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2014年06月の記事 (1/1)

怪虫シャッチー(シャチホコガ幼虫)イモコレ!2に!

これが怪虫シャッチー(シャチホコガ幼虫)だ!



怪獣ならぬ怪虫【シャッチー】──僕がそう呼んでひそかに推している「シャチホコガ(蛾)の幼虫」がフィギュア(ストラップ)となって商品化されていた!
上の画像はそのフィギュアを使って撮って(合成して)みたもの。
そのまま怪獣として使ってもなんら違和感の無いスゴいデザインのイモムシだ。
このフィギュアはガチャガチャ(カプセル自動販売機によるミニ玩具)のカプセルQミュージアム・イモコレ!2~イモムシストラップコレクション~に入っている。ラインナップはシャチホコガの他にクロアゲハ・キアゲハ・ヒロオビトンボエダシャク・セスジスズメ・オオクワガタの全6種類(いずれも幼虫)。

シャッチー・ファン待望のフィギュア化

今回のイモコレ!は第2弾。実は第1弾(ナミアゲハ・アオバセセリ・アサギマダラ・シンジュサン・クロメンガタスズメ・アケビコノハの6種類)が発売された当時、「なんで、シャッチー(シャチホコガ幼虫)が入ってないんだよ……」と不満を感じていた。ユニークさ・インパクトの点では抜群なイモムシなのに……特徴的な細長い胸脚やツインテールなどは造形的なハードルが高いのだろうか。造型コストの点などからフィギュア化は難しいのかもしれない……そう想像しガッカリしていたのだった。
そして第2弾の発売は知らずにいたのだが……先日【異形幼虫あらわる!】を投稿したあと、知人から「ガチャガチャでシャッチーのフィギュアが出ている」との朗報がもたらされ、にわかにテンションがあがった。あっぱれ!海洋堂!

さっそく近所の思い当たる場所を探しまわってみたが……カプセル自動販売機は置かれているものの「イモコレ!2」がなかなか見つからない……。子どもの頃、カブトムシやクワガタを探して雑木林を徘徊したときの記憶がよみがえった。樹液ポイントはみつかるもののお目当ての虫が来ていなかった時の気分に似ている……。
ボウズのままでは悔しいので、ちょっと脚を伸ばし、2駅離れた某ダイエーまで出かけてようやく「イモコレ!2」を発見することができた。そしてなんと1回目でいきなりお目当てのシャッチー(シャチホコガ幼虫)をゲット! 想定予算の最低額でクリアできたので、気分を良くしてもう一回やってみると出てきたのはクロアゲハ幼虫だった。









イモコレ!2のフィギュア↑に対して本物はこんな感じ↓。




本物に出会う機会は少ないがフィギュアならいつでも眺めることができる。キメポーズ(?)でじっとしているから、背景やアングル・構図を選んで自由に撮ることができるというのもフィギュアの良い点だ。本物は(フィギュアより)小さいし、動き回って撮影に非協力的なことが多く、なかなか希望のポーズを希望のアングルで撮らせてくれない。その点フィギュアは良いモデルだ。
イモコレ!2のフィギュアにはワイヤーが仕込まれていて、あるていど自由にポージングできるようだ。ただ、特徴的な長い胸脚にはワイヤーは入っておらず自由な角度に調整することができない。この脚を希望の角度に動かせたら──と思わないではないが、そこまで望むのは贅沢だろう。
ガチャガチャ(カプセルトイ)にこのクオリティーでシャッチーのフィギュアが登場したことが素晴らしい。
こんなに奇抜な姿をしているのに、これまでシャッチーに対する世間の注目度は意外に低かった……もうちょっと名が知れた虫であって良いのではないかといささか不満を感じていたが、今回のイモコレ!2登場をきっかけに巻き返し(?)を期待している。
「こんな《怪獣のようなスゴイ幼虫》がいる!」ということを、もっと多くの人に知ってもらいたい──と密かに願っているのは僕だけではあるまい!?


これを機会に一気にメジャーになれるか!? がんばれシャッチー!
ということで、もう一丁!(追記)↓




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異形幼虫あらわる!

異形幼虫バイバラシロシャチホコ!?

「異形」という言葉がふさわしい、なんとも奇抜な造型! よくこんなデザインが実現したものだと驚いたり感心したり……。






僕が怪虫【シャッチー】と呼んでいる「シャチホコガの幼虫」に似ているが、背中の突起の形状や腹端近くの黒い刺のあるフード状の節の形などが、ちょっと違う。






以前撮ったシャチホコガ幼虫↑に対し、今回みつけた異形幼虫↓。




以前【シロシャチホコ幼虫の再生脚】でネタにした「シロシャチホコ」にもよく似ている。模様の入り方を見ると、シロシャチホコに近い「バイバラシロシャチホコ」という蛾(の幼虫)っぽい気がするのだが……正確なところはわからない。
この異形幼虫のことを調べて「バイバラシロシャチホコ」という名前にいきついたとき……僕の頭の中ではこの虫のテーマ曲?が決まり、脳内自動再生されたのであった……。

バイバラ・バンバンバン! バイバラ・バンバンバン!
バイバラ・バンバン・バイバラ・バンバン! バイバラ・バンバンバン!
(※秘密戦隊ゴレンジャーを知らない人にはわからないネタ……)


ちなみに、「バイバラ」は台湾中部の地名「眉原(バイバラ)」に由来するとか。「和名は台湾亜種に名づけられた名を転用したもの」だそうだ。

ところで、シャチホコガ幼虫・シロシャチホコ幼虫・バイバラシロシャチホコ幼虫などの《シャッチー族》(と勝手に命名)を見るとフシギに感じるのが、この不自然に長い胸脚だ。イモムシ(蛾の幼虫)の胸脚は3対──これは成虫になったときの脚にあたる。シャッチー族ではこのうち中脚と後脚にあたる2対が発達して飛び抜けて長い。これはいったい、どうしてなのだろう?


這っているところを見ると、長い胸脚は移動に便利というわけでもなさそうだ。先端の構造(成虫の附節とはだいぶ違う)からすると、これで葉や枝をしっかりとらえて体を引き上げるという使い方は難しそうに思える。普通のイモムシと変わりない腹脚との連係を考えると、ストロークの著しく違う長い胸脚はかえってバランスが悪そうにも見えるのだが……胸脚だけがどうしてこんなに長くなってしまったのだろう?


幼虫のうちは抑制されていて成虫になったときに発動するはずの脚形成に関わるスイッチが早い段階で入ってしまい、幼虫時点で胸脚が成虫の脚のように形成されてしまったのだろうか?
では、胸脚のうち前脚だけが長くならなかったのはなぜだろう? 想像するに……食餌のさい、葉をおさえるには長い脚は不便だからではないか? トゲのような構造の胸脚では、左右で挟むようにして初めてつかんだものをしっかり保持できるはずで、口元で安定させるためには短い方が使い勝手が良いはずだ……また、歩く際にもグリップ力を維持するために最前列の前脚だけは短くなくてはならなかったのかもしれない?
胸脚のうち中脚と後脚にあたる部分は(はからずしも?)長くなってしまってもなんとかなったものの(?)、さすがに前脚部分まで長くなったものは不便きわまりなく淘汰されてしまったのではないか……?

シャチホコガの画像では長い脚を使った「威嚇ポーズ」を載せたが、静止している幼虫を刺激すると前脚をくわっと開く──これには体を大きく見せる・あるいは攻撃態勢を思わせる威嚇効果があるのではないかと考えている。
そういう意味では長い脚も役に立っているのかもしれないが、「威嚇ポーズ」をとるためにわざわざ脚が長くなったとも思えない。脚が長くなったことで、こうした防衛行動が生まれたのではないかという気がする。

この異形スタイルの意味を考えた時、思い浮かぶのがカシワマイマイの幼虫だ。ドクガの仲間には、毛の束が前後に伸びている毛虫がいる。このシルエットが《シャッチー族》に、ちょっと似ていなくもない。実際、僕もカシワマイマイ幼虫をシャチホコガ幼虫と見間違えたことがある。あるいは共通する意味が隠されているのかもし知れない。




もしかすると昆虫食の鳥などでは、こうした《突起物がつきだしたワーム》を敬遠するような傾向があるのだろうか?
鳥がこうした「形」を嫌うのであれば、胸脚であろうと毛の束であろうと、似たシルエットに見えれば生存率を高める効果はあるのかもしれない……。

例によってフシギな昆虫を見ていると、あれこれ想像(妄想)が広がってしまう。
シャチホコガ幼虫を初めて見た時──なんの予備知識も無かったので、この異形の生命体はとてつもなく気味悪い存在に感じられた。
しかし、このデザインはスゴすぎる……よくまぁ、こんなスタイルが実現したものだと感心するようになり、今では《シャッチー族》は、出会うとラッキー感のある存在になってしまった。


幼虫時代はこんなにユニークな姿をしている《シャッチー族》だが、成虫になると、地味な普通の蛾になってしまう。
「十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人」──なんていう言葉をがあるが、《シャッチー族》もおとなになると「ただの蛾」になってしまう……なんだか残念な気がするのは僕だけであろうか……。


ニイジマトラカミキリの《一手間くわえたデザイン感》他

ニイジマトラカミキリとキスジトラカミキリ







最近みかけた【ニイジマトラカミキリ】──このカミキリを見ると、【キスジトラカミキリ】のバージョンアップ型(?)のような印象を受ける。キスジトラカミキリは、このあたりでもよく見かけるカミキリだが、デザインのベースがこれを思わせる。キスジトラカミキリに「一手間くわえた」デザインがニイジマトラカミキリ……そんな風に感じてしまうのは僕だけだろうか?
ニイジマトラカミキリはキスジトラカミキリよりも出会う頻度は低い。そんなこともあって、キスジトラカミキリを「銀のエンゼル」とすればニイジマトラカミキリは「金のエンゼル」──そんなイメージがないでもない……。


【キスジトラカミキリ】と【ニイジマトラカミキリ】のデザインの関係は、カメムシの【ナガメ】と【ヒメナガメ】を連想させる。


漠然としたイメージなのだが……遺伝子を数式に例えるなら、デザイン形成に関わる項の係数がちょっと変わると、こんなふうなパータン変化が起こるのではないか……そんな気がする。
昆虫にはいろんな模様があるが、それぞれの系統で基本パターンみたいなものがあって、種類によってその変形バージョンが加わってバリエーションが広がる……そんなイメージ。
昆虫のデザインというのは、無限の可能性の中からランダムに生まれるものではなく、出現しやすい基本パターンやそのバリエーションみたいなものがあるのではないかと思う。だから、「他人(他虫)のそら似」が偶然に出現する確率は実はさほど低くはなく、その結果、例えば毒を持つ種に「たまたま似たことで生存率が高まる」ようなことが起こり、そうした種類が生き延びることでその特徴を顕著化させ「擬態」を獲得したのだろう……と素人の僕は想像している。
「擬態」について、酷似したデザインが「無限に存在するデザインの中から偶然の一致」で出現したとは信じがたい(確率的に低すぎる)、ゆえに擬態現象は「進化」だけでは説明できない……というようなことを言っていた人がいたが、植物にしろ動物にしろ、そのデザインは細胞がくり返し分裂する事によって形成される──その共通する形成方法で形作られる以上、発現しうるパターンには出現しやすいものとそうでないものがあるはずだ。「他人(他虫)のそら似」が意外に出現しやすかったのだとすれば、その結果「擬態」として機能し、その特徴を顕著化させる種類が多数存在することは、理屈としてはそう信じがたい話ではない。





ニイジマトラカミキリを見るとキスジトラカミキリと似ているなと感じ、ナガメ・ヒメナガメを連想して、昆虫のデザイン・バージョン変化について、あれこれ思い、そんなことを考えてしまうのであった(あくまでも素人の個人的想像)。

トラとチビ:2つのニイジマ天牛

僕が歩くコースでは【ニイジマトラカミキリ】の他に「ニイジマ」のつくカミキリがもう一種みられる。以前()も紹介した【ニイジマチビカミキリ】だ。その名の通り小さなカミキリ(体長:3.5~5mm)で普通に見られるものだが、模様がキレイなので、けっこう好きな昆虫だったりする。






【ニイジマチビカミキリ】と【ニイジマトラカミキリ】──この2つの「ニイジマ」とは何だろう? 最初に和名を知ったときは地名なのか人名なのか──何に由来してのことなのかわからなかった。
検索してみると、【ニイジマトラカミキリ】の「ニイジマ」は人の名前──「新島善直(にいじまよしなお)」という林学の学者に由来するらしい。【ニイジマチビカミキリ】についても同様の説明をしているブログがあったが……こちらの由来については情報量(ヒット数)がちょっと少ない気がする……。

これも人名由来? ガロアケシカミキリ

【ニイジマチビカミキリ】のついでに、これと間違えてしまいそうな極小カミキリ【ガロアケシカミキリ】を↓。






拡大してみるとずいぶん違うが、裸眼でみると上翅の後ろに紋がある【ニイジマチビカミキリ】っぽく見えてしまう。また、以前()【ニイジマチビカミキリ】と一緒に紹介した【ケシカミキリ】にも似ている。


ところで、この【ガロアケシカミキリ】の「ガロア」もどうやら人名っぽい?
「ガロア」でまず思い浮かぶのは【ガロアムシ】──この昆虫の名は、発見者で世界的な甲虫研究家でもあったフランス外交官ガロア氏(Edme Henri Gallois)にちなんだものだそうだ。確定情報はみつからなかったが、きっと【ガロアケシカミキリ】もこのガロア氏にちなんでいるのだろう。


ムツバセイボウふたたび

待機中のムツバセイボウ



前回()ムツバセイボウを観察した木材置き場で、ヤマトフタスジスズバチ(フタスジスズバチ)が飛んでいるのを確認。この蜂を宿主とするムツバセイボウがまた現れるのではないか──と注意してみると、やはりいた。
今回も狙いを定めたヤマトフタスジスズバチの巣の近くで待機するムツバセイボウを撮ることができた。
じつは他の場所でもムツバセイボウを見かけたことがあったのだが、この時はターゲットを探してせわしなく移動し続けていたので撮影することができなかった。
セイボウの撮影には、ターゲットを定め(その巣穴から)少し離れたところで待機している個体が適しているのかもしれない。












ムツバセイボウがチラッとのぞいただけで托卵せずにヤマトフタスジスズバチ(フタスジスズバチ)の巣穴(カミキリの脱出孔を利用)を離れたのは、まだ卵を産みつけるタイミングではないことを確認したためだろう。フタスジスズバチが我が子のためにたくわえるエサ(蛾の幼虫/これがムツバセイボウ幼虫の餌となる)の貯蔵量がまだ充分でなかったからかもしれないし、あるいは巣穴を塞ぐ前段階の《葉片を詰め込む作業》が始まるのを見きわめて卵を産みに入るのかもしれない(そのときに葉片を引っぱりだす?)。
ムツバセイボウはフタスジスズバチの巣穴から少し離れたところで待機しながらグルーミングを始めた。


寄生蜂にも寄生虫!?

宿主のヤマトフタスジスズバチ(フタスジスズバチ)が狩りや巣作りで忙しく働いている間に、のんびりと身繕い……と思いきや、撮影しているときは気づかなかったが、ムツバセイボウの体には小さなダニらしきものがいくつもついていた。これをおとすべく、脚を使って体をなでまわしたり翅をしごいていたのだろう。










このダニ(?)がムツバセイボウ(成虫)の外部寄生虫なのか、あるいは成虫にとりついて、巣穴へ入り込んで卵や幼虫に寄生するものなのか……そのあたりのことは判らないが、寄生蜂であるムツバセイボウも寄生虫には悩まされることがあるのか──と妙なところに感心した。
このあと、ムツバセイボウがどのタイミングで産卵しに入るのか~ヤマトフタスジスズバチの巣穴が塞がれるまで見届けたかったのだが……諸事情により現場を離れた。
今回撮影した画像の中で、不鮮明ながら「ムツバ(6個の刺状突起=六歯)」の写っていたものを↓。


セイボウ族は腹部第3節背板の後端に3~6個の刺状の突起をもつものが多く、ムツバセイボウはその名のとおり6歯を備えている。

翌日現場をのぞいてみると、ヤマトフタスジスズバチが作業中だった。


ムツバセイボウの姿はない。おそらくヤマトフタスジスズバチのスキをねらって産卵をすませて立ち去ったあとなのだろう。
フタスジスズバチの仕事っぷりを記録しようとカメラを向けたのだが……不用意に近づいてしまったため、母蜂に飛び去られてしまった。巣穴はすでに塞がれており、最後の仕上げをしていたところだったようだ。
普通ドロバチの仲間は、その名のとおり巣材に泥を使うが、ヤマトフタスジスズバチ(ドロバチ科)は葉片を使う。育室の間には葉片が詰め込まれ、仕切りは葉片を噛み砕いたものが使われるとか。最後の仕上げ──出入り口をふさぐさいにも噛み砕いた葉片が使われる。
塞がれた巣の中にヤマトフタスジスズバチが運んだ保存食(蛾の幼虫)とヤマトフタスジスズバチの卵、そしておそらくムツバセイボウが産みつけた卵が入っているのだろう。





※夏期のセイボウの発育は早くて、通常の全発育期間は15~20日ほどだそうだ。



アシナガオニゾウムシのぴっちり収納術

「あしながおじさん」ならぬ「手長おじさん」なゾウムシ!?





前脚が異様に長いゾウムシ!──この昆虫を初めて見た時(※【5月下旬の昆虫2014】)、その特徴に驚いた。その時点では名前も知らず、イメージとしてはテナガザルならぬ「テナガゾウムシ」、もしくは「ウマヅラテナガゾウムシ」(角度によっては顔が馬面に見える)が思い浮かんだ。帰宅後調べてみると、その特徴からすぐに和名が判明──【アシナガオニゾウムシ】。前脚がとても長いのはオスの特徴で、メスはさほどではないという。
僕が最初に見たのはオスだったが、その後メスも含め幾度か見ることができたので比較してみた。




前脚が長いのは成虫♂──ということは、「あしなが(足長)おじさん」ならぬ「手長おじさん」なゾウムシということになろうか。
なぜ「おじさん」──成虫♂だけが前脚を特に発達させたのだろう? ネット上の情報によると♂同士の争いでこの長い前脚が使われるらしい。♂だけ左右の眼が異様に離れたエゴヒゲナガゾウムシ(※【たそがれるハイエナ!?眼が離れすぎの虫】)では、♂が顔を突き合わせて眼の離れ具合を競っているように見えたことがあったが、アシナガオニゾウムシの♂も前脚の離れ具合(見せかけの体の大きさの優劣→勢力の優劣)を競うような習性があって、この特徴を進化させてきたのだろうか?
アシナガオニゾウムシ♂同士の争うようすを観察してみたいものだが、残念ながらこれまでまだその機会に恵まれていない。

ビックリ!ぴっちり馬づら収納術

アシナガオニゾウムシ♂の前脚の長さは、この昆虫の顕著な特徴だが、撮影しているうちに、他にも実にユニークな特徴があることに気がついた。
ゾウムシといえば長い口吻が特徴だが、この目立つ突起構造物を隠してしまう収納スペースを胸の下側に隠し持っていたのだ。




この胸の下の凹みに「耳の短いウマ顔」をピッチリはまり込むように収納できるつくりになっている。《収納モード》になると、この収納スペースに触角を格納し顔でフタをするのだが──これが実にみごとなのだ。


収納モードに入るとしばらく死んだフリをしているが、やがて顔フタ・ハッチが開き収納していた触角が現れる。






指にとまったアシナガオニゾウムシが収納モードを解除するようす↓。




このみごとな「ぴっちり収納」は何のためだろう?
とびだした触角や口吻を隠すことで、鳥等の天敵から見つかりにくくなるというような利点でもあるのだろうか? あるいはアリ等の攻撃から触角や首を守り、そうした敵をシャットアウトするための機構なのだろうか?
いずれにしても、これだけピッタリはまり込む完璧収納感はここち良い──よくできたつくりだと感心した。





インナーが美しいムツボシタマムシ

ムツボシタマムシの隠された美しさ

ムツボシタマムシ(かその仲間?)が欄干に止まっていたので撮ってみた。このときは数枚撮影できたが、タマムシの仲間はカメラを向けると(人の気配を)敏感に察知してすぐに飛び去ってしまいがち──撮れないことも多い。


ヤマトタマムシに比べると地味だが、くぼんだ六星(ムツボシ)紋には光沢があって、角度によって見え方が変わる──いわゆるタマムシ色をしている。↑画像も手前の紋は金色に見えるが奥の紋は緑色に見えている。


ひときわ大きな眼が印象的。それだけ視力も発達しているのだろう。人影を察知しすぐに飛び去るのも納得できる。


和名の「六星」にもしぶい輝きがある……が、ムツボシタマムシには、もっと鮮やかな部位がある。


腹端がホタルのように?輝いて見えるが、これは上翅に隠された腹の背面の色。後胸~腹節背面はとても美しい輝きを放つ。今回もテイクオフ・シーンでそれをおさえたかったのだが、素早く飛び去ったため撮れなかった。
ということで去年撮った、(片翅故障のため?)うまく飛び立てないムツボシタマムシ画像を↓。


上翅の下にこんな鮮やかな輝きが隠されていたとは──最初に見たときは、「こんなに美しい部位を持ちながら、地味な上翅でおおい隠しているなんて、なんと、もったいないことか!」──などと思ってしまった。
そして改めてフシギに感じた。本来「目立つ」部分は見やすいところにあってこそ意味があるはず。わざわざ目立たぬ場所に最も目立つ部位があるというのは、いったいどういうことなのだろう?

ムツボシタマムシは、なぜインナーが美しいのか?

タマムシの仲間はとても眼が大きい(ものが多い?)──視力が発達しているということなのだろう。これが例えばトンボのように動き回る獲物を狩る昆虫であったなら眼が発達しているのも理解できる。しかし動かない餌を食う植物食のタマムシの眼がこれだけ大きいというのはなんだか意外だ。にもかかわらず眼がこれだけ発達したということには何か理由があるはずだ。
また、タマムシの特徴としては、美しい金属光沢(を持つものが多い)が思い浮かぶが、《眼が大きい(視力が発達している)》ことと《金属光沢(構造色)をもつ》という2つの特徴──これには何か関連があるのではないだろうか?

例によって「頭の体操」をしてみる。
タマムシ類は優れた視覚を頼りに仲間(繁殖相手)を見つけていたのだとする。輝く構造色は目印として有効なはずだ──輝く姿は遠くからでも見つけやすい。そして、その輝きをより遠くからでも見つけられるように視力がさらに発達し眼が大きくなった……そんな風に考えることはできないだろうか。

ヤマトタマムシではその輝きが鳥(昆虫の天敵)から身を守る効果をもたらしているという説もあるそうだが……目立つことで天敵から狙われやすくなるということも起こりうるだろう。

実は一見地味に見える種類も多いタマムシ類だが……かつては多くが金属光沢を持っていたとする。特に小さく個体数が多いタマムシ類は昆虫食の鳥とでくわす機会も多かったろうから、鳥たちに《輝きによるハッタリ》を見破られるリスクも多かったに違いない。鳥の多くが《輝きによるハッタリ》で敬遠しがちだったとしても、その一部がひとたび口にし「食べても問題ない」と学習すれば目立つ構造色はかえって標的となってしまうはずた。

そこでタマムシ類の多くが、鳥たちに目立たぬようにアウターを《地味化》させていった……というシナリオはどうだろう?
発達した眼を持つタマムシ同士には仲間が見えるが、鳥には見えにくい程度に《輝き度》を下げる──こうした方向で進化があったのではないか?
タマムシ類は一見地味なものも多いが、よく見ると鈍い光沢を放っているものも少なからずいる。人間や天敵の鳥には「地味」に映りながら、タマムシの大きな眼にはその光沢がしっかり見えているのではないか?

タマムシ類は視力を向上させることによって《輝き度》を下げ《地味化》を実現してきた──これが、タマムシ類の《眼が大きく発達》した理由であり、(一部で)《アウターが地味になっていった》理由ではないか……などとイメージが展開した。

ムツボシタマムシの六星紋もよく見ると光沢があって、角度によって色合いを変える。この紋は凹んでいるところも面白いが、この凹みだって輝いて見える反射角度を増やすための構造だろう。
体全体が光ると天敵に捕捉されやすいので一見地味なアウターを装い、(ボディラインが判らない)紋のにぶい輝きによって仲間には存在をアピールしている……ということではないかと考えてみたのだが……。

もちろんこれはド素人の想像。ムツボシタマムシのを見て「なんでアウター(外装)よりインナー(後胸~腹節背面)の方が美しい(目立つ)んだろう?」という疑問から脳内展開した思考シミュレーション──「頭の体操」に過ぎない。

昆虫の光沢はミステリアス

「タマムシ」というと鮮やかな光沢を放つ【ヤマトタマムシ】が思い浮かぶが、しぶい味わいの種類や中間的なものもいる。


ヤマトタマムシとウバタマムシの特徴をあわせたような【アオマダラタマムシ】↓。


光沢のある昆虫を見ると、「その美しさは何のため?」と思わずにいられないが、よくわからないものも多い。ムツボシタマムシの隠されたメタリックな青緑色で思い起こされるのが先日も紹介したセイボウだ。セイボウがなぜあれほどキレイなのかもよくわからないでいる。


※↑托卵の機会をうかがうムツバセイボウより


ダンゴムシは悲しんだ~どんぐり雑感

ダンゴムシは悲しんだ!?



こどもの頃よく拾ったドングリ。中には虫くい穴があいたものも落ちている……ドングリ・ネタの記事を書こうと思いたち、カメラを向けたところ……その穴の中でうごめくものが!?


穴からのぞく体の一部はダンゴムシのようだ。しかしダンゴムシがこの穴をあけて中に入ったとは思えない。この穴はおそらくドングリに寄生するシギゾウムシの脱出孔だろう。


このようすを見たとき頭に浮かんだのが──《山椒魚は悲しんだ。》で始まる井伏鱒二の短編小説『山椒魚』(さんしょううお)だった。棲家(すみか)の岩屋の中で生活しているうちに体が成長し、頭がつかえて外へ出られなくなってしまったサンショウウオの話。
穴の中でうごめくダンゴムシも、小さな頃に虫食い孔からドングリの中に潜入し、そのまま成長して出られなくなってしまったのだろうか!?
ボトルシップ状態のダンゴムシ!?


そんなマンガのようなコトが実際に起こるものなのだろうか?
実は2枚目の画像を撮った後、僕は1度その場を後にした。しかし、その後も「『山椒魚』のようなダンゴムシ」のことが気になり、翌日もう一度たしかめに行ってみた。そして撮影したのが3枚目の画像である。
ダンゴムシはまだドングリの中にいた。動いているので生きているのは間違いない。
他にダンゴムシが出入りできる経路がないか調べてみたが、ドングリに他の出入り口は無い。やはりダンゴムシはこの穴から入ったのだろう。

さて、どうしたものか。
完成したボトルシップを壊すような「もったいなさ(?)」を感じないでもなかったが……《岩屋に閉じ込められた哀れな山椒魚》のようなダンゴムシを救出すべく、殻を割って状況を確かめてみることにした。
何か解体用の道具を持参すればよかったのだが、何も無かったので指先で慎重に殻を割って剥がす……と、果たしてダンゴムシが現れた。


あらわになったダンゴムシは想像していたよりも小さかった。それが予想に反して何匹か這い出してきた。
出てきたサイズのダンゴムシが、山椒魚のように穴をくぐれないほどに成長していたかどうかは判らない。殻を割った時に穴を壊してしまったので、大きさを比較することはできなかったのだ。
ということで、マンガのような《山椒魚現象》が本当にあったのかどうか……真偽のほどはサダカではないのである……。

ドングリの思ひで



ドングリには子ども心をひきつけずにはおかない魅力があるのだろうか。僕も子どもの頃、ドングリ拾いに夢中になったことがあった。
掌にはいる大きさといい、スッキリしたデザイン・フォルムといい、スベスベの表面、中にはベレー帽を思わせるもの(殻斗)を被っているものもあるフシギな物体。人が造型したものではない、未知なるものの意図を感じさせる創造物!?──それが雑木林の地面に無造作に散在している……そんな「フシギ」を見つけ出し、ゲットすることが宝探しのように感じられた。

踏まれて割れたり発芽しているものもあるし、虫食い孔のあいたものも落ちている。なので「完品」のドングリを吟味して拾い集め、ポケットにしこたま貯め込んだ。
拾ってきた宝物は帰宅後、机の引き出しの中にしまい込む──そんなことをくり返していた。
そんなある日、何気なくポケットに手を突っ込むと、指先に「ぷにょん」と触れるものがあった。柔らかく冷たい異物だった。そんな感触のモノを入れた覚えは無い。「はて、何だろう?」思い当たるものが浮かばぬまま、その「ぷにょん」をつまんで引っ張り出してみると──小さなウジのような幼虫だった!
ポケットの中に突然湧いたウジ虫(?)に身の毛がよだった。いったいなんで!? どうしてこんなものが!?
ポケットに入れていたドングリに穴が開いていることに気づき、ドングリからでてきた虫だということは想像できたが……それで嫌悪感が払拭されるものでもない。
帰宅後ドングリをしまっておいた引き出しをあけてみると、はたして穴のあいたドングリがある!
ドングリをかき分けると、引き出しの底にはいくつもの干涸びたウジ虫(?)のミイラが見つかった。

宝物をしまっておいた大事な引き出しに、薄気味悪いウジ虫(?)が湧いたこと。そして宝物として集めた──「完品」だったはずの、よりすぐりドングリが傷物になってしまったことに大きなショックを受けた。
夢中になって集めた大事な宝物が急に色あせ、おぞましいモノに変貌してしまったのだ……。

虫のミイラはもとより、その発生源となったドングリもすべて捨てた。
しかし、無傷を確かめて集めたはずのドングリの中にどうやって虫が入ったのか……当時は見当もつかず、「おぞましく怪しげな謎の虫」として心に残った。

この「おぞましく怪しげな謎の虫」の正体が判明したのは、それから30年以上経ってからのことだった。今はなきニフティの昆虫フォーラムで、ドングリからでてきた虫がシギゾウムシ(の仲間)の幼虫であることを知った。ドングリの内部を食って成長した幼虫がドングリの殻を食い破って外へ出、土に潜って越冬後サナギになるのだとか。成虫は虫見でも馴染みの顔で、どことなくユーモラスでおもしろい姿をしている。




(※この個体↑はオス/メスはもっと口吻が長い)
コナラシギゾウムシの場合、産卵はドングリがまだ若いうちに行なわれるため、産卵痕はドングリの成長とともに塞がれるのだとか。僕が子どもの頃に無傷だと思って拾ったドングリにもすでに虫は入っていたのだ。
ちなみに、ハイイロチョッキリもドングリに産卵する。こちらはベレー帽(殻斗)の部分に孔をあけて産卵し、その痕を塞ぐそうだ(産卵痕は残る)。
「そういうわけだったのか……」とわかってみれば合点がいく。謎が解け、正体がユーモラスな虫の幼虫だと判ってしまえば何のことはない。30年越しで「おぞましさ」は解消したのだった。

ふり返ってみれば、ドングリに湧いた幼虫への嫌悪は「未知なるものへの不気味さ」に由来するところが大きかった。何者なのか、なぜ・どこから湧いたのか──素性が判らぬことで不安が拡大したようにも思える。
昆虫や爬虫類は好きな人も多いが嫌悪を示す人も多い。生き物に対する理解の差が好き嫌いを分けるケースも多いのではないだろうか。正体が判らなければ理解不能な異形だが、知識を持ってながめれば、その形態や生態もむしろ興味の対象となりうる。

《語源》と《誤源》/どんぐり Don't cry.

ところで、「ドングリ」の語源について、僕は「鈍栗」だと思い込んでいた。「どんくさい栗」で「鈍栗」……あるいは「栗」に比べれば価値が低いということで「駄栗」(「駄」=価値の低いもの)が訛ったものかも知れない……漠然とそんなイメージでとらえていた。
しかし【どんぐり】は漢字で記すと「鈍栗」ではなく「団栗」──これは当て字だそうだが、どうせ当て字なら「鈍栗」の方がよかったのに……と思うのは僕だけであろうか?
由来について検索してみると、コマの古名「ツムグリ」(「ツム」は「回転する」/「クリ」は「石」の意味とか)が転じたものとか、朝鮮語の「トングル」(「円い」の意味)、日本語の「トグロ」(「円い輪」の意味)などが語源だという説があるらしい。
諸説あるようだが……語源については何が本当なのかわからない。が……一般的に「どんぐり」という言葉で思い浮かぶのは「鈍栗」「駄栗」のイメージではないだろうか? 言葉の響きから、そんなイメージで広がっているのではないかと想像する。「ツムグリ」「トングル」「トグロ」なんて言葉思い浮かべる人はむしろ少ないのではないか。

由緒正しい本来の《語源》と《広まった解釈》は同じとは限らない──いってみれば《語源》ならぬ《誤源》で浸透している言葉だってきっと多いに違いない。
昆虫の【アメンボ】なども《語源》は「飴の坊(飴ん坊)」だという。アメンボが臭腺から発するニオイが飴に似ていることからこう呼ばれることになったらしいが……アメンボのニオイなど嗅いだことがない人が大多数だろう。
僕はこの虫が水面に広げる波紋をみで「雨が降り始めたのか?」と思うことがしばしばあって、てっきり「雨ん坊」が語源だろうと思っていた。同じように感じた人もきっと多いはず──少なくともアメンボのニオイを知っている人よりは、だんぜん多いと思う。

さらに余談だが、今は死後となった「話がピーマン」「頭がピーマン」というセリフ──「中身が無い」という意味で一時期よく使われていた流行語だったが、この「ピーマン」は「野菜のピーマン(中身がカラッポ)」に由来すると当時よく解説されていて、その解釈で世間に広まったことは間違いない。だが真相は、僕は友人のあだ名「プチコンマン→Pマン」が語源だったのではないかと僕は考えている(※【昔流行った「ピーマン」語源/震源地は僕ら?】)。

などと、話は迷走するが……それでは「どんぐり」の語源(誤源?)として、こんなのはどうだろう?
「どんぐり→Don't cry.説」……こうなると、もうダジャレ?

ところで、「どんぐり」という言葉は、広義の童謡『どんぐりころころ』で浸透し、このイメージで親しまれてきた部分も大きいような気がする。短い作品だしパブリックドメインということで、その全編を紹介してみると──、

『どんぐりころころ』作詞・青木存義/作曲・梁田貞

  どんぐりころころ ドンブリコ
  お池にはまって さあ大変
  どじょうが出て来て 今日は
  坊ちゃん一緒に 遊びましょう

  どんぐりころころ よろこんで
  しばらく一緒に 遊んだが
  やっぱりお山が 恋しいと
  泣いてはどじょうを 困らせた


『どんぐりころころ』の結末は「泣いてはどじょうを 困らせた」──それで、「どんぐり…Don't cry.」
つまり、作詞者は「どんぐり」の語源「Don't cry」説をふまえた上でこの作品を書いたのである──というのは、もちろんジョークである。


ダンゴムシやシギゾウムシのことも取り上げたので、書庫(カテゴリー)を【昆虫など】にすべきかどうか迷ったが、《ダンゴムシは悲しんだ~Don't cry.》という、とりとめもないどんぐり雑感なので【エッセイ・雑記】に入れておくことにした。

レッドV:ヒメハサミツノカメムシ

トレードマークはレッドV:ヒメハサミツノカメムシ♂



腹端の赤いハサミのような突起が印象的なヒメハサミツノカメムシ♂。ハサミツノカメムシ♂にも同じような突起があるが、ヒメハサミツノカメムシ♂の突起ががV字に開いているのに対しハサミツノカメムシ♂の突起は平行だそうだ。ヒメハサミツノカメムシもハサミツノカメムシも♀にはこの突起がない。


オスのハサミの役割りは?



この立派なハサミ状突起の役割りは何だろう? ヒメハサミツノカメムシ♂の突起の先端はブラシのような構造になっている。表面積を広くとっているということは感覚器官? あるいはフェロモンを拡散するための器官なのだろうか?
ネット上にはヒメハサミツノカメムシ♂やセカアツノカメムシ♂のハサミは交尾のさいに♀を挟む(逃がさないように)のに用いられるという情報もあるが……僕が何度か見た交尾シーンではハサミ状突起が使われているようには見えなかった。






そもそも、この器官は「はさむ」という動きができる構造なのだろうか?

ちなみにこちら↓はセアカツノカメムシの交尾。


【追記】交尾でハサミは使われない?

交尾中のハサミツノカメムシ・ペアとセアカツノカメムシ・ペアがいたので撮ってみた。両種とも交尾の際に「♂が腹端のハサミで♀をはさむ」行動は確認できなかった。



















【ハサミツノカメムシの交尾】も【セアカツノカメムシの交尾】も、このシーンを見る限り、やはり♂のハサミは運動器官ではなさそうな気がする……。

【ハサミツノカメムシの交尾】も【セアカツノカメムシの交尾】も、このシーンを見る限り、やはり♂のハサミは運動器官ではなさそうな気がする……。


托卵の機会をうかがうムツバセイボウ

托卵の機会をうかがうムツバセイボウ



5月末、緑地の片隅に積まれていた木材でムツバセイボウに出会った。
こうした木材置き場にはカミキリやタマムシの仲間がいることがあるので、その姿をさがしていたところ、突然メタリックな輝きをはなつ緑色の蜂が目に飛び込んできた。
英名で【jewel wasps】(宝石蜂)と呼ばれるセイボウの仲間であることはすぐ判った。
セイボウの仲間は、カッコウ(鳥)がオオヨシキリの巣に托卵するように、カリバチなどの巣に侵入して卵を産みつける(イラガセイボウはイラガの繭に孔をあけて産卵)。他人(他鳥)の巣で孵ったカッコウがオオヨシキリの親が運ぶエサを食って育つように、孵化したセイボウの幼虫は、カリバチが我が子のために貯えたエサを食って育つ──そうした《労働寄生》の生態から英名では【cuckoo-wasps】(カッコウ蜂)とも呼ばれるそうだ(※セイボウには宿主の幼虫のみを食う《捕食寄生》の種もいるとか)。

そのセイボウが、なぜ木材置き場に来ていたのか?
木材にはカミキリなどがあけた穴があちこちに開いている。その穴を利用してカリバチが営巣しているようで、その巣を狙ってセイボウもやってきたのだろう。
じっさいにこの木材置き場では狩ってきた幼虫を抱えて飛ぶカリバチの姿もあった。

木材を物色するセイボウを見たとき、それがムツバセイボウで、木材の虫食い孔を利用して営巣するヤマトフタスジスズバチの巣を探しているのだろうと直感した。というのは、その少し前にまあささんのブログ記事で、ムツバセイボウが木材の虫食い孔にもぐり、葉片を引っ張り出すようすが紹介されているのを見ていたからだ。
はたして僕の目の前でも、ムツバセイボウが木材の穴にもぐりこんで葉片を引き出す行動が展開された。「ははぁ、これだったのか」と納得。ムツバセイボウの宿主であるヤマトフタスジスズバチは営巣するさいに育室の間を葉片で仕切るという。ムツバセイボウは、その仕切り(葉片)をとりのぞいていたのだろう。木材の下を見ると、ムツバセイボウが捨てたと見られる葉片が散乱していた。






このときは、カメラを警戒してかムツバセイボウは葉の廃棄作業の途中で飛び去ってしまった。ちなみにこの日はロクな画像が撮れなかった……(ムツバセイボウの動きが速すぎ……)。


後日、同じ場所へ行ってみると問題の虫食い孔は塞がれていた。ヤマトフタスジスズバチは営巣の仕上げに入り口を塞ぐらしいが、ムツバセイボウに寄生されても(気づかずに?)に営巣作業は最終行程まで続けられるのだろうか。


いずれにしてもムツバセイボウが産卵を終えていたのだとすると、もうここへは戻ってこないかもしれない……そう思っていたところ、近くの木材を物色するムツバセイボウを発見!


撮り始めて気がついたのだが、ムツバセイボウが止まった枝の先には穴が開いている──サビカミキリの脱出孔だろうか……ここに出入りするヤマトフタスジスズバチの姿も見られた。








ヤマトフタスジスズバチが飛び去った後にムツバセイボウがその孔にもぐる姿も見られた。このときは、あっという間に入ってすぐに出てきてしまったので、その瞬間は撮れなかった。すぐに出てきたのは、ヤマトフタスジスズバチが貯め込んだエサの貯蔵量がまだ不充分だったからかもしれない。エサの搬入待ちなのか、巣穴から少し離れた「定位置」にもどり、まったりと?グルーミングを始めたので、この日はその姿を撮ることができた。


「ムツバ」の由来である腹端の「六歯」も確認したかったのだが……今回撮影できた画像ではちょっと判りづらい。よ~く見ると右側に3つ「歯」があるようにも見えるが……(その下の黒っぽいのは「歯」ではなく腹の末端)。


グルーミング中は、ふだん見えない腹の背面がのぞくこともある。




この後、ムツバセイボウは、搬入待ちの間に他の産卵場所を探すためか、飛び去って見えなくなった。
翌日、問題の木材を確かめてみると、ムツバセイボウが狙いをつけていた巣穴──ヤマトフタスジスズバチが出入りしていた穴は塞がれていた。他にも周囲の虫食い孔に塞がれたものがいくつか見つかった。これらの何割がムツバセイボウの寄生を受けているのだろう。




実はこの日もムツバセイボウが木材を物色する姿が見られたのだが、動きがあわただしく、虫食い穴に反応しても一瞬のぞいただけでスルー(空き家だったのだろう)。一時もじっとしておらず、そのまま飛び去ったので撮影はできなかった。

※【追記】撮影した画像を整理していたら、ピントが甘い画像の中に、ムツバセイボウの特徴を示す腹部末端の突起(歯)がかろうじて写っているものがあった。ということで、不鮮明ながら追加画像↓。


ムツバセイボウはその名の通り「六歯」──6歯を備えているのだが、左半分に3歯(つまり左右あわせて6歯)あるのが、なんとかわかる。
『月刊むし』472号(2010年6月号)/(有)むし社・刊によれば、日本に生息するセイボウは38種だそうで、腹部末端の突起(歯)の数や形状も種類を見分けるポイントの1つ。
ちなみに、昨年【宝石蜂(jewel wasps)セイボウ】で撮影したミドリセイボウは5歯、クロバネセイボウは4歯、2009年にアップした【メタリックに輝く虹色のハチ】のツマアカセイボウは4歯。イラガセイボウ(イラガイツツバセイボウ)は5歯である。

木材に来ていた他の昆虫





カミキリの脱出孔はよく見かけるが、こうした穴を利用して営巣するカリバチや、さらにそこへやってくるセイボウがいるとは……自然は無駄無く有効活用されているものだなぁ……と実感した。


極小カミキリ/ニイジマチビカミキリとケシカミキリ

ニイジマチビカミキリ

【ニイジマチビカミキリ】は珍しい昆虫ではないのだろうけど、ほどこされている模様が意外に(?)味があって美しい。ただ、小さい(体長:3.5~5mm)ので、野外で普通に目にし(肉眼で)その模様を鑑賞する機会はなかなかないのではないか。
ということで、撮影して拡大したわかりやすい画像で記録しておきたいと思ったのだが……前回(5月下旬の昆虫2014)は、満足のいく画像が撮れなかった……。
もう少し鮮明な画像を……と再チャレンジしてきたので新たな画像を。今回は東京都側・埼玉県側の3カ所で撮影。いずれもクワの細い枯れ枝にとまっていた。


















ケシカミキリ

ニイジマチビカミキリと同じ枯れ枝にいた極小カミキリ。「ここにもニイジマチビカミキリがいたか」と撮影してみると……どうも、ちょっと違うような?
ニイジマチビカミキリも小さいが、このカミキリも小さい……。撮影したカミキリが何なのか僕には見当がつかなかった。






この個体の模様↑だと、ちょっとニイジマチビカミキリのパターンに似ているようにも見える。色々検索してクリチビカミキリに似ているとも思ったのだが……ニイジマチビカミキリもクリチビカミキリも前胸側面に突起はないそうだ。しかし今回撮影した2匹には前胸側面に突起がある。


知人のカミキリ屋さんに画像をみてもらったところ【ケシカミキリ】だろうとのこと。再度検索してみて納得したしだい。カミキリ屋さんに感謝。
一字違いの【ヒシカミキリ】(前回はこれを裸眼でニイジマカミキリと見間違えた)も小さい(3~5.1mm)が、【ケシカミキリ】も体長:2.3~4.2mmと、かなり小さい。ケシにつくカミキリというわけではなく、食樹は各種広葉樹やマツ科だそうだ。和名の「ケシ」は「小さい」ことを意味する「けしつぶ(芥子粒)」に由来するのだろう。


ラミーカミキリ@狭山丘陵埼玉側



極小カミキリを撮影した日、狭山丘陵の埼玉県側で初めてラミーカミキリを見たので、とりあえず記録として。ムクゲの周りで複数飛び回っていた。以前もしばしば通ったことのある場所だが、これまではラミーカミキリを見たことはなかった。やはり最近進出してきたのだろう。