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2014年12月の記事 (1/1)

水色のフユシャク・イチモジフユナミシャク♀

水色?空色?印象いろいろ・イチモジフユナミシャク♀

フユシャク(冬尺蛾)というとちょっと地味な印象だが、イチモジフユナミシャク♀にはあわい青~緑色がかったものがいて、これはなかなか美しい。羽化して間もないと思われる♀はキレイなのだが……この美しいコーティングは痛む(?)のも早いような気がする。新鮮な(と思われる)個体では体の表面をおおっている鱗粉がきめ細かくそろって滑らかなのだが、雨風にさらされたり時間の経った(と思われる)ものは、鱗粉が浮いてささくれ、ザラついた感じに見える。また、産卵後は体型が変化するので、これでまた印象がずいぶん変わる。
ということで、まずは鱗粉コーティングがキレイな個体から──、






この↑イチモジフユナミシャク♀は陽の当たる支柱にとまっていたが、鱗粉がきめ細かくそろってスベスベ。日光をうけた翅や体の表面にはつやが感じられる。
色的に青みをおびた翅が美しく感じられたのがこの♀↓。






画像よりも実際はキレイな色合いの個体だったのだが……じゃっかん鱗粉が浮き始めている感じがしないでもない。
さらに鱗粉コーティングがささくれ、ザラザラ感のある♀↓。




産卵を経た♀は腹が縮んでプロポーション的にも、しおれた感じになってくる。




産卵後は腹が縮んだことでボリューム感も変わるし、腹との比較で翅が大きく感じられるようになって印象が変化する。それとは別に翅のもよう──黒い帯にも個体差があって、これによっても印象はちょっと違う。
腹の大きさによるプロポーションの格差や翅の黒帯もようのバリエーションの違い例↓


比べてみるとずいぶん印象が違う。イメージの格差が大きいので「これらはみんな同じ種類なのかなぁ?」とよくわからなくなったりもする。酷似した別の種類がいたとしたら、素人の僕には識別が難しい。
とりあえず、これら──《青~緑がかった翅を持つ♀が出現するナミシャク亜科のフユシャク》のことを(まとめて?)さす呼び名があるといいのだが(水色フユシャクとか空色フユナミシャクとか?)……同定にはあまり自信が無いまま、名前がないと便宜的に困るので、「たぶん」マーク入りで【イチモジフユナミシャク♀】と記していたりするのだが……。

これから見られるフユシャク♀は増えてくるだろう。発見率は高まるけれどイチモジフユナミシャク♀では産卵後の個体の占める割合が多くなってくるので新鮮な美しい個体に出会う確率は変わらないか逆に低くなるような感じがしないでもない(少ない経験からの個人的印象)。そんな思いがあるのでイチモジフユナミシャク♀が出始めた12月後半はサクラッチ(桜ウォッチ)に傾いてしまいがちなのであった。
今後もっとキレイなイチモジフユナミシャク♀を撮ることができたら、画像を追加していく…かもしれない……。

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フユシャクとマエムキダマシ

ひきつづきイチモジフユナミシャク



もう何度もネタにしているが、これ↑はイチモジフユナミシャクというフユシャク(冬尺蛾)のひとつ。
《昆虫なのに冬にだけ(成虫が)出現し、蛾なのにメスは翅が退化して飛べない》──というのがなんとも意外で面白みを感じるので、冬にはフユシャクの姿を探してしまう。特にそのユニークさが顕著なメスにはカメラを向けがちなのだが、中でもイチモジフユナミシャクはあわいブルーもしくはグリーンのキレイな個体がいるので、これがターゲットになりがちだ。羽化し間もないと思われる新鮮な個体がキレイなので、よりキレイな個体に出会えないかと、この時期はついイチモジフユナミシャク♀ねらいでサクラッチ(桜ウォッチ)してしまう。そして……相変わらずな画像が増えていくのであった……。
ということで、その後のフユシャク画像など……。


前回にひき続き、苔むしたサクラでよくみつかるイチモジフユナミシャク♀。


苔むした桜を探していると、樹皮に点在する地衣類がイチモジフユナミシャク♀にみえてしまうことがある。


樹皮の地衣類とまぎらわしい──ということは、隠蔽効果があるということなのだろう。それがよくわかる──まぎらわしい地衣類にまぎれていたイチモジフユナミシャク♀↓


これ↑は僕が見つけた個体ではなく、偶然出会った虫屋さんが撮っていたもの。クヌギの幹にカメラを向けていたので何がるのだろうと思って近づいてみるとこのシーンだった。僕も便乗して撮らせてもらい、しばし一緒に虫話をしながらフユシャクさがし。【辺蟲憐寺境内】のブロガーさんで、チョウに造詣が深く、興味深いお話を色々教えていただいた。
「サクラッチ(桜ウォッチ)」で歩くコースにも擬木があって、そうした人工物でもフユシャクは見つかる。


これ↑は翅に黒い帯がほとんどない個体。木製の手すりで見つけた個体も翅の黒帯がほとんど消失していた↓。




ついでに、同じ木製の手すりにいたチャバネフユエダシャク♀──通称ホルスタイン↓。


市川散歩】の市川さんと2度目にお会いした今日、やはりこの手すりにチャバネフユエダシャク♀がいた。今年1月にはフユシャク亜科のメスがこの手すりで産卵していた(フユシャクの産卵 before & after)こともあった。意外に色々な種類の冬尺がみられるポイントのひとつだったりする。

サクラッチでの予期せぬ出会い

辺蟲憐さんも市川さんも、サクラッチをしていての予期せぬ出会いだったが……意外な出会いといえば、苔むした桜の木を見て回っているとき、桜に隣接する常緑樹(シャクナゲ?)があったので「もしや……」と思い、葉の裏側から見上げてみたところ……、




少し前、あれほど探してなかなか見つからなかったあの虫(*)が、あっさり目に入ってきた。








ということで、クロスジホソサジヨコバイとの再会もサクラッチの予期せぬ副産物?だった。前回よりも赤が鮮やかな個体だった。


スクラッチならぬサクラッチでフユシャク♀を当てよう!?

昆虫さがしをするときの意外な観察ポイントが擬木──これを見ていくと思いのほか色々な昆虫がみつかる。
「擬木ウォッチ」は略して「ギボッチ」──擬木ウォッチをする人のことを「擬木ウォッチャー」略して「ギボッチャー」と呼ぶ(と勝手に命名)。ギボッチャーには虫撮りをしている人が多い。先日、ギホッチ中に前方からギボッチャーがやってくるなと思ったら──それがブログ仲間の市川さんだった。
僕はふだんギボッチ(擬木ウォッチ)で虫を見ているが、この時期──12月下旬になると、花見の名所で苔むしたサクラの幹をみてイチモジフユナミシャク(冬尺蛾の一種)のメス探しをする。青み緑みが濃いキレイな個体を見つけることができると《当たり》感がある。フユシャク♀は擬木でも見られるが、イチモジフユナミシャク♀に限っては苔むしたサクラを探した方が発見率が高い。
「擬木ウォッチ」ではなく「桜ウォッチ」だから、略して「サクラッチ」。「桜ウォッチ」をする人(桜ウォッチャー)を「サクラッチャー」と呼ぶ(とコレも勝手に命名)。
「サクラッチ」していると、チャバネフユエダシャク♀もよく見つかる。

桜ウォッチ・サクラッチでイチモジフユナミシャク♀探し



ということで、イチモジフユナミシャク♀は苔むした桜の幹でみつかることが多い。「苔むした」というのはあるていど長い間そこにあったということだろう。フユシャク♀は飛ぶことができないから、他の蛾ほど簡単に新天地(木)へ進出できないはずだ。いる可能性が高いのは新しい木より古くからある木──古くからある木は苔むしている事が多い。
そしてイチモジフユナミシャク♀に限って言えば、日陰側に多い(日中、日向に出ている種類のフユシャク♀もいる)。日陰側には苔も多いが、そのこととも何か関係があるのかもしれない。
イチモジフユナミシャク♀が日陰側に多い理由を想像してみると──、

・乾燥を嫌うため?
・日向側(順光)では天敵(鳥)に見つかりやすいが、日陰側にいると逆光でみつかりにくいから?(実際サクラッチをしていると冬の低い角度の陽射しが目に入るため日陰側から木にとまった♀を探すのは意外に辛い)
・日陰側に多い苔が多いため?(足場あるいは産卵場所に適している?)

などの解釈が思い浮かぶ。
真の理由はわからないが、とりあえずスクラッチならぬサクラッチで苔むした桜の幹の日陰側を注意しながら見て回るとイチモジフユナミシャク♀を《(探し)当てる》ことができる。




腹の側面に並んだ円形の紋もチャーミング。




今シーズンは今日(12/23)まで10匹のイチモジフユナミシャク♀を確認しているが、全て桜の木で見つけている。そのうち9匹は日陰側にいた。




とはいえ、日向側にまったくいないわけではない↓。


これ↑は今シーズン確認したイチモジフユナミシャク♀10匹のうち、唯一日向側にいた1匹。ちょっと高いところにいたので接写はあきらめてスルーしかけたが……日向側にいたサンプルとして記録しておこうとプチ木登りして撮ってみた。
また、苔むしてないサクラにいないというわけでもない↓。




イチモジフユナミシャク♀はあわいブルー~グリーンが美しい。色が鮮やかなものに出会うと《当たり》を引き当てたようなラッキー感がある。




これ↑も《当たり》感のある個体。翅の淡いブルーになんとも言えない美しさを感じる。オスとは形も違うが体色も違っているのがおもしろい。イチモジフユナミシャク♀の体色は桜の幹に見られる地衣類にまぎれる効果があるのかもしれない。サクラの木でイチモジフユナミシャク♀探しをしていると、しばしば誤認することがあるので、まぎらわしい=隠蔽効果はありそうな気もする。


ちなみにイチモジフユナミシャク♂はコレ↓。知らなければ♀と同じ種類とは思えないだろう。


《当たり》感のあるチャバネフユエダシャクのペア・ショット

そしてイチモジフユナミシャク♀狙いの「サクラッチ」で見つけた副産物?チャバネフユエダシャク♀↓。






チャバネフユエダシャク♀は擬木やガードレールなどでも見かけるがサクラッチで見つかることも多い。夜行性なので(フユシャクの多くは夜行性)、日中の虫見歩きではなかなか交尾は見られないのだが……。




夜行性のフユシャクのペア・シーンに遭遇すると《当たり》を引き当てた気分になる。撮影を始めると♂は飛び去ってしまったが、とりあえずペア・ショットが撮れたのでよしとしよう。



冬の蛾と冬のカミキリ

フユシャク3亜種でそろう

冬に(成虫が)出現するフユシャク(冬尺蛾)は35種類(日本産)ほどいるらしいが、シャクガ科の【フユシャク亜科】【ナミシャク亜科】【エダシャク亜科】の3つの亜科にまたがっている(※冬に出現するフユシャクでない蛾もいる)。今年は11月後半にクロスジフユエダシャク(エダシャク亜科)が見られるようになり、12月初旬にクロオビフユナミシャク(ナミシャク亜科)が、そして12月半ばになってウスバフユシャク(フユシャク亜科)が出てきて、これで3亜種がでそろったことになる。

今シーズン初めて確認したフユシャク──クロスジフユエダシャクは、11月下旬から12月初めにかけて雑木林の林床をたくさんの♂が舞う姿が見られた(*)が、12月中旬になってパッタリと影を潜めた。このところめっきり少なくなったクロスジフユエダシャクの♂と♀↓。


フユシャクの♀は翅が退化して飛ぶことができない(冬に出現する他の蛾との違いの1つ)。「小さな翅」がその特徴をあらわしている。♀の翅の退化の度合いは種類によって格差があって、おもしろい。
同じエダシャク亜科のチャバネフユエダシャク♀では更に退化が進んでいてパッと見、翅は見えない。僕が知らずに初めて見たフユシャク♀はこのチャバネフユエダシャクだった。翅がないので始めは幼虫なのかと思ったが……何の仲間か見当もつかなかった。後にこれが蛾の成虫♀であることを知って驚いた。
苔むしたサクラの幹と擬木にとまっていたチャバネフユエダシャク♀↓。






「小さな翅」すらわからないチャバネフユエダシャク♀に対し、クロオビフユナミシャク♀はフユシャクの♀にしては翅が大きい。


擬木のうしろにツツジ系の植込みが写っているが、クロオビフユナミシャク♀はこんな植込みの近くの擬木で見かけることが多い気もする。


クロオビフユナミシャク♀が「タレ目のチーター顔」に見えてしまうのは僕だけであろうか……。
ちなみにチャバネフユエダシャクもクロオビフユナミシャクも、♂は一見普通の蛾で、もちろん飛ぶこともできる。



そして12月半ばから出てきたフユシャク亜科の♀も翅がすっかり退化している。フユシャク亜科の蛾は14種類いるそうだが、全てがフユシャク(エダシャク亜科やナミシャク亜科ではフユシャクはごく一部)。♀の姿だけ見るとどれも似ていて、僕には区別がつかない。






ところできょう擬木ウォッチングをしていて偶然【市川散歩】の市川さんと遭遇。一緒に虫見歩きをしたのだが、そのとき市川さんがみつけたフユシャクの交尾シーン@擬木の側面(鉛直面)↓


最初♂が翅を立てて(閉じて)いたので判らなかったが、翅を寝かすとウスバフユシャクだと判った。こういうシーンに出会ってやっと種類がわかる。




フユシャクと共に冬の定番(?)ヘリグロチビコブカミキリ

前回の記事のあとに、例によって擬木上で見つけたヘリグロチビコブカミキリ。カメラを向けるが例によって動き回るのでなかなかうまく撮れない……。






前回、枯葉にのせたところ動きを止めたので、同じように枯葉にすくってみたのだが……全然とまる気配をみせない。前回よりも気温は低かったのだが動きはむしろ活発。極小昆虫を扱う妨げになるため手袋をとって撮影しているが、枯葉やコインに移動させても歩き回ってすぐ手に登ってこようとする。なんども葉を持ち替えたりしながら止まるのを待っていたのだが……だんだん手がかじかんできて、持ち替えようとした時わずかに葉をはじいてしまい……ヘリグロチビコブカミキリを落としてしまってロスト……。というわけで、このときは満足のいく画像は撮れなかった……。


12月前半までの昆虫

今年は少なかった? 擬木上のトビナナフシ



去年・一昨年に比べると、今年はニホントビナナフシが少なかった。去年・一昨年は11月~12月上旬にかけて擬木でみかけるニホントビナナフシが急増し、ピークの頃には日に3桁ほど目にしていた。ちなみに去年のようす↓


これ↑はヤラセではなく、1本の擬木に数匹のニホントビナナフシがひしめくのは普通の光景だった。画像は皆♀。ニホントビナナフシは《九州以北ではおもに単為生殖》(『ナナフシのすべて』岡田正哉・著/トンボ出版/1999年)・《本州の個体は単為生殖を行う》(Wikipedia【ナナフシ】)といわれているが、こうした♀が大量に発生した中で、オスや雌雄モザイク、黄色い♀が見つかったりもした(*)。
晩秋にニホントビナナフシが目につくようになるのは、落葉とともに落ちてきた個体が擬木へ登ってくるためだろうと考えている。
今年は11月下旬になってもトビナナフシの数は予想していたほど増えず、ピークで2桁中盤に達するかどうかといった程度。これは落葉が遅れているためだろうと思っていた。12月に入って落葉が進めば3桁のメスが見られるようになって、(分母が増えることで)出現率の低いオスも確認できるだろうと期待していたのだが……ニホントビナナフシの数は増えるどころか減り始めた……。今年は雌雄モザイク個体には出会えたものの、オスを確認することはできなかった。

今年、擬木上のニホントビナナフシが期待したほど見られなかったのはナゼなのだろう? 落葉が進む前に一気に寒くなって、擬木遭難する以前に死んでしまった個体が多かったのだろうか?
ふり返ってみると、今年は擬木上にニホントビナナフシの頭部や脚など残骸を目にすることが多かった気もするが……鳥などによる捕食圧が強かったのだろうか?


あるいは感染症の流行でもあって数が減ったのだろうか? 11月には昆虫病原糸状菌に冒されたと思われるこんな光景も↓


それとも……昆虫は年によって発生数に格差があることも多いから、今年は発生数自体が少なかったのだろうか?
というより……今年が少なかったわけではなく、去年・一昨年が多かったのかもしれない。

擬木上の甲虫類

寒くなるとニホントビナナフシのような大きな(?)昆虫は少なくなってくるが、それでも擬木の上には小さい虫がけっこういたりする。


擬木の上を小型のアリのようなヘリグロチビコブカミキリが歩いていたので撮ってみると、小さなシャクトリムシも写っていた。元々小さな種類なのか若齢幼虫なのかわからないが……けっこう小さなイモムシ・毛虫のたぐいもいたりする。
とりあえずヘリグロチビコブカミキリにカメラを向けてみるが、じっとしていないのでなかなか思うように撮れない。






立ち止まるのを待ち続けるが、いっこうにその気配がない。擬木の側面を下り始め、接続部の隙間に入り込みそうだったので、落ちていた枯葉を拾って誘導。


すると動きをとめたので、撮影。例によってじっとしている時は触角が後方にたたまれる。








(※今回撮った画像から3枚を【冬の極小カミキリ登場】に追加)

擬木上の甲虫は、ヘリグロチビコブカミキリのような小さなものばかりではない。冬にも見られる大型の甲虫といえばコレ↓。


ウバタマムシは冬の昆虫というわけではないが、冬でもしばしば見られる。

らんかん上の冬尺蛾

冬の昆虫と言えばフユシャク(冬尺蛾)だが、チャバネフユエダシャク♀も欄干上で確認。




一方、クロスジフユエダシャクの時期はそろそろ終わりなのか、きょう(12/13)はオスが舞う姿も見られなかった。そのかわり、今シーズン初めてのイチモジフユナミシャクのメスを確認。例によって苔むしたサクラの幹の日陰側にとまっていた。イチモジフユナミシャク♀については擬木よりも苔むしたサクラの木を探した方が効率的に見つかる。




今回みつけた個体はあまりキレイではなかったが……羽化してあまり経っていないと思われる青・緑が強いイチモジフユナミシャク♀はなかなか美しい。
ということで、今シーズン確認したフユシャク♀はこれで4種。きょう(12/13)はウスバフユシャクのオスを確認したがメスはまだ見ていない。

ついでに今シーズン、オス・メスともに撮れたフユシャク画像を改めて。






オスはあまり代わり映えのしない普通の蛾だが、翅が退化したメスの姿はユニークだ。種類によって翅の退化の度合いにも格差があっておもしろい。
これから他の種類のフユシャクも出てくるだろう。


マエムキダマシ!?クロスジホソサジヨコバイは誰を騙すのか?



久しぶりにクロスジホソサジヨコバイを撮りにいってみた。
まずは、葉の裏にとまっていたこの姿↓をご覧あれ──、


パッと見、太く短い触角に黒い眼をした黒い脚の虫が左向きに止まっているように見える──これは葉の裏側にとまった昆虫を葉の裏側から撮影したもの。葉の透過光で逆光ぎみになると、黒い模様がクッキリ浮き上がって目立つ。
この虫がとまった葉を裏返し順光で撮ったものが↓。


【クロスジホソサジヨコバイ】という長い名前の昆虫。「(背中に)黒い筋がある細い匙のような頭をしたヨコバイ(横這い)の仲間(ホソサジヨコバイ亜科)」ということだろう。特徴を現しているという意味ではわかりやすいが……名前としては長くて覚えにくい。そこで(?)【マエムキダマシ】と呼ばれていたりもするらしい。ニックネームの由来は「前(頭)の向きを騙す虫」だろう。トリッキーな模様を持つ虫にふさわしい。
クロスジホソサジヨコバイはふつう葉の裏にとまっているので、通常目にするときは逆光となる。すると明るい色の(本当の)脚は葉にとけこんで目立たなくなり、逆に黒い模様が鮮明となる。その結果、本当の頭とは反対側に頭(眼や脚・触角)があるかのように見えるわけだ。




背中を走る黒い帯があたかも左右の上翅の会合部のように見える。この黒い帯をほどこすことで、この帯が途切れた(実際の)翅端に前胸・頭部があるように錯覚させる。本当の頭部には実際の翅の会合線から黒い帯が続いてきているので、こちらが翅端に見えるしかけだ。この頭部の黒い帯の中央にはわずかに隙間もようがほどこされていて、あたかも左右に開きそうな上翅先端を思わせる凝ったデザインになっている。


同じ個体がとまった葉を裏返して順光で撮ったもの↓。


この個体は背中の黒筋両脇に赤い模様が入っている。クロスジホソサジヨコバイには黒い筋の両脇の赤い模様が顕著なものとそうでないものがあって、このカラータイプの違いを僕は♂♀の違いだと思っていた(ネット上にはそうした情報もある)のだが……今回調べ直して見たら、そうではないらしい。ネット上には同タイプのペア・ショットがアップされていた。
この赤みがもっとハッキリ出ている個体がいないか探していると──近くのアラカシの葉の裏に更に小さな白っぽいヨコバイを発見。初めて見る種類だったが、マエムキダマシ的なデザインだったので驚いた。

シロヒメヨコバイのフェイク









もう少しキレイに撮りたかったのだが、小さくて難儀。すぐに飛び去ってしまったので少ししか撮れなかった。帰宅後しらべてみたところ【シロヒメヨコバイ】らしい。別の種類なのにクロスジホソサジヨコバイと似たフェイク模様を持っているのが興味深い。

フェイク模様の意味

クロスジホソサジヨコバイ(ホソサジヨコバイ亜科)にしろシロヒメヨコバイ(ヒメヨコバイ亜科)にしろ、よくできたフェイク模様に見える。亜科をまたがって同じような模様が実現しているということは、この模様には擬態としての機能がある──《生存率を高める効果》があって採用されてきたのだろうと考えたくなる。
《捕食者の注意をニセの頭側にそらす陽動効果》で逃げ延びるチャンスを増やしているという解釈だ。
全く離れたグループのチョウなどでも頭とは反対側に逆向きの目玉模様や触角もどきのデザインを施したものがある。


(※↑は【眼状紋と眼隠蔽模様】より)
では、頭とは反対側に逆向きのダミー頭があると、どういう利点があるのか?
昆虫の天敵である鳥は、昆虫が持つ大きな目玉模様を恐れ、小さな目玉模様を攻撃するという(ミールワームにペンキで目玉模様を記して鳥の反応を調べた人がいたとか)。
《大事な頭を守るために翅端のフェイク頭に天敵の攻撃をそらす》という意味もあるだろう。「背に腹はかえられない」的な? 実際、ウラナミアカシジミやアカシジミなどでは翅端の紋や尾状突起部分が欠けた個体をしばしば見かける。敵の攻撃を受けながら逃げ延びた個体なのだろう。

また、《攻撃そのものを外す効果》も期待できるだろう。
天敵が虫の頭部(眼)を狙って攻撃をしかけたとする。虫はその攻撃が届く前に飛び去ることができれば生き延びられる。
頭は体の先端にあり、通常昆虫は頭の方へ逃げようとする。頭があった位置を胸・腹と通過するまでにいくらかは時間がかかり、その間に天敵の攻撃が届けばアウト。しかし翅端にある逆向きのフェイク頭めがけて天敵が攻撃を仕掛けてくれば、頭や胸など体の主要な部分は既にターゲットの外にあるので翅端分だけのわずかな移動で攻撃をかわすことができる。
昆虫は前方方向に逃げることを見越した「頭より前方」をカバーするような捕獲術を天敵が獲得していたとしたら、想定外の「逆向きに逃げる」ことは効果的な対策に違いない。
そうしたことを考えると、昆虫が《翅端に逆向きのダミー頭(フェイク模様)を持つ意味》は納得できる。

マエムキダマシは誰を騙すのか



ただ……チョウのウラナミアカシジミが眼状紋を狙う鳥用対策にフェイク頭を持つのは、なんとなく想像でき納得もできるのだが……クロスジホソサジヨコバイやシロヒメヨコバイの場合は「どうなんだろう……」と思わないでもない。鳥が狙うには小さすぎる気がするのだ。
葉の裏に隠れている、こんな小さな虫の極小フェイク模様が鳥たちには、ちゃんと見えているのだろうか?


クロスジホソサジヨコバイやシロヒメヨコバイの想定天敵は鳥ではないのか?
だとすると、彼らのフェイクは誰を騙すためのものなのだろう?
ヤモリやカナヘビ・トカゲのたぐいが対象なのだろうか? これらの幼体ならサイズ的にエサになりそうだ。
それとも、捕食性の昆虫やクモが天敵なのだろうか?──サイズ的にみれば、鳥や爬虫類より、昆虫やクモがクロスジホソサジヨコバイやシロヒメヨコバイの天敵であると考える方がイメージしやすい。
で、あるとするなら──捕食性の昆虫やクモは、《狙った獲物の頭部をきちんと確認して攻撃している》ということになりはしないか。なぜなら、クロスジホソサジヨコバイやシロヒメヨコバイの天敵に《頭部を狙う》習性が無ければフェイク模様は必要ない──存在する意味が無いからだ。

これまで僕は、捕食性の昆虫やクモが獲物を捕らえるのは、動くもの・あるいはエサと認識したものに対する反応──くらいにしか思ってこなかった。しかし《頭部を認識して攻撃する》あるいは《獲物が頭部方向へ逃げることを折り込んだ攻撃をする》などといった想像以上に細かい判断をしているのかも知れない?

それとも──フェイク模様は偶然の産物にすぎず、たまたま《そうみえるだけ》なのだろうか?
しかし、偶然に現れた模様であるにしては、ちょっとできすぎている気がするし、偶然の産物なら、フェイクになりそこなった模様がもっとたくさんあってもよさそうな気もする。
あるいは、昆虫の模様には形成上(?)出現しやすいパターンがあって、異種間でも似た模様が出現する──その1つにすぎないということなのだろうか?

クロスジホソサジヨコバイやシロヒメヨコバイのフェイク模様を見て、いろいろ想像が展開した……。

ギボッチャーから、にわか葉メクリスト

クロスジホソサジヨコバイは2007年3月に偶然みつけて撮っていたが、それ以来ずっと見ていなかった。僕は擬木ウォッチングはするが、葉をめくって虫探しをすることはほとんどないので、目につく機会がなかったためだろう。しかし、葉メクリスト(葉の裏につく虫を撮っている人)のブログなどにしばしば登場しするので、「しばらく見ていない」という感覚は無かった。
クロスジホソサジヨコバイは見た目もキレイだし、晩秋から冬には常緑樹の葉の裏を探すと見つけやすいらしい。カメラを換えてからまだ撮っていないし、Yahoo!ブログではまだちゃんと取り上げていなかった昆虫でもあるので、撮りに行ってみよう──そう思い立ったのが、つい先日。
「擬木ウォッチャー」略して「ギボッチャー」(「黒い呪術師」アブドーラ・ザ・ブッチャーみたいな響きだが…)から、にわか「葉メリクスト」へ──変身!?

とりあえず、冬場の定番(?)ヤツデをめくって歩くが、スカ(ハズレ)が多い……。たまにチャタテムシかキジラミのようなハズレ感のある虫がいたりするが、目的のクロスジホソサジヨコバイがヒットするイメージが湧かない……。
少し前にキウイヒメヨコバイを見つけた時は、ビギナーズラックで最初にめくった葉の裏に、いきなりたくさん目的のヨコバイがヒットして驚いたが……一生懸命葉をめくってもスカが続くと空しい気分になってくる……。
《「自販機の下にはよくお金が落ちいてる」と聞いて自販機の下を一生懸命のぞいてみたけど、けっきょく何も見つからなかった……》みたいなわびしい気持ちになるのはナゼ?
これまで葉めくりをしてこなかったので、どんなところに虫が集まるのか、さっぱりイメージがつかめない。
カメラを向ける気になった虫と言えば、《金のX》がトレードマークのセモンジンガサハムシくらい。




この虫はサクラの葉の裏でよく見つかるが(葉をめくらずとも、下からのぞけばわかる)、今はサクラの葉はすっかり落ちて、アラカシの葉のうらに張りついていた。

闇雲に探しても手応えが得られないので、以前クロスジホソサジヨコバイを見つけた場所に行ってみることにした。そしてようやく目的の虫を見つけることができたのであった。


2007年に偶然見つけた時は陽当たりの良いアラカシ(たぶん?)の生け垣の葉の裏にいたのだが、今回はじめて見つけたのは、この生け垣の中にある落葉樹っぽい植物の葉だった。落葉が進むまでは吸汁しやすい(?)落葉植物に(も)ついているのかもしれない。後にこの木のまわりのアラカシ(?)の葉の裏でも次々に見つかる。




上の個体がついた葉をゆっくりめくって順光で撮った画像↓



なんとか目的のクロスジホソサジヨコバイ&オマケのシロヒメヨコバイを撮ることができて、ちょっと安堵。
しかし「葉メクリスト」としてのセンスの無さや経験値の低さを思い知ったのであった……。


冬の極小カミキリ登場

冬の極小カミキリ!?ヘリグロチビコブカミキリもでてきた





フユシャク(冬尺蛾)がすでに活動している12月。今シーズン初のヘリグロチビコブカミキリを見つけた。個人的には《冬の極小カミキリ》という印象。カミキリ屋さんのビーティングでは他の時期に他のカミキリなどと一緒に採集されているのだろうが……ルッキングのみの僕がこのカミキリを見るのは冬(これまで12月~3月の間しか見たことがない)──しかも寒い時期にもかかわらず元気で、いきなり飛翔したりする。他の時期にも目につきにくい場所で活動しているのかもしれないから《擬木や欄干の上で見られるようになるのは冬》──というのが正確なのかもしれない。それにしても冬に(も?)活動しているというのはカミキリとしては《意外性》があって(個人的な)ユニーク・ポイントが高い。
小さい昆虫は鮮明に撮るのが難しいのでスルーしがちなのだが……こうしたユニークな虫はスルーするわけにはいかない。苦手ながらカメラを向けるのだが……「やっぱり、小さいなぁ!」と改めて実感した。
見つけた時は欄干の上にじっとしていた。日向だったが、そのまま撮ると黒い体が影に溶け込んで輪郭がつぶれてしまう。そこで影を作って撮ってみたのがこれ↓。


赤っぽいのはカメラ(OLYMPUS STYLUS TG-2 Tough)の赤いボディの反射のせい。
これではイカンということで、枯葉に乗せてアルミホイル的なんちゃってレフ板で影を薄めて撮ってみたり↓


指に乗せて撮ると、とりあえず輪郭はわかりやすくなる↓




首(前胸)の左右に突き出した棘状の突起もなんとかわかる。上翅には小さな瘤が点在しているのだが、前胸背面にも一対の瘤のような丸いもりあがりがあるように見える。前胸背面の瘤をアップで撮ろうとしてみたが……小さすぎて難しい。


とにかく小さすぎる!──ということで、大きさが実感できるように1円硬貨にのせて撮ってみたり↓




この後、擬木の上で今シーズン2匹目のヘリグロチビコブカミキリをみつける。これは右の触角が欠けていたが、光線の加減で1匹目よりキレイにとれそうな状況。止まってくれさえすれば少しはマシな画像がとれるハズ──と待ち続けるがいっこうに立ち止まらない……。




NGを量産しているうちにカメラの電池切れ……。
8ヶ月半ぶりにヘリグロチビコブカミキリを撮ったが……やはり小さくて撮りづらいと改めて感じたのであった。


その後みつけたヘリグロチビコブカミキリの画像を追加

薄曇りの日に擬木の上でみつけた個体。ずっと歩き続けていたが枯葉の上に乗せてみたところ動きをとめたので撮影。






さらに2015年2月に撮影したた追加画像↓(冬にも飛翔する)








寒い冬に出現し、平気で飛ぶ姿は何度も見ているが……ならば、フユシャクのように天敵が少ない冬に繁殖活動をしていてもおかしくないのではないか……などと想像力をかきたてる《冬の極小カミキリ》なのであった。


ウバタマムシとフユシャク♀2種

相変わらずなウバタマムシとフユシャク♀2種

実感は薄いが……とりあえず12月に入った。相変わらず見られる昆虫もいれば、今シーズン初の昆虫も出てきた。大きな昆虫が少なくなってきた冬──ボリューム感があるのが、ときおり擬木上で日光浴しているウバタマムシ。






ウバタマムシはヤマトタマムシと形や大きさはよく似ているが、ヤマトタマムシが夏限定の虫というイメージなのに対し、ウバタマムシは季節にかかわらず出会う虫だ。過去に撮影した画像をふり返ってみたら、1月~12月まで、全ての月でウバタマムシの撮影記録があった。

「まだ頑張っている」感のあるのが、リジロヒゲナガゾウムシ。11月下旬には擬木の上で亡くなっていた個体があったが、12月に入っても健在な個体もいたということで。オスはメスにくらべて触角が大きく、ちょっとユニークなヒゲナガゾウムシだ。


12月のフユシャク♀

一方、冬が旬な昆虫と言えばフユシャク(冬尺蛾)だろう。11月下旬から出現していたクロスジフユエダシャク♀は12月に入ってもひきつづき見られる。フユシャクの仲間はオス(のルックス)が平凡なのに対し、メスは《蛾(成虫)なのに翅が退化している》というユニークなスタイルをしている。なので、ついメスを重点的に撮ってしまいがちだ。メスの翅の退化の度合いは種類によってかなり違う。クロスジフユエダシャク♀は退化した小さな翅がかわいらしくアクセサリーのようにも見える。


擬木上のクロスジフユエダシャク♀↑と欄干にいたクロスジフユエダシャク♀↓


クロスジフユエダシャクに続いて今シーズン2種目のフユシャク♀はクロオビフユナミシャクだった。今シーズン初のクロオビフユナミシャク♀↓


同日、少し離れたところにいた別個体。


クロオビフユナミシャク♀はクロスジフユエダシャク♀に比べると翅がだいぶ大きい。これでもオスに比べれば小さく、メスは飛ぶことができない。ちなみにオスはこんな姿↓。



昨シーズン初めて目にしたフユシャク♀は11月11日のチャバネフユエダシャクだったが、今年はまだオスしか見ていない。