに大きいに違いない。そのため口の近くに触角基部を収納するスペースがとれず、やむなく(?)触角基部は複眼の間へと追いやられた……ということではないだろうか?
「硬い木を齧る→アゴの筋肉が発達→口の近くで触角基部セット収納スペースがない→複眼の間に移行→複眼が浸食」
──という構図を思い描いてみた。
しかし木を齧るということでは、複眼が浸食していないシリジロヒゲナガゾウムシも、複眼がえぐれているカミキリと同じだ。《発達した大きなアゴ&複眼の間へ追いやられた(?)触角》を持つに至った理由は、単に「木などの硬いものをかじる」ためだけではなさそうだ。

カミキリのオス同士を同じ容器に入れておくと触角を切り合ったりするという。
オオスズメバチは、他のハチの巣を襲ったりするが、そのさい大アゴは戦闘用の武器として使われる。他のスズメバチやアシナガバチも襲撃されれば大アゴを使った防衛戦を余儀なくされる。
こうした戦闘のさいに──カミキリやスズメバチ・アシナガバチが戦闘で大アゴをつき合わせて闘うシーンでは、口の近くに触角があったのでは、相手に噛み切られてしまうおそれがある。その危険を回避するために相手の大アゴと交錯する口元から離れたところに触角を後退させたのではないか……そんな可能性に思い至ったりもした。

もちろん、これは単なる素人の脳内シミュレーション。僕はカミキリのこともハチのこともよく知っているわけではないから、ごく限られた知識に中で《えぐれた複眼》の意味・誕生した理由についての《解釈》を探してみたにすぎない。この《解釈》で、疑問のすべてが説明できるとは思っていないし、これが《真相》だと考えているわけでもないが……身近な昆虫に想像力(妄想力?)を刺激されることがある──ということで、思いめぐらせたコトを記してみたしだい。

4月中旬のカミキリ

ハイイロヤハズカミキリの他に、4月中旬になってアトモンサビカミキリ・ゴマフカミキリ・トゲヒゲトラカミキリ・ヒナルリハナカミキリなども確認。カミキリの顔ぶれも増えてきた感じだが、今もっとも多く目にしているのがヨツボシチビヒラタカミキリ。
ということで、ついでに4月中旬のヨツボシチビヒラタカミキリ。ちなみに、ヨツボシチビヒラタカミキリも複眼はえぐれている。












キマダラカミキリの左右非対称に見えがちな模様?

長い触角/左右で違って見える模様?



オスは特に触角が長く、撮るときに「長過ぎてやっかいだなぁ」と思ってしまうカミキリ。それで見かけてもスルーしがちなのだが……今年の初個体ということで、いちおう撮影。
僕の手元の図鑑では「キマダラカミキリ」となっているが、図鑑によって「キマダラミヤマカミキリ」や「キマダラヤマカミキリ」と記されており、最近は「キマダラミヤマカミキリ」が使われることが多くなっているらしい。
「触角が長いだけでも、やっかいなのに、和名まで長くしてどうするんだよ!」と思わないでもない。
だいたいなんで「深山」や「山」をつける必要があるのか? 平地でも見られるカミキリだというのに?
ミヤマカミキリという別の種類もいるのだし(これも山でなくても見られる)、わざわざ長くてまぎらわしくなるような和名を使うのはなぜなのだろう?
「キマダラカミキリ」でいいじゃないか──と思ってしまうのは僕だけだろうか?
標準和名というのは種類ごとに1対1対応でなくては困る。妥当な理由があって改名することはあってやむなしと思うが……なるべく普遍性を維持し、できれば短く覚えやすい和名に統一してほしいものだと思う。
個人的には「深山」や「山」をつけるには違和感があるし、標準和名はシンプルで馴染みのあるものであるべきだという思いから、僕は「キマダラカミキリ」を使いたい。
※【追記】「キマダラミヤマカミキリ」の和名の由来について、カミキリ屋さんから「ミヤマカミキリ族(Tribe)」だからそう呼んでいるのだろうというコメントを頂きました。

和名が長いのもやっかいだが、触角が長いのも撮るさいにやっかいだ。触角が長いのはこのカミキリの特徴なのだから、それが判るように撮りたいところ。が、その特徴を納めるために「引き」で撮ろうとすればカミキリ本体が小さくなって判りにくくなってしまう。本体の特徴がよく判るように「寄り」で撮ろうとすれば触角が画面からはみ出てしまう……。


あまりにも長い触角は、標本箱のスペースだって占領しそうだし、図鑑等でも誌面スペースをとることになるので、そういった意味でも扱いがやっかいそうだ。

キマダラカミキリ本人(本虫)にとっても、長い触角は敵に見つかりやすくなるというデメリットがありそうな気もするが……そんなデメリットに勝る「役割り」があるからこそ「長い触角」は存在しているのだろう。
その「役割り」とは何だろう?……と想像してみるが、これだけ長い触角である必要性があるものなのか、僕にはよくわからない。

「触角が長い」という特徴は「夜行性」を示唆しているようにも感じる。夜の暗い森の中で木の幹を這いながらメスを探すのなら、(「嗅覚」と「触覚」の機能をもつ?)センサーとしての「触角」は長い方が有利なのかもしれない。
だが僕が見かけるのは昼間。まだ咲いていないが──アカメガシワが咲く頃になると、この花に集まっているのをよく見る。日中、花に集まってくるのだから、こんなに長い触角がなくても繁殖の機会はいくらでも得られそうな気がするのだが……。
という事で昨年6月に撮ったキマダラカミキリ↓。触角が上のものより短いのは♀だろう。


キマダラカミキリの画像を見ていて気づいたことがある。上翅の模様が左右で非対称なものが目につくということだ。




キマダラカミキリの模様は、密生する微毛と光線の加減で見え方が変わる──というような話があったので、上翅部分を拡大してみた。






キマダラカミキリの体の表面には赤褐色・黄金色の細かい毛が密生しているが、この微毛は生え方(角度)は一定ではなく、場所によって毛の傾きが違う。
微毛に対する光の入射角度や見る角度で「見え方」が変わってくるようだ。
微毛が逆立って見える角度では光は吸収され毛の下の地の色が濃くみえ、微毛が寝て見える角度では地の色が隠され光が乱反射して明るくみえる──基本的には上翅に密生する微毛の生え方は左右対称だが、光を受ける上翅の左右の角度の違いや見る角度の違いが模様の濃淡の差を生んでいるようだ。


シックな模様のモミジツマキリエダシャク



今年初のキマダラカミキリを確認した日に見つけた美しい蛾。樹皮や枯葉に紛れてボディラインをかく乱・隠蔽する色とデザインなのだろうが、ベージュとブラウンの組み合わせがなんともシックな味わいをかもしだしている。
帰宅後調べてみると、どうやら「モミジツマキリエダシャク」のようだ。幼虫はクマシデやカエデ類を食べるらしい。モミジツマキリエダシャクの成虫出現時期を7~8月としているサイトがいくつかあったが、4月に発生していたこの蛾もモミジツマキリエダシャクではないかと思う……が、あまり自信は無い。


とりとめもなく4月初めの甲虫類

3月下旬の桜が開花した頃からの緑地の植物の変化は劇的だ。それにともなうように、4月に入ってから見かける昆虫の種類も増えてきた。
3月の終わりに確認したヨツボシチビヒラタカミキリだが、その後もコンスタントに目にしている。前々回の記事(桜の開花とヨツボシチビヒラタカミキリ)を投稿した時は今ひとつ不鮮明な画像だったので、その後追加していたりもするが……4月に入ってから撮ったヨツボシチビヒラタカミキリの画像のいくつかを改めて。




上の画像に比べて触角が長いオス↓


さらに別個体↓のヨツボシチビヒラタカミキリ。




今年5種類目のカミキリ──ヒナルリハナカミキリ↓。


ヒナルリハナカミキリはその名の通りカミキリなのだが……いつもシーズン最初に目にするとハムシの仲間と間違えそうになる(クワハムシあたりと間違えがち……)。
逆にカミキリじゃないのにカミキリっぽく見える虫もいて、ややこしい。その一例、アオグロカミキリモドキ↓。


違うグループなのに似ている昆虫はけっこういたりする。


イタドリハムシ↓も、ちょっとテントウムシに似ている。


テントウムシは敵に襲われたときなどに黄色っぽい液体を分泌する。これには強い苦味があるそうで、それを捕食者に印象づけるために目立つ警告色をしているのだろうが……これに似ていることで捕食者からスルーされる(生存率が高まる)という御利益にあやかっている虫もいるということなのだろう。
擬態している虫は似せようと思ってそうなったわけではないのだろうが、他人のそら似で生存率が高まったものがその特徴をきわめる方向に進化して、その結果、生存に有利な空似が増えた……と僕は解釈している。
先日みかけたヤナギハムシ──初めて見た気がするが、これも「テントウムシに擬態しているのかな?」と思っていた。しかし実際に見てみると、しぶい金属光沢があって、テントウムシ感(?)はあまりなかった。意外に美しい昆虫だったのだなと改めて思い直し、個人的なポイントがアップした。






個人的にはヤナギハムシとテントウムシはちょっと違う印象だったが(《擬態効果》は鳥等の捕食者にどう見えるかが重要)、目立つカラーリングについてはテントウムシ同様、《警告色》としての意味を持っているのではないかと想像する。
ということで、元祖!?テントウムシ(ナミテントウ)↓。


ナミテントウは模様の変異が多く、こんなシーン↑を目にすると、一瞬、異種間のペアのようにも見えてしまう……が、これでも同じ種類。逆に、一見別の種類のようにも見えるが、ペアになっていると同種なのだなと納得できる。
ただ、異種間での誤認ペア(?)も、無いではない。以前カメムシの誤認ペアを見ておどろいたことがあった(※【ツノカメムシの異種ペア】)。

ゾウムシは冬の間も、しばしば目にしていたが、暖かくなってその顔ぶれも増えてきた。個人的に春を感じるのがミヤマシギゾウムシ。毎年この時期に見かけるのだが、コナラの虫こぶ(ナラメリンゴフシ)に産卵するらしい。今年は4月3日に初確認。


ちょっとシャープな感じがする(?)ミヤマシギゾウムシに対して、ごつい感じのゾウムシ↓。


手元の図鑑で調べてみると「アカコブコブゾウムシ」というのが似ているようだ。「シロコブゾウムシ」には馴染みがある(*)から、「アカコブゾウムシ」という和名があってもおかしくはない。だけど、「アカコブゾウムシ」ではなく「アカコブコブゾウムシ」という和名なのはどうしてなのだ?──とそんなところが気になってしまった。「コブ」の由来は、上翅の瘤状隆起だろう。シロコブゾウムシと同じように上翅後端に一対のでっぱりがある。これとは別に「肩甲骨」にみえる位置にも一対の隆起がある。これで「コブ」を2つ重ねた命名になったのだろうか? それにしても「アカコブゾウムシ」でよかったのではないかという気がする。もしかすると、図鑑かなにか?に記載する時のミスで「コブ」を重複させてしまったことで公式に「コブコブ」になってしまったとか?……なんて可能性も想像してしまう。
ちなみに、もっとも有名な昆虫のひとつである「ゴキブリ」の和名も、元々は「ごきかぶり:御器(ごき=食器)かぶり(=かじる)」だったものが文献の記載ミスで「か」が抜けたことに由来するとか。
「ゴキブリ」だけに「誤記」由来──なんて言うと、うまくできたジョークのようだが、明治時代までは「ごきかぶり」だったそうな。

ゾウムシの仲間は(も)多く、特徴が薄いものはスルーしがちだが、コメツキムシの仲間も地味なものが多くて(同定が難しそう…)敬遠しがち……。そんな中でこれは模様が特徴的なのですぐ特定できるだろうと思ったのだが……↓。


手元の図鑑ではヒメシモフリコメツキというのに似ているが、ネットで検索してみるとオオシモフリコメツキ、シモフリコメツキなど似た種類もいるようなので、やっぱりよくわからない……。
これからであう昆虫の種類も増えてくるだろうが、よくわからない虫もたくさん出てくるだろう……。

※【追記】「アカコブコブゾウムシ」名前の由来!?

虫屋さんからアカコブゾウムシというのが別にいる(クロコブゾウムシというのもいる)という情報がもたらされてビックリ!
もし「アカコブゾウムシ」と呼ばれる種がすでにあったのなら、それと混同しないように「コブコブ」となった可能性もあるのではあるまいか?(あくまでも個人的想像)
手元の図鑑を見ると、「アカコブコブゾウムシ」のとなりに「クロコブゾウムシ」が載っていたが、「アカコブゾウムシ」の記載はなかった。
これを含めて、あらためて名前の由来についての情報がないか検索してみると、僕が想像したのと同じようなこと(「コブ」の重複は記載ミスの可能性withゴキブリの例)を記していた記事【ファーブルフォト アカコブコブゾウムシ】があったので、ここでもビックリ!
「同じようなコトを考える人はいるものだなぁ!」と感心し、「同じ事を考える人がいるということは、そう間違った推理でもないのかも?」と思ってみたり。
「コブコブ」について《記載ミスによる重複説》と《すでにあった「アカコブゾウムシ」と区別するため説》の2つを現在考えているが……今のところ真相の程はわからない……。


虫を食う花蜂!?口器にビックリ他

虫を食う花蜂!? ハチの口器にビックリ



脚に花粉を貯えたハナバチが、なんと小型のアメバチか何かを頭からバリバリ食っている!?
スズメバチやアシナガバチが虫をかじって肉団子にするのは見たことがあるが、ハナバチも虫を捕食することがあるのだろうか!?──と、ビックリしたシーン。
「こんなコトがあるものだろうか!? あ…エイプリルフールだから?」なんて一瞬頭をかすめもしたが、もちろんそんなはずもなく……よく見ると、《くわえた虫》に見えたものはハナバチの口器で、これをのばしているところだった。
それにしても、ハチの口器がこれほどのびるものだとは知らなかった。
見ていると、納まりが悪いのか、何度も伸ばしたりたたんだりをくり返している。まるで昆虫界のカメレオン(?)ヤゴの長くのびる顎のようだと感じた。
考えてみたら、チョウが花の蜜を吸うための長い口器を持っているのだから、同じように訪花性のハナバチが長くのびる口器を持っていても不思議はないのかもしれない。
チョウの口器がのびることは子どもの頃から知っていたが、ハナバチの口器がこんなにのびるとは今まで想像したこともなかった。
ビックリな勘違いも含めて、ちょっとおもしろかったので、記録しておくしだい。












後脚に花粉をたんまり貯め込んでいるのでハナハナチだと判断したのだが、種類はよくわからない。


季節で装いを変えるアカスジアオリンガ・他

ついでに最近見た昆虫から……アカスジアオリンガ(蛾)の春型♂。夏型は全体的に緑色っぽくなり、赤みが強く出るのは春型♂の特徴。あわい黄緑色とあわいピンク色が美しい蛾なのだが……画像では実際のあわい色合いがなかなか再現できない……。




擬木にとまっていると目立つ美しい色合いだが、この時期展開中の若葉に感じが良く似ている。隠蔽効果があるのだろう。


以前撮ったアカスジアオリンガ春型の♂と♀↓。


♂は《展開中の若葉》のように赤みが強く、♀も白い筋が《展開中の若葉の密度の高い葉脈》のように見える。これが夏型になると♂も♀も緑色の部分が増え、葉脈のような白い筋は疎になる──《夏の葉》の色合いにシンクロしているかのようだ。春型は春の葉の状態に、夏型は夏の葉の状態に似せて装いを変えて成虫が出現することに感心する。

少し前にタヌキ顔の蛾!?としてネタにしたサカハチトガリバだが、その後もちょくちょく見かける。今回はミミズク風ということで。



若葉が展開を始めるなか、ナナフシ(ナナフシモドキ)の若齢幼虫も出てきた。


これから雑木林は劇的に変化し、緑と虫のインフレーションが始まる。