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新成虫vs羽化殻@アカスジキンカメムシ

1月にカメラが壊れてから撮影はしていないが、虫見はぼちぼち続けている。以前は美麗昆虫や面白いシーンに出会うと「なんとか記録せねば」とカメラごしに虫を見ることが多かったが、最近はその負担がないので気が楽だ。「カメラがあれば撮るのになぁ!」と残念に思うシーンもないではないが、記録撮影の負担から解放された感がなくもない。
とはいえ、観察のようすをブログにまとめるにあたっては、その状況を文章だけで説明するのはやっかいだ。現場を見ていない第三者(閲覧者)にはわかりにくいに違いない。公開している場でわかりづらい記事を投稿することには躊躇が働く……。

今年もアカスジキンカメムシの羽化シーズンを迎え、「見られる時に見ておかねば」と《抜け殻落とし(羽化殻落とし)》を観察している。これまでは記録画像を撮影するため接写距離に近づかなくてはならず、それがカメムシを警戒させ行動に影響(羽化殻落としを止めたりなかなか始めなかったり)を与えていたのではないかと気になっていた。しかし今シーズンはカメラが無いので、カメムシをおどかさないように少し離れたところからの観察をしてみた。離れて観察していれば羽化後早いタイミングで羽化殻落としを見られるのではないかと予想していたのだが……個体によって抜け殻落としを始めるタイミングはバラバラだった。
そんな今シーズンの観察も少し記録を残しておきたい。といっても画像ナシではイメージが伝えにくいので、過去の記事からの抜粋画像を交えて紹介していくことにする。

アカスジキンカメムシの羽化〜羽化殻落とし
01赤筋金亀虫成幼R1
まずは、アカスジキンカメムシというのは、こんな昆虫⬆だということで。カメムシは不完全変態なので蛹にはならず、終齢幼虫の背中をやぶって成虫が出現する。アカスジキンカメムシの羽化前後の行動は、これまでの観察からすると──、

①終齢幼虫は葉の裏で頭を下にしてとまり、
②前胸の背面が割れて羽化が始まる。
③殻から離脱した新成虫は羽化殻と向き合う形で対峙(頭を上にしてとまる)。
④羽化殻を頭で押して葉から落とす。
⑤葉の表側に移動してまったり(体色の定着&体が固まるのを待っている?)。


というのがデフォルトのようだ。過去の記事(複数)からの抜粋画像で紹介するとこんな感じ⬇。
02赤筋金亀虫羽化AR1
03赤筋金亀虫羽化AR2
04赤筋金亀虫羽化AR3
05赤筋金亀虫羽化AR5
06赤筋金亀虫羽化AR6
07赤筋金亀虫羽化AR8
08赤筋金亀虫羽化AR11
09赤筋金亀虫羽化後aR
10抜殻落シーンR1
11抜殻落し前後R
12赤筋金亀虫羽化R5
13抜殻落シーンRR
14赤筋金亀虫羽化殻落FR
《抜け殻落とし(羽化殻落とし・脱皮殻落とし)》の意味については【カメムシの奇行!?抜け殻落としプチまとめ】に考察をまとめているのでここでは割愛。
今シーズンは、羽化直前の終齢幼虫をみつけ、羽化〜羽化殻落としまでを観察しようと注目した──のだが……。

10:14(時:分) トウカエデわきのツツジの葉の裏で頭を下にとまっている終齢幼虫を見つけた(2019.05.16@東京)。
10:25 腹をあおるような動きを始め、少し間をあけて断続的に繰り返すことから羽化が近いと判断して、これを観察することにする。
10:29 脚を踏み直す(移動したり向きを変える気配はない/足場の確認?)。
10:50 黒い上半身(前胸背と頭部)の間に白い隙間(裂け目)が入り羽化が始まる。
10:56 前胸背の裂け目から白っぽい前胸が盛り上がってくる。
10:58〜11:00 前胸がほぼ脱出。
11:02 体の大半が脱出し腹端を羽化殻に残して逆さ吊り状態になる。
11:03 脚を殻から引き抜く。
11:12 新成虫が葉につかまる。
11:21 ほぼ離脱(腹端が羽化殻と接している状態)
11:22 スポンと羽化殻から腹端が離れる(気管が抜けた?)。
11:23 向きを変え羽化殻と向き合う(新成虫が頭を上にしてとまる)。
12:03 羽化殻との距離を詰める。
12:43 羽化殻を頭で押す《抜け殻(羽化殻)落とし行動》に出る。
12:44 頭で押して浮き上がった抜け殻の下にもぐり込み、葉の縁まで押して行くが、抜け殻は落下せず、宙に浮き上がった状態になる。
クモのしおり糸等に引っかかったのだろうかと確かめに近づくと、新成虫の体か葉の裏に羽化殻の爪がひっかかっているもよう。
のぞき込んだこともあってか新成虫は抜け殻をかついだまましばらく動きを止める。
12:51 少し動くが状況は変わらず
13:30 新成虫が葉の表へ移動/羽化殻は葉の裏に残される。
新成虫が葉の表側に移動したので葉の裏に残された羽化殻を回収したが、もしかすると羽化殻落としをしに戻る可能性もあったかもしれない。

4〜5mほど離れて展開を見守っていたが、この個体は殻から離脱したあと、40分後に羽化殻との距離を詰め、抜け殻落とし行動にでたのは更に40分経ってからだった。この個体の観察に2時間半ほどかけたわけだが、《抜け殻(羽化殻)落とし行動》は確認できたものの《抜け殻(羽化殻)落とし》は未遂に終わった。

新成虫が羽化殻と泣き別れになる羽化別れ!?
アカスジキンカメムシの新成虫がとまっている葉の直下には《羽化殻落とし》によるものと思われる羽化殻が落ちていることが多いが、葉の裏に抜け殻が残されていることもある。今回の観察のように未遂で終わるケースもあるのかもしれないが、羽化のさいに新成虫が羽化殻と離れてしまう泣き別れならぬ《羽化別れ(と勝手に命名)》もその原因の1つかもしれない。

今シーズンの観察では、羽化中の新成虫が羽化殻と泣き別れになるケースも確認できた。図にするとこんな感じ⬇。
15羽化別れ図解510
こうした羽化別れの状況でも、下の葉に移動した新成虫が羽化殻落としをするために上の葉に戻ることもあるようだ。以前の記録から⬇。
16赤筋金亀虫羽化殻落E再
今シーズン観察した《抜け殻落とし》確認例など「同じ葉の裏でみつけたアカスジキンカメムシの新成虫と羽化殻」の4つのケース⬇。
17羽化殻落A図
18羽化殻落B図
19羽化殻落C図
20羽化殻落D図
過去の観察例では羽化殻落としがあっというまに完了してうまく撮れないことが多かったが、今シーズンは意外に、新成虫がてこずるシーンが多かった。
羽化後(新成虫が古い殻から離脱後)、羽化殻落としを始めるタイミングも、バラツキがあるようだ。
アカスジキンカメムシの観察をしていて、新成虫が落としたとおぼしき直下の羽化殻をアリが運びんで行くシーンも見ることができた。葉の裏にとどまっているアカスジキンカメムシの羽化殻をアリが運び去るシーンは以前にも記録しているが、羽化殻は「アリが嗅ぎつけてやってくるターゲット(獲物)」と成りうることが改めて確認できた。天敵のターゲットとなる羽化殻を生活圏から排除する《羽化殻落とし》の意味を示唆するシーンともいえるだろう。

カメムシの奇行!?抜け殻落としプチまとめ
アカスジキンカメムシぷち実験で輝き復活
アカスジキンカメムシの臭腺開口部
アカスジキンカメムシ幼虫の臭腺開口部

昆虫など〜メニュー〜
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カメムシの奇行!?抜け殻落としプチまとめ



羽化や脱皮をしたカメムシが自分の抜け殻を落とす──この行動を僕は《抜け殻落とし》(もしくは《羽化殻落とし》・《脱皮殻落とし》)と呼んでいる。冒頭の画像↑は2018年5月に撮影した羽化後のアカスジキンカメムシ。新成虫が《抜け殻(羽化殻)を落とし》をした瞬間──ではなく、落とした抜け殻がクモのしおり糸にひっかかって宙に浮いているシーン。カメムシの《抜け殻落とし》については、これまで幾度も記事にしてきたが、ここで少しまとめておくことにした。

カメムシの《抜け殻落とし》とその意味

自分の抜け殻を攻撃して落とす──初めて目にした時は奇異に感じて、この行動にはどんな意味があるのだろうとあれこれ想像をめぐらせた。
抜け殻には、その虫が存在することを示す痕跡(例えば──羽化や脱皮のさいに分泌される離型剤のようなもの?)が残っていて、そのニオイが寄生蜂や寄生蠅、アリなどを呼び寄せてしまうことがあるのではないか? だとすれば抜け殻がカメムシの近くにあると、自分や仲間が天敵に見つかる危険が高まる……そこで、これを回避すべく生活圏の外に(災いの元となる)抜け殻を落とすのではないだろうか──今は、そのように考えている。
イモムシなどでは孵化後に卵殻を食べたり、脱皮後に脱皮殻を食べるものがいるが、これも1つには「天敵の指標となる抜け殻を隠滅する」という意味があるのではないかと思う。カメムシは口の構造上、抜け殻を食べて隠滅することができないので、生活圏の外に落とすことで処理しているのではないだろうか。
セミやチョウ・蛾などは羽化殻を残すが、羽化後その場から離れてしまうので抜け殻を残しておいても問題がないのだろう。セミは羽化する時に地中から出てきて木に登るし、チョウ・蛾は蛹になる前に食草を離れて移動するものがいる──こうした行動で「天敵の指標となる抜け殻を仲間から遠ざける」ことをしていると考えることもできそうな気がする(あるいは、ハチやハエに寄生されていた場合にも仲間から離れたところで蛹になることで、羽化した寄生蜂や寄生蠅を仲間から遠ざける効果があるのかもしれない)。
素人の考えたことで、この解釈が当っているのかどうかはわからない。しかし、カメムシが《抜け殻落とし》をするシーンは何度も目撃している。

エサキモンキツノカメムシの羽化殻落とし



成虫は背中のハート・マークが目をひくエサキモンキツノカメムシ。僕が初めて《抜け殻落とし》を目にしたのは、2012年10月──擬木で羽化する、このエサキモンキツノカメムシ↓を観察している時だった。


①擬木支柱で羽化するエサキモンキツノカメムシ。②羽化殻から離脱すると頭を上にし羽化殻と向き合う。③頭突きをするように羽化殻を攻撃し始め、ついに落としてしまった。羽化殻への攻撃が始まったのは新成虫が羽化殻から離脱して9分後のことだった。このときのことを記した記事→【ハート亀虫羽化 見守るキリスト!?】)。
2015年11月に、やはり擬木で羽化していたエサキモンキツノカメムシの羽化殻落とし↓。


①擬木支柱にとまった羽化後の新成虫と羽化殻。②羽化殻に頭からぶつかっていく新成虫。③羽化殻を落とす。このときは離脱後20分余り経ってからの羽化殻落としだった(※詳細記事→【エサキモンキツノカメムシの抜け殻落とし他】)。

アカスジキンカメムシの羽化殻落とし&脱皮殻落とし



《抜け殻落とし》はアカスジキンカメムシで観察することが多かった。といっても必ず行うわけではなく、葉の裏に抜け殻だけが残されていることもある(地面に落とされている抜け殻の方が多い)。また羽化中や羽化直後の新成虫を見つけて羽化殻シーンを撮影しようと近づくと、(警戒して)固まったままなかなか始まらなかったり、アクシデントで他の昆虫と接触して羽化殻を残して逃去る新成虫もいた。近くで待機していると《抜け殻落とし》が始まらないし、離れていると《抜け殻落とし》が始まっときに接写が間にあわず、画像での記録は失敗が多かったが……とりあえず記録ということで……。


2018年5月に撮影したもの↑。ムクゲのやや高い位置にとまっていたのできれいに撮れなかったが……①葉の裏で羽化中のアカスジキンカメムシ。②離脱した新成虫が向きを変える。③羽化殻と頭をつき合わせるような形。この時点で羽化殻の脚は葉から外れかけていた。④しばらくじっとしていた新成虫が動き出す。⑤頭で羽化殻を押しながら前進。⑥前進して寄り切るように羽化殻を落とす(この直後に羽化殻は落下)。⑦羽化殻落としを終えたアカスジキンカメムシ新成虫。※【羽化殻落とし@アカスジキンカメムシ】より↑。
《羽化殻落とし》を目の前で確認しながら、肝心のシーンが激しくピンポケになってしまった例……↓。


2017年5月に撮影↑。羽化中のアカスジキンカメムシが古い殻から離脱して2時間ほど経ってからの《羽化殻落とし》だった(※詳細→【アカスジキンカメムシ:羽化~抜け殻落とし】)。《羽化殻落とし》を接写しようと近くで待機していると、警戒して(だろう)なかなか始めてくれない。待たされることが多かった。


2017年5月に撮影↑。①を撮影した後、少し離れたところから監視を続けて《羽化殻落とし》を待っていた。②《羽化殻落とし》の瞬間──フレーミングもピントも間に合わず、角度も悪くてこんな画像しか撮れなかった(①から50分が経過していた)。③羽化殻を落とした後の新成虫(※詳細→【アカスジキンカメムシ羽化後《抜け殻落とし》確認】)。



2018年5月に撮影↑。①新成虫は孵化殻から少し離れたところに移動していて体色もだいぶ濃くなってきている(時間も経過している)。もう《羽化殻落とし》はしないのだろうか……とあきらめかけていると、した──が、その瞬間は撮り逃し、その直後の画像が→②羽化殻落とし直後の画像(1秒前にはフレーム内に羽化殻があった)。目の前で《羽化殻落とし》を確認していながら、またしてもその瞬間は撮り逃してしまった(※詳細→【羽化殻落とし@アカスジキンカメムシ】)。



2018年5月に撮影↑。これは《羽化殻落とし》のシーンを確認していない。葉の裏で羽化殻と対峙している羽化直後の新成虫(左画像)。2時間40分後に見に行くと、新成虫はすでに葉の表に移動しており、葉の裏の羽化殻はなくなっていた(右画像)。新成虫は、おそらく《羽化殻落とし》をしたあとに葉の表に移動したのだろう(※詳細→【アカスジキンカメムシの羽化他】)。
アカスジキンカメムシの《抜け殻落とし》は幼虫の脱皮でも確認している(《脱皮殻落とし》)。


2015年9月に撮影↑。①コブシの葉で脱皮中のアカスジキンカメムシ幼虫。②触角や脚が抜けていく。③最後に腹端が抜けて新幼虫が抜け殻から離脱。よくこのサイズの体が小さな抜け殻に収まっていたものだといつも感心する。④向きを変えて抜け殻と対峙。⑤抜け殻に頭突き攻撃。⑥抜け殻の下にもぐることで抜け殻の前脚を葉から引き剥がす。カメラを近づけたためこの姿勢で触角を倒し、静止してしまった。この2分20秒後の画像が→⑦接写するカメラを離していたわずかのスキに脱皮殻は落とされてしまった(※詳細→【アカスジキンカメムシの抜け殻おとし】)。
こちら↓は2015年10月に撮影した《脱皮殻落とし》。


①擬木の支柱で脱皮殻落としを開始したアカスジキンカメムシ幼虫。葉の裏ではすんなり落ちる抜け殻が、擬木では徘徊する蛾の幼虫やクモが残した糸がひっかかってなかなか落ちない。②頭突きをし抜け殻を押し上げる新幼虫。③なかなか落ちない脱皮殻を持ち上げ、このあとようやく落としたのだが……。④擬木に残されていたしおり糸(?)にひっかかった脱皮殻は宙吊りになっていた。⑤脱皮殻がまだあることに気がついた新幼虫は……⑥わざわざ支柱をおりていき脱皮殻を落とそうと頭突きをする。⑦脱皮殻は再び落ちかけて途中で宙吊りに──この後、風にあおられて、ようやく落下した(※詳細→【カメムシの抜け殻落とし行動】)。
宙吊りになった脱皮殻に追い打ちをかけにいく行動に《抜け殻落とし》に対する執着のようなものを感じた。
《抜け殻落とし》への執着は羽化でも感じるケースがあった。


2017年5月に撮影↑。ふつう羽化後の新成虫は羽化殻と同じ葉にいるものだが、上下の葉に分かれてしまった羽化殻と新成虫。①では羽化殻と新成虫がとまった葉は離れているが、羽化は羽化殻のある上の葉で行われたはず。そのときは上の葉(羽化殻がある葉)は終齢幼虫の重みで下がり、下の葉(新成虫とまっている葉)は(新成虫の体重がかかっていないため)もっと上がっていて上の葉と接していたのだろう。羽化の過程で新成虫が、接していた下の葉につかまり、そのまま体重がかかってこの状態(上下の葉が離れる形)になったものと思われる。この状態で下の葉に移ってしまった新成虫が羽化殻を落とすために、わざわざ上の葉まで戻るのかどうか──興味があったのでしばらく近くにスタンバって観察していたが、警戒してかなかなか動かず。少しその場を離れ、22分後に戻ってみると→②新成虫はすでに上の葉に移動しており、羽化殻は落とされた後だった。羽化殻はこの枝の下でみつかったので、風で落ちたわけではなく(風に飛ばされたのであれば直下には落ちない)、新成虫がわざわざ上の葉に移動している事からも《羽化殻落とし》が行われたことは、まず間違いない(※詳細→【アカスジキンカメムシ新成虫《抜け殻落とし》のケース】)。
羽化や脱皮をしたあとのカメムシが労力を要して行う《抜け殻落とし》には、やはりそれなりの意味があるのだろうとあらためて感じた。
僕が想像した《抜け殻落とし》の意味の一端を裏付けるようなシーンもあった。


2018年5月に撮影↑(※詳細→【アカスジキンカメムシの羽化他】)。葉の裏で羽化していたアカスジキンカメムシの羽化殻落としを接写すべく、ずっと近くでスタンバっていたが、(警戒して?)なかなか羽化殻落としは始まらない……。そのうちアリがやってきてしまい、アカスジキンカメムシ成虫は羽化殻を残して別の枝へ移動していってしまった。羽化殻はアリによって運び去られた↓。


これで、羽化殻を放置すればアリが来ることは確認できた。アリがくるのだから、寄生蜂や寄生蠅など、他の天敵が嗅ぎ付けてくることも充分ありそうだ。こうした天敵を生活圏に誘引しないように抜け殻を落とすというのは理にかなっているように思われる。もちろんカメムシが「効果を考えて」こうした行動をとっているわけではいだろうが……進化の中で、何らかのきっかけによって抜け殻を落とす行動が生まれ、それを行う個体の生存率が高かったことから、その子孫にこの行動が受け継がれ定着していったのではないか?

ツヤアオカメムシ・チャバネアオカメムシの《羽化殻落とし》



エサキモンキツノカメムシやアカスジキンカメムシの他には、ツヤアオカメムシとチャバネアオカメムシで《羽化殻落とし》を確認している。



2015年11月に擬木で撮影したツヤアオカメムシの羽化殻落とし↑(※詳細→【モンキツノカメムシとエサキモンキツノカメムシ他】)。



2018年9月にケヤキの幹上で行われていたチャバネアオカメムシの羽化殻落とし↑(※詳細→【チャバネアオカメムシの羽化殻落とし】)。

謎めいたカメムシの《抜け殻落とし》

何の予備知識も無くカメムシの《抜け殻落とし》を目にした当初は理解しがたい光景のように思われた。つい今しがたまで自分の体の一部だったものを攻撃する!?──自分の体から離れたとたん、《自己》だったものが《非自己》と認識されてしまうのだろうか? それにしても、エサキモンキツノカメムシは母虫が卵~若齢幼虫集団を守ることで知られているし、アカスジキンカメムシも葉の裏に数匹が体をよせあって集まっていたりする──仲間と協調できる昆虫が、どうして少し前には自分の体だった抜け殻を攻撃するのか、とても不思議だった。
最初に記した通り、今では「天敵に嗅ぎつけられる危険を避けるため」に《抜け殻落とし》をするのだろうと僕は考えている。長い進化の中で、抜け殻を放置するものの中から落とすものが現れ、その一群の生存率が高かったことで《抜け殻落とし》の習性が自然選択されたのだろうという解釈なのだが……それでは、最初の《抜け殻落とし》はどのようにして起こったのだろう? カメムシが「天敵を避けるため」と意識して始めたわけではないだろうから、きっと何か別の行動システムの副産的な(あるいはエラー?)発現がきっかけになってのことではないかという気がするが、そのあたりのことはまだ想像がつかずにいる。
僕の解釈がどの程度当っているのか、まるっきり的外れなのかはわからないが……いずれにしても脳味噌を刺激し続けるカメムシの《抜け殻落とし》は、気になる《謎めいた生態》の1つである。

※追記:風変わりなハリサシガメの脱皮殻剥ぎ

ちょっと(かなり?)変わったカメムシ──ハリサシガメの《抜け殻落とし》に相当すると思われる行動について追記。ハリサシガメは捕食性カメムシでエサはもっぱらアリという変わり種。しかも幼虫は捕食後のアリの死骸を背中にデコレーションして擬装するという風変わりな習性を持っている。背中にデコるのは狩ったアリばかりでなく、おそらくアリのゴミ捨場から拾ってきたのではないかと思われる虫の残骸等も混じっていたりする。さらにハリサシガメは脱皮も奇想天外で、古い殻を破って出現する新幼虫は脱皮殻が背負っていたデコレーション素材をそのまま引き継ぎ、背負いながらでてくる↓(*)。




画像を90度回転しているが、実際は石垣の鉛直面に頭を下にして脱皮している↑(画面左が下)。この脱皮のさいに、引き継いだデコレーション素材とともに、これにくっついていた自分の脱皮殻もいっしょに背負ってしまうことが起きる。
自分の脱皮殻を背負って擬装する昆虫(セモンジンガサハムシなど)もいるのだし、ハリサシガメ幼虫は他の昆虫の残骸をわざわざデコレーションしているのだから、自分の抜け殻だってデコっても良さそうな気がするが……ハリサシガメ幼虫は自分の脱皮殻だけは嫌って、引き剥がそうとする。先に紹介したカメムシの《抜け殻落とし》が、基本的には頭を使って──頭突きで押し出すように行われていたのに対し、ハリサシガメ幼虫の、いわば《脱皮殻剥ぎ》は後脚を使って行われるようだ。




別の脱皮後と思われるハリサシガメ幼虫↓。


ダンゴムシかワラジムシの殻(白く見える物)を背負っているが、その後ろに脱皮殻も付着している(腹の背面がデコ素材にくっついている)。この30分後、すでに脱皮殻は引き剥がされていた↓。


アリの死骸やアリが廃棄したと思われる虫の残骸などは積極的にデコるのに、自分の抜け殻はデコレーションから排除しようとするのが興味深いところ。擬装がアリの嗅覚を欺くためのものだとしたら、自分の(ニオイがついた)脱皮殻を排除するのは理にかなっている。

★ハリサシガメ記事一覧

チャバネアオカメムシの羽化殻落とし

カメムシが羽化や脱皮の後に自らの抜け殻を攻撃して落下させる──そんな興味深い行動を僕は何度も観察している(*)。この《抜け殻落とし(羽化殻落とし・脱皮殻落とし)》には、寄生蠅や寄生蜂、アリなどが嗅ぎ付けて来ないように、抜け殻を生活圏の外へ廃棄する意味合いがあるのではないかと想像している。この行動をこれまでアカスジキンカメムシ(羽化殻落とし&脱皮殻落とし)・エサキモンキツノカメムシ(羽化殻落とし)・ツヤアオカメム(羽化殻落とし)で観察しているが、今回、チャバネアオカメムシで《羽化殻落とし》を確認することができた。

チャバネアオカメムシの《羽化殻落とし》



ケヤキの幹に羽化してあまり経っていないと思しきチャバネアオカメムシ&抜け殻を見つけた。もしかするとチャバネアオカメムシでも《羽化殻落とし》が見られるのではないか……と思って近づくと、成虫が抜け殻に近づき、頭突きを始めた──ので、あわてて撮り始める。


カメラを近づけると、警戒して動きを止めてしまったが……ほどなく《羽化殻落とし》を再開。画面上隅の数字は撮影時刻(時:分:秒)。


頭突きをするように抜け殻を押し、その下にもぐり込んで抜け殻を浮かす。そして《羽化殻落とし》の瞬間──↓。


風があったので羽化殻は下に落ちず横に飛ばされていった↑。


《羽化殻落とし》を終えたチャバネアオカメムシ新成虫↑。
《羽化殻落とし》の瞬間の前後をリプレイ風に↓。


これまで《抜け殻落とし》の記録には手こずることが多かったが、今回は意外にあっさりと《羽化殻落とし》を確認することができた。


全身緑色なのは、羽化後あまり時間が経っておらず、まだ本来の体色が現われていないため。やがて和名にもある「茶翅」になる。
近くにいた別個体のチャバネアオカメムシ成虫↓。


成虫になる前の姿──チャバネアオカメムシの終齢幼虫は、こんな姿↓。


キアイを入れれば(?)日本髪を結ったつり目の顔に見えなくもない? カメムシのニオイを嗅いで、しかめた顔──みたいな!?


周辺では数匹のチャバネアオカメムシの幼虫が見られた。カメムシは蛹を経ずに幼虫から成虫へと羽化する──これはセミと同じ。セミは頭を上にして羽化を始めるが、カメムシは頭を下にして羽化するものが多いように思う。
ケヤキの幹に下を向いてとまっていたチャバネアオカメムシ終齢幼虫↓。


頭を下にしてじっとしていることから羽化が近いと判断。27分後に戻ってみると、既に新成虫が誕生していた。抜け殻と絡んでいたので《羽化殻落とし》の最中かと思ったら……。


新成虫の左翅が抜け殻の中に残ったまま体が固まってしまったようだ。


羽化不全はしばしば起こる。こうしたシーンを見ると、脱皮や羽化は大変な作業なのだとあらためて感じる。
やはりケヤキの苔むした幹上で、羽化してまもないと思われるチャバネアオカメムシを見つけた。


画面の左側に下を向いた抜け殻。昆虫の脱皮や羽化を見るたびに思うが……よく、こんな小さな殻の中に収まっていたなと感心する。カメムシは抜け殻から出てくる新成虫や新幼虫の方が大きい(体を膨らませることで古い殻を破って体を押し出す?)。余談だが、ヘビの場合は逆に抜け殻の方が大きく(長く)なる


新成虫の翅がのびていく。抜け殻に近づいたので《羽化殻落とし》が始まると思いカメラを近づけると警戒して動きを止めてしまった。この新成虫は左触角が途中で欠けていた。


カメラを構えていると《羽化殻落とし》を始めないので、しばらく他を見て回り、戻ってくると、抜け殻も新成虫も消えていた……。
ついでに、先月撮影していた、(おそらく?)チャバネアオカメムシの初齢幼虫↓。




アカスジキンカメムシの羽化他

アカスジキンカメムシの羽化(完全版)

羽化後の新成虫による《羽化殻落とし》(後述)を観察すべくアカスジキンカメムシを探していると、ツツジの葉の裏に、うってつけ(理由は後述)のターゲットを発見。遠目には2匹並んだアカスジキンカメムシ終齢(5齢)幼虫に見えるが、1つは羽化後の抜け殻(羽化殻)で、もう1つはミの入った終齢幼虫だった。


アカスジキンカメムシはふだんは頭を上にしてとまっていることが多い。しかし、脱皮や羽化のときは頭を下にする。この終齢幼虫は頭を下向きにとまっていたので羽化が近いと判断。羽化の流れで《羽化殻落とし》までを記録できれば申し分ない──ということで注目していると、腹を上下に動かしたり、ピクリと震えるような動きが見られはじめたので、いよいよ羽化が迫ってきていると感じた。
ちなみに幼虫の黒っぽい部分(鈍い金属光沢がある)は硬い組織で、白い部分は軟らかい組織。成長にともなって広がるのは白い部分で、そのため脱皮後は黒い模様が詰まって見え、羽化(次の脱皮)前は広がって(白い部分の面積が多く)見える。この白い部分は抜け殻では半透明になる。この時点で見えている「白」は半透明の組織越しの新成虫の体だということが、羽化が始まるとわかる。


終齢幼虫の背中が割れて羽化が始まった。古い殻の腹端の中で新成虫の腹が移動して行くのが半透明の組織越しに確認できる。画面隅の数字は撮影時刻(時:分:秒)。


触角や脚がゆっくりと引き出されていく。白い糸のようなものはセミの抜け殻でもみられる気管だろう。


触角、前脚と引き抜かれ……、


中脚・後脚も引き抜かれていく。


腹端で体をささえ、逆さのまましばらくじっとしているが、やがて葉をつかみ、


腹端を抜いて羽化殻からの離脱を完了。


離脱した新成虫は、向きを変え(頭を上に向け)抜け殻と対峙する形になる……と予想していたが、カメラの方を見ると(?)反対向きに方向転換して……。


若干カメラを遠ざけるような形で上を向いて安定した。──と、ここまでで「羽化」は完了(体色か本来のものになるまでには更に時間がかかる)。羽化するモデルを見つければ羽化のようすを撮影することは難しくない。難関はこのあとの「本来なら基本的には行われるだろうと思われる《羽化殻落とし》」──これを無事に記録できるかだ……。

《羽化殻落とし(抜け殻落とし)》とは…

羽化した新成虫は羽化殻の近くでしばらくじっとしているが、(ある程度体が固まってくると?)抜け殻を攻撃して落とす──アカスジキンカメムシでは脱皮後の幼虫を含めてそんな行動を何度も確認していて、僕はこれを(勝手に)《抜け殻落とし》と呼んでいる(最近、羽化に関しては《羽化殻落とし》を使うことにした)。《寄生蜂や寄生蝿・アリなどを呼び寄せかねない手がかり(抜け殻)を生活圏の外へ破棄する意味合いがあるのではないか》と考えているのだが、これは単なる個人的な想像にすぎない。
今回の羽化観察の舞台となった葉の裏には、抜け殻が残っていた。《羽化殻落とし》が行われないこともあるということだ。
まだ体色が完全に整っていない新成虫が見つかると、羽化が行われたはずの近くの葉の裏には抜け殻が見つからず、直下に落ちていることが多いことから(風などで飛ばされたのなら直下には落ちない)《羽化殻落とし》は基本的には行われるのだろうと考えているが、葉の裏に放置された羽化殻もないわけではない。
以前観察した例では、羽化後に飛来したテントウムシに接触した新成虫が抜け殻を残して逃去った(その後戻ってこなかった)ということがあった。また、落とす瞬間を記録しようと近くでスタンバっていると警戒してなかなか《羽化殻落とし》を始めないこともある(その場を離れた間に抜け殻が落とされている)。
さて、《羽化殻落とし》について関心を持つようになって抱いていた疑問がある。「新成虫が羽化した葉の裏に、他の個体の羽化殻が残されていたら……新成虫はどうするのか?」ということだ。「自分の羽化殻だけを落とすのか? 自他とは関係なく近くにあった1つを落とすのか?(1つ落とせば行動欲求は解消するのか) それとも葉の裏にある別の羽化殻もすべて排除するのか?(羽化殻がある限り行動欲求は解消しないのか) あるいは全てを放置するのか?」ということだ。《羽化殻落とし》に生存率を高める意味があったとしても、昆虫がそれを理解して行っているとは思えない。羽化殻を落とすという行動が、どういうシステムで成り立っているのか興味がある。
「新成虫が羽化した葉の裏に、もし他の個体の羽化殻が残されていたら……」というシミュレーションを想像していただけに、今回、羽化殻が残されている葉の裏で羽化を始めようとしている幼虫を見て、これは「うってつけ」だと思ったわけである。

説明が長くなったが……そんなわけで、今回羽化を観察したアカスジキンカメムシの《羽化殻落とし》には期待が高まる。
じっと近くでスタンバっていると警戒して《羽化殻落とし》を始めないかもしれないので、ときおり経過記録の画像を撮るときだけ近づき、あとは少し離れて見守ることにした。
が……この「時々近づく方式」が良くなかったのか……新成虫は半分隠れたような位置で2時間ほどほとんど動かなかった。やがて抜け殻を残し、葉の表側へ移動してしまったので《羽化殻落とし》は、もう行われないだろうと判断してその場を離れた。


羽化殻が2個あったために《羽化殻落とし》が発動しなかったというより、観察されて警戒してのことではないかという気がする。
念のため2時間後に戻ってみるが、やはり羽化殻は葉の裏に2つ残されたままだった。


このとき「!?」と思ったのが、近くにいた別の新成虫と今回観察した新成虫の体色の整い方に違いがあるということだ。今回観察していた新成虫は、本来の体色であるグリーンの部分が前胸から整っているのに対し、別の新成虫では逆に前胸で遅れている。これまでどの個体も同じように変化して行くのだろうと思っていたが……ちょっと意外だった。

触れることなく《羽化殻落とし》!?



これは別の葉の裏で羽化中のアカスジキンカメムシ。


この角度からだと「縮れた翅」のようにも見える小楯板がしだいに伸びていくのがわかる。


葉につかまって腹端を外す。


離脱後、抜け殻と対峙する新成虫。


時折、触角を起こすので、《羽化殻落とし》に備えて接写の体勢をとるが……警戒してそのつど触角を倒して静止モードに戻ってしまう。


抜け殻の近くに留まっているうちは《羽化殻落とし》をする気がある(?)と判断して待ち続けていたのだが……。


新成虫は別の葉へと移動してしまった。どうしてとまっていた葉の表ではなく別の葉へ移動したのか、ちょっと不自然な気はしたが……じつは、この前後の画像にアリが写り込んでいた。不覚にも撮影中はアリに気づかず、新成虫が大きく離れてしまったので《羽化殻落とし》をしないと判断して観察を終了することに。




11時55分台に新成虫と抜け殻を入れた画像を数枚撮ってその場を離れた。羽化殻を引き剥がすアリの拡大画像はそのとき気づかずに撮ったもののトリミング。
観察を終了した15分後にのぞいてみると、新成虫は離れた葉にとまっていたが、羽化殻が消えていたので驚いた。そこで腑に落ちないまま状況の追加撮影。


新成虫が羽化殻を落としに戻って、また離れた葉の裏に移動したとも思えない……。離れた場所から触れずして羽化殻を落とす、アカスジキンカメムシの超能力か!?
アリが羽化殻を葉から外していたことに気がついたのは帰宅後、画像を整理している時だった……。
《抜け殻落とし》の意味について、抜け殻が残されているとアリをアカスジキンカメムシの生活圏に呼び寄せることになる──それを回避するためという可能性も想像していたが、実際にアリが羽化殻に集まることがあるのだということが確認できた。期待した《羽化殻落とし》は見られなかったが、これは予想外の収穫だった。
観察中に新成虫が離れた場所へ移動したのも、アリを嫌ってのことだったのかもしれない。

見てないところで《羽化殻落とし》は行われる!?

接写で撮影しようとすると、なかなか見せてくれない《羽化殻落とし》だが、監視していないととどこおりなく実行される?


葉の裏で羽化殻と対峙している羽化直後の新成虫。この場所は見づらく撮りづらいところだったので、継続的な観察対象から外した。その瞬間を見ることはあきらめて、2時間40分後にのぞいてみると、羽化殻はなく、新成虫が葉の表に出ていた。おそらく《羽化殻落とし》をしたあとに葉の表に移動したのだろう。《羽化殻落とし》の観察は、ちょっともどかしい……。



【追記】まだ体色が薄い羽化まもないアカスジキンカメムシ新成虫。ここで羽化したのだろう。しかしこの葉の裏に羽化殻はない。ということは、すでに《羽化殻落とし》が行われていたに違いない。見ていないと《羽化殻落とし》は速やかに行われる!?
一方、冒頭の羽化観察で《羽化殻落とし》が行われなかった羽化殻は3日後も、また葉の裏に残っていた。




羽化殻落とし@アカスジキンカメムシ



葉の上に新成虫が目につくようになったアカスジキンカメムシ。しかし終齢幼虫の姿もまだそこかしこに見られる。ということは、羽化後の《抜け殻落とし》を観察するチャンスはまだあるということだ。
さて、以前記した《抜け殻落とし》関連の記事にいただいたコメントの中に「羽化殻」という言葉があった。なるほどこれは「羽化後の抜け殻」をわかりやすく示す便利な言葉だと感心。僕も使わせてもらうことにした。
ということで、《羽化殻落とし》──これが見られる今の時期に見ておかねば……と、つい、アカスジキンカメムシを探してしまう。その瞬間をキレイに撮るのは僕には難しそうだが……とりあえず観察例を増やしておきたい。

頭上で行われた《羽化殻落とし》



ムクゲのやや高い葉の裏で羽化中のアカスジキンカメムシを見つけた。撮影するにはちょっと遠い……しかし《羽化殻落とし》の確認をしておこうと観察を始めた。いちおう経緯は記録程度に撮影。画面すみの数字は撮影時刻(時:分:秒)。


①羽化中のアカスジキンカメムシ(羽化の詳しいようすは→【アカスジキンカメムシの羽化《抜け殻残し》のケース】)。②離脱した新成虫が向きを変える。③羽化殻と頭をつき合わせるような形。この時点で羽化殻の脚は葉から外れかけていた。④しばらくじっとしていた新成虫が動き出す。⑤頭で羽化殻を押しながら前進。⑥葉の根元付近まで前進して羽化殻を寄り切るように羽化殻を落とす(この直後に羽化殻は落下)。⑦羽化殻落としを終えたアカスジキンカメムシ新成虫。
これまで観察してきた《抜け殻落とし》(《羽化殻落とし》や《脱皮殻落とし》)では、新成虫・新幼虫が頭突きで抜け殻を浮かせ、その下にもぐり込むように前進をすることで抜け殻を引き剥がして落とすような動作が見られた。

《羽化殻落とし》の新たなワザ!?



こちらは、やけに小さな葉の裏で羽化したアカスジキンカメムシ。見つけたとき、成虫は足場がないので羽化殻にしがみついていた。これまで見てきた《抜け殻落とし》では、新成虫・新幼虫は、ちゃんと足場を確保し、ふんばることで抜け殻を押し出すことができていたように思われるが……この状況で新成虫は《羽化殻落とし》をするための足場をきちんと確保できるのだろうか?


①新成虫は羽化殻につかまっていたが……。②葉のふちにもつかまる。


③この時点では、羽化殻の右前脚はちゃんと葉の縁をとらえている。しかし……④羽化殻の右前脚が葉から離れ、左前脚と左中脚も宙に浮いているのがわかる。


⑤この時、羽化殻は右中脚1本だけで葉につかまっていた。ぶら下がった羽化殻の開いた前胸背からカラッポになった内部がのぞいている。この中によくこの新成虫が収まっていたものだ。


⑥この画像を見ると、羽化殻は右中脚の──それもツメの1つだけでぶら下がっていることがわかる。⑦そして、ついに羽化殻が葉から剥がれる。⑧羽化殻を支えているのは新成虫の脚だけ。この直後に羽化殻は落下。


⑨今回は頭を使うことなく(頭突きや頭で押すことをせずに)羽化殻を落とした新成虫。いや、むしろ頭を使って脚で落とした?(というのはジョーク)
今回の行動が、意図的?(積極的)に羽化殻を落とすワザだったのか、それとも新成虫の足場が無くてたまたま羽化殻を踏みつけることで起こった落下なのか……このあたりは、ちょっと判然としない。しかし、無事に(?)羽化殻は落下し、新成虫は満足げに見えなくもない(?)。


⑩体色がだいぶ濃くなってきたが、「赤筋」模様はまだ白いまま。


新たな脚ワザ(?)で落とされた抜け殻(羽化殻)がコレ↑。幼虫時代に白かった部分は半透明になっている。背面の画像では羽化の際に裂けた前胸背の穴から前胸腹面が見える。前脚を引き抜いた跡や半透明になった前胸腹面ごしに長い口吻が透けて見える。

《羽化殻落とし》を視認



クサギの幼木の葉の裏で羽化を終えたアカスジキンカメムシ。模様が判る程度に体色は濃くなりつつあるが、羽化殻はまだ残っている。この葉は風でずっと揺れていたが、それが羽化殻落としの開始を遅らせていたのだろうか?
羽化や脱皮はいったん始まれば、近づいて接写しても継続されていく(中断できない?)が、抜け殻落としは不用意に近づくと止めてしまったり始まらなかったりする。それで今回は警戒させないように離れたところからようすを見守った。


①新成虫は孵化殻から少し離れたところに移動していて体色もだいぶ濃くなってきている(時間も経過している)。もう《羽化殻落とし》はしないのだろうか……という懸念もあったが……。②は羽化殻落とし直後の画像(1秒前にはフレーム内に羽化殻があった)。目の前で《羽化殻落とし》を確認していながら、その瞬間は撮り逃してしまった。
その時の状況は……少し離れた場所で新成虫が羽化殻に接近して行くのに気がつき、《羽化殻落とし》を確信したが、ここであわてて近づくと動作をやめてしまうかもしれない。ゆっくりと慎重に近づくと、新成虫は抜け殻を頭で押し始めた。《羽化殻落とし》とわかるシーンにカメラを向けるが……風で葉が揺れてピントが合わない……。多少のピンぼけやブレは覚悟でシャッターを切らないと、また撮り逃すことになる──とりあえず撮っておこうと決断した瞬間──羽化殻は落下……。ほんの0.何秒かのタッチの差で撮れたのがこれ。1秒前にシャッターを切っていればそのシーンが撮れていたはず……どうせピンぼけかブレていただろうが……やはりちょっと悔しい。
とりあえず、通常の(?)「頭を使っての《羽化殻落とし》」を確認したので記しておく。