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牙付きマツトビゾウムシ

牙つきバージョンのマツトビゾウムシ新成虫


草食のゾウムシにするどい鉤のような牙!?──なんともミスマッチな感じがするが……通常みかけるマツトビゾウムシには、こんな《牙》はついていない。この《牙》は新成虫が《蛹室から地上へ出る土掘りに役だつ》器官だそうで、地上に出てくるとほどなく脱落してしまうらしい。
つまりこの奇妙な《牙つきバージョン》のマツトビゾウムシが見られるのは、新成虫初期のわずかな間のみ──そういった意味ではちょっとレア感(?)がないでもない。

擬木の上にいたマツトビゾウムシ新成虫《牙つきバージョン》。近くには松の木がある(画面左に写っているのが松/マツトビゾウムシ成虫は松の新葉を食べる)。

《牙つきバージョン》のマツトビゾウムシは、これまで何度が遭遇しているが、動き回ったり飛び去ったりで、その特徴を思うように撮れずにいた。今回は(これまでに比べれば)いくらかマシなショットを撮ることができた。



大顎の一部である脱落性牙状付属突起↑。《蛹室から地上へ出る土掘りに役だつ》というが、この形状は土掘り向きではないような気もする……蛹室を壊すさいに威力を発揮するのだろうか? それにしても大顎を閉じた状態で交差する牙は使い勝手が悪そうな気もするが……。一方、羽化したのち松の新葉を食べるさいには、むしろジャマになりそうなので、早々に脱落させるというのは判らないではない。
いったいどうしてこんな形の牙が形成されることになったのか、この牙がどう使われるのか、不思議でならない。謎めいた《牙》は妄想力を刺激するが、まだそれらしい解釈に到達できずにいる。
ところで、今回この《牙つきバージョン》個体を見つける直前、すでに《牙》が脱落したマツトビゾウムシを目にしていた↓。

擬木のすきまに隠れた《通常(牙なし)バージョン》のマツトビゾウムシ↑。《牙》がないと印象が変わる。目元パッチリのカピバラ系な感じがしないでもない? この個体は《牙》がないことを確認して、あっさりと撮影終了。この後、《牙つきバージョン》を見つけてテンションが上がったのだった……。

今回は《牙》がよくわかるような画像を記録したかったのだが、カメラを近づけると、(過去そうだったように)マツトビゾウムシは擬木の上を歩き回り始め、モデルはイヤだと抵抗……。

1度は翅を広げたので、(また)飛び去ってしまうかとあきらめかけたが……飛翔筋がまだ充分温まっていなかったためか、離陸できず翅をたたんだ。ゾウムシの短吻類は後翅が退化した種が多いそうだが、マツトビゾウムシは飛ぶことができる。



せわしなく動き続けるので、実はしばらくてこずっていたのだが、やがて擬木支柱の縁で静止モードに入り、ようやく上に挙げたシーンを撮ることができたのであった。
この時期にマツトビゾウムシを見かけると、つい《牙つきバージョン》かどうかを確かめてしまう。


牙があるマツトビゾウムシほか

するどい牙があるマツトビゾウムシ


するどいカギのような牙状の突起をもつマツトビゾウムシをみつけた。よくみかける温和な表情とはひと味違う意外な姿! この牙状突起はやがて脱落する大顎の一部だそうで、蛹室から地上へ出るさいの土掘りに使われる器官だと考えられているらしい。羽化して間もない新成虫の時期にしか見ることができない、期間限定盤(?)の脱落性牙状大顎突起をよく見てみたいと思い、この時期、注意して探していた。先日みつけた個体(*)では、牙状突起は片方だけしか残っていなかったが、今回みつけたのは両方ちゃんと残っている個体だった。本当はもっと色々な角度からアップを撮りたかったのだが、動きまわるのでままならず……とりあえず撮れた画像の中からいくつか。





今回あらためて牙状突起を見て感じたのは……これでは(こんなものがついていたのでは)餌を食うさいにわずらわしいだろうな──ということ。羽化して地上に出た後に落下するのもうなずける。不要というより、むしろジャマな器官に見えなくもない。
そんな器官がなぜついているのか──というのが興味のあるところだが、羽脱後に脱落することから《蛹室から地上へ出るさいの土掘りに使われる》と考えられているらしい。ふだん普通に見かけるマツトビゾウムシにはこの牙状突起はついていない。脱落の過程で牙状突起が片側だけ残っていた個体↓。

この画像↑は【マツトビゾウムシの牙・早春のゾウムシ~ど根性蛹】より再掲載。
そして、牙状突起が両方とも脱落した後のマツトビゾウムシ↓。

ずいぶんスッキリした感じがする。これが成虫の本来あるべき姿なのだろう。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説によれば《(ゾウムシ>短吻類は)羽化直後の成虫は大あごに長い牙(きば)状の付属突起があって、蛹室から地上へ出る土掘りに役だつ。地上へ出た成虫は、植物を強くかんでこの牙状突起を落としてしまう》とのことだが……今回、マツトビゾウムシの牙状突起を眺めてみて、《蛹室から地上へ出るさいの土掘りに使われる》という解釈にはいささか違和感を感じた。
僕は素人でクチブトゾウムシ類(口吻が短いタイプのゾウムシ)の生活史もよく知らないのだが……あらためて感じ・考えたことを記してみる。例によってド素人の想像に過ぎないということで。

牙の役割り:牙状突起は過形成されたプルタブ?

羽脱のようすを観察したことがないので何とも言えないが……牙状突起の形状が《蛹室から地上へ出るさいの土掘りに使われる》のにふさわしい形だとは思えない気がするのだ。

・穴堀用の器官であればヘラのような形状がふさわしい(のではないか)。
・蛹室を壊すためならニッパーのような形状がふさわしい(のではないか)。
・大顎を閉じた時に大きく交差する牙は構造上「噛む」目的としてはふさわしいとは思えず、(何かをくわえ噛むことによってこの器官を)「外す(脱落させる)」ことを目的とした造りのようにも見える。適切な例えではないが……牙状突起はプルトップ缶容器のフタを「外す」のプルタブ(引き金)のような──あるいはアンプル容器ののキャップのような、「外す(脱落させる)ための足がかり」なのではないか?

牙状突起は大顎の一部らしい。幼虫時代の大顎から成虫の大顎に作り変えられる時に(蛹の時期に)、本来ならアポトーシスで消失すべき部分が、何らかの理由で逆に過形成され、不要な(ジャマな)部分がとれやすい形になったのではないか?
大顎を閉じた時に深く交差する牙は、何かをくわえて(はさんで)噛む(力を加える)ことでポロッと脱落しやすい構造のような気がする。アポトーシスで消失できなかったものが、大きなかさぶたのように(?)落ちる──そんな形で処理されているのではないか?
もちろんこれは個人的な想像に過ぎず、本当のところはわからないが……牙状突起を改めて見て、そんな可能性を想像してみたしだい。

ミヤマシギゾウムシほか

このところ寒暖の変化が激しかったが……暖かい日には擬木や柵で小ささな虫たちが見られるようになってきた。


擬木の上にいたミヤマシギゾウムシ。歩き回ってなかなか撮らせてくれないことが多いのだが、このときは「く」の字の触角をたたんでじっとしていた。そこで1円玉を横において大きさ比較↓。

このショットのあと、いつものように動きだしてしまった。
これは別の個体↓。やはり擬木の上にいた。

擬木の上を歩き回るミヤマシギゾウムシだが……擬木の上にはハエトリグモやサシガメの姿もあって、なかなかデンジャラス。

初めてミヤマシギゾウムシを見た時は、その小ささに驚いたが……ゾウムシの仲間にはもっと小さいのが、けっこういたりする。

これ↑はコゲチャホソクチゾウムシだろうか?
鉄柵には緑色のちょっとキレイなゾウムシがとまっていたので撮ってみた。


ゾウムシのように口吻が長いが……これ↓はチョッキリだろう。

カシルリチョッキリも擬木の上にいたのだが、動き回り支柱を降りようとしたので指でブロック──すると、その指を登ってきた。爪と比べると小さいのがわかる。
小さい昆虫と言えばアリを思い浮かべがちだが……そのアリの中でも小さめのアリ──に見える甲虫類↓


アカホソアリモドキの♂は上翅に小石がめり込んだような凹みがあるのが特徴(♀にはない)。
他にも小さな昆虫は色々見かけるが、マルトビムシもその1つ↓。

擬木支柱のフチにとまっていたトビイロツノゼミ↓。

チョウの姿もみかけるようになったが、すぐ飛ぶのでスルーしがち……。擬木の上で翅を開いていたヒオドシチョウが近づいても動かなかったので撮ってみた↓。

こんな昆虫達の姿に春の始動を感じる今日この頃──。


マツトビゾウムシの牙・早春のゾウムシ~ど根性蛹

昨日は気温が上がり、東京では20℃を越えたらしい。このところ閑散としていた擬木で久しぶりに色々な虫がみられた。この冬は擬木まわりの落ち葉が(そこで越冬している虫ごと)徹底的に撤去され、その影響かと思われるが擬木の虫が少ない。昨日もクモをのぞくと飛べない昆虫・幼虫などは例年より少ない気がしたが、ゾウムシ・テントウムシ・ハネカクシなどの甲虫類の成虫が目についた。気温が上がったことで、飛べる成虫が(周辺で発生したものが)擬木にもやってきたのだろう。
ただし、飛んで来ることができたということは、飛び去ることもできるということで──カメラを向けると飛び去られることも多かった……。
春のゾウムシが出てくる時期にはチェックしたいと思っていたマツトビゾウムシ新成虫にも(とりあえず)出会うことができたので、この日みつけたゾウムシを中心に……。

マツトビゾウムシの牙・短吻類新成虫の脱落性大顎突起

「するどい鉤のような牙のはえたゾウムシ」というと意外な感じがするが、口吻の短いクチブトゾウムシの仲間は、羽化直後そんな器官を持っているらしい(その後脱落する)。以前撮影したマツトビゾウムシの画像(撮影時には気がつかなかった)で、それに気づき「カッコイイのに、なんで脱落してしまうだろう? それなら何のための器官なのだろう?」と興味を持った。それでこの《ゾウムシの牙》を今春はちゃんと撮ってみたい──と思っていたところだった。そして昨日、狙いどおりマツトビゾウムシを見ることはできたのだが……動き回り飛び去ってしまったので希望通りのカットは撮らせてもらえなかった。《ゾウムシの牙》は、とりあえず写っていたが、残ってたのは右側だけで、左側はすでに脱落していた……。


日本大百科全書(ニッポニカ)の解説によると《(ゾウムシ>短吻類について)羽化直後の成虫は大あごに長い牙(きば)状の付属突起があって、蛹室から地上へ出る土掘りに役だつ。地上へ出た成虫は、植物を強くかんでこの牙状突起を落としてしまう》とある。噛んだ圧力で牙状突起を落とすのであれば、片側が残る(必ずしも両方が同時に落ちるわけではない)という状況は納得できる。
そこで、両牙残っている去年【3月のカミキリ・ウバタマムシ~牙ゾウムシ!?】でアップした画像を再掲載↓。


この《付属突起》だが……「羽脱用ツールとして誕生(進化)した器官」だと考えと、ちょっと不可解な気がする。羽化した新成虫が地上へ脱出したあとに脱落するのだから、《蛹室から地上へ出る土掘りに役だつ》と考えたくなるのはわかる。しかしそれでは、この器官がまだ無かったときは、どうしていたのだろうか? 《付属突起》が「羽脱に必要なツール」なら、それが誕生(進化)する以前は新成虫が地上に出てこられなかった(羽脱が困難だった)ことになり──だとすればその時点で生き残ってこられなかったはずだ。

「脱出専用のツールで用が済むと脱落する器官」ということで思い浮かぶのは、ヘビやトカゲなどが孵化のさいに使う卵歯(鳥類等では卵角)だ。これも孵化の際に卵の殻を裂くためにだけ使われ、孵化後脱落する器官だ。以前飼育していたヒバカリの孵化↓。

ヘビやトカゲの卵歯がどのように進化(誕生)したのかを想像すると……(あくまでも個人的な想像)、爬虫類の卵の殻は最初から強靭なものではなかったろう。両生類の卵のようなやわな造りのものから陸上に適応して乾燥防止や保護バリヤーのような役割りを獲得していったのだとすると、卵の殻の強度が徐々に増していく過程の中で、孵化する方も対応できるように進化した──それで「脱出専用のツールで用が済むと脱落する器官」である《卵歯》が誕生したのではあるまいか?
卵の安全を図るために卵の殻がより強靭に進化し、それに対応すべく孵化能力も進化した──そう考えば不思議は無い。

一方、ゾウムシの場合は……《付属突起》が進化の中で誕生した器官だとすると、最初(誕生以前)は、《付属突起》がなくても新成虫は地上に出てこられなければならなかったはずで、そこから徐々に脱出の難易度が高まり、それに対応して《付属突起》が誕生した……ということになる。
新成虫の羽脱の難易度の高まりとは何だろう? 生存率を高めるため、幼虫がより地中深く潜るようになり、そのため新成虫が脱出するための能力も鍛えられた──ということなのだろうか?

もう1つ考えられるシナリオは、《付属突起》が、進化の中で誕生した「新たな器官」ではなく、「もともとあった」という可能性だ。つまり、「必要性があって新たに誕生した器官」ではなく、「もともとあった器官が、(地上に出たあと)不要になって脱落するようになった」という解釈だ。

素人の直感的感想だが……マツトビゾウムシの牙が、《土掘りに役立つ》ことはあったとしても《土掘り用に誕生(進化)した》器官だとは、ちょっと想像しにくい気がする。「必要性から誕生した器官」というより「必要性がなくなって羽脱後は脱落するようになった器官」の方がまだ納得しやすい気がしないでもない。

ナカスジカレキゾウムシ



去年、牙状突起のあるマツトビゾウムシと同じ記事で取り上げていたナカスジカレキゾウムシ。今年はマツトビゾウムシを見た同じ日にであったので今回も一緒に投稿。
体の表面に細かい突起があったり地味ながら模様があって、ちょっと面白味を感じるゾウムシ。ただ、小さいので撮りにくい……。


実は、このテイクオフ・ポーズはフェイク(?)で、このときは飛翔しなかった。故障があって飛べない個体なら、粘れば希望のショットが撮れるかも?──と思ったら、この後本当に飛び去っていった。

早春のミヤマシギゾウムシ&チビシギゾウムシ


毎年、早春に見かけるミヤマシギゾウムシ。個人的には好きなゾウムシなのだが、体長4~4.5mmと小さい上によく動くので鮮明に撮れないことが多い。
前胸背面の小楯板と接する部分や上翅会合部にペールオレンジ(あわいだいだい色)~白っぽい紋があるのだが、この個体ではその紋がやけに赤っぽい。羽化して間もない新鮮な個体では赤っぽいのだろうか?──などと思ったが、当っているかどうかはわからない。

ガードパイプにとまっていたミヤマシギゾウムシも、このあと飛び去った。
ミヤマシギゾウムシも僕が撮るには小さいのだが……さらに小さくて動き回るチビシギゾウムシの仲間も出ていた。

ジュウジチビシギゾウムシは体長2~2.8mm、レロフチビシギゾウムシは体長1.8~2.7mmほど。この日は他にも極小ゾウムシがいくつか見られた。

丸っこいゾウムシと平たいヒラタムシ


欄干に小さな丸っこいゾウムシがいた。小さな虫はスルーしがちなのだが、模様がキレイだったのでカメラを向けてみることに。すると……こんな姿勢をとった↓。

警戒した時の姿勢なのだろう。前・中・後脚すべて揃えてしまうというのはユニークだ。この姿勢はちょっとクモっぽくも見えるが……この小さなゾウムシが小さなクモに似せたところで、何かいいこと(生存率に有利な擬態効果)があるのか、よくわからない。

少しすると顔を上げて警戒姿勢を解き始めたが、カメラを近づけるとまた警戒姿勢に度ってしまった。
丸っこいオオミスジマルゾウムシに対して、やけに平べったい昆虫・クロムネキカワヒラタムシも出ていた↓


プラスチックの擬木で発生!? 謎のど根性さなぎ今年も



甲虫類ではなく蛾のようだが……以前から何度か投稿している謎のど根性蛹(【プラスチック食の蛾!?/タヌキ顔の蛾!?他】)。どうしたことか、プラスチック擬木からせり出してくる昆虫の蛹……。昨年・一昨年とやはり3月に確認している。
他の場所で成長した蛾の幼虫が、蛹になる前に移動し、擬木の隙間(劣化してひび割れたり剥離した生じたスペース)に入り込んで蛹になるのか……あるいは、擬木の隙間に産みつけられた卵から孵った幼虫が、そうした隙間に発生した苔や黴その他の有機物などを食って育ち蛹になったのか……それとも、擬木の素材そのものを食べて育ち、蛹となって羽化直前に出現するのか……真相はわからない。

過去にみてきたのは抜け殻ばかりだったが、今回は羽化前の蛹がひとつあった。本来であれば蛹の時期は安全な樹皮の下で過ごし、羽化する直前にせり出してくる──というのが自然(合理的)な気がする。以前観察したセミヤドリガでは、繭から蛹がせりだし始めてから7~8分で羽化が始まった。擬木からせり出したこの蛹もすぐに羽化するのではないか──成虫を確認すれば正体も判明するだろうと期待したが、蛹に動きは無い……40分後にまた見に行ってみたのだが、変化は無かった。あるいは羽化ができずにこの状態で死んでいたのかもしれない。
ただ……この羽化前の蛹についてはちょっと不自然な感じもした。他の抜け殻では蛹の周囲の擬木表面が内側から押し上げられ「孔があけられた」あるいは「広げられた」かのような形跡がみられたが、羽化前の蛹の出た(?)孔は、以前からあった感がある……この蛹だけ擬木の中から出てきた感じがしない。もとからあった擬木の孔に別のところから持ってきた蛹を差し込んだように見えなくもない。そんなコトを人為的に行うということも、ちょっと考えにくい気もするが……羽化していないこの蛹だけ、ちょっと不自然な気はしている。

近頃閑散としていた擬木で、この日は色々見られたので、その一部をまとめてみた。

牙があるマツトビゾウムシほか ※両牙そなえたマツトビゾウムシ