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11月に鳴くアブラゼミ

11月に鳴くアブラゼミ@東京/終鳴日再更新



11月に入ってセミが鳴いているのを初めて聞いた。11月5日・午前11:30頃、アブラゼミの鳴き声が聞こえてきたのでビックリ。午前中は陽が射す時間帯もあったのだが、セミの鳴き声が聞こえてきた時はかなり曇っており、雨が降りだしそうだった。天候的にも時期的にもセミが鳴くとは思いもよらない状況。
先日【もっとも遅いセミの終鳴日】という記事を投稿して、10月30日で今年のセミは終わったかと思っていたのだが……終鳴日は11月5日へと更新された(※追記:このあと更に終鳴日を11月10日へと更新立冬すぎのアブラゼミ!)。
鳴き声をたどっていくと、10月29日に鳴いていたあたりのサクラの梢の方から聞こえてくる。その姿を確認すべく、懸命に眼を凝らして「あのあたり」と思われる枝を見ていくが、加齢による視力の衰えで逆光側が暗くて全然見えない……。
とまっている姿を見つけるのは困難に思われたが、前回のように鳴き終わった後に飛翔して別の枝にとまるかもしれないと思い、監視を続行。しばらくすると予想通り、アブラゼミが飛び立つのが見えた。目標は近くに植えられていた別の桜へと移動。とまった位置までは確認できなかったが、移動後ほどなく鳴き出し、ついにその姿を確認することができた。TG-2で撮るには高かったが、とりあえず証拠として押さえたのが冒頭の画像。不鮮明ながら、これが11月5日に鳴き声・姿・飛翔を確認したアブラゼミである。
撮影しているときに小雨が降り出し、アブラゼミはまた別の枝に移動。再び鳴き始めたものの、すくに鳴きやんでしまった。雨で泣きやむ直前のギリギリのタイミングで11月に鳴くアブラゼミを確認できたわけである。

11月5日の昆虫から

時間は前後するが、この日見られた昆虫の中から……。


松の枝先でヤニサシガメの幼虫が食事中だった。獲物はヒシバッタのようだ。


ヤニサシガメは幼虫で越冬する。
松の枝先を見ていくと、ウバタマムシがいた。ウバタマムシの成虫はマツ類の葉を食べる(幼虫はマツの枯木に穿孔)。


狭山丘陵では1月から12月まで、全ての月でウバタマムシ成虫を見ることができる
ジャコウアゲハの蛹↓。


体を支える帯糸が食い込んでいるのを見ると痛そうに感じてしまうが……これで安定をはかっているのだろうか。


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9月の天狗セプテング!?他

9月前半のテングスケバ

8月にも2度紹介しているが……9月前半にも見られたテングスケバ──いると、つい撮ってしまいたくなる昆虫の1つ。9月(September)のテングスケバ……ということで、略してセプテング(!?)。特に目新しい発見があったわけではないが、9月前半に撮っていた昆虫の画像をいくつか。


葉上のプチ天狗。もっと人気があっても良い虫なのではないか……と、応援の意味を込めて(?)魅力的な姿を機会あるたびにアピールしてみる!?












テングスケバ(科)はカメムシ目(半翅目)。ということで……。

カメムシ目つながりで…



ハリサシガメの観察ポイントでもある石垣でみつけたカメムシ。フタモンホシカメムシの長翅型(短翅型もある)ではないかと思うが、よく似た種類にクロホシカメムシというのがいて、腹面の違いを確かめないと正確には両種を見分けるのが難しいらしい。


一部に「青リンゴの香りがする」と噂があって(?)、先月も嗅いでみたオオクモヘリカメムシ


以前、擬木で見かけた時は感じなかったが、こうして緑色の葉の上にとまっていると、体の緑色の部分が葉に溶け込んで、意外に(?)隠蔽効果が高そうだ。全身緑色でもよさそうな気がするが、そうなると「葉の緑」と「カメムシの緑」のわずかな色あいの違いがかえって目立って体の輪郭が悟られやすくなるのかもしれない。翅がベージュであることで、ベージュと緑色という大きな色格差に(捕食者の認知が)陽動され、「葉の緑」と「カメムシの緑」のわずかな色格差が認識されにくくなるということ(=ボディラインの隠蔽)は、ありそうな気がする。
もっともオオクモヘリカメムシは悪臭の武器を持っているのだから(これが捕食者に対して忌避効果があるのなら)むしろ目立つ警告色であった方が生存率が高まるのではないかという気もするが……カメムシのニオイと体色の関係はそう単純ではないのかもしれない。
体色が緑色のカメムシは葉の上では目立たないのだろうが……ケヤキの樹の幹で目立っていたフトハサミツノカメムシ♀↓。


フトハサミツノカメムシ♀はヒメハサミツノカメムシ♀とよく似ているが、フトハサミツノカメムシには前胸背の後側縁に歯状突起があるので、その有無で他種と識別できる。
やはりケヤキの幹にいたツノカメムシの幼虫↓。


カメムシ臭を放つ臭腺開口部(開孔部)は、幼虫では腹部背面に位置している(ツノカメムシ科は3対で6個)。


↑と少し違う感じもするが……やはり、ケヤキの幹にいたツノカメムシの幼虫↓。単に成長度合い(幼齢)の違いなのか、別種なのかはよくわからない。




幹の上では、ヨコヅナサシガメの幼虫に捕まり体液を吸われているカメムシの姿もあった……↓。


松の枝先にはマツアワフキが隠れていた↓。


アワフキムシはカメムシ(科)ではないが、カメムシ目(半翅目)の昆虫。


アリを襲うハリサシガメ/アリに襲われるハリサシガメ

今年は活動時期が早めだったのか、あるいは夏が暑過ぎたせいか……7月後半以降ハリサシガメを見る機会が減って、8月もほとんど見ることができず……今シーズンはペアを1組も確認していない。ようやく気温が落ち着いて、ハリサシガメ成虫が姿を見せるようになったが……活動シーズンも終盤といった感じがしないでもない。

瞬殺!ハリサシガメの狩り



雑木林のふちにある石垣に姿を現したハリサシガメ成虫♂。もっぱらアリを捕えて体液を吸う捕食性カメムシ。成虫は背中に逆ハの字模様があるのが特徴。


前胸背の両側に突き出した側角や、小楯板から突き出した棘状の突起も魅力。


このハリサシガメ成虫は腹がしゃくれている↑のでオス。撮り始めるとサッと動いた──と思ったら、近くを通りかかったアリに襲いかかっていた。電光石火の早技。あっという間にアリはしとめられていた。


このようすを撮ろうとカメラを近づけると、ハリサシガメは口吻の先に獲物をぶら下げて隠れようと右往左往!? ピンボケになってしまったが↑アリの頸にハリサシガメの口吻が刺さっているのがわかる。瞬殺したアリを口吻でぶらさげ移動するピンボケ画像──↓、




この↑あと、獲物をひっさげたハリサシガメは石垣の隙間に隠れてしまった。
別個体のハリサシガメ成虫↓。


この個体↑も直後に、やはり石垣の隙間に隠れてしまった。生きている虫はじっくり撮るのが難しい……。

活動を終えようとしている?ハリサシガメ成虫♂



後日、石垣の上で見つけたハリサシガメ成虫。不自然に体が傾き脚が浮いている。死骸かと思って触れてみるとゆっくりと動く。どうやら寿命を終えようとしているオスのようだった。


逃げる力は残っていないようなので、接写。


この個体は翅がやや長めだが、ハリサシガメは翅多型で、個体によってその大きさはバラバラ。オスに長翅型が多く、メスでは短翅型が多い印象がある。前脚と中脚の脛節(けいせつ)内側には脛当てのような器官があって僕はレガースと呼んでいる。獲物であるアリを押さえ込むさいの摩擦力を高める働きをしているのだろうと考えている。
この衰弱した成虫♂は触角や脚を動かすことはできるが体勢を制御することはでいないようす。仰向けにひっくり返すと起き上がれないが、その脚先に触れると、指先につかまる力は残っていた↓。


元気な時はなかなかじっくり撮らせてもらえないので、この機会に葉の上に乗せて接写↓。




この個体は左右の前胸背側角の間(前胸背後葉)にペールオレンジの紋が入っているが、紋が消失した個体もいる
直径20mmの1円玉に乗せての大きさ比較もしてみた↓。


エサであるアリに襲われる!?ハリサシガメ成虫♀



ハリサシガメは成虫も幼虫もアリを主食にしている。しかし、そのアリに襲われているハリサシガメ!? アリには申し訳ないが、拾い上げてみると、衰弱した短翅型の成虫♀だった。やはり活動も終盤なのだろうか……。普段アリをエサにしているハリサシガメもアリのエサになり得るということだろう。これも葉の上に乗せて接写。




よく見ると、短い左翅の縁が欠けている↑。回収時に背中に乗っていたクロヤマアリにかじられた痕かもしれない。


腹は(しゃくれた)オスと違い膨らんでいる↑。アリの体液を吸う口吻はカメムシの仲間としては短い。ハリサシガメの頭~胸あたりを見ていると、なんとなくコンドルを連想してしまう……というのは僕だけだろうか?


ハリサシガメとファーブル昆虫記

砂まみれのサシガメ幼虫・ファーブル昆虫記にも



とてもユニークな昆虫なのに、その割に情報が少ない気がしてならないハリサシガメ。先日ふとファーブル昆虫記あたりに似た種類がとりあげられていないだろうか?──と思った。ファーブル昆虫記は小学生の頃、子ども向けの本でチラッと読んだ記憶がある。しかし当時はあまり印象に残らなかった。セミのそばで大砲を撃ってもセミは鳴き続けていた──セミには「聞こえていない」というエピソードは覚えていて……というより「そんなことがあるのだろうか? 聞こえないのにどうして鳴くのか?」と疑問に思ったことを覚えている。あとはスカラベの挿絵を覚えている程度で、何を読んだのかもさだかではない……。
虫屋でもある奥本大三郎氏によってファーブル昆虫記の完訳シリーズが出版されたというニュースはうっすら知っていて、大作だったらしい? 全10巻(それぞれ上下巻に分かれているので計20冊)ともなれば、その中にユニークなサシガメに触れた部分があっても良いのではないか?──そう思いついた次第。
「ファーブル昆虫記 サシガメ」で検索してみたところ『完訳 ファーブル昆虫記 第8巻 上』の第6章に「セアカクロサシガメ──肉食のカメムシ」という項目があることがわかった。内容紹介で「サシガメの幼虫は、なぜ砂まみれなのか?博物学の不朽の名著、画期的な個人完訳版」という文章をみつけ、「!」と思った。土粒コーティングするサシハリガメかそれに近い種類のサシガメに言及している──そう確信してさっそく市内の図書館へでかけ、この本を借りてきた。


立派な本を開くと、冒頭のカラー頁の口絵にはセアカクロサシガメ(成虫)の写真が載っていて、これを見た瞬間、逆ハの字模様こそないものの、ハリサシガメによく似た虫だと感じた。同じ口絵ページには「体に砂埃をまとったセアカクロサシガメの幼虫」の写真も掲載されており、その隣には「クロオオアリを捕えたハリサシガメの幼虫(日本産)」の写真まであって「おおっ!?」と思った。
以前読んだ岩田久二雄・著『昆虫を見つめて五十年(II)』の中ではクロオオアリはハリサシガメ若虫の餌には不向き(受け付けなかった)というような事が記されていて(僕は成虫・終齢幼虫ともにクロオオアリを捕食することを確認しているので)「違うな」と感じていた。それが『完訳 ファーブル昆虫記 第8巻 上』ではクロオオアリもハリサシガメ幼虫の捕食対象であることを記す写真が掲載されていて──これで、ちょっとスッキリした。

本文の第6章「セアカクロサシガメ──肉食のカメムシ」で取り上げられていたのが口絵にあったサシガメで、ファーブルはこの虫を精肉店で見つけ、成虫を持ち帰って飼育観察を始める。
セアカクロサシガメは夜行性で、狩りのシーンを見ることはかなわなかったが、餌となる昆虫はあまり選り好みしなかったという。そのあたりは昼行性で餌はもっぱらアリというハリサシガメとは違うところ。しかし後に記されていた幼虫が砂をまとうというユニークな点はハリサシガメと共通している。


日本産のハリサシガメはクビアカサシガメ亜科だが、ファーブルが観察したセアカクロサシガメもクビアカサシガメと同属だという。第6書訳注ページで知ったのだが、日本で見られるクビアカサシガメも幼虫は砂まみれの姿で暮らしているとか。幼虫が土粒をまとうというユニークな生態のサシガメがハリサシガメの他にもいたことを知って、がぜん興味が湧いてきた。

ファーブルは飼育下のセアカクロサシガメ成虫が産んだ卵が孵化するようすをかなり詳しく記しているが……僕にはちょっと理解しづらく、「これ、ホントかな……」と思わないでも無かった。というのも、ファーブルが「爆発」と称した現象を観察したのは1度だけらしい。小さな卵に起こった現象を1度見ただけで正確に把握できるものかどうか……また、その現象が起こる仕組みについての解釈にも疑問がある。本文を引用すると↓。

私はこの現象を二度と観察することができなかったので、これほど微妙な出来事を理解するには不充分である。だから、たぶんこうであろう、と単に思うだけなのだが、私としては次のような説明を試みたい。(P.206)

──として、孵化で起こる「爆発」の仕組みについて推理を記している。

カメムシの仲間の卵には、なんという見事な仕掛け、驚きに満ちた構造があることであろう。辛抱強く鋭い目で観察していれば、どれほど興味深い結果が得られることか!(P.207)

ファーブルはよくできた(?)孵化の仕組みに対して称賛しているが、それは「事実」というより、あくまでも「ファーブルの解釈」という気がする。

僕が興味を持って読んだのは、孵化以降──(ハリサシガメ同様?)砂まみれになる幼虫についての部分だ。もちろんセアカクロサシガメとハリサシガメは別の種類なので、同じように考えることはではないが、共通する特徴として比較しながら読み進んだ。
卵から孵ったセアカクロサシガメの1齢幼虫が、ときに卵の蓋を体につけているのを見てファーブルは次のように述べている。

この壷の蓋は、偶然、幼虫に触れたことで体に貼りついたのである。しかも、かなりしっかりとくっついている。というのは、この円盤を体からはずすには、次の脱皮まで待たなければならないからである。このことからして幼虫は、体から、通りがかりに触れた軽いものをべたべたくっつける粘液をだしていることがわかる。(P.208~P.209)

また、最初の脱皮を終えた2齢幼虫が砂粒をまとうことについては──、

二週間ばかりの間に幼虫たちは大きく肥り、そのうえ元との姿はなくなってしまう。というのは、体じゅう肢の先まで砂がくっついているのである。
 この砂の皮は脱皮した直後からできはじめる。最初、この小さな虫は、体のここかしこにぱらぱらとくっついた土の屑で斑になっている。それが、いまでは体じゅうを覆う土の衣になっているのだ。(P.211)


ファーブルは孵化直後、脱皮直後から、幼虫の体はベタベタしていて、砂粒が「勝手についてくる」ものだと、すんなり解釈している。
しかし──孵化や脱皮のとき、幼虫の体が最初からベタベタしていたら、殻から脱出するさいに不都合なのではないか──僕はそう考えていた。孵化や脱皮は虫たちにとって大変な作業だ。孵化不全や脱皮不全あるいは羽化不全で命を落とす個体もいる。


(※【ヤニサシガメぷち飼育中】より↑)
こうした事故を防ぐために孵化時・脱皮時には体表面は滑りが良くなくてはならない……だから離型剤の働きをする脂の被膜(?)のようなものが体表面と殻の間にできるのではないか……などと僕は想像していた。
滑りが良くなくてはいけないのに、逆に体表面がベタベタしていたのでは都合が悪かろう──だからそんなことはないはずだと僕は考えていた。
体表面がベタベタしていることで知られているヤニサシガメで、脱皮後はベタベタしているのかどうかを確かめるために飼育したことがある。




(※【ヤニサシガメのベタベタは分泌物なのか松ヤニなのか?】より↑)
やはり脱皮後のヤニサシガメ幼虫はベタベタしておらず、スベスベだった。こうしたことから、「脱皮幼虫がベタベタしているわけがない」との考えを強めていたので、ハリサシガメの脱皮で、抜け殻の背負っていた擬装素材を新幼虫が背中にひっつけながら出てきたのを見たときは、大いに驚いた。擬装素材の塊をどこかで引っ掛けて脱皮するのだろうか?──などと考えたこともあったが、よく解らずにいる。
脱皮しながらの擬装素材の引き継ぎは──これがファーブルの言うように、幼虫は最初からベタベタしていたのだとすれば、説明はつく。しかし、それではベタベタした体で孵化や脱皮をしたのか──という疑問が残る。ファーブルはこうした疑問を考えなかったのだろうか?
あるいは新幼虫の体表面と殻の間では滑りがよく、しかし他の物には粘着性のある──そんな分泌物が体を覆っているのだろうか?

幼虫が砂まみれになるユニークな生態についてファーブルは次のように記している。

 この襤褸(ぼろ)衣裳は意図的なもの、つまり奇襲作戦に役に立つものであって、獲物に近づくために自分の姿を覆い隠す手段なのだ──と思ったとしたら、そんな間違った考えは棄てなければならない。セアカクロサシガメは、わざわざ工夫を凝らしてそんな外套をこしらえたのではない。姿を紛らわせようとしてこんなものを担いでいるのではないのだ。それは何の工夫もなくひとりでにできてしまうのである。その仕組みはちょうど、円い楯がわりに背負った卵の蓋が、先ほど私たちにその秘密を明かしてくれたとおりである。
 幼虫は体から、一種のねっとりした液体を出す。それはおそらくは、幼虫の食物である脂肪に由来するものだろう。体から分泌しているこの鳥黐(とりもち)によって、幼虫自身が別に何かしなくても、移動するたびに触った埃が体にくっつく。サシガメが服を着るのではなくて、体がかってに汚れるのである。この幼虫は塵の球になる。つまり、歩く汚れそのものになるのだ。それは幼虫がべとべとした汗をかくからなのである。(P.211~P.212)


ファーブルはセアカクロサシガメ幼虫が砂粒まみれになるのは擬装目的があってのことではなく、幼虫が積極的に砂をまとうわけではないと記している。しかしハリサシガメ幼虫の場合は、積極的に土粒をまとう行動を僕は何度も見ている。




(※【ハリサシガメ幼虫のデコレーション&コーティング】より↑)
ハリサシガメ幼虫の土粒コーティングは獲物であるアリに気づかれることなく近づくための擬装だと僕は考えている。
大胆にもアリの列のそばで狩りをするハリサシガメ幼虫を観察したことがあるが、驚くほとアリたちは無反応だった。








アリたちに気づかれ総攻撃をしかけられたらハリサシガメ幼虫はひとたまりも無いだろう。ハリサシガメがアリを狩るには奇襲攻撃しかない。ハリサシガメのまとう土粒はアリたちをあざむく「天狗の隠れ蓑」の役割りをしているのだろう。僕はそう考えている。

ファーブルが言うようにセアカクロサシガメ幼虫が砂粒まみれになることに意味がないのだとしたら……たまたま幼虫がベタベタするサシガメが誕生し、その中から土粒にまみれることでアリに気づかれにくくなった→アリを狩るハリサシガメが誕生した──というシナリオになるのだろうか?

ファーブルはセアカクロサシガメ幼虫がベタベタするのは、《幼虫の食物である脂肪に由来するものだろう》と言っているが……この根拠も怪しい気がする。
飼育下のセアカクロサシガメの2齢幼虫(孵化した1齢幼虫は何も食べず、2日後に脱皮する)はファーブルが餌として与えた虫をことごとく拒絶したという。ファーブルは成虫が集まっていた精肉店にあったもの──として脂肪を与えてみたところ幼虫たちはこれを好み、順調に育ったという。それでファーブルはセアカクロサシガメ幼虫の餌は脂肪だと考えたようだが……しかし、脂肪などないところでは、2齢幼虫は何を餌にしているのだろう? 脂肪以外の本来の餌が存在するのではないかという気がする(注釈ではイガやカツオブシムシの幼虫の可能性が指摘されている)。であるなら、幼虫が砂まみれになるのは脂肪のせいではないはずだ。
あるいは、セアカクロサシガメ幼虫が身にまとった砂粒の擬装が役に立つような捕食対象や生態があるのではないか……そんな気もしないではない。

ところで……図書館で借りてきたこの本──『完訳ファーブル昆虫記 第8巻 上』(2010年の初版)のカバーには「本体2800円+税」と記されている。ところが、ネット上で価格を確認すると「3,600円(本体)+税」となっていたので、ちょっと驚いた。値上げがあったのだろうか?(8年で800円の値上げ!?)


ハリサシガメの羽化殻&脱皮殻

ハリサシガメの羽化殻&脱皮殻

今シーズンは5月19日に初めて幼虫を確認したハリサシガメ。成長段階の異なるものが混在しているが、終齢幼虫ではないかと思われるものも出てきて、だいぶ育ってきた感じがする。






この個体↑は小さいアリを捕え、体液を吸っているようだ。獲物を捕らえるときや口吻を刺し直すときなどは前脚と中脚を使って獲物をおさえるので、小さい獲物は土粒コーティングした脚の陰になって確認しづらい。ハリサシガメ幼虫は成長にともなって大きな獲物(アリ)を狩ることができるようになるが、小さなアリも狩っている。
ハリサシガメ幼虫は成長しているので、脱皮のシーンが見られないかと期待しているのだがなかなかその機会が得られない(昨年1度【謎めいたハリサシガメの脱皮】で見たきり)。しかし成長しているのだから、脱皮殻はもっと見つかって良いのではないかと、石垣の隙間やその下の地面なども注意して見ている。老眼が進んだ眼では心もとないが……石垣の下を探していると草にひっかかったアヤシイものを発見。




ハリサシガメ幼虫がデコレーションしたアリの死骸&土粒だらけの体!?──幼虫の死骸の可能性も考えたが、羽化殻だった。石垣で羽化した後、羽化殻が落ちて草にひっかかったのではないかと想像。撮りづらいので草ごと抜いて撮影↓。


これまで見つけた脱皮殻・羽化殻は乾燥して形を保っていたが、この羽化殻はしめって(少し前に雨が降っていた)しんなりしており、回収するさいに形が崩れ、脚が脱落してしまった。


昨シーズンは最初のハリサシガメ成虫を確認したのが7月23日だったから、羽化には早い気もするが、幼虫の育ち具合からすると新成虫が現われても不思議ではない。成虫を探したが見つからなかった。


今回みつけた羽化殻は形が崩れてしまったので↑、一昨年みつけたハリサシガメの羽化殻を↓。


ハリサシガメの幼虫はアリの死骸などを背中にデコレーションするが、これは脱皮のさいに引き継がれるので《幼虫への脱皮》では抜け殻にデコ素材は残らない(【ハリサシガメ脱皮後の再装備は?】参照)。成虫になるとデコレーション擬装はしないので《羽化(成虫への脱皮)》では抜け殻にデコ素材が残される。
ということで、これまでにみつけた脱皮殻──いずれも背中からデコ素材が剥ぎ取られている↓。






若齢の頃は腹が白っぽく(脱皮殻では透明)、成長すると黒っぽくなっていくようだ。幼虫はどんな姿をしているかというと──おそらく4齢と思われる幼虫の死骸からデコ素材と土粒を取り除いたもの↓(【ハリサシガメ幼虫のスッピン】参照)。


脱皮したての幼虫は、脱皮殻から引き継いだデコ素材を背負っているが、脚や腹の一部が露出していたりする。まだ腹がいくらか白っぽいハリサシガメ幼虫が、狩ったアリを食事後に背中にデコったようす↓(【白腹のハリサシガメ幼虫】参照)。