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擬装する幼虫

擬装する幼虫









植物片(?)を身にまとったアオシャクの仲間の幼虫↑。7月上旬に撮ってトリミングしキャプションもつけていたのだが、投稿する機会がないまま……このままでは時期外れ→お蔵入りになってしまいそうなので、擬装昆虫ネタで投稿しておくことにした。一見ゴミにしか見えないアオシャク幼虫の装飾は天敵の目をあざむくためのものだろう。

ナショジオ《驚異の装飾系動物6選》に選ばれた幼虫は

装飾する生き物は色々いるが……以前、ナショナルジオグラフィック日本版サイトに『自らを飾る驚異の装飾系動物6選』という記事がアップされていた。2015年6月16日付けだが、現在も見ることができる。「レディー・ガガなど目じゃない自然界のベストドレッサーたち」という副題とともに紹介されていた「奇抜なファッションに身を包む動物」は、モクズショイ(カニ)・トビケラの幼虫・イノシシ・サシガメ・ヒゲワシ・クサカゲロウの幼虫だった。数ある装飾系動物の中からどうしてこの6種が選ばれたのか良くわからないところもあるが……「6選」の中の3種が昆虫(トビケラの幼虫・サシガメ・クサカゲロウの幼虫)だった。
「トビケラの幼虫」については画像が示され《トビケラという水生昆虫の幼虫の多くは、身の回りにある材料をつかって自分用のハードケース(ケーシング)をつくる。体から出した糸で材料を綴り合わせ、捕食者から身を守る頑丈なよろいに仕上げるのだ》という文章が添えられている。
最後の「クサカゲロウの幼虫」は画像無しだったが、よく見かける虫だし、この仲間で擬装するものがいることはよく知られている。以前僕が撮った画像から↓。


自らを飾る驚異の装飾系動物6選』の記事の中では《クサカゲロウの幼虫はアブラムシを食べるが、その際、アブラムシが分泌する綿毛のようなロウ状物質を自分の体に移すことで、アブラムシの世話をするアリから身を守ることができる。実験では、クサカゲロウの体からこの衣を剥ぎ取ってしまうと、アブラムシと協力関係にあるアリから侵略者と認識されて追い払われてしまうという》と紹介されている。
クサカゲロウ(の仲間)の話題ついでに……1年前にリトリミング&キャプションをつけてそのままになっていた画像↓もこの機会に……。


サクラの花外蜜腺にきていたので「クサカゲロウの幼虫も花外蜜腺を利用するのか」と意外に思って撮っておいた画像↑(幼虫は画面左を向いている)。過積載ぎみに背負っているのは植物片だろうか?

自らを飾る驚異の装飾系動物6選』の記事に戻って……「トビケラの幼虫」と「クサカゲロウの幼虫」はわかるが……「サシガメ」というのが、多くの人にはピンと来なかったのではなかろうか? 記事につけられていた画像は装飾していない普通の(?)サシガメ成虫。キャプションには《この写真には写っていないが、サシガメは捕食者から逃れるためにアリの死骸の山を背負うことがある》と記されていた。
これはハリサシガメ──これ↓のことだろう。








ハリサシガメの幼虫は捕食後のアリをデコる。これ↑はおそそらく4齢か5齢ではないかという気がするが、近くにいたやや小さい──3齢ではないかと思われるハリサシガメ幼虫↓。


ハリサシガメ──こんな昆虫がいることを(僕が)知ったのは2年前。一般的には知名度は低い昆虫ではなかろうか。ナショジオの記事でアリの死骸をデコったユニークにして魅力的な(?)ハリサシガメ幼虫の画像がなかったのは残念だ。しかし、ハリサシガメなら《驚異の装飾系動物6選》に選ばれるのも納得できる。


ハリサシガメ:初成虫&若齢幼虫

今シーズン初のハリサシガメ成虫


雑木林ふちの石垣で今シーズン初のハリサシガメ成虫を確認。幼虫時代は土粒にまみれアリの死骸やゴミを背中に盛って擬装しているが、成虫になるとイメージは一新。目をひくのが背中の黒い翅に映える淡いペールオレンジの模様──「ハ」の字が上下裏返った形なので「ハ裏(り)・サシガメ」──というのはこじつけだが、この特徴的な模様がトレードマーク。6月の終わりに初羽化殻を確認しているが、初成虫の確認は7月7日だった。ちなみに昨年同場所で初成虫を確認したのは7月23日だった。
今シーズン初のハリサシガメ成虫はオスで、アリを捕えていた。

接写するため近づくと獲物のアリから口吻を抜いてしまった。

前胸背はゴツゴツしていて左右に棘状の突起(前胸背側角)を備えている。背中(小楯板)から突き出した棘状の突起も特徴的。しばらくすると、アリを口吻の先端にぶら下げて石垣の上を移動していった。

ハリサシガメは成虫も幼虫もアリを捕食する。この石垣では色々なサイズのアリが活動しているのでハリサシガメが育つには良い環境なのだろう。

この石垣にはヒガシニホントカゲも多いのだが、ヒガシニホントカゲがハリサシガメを襲うシーンは見たことがない。
この成虫♂を見つけた後、メスの姿も確認することができた。

成虫♀の下に移っているのはアリをデコったやや小さな幼虫──3齢くらいだろうか? ハリサシガメ幼虫は色々なステージが混在している。

このハリサシガメ成虫♀は翅がやや短い。ハリサシガメの翅の長さは個体によってかなりバラツキがある(【ハリサシガメぷちまとめ2】参照)。
『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』(石川忠・高井幹夫・安永智秀/編/全国農村教育協会)のハリサシガメの項目を見ると《前胸背側角は棘状に突出し、後葉に4つの黄褐色の楕円紋が横一列に並ぶ》という記述があるが、このメスは側角の間の紋が消失していた(冒頭のオスにはある)。


幼虫は若齢も混在


これ↑は大きめのハリサシガメ幼虫。4齢か5齢(終齢幼虫)だろう。
同日みた幼虫の中で一番小さかったのが↓。

2~3mmほどだろうか……小さなゴミ片に見えるが、このあとスタスタと移動して石垣のすきまに入ってしまった。拡大してみると腹部が白っぽい(4齢・5齢になると腹部は黒っぽくなる)。


これまでに回収した脱皮殻から推察すると、2齢幼虫ではないかという気がする……。若齢幼虫の白っぽい腹部は脱皮殻では透明な膜のようになる。


ハリサシガメの羽化殻


時期は前後するが、7月に入ってから見つけたハリサシガメの羽化殻↑(今季2つ目)。石垣のすきまに腹面を上にしてひっくり返っていた。現場で起こして(背面を上にして)撮ったのが↓。

土の上では輪郭がわかりづらいので、回収して撮影した羽化殻↓。

画面右側に頭部がある↑。画面左側に頭部がある↓。

幼虫への脱皮では背中のデコレーション素材は新幼虫に受け継がれる。なので、抜け殻にデコ素材は残らない。成虫になるとデコ擬装はしないので、羽化殻にデコ素材が残される。



ハリサシガメの羽化殻&脱皮殻
珍虫ハリサシガメの観察❲総集編❳

ハリサシガメの羽化殻&脱皮殻

ハリサシガメの羽化殻&脱皮殻

今シーズンは5月19日に初めて幼虫を確認したハリサシガメ。成長段階の異なるものが混在しているが、終齢幼虫ではないかと思われるものも出てきて、だいぶ育ってきた感じがする。



この個体↑は小さいアリを捕え、体液を吸っているようだ。獲物を捕らえるときや口吻を刺し直すときなどは前脚と中脚を使って獲物をおさえるので、小さい獲物は土粒コーティングした脚の陰になって確認しづらい。ハリサシガメ幼虫は成長にともなって大きな獲物(アリ)を狩ることができるようになるが、小さなアリも狩っている。
ハリサシガメ幼虫は成長しているので、脱皮のシーンが見られないかと期待しているのだがなかなかその機会が得られない(昨年1度【謎めいたハリサシガメの脱皮】で見たきり)。しかし成長しているのだから、脱皮殻はもっと見つかって良いのではないかと、石垣の隙間やその下の地面なども注意して見ている。老眼が進んだ眼では心もとないが……石垣の下を探していると草にひっかかったアヤシイものを発見。


ハリサシガメ幼虫がデコレーションしたアリの死骸&土粒だらけの体!?──幼虫の死骸の可能性も考えたが、羽化殻だった。石垣で羽化した後、羽化殻が落ちて草にひっかかったのではないかと想像。撮りづらいので草ごと抜いて撮影↓。

これまで見つけた脱皮殻・羽化殻は乾燥して形を保っていたが、この羽化殻はしめって(少し前に雨が降っていた)しんなりしており、回収するさいに形が崩れ、脚が脱落してしまった。

昨シーズンは最初のハリサシガメ成虫を確認したのが7月23日だったから、羽化には早い気もするが、幼虫の育ち具合からすると新成虫が現われても不思議ではない。成虫を探したが見つからなかった。

今回みつけた羽化殻は形が崩れてしまったので↑、一昨年みつけたハリサシガメの羽化殻を↓。

ハリサシガメの幼虫はアリの死骸などを背中にデコレーションするが、これは脱皮のさいに引き継がれるので《幼虫への脱皮》では抜け殻にデコ素材は残らない(【ハリサシガメ脱皮後の再装備は?】参照)。成虫になるとデコレーション擬装はしないので《羽化(成虫への脱皮)》では抜け殻にデコ素材が残される。
ということで、これまでにみつけた脱皮殻──いずれも背中からデコ素材が剥ぎ取られている↓。



若齢の頃は腹が白っぽく(脱皮殻では透明)、成長すると黒っぽくなっていくようだ。幼虫はどんな姿をしているかというと──おそらく4齢と思われる幼虫の死骸からデコ素材と土粒を取り除いたもの↓(【ハリサシガメ幼虫のスッピン】参照)。

脱皮したての幼虫は、脱皮殻から引き継いだデコ素材を背負っているが、脚や腹の一部が露出していたりする。まだ腹がいくらか白っぽいハリサシガメ幼虫が、狩ったアリを食事後に背中にデコったようす↓(【白腹のハリサシガメ幼虫】参照)。




クロオオアリを狩ったハリサシガメ幼虫

ハリサシガメ幼虫:狩ったアリは必ずデコるわけではない


石垣上でハリサシガメの幼虫が、捕えたクロオオアリの体液を吸っていた──といっても、この画像↑では何がどうなっているのか、わかりづらい!?
ハリサシガメの幼虫は土粒をまとい狩った獲物の死骸などを背負って擬装するユニークな捕食性カメムシで、獲物はアリ専門という食性も変わっている。食事シーンはそうした特徴・生態の一端を物語る絶好の場面なのだが……ただそのまま撮っても(擬装のためどちらを向いているのかも判りづらく)状況が伝わりにくくなりがちだ。
撮影アングルを模索し、同じシーンをハリサシガメ幼虫の右前方向からアップで撮ったもの↓。

これがおそらく一番「絵になる角度」!? 突き出した触角の根元ふきんにはハリサシガメ幼虫の黒い眼がのぞいている。その下に横たわっているのはクロオオアリだろう──岩田久二雄氏が著書『昆虫を見つめて五十年(II)』の中でハリサシガメ幼虫が避けたとする大型のアリだ。そのクロオオアリは倒され、首筋あたりに鋭い口吻が差し込まれている。

ハリサシガメの捕食シーンは度々目撃しているが、キレイな(わかりやすい)画像で記録するのは意外に難しい。土粒をまとっているので、土の上ではボディーラインがわかりにくくなってしまうし、石垣の上では石の隙間の方に頭を向けられてしまうと口元が見えなくなってしまう。狩りのときは前脚と中脚の4本の脚を使って獲物を押さえ込むのだが、狩ったアリが小さいと脚の陰に隠れてよく見えない。獲物が大型のアリでも、脚や体に付着した土粒がジャマしてよく見えないことが多い。今回は「比較的良く撮れた画像」となったのではないかと思う。
このあと、食事を終えたアリの死骸を背中にデコるシーンまでを記録できれば申し分ない……そう思って、その時を待った。体液を吸いはじめると脚は獲物から離すが、口吻を引き抜いたり位置を変えて刺し直したりする時には前脚と中脚で獲物をコントロールする。

食事が終われば、アリの死骸は後脚を使って背中に盛りつけられる──と(これまでの観察齢から)予想していたのだが……このハリサシガメ幼虫は擬装行動をとらずにアリの死骸から離れてしまった↓。

これまで、ハリサシガメの幼虫は捕食したアリの死骸は基本的にはデコるものだと思っていたが……必ずしもそうではないらしい。大型のアリを貼り付けるのは大変そうだし積載量の関係で(?)荷崩れを起こしそうな盛りつけは見合わされることもあるのかもしれない。
しばらく待ってみたが、このアリをデコる様子はみせず。そのうちヒガシニホントカゲが現れ大接近するが、例によってハリサシガメ幼虫には全くの無反応。

この石垣にはヒガシニホントカゲが多く、ハリサシガメとニアミスすることも珍しくない。他の場所でも──↓。


こんなシーンはよく見かけるが、昆虫ハンターのヒガシニホントカゲもハリサシガメ幼虫には関心を示さない。
この石垣では、ヒガシニホントカゲの他にニホンカナヘビやニホンヤモリ、アオダイショウを見かけることもある↓。


ハリサシガメ幼虫のわかりにくいシーン・他


石垣では土がたまった部分もあって、そんなところにいるハリサシガメ幼虫は見つけにくい。体をおおう土粒が隠蔽効果を発揮している。

いちおう体の部位を記すとこんな感じ↓。

擬装素材でボディーラインを隠したハリサシガメ幼虫は、一見どっちを向いているかわからないことがある。つきだした触角や脚の位置から体の向きの見当をつけることになるが、デコったアリや虫の死骸からも触角や脚が突き出ていることもあって、錯誤しやすい。
昆虫学者の岩田久二雄氏が著書(『昆虫を見つめて五十年(II)』(朝日新聞社・刊/1978年)の中で、ハリサシガメ幼虫について《吸血をおわるとサシガメは不器用なかっこうをしながら、前肢でその吸殻を自分の背中に押しあげた》と記しているが、《前肢》は間違いで、本当は「後脚」だったのだろうと僕は考えている。ハリサシガメ幼虫の擬装行動を何度も観察しているが、デコ素材を背中に盛るのには決まって後脚が使われていた。岩田久二雄氏は、観察中にハリサシガメ幼虫の向きを見誤って「後脚」を《前肢》だと錯誤してしまったのだろう。
やはりハリサシガメ幼虫は、土の無い石垣の上にいるとわかりやすい↓。

ちなみにこれ↑は冒頭のクロオオアリを吸っていたのと同じ個体(別日)。おそらく終齢(5齢)幼虫ではないかという気がする。
一方、同じ石垣では、まだ小さなハリサシガメ幼虫が混在している。

体の小さなハリサシガメ幼虫は、狩るアリも小さい。小型のアリの通り道でたたずむ小さな個体↑。この個体は後脚を腹端のあたりでしきりと動かしていたが、もしかするとペースト状のフン(接着剤)を塗り付けてデコ素材を安定させようとしていたのかもしれない。
石垣上で見られた大きさの違うハリサシガメ幼虫↓。


ヒゲナガサシガメ


ハリサシガメが見られる雑木林ふちのエノキの葉の上にいたヒゲナガサシガメ(成虫)↑。遠目にはカラフルなガガンボっぽく見えた。同じサシガメ科でもハリサシガメとはずいぶん雰囲気が違う。ヒゲナガサシガメは樹上性のサシガメらしい。幼虫は冬に擬木で見かけることが多い。3月に撮影していたヒゲナガサシガメ幼虫↓。


HOかBOか?マスダクロホシタマムシ



やはりハリサシガメ・ポイントの近くのツツジの葉の上にいたマスダクロホシタマムシ。小ぶりながら美しく、時々見かけるのだが……すぐ飛び去るので、撮り逃してばかりいる虫という印象がある。
翅鞘(上翅)に黒っぽい紋が点在しているので、和名の「クロホシ」は「黒星」なのだろうが……これが「クロホシ」だったか「クロボシ」だったか、いつも記憶が怪しくなって確かめることになる。同じ「黒星」の入った昆虫でも「クロボシツツハムシ」など「クロボシ」が採用されているものもあってややこしい。「黒星」に限らず標準和名では連濁(2つの清音の語が組み合わされた語で後続の清音が濁音化する)になっているものといないものが混在しているが、命名するときに統一性のある規則を設けられなかったものか……と標準和名を確かめるたびに、いつも思ってしまう。


白腹のハリサシガメ幼虫

白い腹がのぞく脱皮後のハリサシガメ幼虫


石垣の上で食事中のハリサシガメ幼虫を見つけた。前脚と中脚でアリをおさえ口吻を刺して体液を吸っている。おそらく脱皮してあまり経っていない個体なのだろう──脚にはまだ新たな土粒コーティングがほどこされておらず、そのため脚の隙間からアリの姿がのぞいている。背中には脱皮のさいに引き継いだデコレーションを羽織っているものの、側面は隠れておらず、幼虫の腹部がむき出しになっている。
少しアングルを変えると、背中の(前齢から引き継いだ)旧デコレーションと腹部背面の間に隙間があいているのがわかった↓。


(旧齢時代の)デコ素材同士はくっつきあって固まっているが、新幼虫の背中にはまだ(?)ピッタリ貼りついていない。
ちなみに、このとき捕食していたアリは、その後、この《隙間》に押し込まれデコられた。

新しいデコ素材は、後脚によって腹端側から盛られるようだ。
ところで、このハリサシガメ幼虫は腹部が白っぽい。羽化殻では腹部は黒だった。先日ひろって異物を取り除いた幼虫も、腹部は黒っぽかった↓。

ハリサシガメの終齢幼虫が(他の多くのカメムシと同じように)5齢だとすれば、この死骸↑は4齢、そして今回みつけた腹が白っぽい幼虫は3齢あたり?──ということになるのだろうか……。

脱皮時のデコレーション引き継ぎの謎

今回、新幼虫の腹部背面から浮き上がっていた旧デコ素材(接着していなかった)を見て、《脱皮の際のデコ素材の引き継ぎ──脱皮殻から新幼虫への移行がどうして可能なのだろうか?》と改めて疑問に思った。
脱皮したての新幼虫の体はベタベタしているわけではないだろう(体表面に粘着性があったのでは脱皮の妨げになる)。それを裏付けるように今回のケースで新幼虫の腹部背面はデコ素材に貼り付いていなかった。脱皮後の新幼虫の脚や腹には土粒がほとんど付いていないことからも、脱皮後は体表面はスベスベ(粘着性はない)だろうことは想像できる。同様に頭部や胸部の背面にも粘着力がなければ(おそらく無いのだろうが)、それではどうして新成虫は脱皮時に抜け殻に貼り付いていたデコ素材を引き剥がしてまとうことができるのだろう?
ハリサシガメ脱皮後の再装備は?】でも記したが、脱皮しながらデコ素材が引き継がれるなど、実際に見ていなければ、とても信じられない光景だ。実際に見ていてもにわかには納得しがたいものがある……。脱皮しながらデコ素材が移行するとうのは《ハリサシガメ・マジック》とでも呼びたい現象だ。
捕食したアリの死骸などをデコるときには《ペースト状のフンが接着剤がわりに使われる》というような説(?)があるらしいが……脱皮後、旧デコ素材はフンで貼りなおされるか、あるいは粘着処理をした(?)新たな素材がデコられ糊着することで、安定していくのかもしれない。

大きめのアリを捕えデコるハリサシガメ幼虫


これも最近、脱皮したのではないかと思われるハリサシガメ幼虫。脚の土粒コーティングが甘く、腹の一部ものぞいている。ただし、こちら腹の色が黒っぽく体も大きいので、4齢か5齢だろう。この幼虫、実際は石垣の鉛直面に頭を下にしてとまっていた(画像を90度回転している)。大型のアリを捕えていたので、これをデコるようすを観察しようと、そのときを待っていた。大型のアリは食いでがあるのか(おそらく消化酵素を注入して溶かしながら吸収しているのだろうが)食事時間も長い。口吻を位置を変えながら何度も刺しなおしていた。そろそろ食事を終えて擬装行動に移る頃ではないかと期待してたのだが……石垣の上に別の大型アリが現れ、ハリサシガメ幼虫に近づいてきた。ハリサシガメ幼虫は捕えていた獲物を放し、近づいたアリを捕えようとしたが失敗……捕えていた獲物は落下してしまった。その様子にイソップ寓話の「よくばり犬」が脳裏に浮かぶ……(肉をくわえて橋を渡っていた犬が、水面に映った「肉をくわえた犬(自分)」の姿を見て、その肉も欲しくなって脅し取ろうと吠え、自分がくわえていた肉も落としてしまう話)。
素材(アリの死骸)を落としてしまったことでデコるシーン(擬装行動)は観察できなくなってしまった……ということで、その場を離れたのだが、翌日同じ場所で同じ個体を見つけた(多少配置変更はあるがデコ素材から同じ個体と判断)。大きなアリがデコレーションの腹端側にくわえられている。あの後もハンティングを続けていたらしい。

ハリサシガメ幼虫は幼齢によって、あるいは個体によっても(?)デコ素材のアリの大きさにバラツキがある。

やや小さめのアリを多くデコったハリサシガメ幼虫↑。おそらく前回の記事で捕食~擬装行動を紹介した個体ではないかと思う。ハリサシガメ幼虫は同じアリの巣の(同じ種類の)近くで狩りをするという傾向があって、同じサイズのアリがそろいがち──ということもあるのかもしれない。
こちら↓は大きめのアリを多くデコったハリサシガメ幼虫。