FC2ブログ

2015年02月の記事 (1/1)

可変翼機なオカモトトゲエダシャク

可変翼機っぽい蛾:オカモトトゲエダシャク

冬の蛾フユシャクのが活動を続けているなか、早春の蛾オカモトトゲエダシャクも姿を見せ始めた。4枚の翅をそれぞれアコーディオン・カーテンのようにたたんでとまるユニークな蛾。可変翼機を思わせるメカニカルな姿はSF映画やアニメにでてきそうなバイオ飛行船!?














飛行機の可変翼ならぬ可変翅はなんともユニークでカッコイイが、いったいどうしてこんなギミックがあるのだろう?──見るたびにそう思ってしまう。
以前にもあれこれ思いめぐらしてみたことがあったが(*)、《嵐に備え帆船が帆をたたむように、早春の強風に備えて翅をたたんでいるのではないか》──という可能性を考えている。ド素人の個人的な想像。
オカモトトゲエダシャクが出現する頃といえば、冬から春へと季節が移り変わって行く時期で「春一番」のように風が吹き荒れる日も少なくない。こうした強風対策として、とまっている時は「翅をたたんで風の影響を受ける表面積を減らしている」のではないか。扇子やアコーディオン・カーテンのようにたたむことで翅脈の密度を高め強度を高める効果もあるだろう。
実は《強風対策説》の可能性を想像した当初は、自分でも懐疑的だった。風の抵抗を減らすためだとすると、前翅の角度が不自然に思えたからだ。オカモトトゲエダシャクのもちあげられた翅より、フユシャク♂がとっているとまり方──翅をぺたっと樹皮に密着させるようなとまり方の方が風の抵抗を少なくできるだろ──そう考えた。
しかし、この時期、強風にあおられて翅をパタパタ激しくなびかせるフユシャク♂の姿や翅を失ったフユシャク♂の姿を何度も見ているうちに《強風対策説》が再浮上した。オカモトトゲエダシャクの翅は風を受けてもその圧力を受け流しているのかもしれない。


このフユシャク(シロフフユエダシャク)♂↑を撮った同じ日に出会った今シーズン2匹目のオカモトトゲエダシャク↓。風が強めに吹く中での撮影となった。






オカモトトゲエダシャクの翅が他の蛾のように強風ではためくのは見たことがない。たたまれた可変式の翅は強風対策のギミックなのかもしれない。




今シーズンであったオカモトトゲエダシャク2匹はいずれもオスだった。触角をたたんでいる時はモフモフの毛に埋もれて見えにくいが、触角はクシ状。メスの放つフェロモンを感知するために表面積を増やした構造なのだろう。これに対してメスの触角はヒモ状。昨年撮ったメスとの比較画像↓。


※メスとオスのツーツショットを追加↓


振袖フユシャク?~可変翼蛾の画像から

「卒」的?ヒロバフユエダシャク♀

今季2匹目のオカモトトゲエダシャクに出会った日、ヒロバフユエダシャク♀も見ることができた。






某駅の改札を出てすぐ目につく桜の幹にいたヒロバフユエダシャク♀。白っぽい個体だったこともあり、桜に目を向けた瞬間にヒロバフユエダシャク♀がとまっているとわかった。今季初のヒロバフユエダシャク♀を見た時(2月のカミキリ~ヒロバフユエダシャク♀)も感じたのだが、少し離れた所からでもこの形はパッと目につく。遠目に見ると「卒」の極太文字に見えてしまうのは僕だけであろうか……。




スポンサーサイト



ヒロバフユエダシャク・シロトゲエダシャク他

前翅はどっち?ヒロバフユエダシャク♀



今シーズン3匹目のヒロバフユエダシャク♀は、こんなところにいた。4枚の翅を展翅したかようにビシッと広げたりりしい姿から時代劇の裃(かみしも)を連想してしまう。けっこう好きなフユシャクなのだが、今シーズンはヘリグロチビコブカミキリの影にかくれ、おみそ的あつかいだったので、今回は冒頭で。
フユシャクのメスもよく擬木や柵などに登ってくるが、こうしてトップ付近の段差やくぼみに隠れるようにしてはりついていることも少なくない。






この時期多いシロフフユエダシャクやフユシャク亜科の♀よりも大きい。退化しているとはいえ、メスの翅も立派に見える。
このヒロバフユエダシャク♀の翅について、僕は普通に「短い方が前翅・長い方が後翅」と認識していたのだが、逆だとする記述をネット上でみつけて驚いた──というのは【2月のカミキリ~ヒロバフユエダシャク♀】で記した通り。今回改めて翅のアップを確かめてみたが、やはり「短い方が前翅・長い方が後翅」で良いように見える。


調べてみたら【日本産蛾類標本図鑑】のヒロバフユエダシャクの項目に《♀の前翅は細長く茶~茶褐色で黒色の中横線が認められる.後翅は前翅より幅広く扇状に広がる.》と記されており、僕の認識で正しかったようだ(*)。
翅の広げ方でおもしろいと思ったのが、12月~1月にみられるイチモジフユナミシャク♀──前翅と後翅の位置が逆転したかのように翅をずらしてとまっていることがあるので以前撮った画像と今回のヒロバフユエダシャク♀とを比較してみた↓。


今シーズン初のシロトゲエダシャク♀

シロトゲエダシャク♂の姿は何度か目にするようになっていたので、そろそろ♀も見られるだろうと思っていたが、初物はこんなところにいた。






立派に見えたヒロバフユエダシャク♀よりもさらに大きい。ただ翅は小さめ。




産卵前と思われるこの♀は卵をかかえて腹の外皮がのびきり、節の部分で外層に隙間ができて緑色の内層が覗いている。シャツとズボンの隙間から腹がはみ出た「はみ腹」状態。


わかりやすいようにてのひらに乗せて撮影したのち、近くの木にかえしてみた。樹皮の上では意外に(当然?)目立たない。


ちなみにシロトゲエダシャクのオスはこんな姿↓。


クロテンフユシャク・ペアとシロフフユエダシュク・ペア

シロトゲエダシャク今季初♀を確認した日にみつけたペアショット。フユシャクなので♂は普通の蛾だが、♀は翅が退化している。




シロフフユエダシャクは今もっとも多くみられるフユシャク。この♀も1円玉と比較してみた↓。


ということで、今回紹介したエダシャク亜科のフユシャク3種♀の大きさ比較。



前回ヘリグロチビコブカミキリの飛翔(NGショット)を撮った日、ヒロバフユエダシャク♀も撮っていて、一緒にまとめて投稿しようかとも思ったのだが……前々回の記事【冬に飛ぶ極小カミキリの触角ランゲージ?他】や【2月のカミキリ~ヒロバフユエダシャク♀】でもヘリグロチビコブカミキリの後にバーター的ふろく扱い(?)にしていたので、今回は記事を分け、2月下旬のフユシャク方面でまとめてみたしだい。
実は今シーズン初のシロトゲエダシャク♀を撮った日に、やはり今季初のオカモトトゲエダシャクを撮っているのだが……これはフユシャクではないので、また別に記すつもり。


ヘリグロチビコブカミキリ飛翔またNG

《冬に飛ぶ極小カミキリ》というイメージが僕の中ではできあがっているヘリグロチビコブカミキリ。何度も飛翔する場面を目の当たりにしていながら、そのキャッチフレーズ(?)を象徴するテイクオフ・ショットがなかなかキレイに撮れずにいる……というのは前回の記事にしたばかりだが、その続報──前の記事の後に見つけたヘリグロチビコブカミキリなど。

ヘリグロチビコブカミキリの飛翔・続NGショット

擬木や欄干・柵などの日向で見かけることが多い気がするヘリグロチビコブカミキリだが、このときは日陰側で停止モードだった。


先日、暖かかった日に見つけた個体は、最初触角を広げていたが↓


カメラを近づけると広げていた触角をゆっくりたたんだ↓






落ち葉に乗せると活動モードにスイッチして歩き回り、落ち葉の柄の先端へ。




触角はやや前方に持上げられ《飛翔モード》!?──上翅を開きかけたが、この時は飛ばず、1度上翅を閉じたが、触角の表情は飛ぶ気満々。はたして──、


──というわけで、ほんのわずかシャッターが遅れた。体はだいぶ浮き上がってブレブレ。翅の先がフレームアウトして……やっぱり残念なショットになってしまった……。

同じ日に見つけたヘリグロチビコブカミキリは、見つけた時は薄陽のさす柵の上で、砂漠に棲むサカダチゴミムシダマシみたいに体を斜めにし、太陽光を効率よく浴びる体勢をとっていた。以前にも擬木の上でこうした姿勢をとっているヘリグロチビコブカミキリを見たことがある。活動温度を得るため(体温を上げるため)の日光浴ポーズっぽい。その時はそのポーズを撮ろうとして近づいたら解除してしまったので、今回はそーっと近づいたのだが……気配を感じたのかヘリグロチビコブカミキリは早々に日光浴ポーズ(?)を解除。触角を左右に広げた《活動モード》に入って動き出した。


撮りづらいので例によって落ち葉に乗せる──と、せわしなく歩き回って……、


──ということで、シャッターのタイミングとしては合っていたが、ピントが合っていなかった……。
今回も「冬に(も)飛ぶ」という「証拠写真」程度の残念なショットになってしまったのであった……。
極小昆虫のテイクオフ・ショットは難しい……。

ぷちカミキリ!?──まぎらわしい甲虫類

この日は暖かく、見られる虫たちの種類も多かったのだが……そんな中で、極小カミキリと見間違えそうな、まぎらわしい甲虫を──。
まずはヘリグロチビコブカミキリを見つけた近くで目に入って「えっ!?」と思った虫。


細長い体型&大きさは裸眼ではヘリグロチビコブカミキリっぽく見える。しかし上翅(翅鞘)がえんじ色!?──「これは別種の極小カミキリ!?」と胸をときめかせてカメラを向けて拡大した画面を見ると……カミキリではなかった。
やけに平べったいのでヒラタムシの仲間だろうと見当をつけ、帰宅してから検索してみたら、クロムネキカワヒラタムシというのに行き当たった。




クロムネキカワヒラタムシは樹皮の下にいて(だからこんなに平たいのだろう)昆虫などを捕食する虫らしい。この日はあちこちでこの昆虫を見かけた。今回の画像は全て別個体。
また、この日やっぱり裸眼ではヘリグロチビコブカミキリと見間違えそうな大きさ&シルエットの極小ハネカクシも複数見られた。



冬に飛ぶ極小カミキリの触角ランゲージ?他

ヘリグロチビコブカミキリの触角ランゲージ~飛翔

《冬に飛ぶ極小カミキリ》というイメージが(僕には)あるヘリグロチビコブカミキリ。先日も陽の当たる欄干の上に出ているのを見つけた。お気に入りの昆虫なので、見つけるとついカメラを向けてしまう……が、その割になかなかうまく撮れないでいる。


例によって欄干上では、冬の陽射しが長い影を作り、黒いヘリグロチビコブカミキリの輪郭がつぶれてしまいがち……そこで、落ち葉に移動願う。


欄干のヘリグロチビコブカミキリは小さすぎてつまめないので、落ち葉を敷いて指先でそっと追いやる。すると触角を左右に広げ、落ち葉の上へすんなり移動した。


触角を広げ《活動モード》に入ったヘリグロチビコブカミキリはそのまま落ち葉の上を徘徊し、葉のフチまできて止まったので「飛翔するか!?」とそなえたが……触角を倒して《停止モード》に入った。


何度もヘリグロチビコブカミキリを見ているうちに、触角の表情(形)で、なんとなく行動が読めるような気がしてきた……かもしれない?
触角を体に沿わせるように倒しているときは、じっとしていることが多く、とりわけ触角のカーブが内側にふくらんでいるときは比較的安定した《停止モード》。触角を体側にたたんでいても、そのカーブが外側にふくらんでいるときは、とりあえず止まっているもののすぐに動きだしがちな《ポーズ(一時停止)モード》。たたんでいた触角を左右に広げると、動き出す《活動モード》──そんなふうに見えなくもない(気がする)。
人の気配などに警戒したときも目立つ長い触角を隠すためか《ポーズ(一時停止)モード》《停止モード》になることがある。逆に人の気配に気づいて《活動モード》に入り逃げ出すことも。触角を前方に傾けたり、やや持上げているときは周囲の情報を収集しようとしているのだろうか?(あるいは視界域を広げるため?)──《警戒モード》あるいは《飛翔準備モード》という感じがしないでもない。
──というのは、僕の少ない経験から感じている触角サイン──《ボディー・ランゲージ(body language)》ならぬ《触角ランゲージ》!? もちろんコミュニケーション目的のしぐさではないのだから、正確には「ランゲージ(ことば)」ではないのだけれど、《行動を「読む」べく「しぐさ」》という意味で。
これは、あくまでも個人的な解釈。カミキリ屋さんからすれば、「あたりまえ」のことかもしれないし「まったくマトはずれ」な見方かもしれない。

さて、落ち葉に移動させたヘリグロチビコブカミキリが《停止モード》に入ったので、影が小さくなるよう葉の向きやカメラのアングルを調整して撮ったのが上の画像。それでもまだ影が気になるので、直射日光が当らないように影に入れて撮ってみたのが↓。


《停止モード》で動かないのをいいことに、1円硬貨を使った「大きさ比較」をしてみた↓。


そうこうしているうちに、《停止モード》が解除されて《活動モード》へ。落ち葉から、落ち葉をつまんだ指に登ってきたので、ひきつづき手乗りを撮影。




そして指先で再び《ポーズ(一時停止)モード》に。






そしてまた動き出すと──、




これまで何度も撮り逃してきたテイクオフ・ショット──「こんどこそは!」とキアイを入れてその瞬間をとらえた!──と思ったら……なんとピンぼけ……。とりあえず「冬にも飛ぶ!」という証拠画像ということで。あいかわらずOKショットが撮れず、NGショットのストックを増やしただけ……もちろんヘリグロチビコブカミキリはそのまま飛び去ってしまったのであった……。


ヒロバフユエダシャク♀ふたたび

この日はフユシャクも見られた。カミキリとフユシャクの両方を同じ日に観察できるというのもフシギな気がする。最近いちばん目につくのがシロフフユエダシャクのメス↓


他にフユシャク亜科のフユシャク♀も複数見られた。オスではシロトゲエダシャクが出ていたが、まだ今シーズン♀は見ていない。そして──、




前回、ヘリグロチビコブカミキリを見た日(【2月のカミキリ~ヒロバフユエダシャク♀】)、やはり31匹目のフユシャク♀が今シーズン初のヒロバフユエダシャク♀だったわけだが、今回も31匹目だった。ヒロバフユエダシャク♀はこれが今シーズン2匹目。

メダカチビカワゴミムシの最後っ屁ほか

屁~と思ったメダカチビカワゴミムシの最後っ屁



暖かめだった先日、擬木の上にメダカチビカワゴミムシが出ていた。少し前にもネタにしているけれど、もう少しキレイに撮れないものか……と思いカメラを向けてみるが……例によって小さいうえによく動くので、なかなかうまくいかない……。
前回、ダメ元で指に乗せたら意外にじっとしていたということがあったので、今回も試してみることにした(前回の画像↓)。


しかし、なかなか指に乗ってこない。そこで、指先で軽くつまんでみたところ──。
突然ただようほのかな異臭!?
オサムシが腹端から放つ酸が思い浮かんだ。
「もしや、メダカチビカワゴミムシが放った最後っ屁(さいごっぺ)!?」──そう思って虫をつまんだ指先を嗅いでみると確かにクサイ!
オサムシやゴミムシの仲間が敵に襲われたときに、酸を噴射し身を守るものがいることは知っていたが、こんなに小さなメダカチビカワゴミムシにも、ちゃんと装備されていたとは! ゴミムシをやっている虫屋さんにはあたりまえのことなのだろうけれど、僕にはなんだか意外だった。

僕はこれまで、オサムシの仲間の最終兵器ならぬ「最臭屁器(最後っ屁)」の想定相手はタヌキやアナグマのような、嗅覚を頼りに昆虫を捕食するほ乳類だというイメージを持っていた。
というのも、以前飼っていたフェレット(イタチの最後っ屁を有する元祖イタチ科)がアオオサムシを追い回し「最後っ屁」に敗退するのを何度か見ていたからだ。








◎↑フェレット漫画:最後っ屁対決!?より ※「グランジ」はフェレットの名前

こんなシーンを目の当たりにして、オサムシ類の放つ最後っ屁(実際は屁ではなく有機酸)は、獲物を探し追尾するレーダーともいえる捕食獣の嗅覚に打撃を与える有効な攻撃だと感じて納得していた。鼻を直撃しなくても強いニオイ物質を放てば、天敵の嗅覚(注意)はその分泌物に向けられるだろう。そのスキに昆虫本体は逃げおおせるという陽動作戦としての効果もある。イタチ科の最後っ屁にもそんな意味があるのだろうと考えていた。

だから、最後っ屁のターゲットである(と僕が想像していた)タヌキやアナグマがエサとして狙うには小さすぎる(と思われる)メダカチビカワゴミムシが「最後っ屁」を装備しているとは思わなかったのだ。
それでは、メダカチビカゴミムシの最後っ屁は誰に向けてのものなのか?……思い浮かぶ天敵はトカゲやヤモリ、カエル、小鳥などだろうか? 考えてみたら刺激性のある分泌物は鼻のみならず、目や口などの粘膜に対して効力を発揮するににちがいない。メダカチビカワゴミムシを狙うサイズの天敵──爬虫類や両生類、鳥類に対しても有効なのだろう。
調べてみたら、ミズギワゴミムシ(メダカチビカワゴミムシはオサムシ科ミズギワゴミムシ亜科)が噴射する分泌物も、オサムシ同様メタアクリル酸というのを主成分としたものらしい。
いずれにしても、こんな小さな体に、最後っ屁の元祖・イタチ科のフェレットを撃退したアオオサムシと同じギミックが、ちゃんと装備されていたことに感心した。

そのアッパレなメダカチビカワゴミムシは、僕の指に悪臭を残し、早々に姿を消したため、その後の画像は撮れなかったのであった……。

《フユシャクもどき》と言われた蛾

フユシャクはずいぶん紹介してきたので、フユシャクとともに今よく見られるフユシャクではない蛾──ハイイロフユハマキを紹介↓。


ハイイロフユハマキはフユシャクと同じ時期に見られるということで間違えられがちなためか、【フユシャクモドキ】の名で呼ばれていたこともあったらしい。
フユシャクではないので僕はふだんスルーしがちなのだが、ペアがいたので撮ってみた。この画像だとよくわからないが、フユシャクと違って、ハイイロフユハマキはオスにもメスにも両方にちゃんとした(?)翅がある。
成虫で越冬する蛾は少なからずいそうだが、フユシャク同様、冬にちゃんと繁殖活動をしているというのが興味深い。
フユシャクを初めて知った時、「寒い冬に適応して♀は飛ぶための翅を捨てた」──みたいなイメージで理解していたのだが、同じ時期に♀も翅を退化させずにちゃんと活動できている蛾もいるわけで、ハイイロフユハマキのペアをみると昆虫の世界も単純ではないな……とあらためて感じる。

ちなみに、このハイイロフユハマキ・ペアと同じ日、目にした翅を退化させたフユシャク♀↓。


左がシロフフユエダシャク(エダシャク亜科のフユシャク)♀、右がフユシャク亜科のフユシャク♀。フユシャクは全てシャクガ科だが、ハイイロフユハマキはシャクガ科ではくハマキガ科。

冬に似つかわしくない鮮やかな若葉色の繭



旬なのか時期外れなのかビミョ~なところだが……この時期、裸の枝先にめだつのがウスタビガ(蛾)の繭。


枝が葉でおおわれた時期には緑色の繭は目立たないのだろうが、冬になると逆に目立つ。しかし、順調に育っていればウスタビガは秋に羽化していて冬にはすでに繭は空き家。上部の直線的な部分がガマグチのように開閉する構造になっているので成虫が羽化したあとも繭は無傷のまま残る。アップの画像(鈴なりとは別の場所のもの)ではこの繭から羽化した♀が産みつけたと思わせる卵が繭の外側についている。ちなみに、下に開いている穴は雨水等の(?)排水孔なのだとか。

順調に育っていれば、この時期の繭は空き家のはずなのだが……寄生蜂が入っていることも少なくないらしい。キレイな繭を空だと思って部屋に飾っておいたところ、暖かくなってハチが出てきててんやわんや──というエピソードも何度か聞いたことがある。

ついでに幼虫時代の、やはりキレイな緑色の姿もこの機会に↓。




昨年5月に撮ったこの画像↑はおそらく4齢。終齢(5齢)幼虫は触れるとチーチーとネズミの鳴き声のような音をだす。繭の形もユニークだが、幼虫もちょっと面白い蛾だ。


フユシャクと冬のハンター

フユシャクと冬のハンター!?キンイロエビグモ

2月中旬、ひきつづき目につくクロテンフユシャク。




シロフフユエダシャクも多い。


こちら↓はガードレールのポールに4匹の♀が集中していた。この近くのポールでもシロフフユエダシャク♀1匹を確認。


別の種類が一緒にいることも↓。


シロフフユエダシャク♀(右)と産卵後のフユシャク亜科♀(左)↑。
フユシャクが冬に繁殖活動するのは天敵が少ないためだといわれているが……天敵がいないわけではない──ということを示すシーン↓。




1月にヨコバイを狩っていたクモも、どうやらキンイロエビグモだったようだ。


昨シーズンもこのクモがフユシャクを捕食しているシーンを目にしている。


フユシャクにとって天敵の少ない冬は、天敵にしてみれば競争相手が少ない時期でもあるともいえる。寒さで動きがにぶった虫や飛ぶことのではないフユシャク♀はかっこうの獲物なのかもしれない。キンイロエビグモは「冬専門」ということではないのだろうが、冬にもちゃんと(?)活動──ハンティングをしているようだ。

先日、暖かかった昼頃にはテングチョウが現れた。春先に見かけるチョウだが……春のチョウの時期にはちょっと早い。まだこれから出てくるはずの冬の蛾──フユシャクもいくつかあるので期待している。



2月のカミキリ~ヒロバフユエダシャク♀

2月のヘリグロチビコブカミキリ

この冬最強の寒気の影響で午後には雪もパラついた先日──昼間もすこぶる寒かった。こんな日は出ている虫も少ないだろう……と思いつつもギボッチ(擬木ウォッチ)に出かけてみると、このところ見ていなかったヘリグロチビコブカミキリが見つかった。


今シーズンも12月・1月・2月と確認することができた(僕にとっては)《冬のカミキリ》。この日はふだん目にする他の甲虫類は見られなかった──そんな寒い日にも出ていたヘリグロチビコブカミキリおそるべしっ!
柵にとまったままでは撮りにくいので、慎重に落ち葉に移動願う。手袋をしたままでは指先の感覚がにぶるのでこれをとって素手での作業。






触角を体に沿わすように倒しているときはじっとしていることが多い。なので、こんなときは撮りやすいはずなのだが……いつもながら、小さすぎて苦労する。願わくは触角を広げてくれると「カミキリらしい」感じがでるのだが……。


はたして触角を広げると、今度は歩き回ってさらに撮りづらくなる……。右手でカメラを構え、左手でヘリグロチビコブカミキリを乗せた落ち葉をコントロール。
ヘリグロチビコブカミキリの動きに合わせて、左手指先のみで落ち葉を持ちかえながらシャッターチャンスを待ち続けるが……そのうちに手はかじかんでくる。寒さで指先の感覚がにぶってきた頃、突然の風が──落ち葉はあおられ、被写体は落下してロスト……何度こんなことをくり返したことか……。

ところで、僕は基本的には《虫には積極的に触れない》。見つけたときの「目にうつった状態」そのままを記録しておきたいという思いがあるからだ。引きの画面の中にワイプで昆虫を入れるのも、そんな生の現場感のようなものを残しておきたいという思いから。
ただ、「そのまま」ではうまく撮れなかったり、大きさを表現したいときなど、「やむなく」指にのせたり落ち葉に移動させることはある。指に乗せるのは光線(日光)の角度や撮影アングルを調整したり、とけこみやすい背景と分離するため、あるいは指や爪との比較で虫の大きさを表現するためであって、けっして好き好んで「指乗せ」をやっているわけではない。もちろん触れてみて初めてわかることもあったりするし、虫に触れること自体に抵抗は無いのだが、できれば、虫に失礼のないよう触れずにおきたい……というのが本当のところ。

ところが……先日僕のブログを見た人が、シャッチー(シャチホコガ幼虫)を指に乗せいてる画像を見て「かわいくて指に乗せている」と思ったらしい。考えてみたら、そう誤解されてもしかたないのかもしれない!?
シャッチーを撮ったことのある人ならわかるだろうが……ナチュラルな状況で希望の角度・希望のポーズを撮るのはなかなか難しい。動き出すと追尾しながらのアングル調整が大変なので、ついコントロールしやすい指に乗せて撮ることになってしまうのである。
──ということで、「指のせショット」はやむなくやっているということをあらためて表明しておくしだい。

さて、寒かったこの日、見かける虫の種類は少なかったものの、フユシャクはそこそこ見つかった。このところ常連組のシロフフユエダシャクとフユシャク亜科が続く……。
今、最も多いシロフフユエダシャク♀は前回紹介した個体のように翅の形がハッキリわかるようなきれいなポーズをとっているものが、なかなかいない。






翅の形がわかりにくいシロフフユエダシャク♀たちに「今シーズンはまだ見ていないヒロバフユエダシャク♀みたいにビシッと翅を広げられないものかねぇ」などと心の中でボヤきながらギボッチ(擬木ウォッチ)コースを周り終えようとした時──そのヒロバフユエダシャク♀が目にとまった。この日の最後・31匹目のフユシャク♀だった。

小さな前翅&大きな後翅・ヒロバフユエダシャク♀





退化した4枚の翅(飛ぶことはできない)をビシッと広げたヒロバフユエダシャク♀は凛々しく見える。シロフフユエダシャク♀の翅をラフなTシャツとハーフパンツとすれば、ヒロバフユエダシャク♀の翅は時代劇に登場する裃(かみしも)といったところ。


ヒロバフユエダシャク♀は「小さな(短い)前翅&大きな(長い)後翅」が特徴的でありカッコ良いと僕は思っているのだが……先日このフユシャクについて検索していたところ、(メスの翅について)「長いほうが前翅で、短いほうが後翅である。一見すると逆に見えるので紛らわしい」との記述にぶつかり驚いた。
素人の僕は「前翅」「後翅」の正確な定義を知らない。あたりまえのように「上翅(背面上側の翅)=前翅/下翅(上翅の下にある翅)=後翅」だと思っていた。
ヒロバフユエダシャク♀の翅を見ると、横へ張り出している短い翅が上にあるからこれが前翅で、その下から斜め後方に張り出した長い翅が後翅だと思っていた。
「一見すると逆に見えるので紛らわしい」ということは、パッと見で判断していた僕の認識は「逆」だったのだろうか? ひょっとして「前翅・後翅」は背面から見て「上か下か」ではなく、翅の根元の位置を基準にして「前(頭側)か後ろか」なのだろうか?……などと考えてみた。しかし、どちらが「前」なのか、撮った画像ではハッキリ判らない(*)。
それとも……僕のこれまでの認識が正しく、「一見すると逆に見えるので紛らわしい」というのは「前翅より後翅が大きい」こと(普通の蝶や蛾と逆)を意味するもので、それを勘違いしたブロガーさんの誤認だったのではないか……と、そんな気もしているのだが……正確な所はわからない。
ちなみに、このブロガーさんが言うような──前翅(上翅)の方が後ろに、後翅(下翅)の方が前に位置した(翅が逆転した)フユシャク♀は存在する。イチモジフユナミシャク♀は、しばしばこんなふうに翅をひろげていたりするが、ヒロバフユエダシャク♀の形とは違う。ヒロバフユエダシャク♀はオカモトトゲエダシャクのように、前翅を横へ、後翅を後方に伸ばしているのだと僕は認識している。


追記:ヒロバフユエダシャク♂



ヒロバフユエダシャクのオス↑が撮れたので画像を追加。シロフフユエダシャク♂と模様が似ているが、ヒロバフユエダシャク♂の方が大きめで前翅が丸みを帯びている印象。


雪と冬尺蛾/シロフフユエダシャク♀理想の翅型!?

雪と冬尺蛾

この前日、東京にも雨・みぞれまじりのしょぼい雪が降った。雪が降ったあとは虫が少ない──経験的にはそんな気がする。雪が積もれば擬木の虫たちも姿を消してしまう。雪がとどかない隙間に隠れたり、産卵後のフユシャクなどは一掃されてしまうのではないか。
どんなようすか確かめに、ちょろっと出かけてみた。市街地ではほとんど積もらなかった雪だが、ギボッチ(擬木ウォッチ)コースでは昼になっても残っているエリアがあった。


ざっと見てまわったところ、予想どおり昆虫は少なめ。フユシャク♀もやや少なく確認したのは15匹。やはり雪で一掃されたのか、いつもは見かける産卵を終えてしなびた個体はみられず、産卵前と思われる新鮮な♀ばかりだった。フユシャク亜科の♀が2匹、ほかは全てシロフフユエダシャク♀だった。
この時期すっかり見慣れたシロフフユエダシャクだが、《冬》ならではの「雪」と「フユシャク」のコラボショットを──ということで。




雪が融けまだ濡れている擬木上に出ていたシロフフユエダシャク♀。雪が止んでから出てきたのだろう。産卵前と思われる、卵がつまった腹ははちきれそうにふくらみ、節部分で外皮外層(?)の隙間から緑色の内層(?)がのぞいている。この日はこんな♀がいくつも見られた。




フユシャク♀ではよく見られるが、産卵前の個体では、はちきれそうに腹がふくらみ「丈の短いTシャツの裾から豊満なお腹がのぞいている」みたいに、外皮外層のすきまから下の緑色の層がのぞいていたりする。


緑色の層が「(裾から)はみだした腹」みたいなので名付けて「はみ腹」。
ところで、シロフフユエダシャク♀は個体によって、けっこう印象が変わる。腹の背面のもようが比較的クッキリ現れている個体↓。


個体による模様の鮮明さの違いもさることながら、シロフフユエダシャク♀では退化した小さな翅の形(開き方)が中途半端で個体ごとにいいかげん(?)だったりする。ネコのアメリカンカール(耳介が外側にカールした品種)の耳のようにカールしている個体も↓。


前回記事のペア・ショットの♀も退化した翅の形がわかりにくかったが……こうした「クセ翅」(?)のため、シロフフユエダシャク♀の印象はバラツキが多い。フユシャク♀の翅は退化し飛ぶことができないのだから、形が不安定でも、どうでも良いのかもしれないが……ちょっと雑すぎる気がする。

シロフフユエダシャク♀理想の翅型?

そんなクセ翅が多い中、4枚の翅がびしっと形よく広げられている個体を見つけた。




翅の形(ひらき具合)でいえば《理想的なスタイル》なのではないかと思う。






とりあえずシロフフユエダシャク♀だと思っているのだが……あまり自信はない。
最後に♀とはずいぶん違うシロフフユエダシャク♂の画像を。♂の模様も個体によってずんぶん変異がある。



シロフフユエダシャクとクロテンフユシャク

このところ見られるフユシャクは相変わらずな顔ぶれだが……最近の主役となっているシロフフユエダシャクとクロテンフユシャクのペアなど。

シロフフユエダシャク・ペアなど





フユシャクはオスと(翅が退化した)メスが同種とは思えないほど異なる容姿をしているが、交尾をしていると、これでも同じ種類なのだと納得できる。


この画像↑では♀の退化した翅がわかりにくいので、別の個体↓。


このところよく見かけるシロフフユエダシャク♀だが、鱗粉の状態や産卵前後でずいぶん印象が異なる。1月30日に降った雪がまだ残る中、擬木の上にいた産卵後のシロフフユエダシャク♀↓。




クロテンフユシャク・ペアなど





今シーズンはよく目にするクロテンフユシャクのペア。こうしたシーンでは♂の特徴から♀もクロテンフユシャクだと判断できるが、フユシャク亜科のフユシャク♀は単独でいると同定しにくい。ということで別の場所にいたフユシャク♀↓。


外見は似ていても種類によって卵塊の形が違うものもあるので、産卵しているところを見れば種類候補が絞れることもあるのだが……。




このフユシャク♀はわずかに腹を動かしていたものの産卵状態に変化はなく、弱っているようだった(右側の脚も1本欠けている)。
別の場所でみつけた正常に産みつけられた卵塊の1例↓。




フユシャク亜科のフユシャクが腹端の化粧ブラシのような毛を塗り付けながらかためて産卵するようすは過去に何度か見ている。ちなみにシロフフユエダシャク♀は毛のコーティングはせず、くぼみ等に分散して産みつけていた。