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冬にだけ現れる〝青い天使の翼〟を持つ妖虫

01一文字冬波尺♀青翅A
〝冬にだけ現れる陸のクリオネ〟──そんなキャッチフレーズをつけたくなるイチモジフユナミシャクのメス。この昆虫については前回の記事で投稿したばかりだが、その後〝天使の翼〟にも見える小ぶりの翅がイイ感じに青い個体を見つけたのでアップしておくことにした。

青い〝天使の翼〟と黒い〝天使の輪〟を持つ妖虫
02一文字冬波尺♀青翅B
03一文字冬波尺♀青翅C
〝天使の翼〟を思わせる小ぶりの翅──これが鮮やかな青緑色の個体。天使には〝天使の輪〟がつきものだが……イチモジフユナミシャク♀は腹の側面に黒い輪を配している。
04一文字冬波尺♀青翅D
腹の側面にある輪紋は、腹節ごとにある気門をとり巻く形で、個体によって大きさに変異がある。はちきれんほどに膨らんでいる腹には卵が詰まっている。
05一文字冬波尺♀青翅E
のびきった腹節の継ぎ目では薄皮を通して卵がうっすら透けて見える。このメスは翅の青味が濃く黒帯模様がない個体だった。
06一文字冬波尺♀青翅F
腹がMAXに膨れた産卵前のメスに対し──産卵後の、腹が縮んだメス⬇️。
07一文字冬波尺♀産卵後
産卵の前後でメスのプロポーションは大きく変化する。こちらのメスには翅に黒帯模様があった。

羽化して間もないイチモジフユナミシャク・オス
羽化したてと思われるイチモジフユナミシャクのオスがサクラの根本近くにとまって翅を展開中だった。
08一文字冬波尺♂羽化後
飛ぶことができる大きな翅を持ったオスは、メスとは似ても似つかない。
09一文字冬波尺♂成虫

クリオネ風!?イチモジフユナミシャク♀
10一文字冬波尺♀青翅G
冒頭のブルーが鮮やかなメスを撮影した翌日。同じサクラの古木で見つけた個体。これも青味が濃い翅に黒帯模様がない……もしやと思って確認すると、模様(黒い鱗粉の配置)からして冒頭の個体と同じだった。前日サクラの根本で撮影していた時には、前述のオス同様、羽化後翅を展開している最中だったのかもしれない。卵が透けていた腹節の継ぎ目は、腹をいくぶん反らすことでふさがっている。フォルムはちょっぴりクリオネ風!?
年末に目にしたイチモジフユナミシャク♀のうち、比較的キレイだった個体を追加しておく。

11一文字冬波尺♀帯切
前翅の黒帯模様が途中で途切れているもの⬆️とつながっているもの⬇️。
12一文字冬波尺♀D1
13一文字冬波尺♀D2
14一文字冬波尺♀D3


まるで別種なフユシャクの♂と♀〜冬尺蛾記事一覧
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イチモジフユナミシャク2023DEC
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イチモジフユナミシャク2023DEC

イチモジフユナミシャク:2023年12月
01一文字冬波尺♀@桜A1
12月中旬から姿を見せ始めたイチモジフユナミシャク。冬にだけ現れる蛾:フユシャクの1つで、メスのフォルムは「流氷の天使」「氷の妖精」などと呼ぼれるクリオネっぽくもあり、不思議な味わいがある。
02一文字冬波尺♀@桜A2
サクラの幹でよく見られるイチモジフユナミシャクのメス。小さな翅(退化して飛ぶことはできない)はうっすら青緑色を帯びていて、サクラの樹皮にありがちな地衣類にまぎれる隠蔽効果があるのではないかと僕は考えている。サクラの幹でイチモジフユナミシャク♀を探していると地衣類と誤認することもしばしばあるからだ。
03地衣類@桜
04一文字冬波尺♀地衣類
05一文字冬波尺♀@桜B
淡いブルーの小さな翅は魅力的だが……これはメスだけ。オスは全く違う姿をしている。
06一文字冬波尺♂♀擬木
擬木にとまっていたイチモジフユナミシャクのオスとメス。ユニークなメスとは打って変わってオスの姿は〝ふつうのガ〟──オスは飛ぶとができ、それにふさわしい翅を持っている。
07一文字冬波尺♂A
体型が違うばかりか体色も違っている。大きな翅を持つオスの方は枯葉にまぎれる隠蔽擬態なのだろう。
08一文字冬波尺♀C
体型も体色も違うイチモジフユナミシャクのオスとメス──知らない人が見たら、同じ種類の昆虫だとは思わないだろう。
和名の「イチモジフユナミシャク」はオスの翅の「一文字」模様と「波」模様に由来していそう(?)。ナミシャク(波尺蛾)亜科のフユシャクなので、亜科名の前に「冬」がついている。
09一文字冬波尺♂B
10一文字冬波尺♂C
11一文字冬波尺♂D
フユシャクは擬木でもよく見つかる。
12一文字&冬尺♀
フユシャクのメスはどれも翅が退化しているが、種類によって退化の度合い(翅の大きさ)は様々。フユシャク亜科のフユシャクではメスの翅は消失してしまっていたりする。
13一文字冬波尺♀D1
14一文字冬波尺♀D2
15一文字冬波尺♀D3
16冬尺亜科♀A
翅が消失したフユシャク亜科のメスはどれもよく似ており、単独でいると僕には識別が難しい。ペアになっているとオスの翅の模様から判断できる。
17二筋冬尺ペア
フユシャクはオスとメスの見た目がかけ離れている(性的二型が顕著)。慣用句に「似たもの夫婦」というのがあるが、この反対のケースについて「フユシャク夫婦」という言葉があっても良さそうな気がする……。



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10月末のアブラゼミほか

01アブラゼミ
10月22日には関東でも今シーズン初の冠雪が観測されたそうだが……気温も下がってきた中、東京では10月29日にまだアブラゼミの姿が見られた。セミといえば夏のイメージがあるが、意外に遅くまで鳴いている個体がいたりする。これまで僕が確認した最も遅いアブラゼミの終鳴日は2018年の11月10日だった。
とはいえ、10月も末になると晩秋の蛾・ケンモンミドリキリガも現れた。
02剣紋緑切蛾A
03剣紋緑切蛾B
この美しい蛾が見られるようになると、じきにフユシャク(冬尺蛾)の時期がやってくる──ケンモンミドリキリガにはプレフユシャクといったイメージがある。初々しい成虫はフラッシュ撮影すると鱗粉が輝いていた。
04剣紋緑切蛾C
緑や青系の蛾は美しいものが多いように思うが、やはり緑がかったウスミドリナミシャク⬇️。
05薄緑波尺A
美しいといえば、ウスキツバメエダシャクもシックでエレガントな蛾。
06薄黄燕枝尺
この仲間は似た種類がいくつかあって、翅を見ただけでは特定が難しい。顔のカラーリングも同定のポイントということで、顔を確認してウスキツバメエダシャクと判断した。
緑の中に枯葉が増えてきたが、これに紛れるようにとまっているホシホウジャクがいた。飛びながら花を吸っている姿はハチドリのようだが、とまった姿は枯葉っぽい……宝石のようなハチドリとは対照的な姿になるのががおもしろい。
07星蜂雀A
08星蜂雀B
ホシホウジャクの頭から胸の背面にかけて、モフモフの背中に縦に走る一本線を見ると、ヤマネやジャンガリアンハムスターを連想してしまう。一見地味だが、よくみるとなかなか味わいがある。
09星蜂雀C
先日、雑木林のふちを歩いていると、2人の男児とその母親と思しき人が地面を覗き込んでいた。母親らしい人は熱心にスマートフォンを地面に向けている。何を撮っているのかと覗き込んでみると、シャッチーことシャチホコガの幼虫であった。
「これ、なんでしょうね?」と興味津々だったので教えてさしあげた。なんだかわからないが奇妙キテレツな虫がいるということで撮影していたらしい。
10シャチホコガ幼虫A
初見の母子を釘付けにするシャチホコガ幼虫のインパクトはさすが。そのルックスは怪獣を凌ぐ!?

11シャッチー合成B再
 ※怪虫シャッチー(シャチホコガ幼虫)イモコレ!2に!


立冬すぎのアブラゼミ!
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若齢シャッチー(シャチホコガ幼虫)
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枯葉チックなヒメエグリバ

ちぢれた枯葉になりきった蛾:ヒメエグリバ
01ヒメエグリバA
枝先にぶら下がった枯葉……知らなければ、そう見えてしまうヒメエグリバ(蛾)。縮れてカールし、いびつな形に見えるが、これは翅の模様によるトリック──凸凹に見える部分は騙し絵模様になっている。ヒメエグリバは頭を下にしてとまるが、この姿勢だとでっぱり模様の下側に影模様が位置するので自然に見える。下向きにとまると大きな複眼も目立ちにくく、隠蔽擬態の完成度が高まる。
02ヒメエグリバB
フラッシュ発光で撮ると、影模様の鱗粉が輝き、大きな複眼も明瞭になる。
03ヒメエグリバC
04ヒメエグリバD
05ヒメエグリバE
縮れた枯葉のように見えるが、凸凹が模様であることは背面から撮るとわかる。模様が施された翅は実際には凸凹ではない。
06ヒメエグリバF
ヒメエグリバのフォルムは、8月に投稿したやはり枯葉擬態のアカエグリバとよく似ているが、見た目の印象(ちぢれ感)はずんぶん違っている。
07ヒメ&アカエグリバ
ついでに……枯葉っぽい色合いの蛾で、綺麗なのがいたので撮ってみた。オオウンモンクチバのようだ。
08大雲紋朽葉


枯葉より枯葉なアカエグリバ
アカエグリバ&ヒメエグリバの枯葉擬態
ヒメエグリバのトリックアート
枯葉擬態ヒメエグリバ〜昆虫空目
多様な枯葉に化けるヒメエグリバ
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ナンチャッテ雀蜂コシアカスカシバ

なんちゃってスズメバチ!?コシアカスカシバ
01腰赤透翅a
スズメバチ類に擬態した蛾コシアカスカシバ──先月にも記事にしているが、その時はすぐに飛び去ってしまい、単一アングルしか撮影できなかった。残念に思っていたところ、また見つけることができたので、アングルを変えながら撮ってみた。スズメバチ・オーラをかもす風貌──これで蛾だというのだから感心してしまう。進化の不思議には驚き・感心するばかり。
02大雀蜂&姫雀蜂
アンタッチャブルな危険昆虫スズメバチ類⬆️に似せることで、襲われにくくなり生存率を高めるという生存戦略なのだろう。

03腰赤透翅b
04腰赤透翅c
05腰赤透翅d
06腰赤透翅e


蜂の威を借る蛾コシアカスカシバ
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