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- 2013/10/02 : ニホンヤモリの瞳孔 [小動物など]
- 2013/09/07 : 親とは似てないシマヘビ幼蛇 [小動物など]
猫目のアオダイショウ!?

暖かい日が続き、昆虫やクモなども増えてきたが、アオダイショウも出てきた。画面右側にある頭部を見ればわかるように、アオダイショウの眼には黒っぽい模様がかかっている。これはエサとする鳥などが警戒する「眼」を隠す効果があるのだろうと僕は考えている。
昆虫には眼状紋(目玉模様)を持つものが多く、鳥が反応することが知られている。カイコの幼虫に色々な大きさのニセ目玉をつけてムクドリに与える実験を行った人がおり、大きな目玉は(鳥に対して)威嚇効果があり、小さな目玉は攻撃を誘導することがわかったという。鳥にしてみれば自分を狙う天敵の眼をいち早く察知して逃げるなり、眼を攻撃して(敵やエサを)無力化させることは、生存競走の中で獲得した有効な生き残り術なのかもしれない。昆虫の眼状紋(目玉模様)にすら反応する感度の《眼探知警戒システム》を鳥が備えているとすると、鳥を狙うヘビなどは、獲物から警戒されがちな眼を隠すことで狩りの成功率を高めてきたのではなかろうか……アオダイショウの《目玉模様》ならぬ《目玉隠蔽模様》には、そんな意味があるのではないかと想像している。
ところで、画像のアオダイショウは成体だが、幼体(幼蛇)は成体とはずいぶん違った色や模様をしており、しばしばマムシと間違えられる。僕にはアオダイショウ幼蛇とマムシはそれほど似ているようには思えないのだが……両種を見分けるポイントの1つが「眼」──アオダイショウの瞳孔は円形なのに対し、マムシの瞳孔は(猫の眼のように)縦長になっている。
当然、今回撮ったアオダイショウも「瞳孔は円形」のはずなのだが……画像をチェックしたら(マムシやハブのように)縦長っぽく見えたので「!?」。

眼だけ見るとマムシやハブのような「縦長の瞳孔」!?──よく見ると……、

アオダイショウの眼には、前屈みでカメラを構える僕の姿が映り込んでいた。
マムシ擬態!?アオダイショウの幼蛇

マムシと間違われがちなアオダイショウの幼蛇(幼体)は、こんな姿↑。アオダイショウ幼蛇の《はしご模様》がマムシの《銭型模様》に誤認されることがあるようだ。そのためか「マムシに擬態している」という説もあるが、僕は懐疑的だ。もしマムシが派手で目立つ警告的な色彩や模様をしており、それに似ているというのであれば、警告効果のある擬態といえるのかもしれないが……マムシの模様は目立たぬためのもので、警告的な意味合いはないように思う。アオダイショウ幼蛇の模様もやはりボディラインをかく乱する隠蔽的なもので、結果としてマムシと似ている(?)にすぎないというのが僕の考えだ。アオダイショウの成体と幼蛇で色や模様がなぜ違うのか──ということについては以前記したことがある(*)。ちなみに、シマヘビやジムグリも、幼蛇(幼体)は成体とはずいぶん違った模様がある。
眼を開けたまま眠る?ヤモリ
秋めいてきたこの時期、暖を求めて?日光浴に出ているニホンヤモリの姿をしばしば見かけるようになった。林沿いの遊歩道の擬木でも、接続部の隙間に住んでいる(?)ニホンヤモリがよく姿をのぞかせていたりする。
撮影しようと、そーっと近づくも察知されて逃げられてしまう事が多い。
それもそのはず、ヤモリは眠っている時も眼を見ひらいている──というのもヤモリに可動式のまぶたはない。ニホントカゲやニホンカナヘビには可動式のまぶたがあるので、眼に表情が感じられる(人の受ける印象として)が、ヤモリの眼はヘビと同じ、透明なウロコに被われていて開閉ができない。脱皮のときには眼を覆っていたコンタクトレンズのような透明なウロコもいっしょに剥離する。
つまり構造上、ヤモリは眼を開けたり閉じたりすることができない──それで、眠っている時も眼は全開状態……というワケである。
そんなときに撮った画像がこれ。

大きな眼を見開いているのに──視界にはカメラを向ける僕の姿が当然大きく映っているはずなのに……まったく気づいていない!?
近づきながら何枚か撮っていると、急にあわてて隠れ家(擬木のすきま)に潜り込んだ。




虹彩がまぶたがわり?
僕が近づいたことにすぐに気づかなかったのは、きっと眠っていたからだろう。ここでふと疑問が浮かんだ。
眼を見開いた状態なのに「すぐに気付かなかった」のは、なぜだろう?
網膜には僕の像が映っていたが、(眠っていたために)脳が覚醒時の情報処理(判断)できなかった──という解釈がまず思い浮かぶ。
そして想像したもう1つの解釈が──「見えていなかった(角膜に像が結ばれていなかった)のではないか?」という可能性。
一見、ヤモリの眼はいつでも全開に見えるが、明るい所では瞳孔がかなり細くなっている。
縦長の瞳孔スリットのフチは複数の弧からなる波形になっているが、これは楕円(単一の弧)の瞳孔だと開いてしまう中央部の隙間をさらに閉じるための重複弧構造(?)のようにも見える。
もしかすると、ニホンヤモリの虹彩は瞳孔をほとんどクローズできるシャッター構造になっているのではないか?
つまり、開閉式のまぶたを持たないヤモリは、まぶたの代わりに虹彩で光を遮断し「眼を閉じた」状態を作っているのではないか?
隠れるのが遅れたヤモリを見て……瞳孔の複雑な形から、そんな可能性を想像してみた。

ニホンヤモリの瞳孔の形がユニークだということは以前から感じていたが、きっとこれには何か意味があるに違いない。夜行性動物にありがちな楕円形の《絞り構造》に対し《まぶたがわりのシャッター構造》にもなっているのだとすれば、納得できそうな気もするが……もちろん素人の単なる思いつきに過ぎず、この解釈が当っているのかどうかはサダカではない……。
親とはまったく似てないシマヘビの幼蛇
先日、シマヘビの幼蛇にであった。シマヘビの成体はしばしば見かけるが、幼蛇を目にする機会は意外に少なかったので、ちょっとテンションが上がった。
画像のシマヘビ幼蛇は、いくぶんあごを広げ頭を三角にみせている。「毒蛇(マムシやハブ)は頭が三角」とよく言われるが、無毒のヘビでも頭を三角に見せることがある。相手に毒蛇を連想させる擬態ポーズなのだろう。シマヘビ幼蛇はマムシやハブ同様に瞳孔も縦長なので、それっぽく見えなくもない。

落ち葉にまぎれると意外に目立たない。大きな成体では落ち葉にかくれるのは無理だが……小さな幼蛇なら、落ち葉にまぎれて目立たない──そんな色合いだ。
(ちなみにこの第2分野の先生は科学の授業中「マムシは口から子どもを産む」と大真面目に教えていた事もあったのでガッカリ/もちろんこれは迷信。マムシは卵胎生)
シマヘビ(の成体)は何度も見て知っていたが、《謎のヘビ》がその幼体だったことを知ったのはだいぶ後だったように思う。ヘビで幼体と成体が全く違う色&模様をしたものがいるということを知ったときは驚いたものである。
ちなみに小学6年のときに見たアオダイショウの幼蛇もまた《謎のヘビ》だったが、シマヘビ幼蛇の正体が分かったときに、こちらの謎も解決した。


シマヘビ幼蛇は見かける機会が少ない!?
《シマヘビやアオダイショウは、なぜ、成体と幼体で模様が違うのか》──という疑問については以前、思うところを記した(*あくまでも素人の個人的考察)。今回は久しぶりに出会ったシマヘビ幼蛇をみて、「成体はしばしば見るのに、なぜ幼蛇を目にする機会が少ないのか?」とあらためて考えてみた。
例えば同じようにしばしば見かけるアオダイショウの場合は、幼蛇を見かける機会もシマヘビより多い。
アオダイショウ幼蛇は時々目にするのにシマヘビ幼蛇はなかなか見られないのはなぜだろう?

夜行性の動物では瞳孔が縦長あるいは横長になる傾向がある。シマヘビは成体の瞳孔はほぼ円形だが、幼蛇ではかかなり縦長である。シマヘビ成体は昼間、日光浴したり活動している姿を見かけるが、幼蛇の時代は暗い時間帯に活動することが多いのではないか……そのため見かける機会がアオダイショウに比べて少ないのではないだろうか……瞳孔の形の違いから活動時間帯の違いを推理してみたわけである。

