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シラハタリンゴカミキリとスイカズラ開花

タキシード姿のキョンシー!?ラミーカミキリ現る

タキシード姿のキョンシーか!? パンダカミキリか? はたまた礼服を着たガチャピンか!?!──前に記事の最後でちょろっと触れたが、今年もラミーカミキリの出現を確認できた。




ラミーカミキリは、幕末から明治にかけて侵入したとみられている外来種だそうで、少し前までは見たことがない昆虫だった(東京で生息が確認されたのは20世紀末だとか)。僕が初めてこのカミキリを目にしたのは2005年、奥多摩だった。東京の自宅近くで発生しているのを確認したのが2012年。つい最近のことだ。自然が減り、虫も減ったというが、僕が子どもの頃には見られなかった昆虫は増えている。ラミーカミキリもその1つだ。
これまで何度かネタにし、去年も【ラミーカミキリ&シラハタリンゴカミキリ】で紹介しているので、今回はサラッと流す。
ラミーカミキリが出現したとなると……そろそろかと思うのが、シラハタリンゴカミキリだ。

スイカズラの開花とシラハタリンゴカミキリ

こどもの頃、夏に雑木林で樹液の発酵したニオイを嗅ぐとカブトムシを連想したものだが……同じように、この時期スイカズラの甘い香りを嗅ぐとシラハタリンゴカミキリが頭に浮かぶ──シラハタリンゴカミキリはスイカズラの花が咲く頃に出現するカミキリだ。
そして今年もスイカズラが咲き始めた。
去年は自宅近く(東京都)でラミーカミキリの出現を確認してまもなくシラハタリンゴカミキリの出現(狭山丘陵埼玉県側)を確認している。今年も先日、ラミーカミキリを確認したので、シラハタリンゴカミキリもそろそろ現れるのではないか──と予想し、去年初個体を見つけた場所へ行ってみた。
去年の記事では雪をかぶった富士山の画像を上げていたので、今年も富士山のようすを↓


去年より6日早いが、狭山湖ごしに見える富士山は去年より雪融けが進んでいる(昨年は大雪があったので雪融けも遅かったのだろう)。
目的地のスイカズラは咲き始めたばかり。多くがつぼみだが、ちらほら咲いている花もある──といったところ。1年ぶりの甘い香りがほんのりただよう。


シラハタリンゴカミキリはスイカズラの葉の裏にとまって葉脈をかじる。なので発生していくらか経つとこの独特の食痕が目立つようになり、これをたよりにシラハタリンゴカミキリがいるかいないか見当をつけることができる。しかし発生直後はまだ食痕が少ないので見つけにくい。葉の裏をざっとのぞいて見たが、シラハタリンゴカミキリの姿を見つけることはできなかった。
まだわずかに早かったかと思い、早々にあきらめて周辺の状況をチェックしながら散策。
すると、別の場所でシラハタリンゴカミキリらしき飛翔体を2匹目撃──正体を確かめるべく後を追うが見失ってしまった。だが、その近くで開花がいくらか進んだスイカズラを見つけた。


シラハタリンゴカミキリ発生の期待が再び高まる。問題のスイカズラをじっくり見ていくと……。


これは確実に出現している!──と確信したが、この葉の裏にはいなかった。他に食痕がある葉はないかと探していると──、


葉の中央に作成中(?)の食痕が目に入り、ほぼ同時に、その葉の裏からのぞいている触角に気がついた。


ということで、今シーズン初のシラハタリンゴカミキリの確認ショットはおさえた。あとはちゃんとした画像を撮っておきたいところ。撮りづらい位置にいたので慎重にカメラを近づけるが……シラハタリンゴカミキリは動き出してしまった。
去年はシラハタリンゴカミキリを見つけた後、なかなか撮らせてもらえずに苦労した。「見つけても、撮らせてもらうまでが大変」──そんな記憶がよみがえる。例によって飛び去ってしまうのだろうな……と思ったとおり何度か飛翔したものの、すぐ近くの葉に降りたりカメラのストラップにとまったりし、結果としてこの個体は思いのほか良いモデルとなった。そんなわけで、以下の画像はすべてこの1匹──同じ個体。












カミキリ界のゼフィルス?

年に1度、スイカズラが咲くころ、ほんの一時期現れては消えて行くシラハタリンゴカミキリ。《シーズン限定のはかない命》という点では、チョウの「ゼフィルス」や「スプリング・エフェメラル」などと、ちょっとイメージが重なるような気がしないでもない。
それにしても、スイカズラの開花とそれにリンクしたかのように出現するシラハタリンゴカミキリ──このみごとなタイミングの合致は不思議な気がする。
シラハタリンゴカミキリはスイカズラ(東北地方ではヒョウタンボクらしい)に集まるが、その花に来るわけではない。花粉や蜜ではなく葉脈を食べる。ならば、花が咲く時期に正確に出現時期をあわせる必要などないはずだ。開花と少しずれたところで、後食すべく葉にありつくことばできるだろうに……。
なのに僕の少ない観察経験からすると、開花にちょうど合わせて出てくるように感じられる。もしかして、スイカズラの開花で放たれる甘い香りがシラハタリンゴカミキリの「出動(羽脱)スイッチ」になっているのではないか──そんな気もしないではない。

あるいは……と、幻想的なイメージが広がる。
スイカズラが放つ甘い香り──実はこれこそがシラハタリンゴカミキリの正体なのではないか?
シラハタリンゴカミキリは《芳香の化身》!? もしくはスイカズラが放つ甘い香りが生み出す《幻覚》……だから開花とともに現れ、花が終わってその香りが消えると、その姿も見えなくなる……。
スイカズラの開花とともに現れ、花が終わる頃にこつ然と姿を消すシラハタリンゴカミキリ……スイカズラの香りに包まれてシラハタリンゴカミキリの姿を探していると、ついそんな妄想をしてしまうのであった。

イッシキキモンカミキリ/成虫飼育覚書

【イッシキキモンカミキリ】という美しくユニークなデザインのカミキリがいる。生息地域は局所的で、どこでも見られる種類ではないらしい。8年ほど前、知人のカミキリ屋さんの採集に同行させてもらう機会があって、そのとき初めてこのカミキリを見た。
美しい姿を撮りたかったのだが、このカミキリはよく飛ぶので現場での撮影は断念。カミキリ屋さんから貴重な1匹を分けていただき、撮影用に持ち帰ったのだが……飼育してみると百日近く生きていた。以下は、その時のプチ記録。





幼虫はヌルデを食い、成虫は桑の若葉を後食するという。そこで、葉がついたクワの若枝を水の入った容器にさして飼育ケースに入れてみた。


成虫は葉の裏にとまって葉脈を食べ始めたのでこの方式で飼育することにした。コノハムシラミーカミキリのときと同様のスタイル。エサとなるクワの葉はやわらかい若葉を選び、葉がしおれる前に交換。








葉を食べる虫は多い。葉のふちから食べるもの、葉脈の間を食べるものは知っていたが、葉脈を食べるというのは面白と思った(葉を後食するカミキリではふつう)。葉の裏に隠れたまま食事ができるということは天敵の鳥等から見つかりにくいという利点もありそうだ。
食痕(かじった痕)は葉脈部分は変色したりスリット状に穴があくので、こうした食痕のある葉がカミキリ探しでは手がかりになる。

当初は良く飛ぶので餌交換のさいに神経を使っていたが、飼育しているうちに触覚などの動き、活動パターンなどから、飛びそうな状態が察知できるようになり、状況を見て飼育ケースから出して撮影できるようになった。




指の上で触覚の手入れをするイッシキキモンカミキリ。ウサギが耳の手入れをしているような感じにも見える。体の掃除も、動物の毛繕いを思わせる。昆虫もけっこうキレイ好きである。
この頃になると背中の黄色いもようはだいぶかすれてきており(飼育ケース内でもよくとぶので、壁にあたり床に落ちて微毛がとれるようだ)、最初は4つあったドットも2つになっている(肩近くのドットが消失している)。




飼育を始めて3ヶ月余り──11月に入ると桑の葉も枯れてきて、やわらかい葉を調達するのが困難になってきた。11月8日にはまだ葉脈をかじっていたが、11月10日未明に死んでいるのを確認。
桑の若葉さえあれば、あるいはもう少し長く生かしておくことができたのかもしれない。

当初、イッシキキモンカミキリ成虫の発生期間は1ヶ月かそこらだと思っており、また1個体がそれだけ長い間生きてるわけでもないだろうと考えていた。
また採集された成虫を飼育下で生かし続けるのは難しいだろうという先入観もあったのだが……これが意外に長生きし、結局、採集日から98日ほど生きていたことになる。

飼育下でもこれだけ生きられたのだから、成虫の生息環境としては、奥多摩でなくても──狭山丘陵の緑地あたりでも暮らせそうな気がする。成虫のエサとなるクワも多いし、幼虫の餌となるヌルデもある。
どうして発生が局所的なのか、ちょっと不思議な気がする。

余談だが、このイッシキキモンカミキリが採集された同じ日(2005.8.3)、現地(奥多摩)で初めてラミーカミキリを見つけ、これも持ち帰って同じように飼育した(ラミーカミキリに与えた葉はクワではなくカラムシ)。当時は東京ではまたラミーカミキリは珍しかった気がするが、ラミーカミキリは生息域を広げているようで、去年初めて自宅近くでも発生しているのを確認。今年も同じ場所で見る事ができた↓。


広がり続ける昆虫もいれば、局所的にしか発生しない昆虫もいる……なぜなのかわからないが、フシギでおもしろい。


町の中でも見られる瑠璃色のぷちカミキリ



市街地でみられるルリカミキリ

そろそろ出ているのではないかと思い、先日、市内のカナメモチの植え込みを見に行ってみた。


葉のうらを探していくと、特有の食痕(葉脈が齧られて黒っぽく変色)を発見。




成虫はよく葉の裏にとまって葉脈をかじっていたりする(後食)。




小さいが美しくてキュートなカミキリ。ナシやリンゴなどの害虫だそうで、昔からいたのだろうが、僕が子供だった頃には見たことがなかった。当時は生け垣と言えばマサキやヒノキが主流で、カナメモチは少なかった気がする。いつの頃からか新芽の赤さが目をひくカナメモチ(やベニカナメモチ・レッドロビン)が増えたことでルリカミキリも市街地で見られるようになったのではないかと思う。
僕が初めてルリカミキリを見たのは2006年、市内のカナメモチの植え込み(画像の場所)でだった。飴色に光沢のある美しい瑠璃色、カミキリのイメージをデフォルメしたようなスタイル──こんなかわいい昆虫が町の中で見られるとは驚きだった。











園芸方面の人たちにとっては「害虫」なのだろうが、市街地でこんな虫と出会うと、ちょっと心がはずむ。
見た目の美しさ・可愛さも、もちろん魅力だが、日常の中にひそんでいた非日常を見つけたような──そんな高揚感もあったりする。

ヒトがヒトのために意図し、設計・改変した世界(人為的環境)の中で、ヒトの意図・都合とは別のところで生命活動を続けている存在──瑠璃色の小さな虫に「自然の意志」のようなものを感じないでもない。
人工的に管理された街の中に密かに存在する小さな自然──日常空間の中に垣間見える異世界……センス・オブ・ワンダーを刺激する小さな昆虫の1つがルリカミキリだったりする。

カナメモチやレッドロビンの生け垣をみかけたら、葉の裏をのぞいてみると、意外にあっけなく見つけられるかもしれない。