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強風に耐えるウスタビガ

ウスタビガin強風:4つの眼状紋は透明



強風にあおられ翅をヒラつかせながら、飛ばされまいと懸命に支柱にしがみついているウスタビガがいた。風がやわらぐ瞬間を狙って撮った画像↓。


大きくて(開張:75~110mm)美しい蛾。4枚の翅それぞれに1つずつ眼状紋(目玉模様)がついているが、この4つの眼状紋は丸窓のように透けているのがよくわかる。


風にほんろうされるウスタビガ。




この画像↑では右前翅の眼状紋でない部分も鱗粉が剥げかけているのか(?)若干透けているようにも見える。オオスカシバのように、翅の地色は透明で、眼状紋以外の部分が鱗粉で塗装(?)されているということなのだろうか?
だとすれば《眼状紋が透明》というより、《(透明な翅の)眼状紋以外の部分が(鱗粉で)着色》なのかもしれない?

ウスタビガの繭は美しくてユニーク



冬になると、葉を落として裸になった枝先に鮮やかな緑色が目立つウスタビガの繭↑(昨年12月に撮影)。繭が作られる6月頃には、緑色の葉に紛れて隠蔽されている。羽化は晩秋なので、冬に見られる繭は本来もぬけの殻(寄生蜂が入っていることもある)。羽化した母蛾が卵を産みつけていることもある。


繭の上部はガマグチのように開閉するつくりになっているため、羽化のさいに繭を壊さずに成虫が脱出できる。なので羽化後も繭の形はきれいなまま保たれている。繭の底には孔(雨水の排出孔?)が開いて、なかなかこった作りになっている。
ちなみに、セミヤドリガの繭も同じようなガマグチ構造で、左右から押すと口が開く。




(※【セミヤドリガの繭と蛹】より再掲載↑)
セミヤドリガは繭から蛹がせり出して羽化するが、ウスタビガでは蛹(抜け殻)は繭の中に残される(繭からは羽化した成虫がでてくる)。
ウスタビガ繭の密度が高い木↓。


(※【メダカチビカワゴミムシの最後っ屁ほか】より再掲載↑)

ウスタビガは幼虫も美しくてユニーク



緑の体に青い突起が美しいウスタビガの幼虫。




(※【メダカチビカワゴミムシの最後っ屁ほか】より再掲載↑)
幼虫は触れるとチーチーとネズミの鳴き声のような音をだす。敵をひるます威嚇のような効果でもあるのだろうか? 幼虫もちょっと面白くて魅力的。

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羽化したセミヤドリガ

雨の止み間に羽化していたセミヤドリガ



9月の初めに観察することができたセミヤドリガの羽化──その瞬間を見逃すまいと頻繁に繭チェックを続けていたわけだが、その際に他にもセミヤドリガの繭をいくつか見つけており、あわよくばそれらの羽化シーンもおさえられれば……などと虫の良いことを考えていた。これまで2度、羽化シーンを観察しているが(*)、白い綿毛に包まれた繭から蛹がせりだし始めてから羽化終了までは短い。そのわずかなタイミングを押さえるのは難しそうだが……いくつかの繭をチェックしていれば、1つくらいヒットすることがあるかも知れない……くらいの気持ちでチェックを続けていた。
しかし、草刈りなどで撤去されてしまったり、剥がされていたり(人が剥がしたのか鳥などに食われたのか不明)、2週間以上経っているのに変化がないものがあったり(寄生されたりして死んでしまったのか?)……空振りが続いていた。
そんな中、トチノキの幹に作られていた繭で、羽化して間もないと思われるセミヤドリガを見ることができた。羽化シーンを見逃したのは残念だが、繭に止まった新品(?)の成虫をみることができたので、テンションが上がる。
実はこの日は雨が降ったり止んだりをくり返し、羽化にはあまりふさわしくない天気のように思われた。昼前にはしっかり降っていたのでチェックに行くのをあきらめようかとも思っていたのだが……昼過ぎに雨が上がったので、とりあえず確かめに出かけてみると、繭に羽化して間もないと思われる成虫が止まっていたのだった。


これ↑が1週間前に見つけたときのセミヤドリガの繭。このときすでに繭をおおう綿毛が雨に濡れた後のようだったので、作られてから数日が経過していると思われた。そしてこの1週間後、雨の止み間に見に行ったときの光景↓。


まだ繭にとまっているということは羽化してさほど経っていないのだろう。雨が上がるのを見計らって羽化したのだろうか。セミヤドリガ成虫は遠目には黒い蛾に見えるが、よく見るとビロードのような翅にはラメをほどこしたような模様があって、光の当りぐあいであわいブルーに輝く。






撮影を始めると蛹便(ようべん:チョウや蛾などが羽化後に排泄する液)をした。以前羽化を観察した時は、成虫の体全体が蛹から抜けてから30分弱経った頃に蛹便をしている。
その後、成虫は突然羽ばたき始め、羽ばたき歩行で幹を数十センチほど登ると、あっという間に飛び去っていった。


セミヤドリガの鱗粉は落ちやすいので、激しく羽ばたき飛翔した後、ラメ入りビロードのようなきれいな翅がどうなのか、ちょっと気になる……。
成虫が飛び去ってしまったので、残された繭を撮ってみた。羽化前日の画像との比較↓。


羽化は繭を壊して行われるのではなく、繭の(今回は?)上部にあるガマグチ状のスリットを蛹が押し広げて出てくるところから始まる。せり出した蛹の首や背が割れて成虫がでてくる(*)。そして成虫が飛び去った後には、スリットに腹を挟まれた形で蛹(抜け殻)が残る。




上から撮った蛹↑。見えているのは上半身の腹面。この繭はトチノキの幹の鉛直面に作られていたが、細いコナラの枝に作られていたものもあった↓。


こんな細い場所でも繭をつくり、ちゃんと羽化できるようだ。
ついでに、9月の初めに羽化を観察した繭のその後↓




セミヤドリガの羽化



前の記事でも触れたが、【セミヤドリガ幼虫の繭づくり・B】で観察した繭からセミヤドリガ成虫が羽化する様子を記録することができた。セミを離脱し繭を作った日から15日後のことだった(ちなみに去年観察した個体は14日後だった)。今回は野外での観察だったが、羽化のシーンに立ち会うことができるか心配だった。去年持ち帰って観察した例(【セミヤドリガの羽化/幼虫~繭~成虫】)では、繭から蛹がせり出し始めて成虫が蛹殻を離脱するまで、わずか10分程度──羽化の時間の短さに驚かされていたからだ。そのタイミングをうまく押さえるのは難しそうだ。チョウなどでは、羽化が近づくと蛹の色が変わるという「兆候」が現れるものもあるようだが、セミヤドリガの場合、蛹は羽化直前まで繭の中にあるので、羽化時期の見極めが難しい。そのタイミングで観察できたら儲け物──というくらいつもりでチェックを続けていたが、運良く羽化シーンを確認できた。
今回は蛹の背中が裂け始めて成虫が離脱するまでわずか1分十数秒。この前には蛹が繭からせり出す時間、この後には翅が伸びるまでの時間がかかるわけだが、カメムシの脱皮や羽化に比べて離脱時間が短いのにはやはり驚かされる。

セミヤドリガの羽化@野外記録



繭を作った日から14日後まで、繭に変化はなかったが……15日後の午前8時18分に繭の端から、わずかに黒い蛹の頭がのぞいているのを確認。


セミヤドリガの繭には脱出用のガマグチ状スリットがあって、これを押し広げて蛹がせりだしてくる。そして蛹の背中をやぶって成虫(蛾)が出てくる。画像右下の数字は撮影時:分:秒。






この後、せり出した蛹の頭~前胸背面が裂けて、成虫の前胸背面が出てくる。


蛹の頭と前胸の間・前胸背面に裂け目ができて成虫の前胸背面がのぞき始めた↑。ここからの展開は早い。




蛹の触角が抜けた部分は褐色になっていく。










この↑わずか6秒後↓。






立てていた翅が伸びきると、翅を広げる通常姿勢に戻る。


通常姿勢に戻ったセミヤドリガの成虫。


セミヤドリガ成虫は一見黒っぽく地味な蛾だが、光のかげんで淡いブルーに輝くスパンコールのような模様があって、よく見ると美しい。


成虫が入っていたときは黒かった蛹が褐色になっている。蛹の腹端は繭のスリットにはさまれるかたちで繭の中に残っている。
(繭の構造と抜け殻については→【セミヤドリガの繭と蛹】)

15日後 羽化に失敗した個体



これ↑は【セミヤドリガ幼虫の繭づくり・A】で繭作りを観察した個体。やはり繭作りから15日後に繭の端に蛹の頭がのぞいたので、羽化の展開を記録しようとカメラを向けるが……いっこうに進まない。脱出用スリットが狭かったのか、ここで力つきたのか、けっきょくこのままで羽化することはなかった。


かいがいしく繭を作るようすをつぶさに観察し、見守っていた個体だったわけだが……ようやくここまで育って、いよいよ羽化──というところでつまずいてしまうとは……。自然界では人知れずこのような事故も多いのだろう。



セミヤドリガ幼虫と繭



8月中旬、セミヤドリガ幼虫の繭づくりを見ることかできた↑。繭作りの日付がわかっているものについては、羽化する日を確認すれば繭の期間を把握できる──というわけで、問題の繭のチェックを続けていた。Wikipedia情報では《蛹は1週間程度で羽化する》とあるが、去年持ちかえった幼虫を観察したときは(*)、繭作りから羽化まで14日かかっている(繭の中で蛹になるまでに1週間程かかるのだろうか?)。はたして今回はいかに!? 「まだ羽化していない」ことを確かめに行く日々が続く中、新たに見つけたセミヤドリガの幼虫&繭などから。

セミとセミヤドリガ幼虫

セミヤドリガについておさらいすると──この昆虫はセミに寄生する蛾。幼虫がセミの成虫に外部寄生する。セミヤドリガは成虫になると餌をとらないというから、幼虫時代にセミから獲た養分だけで一生分のエネルギーをまかなっていることになる。一方、寄生されたセミはそれが原因で繁殖できなくなったり死んだりすることはないらしい。じっさいにセミヤドリガ終齢幼虫をつけて元気に鳴いているミンミンゼミもいた。
セミの成虫にとりついたセミヤドリガ幼虫は成長し終齢(5齢)幼虫になると白い綿毛に包まれる。やがてセミを離れ、葉や幹などにその日のうちに繭を作る。繭の表面は終齢幼虫時代の綿毛でおおわれる。

ここではニイニイゼミ・ヒグラシ・ツクツクボウシ・クマゼミなどもいるがアブラゼミとミンミンゼミが圧倒的。全体的にはアブラゼミの方が多いが、ミンミンゼミの密度が高い場所もある↓。


セミヤドリガ幼虫は(ここでは)ミンミンゼミで見つかることが多い↓。


アブラゼミでも見られることがあるが、その機会は少ない。


ミンミンゼミに比べてアブラゼミでの確認率が低いのは、アブラゼミは翅が透けていないので寄生されていても翅に隠れて見えにくいということもあるだろう。アブラゼミの場合はセミヤドリガ幼虫をつけていても翅の外にはみでていないと気づきにくい。実際にミンミンゼミとアブラゼミで寄生率に差があるのかどうかはわからない。

繭作りのために蝉を離れ降下するセミヤドリガ幼虫



糸を吐きながら降下してきたセミヤドリガの終齢(5齢)幼虫。白い綿毛につつまれてモコモコ。腹面には綿毛がない。この個体は木の下の植込みの中へ降りていった↓。


これ↑とは別の個体↓。


糸を吐きながら降りてくるセミヤドリガ幼虫は頭を左右にふりながら体をよじらせている。




この幼虫が降りて来たのは歩道エリア。画面奥から緑地管理の作業車がやってきたので(そのままではひっかけられてしまうので)、やむなく吊り糸をつかんで近くの笹の葉へ移動。
すると、その葉の裏で繭作りをはじめた。






笹の葉に移してから約2時間後のようす↑。幼虫は自分の体をおおっている綿毛をくわえ、繭の足場周辺に植え付けるように置いて行く。引き抜かれた綿毛の束がしだいに多くなり繭をおおう形になる(*)。
移動から5時間後に見に行くと、セミヤドリガの繭は完成していた。


セミヤドリガの繭



擬木に作られていたセミヤドリガの繭。


まだ新しい繭や雨が当たりにくい場所の繭は、表面をおおう綿毛にふかふか感がある。
こちらの繭↓は少し時間が経過しているようだ。


木の下の植込みにも──、


葉の裏面に繭を作られた繭↑が多いようだが、表に作られた繭も↓。


葉の表面に作られた繭。雨を受けて綿毛がぺたんとしている。
垂直な木の幹につくられたものもあった↓。


綿毛におおわれた繭は輪郭がいびつになり、遠目には鳥の糞のようにも見える。


セミヤドリガの繭かと思いきや、鳥の糞。ということは、綿毛をまとって不規則な形にみえるセミヤドリガの繭は、鳥糞に擬態している!?

繭作りから羽化までの期間



去年、観察した時は繭を作った日から14日後の羽化だった(*)。先日繭作りを観察した2例(【セミヤドリガ幼虫の繭づくり・A】【セミヤドリガ幼虫の繭づくり・B】)については、Aは繭を作った日の15日後に羽化失敗(繭から蛹がせりだし始めた状態で停止・羽化には至らなかった)、Bは繭作りから15日後に無事羽化した。最後の画像は冒頭画像で繭作りをしているB──冒頭の画像の15日後ということになる。
羽化のようすについては画像を整理して後日投稿→【セミヤドリガの羽化


セミヤドリガ幼虫の繭づくり・B



セミヤドリガ(セミの翅の下に白く見えるのが終齢幼虫)に寄生されたミンミンゼミ。セミヤドリガに寄生されたセミは、それが原因で死んだり産卵ができなくなったりすることはないというが、このミンミンゼミも元気に鳴いていた。

セミヤドリガ幼虫の繭づくり・その2



前回記したセミヤドリガの繭の完成した姿↑を撮るべくでかけたところ、同じ場所でサクラの幹を糸にぶら下がって降下してくるセミヤドリガ幼虫とまたしても遭遇↓。


背面・側面は綿毛コートに被われているが、腹側に綿毛はない。腹脚&尾脚は細かな爪(?)が円形状に並んでいて、なかなかユニーク。


セミにとりついている姿は怪しげだが……幼虫単体で見ると、モコモコしていて可愛らしい。綿毛のハリネズミといった感じがしないでもない?


降下してきたセミヤドリガ幼虫にアリが接近。セミヤドリガの終齢(5齢)幼虫の綿毛コートは、あるいは繭をつくるため蝉を離れたときにアリやオサムシのような敵に襲われる機会が増えるため──その攻撃をふせぐ(綿毛コートがあることで噛みつかれても大顎が本体に届かない)ような役割りを果たしているのかもしれない?
2日続けての離脱セミヤドリガ幼虫との遭遇だったが、せっかくなので、また繭の作成のようすを観察することに。そのままではアリの狩りの観察になってしまう可能性があるので、アリには悪いが例によって近くの植込みに移動。
前回はよく考えず小さな葉の上に乗せてしまい、それで足場を決めるのに時間がかかってしまったのではないかという反省があったので、今回は広めの葉を選んでとまらせてみた↓。


移動のさいに少し綿毛がはがれて葉の先端に付着したが……今回、幼虫はこの葉ですぐに繭作りを開始した。画像右下の数字は撮影時刻(時:分:秒)。




前回は幼虫が糸を吐くシーンは確認できなかったが、今回は写っていた↑。葉の裏~ふちにかけて糸付けタッチをひたすらくり返す。やがて葉のふちが(足場の?)糸で白っぽくなっていく。


さらに時間が経過すると、背中の綿毛コートから抜いた短い毛束が貼り付けられているのが確認できるようになる。












幼虫の頭は、葉と綿毛コートの間を往復。葉に付けられた「抜け綿毛」の量が増えていく。


抜かれた綿毛の束が積み上げられていくと、しだいに幼虫はその中に埋もれていく。






この後、雨が降り出したので撤退。完成したセミヤドリガの繭は翌日撮影↓。


※【追記】この個体の羽化のようす→セミヤドリガの羽化