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フトハサミツノカメムシの歯状突起&臭腺開口部

9月も下旬に入ると涼しい日も増えてきたが、セミはまだ鳴いている。ツクツクボウシは「乏しいじょ! 乏しいじょ!」とうるさいが、「또(ト) 보시죠(ポシジョ)」(韓国語で「また 会いましょう」?)と夏の終わりをおしみ別れを告げていると聞き做せば風情がないでもない。ミンミンゼミもまだ鳴いているが、さすがにゼンマイが切れかかってきたような……再生スピードが落ちて間延びした鳴き声になっていたりする。45回転のレコードを33回転でかけてしまったみたいな?(レコード世代の人にしかわからない?)
先日、ハリサシガメがいる石垣へ行ってみると、地面には枯れ枝が散乱していた。雑木林のふちなので、通過した台風の影響だろう。そんな枝のひとつをまたぎかけて──またごうとしていた枝に緑色のもの──瞬時にツノカメムシの仲間だとわかった──が、とまっているのに気がついた。けとばさないように大股で飛び越し、よくみるとフトハサミツノカメムシのオスだった。

フトハサミツノカメムシ:前胸背後側縁の歯状突起&臭腺開口部



オスの腹端にはその名のとおり太いハサミのような1対の突起がある。目立つ特徴なのでオスはすぐにフトハサミツノカメムシだと判る(メスにはこの突起がない)。前胸背の後側縁には歯状突起と呼ばれるものがあって、これはオス・メスに共通するフトハサミツノカメムシの特徴らしい。




『日本原色カメムシ図鑑』(安永智秀ほか/全国農村教育協会/1993年)にはフトハサミツノカメムシの特徴の1つとして《前胸背側角の先端のみ多少黒ずむ》と記されているのだが、僕がみかけるフトハサミツノカメムシは黄色いものが多いような気がする。同図鑑には《ツノカメムシ類のなかでは非常に少ない種である》とも記されているのだが……時々みかけるので、個人的には希少という印象は無い。あるいは最近増えてきているのだろうか? それともひょっとして前胸背側角の先端が黄色くなる別の近似種がいるのだろうか?
オスの特徴である腹端の突起を見ると、まさに「フトいハサミ」なのだが……。


落ちた枯れ枝に止まっていたので、胸の腹面にある臭腺開口部(開孔部)をのぞけるアングルから撮影↓。


矢印の孔が開口部で、その周辺が分泌した臭腺液をすみやかに気化させるための蒸発域ということになるのだろう。
撮っていると、枝の後ろに回り込むように移動。葉の裏側に隠れるような行動なのだろうが、とまっていた枝が細いのでバレバレ……。


せっかくなので、さらに臭腺開口部(開孔部)周辺をクローズアップ。


フトハサミツノカメムシ成虫の臭腺開口部(開孔部)は後胸の中胸寄り(頭の方)にあるのがわかる(カメムシの幼虫では、臭腺開口部は腹の背面にある)。
ついでに腹端のハサミ状突起もクローズアップで↓。


オスにだけあるということは繁殖に関係する器官なのだろうが……ハサミ状突起にはどんな意味があるのだろう? こうしたオスがハサミ状突起をもつカメムシは何種類かいて、ネット上には《交尾のときにメスを(逃げられないように)はさむ》というような情報もあるが、ハサミ状突起を持つ他のカメムシの交尾を観察すると、はさむために使われているようには見えない……。


フトハサミツノカメムシの体長は17~18mm。20mmの1円硬貨の上に乗せるとこんな感じ↓。


ハサミ状突起のないフトハサミツノカメムシ♀はこんな姿↓


今月上旬にサクラの幹にとまっていた(【松葉を食べるウバタマムシ他】より再掲載)。ハサミ状突起はないが、前胸背の後側縁に歯状突起があるのでフトハサミツノカメムシ♀ということになる。


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フトハサミツノカメムシの歯状突起他

フトハサミツノカメムシの歯状突起





擬木にとまっていたのはフトハサミツノカメムシのオスだった。『日本原色カメムシ図鑑』(安永智秀・他/全国農村教育協会)には《ツノカメムシ類のなかでは非常に少ない種である》と記されている。本来《鮮やかな緑色》の体が若干黄色っぽく見えるのは越冬明け個体だからだろう。フトハサミツノカメムシは昨年11月にも見ている(*)。


ハサミツノカメムシやヒメハサミツノカメムシ・セアカツノカメムシなどと同様、オスの腹端(生殖節)には一対のハサミ状突起があるが、フトハサミツノカメムシでは太く短い。オスのハサミ状突起の形状の違いは種類を識別する手がかりになる。
このハサミ状突起の役割りについて、ネット上には《ハサミツノカメムシやヒメハサミツノカメムシ・セアカツノカメムシなどの♂のハサミは交尾の際にメスを挟む(逃げないようにつかむ)ことに使われる》というような情報もあるが、交尾のシーンを観察したところ、そうは見えなかった(*)。そもそもハサミ状突起に運動機能はあるのだろうか?(僕には疑問) フチには毛が密集しているが、これが表面積を増やすための構造なのだとすれば感覚器官もしくはフェロモンを発散するような器官?……なんて可能性も思い浮かんだりするが本当のところは僕には判らない。


フトハサミツノカメムシの特徴について、『日本原色カメムシ図鑑』には《前胸背の後側縁に顕著な歯状突起があるので、雌でも近似種との識別は容易である》と記されている。よく見ると、たしかに牙のようなユニークなでっぱりがある。


トウキョウトラカミキリ@ぎりぎり埼玉県



ということで、トウキョウトラカミキリも出ていた。標準和名に「東京」とついているが、今回見つけたのはギリギリ埼玉県側。ガードパイプ支柱の反射板の上にとまっていたのだが……近づくと飛び去ってしまった。
やはり近くの同じようなところにとまっていた別個体↓。


小さめのトウキョウトラカミキリで模様の明暗がちょっと薄め。


トウキョウトラカミキリの模様は黒地の上翅表面に生えた白っぽい微毛の有無によって描かれていて、大きな個体では微毛も多く、模様もクッキリ見えがちな気がする(*)。
やはりギリギリ埼玉県側の鉄柵にとまっていたヨツボシチビヒラタカミキリ↓。




ヨツボシチビヒラタカミキリは東京都側でも複数見られた。


桜の花が咲く頃に出現するするので、例によって桜を入れて撮ってみたのだが、ちょっと判りにくくなってしまった……。