2012年10月の記事 (1/1)
- 2012/10/27 : つれづれに夢の話 [エッセイ・雑記]
- 2012/10/27 : 夢の中で解いたクイズ [無題]
- 2012/10/26 : ハート亀虫羽化 見守るキリスト!? [昆虫など]
- 2012/10/15 : 茶色いハラビロカマキリ【追記あり】 [昆虫など]
- 2012/10/11 : 10月のセミと桜 [昆虫など]
- 2012/10/04 : 空飛ぶサソリ天狗虫!? [昆虫など]
《珍しい昆虫を捕まえる夢》という、いかにも虫屋さんにありそうな夢である。しかし、《巨大な新種を捕まえたものの大きすぎて毒瓶に入れられなくて困っているうちに目が覚めてしまう》とか、《毒瓶に入れたものの、眺めているうちに「これはあまりにも不自然だ、絶対に夢だな」と思って目が覚める》とか……そんな残念な幕切れになってしまうらしい。それもなんだか虫屋さんらしい。
というのも、何かアイディアをひねり出そうとしているときに虫採りの夢を見ることが多い。「アイディア探し」が「虫探し」のイメージとかぶるのだろう。インスピレーション・モード(?)では無意識が活性化するため(意識の抑制が弱まることで)退行的な部分で(カブト・クワガタ探しをした)子供の頃の記憶(感情)にアクセスしやすくなる──という事もあるのかもしれない。
面白いアイディアを得ても、それがすんなりストーリーになることはむしろ珍しい。見つけたアイディアをなんとかものにしようと工夫を重ねることが普通だが、焦って強引にストーリー化しようとすれば、せっかくのアイディア自体を台無しにしてしまう──なんてことにもなりかねない。《強引に虫を引きずり出そうとすれば傷つけてしまう》という心配はこの気分によく似ている。
昔、『竜の船』というファンタジーで《第32回毎日児童小説》小学生向の佳作1席に選ばれたことがあったが、このときの作品はほとんど夢の中でストーリーが出来上がっていた。
そんなエピソードが夢にも反映していることがうかがえる。
いちおうオチまでついているから、夢の中でアイディアがまとめられた一例といえるだろう。
「ここに12個の箱がある。そのうち1つの箱だけ重さが違う箱を秤を3回だけ使って見つけだす方法を求めよ」というもの。知人に出題され、あれこれ考えてみたのだがその時点では解けなかった。ところが眠っている間に、夢の中で解き方をみつけ、このときは「解けた!」と無理矢理目覚めて(?)、すぐにメモをとった記憶がある。
これはなかなか良い問題だったと思うので、頭の体操でチャレンジしてみたい人は考えてみると面白いかもしれない。
いちおう僕が夢で得た解き方はブログの方にアップした。答えが知りたい人はどうぞ。

●夢の中で解いたクイズ
夢はおもしろい。
そんなことを考えるようになったのはだいぶ昔のような気がする。
当初は「夢」というのは「心の全体性を保つための補完的シミュレーション」のような役割を担っているのではないか……などと想像したこともあったが、今ではそのようなハッキリした「理由・目的」をもった働きではないだろうと考えている。
今はそんな風に考えている(学術的に正しいかどうかは知らない。あくまでも個人的想像)。
細かい部分で(というか、かなり大きな部分でも)整合性がおかしいのは、元々は意味のないところで発生したからで、一見(整合性は)メチャクチャなのに、何か印象に残る──というのは、エモーションに関わる部分(心理を投影しうる部分)が残ったからだろう。
覚醒時には我々は明確な意識の下、常識的体系で物事を捉え・考える。しかし、夢の中では意識時の思考体系の拘束は緩まり、通常は結びつかないカテゴリー間でも無作為に信号が飛び回る。体系の垣根を飛び越えてランダム・イレギュラーに信号が走る中で、覚醒時には思いもよらなかった意外性が生まれることだってあるだろう。その人が関心を持つ分野であればその周辺で反応の活性は高まり、斬新な着想につながって記憶にとどまる可能性がでてくる──これが夢のもたらすインスピレーションではないかと思う。
《尿意をもよおし、トイレを探しているうちに目が覚める》というもの。これに付随して《夢に出てくるトイレはマトモじゃない》なんて話しも出てきて、これには虫屋でなくても共感を覚える人は多いだろう。
考えてみれば、夢の中のトイレで安心して用をたしていたら……オネショという事態にもなりかねないから……夢の中ではトイレを欲し、みつけることができても「安心して気持ちよく用を足すこと」を妨げようとする演出が加えられているような気がする。
一見オカシな夢には、なにか理由が隠されているケースも少なからずあるのだと思う。
《トイレにたどり着いたのに、用を足せない》という「トイレ覚醒」と《貴重な虫を捕まえたのに毒瓶に入らない/目が覚めてしまう》という「虫採り覚醒」はちょっと似ている気がしないでもない?
*覚めぬ夢・夢の中の夢のハナシ
*夢の中から電話!? ※夢の中から電話をかけて自分を起こした話
*九千円札!?の夢
*飛翔へのあこがれ!?
*遠いロッカールーム〜夢の話〜
*夢の中のエラー現象
*夢の無銭飲食三昧?
12個の箱の中から重さが違う1つを秤を3回だけ使ってみつけよ──というクイズだった。問題の箱が他より【重い】のか【軽い】のかが示されていなかったので難しく感じた。起きて考えているときには解くことができなかったのだが……なんと、眠っている間にインスピレーションを得て解決。目覚めてすぐに夢の中で得た答えをメモに書き残した記憶がある。当時のメモをあらためて図解してみたのが以下の画像。
直列的な文章で説明すると、ちょっとややこしいが、着想を得た時点の理解では構造全体を見渡せていたので、スッキリ感があった。
エサキモンキツノカメムシの羽化
先日、遊歩道の手すり(擬木)でエサキモンキツノカメムシが羽化しているところにでくわしたので記録。空目ネタとからめてまとめてみたしだい。キアイを入れれば、こんなふうに見える……かも!?








(*ちなみにコノハムシの羽化の場合は翅は脱皮後のびていく)
ハート(愛)亀虫は卵やふ化した幼虫を守る


羽化後の気になる行動?
羽化したあと、成虫は後脚で器用に翅をなでつけ、整えていた。そして、ちょっと不思議な行動に出た。抜け殻に何度も攻撃(?)をしかけ、ついには落としてしまったのだ。この行動には何か意味があるのだろうか?

とりあえず思いつく可能性をあげてみると……、
羽化個体のすぐそばに抜け殻があると(無い場合よりは)天敵から見つかりやすくなる(だろうから)──そのリスクを減らすため?
例えば羽化のさいの離型剤(脂?)のようなものが抜け殻に残っていて、そのニオイを嗅ぎつけて寄生蠅が集まりやすくなる……といったような事でもあるのだとすると、天敵誘因源を遠ざける行動として解釈できそうな気がする。
以前某氏のブログに、スコップで切断されたムカデの上半身が下半身を敵だと思って(?)噛み付いている衝撃的な画像が紹介されていたことがあったが……それが脳裏によみがえった。
羽化や脱皮で体から分離をしてしまえば、もはやそれは他者(非自己)と認識されるのだろうか?
脱皮したぬけがらを食べてしまう虫も多いが、カメムシの場合は口の構造からそれはできないのだろう。
茶色いハラビロカマキリ
カマキリはよく見かける虫のひとつ。あらためてカメラを向けようという気がおこらず、いつもはスルーしがちなのだが……きょう茶色いカマキリの横を通り過ぎて、数歩先で「あれ?」と足を止めた。茶色いカマキリだったが、よくみかけるコカマキリとは違っていた。形や大きさはハラビロカマキリっぽかったぞ──と気がついたのだ。
引き返してのぞきこんでみると、やはり茶色いハラビロカマキリのようにも見える。

オオカマキリなどでは緑色の個体と茶色い個体がいるのは知っていたが、ハラビロカマキリといえば緑色という印象があった。
「茶色いハラビロカマキリって、いるのだろうか? それとも別の種類なのだろうか?」──現場ではよくわからないので、とりあえずデジカメに収めておいた。

帰宅後調べてみると、ハラビロカマキリでも茶色い個体は(東京では?)少ないながら出現するらしい。撮影した個体もやはりハラビロカマキリのようだ。
よく見る種類なのに色が違うと印象がずいぶん違っておもしろい。

*コノハムシの偽瞳孔

ハラビロカマキリとハリガネムシ
ハラビロカマキリはカマキリの中でもハリガネムシの寄生率が高いらしい。地面に降りたハラビロカマキリからハリガネムシが這い出していたり、路面で轢死した両者を見かけることも少なくない。
路面で脱出中のハリガネムシを見つけたので撮影しようとデジカメをとりだしている間に脱出し終えてしまった。
ハリガネムシに寄生された宿主は(行動を操作され?)河川に向かわされると言われているが、こうして水気の無い路面で脱出し、ひからびている姿もよくみる。
陸生昆虫類に寄生しその体内で成虫になることができたハリガネムシの、いったい何割が河川に帰還できるのだろう?
【追記】今年は茶色型が多いのか!?
先日はじめてハラビロカマキリの茶色型の存在を知って、関東では(?)めずらしいのかと思っていたが……その後さらに2匹のハラビロカマキリ茶色型と遭遇。

2匹目のハラビロカマキリ茶色型は先日見たものより複眼の色が緑色っぽかった。この種に茶色型がいることはずっと知らずにいたが、見つかるときは立て続けに見つかるものだ……と思っていると……。




ふと思い浮かんだ昆虫予想
3匹目のハラビロカマキリを(いろんなアングルからチェックしようと)指にのせて撮っていたところ、いきなりジャンプ。低い植え込みへ飛び込んでしまった(翅は広げていたが落下に近い?)。入り組んだ枝の下側に姿を隠しているのを探し出して、さらに何枚か撮影してみたのだが……カマキリはこちらを警戒して枝かげからなかなか出てこようとしない。
そこで見えやすいところへ追い出そうとカマキリの背後から指先でつついてみた。すると、つついたあたりの枝からボロボロっと何かが落下。またカマキリがジャンプしたのかと地面を探してみたがみつからない。逃げられたか……と思いきや、カマキリは枝のかげにとどまっていた。

どうやらカマキリをつついいたときに枝にひっかかっていた枯れ葉か枝片が偶然落ち、それを(動くものを)カマキリだと誤認してしまったらしい。
「この陽動作戦(かわり身の術?)をカマキリが意図的にやっていたら大したものだな」
そんなことを想像し、実際にやっていた昆虫がいたことを思い出した。
以前テレビ番組で紹介されていたのだが……木の枝に擬態した大きなナナフシが、人が触れたとたん脚を落として(自切して)みせたのだ。トカゲがシッポを切り離し、のたうつシッポに敵の注意をひきつけておいて逃げる──というのはよく知られている。ハンターはたいてい動いているものを追尾しようとする。天敵の意識を本体とは別のところに誘導し、じっと隠れていれば逃げ果せる可能性は高まるはずだ。
背に腹はかえられない──とはいっても、自分の体を切り捨てるのは、それなりに損失も大きい。ならば、自分の体ではなく、(僕が偶然だまされたように)潜んでいる周囲の葉や枝を切り落として敵の注意をそらす──なんて手法をとる虫がていもいいのではないか?
すばやく葉や枝を切り落とすとなると、それなりに強いアゴをもつ昆虫にしかできないだろうか?
などと、まだ見ぬ虫の存在を予想してみたりするのであった。
秋空にひびくセミの声&桜の花
10月も三分の一が過ぎ日差しも秋めいてきたが、東京のはずれでは、まだツクツクボウシとアブラゼミ鳴いている(ツクツクボウシの方が多くアブラゼミは少ない)。
画像↑は今日鳴いていたアブラゼミ。鳴き声をたどって見上げると、土手の斜面に植えられたハナミズキの幹に止まっている姿が見えた。土手を登ってよく見える位置から撮影。

Wikipediaによると、東京で確認されたのは2010年とのこと。僕が初めて見たのは2011年だった。※キマダラカメムシ東京進出/他

葉が落ちた事で(冬が過ぎたと勘違いして?)開花時期を間違えて咲いたものだと思って昨年はこんな記事(季節外れの桜:開花させた犯人は!?)をアッブしていたが……もしかしてもともと年に2度咲く品種?
【追記】セミ:最終確認の鳴き声と姿
10月下旬になってもセミの姿があったので追記
※今年のセミの鳴き声の最終確認は2012年10月15日(アブラゼミとツクツクボウシ)だった。
※2005年の記録……10月20日にアブラゼミとツクツクボウシの鳴き声を確認。10月21日にアブラゼミの鳴き声を確認。
※2018年の記録……11月10日にアブラゼミの鳴き声を確認。10月21日にアブラゼミの鳴き声を確認(僕が確認した最も遅いセミの終鳴日→立冬すぎのアブラゼミ!)。
空飛ぶサソリか天狗ハサミムシか!?

猛獣ラーテルを倒したUMA(未確認謎生物)──というのはウソで、毛虫の死体のそばにいたヤマトシリアゲ。この昆虫は死んだ昆虫の体液などを吸う。

オスは腹端にハサミムシを思わせるハサミのような器官をもつ(メスの腹端は細くなっている)、このハサミはオス同士の戦いや交尾でメスをつかむのに使われる。
腹端をくるっと反らせて持ち上げている姿が特徴的だが、このポーズが名前の「シリアゲ(尻揚げ)」の由来らしい。

初めてこの虫を見たとき、ハサミムシとサソリを組み合わせて翅をつけ、天狗の鼻あるいはトキのクチバシを思わせる長い口吻を持った風変わりにしてカッコイイ昆虫──と思った。


オスが腹端のハサミをくるんと反らすように持ち上げた姿を見たときはサソリを連想した。その後、英語圏ではシリアゲムシのことを【scorpion(サソリ)fly】と呼ぶと知り、納得。

こちらはヤマトシリアゲ夏型のメス。

モンクロシャチホコ幼虫の死骸にひかれてやってきたようだ。


【追記】「吸う」と記したが、口器の先端は咀嚼型の構造になっているらしい。
プレゼント婚
オスは獲物(虫の死骸なと)をみつけると、その場に陣取ってメスを待つ。オスが単独で死骸に口吻を突き刺しているところを見た事があるが、食餌のさいにもしかして消化酵素のようなものを注入しているのだとしたら、メスを待つ間、獲物を熟成させる(?)というような意味もあるのだろうか?オスはメスがやってくると獲物を与え食餌をさせて、そのスキに(?)交尾をする。



ヤマトシリアゲ・2タイプの体色


一見してわかるように5~6月頃に出現する春型成虫は黒く、7~9月頃に出現する夏型成虫は黄色っぽくなる。このため昔は別種だと思われており、夏型はその体色からベッコウシリアゲとよばれていたそうだ。
体色が変わることにどんな意味があるのかはわからないが……季節によってまとう色を変えるなんて、ちょっとオシャレな感じがしないでもない。

5月下旬に撮った♂同士の闘い(↑)。左の♀をめぐってか、2匹の♂が腹端のハサミを使って激しく争っていた。
ヤマトシリアゲ余談
ハサミムシのハサミ・サソリのような尾・天狗のような顔・しかも飛ぶための翅を持っている──初めてヤマトシリアゲを見たとき、様々な魅力をあわせ持つ不思議な昆虫に思えた。ハサミムシのサハミはカッコイイ──クワガタの大あごのような魅力がある。
サソリも巻き上げた毒針がカッコイ。
強力な武器である毒針はカッコイイが、単に刺すだけの「毒針」より「ハサミ」の方がメカニカルでよりカッコイイ!(と僕は感じる)
だから腹から腹端にかけての構造はハサミムシやサソリよりもシリアゲムシ♂の方がカッコイイ!──ということになる。

まだ昆虫の事をあまり知らなかった頃の絵なのでオカシなトコロがあるが……とりあえずハサミムシのようなハサミを持つサソリ型の尾があったらカッコイイだろうと想像してのデザインだった。当時はこんな尾を持つ昆虫が実際に存在しているとは夢にも思わなかった。
そんな思いもあったので、カッコ良くてしかも飛べる──というのは僕の中で「スゴイぞポイント」が高いのである。
ヤマトシリアゲも僕にはカッコ良く見えるが、人によっては不快度が高い虫なのかもしれない……。