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ヤニサシガメのプチ飼育

10月半ばから地味~な昆虫を飼育している……。ヤニサシガメという捕食性カメムシの幼虫だ。これまで見かけてもあまり気にとめない昆虫だったが……ちょっと確かめたいことがあってプチ飼育を始めたしだい。その内容については後日まとめて投稿する予定(*)。
そんなわけで、どういう昆虫なのかもあまり知らず、飼育ノウハウも皆無のまま、ヤニサシガメの幼虫をこんな簡易セットで飼うことにした。

容器は100円ショップで買った数個セットになったランチ系(?)グッズ。
枝はヤニサシガメの止まり木用。ここに止まっていれば、エサとなる虫が登って来くるだろうから遭遇率が高まる──狩りのチャンスを増やす場となることを期待しての設置。
濡れたテッシュペーバーを詰めたペットボトルのフタは乾燥防止と水分補給用。テッシュペーバーを詰めたのは水だけだと溺死する危険も配慮して。
フタには通気孔としてピンで孔をあけた。

ヤニサシガメは捕食性なので、エサに生きた虫が必要となる。飼育する幼虫が小さいのでそれなりのサイズの虫でなくてはならない。あまり頑丈そうなものや攻撃力のあるものは避けた方が無難だろう。よく飛んだり跳ねたりする虫は容器を開けた時に逃げ出すとややこしいから、候補から外し……この時期に安定供給できるものは何だろうかとか、どこへ行けば採れるだろうかとあれこれ思案する……。


メダカナガカメムシは、いるところではクズの葉の裏にけっこうみつかる。
サクラの枝の下のフェンスではハバチの仲間の幼虫がよくみつかる。

マテバシイについていた大型のアブラムシ↓。

「昆虫は脱皮をする」なんてことは誰でも知っているあたりまえのことだが、実際に自分の飼育管理下でそれをクリアせねばならないとなると気が気でない。
「妊婦は出産する」というのは誰もが知っているあたりまえのことだが、いざ自分のヨメが出産するとなると右往左往するオットになったような気分……。

擬木の鉛直面で脱皮するヨコヅナサシシガメ幼虫↑とサクラの鉛直面で羽化するヨコヅナサシガメ成虫↓。

ヤニサシガメもおそらく同じようなスタイルだろうと考え、飼育容器の中に樹皮(トウカエデのもの)で鉛直面を設置。脱皮前にはこの鉛直面で動かなくなるだろうと予想していた。

しかし、ヤニサシガメはエサをとらなくなり枝の下にぶら下がる形でじっとしていることが多くなった。脱皮前のようにも思えるが……弱ってきたとも考えられなくはない……。
弱っているのなら、何が悪いのか早急に検討して手を打たねばならない……あれやこれや考えながら気をもんだが、枝にぶら下がったまま無事に脱皮を果たした。

その後、松葉にぶら下がった形で脱皮したヤニサシガメの抜け殻をいくつも見つけた。鉛直面ではなく細いものにぶら下がるのがヤニサシガメの基本的な脱皮スタイルなのかもしれない。


中には脱皮不全のまま絶命している個体も……。

昆虫が脱皮するのはあたりまえのことのように認識していがちだが、自然の中でも脱皮不全や羽化不全は少なからず存在する。こうしたシーンを見ると、脱皮の大変さを改めて実感せずにはいられない。そして飼育下で無事に脱皮までこぎつけたことに、安堵とも感慨ともつかないものを感じるのであった……。
ふだん見かける昆虫は──害虫も含め、こうしたプロセスを経て存在しているのだと思うと、ぞんざいに扱えない気分になる。
美しい姿を撮りたかったのだが、このカミキリはよく飛ぶので現場での撮影は断念。カミキリ屋さんから貴重な1匹を分けていただき、撮影用に持ち帰ったのだが……飼育してみると百日近く生きていた。以下は、その時のプチ記録。


幼虫はヌルデを食い、成虫は桑の若葉を後食するという。そこで、葉がついたクワの若枝を水の入った容器にさして飼育ケースに入れてみた。

成虫は葉の裏にとまって葉脈を食べ始めたのでこの方式で飼育することにした。コノハムシやラミーカミキリのときと同様のスタイル。エサとなるクワの葉はやわらかい若葉を選び、葉がしおれる前に交換。




葉を食べる虫は多い。葉のふちから食べるもの、葉脈の間を食べるものは知っていたが、葉脈を食べるというのは面白と思った(葉を後食するカミキリではふつう)。葉の裏に隠れたまま食事ができるということは天敵の鳥等から見つかりにくいという利点もありそうだ。
食痕(かじった痕)は葉脈部分は変色したりスリット状に穴があくので、こうした食痕のある葉がカミキリ探しでは手がかりになる。


指の上で触覚の手入れをするイッシキキモンカミキリ。ウサギが耳の手入れをしているような感じにも見える。体の掃除も、動物の毛繕いを思わせる。昆虫もけっこうキレイ好きである。
この頃になると背中の黄色いもようはだいぶかすれてきており(飼育ケース内でもよくとぶので、壁にあたり床に落ちて微毛がとれるようだ)、最初は4つあったドットも2つになっている(肩近くのドットが消失している)。


飼育を始めて3ヶ月余り──11月に入ると桑の葉も枯れてきて、やわらかい葉を調達するのが困難になってきた。11月8日にはまだ葉脈をかじっていたが、11月10日未明に死んでいるのを確認。
桑の若葉さえあれば、あるいはもう少し長く生かしておくことができたのかもしれない。
また採集された成虫を飼育下で生かし続けるのは難しいだろうという先入観もあったのだが……これが意外に長生きし、結局、採集日から98日ほど生きていたことになる。
どうして発生が局所的なのか、ちょっと不思議な気がする。

広がり続ける昆虫もいれば、局所的にしか発生しない昆虫もいる……なぜなのかわからないが、フシギでおもしろい。
礼服姿のガチャピン!? 燕尾服のキョンシー!?

テレビ番組『探偵ナイトスクープ』(テレビ朝日系)で「礼服を着たガチャピン」と紹介されたこともあるという、ユニークなデザインが人気の(?)カミキリ。前胸背板の2つの紋がジャイアントパンダのくまどりに見えることから「パンダカミキリ」と呼ぶ人もいる。ドクロのように見えるという人もいるし、僕が初めて見た時は「燕尾服(えんびふく)姿のキョンシー」に見えた。ポケットチーフまで(なぜか両胸に)のぞかせていて、なかなかシャレている。
幕末から明治にかけて繊維を採るために輸入されたラミー(カラムシの栽培種)という植物についてきた外来種らしい。
少し前まで(?)分布は西日本限定だったようだが、温暖化の影響か近年生息域を北上させていて、20世紀末に東京の多摩地区でも確認されたという。
生息域を拡大中というので、いつかは狭山丘陵や武蔵野でも見られるようになるかもしれないと思っていたが……そのラミーカミキリが、ついに(?)自宅近くにも侵出!?
先日、市街地を流れる野火止用水沿いのカラムシにラミーカミキリのものとおもわれる食痕を発見した!


成虫はカラムシ・ヤブマオ・ムクゲなどにつき、新しい茎をかじったり葉の裏から葉脈をかじったりする。
そのため(ラミーカミキリがいると)穂先がしおれていたり葉が白い裏側を見せていたりする。


2005年にプチ飼育した奥多摩産ラミーカミキリ
地元での再会を機に、2005年に飼育したときの記録をふり返って、簡単にまとめておくことにした。画像隅の数字は撮影年月日。
2005年8月3日に奥多摩にて採集した3匹(♂1匹・♀2匹)を小型のプラスチック飼育ケージ(幅:18cm/奥行:11cm/高さ:14cm)で飼育。

エサのカラムシは新鮮なものと毎日交換していた。成虫は葉の裏にとまって葉脈を、あるいは新しい茎を後食する。

そして……、


産卵痕とおぼしき箇所で茎を折ってみたところ──予想どおり茎の中に卵を発見。
傷だけつけられ卵がみつからなかった空家(?)もあったが、2個産みつけられている所もあった。一つの茎で数個の卵を確認。
後日、産卵行動を見ることができた。

この♀は8月21日(飼育18日目)前後、数日にわたって産卵していた。
茎に産みつけられた卵のその後は観察していないが、孵化した幼虫は茎を下へ食べ進み根に入って蛹化、成虫になって越冬するという。
もようの白い部分(うすいブルーの個体もいる)は、黒地の上にコーティング(?)されたもの(微毛?)らしい。ラミーカミキリはよく飛ぶので、くり返し飛翔し容器の壁にぶつかったり床に落下して白い部分がはげおちていくようだ。

飼育を始めて1ヶ月半たった個体(↑)。特徴的な前胸背板の2つの紋はつながってしまった。こうなると「パンダ」ではなくミラクル☆スターやミラクル☆キッドのゴーグルのよう!?

【ラミーカミキリ飼育メモ】*ラミーカミキリ/オスとメスの違い
・2005.08.03/奥多摩にて採集。♂1匹・♀2匹。
・2005.08.09/♀1匹が死亡(飼育6日目)。
・2005.08.21/残っていた♀がカラムシの茎に産卵したのを確認。
・2005.09.02/残っていた♀1匹が死亡(飼育30日目)。
・2005.09.20/最後まで残っていた♂が死亡(飼育開始から48日)。
*ラミーカミキリ&シラハタリンゴカミキリ
「噛まれると、その【日ばかり】しか命が持たない」というのが名前の由来だそうだが、実際は無毒のおとなしい和ヘビである。
※このあとヘビの画像が出て来るので、嫌いな人は注意されたし
ヘビの不思議&魅力
ヘビが嫌い、あるいは怖いという人は多い。「風変わりで未知なるもの」に対する「不気味さ」がその理由の1つだろう。しかし、この「風変わりで未知なるもの」という点が、不思議で興味深いところでもある。
まず一見してわかる特徴が「ヘビは脚を持たない」ことだ。進化の途上で地中に潜っていた時期があって退化したという。その容姿も風変わりだが、さらに驚くのは「脚がないのにスムーズに移動できる」ということだ。
ヘビにはいくつかの歩き方(?)があるが、よく見かけるS字に体をくねらせて滑るように進む「蛇行運動」は見事である。地面に描くS字の形を変えずに頸部が通ったあとを胴・尾と続いて通っていく。草のかげにその一部がのぞいているときなど、ホース状の物体がふくらんだのち細くしぼんでいき消えていく──そんなふうに見える事もあって「四次元物体が三次元空間を通過したかのようだ」などと感心したこともあった。
このヘビの蛇行運動は、まるで意志をもった小さな川の流れのようでもある。この小さな流れは下から上へも移動できるし、木にさえ上る。手足が無いのにスムーズに移動するようすにはマジックを見せられているような驚きさえ感じる。
蛇行運動では複雑な力学運動で体を一定の方向に滑らすことで移動している。ざっくり言えばアイススケートのようなものだ。マイケル・ジャクソンのムーンウォークを初めて見たときは驚いたが、ヘビの蛇行運動にもそんなトリッキーな面白さが感じられる。
●自分の頭より大きな獲物を丸呑みにできる!
(もちろん手で押し込んだりできない)
●頸より太い獲物を丸呑みにできる!
●口を開けずに舌を出し入れできる!
等々。文章にしてみると、なんだかちょっと眉唾ネタのような感じがしないでもない。
まるで「正座をしたまま頭の上に置かれたリンゴを蹴落とすことができる」みたいなジョークのようだ。
しかし、もちろんこれらは本当のことだ。
ヒバカリの飼育プチ記録



下あごの骨は左右つながっておらず(先端が弾力のあるじん帯でつながっているだけ)、クワガタの大顎のように左右に広げることができる。左右独立した下あごの片側で獲物をしっかりおさえ、もう片方の側で深くくわえ直してひきよせる。この動きを左右交互にくりかえすことで、次第に獲物を深くくわ込み食道に送り込むことができるわけだ。
また、獲物が喉につかえて窒息しないように気管が下あごまでのびてきている。

魚をとらえた時は頭から呑み込むものだと思っていたが、必ずしもそうではない。ただし、頭から呑み込むときより尾から呑み込む方がずっと時間がかかる。
ヘビは獲物を丸呑みするため、頸や胴は大きく広がる。ひろがった部分では、ふだんウロコの下にたたまれている皮膚がのぞく。
餌には魚やオタマジャクシを与えていたが、幼蛇にはミミズを与えたこともあった。ただ、釣具店で市販されているシマミミズは毒成分(ライセニン)を持つので餌には不適。当時それを知らずに与えたところ、呑み込んですぐ吐き出してしまった。
ヘビの眼を覆ったコンタクトレンズのような透明なウロコも脱皮のさいには古い皮といっしょに脱げる。脱皮で表面の古いウロコがきれいに剥離するための準備なのだろう。脱皮が近づくとヘビの眼は白っぽく濁ってくる。

脱皮は吻端からめくるようにおこり、反転した頭部が自分の体を呑み込んでいくように進む。この様子も他の動物では見られない不思議な光景だろう。
脱ぎ終えた抜け殻は裏返ったストッキングのような形で残る。


卵は柔らかく、水分を吸って膨らむ。孵化のさい子ヘビは卵を「割って」出て来るのではなく「切って」出てくる。






この飼育槽に♂と♀の2匹を入れており、シェルター(小箱)も2つ用意したが、2匹はたいてい同じ箱に入っていた。
[追記]我流飼育方法
上の記事をアップした後、「ヒバカリ」を検索して下記サイトをみつけた。http://allabout.co.jp/gm/gc/69803/
http://allabout.co.jp/gm/gc/69803/2/
http://allabout.co.jp/gm/gc/69803/3/
僕のヒバカリ飼育方法とは違っているところがあり(僕のは我流なので当然といえば当然なのだが)、ちょっと驚いた箇所もあった。そこで上記サイトの飼育法とは違う点について僕の飼育方法と考え方について少し加筆しておくことにした。
※どの飼育方法が正しい──ということではなく、僕はこう考えて飼育環境を作ったという説明である。
湿度を保つことを重視してのことのようだ。
土を使い、しかも湿度を保つとなると、雑菌の温床になりそうな気がしないでもない。
ヘビは消化力が強くて丸呑みにした餌を見事に消化してしまう。糞はアンモニア臭がするのできれいに取り除いておきたいものだ。マットや土では染み込んでしまうのでキレイに取り除くのは難しいのではないか?
新聞紙なら「しみた部分ごと」丸ごと交換してしまえば良いのだから、手っ取り早くて衛生的だと考えていた。
「冬眠」が生き物にとって大きな負荷をかけることは容易に想像できる。
自然界では冬眠をしないと生き残れないので選択肢はそれしかないわけだが、健康・体力に問題がある個体だと冬を越せずに死んでしまうケースも少なくないのではないか。
飼育下では人が温度や湿度・餌の管理ができるのだから、なるべく負荷をかけない方法を選択した方が無難だろう──というのが僕の考え方だ。
そうしたことと関係があるのかもしれないが、うちでは冬眠をさせずに飼育していたヒバカリは、年々産卵の時期が早まっていった。

エサの葉は天井や壁に接するようにレイアウト。若齢幼虫は高い所を目指してよく歩くので葉から離れて戻れなくなってしまうことがある。離脱してしまい壁や天井を徘徊することになっても葉が接していれば戻ることができる。
中には孵化や脱皮のとき、あるいはちょっとしたことで脚が取れてしまった個体もいる。しかし、コノハムシは脚を再生することができる。