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2014年04月の記事 (1/1)

ど根性ぬけがら~シラケトラの唄など

GWの【ど根性ぬけがら】

ゴールデンウィークに入りミズキの花も咲き始めた狭山丘陵。緑も力強くなり昆虫たちも顔ぶれが増えてきた。
そんな中、「去年のセミの抜殻」がまだ残っている。ということで、【ど根性さなぎ】に続く《ど根性シリーズ》第2弾!──【ど根性ぬけがら】。






セミの抜殻を「さなぎ」だと思っている人もいるが、セミは蛹を経ない不完全変態なので、羽化する前の姿は「幼虫」ということになる。この抜殻はけっこう長く残っていたりもするのだが、それに気づかない人も多い。以前、冬にセミの抜殻を見つけてその頃に羽化したものと思い込んで驚いていた人がいたが(【寒椿とセミの抜け殻~冬と夏のコラボ!?】)、この抜殻は冬どころかゴールデンウィークまで持ちこたえたのだから、あっぱれだ。今年は2月に2度も記録的な大雪が降り、折れた木も多かった……そんな中、今も残っているセミの抜殻に敬意を表し(?)【ど根性ぬけがら】の称号(?)を与えやう(※同抜け殻が7月に入ってもまだ残っていたので画像を追記/更に9月の画像を追記。この抜け殻は結局2014年9月中旬まで残っていた)。ちなみに虫見コースにはもう1つある。


いつまで持ちこたえるのかわからないが……2世代コラボなんてこともあるかも知れない!? 頑張れど根性ぬけがら! 負けるなど根性ぬけがら!!

【昭和の日】の昆虫

この日──4月29日は【昭和の日】。昭和に活躍した人は多いが、小松政夫もその1人だろう。この日、シラケトラカミキリを目にし、ふと小松政夫のギャグを思い出した。
実は毎年、この時期にシラケトラカミキリが出てくると、小松政夫を連想する。トラカミキリの仲間はよく飛ぶが、シラケトラカミキリもカメラを向けると飛び去って行くことが少なくない。
そんな時、頭の中に小松政夫の歌声が響く──「し~らけとら 飛~んでい~く 南のそ~ら~へ みじめ みじめ……」。昭和53年頃に流行った『しらけ鳥音頭』(コントで場が白けたときに小松政夫が歌い出す)の替え歌なのだが……。そして今ではシラケトラカミキリの背中の模様までもが小松政夫の顔に見えてしまうのであった……。


【シラケトラカミキリ】の「シラケ」は体の表面に生えた「白(い)毛」に由来するのだろうが、この字面を見て頭に浮かぶのは、「しらける」の「しらけ」の方だろう(……と感じるのは僕だけ?)。

カナ表記から本来の意味がわかりにくい標準和名つながりで【アオバナガクチキムシ】──字だけ見ると「青鼻蛾口黄虫」?




本来の漢字表記は「青翅長朽木虫」──緑色に輝く翅鞘に由来するナガクチキムシ科の昆虫という意味なのだろう。しばしば見かけるキレイな虫だが動きが早く、うまく撮れないことが多い。この日はめずらしくおとなしめだったのだが……角度によって輝きぐあいが変化するメタリックグリーンの美しさがなかなか再現できない……。

そしてこの日も見かけた【ヨツボシヒラタシデムシ】。柵の上で食餌中だったので、邪魔しちゃ申し訳ないと思い、ちょこっと撮ってすぐにその場を離れた。


【ヨツボシヒラタシデムシ】は前回(切られた触角の謎)・前々回(オスがメスの触角を噛むヨツボシヒラタシデムシの交尾)と「触角ネタ」で交尾のシーンをずいぶん撮っていたので今回は2枚しか撮っていなかったのだが……帰宅後パソコンの画面で見ると触角が片方しか写っていない!?
前回「予想」した「オスによる触角の切断」なのだろうか? 左触角が本当に欠けているのか、もう少しちゃんと確認しておけば良かった。



【ハグロケバエ】は、このところフラフラたよりない飛び方で舞っているのをよく見かける。この日はすれ違った家族連れが「また飛んでる!」「うわっ、ここにもにいる!」と舞い飛ぶケバエ成虫たちをキモがっていた。そんな声を聞きながら心の中で頭を振った《ケバエの成虫がキモイって? のんのんのん(と心の中で人差し指をふる)この虫のキモさの真骨頂は、なんといっても幼虫時代の大集団だろう。あの光景を見ずしてキモがるようでは……こんな家族には、ぜひケバエ幼虫の群れる光景を見せてあげたいものだ!》──なんて思ってしまうのは僕だけであろうか?
ケバエ幼虫のキモさ(※謎の幼虫大群:ケバエ参照)を体験した者は、あまりの衝撃にその驚きを他の人にも知らしめショックを分かち合うことで安心感を得ようとする──そんな心理を【ケバエ症候群】と呼ぶ──なんてのは僕のでまかせ話であるが。

昭和の日は他にもいくつか撮ったが、意外に虫は少なめで、後半雨が降り出した。そんな中、この日最後に撮ったのは僕が肩甲骨カミキリと呼んでいる【ハイイロヤハズカミキリ】。ポツポツと降り始めた雨脚が強くなりだした時に擬木の上にいた。雨粒にぬれて動き出したところで、とりあえず雨があたらないところに移動して指にとまらせて撮影。





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切られた触角の謎~《ひげ噛み行動》考

デオキノコムシの切れた?触角



この画像↑は4月上旬に撮った虫。とりあえずキレイだったので撮影してみたのだが、その時点で名前は判らなかった。帰宅後調べてみると、どうやら【ヤマトデオキノコムシ】っぽい。図鑑や検索した画像と見比べて「たぶんこれだろう」と思ったのだが……気になったのが触角──僕が撮影した虫の触角はきわめて短い。しかし、図鑑や検索画像で確認した【ヤマトデオキノコムシ】の触角は、もっと長い。虫見をしていると、触角の片方が短かったり欠けている昆虫を目にすることもしばしばある。だから「たまたま触角を損傷したヤマトデオキノコムシ個体」なのだろうと判断したのだが……触角が2本とも切れた個体というのが、何だか気にかかった。触角の片方が欠けた個体が珍しくないのだから、両方欠けた個体が存在するのは確率的な問題で不思議ではない。ただ、長くはないだろう昆虫の(甲虫類・成虫の)生涯において、触角を両方失う事態というのはどんなものだろう?……スッキリしないものが漠然と残っていた。

そして先日、同種とおぼしき昆虫に出会った。例によって撮影する前に飛び去られ「いま撮ろうと思ったのに飛ぶんだものなぁ、もう」(西田敏行の「今やろうと思ったのに言うんだものなぁ、もう」/風呂用洗剤CM風に)状態で画像は無いのだが……このとき見た個体には図鑑や検索画像で確認した触角が片方だけついていた。もう一方の触角は前回みた個体同様、途中で切れていた。
やはり前回見たのは「触角が両方とも切れた【ヤマトデオキノコムシ】」で良かったのだろう──そう納得する一方、「この虫は触角が切れやすいのだろうか?」とあらためて疑問に思った。
どうして触角がやすやすと切れるのだろう?
触角が欠損しても生活に困らないのだろうか?
ならば触角は何のためについているのか?
切れた触角に関する疑問が次々に浮かぶ。そして──、
《自然に偶発的な事故で「切れた」のではなく、積極的に「切られた」のではなかろうか?》──ふとそんな思いがふってわいた。「切られた」のだとすると、「切った」犯人は誰か?
昆虫を狙う天敵が本体を食わずに触角だけ食べるとは考えにくいから、同種間の争いが原因か?
♂同士の争いで欠損するようなことはあるかもしれない? あるいは……。
そこで脳裏に浮かんだのがマイミク・オコック氏が以前記していた日記──ヒラタシデムシは交尾のさいに《♂が♀の触角をくわえてコントロールする》という内容だった。彼はその日記で「時にはアンテナが欠損した♀も見る」とも記していた。

ヒラタシデムシの仲間は交尾で触角をくわえる

交尾の際に、抵抗する♀をコントロールするために触角を抑えてしまうというのはなるほど合理的だ──オコック氏の日記を読んだ時そう感じた。抗う♀を制御するのは大変そうだが、まずつかみやすい触角をくわえ♀との距離を固定してしまえば、そこからマウント体勢に移行するのはたやすくなるはずだ(「距離の固定」→「角度の固定」という手順)。
オコック氏は本州に生息するオオヒラタシデムシでも同様の行動が普通に見られると記していた。検索してみると、なるほどオオヒラタシデムシやクロボシヒラタシデムシ、ヨツボシヒラタシデムシの《オスがメスの触角をくわえて交尾する》画像がヒットした。この行動はヒラタシデムシ亜科の多くでみられる行動だそうだ。
そういわれてみると、シデムシの仲間の触角は先端部分が太く「つかみやすい構造」になっている……ようにも見える。例えて言えば野球のバットのグリップエンド──スンイグした時に遠心力でバットが手からすり抜けてしまわないようにバットの根元は太くなっている──あの部分に似ている。シデムシの触角もバットのグリップエンドのような「すっぽぬけない構造」として(も)機能しているのではなかろうか?

ヒラタシデムシの仲間は交尾のさいに触角を物理的に利用する──このことに意外性と必然性を感じて「触角にそんな用途があったか」と驚き感心した。
昆虫の触角は「感覚器官」という認識でいたが、ある種の昆虫たちにとっては《♀の触角は交尾の成功率を高めるための補助器官》としての役割りも果たしている──ということなのだろう。

触角が交尾の道具であるなら…

オコック氏はその日記で触角を欠損した♀にも言及していたが、検索した記事にも触角が欠けたオオヒラタシデムシの画像があって、やはり「交尾の際に切れてしまったのではないか」と考えるブロガーさんがいることを知った。
また、以前@niftyの昆虫フォーラムで交流があった忠武っ子氏のシデムシの世界に次のような記述があることを改めて知った。

6. ヒラタシデムシ類は交尾のとき、「ひげ噛み行動」を見せる。
ヒラタシデムシ類の多くの種は、交尾の際オスがメスの片方の触角を強く噛んで引っ張る行動をします。触角が噛み切られてしまうこともかなりの割合で起こります。このように一見交尾相手のメスに不利になるような行動が、なぜ進化し得たのか大きな謎です。


「触角をくわえて引っ張る」という交尾行動の結果、♀の触角が切れてしまうなんてことが起こるのか……オコック氏の日記を読んだ当時はそんなふうに解釈し納得していたのだが……触角が欠けたヤマトデオキノコムシを見て疑問に思ったことをきっかけに想像が展開した。
(ちなみに、両方とも触角が欠けていたヤマトデオキノコムシだが、和名に「キノコムシ」とついているが、キノコムシの仲間──オオキノコムシ科・ヒキノコムシ科・ツツキノコムシ科──よりもハネカクシやシデムシに近いらしい。デオキノコムシの触角も先端が太くなっている)

ある種の昆虫にとって《♀の触角は交尾の成功率を高めるための補助器官》であったとするなら──、
《♂は交尾後に♀の触角をそのまま噛みちぎってしまえば、次の♂の交尾を阻む事ができるのではないか》
つまり♀の触角の欠損は「交尾の際に強くひっぱられて【切れてしまった】」というより「交尾した♂に【切られてしまった】」のではないか──そんな見方もできるのではないかと考えたわけである。

昆虫の♂は(も)、自分の遺伝子を残すために同種の♂と競争する。交尾後も♀に他の♂が近づかないようガードしているものもいる。
《自分が交尾した♀をガードし続け、他♂が交尾をすることを阻む♂》の遺伝子が、そうでない♂の遺伝子より勝ち残りやすいことは想像できる。その結果、《他の♂との交尾を妨害する》傾向は進化の中で強化されがちだろう。
だとすれば、交尾後♀の触角を噛み切ってしまう事は、交尾後♀をガードし続けるのと同様の効果が期待できる有効な手段ではないだろうか。交尾後1匹の♀をずっとガードするよりも、触角を噛みちぎって(他の♂と交尾しにくいようにして)、次々と他の♀と交尾した方が効率的に自分の遺伝子を残せる──そんな利点も考えられる。

《触角を噛み切られた♀は、♂のマウント率が低くなるのではないか》──そう想像したわけだが……改めてヒラタシデムシの交尾について検査してみたところ、こんなサイトが見つかった。

種間で異なる触角噛みの役割
日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨

この講演要旨には、ヒラタシデムシ亜科のいくつかの種で「触角を切除した♀」(と無処理♀)に対する♂の配偶行動の比較実験をおこなったことが記されている。その結果──《触角を噛めないと交尾を始められない種がいることが分った》そうである。
これはつまり、《触角を噛み切られた♀は交尾できなくなる》ということだろう。
こうした種にとって、《他♂との交尾を阻むために、交尾後♀の触角を噛み切る》ことは♂にとって有効な戦略と言えるのではないか?

ヨツボシヒラタシデムシの交尾

《♀の触角は交尾の成功率を高めるための補助器官》というイメージが当っているのかどうか、ヒラタシデムシ亜科の交尾を実際に確かめてみたくなった。
そしてヨツボシヒラタシデムシでそのようすを観察することができたので前記事(*)に記した。




ヨツボシヒラタシデムシの♂が♀の触角を噛むのは交尾のプロセスの一環であろうことは実感できた。この行動によって♀の触角が切れてしまう事も充分あり得そうだ。そして触角が切れた♀では《交尾のプロセス》が成立し得なくなる、あるいは《交尾》が成立し難くなるということも起こりうるだろうと改めて感じることができた。

あくまでも思考シミュレーション【オスによる触角切り(予想)】

実際にヤマトデオキノコムシが交尾の際に触角を利用するのかはわからない(検索した画像では交尾中触角はくわえられていなかった)。なので、ヤマトデオキノコムシが「♀の触角を【切る】」習性を持っているのかどうかもわからない(というより怪しい)。
ヒラタシデムシの仲間が交尾の際に♀の触角を物理的に利用している(らしい)ことはわかったが、他の♂との交尾をさせないために【切る】という行動を積極的に行なっているのかどうかについては定かではない。

たまたま両方の触角が切れたヤマトデオキノコムシを目にしたことがきっかけで想像が飛躍し、ヒラタシデムシ類の行動を知って、こうした可能性について思い至った──というハナシである。

《ある種の昆虫にとって、♀の触角が交尾の成功率を高めるための補助器官であったとするなら、♂は交尾後♀の触角を噛み切ることで(♀が自分以外の♂と交尾するのを阻害し)、自分の遺伝子を残そうとする》

そんな行動があってもおかしくないのではないか(有効なはずだ)──と考えた、という脳内シミュレーション。
《こうした行動をとる昆虫がいてもおかしくはないだろう》《そんな昆虫が世界のどこかにいるのではないか》と想像してみたしだい。
この【予想】に該当する例が、はたして存在するのか否か……僕は(まだ)知らない。


オスがメスの触角を噛むヨツボシヒラタシデムシの交尾

ヨツボシヒラタシデムシ



画像右は撮影中プチ飛翔した後で、また下翅がのぞいている状態。

先日、ふとある着想(*)にとらわれ、ヒラタシデムシ亜科の《オスがメスの触角を噛んで交尾する》ようすを確かめてみたくなった。
この仲間ではオオヒラタシデムシが最もよく見かける種類なのだが今年は単体でいるのを1度みたきりで、まだ「飽きるほど見られる時期」ではないらしい。ヨツボシヒラタシデムシは4月下旬頃から何度か見かけるようになっていたので、うまくすれば問題の交尾のシーンが確かめられるかもしれない……そんな期待を抱いてペアを探してみた。
シデムシは「死出虫」の名の通り動物の死骸に集まるもの(死肉食)が多い(死骸を埋めてしまう種類もおり「埋葬虫」とも記される)。
食しているモノがモノだけにエンガチョ感があって、一般民間人の僕は、糞虫とシデムシには触れないようにしていたのだが……ヨツボシヒラタシデムシは蛾の幼虫などを補食すると知り、じっさいその補食シーンを目にして「エンガチョ感」は解除された(で、大きさがわかるように指にとまらせて撮ってみたしだい)。


今年みかけたヨツボシヒラタシデムシは、いずれも擬木の上にいた。この時期、木から落ちた蛾の幼虫が食植物と間違えて擬木を登り、葉のある「上」を目指すが行き止って遭難している姿をよく目にするが、こうした遭難幼虫を擬木上で待ち受けて食っているようだ。
警戒するとカメのように頭をひっこめるのがおもしろい。先端にボリュームのあるユニークな触角もかくしてしまう。








ヨツボシヒラタシデムシの交尾

なんとかペアをみつけて《触角を噛んでいるところ》を確認したいところだが……単体はみつかるもののペアがなかなか見つからない……。
この日も擬木の上で蛾の幼虫を食っていたヨツボシヒラタシデムシを見つけたが単体だったため、ちょっとガッカリ。気をとり直して歩き出すと20~30m先の擬木の上に2匹目のヨツボシヒラタシデムシがいた。1匹目に比べ翅鞘からのぞく腹端が長かったのでこれが♂ではないかと思った。もしこれが♂で、つい今しがたスルーしたのが♀だったとすると、一緒にしたら交尾行動が観察できるのではないか……自信は無かったが、とりあえず試してみる事に。
2匹目をプチ容器に入れて1匹目のそばに放してみた(プチ容器内にほこりがあったのか、移動した個体の背中が汚れていることに後で気づいた……)。
期待を込めて注目するが……1匹目(この後に♀と判明)は食餌を続け、2匹目(この後に♂と判明)は警戒して頭を隠しカメの子状態……2匹は互いに無反応。




そう都合良くはいかないか……と半ばあきらめつつしばし眺めていると、1匹目(♀)が食餌を終え、触角を繕い始めた頃、2匹目(♂)が突然相手の存在に気づいたようで、あっという間にその背中飛び乗った。すぐさまその様子を撮影。1匹目(♀)は激しく体を揺すって2匹目(♂)を振り落とそうとするが離れない。




事前のイメージでは、まず♂が♀の触角をつかみ(くわえ)、抗う♀との距離を固定した上で、これを支点に体を重ねるのだろうと想像していたのだが、♂は意外にあっさり♀の背後をとった。肉眼ではどの時点で♀の触角をくわえたのか判らなかったが、撮影した画像を見ると♂は♀の背に乗った時点ですでに触角を噛んでいる。
背に乗ってから触角をつかんだのか、触角をつかんでから背に乗ったのか──どちらが先かは確認できなかったが、早い時期に(交尾が行なわれる前に)♂は♀の触角を噛んでいた。


♂が♀の背に乗って触角をキープした状態から交尾に至るまでは少し時間がかかった。この間断続的に♀は♂を振り落とそうと体を揺すって抵抗するが♂は♀の触角噛んだまま6本の脚でしがみついて離れない。


♀の触角を確保することが交尾の前段階プロセスのようだ。


触角を引かれた♀がヘッドアップした頃に交尾体勢が完成したようだった。
♂の触角が後方に寝たのをみてニホントビナナフシの交尾を思い出した。あのときもふだん前を向いている♂の触角が後方に倒れているシーンがあった。
じつはここでデジカメの電池切れ。とりあえず交尾が成立するまでを見届け、確認したかったヒラタシデムシ亜科の《オスがメスの触角を噛んで交尾する》状況も観察できたことに満足してその場を離れた。
交尾後も♂は♀をガードし続けるのか、激しく引っ張られていた♀の触角が切れてしまうようなことが起こるのか──その後の興味も無いではなかったが……。
ということで、翌日ふたたび現場をおとずれてみた。






♂も♀も離れてはいたものの同じ擬木にいた。ヒラタシデムシの仲間では触角が噛み切られることがあるそうだが、今回交尾を確認した♀の触角は(現時点では?)無事だった。


背中に【T】:TokyoToraカミキリ@東京

背中の【T】はトレードマーク:Tokyo Tora カミキリ



【トウキョウトラカミキリ】の《錨(いかり)模様》といわれる特徴的な模様を見ると「Tokyo Tora カミキリ」の頭文字=【T】を図案化したように見えてしまう。名前に「東京」がつく昆虫は意外に少ないのではないかと思うが……なおかつ頭文字【T】がきちんと(?)デザインされた虫は他にいないのではないだろうか?
分布は本州とされているようだが、「東京」とついているのだから、《東京産のトウキョウトラカミキリ》が「由緒正しい」感じがしないでもない。
トウキョウトラカミキリ──愛称で呼ぶなら「東京のトラさん」……ということで連想するのが、渥美清が演じた《フーテンの寅さん》。トウキョウトラカミキリにも《フーテン(2点)の紋》がついている。ゆえに【フーテンの寅カミキリ】──と密かに呼んでいるのは僕だけであろうか?


今年は4月に入ってから見かけるようになったトウキョウトラカミキリ。この春も何匹か見かけ、既に【キカイダーテントウ!?ほか】の中で画像をアップしているが、もようがキレイな個体を撮ったのであらためて載せてみたしだい。
特徴であるT字模様(錨型模様)のできばえ(明瞭さ)は個体によって差があるようだ。大きい個体の方が模様がクッキリ鮮明なことが多い気がする。




小さい個体は大きい個体に比べて模様がちょっと不鮮明になりがち?「イカリ・マーク(T字模様)」が翅鞘外縁の模様とつながっていることがある。




※【追記】その後みつけたやや大きめの個体の画像を追加↓






最近見かけたカミキリほか

4月も中旬になって、カミキリなど、見られる昆虫の種類も増えてきた。ということで、最近撮ったものから。


【ゴマフカミキリ】しばらくヘリグロチビコブカミキリやヨツボシチビヒラタカミキリなどを見てきたので、体長10~16mmというゴマフカミキリがでかく感じられた。ズングリした体型なので体長以上にボリュームを感じる。カミキリというと木を枯らす害虫のイメージでとらえられがちだが、ゴマフカミキリが食べるのは枯れ木だけだとか。枯れ木の分解に一役買って森林の健全化に貢献しているカミキリも多いのではなかろうか。



【ヒトオビアラゲカミキリ】ミズキの枯れ枝にいた。2匹いたがカメラを近づけると小さい方(♂?)が離れて行った。画像は大きい方なので、たぶん?♀。ミズキに花が咲くと色々なカミキリが集まってくるのだが、まだ開花していなかった。



【ヒナルリハナカミキリ】これもミズキの枯れ枝にいたのだが、動き回ってちゃんと撮れない……。クワハムシとよく間違えがちなハムシのようなカミキリ……と感じるのは僕だけであろうか?



【ヒメスギカミキリ】(汚れてはいるが)白いガードレールの上で黒っぽい虫を撮ろうとするとピントが合わない……。





【ヨツボシチビヒラタカミキリ】は何度もアップしているが(【小枝片的コブスジサビカキリほか早春の昆虫】の中でも触れている)……虫見コースのあちこちでポツリポツリと出会う。



カミキリではないが……【アオマダラタマムシ】もあらわれた。ヤマトタマムシ?ウバタマムシに比べると小振りだが、キレイなタマムシ。





シリジロヒゲナガゾウムシ】の♂が出ていた。ユニークなヘラ状の触角が♂では特に発達していて目を引く。尻が白っぽく見えることが「シリジロ」の由来なのだろうが、同じように尻が白い虫に「オジロアシナガゾウムシ」なんてのもいて「尻白…尾白……どっちだっけ?」と、ちょっとまぎらわしい。「カオジロヒゲナガゾウムシ」なんてのもいる。


ホソオチョウ2014春@東京

ホソオチョウとアカボシゴマダラ・オオムラサキ

いつくかのブログでホソオチョウの話題が上がっていたので、こちらでも発生していないか去年みつけた東京都側の発生場所に行ってみた(*)。食草のウマノスズクサを含めまだ草の背丈は低い。これまで何度か見たホソオチョウの発生現場では白っぽいオスが飛んでいるのがまず目につくという感じだったが、今日は見当たらず。
今年は発生していないのか、あるいは時期が早いのか──と思いながら、しばらく眺めていると、メスが飛んできた。最初のメスは見失ってしまったが2度目に見つけたメス(最初に見た個体と同じかもしれない)が降りたところを撮ることができた。きょう確認したホソオチョウはこれだけだったが、とりあえず、今年も同じ場所で発生していることは確認できた。


ホソオチョウはもともと日本には生息していなかった要注意外来生物。同じように要注意外来生物に指定されているチョウにアカボシゴマダラがいる(*)が、これも今日、春モード(5齢)に変身した幼虫を確認。




ホソオチョウもアカボシゴマダラも僕が狭山丘陵で見るようになったのはここ何年か。アカボシゴマダラは初めて見てからあっという間に増えて市街地でも緑地でも広い範囲で普通に見られるようになってしまった。それに対し、ホソオチョウの発生地は限定的な2カ所しか知らない(もう1カ所は埼玉県側)。

特に去年はじめて確認した東京都側の発生ポイント(今日見たところ)はとても狭い。去年はその狭いエリアで複数のオスが舞っていた。他では見たことが無いことから《ホソオチョウは密度が高いところに集まる》習性があるのだろうか……などと感じている。
ちょっと考えると、一カ所に集まってしまうと天敵に目立って見つかりやすくなるとか、その発生ポイントが何らかの理由で消失すれば損失も大きいなど、デメリットがありそうな気がする。
アカボシゴマダラはこれとは対照的に拡散することで生息域を広げたのではないかと想像する。

《密度が高いところに集まる》ことはデメリットが多そうな気がする一方、交尾のチャンスは増えそうだから、繁殖行動という点からすれば有効なのかもしれない。そして幼虫の食草がウマノスズクサ(毒性物質を含む)であることを考えると、同じウマノスズクサを食草とするジャコウアゲハが(食べた葉から摂取した毒を体内に蓄積することで)捕食者から敬遠されるように、ホソオチョウも食草の毒をたくわえ鳥等から避けられているのかもしれない?(個人的な想像)。
ジャコウアゲハを補食した捕食者は中毒を起こし吐き出し、次からジャコウアゲハを襲わなくなるというが、「毒を持つ虫」であることを「学習」によって捕食者に植え付けるのであれば、その虫は散発的に出現しているより密度が高い方が効果はずっと高いはずだ。
ホソオチョウが《密度が高いところに集まる》のには、そんな理由があるからではないのか……そんなことを考えた。

外来種であるホソオチョウが帰化することで同じウマノスズクサを食草とするジャコウアゲハへの影響を心配する向きもある。
この構図はアカボシゴマダラでも同じで、食植物(エノキ)が重なるゴマダラチョウやオオムラサキとの競合が危惧されているらしい。

そのオオムラサキだが、今日は数匹の幼虫が柵上で「遭難」していた。


毎年今頃になると、エノキの近くの柵や擬木に間違って上がってきてしまう幼虫(*)に出くわすものだが、一度に数匹観たのは初めて。手すりの近くには伐採後の切り株があって、もしかするとこれがオオムラサキ幼虫たちの食植物で、幼虫達が落ち葉の中で越冬している間に切られ、春になって帰るべき木がなくなってしまったことで、手すりにあがってきたのかもしれない。




オオムラサキにとって脅威なのはアカボシゴマダラより、食植物を伐採したり越冬場所になる落ち葉を片付けてしまう人間ではないか……と思った。


キアイを入れれば猫のスーパーマン!?な蛾

なんちゃってカミキリ

春に出てくるカミキリを撮ろうと思っていたのだが……それっぽいのを見つけて、キアイを隠しながらそーっと近づきカメラを向けると「なんちゃってカミキリ」だった……ということがあったりする。






カミキリ!?と、思って撮ったら…ジョウカイボン……。いと悲し。
ヒナルリハナ(カミキリ)……思って撮ったら……クワハムシ……。いと悲し。too。

ジョウカイボンに「ハズレ感」があるのは見る側に勝手な「カミキリ期待」があるためだ。クワハムシだって充分キレイだし、ガッカリするなんて失礼なハナシなのだが……。
街頭で知人の姿を見つけ「よう!久しぶり」と肩を叩いたら他人のそら似だった──みたいな気まずさにも似た肩すかし感がある。
「なんちゃってモノ」を引きあててしまうと……ハラホロヒレハレ感にみまわれ、頭の中に「ゴ~ン」と鐘の音が響くのであった。

キアイを入れればネコ顔のスーパーマン!?

「なんちゃって○○」は視覚的な錯誤──いわゆる「空目」。
意図せずに「見えしまう」空目もあれば、「キアイを込めてみれば、そこにないはずの別の姿が見えてくる!」──というたぐいのものもある。
ということで、やや難易度が高い──「キアイ」を要する「空目」の例をば。
先月(3月)に撮って種類がわからぬまま放置していた蛾の画像なのだが……これが「ネコのスーパーマン」に見える(……かもしれない?)。







※追記:市川さんのコメントで「アトジロエダシャク」と教えていただきました。ありがとうございます。

ちなみに、僕は「空目」ネタで「キアイ」と多用しているが、この由来は『鳥頭紀行ジャングル編』(西原理恵子+勝谷誠彦/角川文庫)の台湾編にある。本来取材した現地の写真が折り込まれる企画なのだが、サイバラ氏は預かっていた台湾の写真を紛失したそうで……写真は最後に掲載された1枚のみ。そのキャプションが「※この写真はベトナムのものですが、みなさんがキアイを入れさえすれば台湾にみえるハズです」──これに大ウケしてしまったことがあって、以来、空目ネタでは「キアイ」を使っているのであった。

※キアイを入れれば見える!?シリーズ→視覚のダジャレ【空目】

キカイダーテントウ!?ほか

1970年代に人気を博した変身ヒーロー『人造人間キカイダー』──左右で色が違うデザインは当時斬新だった。これがリメークされ5月に劇場公開されるらしい。そのキカイダーを思わせるテントウムシが!?


左右で色が違う、キカイダーのようなナミテントウに驚いた。
ナミテントウは個体によって色やデザインにバリエーションがある。


なので左右で色違いの個体を見た瞬間は《左右で色違いの雌雄モザイク》が頭に浮かんだ。1つの個体の中にオスとメスの特徴が混在する《雌雄モザイク》は昆虫の世界ではしばしば見られる(僕もニホントビナナフシの雌雄モザイクを見たことがある)。

しかし、キカイダーテントウをよく見ると、ゴールドに見える左上翅(と小盾板)は基本バリエーションの色ではない。本来であれば右上翅と同じオレンジ色になるべきところが、何らかの理由(故障?)で、片側だけ正常な色にならなかった……ということのようだ。

クロフヒゲナガゾウムシ

『人造人間キカイダー』をネタつながりで……変身ヒーローといえば怪人──ということでキアイを入れれば怪人顔に見える(かもしれない)、クロフヒゲナガゾウムシを再掲載。


(※人面虫・奇面虫より)
そして先日、キカイダーテントウを見た日に撮ったクロフヒゲナガゾウムシ↓。




クロフヒゲナガゾウムシもデザインが面白いのでいろんな角度から撮ってみたい昆虫なのだが……たまに見つけてもすぐ飛び去ってしまうので、なかなか思うように撮らせてもらえない……。

あとは、最近撮った昆虫の中から……。

ツノクモゾウムシ







4~5mmほどの小さなゾウムシだが、裸眼で見た時はゾウムシには見えなかった。丸く盛り上がった前胸がハエの胸っぽく見え、動きも小さなすばやいハエのように感じた。また、ちょっと反り返ったように見えるフォルムはヒシバッタのような小さなバッタにも見えた。
カメラを向けモニターで拡大した口吻を見て、やっとゾウムシだと気がついた。撮影した画像を見ると眼が大きい。眼の大きさからクロフヒゲナガゾウムシやシリジロヒゲナガゾウムシを連想したが、口吻や触角の感じからするとヒゲナガゾウムシ(科)ではなくゾウムシ(科)っぽい……ということで帰宅後調べて【ツノクモゾウムシ】に行き当たった。♂は前胸腹面にツノのような一対の突起があるというので、これは♀だろう。

トウキョウトラカミキリ





この春みた3匹目のトウキョウトラカミキリ。他のトラカミキリはまだ見ていない。狭山丘陵のトラカミキリの中では一番早く目につく種類という印象(個人的目視モードで)。

ヨツボシチビヒラタカミキリ



前回に続いてヨツボシチビヒラタカミキリ。この春一番多く見かけているカミキリ(個人的目視モード)。小さな個体ではヨツボシ(四星)の紋がほとんど消失しているものもある。




ファウストハマキチョッキリ



偶然遭遇した知人のカミキリ屋さんがカエデですくったキレイな昆虫(の割にあまりキレイに撮れなかった)。僕がこの虫を見たのは2度目。やはり偶然遭遇した確認済飛行物体のnoriさんに名前を教えてもらった。オトシブミのように揺らんを作るらしい(これが「葉巻」の由来?)ので、チャンスがあったらキレイに撮ってみたい。

小枝片的コブスジサビカキリほか早春の昆虫

まるで小枝片・コブスジサビカキリ













数年ぶりに出会ったコブスジサビカミキリ。体長5~9mmほどのこの昆虫を初めて見たのも4月だったので、(個人的には)なんとなく春のカミキリ的なイメージがある。活動期間はもっと長いのだろうが、虫屋でない僕はビーティングをしないので(活動期に)枝やツタについている状態のものを見つけるのは難しい。春先に(比較的目立つ)擬木の上にいる個体を見つけるのがやっと……ということなのかもしれない。
もっとクリアな画像が撮りたかったのだが……例によって飛び去ってしまった……。

早春のカミキリ・ヨツボシチビヒラタカミキリ











東京では(正式な?)報告例が少ないという話もあるが、この時期よくみかける《早春のカミキリ》という印象がある。東京で桜(ソメイヨシノ)の開花宣言があると「そろそろ出てくる頃かな」と感じる。ここ3年の《東京の桜(ソメイヨシノ)開花日》と【狭山丘陵のヨツボシチビコブカミキリ出現確認日】をふり返ってみると──、
2012年……《3月31日》/【4月9日】
2013年……《3月16日》/【3月16日】
2014年……《3月25日》/【3月31日】

桜の開花日が早いとヨツボシチビコブカミキリが出現するのも早く、桜の開花日が遅れるとヨツボシチビコブカミキリも遅れる──開花が遅れるほど開花日から出現までに期間があくという相関関係があるようにもみえる。もちろんたったこれだけのデータで確かなことはいえないが、個人的な印象で言えば、だいたい東京の桜の開花宣言が出された頃に狭山丘陵のヨツボシチビヒラタカミキリはぼちぼち出現し始める……という感じはする。
ちなみに、《東京の桜(ソメイヨシノ)開花日(靖国神社の標本木が基準)》より狭山丘陵の桜開花は遅い。今年(2014年)初めてヨツボシチビヒラタカミキリを見た3月31日は、現場(いちおう東京)周辺の桜はまだほとんどが開花前だった(東京の満開宣言は3月30日)。
ヨツボシチビヒラタカミキリ

ナカジロサビカミキリ





ヨツボシチビヒラタカミキリと同様に春先に見かけるようになるカミキリ。活動期間はヨツボシチビヒラタカミキリより長いように思う。今年もヨツボシチビヒラタカミキリと同じ日(3月31日)に東京側で初個体を確認している。以後、東京側でも埼玉側でも見られるようになった。

《早春のカミキリ》というと……(個人的には?)トウキョウトラカミキリも思い浮かぶ。今年も4月に入って1度見ているのだが撮る前に飛び去られてしまった……。ちなみに去年は3月23日に初個体を確認している(東京のトウキョウトラカミキリ)。

ヘリグロチビコブカミキリ



《春のカミキリ》がでてくる以前にヘリグロチビコブカミキリは何度も見ているのだが、これはもはや《冬のカミキリ》という印象が強い(個人的感覚)。今季は2013年12月・2014年1月・2月と見てきたが 3月には2度みたきり(3月22日・埼玉県側で見たのが最後)。4月に入ってからは見ていない。
僕の目につかない場所へ移動しただけなのかもしれないが、個人的には《春のカミキリ》にとってかわられた……という感じがしないでもない。
ヘリグロチビコブカミキリはなぜ冬に活動するのか

ミヤマシギゾウムシ







このゾウムシも春先に見かける昆虫の1つ。シギゾウムシというとドングリや果実に産卵するイメージがあったが、ミヤマシギゾウムシはナラメリンゴタマバチがコナラに作る虫こぶ(ナラメリンゴフシ)に産卵するらしい。

トラフコメツキ





コメツキムシというと地味なイメージがあって、特徴がうすいものは種類を見分けるのも難しそうだという思いもあって、スルーしがちな昆虫だったりする。だが、これくらいキレイな模様があったりするとカメラを向けがちだ。最近みかけるようになった《春の昆虫》ということで加えておくしだい。


ど根性蛹!?

ど根性蛹(さなぎ)~擬木ミステリー第2弾~

「ど根性ダイコン」や「ど根性ナス」──舗装の割れ目やコンクリートのわずかな隙間でたくましく育った「ど根性野菜」がしばしば話題になったりするが……それを彷彿とさせる光景が……。








さらに、この近くの擬木でも……








桜の幹からのりだすようにのびた蛹ぬけがらは時々目にしていたが……人工物の擬木から飛び出していた蛹(ぬけがら)には驚いた!
桜の幹からでてくる蛹の方はコスカシバという蛾のものだろうと思っていた。


擬木からとびだした「ど根性蛹」もコスカシバによく似ているが、成虫の発生時期からする別種のようだ。おそらく近い種類の蛾ではないかと思う。スカシバガ科の蛾の多くは幼虫が樹木に穿孔するという。
しかし……こうした蛾の幼虫は樹皮下で材を食べて育つはずだ。「ど根性蛹」は──無事に羽化した昆虫(おそらく蛾?)は、擬木の中でいったい何を食べて育ったのだろう?
擬木ウォッチでみつけた新たなミステリーである。

擬木の隙間から入り込んだ有機物あるいは内部スペースに発生したカビ・苔などでも食べていたのだろうか?
人工物の擬木といっても、これが木材ならば、さほど驚くこともないのかもしれない。カミキリが木材の家具から出てきたなんてハナシはある。
しかし画像の擬木が木材でない事は明らかだ。擬木の素材が何か調べてみたところ《再生ポリエチレン樹脂を使用したプラスチック擬木》というのが、どうも似ている。
プラスチックを食う虫などいるものか──と直感的には思ったが、プラスチックも石油(生物由来)製品ということを考えれば……これを食う生物がいたとしてもおかしくはないのだろうか?

分解し難いプラスチックを食う(分解する)虫がもし発見されたとしたら……プラスチックゴミの処分等で商業利用できるかもしれない(阿刀田高氏の短編にもそんな着想の作品があった)。
そんなSF的な想像が展開した……。

もちろん擬木を食って育ったとはとても思えないのだが……それでは「ど根性蛹」の主は何を食って育ったのか……納得できる答えは見つからない。

ど根性蛹をみてわかった(気がする)こと

桜の幹から飛び出した蛹(ぬけがら/コスカシバと思われる)を初めて見た時は、《蛹の状態で幹から這い出て羽化する》ことにちょっと驚いた。
考えみれば、蛹になった樹皮下で羽化すれば、翅が邪魔になり脱出し難くなるし、外へ出るまでに翅を痛めてしまうかもしれない……翅が伸びる前に広い場所へ移動できなければ羽化不全の危険が高まるから、そうした危険を避けるために《蛹のまま外へ出て、そこで羽化する》というのは理にかなっている。
それはわかるのだが……しかし、羽化前の蛹が自由に歩き回れるとも思えない……いったいどうやって「蛹のまま」移動してきたのだろう?──そんな疑問が浮かんだわけである。

余談だがセミの抜殻を「蛹」だと思っている人は意外に多いようだ。しっかり形が残る抜殻はたしかに「蛹」っぽい感じがしないでもない。しかしあれは「幼虫」(セミは蛹を経ずに成虫になる不完全変態の昆虫)。だから羽化場所まで歩いて移動できるわけだ。
しかし樹皮下で蛹化した蛾が、蛹の状態で歩いて木の外へ移動できるとは思えない……。
コスカシバの蛹はどうやって木の幹から出てくるのだろう──そんな疑問を抱いていたのだが……「ど根性蛹」を撮ってみて判ったような気がする。よく見ると蛹の腹には下向きにギザギザがついている。コスカシバにも同じような器官があって、孔の中で身をよじるとギザギザエッジが壁面に引っかかり後退はできず頭方向へのみ移動できるしくみ──そんな構造になっているのではないだろうか?(個人的推測/この解釈が当っているかどうかは?)。



「蛹」がどうやって木の(擬木の)内部から出てくるのかという謎は解けた(かもしれない?)気がするが……「ど根性蛹」は擬木の内部で何を食って育ったのかという新たな大きな謎に突き当たってしまったのであった……。

ところで、最初の見出しに「擬木ミステリー第2弾」とつけたが、「擬木ミステリー第1弾」は【しおり糸の迷宮!?】。その後の続報の追記もあり。