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懐かしの海外ドラマ『タイム・トンネル』

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タイム・トンネルはアリゾナ砂漠の地下数千メートルにある科学センターに備えられ、ボタン1つで人間を現在から過去へ、過去から未来へと自由に送り込める驚異的な装置である。若き科学者ダグとトニーは、この開発途上のタイム・トンネルに送り込まれたまま、過去と未来をさまよう放浪者となってしまった。
(※番組冒頭で亜空間を転送される2人の映像につけられたナレーション)

懐かしの海外ドラマ『タイム・トンネル』
子どもの頃に観て感銘を受けた映画やドラマは色々あるが、海外ドラマ『タイム・トンネル』もその1つだった。
内容をかいつまんで説明すると──、タイムトンネルはアリゾナ砂漠の地下深く、巨費を投じて作られた巨大施設で開発が進められていた時間と空間を超越する転送装置だった。アメリカが秘密裏に進めてきたプロジェクトだったが、完成の遅れからその見通しが疑問視され、計画は打ち切られようとしていた。タイムトンネルの研究にたずさわってきた若き科学者トニー・ニューマンは、開発の中止を阻止するため、タイムトンネルが機能することを証明すべく自ら被験者となって別の時空間への転送実験を敢行する。トニーが転送されたのは、予期せぬところ──沈没事故を起こす前のタイタニック号の船上だった。トニーは転覆の危機が迫っていることを船長に告げるが、信じてもらえず密航者として拘束されてしまう。一方トニーの行動をモニターしていたタイムトンネル・スタッフは、トニーと船を救うために当時の資料を持たせたダグ・フィリップスをタイタニック号に送り込む。しかし、歴史的事実を変更することはできず、トニーとダグは沈没寸前のタイタニック号から別の時空へと転送される……。
タイムトンネルは未完成のため制御が難しく、ダグとトニーを現在に回収する条件がなかなか整わない。回収よりもハードルが低い転送でピンチを逃れるものの、転送先で2人は新たな歴史的事件に巻き込まれることになる。2人は持っている科学や歴史の知識を駆使して難局を切り抜けようとし、タイムトンネル・スタッフはトンネルごしに懸命に2人を追跡し支援する。
お馴染みのナレーションでの転送シーンから始まり、事件が決着したところで別の時空に転送される──といったスタイルの1話完結の連続活劇ドラマだった。

日本で放送されたのは1967年──当時僕は小学3年生だった。タイタニック号がらみの第1回放送(パイロット版)が強く印象に残っている。その後、高校生の頃に深夜の時間帯で再放送を……確か白黒テレビで観ていた記憶がある。
その頃は、まだ作品の出来・不出来(完成度)を判断する基準ができていなかったから、単純に当時の自分の感性に響くかどうか──好き・嫌いで「おもしろさ」を測っていた。作品に対する評価や分析は漠然としていて、ただ「おもしろかった」という記憶ばかりが強く残っている。
だからそれ以降、《『タイム・トンネル』をまた観てみたい》という気持ちはずっと持ち続けていたわけだが、これは単に作品に対する興味からだけではなく、子どもだった頃、初めてこの作品に出会ったとき、どんな風に感じながら観ていたのか──自分の心の動きをトレースしてみたいという思いもあった。また、長い間目にしていなかった懐かしい景色(?)を久しぶりに見てみたいという、望郷のような気持ちも混じっている。
『タイム・トンネル』の中でも、特に印象に残っていて「また観てみたい」という思いが強い回がいくつかあるのだが、そのベスト3が『タイム・トンネル-メモリアルBOX VOL.1』(メモリアルBOXはVOL.2と2つで構成されている)に含まれていることがわかり、まずはBOX VOL.1を入手し鑑賞してみることにした。

■タイム・トンネル-メモリアルBOX VOL.1
DVD収録内容(日本の放送順とは異なる部分がある)
■DISC-1
01:過去との出会い(タイタニック号の最後)
02:月への一方通行(米国の火星探査計画)
03:世界の終わり(ハレー彗星の接近)

■DISC-2
04:真珠湾攻撃の前夜(The Day The Sky Fell In/※日本未放映)
05:最後のパトロール(米英戦争)
06:火山の島(クラカタウの大噴火)

■DISC-3
07:トロイの神々(トロイの木馬)
08:カスター将軍の最後(リトルビッグホーンの戦い)
09:悪魔島(仏領ギアナデビルズ島)

■DISC-4
10:恐怖政治(フランス革命)
11:秘密兵器A-13(ソ連のタイムトンネル計画)
12:リンカーン暗殺計画(リンカーン大統領暗殺)

■DISC-5
13:アラモの砦(テキサス独立戦争)
14:土民の奇襲(土民の首領ヒラ・シンによるイギリスへの反乱計画)
15:Dデー二日前(ノルマンディー上陸作戦)

■DISC-6 SPECIAL FEATURES 映像特典
●2002年リメイク版パイロットフィルム
●ビハインド・ザ・シーン~I・アレンのホームムービーより
●ジェームス・ダーレン(トニー)のインタビュー
●ウィット・ビセル(カーク所長)のインタビュー
●第1話未放映別編集フッテージ
●日本版最終回エンディング

本篇764分+特典映像141分/6枚組DVD/日本語吹替音声

『タイム・トンネル』マイ・ベスト3+1を改めて鑑賞
第1話『過去との出会い』
『タイム・トンネル』で「また見てみたい第1位」はやはり、印象が強かったパイロット版となる第1話だった。
舞台は1968年。上院議員を載せた小型機がアリゾナ砂漠の真中に着陸。議員が降り立つとどこからともなく車が現われ、彼を乗せて走り出す。と、突然砂漠に地下への入口が出現し、車を呑み込むと入口は消失した。地下には800階相当の巨大建造物があり、12000人以上の所員が働く科学センターとなっていた。上院議員はアメリカが70億ドル以上の予算をつぎ込んで秘密裏に開発を進めていたタイム・トンネルの視察に来たのだが、完成が先延ばしになっていることにしびれを切らしており、翌日に開かれる会議で計画の打ち切りが採択される可能性について言及する。
研究を継続するためには、タイムトンネルが機能することをすぐにも証明しなくてはならない……そこでトニーは、(主任のダグやカーク所長の反対を押し切り)自ら被験者となってタイムトンネルに入り、転送実験を決行してしまう。
タイムトンネル・スタッフはあわててトニーの転送先を割り出そうとする。そしてタイムトンネルのモニターに映し出されたのは氷山に衝突する前日のタイタニック号だった。
何が起こったのか説明を求める上院議員にダグが状況やタイムトンネルの機能について説明する──ドラマの展開(緊張感)を妨げることなく、視聴者にもタイムトンネルの設定がわかるような構成になっている。
一方、そこがタイタニック号であることを知ったトニーも、沈没の危機が迫っていることを船長に告げ、せめて(氷山を避けるため)進路を南寄りに変更するよう進言するが、信じてもらえない。それどころか、不審な密航者として船室に監禁されてしまう。このままではトニーの身も危ない。タイムトンネル・スタッフはトニーと乗船者らを救うため、タイタニック号に関するデータと〝沈没を報じた翌日の新聞〟を持たせたダグをタイタニック号に送り込む。
過去の世界で再会したダグとトニーは、船長を説得するのが難しいと判断し、無線室を占拠し、救難信号を発信することで犠牲者を減らそうとするものの、船員たちに取押えられてしまう。ダグはタイタニック号が氷山に衝突して沈没するのは歴史上の事実であると訴え、事故を報じた翌日の新聞を船長に渡すが、船長は聞く耳を持たない。新聞は読まずに棄てられ、救難信号も取り消されてしまう。ダグとトニーは船室に監禁されてしまい、そして史実通りの時間にタイタニック号は氷山に衝突する。タイタニック号の不沈を信じていた船長も〝2人が予言した通り〟氷山に衝突したことで、トニーとダグの話を無視できなくなる。救える命を救うために、早く避難活動をすべきだと言う2人の意見をようやく認め、船長は避難命令を下す。このとき船長は自分の生死についてもわかっているのか尋ね、ダグが「残念ながら」と答えるシーンが印象に残っていた。
パニックとなった船上でトニーとダグは救助活動を手伝うが、衝撃に激しく揺れる甲板から投げ出されてしまう──その瞬間、タイムトンネルは2人を別の時空間へ転送したのだった。
この事件の一部始終を目撃していた上院議員は、タイムトンネル計画の打ち切りについて、2人の科学者の消息がわからないうちはないだろうと告げて基地を去る。

今回、DVDでの鑑賞を始めて、まず感じのは「なつかしい時代感」と(意外なことに?)「新鮮さ」だった。展開する画面は昔見たものなのだが、テレビ放送を見ていた時よりも画質が良く、鮮度が高く感じられた。放送時には白黒テレビで視聴していたということもあって、カラーの画面が新鮮だったのだろう。映像自体もデジタルリマスター版なので経年の劣化を感じさせずきれいだった。
テレビ放送で観ていた時と同じ日本語吹替で鑑賞できるのも嬉しかった(日本の放送ではカットされていた部分はオリジナルの英語音声に日本語字幕)。

今回、懐かしい映像を見ながら「そうそう、こんな展開だった」とか、「本放送を見ていたとき、このシーンでは、こんな風に感じたのだっけ」など、具体的な記憶がよみがえった。トニーが皆の命を救おうとして懸命にうったえているのに全く信じてもらえず、捕えられてしまう展開で、とても理不尽でもどかしく感じたことを思い出した。ダグが未来から持ってきた〝タイタニック号が沈没することの証拠〟である新聞を読みもせずに棄ててしまう船長が歯がゆく、氷山と衝突してようやくダグとトニーの言葉に耳を傾けるようになったときには「それみたことか」と思い、また、船長にすれば悪夢のような展開の中で自分の運命(死)を知ったときには、「船長はどんな思いだったろう」と想像したものだった。今さらながらに「トニーの忠告に耳を貸していたら、タイタニック号も乗客・クルーも失わずに済んだのに」と自責の念にかられたことだろう……自分の「死」を知っても「こういう事態を招いたのだから、それも、やむなし」と覚悟するしかなかったろう……そんな風に感じながら観ていたことを思い出した。
このパイロット版は『タイム・トンネル』という連続ドラマの魅力と方向性を打ち出すのにふさわしいエピソードだった。タイムトンネルは未完成のタイムマシンであり制御が難しいこと──つまり、タイムマシンに翻弄されるドラマであること。別の時代に送り込まれたトニーとダグの冒険活劇であること。そしてまたタイムトンネルごしに2人をモニターし支援し奮闘するスタッフらがドラマの緊張感を盛り上げること。過去に戻っても歴史を変えることはできないこと──などのコンセプトが、視聴者に伝わり、その後の展開に大いに期待を持たせることになったのだと思う。

ちなみに、この回が収録されたタイム・トンネル-メモリアルBOX VOL.1には、特典映像として、『2002年リメイク版パイロットフィル』が収録されている。オリジナルのパイロット版(第1話:過去との出会い)と比較すると、断然、1966年版(オリジナル・パイロット版)の方がおもしろい。2002年リメイク版はタイムトラベルによって歴史は改変しうる──それを阻止するために過去に戻るという話になっている。2つの作品を比べると、オリジナルの方が「時代的な古さ」を感じるものの(これは欠点ではない)、だんぜんおもしろい。2002年リメイク版の方が映像技術としては進歩しているのだろうが、コンセプトのわかりやすさ、視聴者の心理誘導などの脚本力(?)ではオリジナルの方が勝っている。比喩的な言い方をするなら──「オリジナル版」と「リメイク版」は、「古いペンで書かれたおもしろい小説」と「最新のパソコンでタイプされた凡作」といったところ。あらためてオリジナル版の『タイム・トンネル』のおもしろさを実感した。

第3話『世界の終わり』
僕の「また見てみたい第2位」は第3話『世界の終わり』──1910年5月のハレー彗星大接近をモチーフにした回だ。これも『タイム・トンネル』シリーズの中で特に印象深いエピソードだった。
ダグとトニーが転送されたのは鉱山の坑道。落盤で閉じ込められてしまったトニーを助けるため、ダグは助けを呼びに行く。しかし町の人々は〝それどころではない〟ようすで、誰も手を貸そうとしない。《接近中のハレー彗星がまもなく地球に衝突して世界は終わる》──町の人たちはそう信じており、放心状態で丘に集まり空を見上げて祈ることしかできずにいたのだ。ダグは一人で坑道に戻り、トニーを助け出すが、まだ坑道の奥には200人以上の坑夫たちが閉じ込められていた。
ダクとトニーは、ハレー彗星は地球には衝突せず、被害は無いということを説明するのだが、町の人は、地元の権威・アインスレー教授が打ち出したハレー彗星が地球に激突するという説を信じ込んでいた。
ダグはアインスレー教授が自説を撤回すれば、人々も正気に戻り救助に手を貸すと考え、教授の説の間違いを証明するため、教授のいる天文台に乗り込む。トニーは町の人たちが集まる丘へ向かい人々を説得しようとするが、誰も相手にしてくれない。
一方2人の動きをモニターしていたタイムトンネル・スタッフは、ハレー彗星が地球に衝突しないことを証明できる装置(レーダースコープ)をダグに転送しようと試みるが、失敗に終わる。タイムトンネルの焦点をハレー彗星に合わせたことで、装置が影響を受けはじめ不安定になっていたのだ。
ダクはアインスレー教授と対峙し、教授の「衝突説」の間違いを指摘するために、データからハレー彗星の軌跡を計算を始める。しかし、その結果は「衝突」──教授の説を証明する結論に達してしまう。そこで、もし「衝突しない」とするなら、その原因として何が考えられるか──という仮説から、ダグは〝目に見えない未知なる大きな力〟が働いている可能性に思い当たる。ダグはその存在を確認するための仕掛けを作って、アインスレー教授とともに〝ハレー彗星を地球に激突する軌道から外す大きな力〟を観測。教授も「衝突は回避される」ことを認め、ダグとともに丘に向かい、集まっていた人たちに「ハレー彗星は地球にぶつかることは無い」と訴える。アインスレー教授の説明で人々も正気にもどり、坑道に閉じ込められた坑夫たちの救出に向かう。
タイムトンネル側ではハレー彗星の焦点を当てたことで、ハレー彗星を引き寄せるという奇妙な現象が起こっていた。ハレー彗星をモニターしたタイム・トンネルは巨大な掃除機と化し、スタッフが吸い込まれそうになる事態が発生。システムは制御不能となり、スウェイン博士が装置の一部を破壊することで、タイムトンネルはダウンし、ようやくハレー彗星の影響を遮断することができた。
1910年のハレー彗星を呼び込んでしまいかねない危険な事態を体験したスウェイン博士は、タイムトンネル計画の見直しに言及する。自分たちが作り上げたのは〝手に負えない怪物〟だったのではないかという思いから、この装置を使いこなす自信が無くなったというのだ。

ドラマの中で、スウェイン博士は《タイムトンネルがハレー彗星を引き寄せることで地球を危険にさらした》と考えているが、実は1910年に地球に衝突するはずだったハレー彗星の軌道を変えた〝未知なる大きな力〟は、他ならぬタイムトンネルだった──もし、タイムトンネルが存在していなかったら、1910年に『世界の終わり』があったのだ……という〝しかけ〟は放送を見ていた時にかなり衝撃的だった。
《制御不能になるとおそろしい結果を招きかねない未完成のタイムトンネルが人知れないうちに地球を救っていた》──というエピソードが、ある意味、パイロット版をしのぐインパクトとして残っていた。

この回では、悪夢から解放された人々が坑内に閉じ込められた坑夫たちを救いにくるところでダグとトニーは転送されている。この後、次の回に続くブリッジ・エピソードがあるのだが、この部分は日本では放送されていなかったのだろう。放送時には見た記憶が無いし、その部分では英語のオリジナル音声に日本語字幕スーパーがつけられていた。
転送された2人のうち、トニーが砂漠上に現れ、そこへ、タイムトンネルのスタッフがやってくる。そこは10年前のタイムトンネル基地の上(地上)だった。7年前から勤務していたトニーはスタッフを知っているが、10年前のスタッフはまだトニーを知らない。後から来たダグもトニーを知らないことで、トニーはパニックになる。不審物として射殺されそうになった瞬間、トニーは消え、ダグとともにホノルルの日本領事館に転送される──日本未放送の第4話『真珠湾攻撃の前夜』に繋がる構成(アメリカ版)となっている(日本版では次週放送は『トロイの神々』)。
短い部分だが、トニーがトニーを知る前のダグと会っていた──というエピソードがあったことは放送時知らなかったので、新鮮に感じた。

第6話『火山の島』
僕の「また見てみたい第3位」は『火山の島』──これは日本での放送では最終回(第28話)だったこともあり、またトニーがタイムトンネルに回収され、ついに現在の世界に戻ってくることができた──のに……というエピソードが印象に強く残っている。
ダグとトニーが転送されてきたのは大噴火がせまる火山島(クラカタウ)だった。転送によって突然出現する2人を目撃した現地人カルロスは、ダグとトニーを悪魔だと思い込み、島が怒っている(地震や噴火をくり返している)のは、この悪魔のせいだと考える。そして、この2人のアメリカ人を殺せば島の怒りは静まると信じてその機会をうかがうことになる。
火山に詳しいダグは、噴火が近いことを察知。島で火山研究をしている科学者ホーランド父娘の話で、そこが1883年8月下旬の火山島クラカタウであることを知る。大噴火は近い。ダグは避難先にジャワを選択し、ホーランド父娘に島から脱出するよう促すが、ホーランド博士は噴火はまだ先のことだとの自説を曲げず、娘は研究を盗みにきたライバル科学者の妨害工作だと疑って、取りつく島もない。
一方、タイムトンネル・スタッフもクラカタウの資料を集めて検討──ダグが選んだ避難先のジャワは危険域で、スマトラの高台が安全だということがわかる。スタッフのジェリーは、新しい回収法を提案──これまでダグとトニーの2人を同時に回収しようとして失敗してきたが、一人ずつエネルギーを集中して回収を試みるという方法だった。しかし未知のリスクがあるため、その場ではより安全な方法を考えようということになる。ところが島ではカルロスの指揮で現地人がダグとトニーを襲撃。このままでは危険だと判断したタイムトンネル・スタッフは、やむなく1人ずつ回収する方法を実行する。
この方法によってトニーは無事にタイムトンネル内に回収された──かに思われたのだが……トニーが戻った科学センターでは、時間が停止していた。スタッフは全てマネキンのように止まったまま動かず、トニーは過去と現在の間に凍結されてしまったことを理解する。ダクはまだクラカタウに残されている。トニーはメモ帳にクラカタウでの座標と時間を書き記し、ダグとそこへ行くので回収して欲しいとのメッセージを残すと、スタッフが集めたクラカタウの資料──安全な避難先の情報を手に、タイムトンネルで再びクラカタウに戻る。1度消えて再び現われたトニーの活躍で、戦いの形勢は逆転。首謀者カルロスが溶岩の中に転落したことで襲撃は終わる。
トニーが残したメモを見て彼が一度戻っていたことを知ったタイムトンネル・スタッフは、驚きを隠せない。カーク所長は確認のため、音声連絡を試みる。火山島でホーランドの娘を説得しようとしていたトニーは、彼女とともにカーク所長の声を聞く。〝未来からの声〟を聞いたホーランドの娘は、トニーが100年後の未来から来たことを知らされる。そしてようやくホーランド父娘も脱出に同意するのだった。
しかし、カヌーに全員が乗ることはできない。ホーランドに安全な避難地域の資料を渡すと、トニーとダグは島に残って指定した座標で回収を待つことになる。無事にホーランド父娘を送り出した後、2人は回収地点に向かう。タイムトンネル・スタッフは回収を試みるが、火山のエネルギーが影響し不発に終わる。回収することができないため、やむなく2人を別の時空間に転送したのだった。

タイム・トンネル-メモリアルBOX VOL.1 に収録されている第6話『火山の島』の最後──次回予告パートは第7話『トロイの神々』の冒頭になっているが、日本の放送では『火山の島』が最終回(第28話)となるため、番組の最後は『トロイの神々』冒頭部ではなく、亜空間の中を転送されるダグとトニーの(お馴染みの)映像が流れ、次のようなナレーションでまとめられている。


トニーとダグが回収されるチャンスはまたもや消え去り、2人は再び無限の時間の広がりに身を投じていった。このシリーズは一応終わるが、タイムトンネルは現在、未完成のままである。スタッフは今後もあらゆる実験を試みて、完成への道を目指してゆくだろう。タイムトンネルの完成──それは現代、いや、人類の永遠の夢といえるかもしれない。
(この日本版最終回エンディングは【特典映像】に収められている)

シリーズを通してトニーとダグの回収(現在への生還)が、目指す所であり、視聴者は、それがかなうことを願い固唾をのんで展開を見守ってきた。だから、ようやくトニーがタイムトンネル内に姿を表した時は、「ついに、その時がきた!」と興奮したものだ。しかし、タイムトンネル周辺の様子がおかしい。本来であれば大歓声で迎えられて良いのに、センター内は、しんと静まり返っている。トニー以外の時間が停止しているシーンは衝撃的だった。遠い過去や未来に転送されたときより、心細さ・孤独感のようなものを強く感じた。ハッピーエンドかと思っただけに、その落差が大きく、印象に残っている。

第4話『真珠湾攻撃の前夜』(英語音声+日本語字幕)
今回視聴したタイム・トンネル-メモリアルBOX VOL.1 には日本未放送の第4話『真珠湾攻撃の前夜(The Day The Sky Fell In)』が含まれていた。当然、テレビ放送では観ていなかったから「また見てみたい」ランキングには入っていないが、視聴してみると、これもなかなか感慨深いエピソードだった。
《転送先でトニーが、過去の自分や亡き父と対面する》というシチュエーションで、「こんなドラマチックな回が制作されていたのか」と驚いた。

トニーとダグが転送されたのは、日本が真珠湾に奇襲攻撃をかける前夜のホノルル日本領事館だった。総領事は大事の前に騒ぎを起こしたくないという理由で2人を帰すが、尾行をつけ、スパイだとわかれば殺せと命じていた。
トニーは少年時代に、海軍の少佐だった父とその地で過ごしたことがあり、父は真珠湾攻撃で行方不明となっていた。しかし……真珠湾攻撃の前日には父は生きている──トニーは当時の記憶を頼りに父親に会いに行き、そこで子どもだった自分とも出会うことになる。トニーは身元を明かさずに、父親に奇襲攻撃があることを告げるが、信用してもらえない。日本側の尾行は日本の機密情報を知っていたトニーとダグをスパイだと判断。どこから機密情報を得たのか情報源を確かめるために2人を捕えて尋問する。殺される間際に2人はなんとか脱出。空爆で破壊されることになる家から、子どもだったトニーと友だち家族を避難させ、トニーは父親を捜すが……少佐は海軍の通信所で空爆を受け、重傷を負っていた。彼はトニーとダグの助けを借りながら、最後の重要な通信をはたすと、トニーの腕の中で息を引き取った。

他の回とはひと味違うドラマチックなエピソードだったが、《視聴者が感情移入し応援している主人公──その父親が日本軍の奇襲攻撃で殺される》というショッキングな内容であったために、日本では視聴者の国民感情をおもんぱかって放送が見送られたのだろう。
この回について、トニー役のジェームス・ダーレンは【特典映像】のインタビューで次のように語っている。


劇中で私は幼い頃の自分に会い、父と対面した。父は攻撃で亡くなったから十年ぶりの再会だ。この役を演じられて役者として誇りに思っている。すばらしい物語だった。私のお気に入りの作品だ。今ふり返っても、真珠湾のエピソードには特別な思いがある。

日本で未放送となった理由もわからないではないが、主役自身もお気に入りだという回が放送されていなかったのは残念だ。もし子どもの時に見ていれば、このエピソードも「また見てみたい」回の1つに入っていたことだろう。
ちなみに日本未放送の回はもう1つあって、それはメモリアルBOX VOL.2 の方に収録されている(第17話:生死を賭けたゲーム/南硫黄島での残留日本兵との奇妙な戦争ゲーム)。

──以上が、『タイム・トンネル』で「また見てみたい」エピソード・ベスト3+1の概要と感想。
メモリアルBOX VOL.1の第1話〜第15話までを久々に鑑賞したが、子どもの頃に見て感じていたのと、おおむね印象は同じだったように思う。子どもの時におもしろいと感じながら見ていた回は、今観てもおもしろい。「今週は今ひとつ盛り上がりに欠けていたなぁ」と感じた回は、今回視聴してもそう感じた。
また、テレビ放送時、子供心に「おかしい」と感じるところもあって……例えばエピソード中にその時代の服に着替えていたダグとトニーが、転送時に突然元の服装に戻るシーンや、タイムトンネルに映し出される映像が、映画のようにカメラ割りされていることなども「ヘンだ」と感じていた。今回視聴していて、ああ、昔も、この場面でこんな「ひっかかり」を感じながら見ていたなぁ……と思い出しすこともいくつかあった。
考証や整合性という点では色々とツッコミ所はあるが、それをものともしない(?)面白さに満ちあふれた作品だったように思う。
今制作するとしたら、こうした味わいは出せないだろうという時代感(古さ?)も含めて、好感が持てる優れたエンターテイメント作品だったことを改めて確認することができた気がする。



『タイム・マシン 特別版』感想 ※『タイム・マシン 80万年後の世界へ』
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『タイム・マシン 特別版』感想


 
現行の放送を受信できるテレビを僕は持っていない。テレビ放送が地デジ化へ移行し、アナログ放送が終了したのを機にテレビから離脱している。
あれからどのくらいの時間が経過したのであろうか……。最近のテレビ番組は見ていないのでさっぱりわからない。年末に発表される流行語大賞など、「何それ?」状態で、なんだか浦島太郎にでもなったみたいな気がしないでもない。

今更テレビ復帰したいとは思わないが……昔、テレビで観た映画などで、また観てみたいと思うものはある。その1つが1960年に製作されたアメリカ映画の『The Time Machine』──H・G・ウェルズの古典SF小説を映画化した作品で邦題は『タイム・マシン 80万年後の世界へ』だった。
子どもの頃にテレビで放送された本作を見て、熱中した記憶がある。後に何度か観ているのだが、久しぶりに『タイム・マシン 80万年後の世界へ』を観てみたくなった。検索してみると『タイム・マシン 特別版』というDVD商品が安価で出ていた。ちなみに2002年に『タイムマシン』というタイトルでリメイク映画が製作されているが、こちらはひどい出来だったので、『タイム・マシン 特別版』が1960年版の方であることを確認して購入した。この商品には『タイム・マシン 80万年後の世界へ』本編102分に加え、映像特典で、メイキング・ドキュメンタリーが48分、オリジナル劇場予告編の映像が2分半程収められていた。

『タイム・マシン 80万年後の世界へ』のストーリーをかいつまんで説明すると──、
冒頭、発明家ジョージの招待を受けた友人たちが彼の家に集まる。ところがホストのジョージがいない。客人達は怪訝がりながらも、数日間行方知れずというジョージ抜きで夕食会を始めようとしていた。そこへ突然ボロボロになったジョージが現れる──このただならない導入部でグッと心をつかまれる。
彼はどこから帰還したのか!? 彼の身にいったい何があったのか!?

「タイムマシン」というアイディアもさることながら、この謎めいたドラマチックな導入が良い。ただ単に「タイムマシンを発明して時間旅行に旅立った」という展開では、この面白さはでなかったろう。
疲れ果てたジョージは友人らに、時間軸を自由に移動できる装置──タイムマシンを発明し、時間の旅をしてきたことを話し始め、彼の回想でドラマが展開する。

タイムマシンの試運転で初めてジョージが降り立ったのは17年後の世界だった。そこで彼は成長した友人デビッドの息子に会い、デビッドが戦死したことを聞かされる。その後も人類の戦争の歴史は後を絶たず、ついに核戦争が勃発。それが引き金となり天変地異が起こりタイムマシンは長い間溶岩に閉じ込められてしまう……そして次にジョージがたどり着いた先は80万年後の世界だった。
そこは自然に囲まれた楽園のような世界で、イーロイと呼ばれる未来人がおおらかに暮らしていた。戦争から解放されたユートピアのようにも思われたが……彼らは無関心・無意欲で文明は崩壊していた。人類は長い戦争の末、地下に潜ったモーロックと地上に残ったイーロイの2つの種族に分かれ、イーロイはモーロックの家畜として養われ、食われていたのだ。
溺れかけところをジョージに救われたことからジョージに関心を示すようになったイーロイの娘ウィーナもモーロックに捕われてしまい、ジョージは彼女や捕われたイーロイたちを救出するためにモーロックの巣窟に乗り込む。
モーロックとの壮絶な闘いの後、ウィーナとも生き別れとなりながら、ジョージはタイムマシンで現在の世界に帰還することができた……。

ボロボロになって帰還したジョージから突飛な体験談を聞かされた友人達は、にわかには信じられないといった反応を示す。ジョージはウィーナからもらってポケットに入れておいた花をとりだす──それが未来から持ちかえった唯一の証拠だった。
友人達が帰った後、ジョージは未来再建のため、ウィーナのいる世界へ再び旅立ってしまう。

この作品を初めて見たのは小学生の頃──スリリングな展開に引き込まれ、若き発明家ジョージの活躍を息をのんで見守った。

人類の未来は輝かしいものだ──科学が発達して高度な文明を築いているだろうと漠然と思い描いていたが、『タイム・マシン 80万年後の世界へ』では文明は崩壊し、人類は人食い人種に成り下がっていた──この展開は意外でショッキングだった。「タイムマシン」「未来世界の意外性」というアイディアがこの物語の核になっているが、映画(映像)の魅力として、タイムマシンのデザイン・造型の秀逸さや、「止まったまま、時間の中を移動する」という概念を視覚的に分かりやすく表現した特殊効果の素晴らしさがあったように思う。今でこそタイムマシンはよく使われるSFツールだが、当時はまだ未知の概念だったろう。誰も見たことが無いものを想像力の力で具現化してみせたスタッフの功績は称賛に値する。この作品はアカデミー特殊効果賞を受賞している。

DVD『タイム・マシン 特別版』で久しぶりに『タイム・マシン 80万年後の世界へ』(1960年製作)を堪能することができた。ところで、この商品には映像特典として『Time Machine:The Journy Back』という48分ほどのドキュメンタリーが収録されている。『タイム・マシン 80万年後の世界へ』で若き発明家を演じていたロッド・テイラーが案内役をつとめ、映画製作の裏話などを紹介したものだ。最後には『タイム・マシン 80万年後の世界へ』後日談のショートドラマも含まれている。この『Time Machine:The Journy Back』が製作されたのはなんと1993年──本編『タイム・マシン 80万年後の世界へ』から33年も経ってのことである。本編を観たあと続けて『Time Machine:The Journy Back』を視聴したのだが……「33年後のロッド・テイラー」を見て「時間(の経過)」というものを改めて実感した。
「本編の《80万年後の世界》」はフィクションだが、「ロッド・テイラーの《33年後の姿》」はリアルだ。映画の中では時間を支配する若き発明家だったロッド・テイラーも時間(老化)の支配を免れることはできず……玉手箱をあけてしまった浦島太郎状態!? そしてドキュメンタリーでは、老けたとはいえ元気だったロッド・テイラーも昨年(2015年1月7日)84歳で亡くなっている。
『タイム・マシン 特別版』で、本編と映像特典を続けて見たことで、はからずしも(?)あらためて「時間」について色々感じたのであった……。

●久しぶりに『ジュラシック・パーク』を観て

https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-109.html

●映画『ゼブラーマン』感想
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-108.html

●映画『七人の侍』の巧みさ
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-110.html

●映画『生きる』について
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-111.html

●橋本忍氏の脚本観
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-112.html

●『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想
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SFメルヘン『地球のタネ』

※400字詰原稿用紙14枚半ほどのSFメルヘン





























個人紙《チャンネルF☆通信》13号(1995.11.25)に載せた『宇宙観』という短編をまったく別のシチュエーションで描きなおしてみたもの。

ちなみに、『宇宙観』はごくごく普通のありふれた男女のハナシ。会話の中でテラフォーミングがでてくる。2人の日常とはかけ離れた全く次元の異なる話題が展開していくが(『地球のタネ』で書かれている内容)、それが最後に男女の現実的なテーマに帰結するという作品。
書きたかったのは「地球にとってガン細胞のようにも思える人類が、実は地球の遺伝子の役割を担った存在だったという世界観の改変」──法廷物の逆転劇みたいな面白さを狙ってのことだったのだが、そうした壮大な次元のハナシを、あえて日常的な舞台で展開し、最後に男女の抱えている日常の問題と重ね合わせることができれば、洒落た感じでまとまるのではないかと考えた。

ところが、『宇宙観』を読んだ友人は、僕が書きたかったことではなく、男女の関係の方に期待して読んだらしい。
読み手にしたら、会話の中でかわされる非日常的な話題より、男女の関係の方に注意が向くのも無理ないかもしれない。
そこで、シンプルな設定でつくりなおしたのが『地球のタネ』ということになる。
宇宙に浮かぶ宇宙船の中での1シーン──そのイメージはハードSFではなくメルヘンに近い(僕が考える狭義の【メルヘン】ではないが)。『地球のタネ』を描いたのは『宇宙観』(1995年)と同じ頃だったのではないかと思う(今回わずかに手を入れてアップ)。

タイトルの「地球のタネ」は、実は僕が考えた言葉ではない。漫画家のますむらひろしさんが月刊MOEにアタゴオルシリーズを連載していた頃に著者のひとこと欄(だったか?)に「《地球の種》の夢みた」というような事を書かれていたように記憶している(たぶん?)。「地球の種」とはまたすごいと感心し、「果たしてそれはどんなものなのだろう?」なんて思ったことがあったので、『宇宙観』の着想から「地球の種」に結びついたところもあったかもしれない。

※本文に不備がありました。改訂版は→地球のタネ

掌篇童話『消えた大発明』

フェレットに続いて飼っていたペットを挿絵の中に描いていた掌篇。これも朝日小学生新聞の読み切り童話で2枚半。掲載時は単色だった挿絵に彩色。

きえた大はつめい







※作&絵・星谷 仁/朝日小学生新聞1993年12月28付

挿絵の中に登場させたのはグリーンイグアナだった。