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泣いてるとゾンビが脳みそ喰いに来る

笑いをこらえるのは難しい……そのことは『怪喜!笑い袋爺』(*)で記したが……泣き叫ぶ幼児をなだめるのも難しい!?──ということで。

泣く子を黙らす方法!?

小さな子どもが泣くのには、痛みや不安など、危険を知らせる警告信号としての意味がある。保護者に必要な注意を喚起する手段と考えると有益だが……ときに子どもは《わがままを通すための手段》としてこれを使うことがある。「(帰らなくてはいけないのに)まだ遊んでいたい」「気に入った玩具を買って欲しい」などの要求を通すために、(そこで騒ぐと)親が困ることを察知した上で大泣きすることもありがちだ。大声で泣き叫ぶのは《泣き落とし》ならぬ《泣き脅し》である。これに屈して子どもの要求に応えれば、《泣き脅し》が有効であることを学習した子は、《泣き脅し》にみがきをかけて頻繁に使うようになるだろう。
こうした《脅し泣き》を阻止し、泣き止ます方法として、次のように言い聞かせるのはどうだろう。


泣いてると ゾンビが脳みそ 喰いに来る

友蔵 心の俳句(by『ちびまる子ちゃん』)みたいだが、ゾンビが脳味噌を喰いにくるとなれば、泣く子も黙ろうというもの。脳みそを喰わせろとゾンビたちがおしよせてくる映画『バタリアン』を見ていれば効果は抜群。恐怖による抑止は「泣ぐゴは居ねがー(泣く子はいないか)」とねり歩くナマハゲ効果に近いものだが、ゾンビが泣く子をターゲットとする理由を図解してみよう⬇。
泣く子とゾンビ図解
涙はしょっぱい──これは泣いている子には、わかることだ。つまり、泣くと涙とともに塩辛さが体の外へ排出される。すると、塩気が抜けることで、脳味噌はどんどん甘くなる。脳味噌喰いのゾンビは、泣き声を聞きつけると、音源には甘く熟れた脳味噌があることをよく知っていて、よろこび勇んで喰いにやって来る──というしだい。
さすがに上級生あたりではこの理屈は通用しないかもしれないが、だだをこねて泣き叫ぶ年頃の子どもには説得力があるのではあるまいか?
僕が昔この説得法(?)を思いついて甥っ子に試してみた時には効果があった。

ところで、ホラーといえば夏……いやいや、夏といえばホラーだが、今年は7月に入っても涼しくて過ごしやすい日が続いている。毎年、夏には暑さ・冬には寒さに往生して(*)、夏になると「(ドラえもんの)《どこでもドア》があったら、涼しい高原とつないで戸を開放しておくのに……」と嘆いていたが、今年は今のところ《どこでもドア》いらずである。
「なんだ、なんだ。夏だって、やる気になれば涼しくできるじゃん」と思っているのは僕だけではあるまい。



実録『怪喜!笑い袋爺』
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実録『怪喜!笑い袋爺』

怪奇……ならぬ怪喜!? 15年前に書いた本当にあったハナシ……

怪喜!笑い袋爺  by 星谷 仁

 僕が小学生だった頃──今から30年以上前に「笑い袋」なるものが流行った。笑い声が録音された機械を収めた巾着袋で、袋の上からスイッチに触れると、時と場所を選ばずに大笑いが吹き荒れる……というものである。
 ただそれだけの玩具なのだが、録音された男性の笑い方が実に見事で、涙を浮かべ腹をよじって身悶えしながら笑い転げる様子が目に浮かぶ迫真の演技。これを聞かされると、ついついつられて笑ってしまう。もしこの笑い声をシラフで発していたのだとすると、声優は相当な演技力の持ち主だったに違いない。
 笑い袋ブームが去ってしばらく後、某所でこの復刻玩具をみつけて買ってみたことがあったが、録音されていた笑い声の迫力は昔のものにくらべて明らかに劣っていた。元祖・笑い袋の威力をあらためて認識したものである。
 前置きが長くなったが、この元祖・笑い袋を隠し持って出没する謎の爺さんが「笑い袋爺」である。何くわぬ顔でターゲットに近づき、おもむろに笑い袋のスイッチを入れる。そして突然襲った強烈な誘い笑いにつられて顔を崩す人の様子をじっと見つめて悦に入るのである。
 僕がこの爺さんに初めて遭遇したのは今から10年ほど前──「笑い袋」の存在がすでに世の中から忘れ去られていた頃だった。
 近所の遊歩道を歩いていると、前から老犬を連れたさえない身なりの爺さんがこちらに向かって歩いてくる。近くまで来るとこの爺さん、横目でこちらの顔をうかがっているようす。はて、知り合いかと思ってその顔を見たが、思い当たる人物はいない。なのに爺さんの方はこちらを見つめたまま……その目尻には、かすかに笑みをたたえている。
 変な爺さんだ──と無視してすれ違おうとしたときに、突然笑い声が鳴り響いた。
 笑い袋の──元祖の笑い声であることはすぐにわかった。1度聞いたら決して忘れない迫真のバカ笑いである。
 びっくりして爺さんの顔を見ると「そ〜ら、笑うぞ、笑うぞ」と言わんばかりに目を輝かせている。僕が吹き出すのを明らかに期待しているのだ。
 不覚にもつられ笑いしそうになって、僕はぐっとこらえた。年寄りの悪意のないイタズラなのだろうが……それにしても、見ず知らずの人にいきなりしかけるとは無礼である。
(こんなくだらないイタズラに乗せられて笑うものか!)
 僕はぶしつけな視線をにらみ返そうとしたが、目尻が下がりそうになってきたので顔をそむけ、無視して通り過ぎることにした。
 しかし、視線はそらしても、耳からは元祖・笑い袋の強力な誘い笑いが容赦なく飛び込んでくる。
「わ〜っはっはっは」
 ただでさえおかしいその笑い声は、テープがすり減っているのかスピーカーが錆びついているのか、「が〜っがっがっが」と割れて響く。
(音が割れるまで使い込んだ笑い袋!)
 そう思った瞬間、僕はついに堪えきれなくなって吹き出してしまった。
 爺さんは、まるで勝ち誇ったかのように得意げな笑みを浮かべ、意気揚々と僕のわきを通り過ぎて行ったのだった。
 すれちがった後もこみあげる笑いにおえつしながら、僕は心の中で(不覚をとった……負けた)と思った。
 なんだか通り魔にでもあったような気分だった。

 2度目にこの爺さんと出くわしたのも同じ遊歩道であった。夕陽を斜めにうけて歩いてくる老人と犬のシルエット……ハッとして目を凝らすと先だっての爺さんである。
(しまった! 笑い袋爺だ!)
 気づいたときには敵はすでにこちらを見据えていて、例によって薄ら笑いを浮かべている。
 以前、斬られた敗者の意識がよみがえる。
(いかん……また、笑い袋の一太刀を浴びせかけられるぞ!)
 僕は反射的に迂回路を目で探した。しかし遊歩道は一本道──逃れるべき路地はない。来た道を引き返せば笑い袋攻撃から逃れることはできるだろうが、いちど目を合わせた直後にきびすを返すのは敵前逃亡みえみえだ。こんな爺さん相手に、しっぽを巻いて逃げるのもしゃくである。
 僕は腹を決めた。
(よし、おどおどすまい! 平常心で通り抜けるのだ!)
 この前は不意打ちをくらって不覚をとったが、今回はそうはさせるものか──そう自分に言い聞かせ、まっすぐ前を向き、笑い袋爺を見ないようにしながら平静を装って歩を進めた。
 笑い袋爺との距離がしだいに詰まる。ニヤついた視線が僕にロックオンされているのが頬にシッカリ感じられた。
 この視線に吸い寄せられてはならない! 僕は視点を前方に固定すべく焦点を探した。視線は定まらず、いくらかあごが上がってくる。意識すまいと意識することで歩き方もぎこちなくなり、右手と右足が一緒に出そうだった。
(へ、へいじょうしん! 平常心!)
 しかし、心の緊張とは裏腹に頬は緩みそうになる。
 脳裏に小学校の給食の時間がよみがえった。
 僕はよく牛乳を吹いて叱られた。僕が牛乳を口に含んだ瞬間を狙って笑わす級友がいたのだ。牛乳を飲む間は決して笑うものかと思うのだけれど、笑っちゃいけないと意識すればするほど、つまらないギャグにも過敏に反応して吹いてしまうのだ。
 そして今、笑い袋爺を目の前にして笑いへの過敏さはかつてないほどに高まっていた。
(あ、あとほんの数秒、すれちがうまで堪えればいいのだ! どんなにおかしくても、決して笑ってはいかん!)
 くるぞ、くるぞ……と思いながら、笑い袋爺が至近距離に迫ったとき、はたして笑い袋のスイッチは入れられた。
「が〜っがっがっが」
 僕は顔をそむける間もなく吹き出してしまった。前回よりもあっけない撃沈であった。
(やられた……完敗だ……)
 1度ならず2度までも……わかっていながら笑い袋爺の術中にはまってしまったことがまた悔しい。
 ふり返らずとも、勝ち誇って意気揚々と歩いて行く爺さんの姿が目に浮かぶ。

 笑い袋爺はその後も何度か出没した。出るのは決まって遊歩道の一本道。出くわすたびに「そう何度も同じテに乗ってたまるか!」と抵抗を試みるのだが……苦手意識がすっかり定着し、勝負は全敗。
 お互いに名前も知らず言葉をかわすこともない、縁もゆかりもないもの同士……なのにすれ違う一瞬の間に、触れずして斬り、斬られ……勝者と敗者が決する──そんな理不尽な戦いがしかけられていたのである。

 出くわせば緊張が走る笑い袋爺だったが、いつの頃からか見かけなくなり、平穏な日々が続くうちに歳月は流れた。
 遭遇したときには、あれほど避けたいと思った笑い袋爺だったが、姿を見なくなって久しくなると、不思議なもので、どうしているのか気になってくる。
「が〜っがっがっが」と壊れかけた音をしぼりだしていた笑い袋がついに壊れたのか、それとも爺さんが散歩のできない状態になったのか……あるいは単に笑い袋を使った辻斬りに飽きただけなのか……その真相は知るよしもない。
(どんな爺さんだっけ?)と、その容貌をあらためて思い起こしてみようとすると……勝ち誇ったニヤニヤ笑いだけは鮮烈によみがえるのだけれど、その顔立ちがなぜか思い出せない。
 強烈な印象の相手なのに、その顔すら思い出せないのは妙なものだ。出会った記憶さえ夢だったようなあやふやさを帯びてくる。
「はて、笑い袋爺は実在したのだろうか? 口裂け女や人面犬のような現代の妖怪・幻だったのだろうか?」
 首を傾げ、懸命に思い出そうとしてみたが……脳裏に浮かんでくるのは老犬と並んでとぼとぼ歩くヨレヨレの後ろ姿……なぜか1度も見たことがないはずの後ろ姿ばかりであった。
 遭遇していた頃には(爺さんのやつ、何が楽しくてこんなバカげたことをするのだろう)と悔しさ半分にいぶかしむだけだったが、今ふり返ってみると、また違った思いも湧いてくる。
 爺さんのイタズラで、僕はそのつど敗者の屈辱を味わい心の中で地団駄を踏んだが、そのとき、爺さんは逆に勝者の優越感を味わっていたはずだ。これは真剣勝負の当事者であった僕には断言できる。
 今の社会、老犬を連れたさえない身なりの爺さんが、世間を相手に渡り合ったり、勝者の優越感に浸れる機会はそうないのかもしれない……だからそんな感覚を密かに味わえる「笑いの通り魔」のハマってしまったのではないだろうか?
 今でもたまに、遊歩道で犬連れの老人の姿を見かけ、ドキッとして身構えることがある。その「ドキッ」の中には、笑い袋爺ではあるまいかという期待もわずかに混じっているのである。


奇妙笑い袋爺

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シンデレラには嘘がある!?~ガラスの靴よりふさわしいもの

シンデレラには嘘がある!?
~ガラスの靴よりふさわしいもの~

「シンデレラ・ストーリー」という言葉がある。無名の一般女性が成功し幸福になること、玉の輿(たまのこし)に乗ることを言うようだ。童話の『シンデレラ』に由来する言葉だろう。それほど『シンデレラ』は知られている。僕もなんとなくストーリーは知っているが、いつどこでこの物語を知ったのかについての記憶は無い。おそらくリライト作品のようなものもたくさん出回っているに違いない。原典(?)と照らしてどうなのか……そのあたりは良くわからないが、世間一般に広く浸透しているバージョンの『シンデレラ』の話とは、おおよそ次のようなものではなかろうか?

意地悪な継母とその連れ子である義理の姉に虐げられていた娘(シンデレラ)が、魔法でドレスアップしてお城で開催された舞踏会にでかけ、王子に見初められるストーリー。
ただし魔法の効力はその日限りで、夜12時の鐘が鳴り終わると効力を失ってしまう。なのでシンデレラは鐘が鳴り出すとあわてて城から逃げ出すが、そのさいにガラスの靴の片方を落としてきてしまう。王子は残されたガラスの靴を手がかりに「ガラスの靴にぴったり合う足の持ち主」すなわちシンデレラを探しだし、結婚する。

つまりこの物語では「ガラスの靴」がシンデレラを特定する「鍵」として使われている。僕には、この話をどんな形で知ったのかの記憶は無いのだが、「ガラスの靴」のエピソードについては漠然とした疑問を感じていたのは覚えている。「その日限定の魔法でドレスアップしたのに、ガラスの靴だけがどうして残ったのか?」ということだ。舞踏会場から逃げ出したシンデレラが元の(みすぼらしい)姿に戻ったのに、ガラスの靴だけ魔法がとけないのはおかしい。夜12時の鐘が鳴り終わると同時に王子の手の中にあったガラスの靴がそまつな靴に変わる──そんなシーンがあってしかるべきではないか?……みたいな疑問を持っていた。

そして、もうひとつ──「国中の娘にガラスの靴をはかせようとしたのにシンデレラ以外の女性の足には合わなかった」という展開も不自然に感じていた。シンデレラの足のサイズは一体いくつだったのだろう? それと同じサイズの靴を履いている女性は国中にたくさんいたはずで、靴から個人を特定するなんて無理だろう……そんな疑問も持っていた。この物語の中では「ガラスの靴」は「シンデレラ」に結びつくファンタジーアイテム的な意味で描かれていたのかもしれないが、普通に考えたら「シンデレラの足って、よっぽどデカいか小さいか、あるいは特殊なのか」という話になる。「大様の耳はロバの耳」ならぬ「シンデレラの足は○○の足」!?──それは、ちょっとおぞましい。

『シンデレラ』では、「落とし物」から持ち主を特定する「鍵の役割り」として「ガラスの靴」が使われていたわけだが、前述のとおり僕は子供心に「靴で個人を特定するのは無理がある」と感じていた。
さて、それでは、どんな「落とし物」だったなら「鍵の役割り」にふさわしい小道具となり得ただろう?──そう考えたとき、最近見たある光景(*)が蘇った。
総入れ歯──これなら「ピッタリ合った人を持ち主と特定する」ツールとして万人が納得できるのではあるまいか。
落とし物が「総入れ歯」バージョンの『シンデレラ』なんてのは、どうであろう?

──なんてコトを考えたのは、最近見た「入れ歯の落とし物」(*)からの連想であった。


◎マツトビゾウムシのシンデレラ

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*擬木上の《!?》~ガヤドリタケなど~
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秘薬・毛生え薬

暖かい陽射しに包まれ、ぼうっとした頭にふと浮かんだエアポケット幻想。弛緩した脳味噌の中で、謎の中国人が作る万能秘薬──毛生え薬のエピソードが展開した。


■秘薬・毛生え薬

市販されているあらゆる発毛・育毛剤を試してみたけれど効果がなかったA氏。ワラにもすがる思いで怪しげな情報を頼りに中国人祈祷師ホイさんをたずねたのだった。
「アナタ、毛ガ欲シイ。ワカリマシタ。毛ガ生エル薬、作ルデゴザイマス」
カタコトの日本語で応対したホイさんに案内され、A氏は調理場とも実験室ともつかない部屋に入る。
ホイさんは部屋のに置かれた瓶のフタを開け、柄杓で中からとろみのある液体をすくって鍋に移しながら、
「コレ、万能秘薬ノ素ネ。効能ハ自由自在、何テモ対応スルノコト」
ホイさんの説明によれば──瓶に入った液体が、すでに調合された万能秘薬のもとで、これに「仕上げ」で、依頼者が望む効能書きを記した薬剤を溶け込ませれば、目的の薬ができるのだという。
「アナタガ欲シイハ、毛ガ生エル薬ネ」
「そうです『毛生え薬』です」
ホイさんはA氏の依頼を確かめると、和紙のようなものに筆で「ケハエクスリ」と書き込んだ。「コレ、間違エルト台無シタカラ……デモ大丈夫。ワタシ、秘薬作リト日本語、自信アリマス」
ホイさんの手元をのぞき込んでちょっと不安を感じたA氏は、「あの……『ケハエグスリ』でお願いします」。
「ハイ、『ケハエクスリ』」
「ええと、『ケハエクスリ』ではなくて『ケハエグスリ』で……」
「ハ? 『ケハエクスリ』テナク『ケハエクスリ』?」
「『クスリ』でなく、『グスリ』──そこ、濁るんです」
「ニゴル?」
「濁点がつくんです……点々」
「ア~、濁音ノ点々ネ、ワタシ、ゴゾンヂデス」
ホイさんは大げさにうなづいて点々を書き足すとその和紙様のものを鍋に投じ、撹拌しながら自信たっぷりに言った。
「コレデ、アナタ、毛ガ、ワンサカ生エルコト、マチガイナシデス」

ホイさんが作った『毛生え薬』をゲップが出るほど飲まされ、鍋に残った汁を禿げた頭に塗り付けられたあと、A氏は帰路で頭に変化が起こっているのに気がついた。なんだか頭皮がむずむずする。ショーウィンドウに映った自分の姿を見て思わず足が止まった。なんと禿げていたはずの頭が黒々しているではないか!
A氏は驚喜してショーウィンドウにかじりついた。
A氏の頭で黒い髪が風を受けて揺れる──かに見えたが、ナゼか風は吹いていない……。
頭でうごめいていた黒いものは──よく見ると双翅目の昆虫・ケバエの群れだった。
「どうなってるんだ!?」A氏の頭の中には「?」で埋め尽くされたが……やがて何があったのかを理解した。
「そうか……あの時、濁点を書き込む位置を間違えやがったんだ!」
『ケハエグスリ』とすべき効能に『ケバエクスリ』と記したために、秘薬を塗ったA氏の頭にはケバエがわんさかたかってしまったのだった……。

     *     *     *     *

ケバエの婚姻飛行が見られるこの時期──「今年もそんな時期になったか」とケバエをながめてふと思い浮かんだ、たあいもないイメージ。
「『ケバエ』と『毛生え(ケハエ)』──濁点があるとないとでは大違い」「『毛生え薬』で毛が生えるのなら、『ケバエ薬』ではケバエがたかるのであろうか?」などと思ったのがきっかけ。

ケバエが集団発生する時期になるとこれをハチだと思って怖がる人をみかけるが、たよりない飛び方はあまり脅威を感じない(じっさい刺したりはしないので怖がることはない)。インパクトがあるのは、むしろ晩秋の幼虫集団であろう(*)。

ちなみに、文章化するにあたって便宜的に設定した「ホイさん」の名前は三谷幸喜・脚本&総合演出のTV番組『HR』の「ホイさんが帰ってきた!」から。生瀬勝久が演じた中国人のホイさんのイメージを借りたもの。


*謎の幼虫大群:ケバエ

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●エアポケット幻想
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■【冗区(ジョーク)】~メニュー~
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エアポケット幻想


ぼうっとしていると、弛緩した脳味噌にとりとめもないイメージが展開することがある。幻想的妄想というか妄想的幻想というか……ふとした意識の空白地帯(エアポケット)に浮かび上がる着想・ひらめき・インスピレーションのようなもの。こうしたイメージを「エアポケット幻想」と呼んでみようかと思う。
意図せず湧きあがる他愛もない思いつきはすぐに忘れてしまいがち。ブログに記したものもあるのだけれど、投稿時の書庫・カテゴリーもバラバラだったりして、時間が経つと、何をどんなエントリーに記したのか、にわかに思い出せなくなっていたりする。
ということで、エアポケット幻想ネタ──幻想・ホラー系からちょっとしたジョークまで、あまり役に立ちそうも無い着想が含まれた記事を、まとめておくページを作ってみようかと思い立った。
とりあえず、思いつくところからピックアップ……投稿順にはなっていない。

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実録『怪喜!笑い袋爺』

※創作作品として記したものは↓
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※このページは主だった記事のタイトルをまとめたTOPページ【チャンネルF+】の★エッセイ・雑記★の下に「☆エアポケット幻想」としてリンクしておく。