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ムツバセイボウふたたび

待機中のムツバセイボウ



前回()ムツバセイボウを観察した木材置き場で、ヤマトフタスジスズバチ(フタスジスズバチ)が飛んでいるのを確認。この蜂を宿主とするムツバセイボウがまた現れるのではないか──と注意してみると、やはりいた。
今回も狙いを定めたヤマトフタスジスズバチの巣の近くで待機するムツバセイボウを撮ることができた。
じつは他の場所でもムツバセイボウを見かけたことがあったのだが、この時はターゲットを探してせわしなく移動し続けていたので撮影することができなかった。
セイボウの撮影には、ターゲットを定め(その巣穴から)少し離れたところで待機している個体が適しているのかもしれない。












ムツバセイボウがチラッとのぞいただけで托卵せずにヤマトフタスジスズバチ(フタスジスズバチ)の巣穴(カミキリの脱出孔を利用)を離れたのは、まだ卵を産みつけるタイミングではないことを確認したためだろう。フタスジスズバチが我が子のためにたくわえるエサ(蛾の幼虫/これがムツバセイボウ幼虫の餌となる)の貯蔵量がまだ充分でなかったからかもしれないし、あるいは巣穴を塞ぐ前段階の《葉片を詰め込む作業》が始まるのを見きわめて卵を産みに入るのかもしれない(そのときに葉片を引っぱりだす?)。
ムツバセイボウはフタスジスズバチの巣穴から少し離れたところで待機しながらグルーミングを始めた。


寄生蜂にも寄生虫!?

宿主のヤマトフタスジスズバチ(フタスジスズバチ)が狩りや巣作りで忙しく働いている間に、のんびりと身繕い……と思いきや、撮影しているときは気づかなかったが、ムツバセイボウの体には小さなダニらしきものがいくつもついていた。これをおとすべく、脚を使って体をなでまわしたり翅をしごいていたのだろう。










このダニ(?)がムツバセイボウ(成虫)の外部寄生虫なのか、あるいは成虫にとりついて、巣穴へ入り込んで卵や幼虫に寄生するものなのか……そのあたりのことは判らないが、寄生蜂であるムツバセイボウも寄生虫には悩まされることがあるのか──と妙なところに感心した。
このあと、ムツバセイボウがどのタイミングで産卵しに入るのか~ヤマトフタスジスズバチの巣穴が塞がれるまで見届けたかったのだが……諸事情により現場を離れた。
今回撮影した画像の中で、不鮮明ながら「ムツバ(6個の刺状突起=六歯)」の写っていたものを↓。


セイボウ族は腹部第3節背板の後端に3~6個の刺状の突起をもつものが多く、ムツバセイボウはその名のとおり6歯を備えている。

翌日現場をのぞいてみると、ヤマトフタスジスズバチが作業中だった。


ムツバセイボウの姿はない。おそらくヤマトフタスジスズバチのスキをねらって産卵をすませて立ち去ったあとなのだろう。
フタスジスズバチの仕事っぷりを記録しようとカメラを向けたのだが……不用意に近づいてしまったため、母蜂に飛び去られてしまった。巣穴はすでに塞がれており、最後の仕上げをしていたところだったようだ。
普通ドロバチの仲間は、その名のとおり巣材に泥を使うが、ヤマトフタスジスズバチ(ドロバチ科)は葉片を使う。育室の間には葉片が詰め込まれ、仕切りは葉片を噛み砕いたものが使われるとか。最後の仕上げ──出入り口をふさぐさいにも噛み砕いた葉片が使われる。
塞がれた巣の中にヤマトフタスジスズバチが運んだ保存食(蛾の幼虫)とヤマトフタスジスズバチの卵、そしておそらくムツバセイボウが産みつけた卵が入っているのだろう。





※夏期のセイボウの発育は早くて、通常の全発育期間は15~20日ほどだそうだ。



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托卵の機会をうかがうムツバセイボウ

托卵の機会をうかがうムツバセイボウ



5月末、緑地の片隅に積まれていた木材でムツバセイボウに出会った。
こうした木材置き場にはカミキリやタマムシの仲間がいることがあるので、その姿をさがしていたところ、突然メタリックな輝きをはなつ緑色の蜂が目に飛び込んできた。
英名で【jewel wasps】(宝石蜂)と呼ばれるセイボウの仲間であることはすぐ判った。
セイボウの仲間は、カッコウ(鳥)がオオヨシキリの巣に托卵するように、カリバチなどの巣に侵入して卵を産みつける(イラガセイボウはイラガの繭に孔をあけて産卵)。他人(他鳥)の巣で孵ったカッコウがオオヨシキリの親が運ぶエサを食って育つように、孵化したセイボウの幼虫は、カリバチが我が子のために貯えたエサを食って育つ──そうした《労働寄生》の生態から英名では【cuckoo-wasps】(カッコウ蜂)とも呼ばれるそうだ(※セイボウには宿主の幼虫のみを食う《捕食寄生》の種もいるとか)。

そのセイボウが、なぜ木材置き場に来ていたのか?
木材にはカミキリなどがあけた穴があちこちに開いている。その穴を利用してカリバチが営巣しているようで、その巣を狙ってセイボウもやってきたのだろう。
じっさいにこの木材置き場では狩ってきた幼虫を抱えて飛ぶカリバチの姿もあった。

木材を物色するセイボウを見たとき、それがムツバセイボウで、木材の虫食い孔を利用して営巣するヤマトフタスジスズバチの巣を探しているのだろうと直感した。というのは、その少し前にまあささんのブログ記事で、ムツバセイボウが木材の虫食い孔にもぐり、葉片を引っ張り出すようすが紹介されているのを見ていたからだ。
はたして僕の目の前でも、ムツバセイボウが木材の穴にもぐりこんで葉片を引き出す行動が展開された。「ははぁ、これだったのか」と納得。ムツバセイボウの宿主であるヤマトフタスジスズバチは営巣するさいに育室の間を葉片で仕切るという。ムツバセイボウは、その仕切り(葉片)をとりのぞいていたのだろう。木材の下を見ると、ムツバセイボウが捨てたと見られる葉片が散乱していた。






このときは、カメラを警戒してかムツバセイボウは葉の廃棄作業の途中で飛び去ってしまった。ちなみにこの日はロクな画像が撮れなかった……(ムツバセイボウの動きが速すぎ……)。


後日、同じ場所へ行ってみると問題の虫食い孔は塞がれていた。ヤマトフタスジスズバチは営巣の仕上げに入り口を塞ぐらしいが、ムツバセイボウに寄生されても(気づかずに?)に営巣作業は最終行程まで続けられるのだろうか。


いずれにしてもムツバセイボウが産卵を終えていたのだとすると、もうここへは戻ってこないかもしれない……そう思っていたところ、近くの木材を物色するムツバセイボウを発見!


撮り始めて気がついたのだが、ムツバセイボウが止まった枝の先には穴が開いている──サビカミキリの脱出孔だろうか……ここに出入りするヤマトフタスジスズバチの姿も見られた。








ヤマトフタスジスズバチが飛び去った後にムツバセイボウがその孔にもぐる姿も見られた。このときは、あっという間に入ってすぐに出てきてしまったので、その瞬間は撮れなかった。すぐに出てきたのは、ヤマトフタスジスズバチが貯め込んだエサの貯蔵量がまだ不充分だったからかもしれない。エサの搬入待ちなのか、巣穴から少し離れた「定位置」にもどり、まったりと?グルーミングを始めたので、この日はその姿を撮ることができた。


「ムツバ」の由来である腹端の「六歯」も確認したかったのだが……今回撮影できた画像ではちょっと判りづらい。よ~く見ると右側に3つ「歯」があるようにも見えるが……(その下の黒っぽいのは「歯」ではなく腹の末端)。


グルーミング中は、ふだん見えない腹の背面がのぞくこともある。




この後、ムツバセイボウは、搬入待ちの間に他の産卵場所を探すためか、飛び去って見えなくなった。
翌日、問題の木材を確かめてみると、ムツバセイボウが狙いをつけていた巣穴──ヤマトフタスジスズバチが出入りしていた穴は塞がれていた。他にも周囲の虫食い孔に塞がれたものがいくつか見つかった。これらの何割がムツバセイボウの寄生を受けているのだろう。




実はこの日もムツバセイボウが木材を物色する姿が見られたのだが、動きがあわただしく、虫食い穴に反応しても一瞬のぞいただけでスルー(空き家だったのだろう)。一時もじっとしておらず、そのまま飛び去ったので撮影はできなかった。

※【追記】撮影した画像を整理していたら、ピントが甘い画像の中に、ムツバセイボウの特徴を示す腹部末端の突起(歯)がかろうじて写っているものがあった。ということで、不鮮明ながら追加画像↓。


ムツバセイボウはその名の通り「六歯」──6歯を備えているのだが、左半分に3歯(つまり左右あわせて6歯)あるのが、なんとかわかる。
『月刊むし』472号(2010年6月号)/(有)むし社・刊によれば、日本に生息するセイボウは38種だそうで、腹部末端の突起(歯)の数や形状も種類を見分けるポイントの1つ。
ちなみに、昨年【宝石蜂(jewel wasps)セイボウ】で撮影したミドリセイボウは5歯、クロバネセイボウは4歯、2009年にアップした【メタリックに輝く虹色のハチ】のツマアカセイボウは4歯。イラガセイボウ(イラガイツツバセイボウ)は5歯である。

木材に来ていた他の昆虫





カミキリの脱出孔はよく見かけるが、こうした穴を利用して営巣するカリバチや、さらにそこへやってくるセイボウがいるとは……自然は無駄無く有効活用されているものだなぁ……と実感した。


宝石蜂セイボウの生活史起源考?

セイボウはどのようにカリバチに寄生するようになったのか



セイボウは見た目がとても美しい。
見た目の美しさも注目に値するが、生活史もなかなかユニークだ。セイボウの多くはカリバチの巣に寄生する。ただしイラガセイボウは例外的に蛾の繭に寄生する。カリバチの巣と何の関わりのなさそうなイラガの繭に寄生する種類がいるというのもなんとも不可解な気がしていた。

「セイボウは、どのようにカリバチに寄生するようになったのだろうか?」

僕は昆虫学には(も)無知なド素人だが、美しいハチの謎めいた生活史には興味を抱かずにいられない。
セイボウを見ていて頭の中に展開した漠然とした想像なのだが……いちおう記してみたい。これから述べる事は、根拠の無い個人的な妄想なので、そのつもりで……。

ルリジガバ(カリバチ)の巣があるとおぼしき隙間に入って行くセイボウを見ていて、ふと思い浮かんだのは……セイボウも元は宿主のカリバチと同じように隙間を利用し、(幼虫用に)エサを貯蔵し卵を産んでいたのではないかという可能性だった。


カリバチと同じような所に巣を構えていたとすると、セイボウが巣にしようと潜り込んだ隙間に、先客のカリバチが巣を製作中でエサを貯えていた──なんてことだって起こり得ただろう。後からきたセイボウ(の祖先)が「(自前で)用意しなくても必要なエサが既に備わっているのだから好都合」とそこで産卵。居候が母屋をのっとる形で、セイボウがカリバチの巣に寄生する──ということが始まったのではないか……という想像である。

しかし、セイボウが元は(巣に寄生するエサを貯える)カリバチのような生活をしていたのだとすると、スタイルがもっとカリバチっぽくあってしかるべきではないか……という疑問が浮かんだ。


カリバチは脚が長くウエストがくびれたプロポーションをしている。ウエストが細いのは獲物を狩るさいに「腹端の毒針をつきたてやすくするため大きく屈曲できる構造」へ進化した結果ではないだろうか(と想像…)。脚の長さは、くわえた獲物を浮かせて運ぶためのものだろう。もしセイボウにもカリバチ同様の生活史の時期があったとするなら、セイボウのプロポーションも、もっとカリバチっぽく進化していたはずではないのか……。

セイボウのプロポーションから、(巣を作って獲物を狩って運び込むという手のこんだプロセスを持つ)カリバチ以前の(?)寄生蜂がルーツだったのではないかと考えてみた。
獲物と戦って無力化するような勇ましい狩りをせず、野外に生活する宿主(蛾の幼虫など)にこっそり(?)忍び寄って卵を産みつけていくタイプの寄生蜂。


セイボウも元は野外の蛾の幼虫やクモに直接卵を産みつけていたのではないか? そのセイボウ(の祖先)が卵を産みつけた獲物を、カリバチが狩り巣に運んだ……そしてそこでふ化したセイボウ(祖先)の幼虫が、カリバチの卵(or幼虫)とカリバチ幼虫のために用意されたエサを食い、カリバチが用意した巣で安全に育ち羽化することができた……こうして、カリバチの巣に寄生する生活史が生まれたのではあるまいか?

その場合……セイボウ(の祖先)の母蜂が、野外に生活している獲物に直接産卵していたのに、カリバチの巣で羽化した世代が母蜂になったとき、どうして先代の習性を受け継いで野外の獲物に産卵せず、カリバチの巣に産卵するようになったのか──という疑問が浮かぶ。
もしかすると、こうした昆虫は自分が羽化した環境を産卵場所に選ぶというプログラムを備えているのではないだろうか?
サケは自分が生まれた川のニオイを覚えていて産卵期に戻ってくるというが……セイボウ(の祖先)も羽化したカリバチの巣を故郷と記憶?し、そこへ戻って来て産卵するのだとすれば、いちおう筋は通る。

また、セイボウの中でも、イラガセイボウが例外的に蛾の繭に寄生することについて妙だと感じていた疑問点についても、この考え方を当てはめれば説明できそうな気がする。




イラガセイボウも元は野外のイラガ幼虫に直接卵を産みつけていたと仮定──そのままイラガ幼虫が繭を作り、その繭の中でふ化したセイボウ幼虫が安全な繭の中でイラガの幼虫(or蛹)を食って育ち、成虫になるというというプロセスが生まれたのではないか──そして、イラガの繭で羽化したセイボウがイラガの繭に戻って産卵するようになった……そう考えると、理屈としては納得できる。

セイボウの卵だけをとりだし《全く違った環境》で育て、羽化させたとしたら……その母蜂はやがて、(自分が羽化した)《全く違った環境》に戻ってくるのだろうか……そんな実験をすれば、あるいは仮説(?)を確かめる材料になるかもしれない……などと妄想は広がっていったのであった。

こんな《ド素人の妄想ともいえる思いつき》が当っているとは、自分でも考えていないが……セイボウを見て思いめぐらせた想像ということで、前の記事のついでに記してみたしだい。

宝石蜂(jewel wasps)セイボウ

宝石蜂(jewel wasps)セイボウ

セイボウと呼ばれる美しいハチのグループがある。漢字で書くと《青蜂》──緑~青に輝くメタリックな構造色で、種類によっては赤や金が入り、とてもきらびやかだ。英名の【jewel wasps】(宝石蜂)・【ruby-tailed wasps】(ルビー尾蜂)も納得できる。
むし社・刊『月刊むし』472号(2010年 6月号)の《日本産セイボウ図鑑》によると日本には38種のセイボウ類がいるそうだ。
僕も時々みかけることがあるが、なぜか雑木林に隣接した欄干(らんかん)で目にすることが多い。先日であったミドリセイボウとクロバネセイボウも、やはり欄干の上を探査中だった。





【ミドリセイボウ】は体長10~13mmと、小さい上にちょこまか動き、すぐ飛ぶので、なかなかうまく撮れない。また光沢のある昆虫は、輝きぐあいや色合いをキレイにとらえるのが難しい。画像では青みがやや強くなってしまったが、じっさいはもう少し緑っぽく見えた。


セイボウの種類を見分ける手掛かりのひとつが、腹部末端の歯状突起。無いものから2歯・3歯・4歯・5歯・6歯があるらしい。ミドリセイボウと同じ5歯にはイラガセイボウがある。









【クロバネセイボウ】は体長8~13mm。腹端に4歯の突起を持つセイボウは多い。クロバネセイボウの他に、タイリクセイボウ・ホソセイボウ・リンネセイボウ・ナミハセイボウ(歯を欠く波状の4つの突起)・コマチセイボウ・ノヒラセイボウ・ツマアカセイボウ・ツマムラサキセイボウ・ヨシブエセイボウ・オオセイボウなどが4歯(4波)だそうだ。

ついでに、以前にやはり欄干で見かけた【ツマアカセイボウ】の画像を再掲載


※【ツマアカセイボウ】↑はメタリックに輝く虹色のハチで投稿した画像。
そして同記事の【イラガセイボウ(イラガイツツバセイボウ)】画像↓


なぜ欄干で見かけることが多いのか?

セイボウを欄干で目にすることが多いのは、彼ら(彼女ら?)がそこで宿主やその巣を探しているからではないか……と僕は想像している。セイボウは触角で欄干の表面を確かめるようにしながら歩き回っている。いかにも何かを探しまわっているふうである。♀であれば宿主を、♂であれば♀を探しているとみるのが自然だろう。
そして、セイボウが探査して歩く欄干では、彼女らがターゲットとしているカリバチの仲間の姿もよく見かける。欄干ではよく目にするヤマトルリジガバチも、ミドリセイボウやクロバネセイボウが宿主としているカリバチだったりする。




【ヤマトルリジガバチ】は自分の子供(幼虫)を育てるためにせっせとクモを狩り、竹筒などの内部を泥で仕切って作った巣に運びこむ。貯蔵されたクモは麻痺しているものの死んではいないので鮮度を保ったまま、ふ化したルリジガバチの幼虫のエサとなるわけだ。
ミドリセイボウやクロバネセイボウは、このヤマトルリジガバチに寄生する。ルリジガバチの巣に托卵し、ふ化したセイボウ幼虫は、宿主のルリジガバチ幼虫(あるいは卵)と母ルリジガバチが我が子のために準備したクモを食って成長する──ということらしい。

セイボウの英名には【cuckoo-wasps】(カッコウ蜂)という別名もあるそうだが、これはカッコウが他の鳥の巣に卵を産みつけ(托卵)、他者の労力を横取りして子育てに利用する習性にからめた命名だろう。

ところで、欄干(らんかん)は強度を保つために格子構造になっている。この格子の間にはよくクモが巣を張っている。森に隣接した場所で適度の隙間がもうけられた格子はクモが巣をかけるにはうってつけだろう。ここなら飛んできた虫や風に飛ばされてきた獲物がひっかかる確率は高そうだ。枝の間に張った巣であれば、風で枝が大きく揺れれば壊れてしまうかもしれないし、人が通るさいに破ってしまうかもしれない。欄干の隙間に張った巣ならそんな心配は無い。
じっさいに欄干のあちこちでクモは巣を張っているわけで、それを狩るためにヤマトルリジガバチなどが現れるのも当然といえば当然だ。

そして欄干はそんなカリバチにとっても、さらに都合が良い場所のようなのだ。カリバチの仲間には竹筒のような狭いスペースに泥を用いて巣を作るものが存在する(ルリジガバチもその1つ)が、欄干には接合部分などに狭い隙間があって、これが巣作りに利用されている形跡がある。
ルリジガバチの巣そのものは確認できなかったが、欄干の隙間にもぐりこんでいく姿は目撃している。クモの狩り場の近くに雨風をしのげる巣がつくれたら、効率的に狩りが行なえるはずだ。餌場と巣の往復が短くてすめば、そのむぶん天敵に襲われるリスクだって少なくなるだろう。


ということで、セイボウがターゲット(宿主)とするカリバチの巣がないか、欄干の接合部を下から覗き込んでみたところ、エントツドロバチの巣があちこちで見つかった。




【エントツドロバチ】は、かつて「オオカバフスジドロバチ」と呼ばれていたカリバチで、やはり竹筒を利用して巣を作る。このハチが幼虫のために狩るエサはクモではなく蛾の幼虫だが、エントツドロバチが欄干を利用して巣を作っているのだから、他の竹筒利用カリバチが欄干を利用していてもおかしくはないだろう。






巣作り途上の入り口の構造が「煙突」に見える事からエントツドロバチと呼ばれるようになったのだろう。この「エントツ」部分は、(エサの貯蔵&産卵を終えて)入り口をふさぐさいに撤去される。
こうしたドロバチ類を宿主とするセイボウもいる。

餌場や巣作り環境の利点から欄干はカリバチが集まりがちなスポット──そのため、それらを宿主とするセイボウもまた欄干で見られる機会が多いのではないか──僕はそう考えてみたのだが……。